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韓国意匠法全面改正(2014年7月1日施行)の概要

2014年06月24日

  • アジア
  • 制度動向
  • 意匠

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■概要
韓国のデザイン保護法(意匠法)が2013年5月28日付で全面改正され、2014年7月1日から施行される。今回の改正においては、条文を体系的に再配置して、意匠創作者の権利保護強化のための制度改善、意匠登録出願人の便宜増進のための制度改善、ヘーグ協定に伴う国際出願及び国際意匠登録出願手続を導入する等の改正が行われている。
■詳細及び留意点

【詳細】

 韓国のデザイン保護法(意匠法)が2013年5月28日付で全面改正され、2014年7月1日から施行される。改正内容は以下の通りである。

 

(1) 意匠創作者の権利保護のための制度改善

(i) 意匠創作性要件の強化(第33条第2項)

 改正前意匠法においては、韓国内で広く知られた周知の形状等から容易に創作することができる意匠についてのみ登録が拒絶されるが、改正法では、周知の形状を外国まで拡大し、外国で広く知られた形状・模様・色彩又はこれらの結合によって容易に創作することができる意匠についても、登録を受けることができないようになる。

 

(ii) 拡大された先出願主義の適用の自己出願例外の認定(第33条第3項)

 改正前意匠法においては、先出願された意匠の一部と同一か類似の後出願意匠は、意匠登録出願人が同一か否かに関係なく意匠登録を拒絶されてきたが、真正な創作者を保護するために、その出願人が同じ場合には意匠登録を受けることができるように改正される。

 改正前意匠法においては、同一出願人間でも拡大された先出願主義が適用されるため、全体意匠を先に出願し、部分意匠を後に出願した場合には、後出願した部分意匠は登録を受けることができなかった。しかし、改正法では、同一出願人間では拡大された先出願主義を排除して、全体的な意匠を出願した後に、独創性があり創作性がある部分について部分意匠として出願して登録を受けることができるようになる。

 

(iii) 関連意匠制度の導入(第35条)

 類似意匠制度を廃止し、関連意匠制度を導入する。関連意匠制度の概要は次の通りである。

 

  • 自己の基本意匠とのみ類似すること(第35条第1項)
    自己の基本意匠(自己の登録意匠又は意匠登録出願した意匠)とのみ類似の意匠が関連意匠の対象となる。
  • 関連意匠の出願時期
    関連意匠の出願時期は、基本意匠の出願日から1年以内に制限される。
  • 基本意匠と別途の独自の権利範囲の認定
    類似意匠においては、独自の権利範囲が認められないという条項をおいているが、改正法ではこれを削除し、関連意匠について意匠権の効力規定が適用されるようになる。
  • 関連意匠権の存続期間満了日(第91条)
    権利範囲が重複し得る関連意匠によって基本意匠権の存続期間が実質的に延長されることがないように、関連意匠権の存続期間満了日は基本意匠と同一となる。
  • 関連意匠の専用実施権設定の制限(第97条第1項但書)
    基本意匠の意匠権と関連意匠の意匠権の専用実施権は、同じ者に同時に設定するように制限される。
  • 二つ以上の関連意匠の意匠権の移転及び専用実施権設定の制限(第96条第6項、第97条第6項)
    取消、放棄又は無効審決等により基本意匠の意匠権が消滅した場合は、その基本意匠に関する2以上の関連意匠の意匠権の移転及び専用実施権設定は、同じ者に共にするように制限される。

 

(iv) 意匠権の存続期間延長(第91条)

 意匠権の存続期間について、「設定登録日から15年」から「設定登録日から意匠登録出願日後20年」に改正される。

 

(2) 意匠登録出願人の便宜増進のための制度改善

(i) 新規性喪失の例外主張手続の改善(第36条第2項)

 改正前意匠法では、新規性喪失の例外主張をしようとする者は、意匠出願時に出願書にその趣旨を記載し、証明書類を出願日から30日以内に提出するように規定されていた。

 これに対し、改正法では、出願時だけでなく、出願補正期間以内や意匠登録後に異議申立又は無効審判が提起された場合にも新規性喪失の例外規定の適用を主張することができるとされた。ただし、条約や法律によって韓国内又は外国で出願公開又は登録公告された意匠の場合には、これを根拠として例外を主張することができない。

 

(ii) 複数意匠登録出願制度の改善(第41条及び第65条等)

 改正前意匠法では、意匠無審査物品に限り20個以内の意匠を1意匠登録出願とすることができるが、改正法では、審査・無審査の区別なしに同じ類に属する物品を100個まで複数意匠登録出願することが可能となる。また、複数意匠登録出願された意匠のうち一部の意匠にのみ拒絶理由がある場合、改正前意匠法ではその拒絶理由が解消されなければ意匠登録全体が拒絶される(そのため、拒絶理由がある一部意匠は分割出願するのが一般的である)が、改正法では、その一部に対してのみ拒絶決定することができる。

 

(iii) 職権補正制度の導入(第66条)

 改正法では、審査官が意匠登録決定をする際に、意匠登録出願書に明白な誤記がある場合には、意匠登録出願人に補正要求書を発送せずに職権で補正することができるようになる。審査官が職権補正を行う場合には意匠登録出願人に知らせなければならず、出願人は職権補正事項に異議がある場合には意匠登録料を納付するまでに特許庁長に意見を提出することができる。

 

(iv) 手数料の返還対象の拡大(第87条)

 意匠登録出願後1ヶ月以内にその出願を取下・放棄する場合について、改正前意匠法では意匠登録出願料のみを返還されるが、改正法では、意匠登録出願の優先権主張申請料も返還してもらえるようになる。

 

(3) ヘーグ協定による国際出願及び国際意匠登録出願手続の導入(第9章新設)

 韓国のヘーグ協定への加盟は2014年7月1日に発効予定である。そのため、改正法では、韓国国民や韓国に住所がある者等が韓国特許庁を経てWIPO国際事務局に国際出願をする場合について、国際出願書に記載する事項、送逹料の納付等、国際出願に必要な手続についての規定が新たに定められている。

 国際意匠登録出願人が韓国で意匠登録を受けるために韓国を指定国として国際出願をしようとする場合は韓国意匠法による審査手続に従うが、産業意匠の国際登録に関するヘーグ協定と相反する条項については、特例(意匠法第180条、181条、182条、184条)を規定している。

 

(4) その他

(i) 意匠無審査用語の変更(第2条等)

 改正法では、「意匠無審査」という用語が「意匠一部審査」に変更される。

 現在の「意匠無審査登録制度」の下でも、意匠審査登録と同じく工業上の利用可能性、容易創作性等については一部実体審査を行っているため、「意匠無審査」という用語は適切でないという認識により用語が変更された。

 

(ii) 民法改正事項の反映

 改正法では、民法の改正事項を反映して「禁治産者」を「被成年者後見人」に、「限定治産者」を「被限定後見人」にそれぞれ変更される。

 

【留意事項】

  • 改正法適用時点(2014年7月1日)以降の出願において留意すべき点は下記の通りである。
  • 存続期間の計算において、改正法は、施行日以後に出願したものから適用される。
  • 関連意匠は、基本意匠の出願日から1年以内に出願しなければ登録を受けることができないため、関連意匠を出願したい場合、その出願時期に注意する必要がある。
  • 関連意匠に係る規定は、この法施行前の登録意匠又は登録意匠出願とのみ類似した意匠であり、この法施行後1年以内に関連意匠として意匠登録出願したものについても適用される。
■ソース
・韓国意匠法
http://www.choipat.com/menu31.php?id=23 ・韓国意匠法全部改正法律(案)主要内容
http://www.kipo.go.kr/kpo/user.tdf?a=user.ip_info.adv_law.BoardApp&board_id=adv_law&cp=1&pg=1&npp=10&catmenu=m02_02_03&sdate=&edate=&searchKey=&searchVal=&bunryu=&st=&c=1003&seq=11726&gubun=
■本文書の作成者
崔達龍国際特許法律事務所
■協力
一般財団法人比較法研究センター 不藤真麻
■本文書の作成時期
2014.01.17
■関連キーワード
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