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台湾改正専利法要綱(前編)

2022年02月24日

  • アジア
  • 制度動向
  • 特許・実用新案
  • 意匠

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■概要
台湾専利法の2021年10月までに行われた改正の概要を紹介する。2011年に大幅な改正が行われ、新規性喪失の例外、優先権証明書提出期限、外国語書面での出願制度、補正の時期的制限、無効審判手続、侵害規定など、広範囲にわたって改正されている。さらに、2013年、2014年、2016年に再度いくつかの改正が行われ、例えば、実用新案権の警告書送付に関する事項、損害賠償額の算定方法、水際取締手続き、新規性喪失の例外規定適用期間の延長等の改正があった他、2019年には、分割可能時期の緩和や意匠権の存続期間を15年までに延長する等の重要な改正があった。本稿では、前編、後編に分けて概要を紹介する。
■詳細及び留意点

(1)新規性喪失の例外に関する規定をさらに緩和
 2016年に改正され、2017年に施行された専利法において、特許および実用新案の新規性喪失の例外規定の適用期間が6か月から12か月に延長された(専利法第22条第3項、専利法第120条で準用)。旧法で規定された例外事由には、出願前に実験により公開実施されたことや、刊行物へ記載等があったが、改正後の現行規定では、「出願人の意思で、または意に反して公開に至った事実が発生してから十二月以内に出願したものについて」も例外事由とされ、規定が大幅に緩和された(専利法第22条第3項、専利法第120条で準用)。いわゆる「出願人の意思」には、出願人自らの公開だけでなく、他人による公開に同意することも含まれる。そして、「意に反して公開」とは、例えば他人の盗用による公開、出願人が雇用または委任する相手の錯誤または過失による公開を指している。
 旧法では、例外規定の適用を主張する場合、「出願時」に主張しておかなければならなかったが(旧専利法第22条第4項)、改正法では当該制限が削除された。このため、出願の時点で主張する必要はなくなったが、実体審査時に、台湾知的財産局(以下、「台湾知財局」という。)が必要と認めた場合、出願人にその事実の釈明と関連証拠の提出を命じることができるとしている。
 一方、意匠についても、新規性喪失の例外規定の適用事由を「出願人の意思で、または意に反して公開」まで緩め、「出願時に主張する」という規定もなくなったが、例外適用期間は6か月のままとなっている(専利法第122条第3項)。

(2)外国語書面出願
 特許、実用新案、意匠において認められている外国語書面出願において、使用できる外国語がアラビア語、英語、フランス語、ドイツ語、日本語、韓国語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語の9か国語になり(専利審査基準第一篇程序審査及專利權管理、第二章專利申請書、7.其他敘明事項)、外国語書面それ自体の補正ができないこと(専利法第44条第1項)、補正および訂正の範囲も外国語書面の記載の範囲内で認められることが明記された(専利法第44条第2項、第67条第3項、第110条第2項、第133条第2項、第139条第3項)。
 なお、詳細については、「台湾専利法における誤訳対応」(https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18374/)のコンテンツを参照されたい。

(3)専利明細書の出願様式
 特許および実用新案について、国際的趨勢に対応するため「請求の範囲」および「要約」を明細書から独立させた(専利法第25条第1項、第106条第1項)。

(4)譲渡証の提出
 特許、実用新案または意匠を出願する際に必要とされた譲渡証が不要となった。

(5)優先権主張手続
 特許および実用新案の優先権証明書類の提出期限は、最先の優先日から16か月以内(専利法第29条第2項)、意匠は10か月以内(専利法第142条で準用する第29条第2項)に、それぞれ延長された。
 特許、実用新案、意匠について、故意なく優先権主張をしなかった場合、優先権主張の回復申請が可能となった(専利法第29条第4項、専利法第120条または第142条で準用する第29条第4項)。

(6)特許実用新案同日出願
 2011年の改正に際し、特許と実用新案の同日出願制度が導入された(専利法第32条)。同一人が同一の創作について同日に特許出願と実用新案出願を行い、特許査定前に実用新案権を取得している場合は、特許権か実用新案権のどちらかを選択しなければならない。特許を選択した場合、実用新案権は消滅する(専利法第32条第2項)。実用新案権がすでに期間満了している場合は、特許権を選択することができない(専利法第32条第3項)。
 2013年の改正時に、同日出願をした場合、出願時にその旨を明記しなければならないとの規定が新設された(専利法第32条第1項)。これにより、実用新案権の公告時に、出願人が同一の創作の特許出願をしていることを、公衆に知らしめることができるようになった。この改正後、出願人に出願時に同日出願を表明する義務が課され、2出願の内の両方もしくはいずれかの願書において明記していなかった場合、特許を受けることができないことが明文規定された。
 さらに、旧法の規定によると、特許を選択した場合、実用新案権は初めから存在しなかったものとみなされたが、それは出願人に極めて不利であるのみならず、当該実用新案権の許諾や譲渡がなされていた場合に、ライセンス料や代金の返還が必要か等の問題が発生していた。このため、改正法では接続保護という制度が採用され、出願人が特許を選んだ場合、その実用新案権は特許の公告日から消滅することが規定された(専利法第32条第3項)。
 また、実用新案権の取得後から特許公告までの間になされた他人の実施行為については、「実用新案の損害賠償請求権」、または「特許の補償金請求権(警告等の条件有り)」のいずれかを選択して行使することができる(専利法第41条第3項)。

(7)専利出願補正制度
 特許において、審査遅延防止目的で最後の拒絶理由通知制度が設けられ、出願人が特許庁から最後の拒絶通知を受領した後は、新規事項追加の制限に加え、補正目的も制限されることになった(専利法第43条第4項)。
 なお、詳細については、「台湾専利法における誤訳対応」(https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18374/)のコンテンツを参照されたい。

(8)分割手続
 特許について、分割時期を明確化するとともに時期的制限が緩和された。2019年の改正法において、出願人は初審または再審査の特許査定送達後3か月以内に分割請求を行うことができるようになった(専利法第34条第2項第2号)。実用新案権についても、登録処分書送達後3月以内に分割請求ができるとする規定が新設された(専利法第107条第2項第2号)。
 なお、2019年の改正法では、重複出願を避けるため、分割出願が可能なのは、原出願の明細書または図面に開示されている発明であり、かつ特許査定の請求項と同一の発明でないものでなければならないと規定されている(専利法第34条第6項、実用新案は第120条で準用する)。

(9)年金追納
 特許、実用新案、意匠について、出願人または専利権者が故意なく期限内に納付しなかったために失効した権利について、年金を追納することで権利回復を認める制度が導入された(専利法第52条および第70条、専利法第120条または第142条で準用する第52条第1項、第2項および第4項ならびに第70条)。査定後に納付すべき1年目の年金の場合は2倍、2年目以降の年金の場合は3倍の金額を支払う必要がある。

(10)特許存続期間延長
 特許のみに認められる存続期間延長について制限が緩和され、特許発明の実施不能期間が特許公告後2年未満でも延長請求可能になった(専利法第53条)。
 なお、詳細は「台湾における特許権の存続期間の延長制度」(https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/20107/)のコンテンツを参照されたい。

 (11)~(21)については、台湾改正専利法要綱(後編)(https://www.globalipdb.inpit.go.jp/trend/22620/)をご覧ください。
((11)専利権効力の制限、(12)専利実施許諾、(13)強制実施権の設定、(14)無効審判、(15)損害賠償、(16)情報提供制度の導入、(17)実用新案権の訂正請求に関する時期的制限、(18) 実用新案権者が警告する際の実用新案技術評価書の提示、(19)意匠の重要改正、(20)専利権水際取締対策、(21)留意事項)

■ソース
・台湾専利法
https://law.moj.gov.tw/ENG/LawClass/LawAll.aspx?pcode=J0070007
・台湾における特許権の存続期間の延長制度
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/20107/
・台湾専利法における誤訳対応
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18374/
■本文書の作成者
聖島(セイントアイランド)国際特許法律事務所
■協力
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期
2021.10.18
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