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韓国における予備審査制度の運用

2015年03月31日

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■概要
韓国特許庁は、拒絶理由通知中心の従来形式の審査から、拒絶理由通知の際に拒絶理由の解消方法と適正な権利範囲の設定方法を明確にし、登録を促すもしくは登録に導く新たな形式の審査を行う方向に移行している。その一環として2014年1月から、一定の要件を満たした優先審査が認められた出願について、審査に着手する前に、出願人が発明を説明し、審査官が特許要件に関する予備審査の結果を提供することにより、迅速な審査および適正な権利確保を図るための出願人参加の予備審査制度を試験的に実施している。
■詳細及び留意点

【詳細】

 出願人参加の予備審査制度の対象となる出願は、審査の技術的難易度が高い特許および実用新案出願のうち、審査官が優先審査を決定した出願である。優先審査には大別して、下記の3種がある。

 

(1)「一般的な」優先審査

所定の要件(第三者実施、自己実施又は実施準備中のもの、電子取引、環境技術、その他防衛産業関連出願、ベンチャー企業出願等のいずれか)を満たしている場合、優先審査申請が可能。

 

(2)先行技術調査を経た優先審査(2008年10月1日から施行)

特許庁長官が指定する先行技術調査専門機関に先行技術調査を依頼し、その調査結果を調査機関から特許庁長官に通知するよう要請した場合に優先審査申請が可能。

 

(3)特許審査ハイウェイ(PPH)

他国に出願された同一の発明について、PPH合意国で登録可能との審査結果が出た場合、優先審査申請が可能。

 

試験的実施当初の2014年には、特許庁長官が指定した先行技術調査の専門機関に先行技術調査を依頼し、その調査結果を特許庁長官に通知するよう要請し、さらに優先審査を申請した出願についてのみ予備審査が適用されていたが、2015年1月1日からは優先審査申請が行われたすべての出願に対象が拡大された。

 

 対象となる出願について優先審査決定が出ると、優先審査決定書の送達時に出願人参加の予備審査制度に関する案内書が別添で通知される。当該案内書を受け取った出願人は、出願人参加の予備審査制度を利用するか否かを選択することができるが、出願人参加の予備審査制度を利用する場合には、予備審査の希望日と出席者を記載して申請をしなければならない。また、予備審査の希望日は、申請日から1ヶ月以内の日程のうち、希望日を3日選択し、記載すればよい。

 

 予備審査日が決定すると、出願人(および代理人)および審査官が出席し、出願人は予め準備した技術説明の資料に基づき審査官に特許発明に関する技術説明を行い、審査官は専門機関から報告を受けた先行技術調査の結果、もしくは別途行った追加の先行技術調査を基に予備審査の結果を説明する。また、相互の意見交換を通じて適切な補正の方向を協議するが、この際、審査官は登録の可能性が高い補正案を提示することができる。

 

 予備審査の後、出願人が予備審査日に審査官と協議した補正案に基づき、最終の補正書を作成して提出すると、審査官は、他の拒絶理由を発見しない限り登録決定を下す。補正書が提出されない場合や、審査官との協議に基づく補正が行われていない場合、審査官は一般的な審査手続きによって拒絶理由の有無を審査する。予備審査日に協議した補正案に基づき、最終の補正書が提出されても、審査官は、他の拒絶理由を発見した場合には、拒絶理由を通知することができる。

 

 このような出願人参加の予備審査制度により、技術的難易度が高い発明について、出願人の技術説明を通じて審査官の技術への理解を深めることができ、また、審査官との協議を通じて登録の可能性が高い適切な権利範囲を設定できる。それだけでなく、本制度により不要な拒絶理由通知を事前に回避することができるという点などにおいて、出願人にとって大いに有用な制度となることが期待される。したがって、韓国での特許出願戦略を検討する際に、考慮する重要な選択肢の一つとなり得るものである。

■ソース
・2014年特許制度統合説明会の発表資料(韓国特許庁)
http://www.kipo.go.kr/kpo/user.tdf?a=user.news.notice.BoardApp&board_id=notice&ssl=&cp=1&pg=1&npp=10&catmenu=m02_01_02&sdate=&edate=&searchkey=&searchval=&c=1003&seq=13530
■本文書の作成者
河合同特許法律事務所
■協力
日本技術貿易株式会社 IP総研
■本文書の作成時期

2015.01.29

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