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南アフリカにおける特許出願の出願書類

〔詳細〕
1.特許出願およびPCTに基づく国内移行特許出願の出願書類に関する規定
 パリ条約に基づく各国への直接出願(パリルート)の要件は、南アフリカの特許法(the South African Patents Act No. 57 of 1978)の第30条ならびに特許規則22、23および25に規定されている。

 特許協力条約に基づく出願(PCTルート)に基づく国内移行特許出願の要件は、特許法第43A条~第43F条および特許規則67A~67Iに規定されている。

2.出願書類
 出願書類は以下のとおりである。各Formは、Form P26を除き、特許規則に附則2として掲載されている。また、Form P26は、CIPC(Companies and Intellectual Property Commission:企業・知的財産委員会)ウェブサイトの「PATENTS FORMS AND FEES」から入手できる。

Form P1: 出願の願書(パリルートの場合)
Form P25: 国際出願移行書面(PCTルートの場合)
Form P2: 登記シート
Form P7: 完全明細書
Form P8: 公開事項および要約
Form P3: 宣誓書および委任状
Form P26: 固有の生物資源や遺伝資源の利用、伝統的知識またはその利用に関する供述書
譲渡証

 以下に、各書類について説明する。

2-1.Forms P1, P25, P2, P7およびP8
 これら全ての書類は、出願人に代わって特許出願を提出する権限が与えられた特許弁理士によって作成される場合が多い。Form P1またはP25の写しには、受領日および出願番号が記録され、出願書類の受領証としての役目を果たす。

 Form P2は出願の登記シートであり、記載した内容が、特許登録簿に登録される。特許登録簿はオンライン・サイト「CIPC Intellectual Property Online」(https://iponline.cipc.co.za/Account/Login.aspx?pb=aVMvEDtYJoBv4STTqmvCTpb7MWDx2eY0ESHMO1dLY8+DkrV5ADDUPw==)で閲覧可能である。当該サイトへの閲覧には、登録してアカウントを作成することが必要であるが、詳細の手順については「南アフリカにおける特許公報の調べ方」の2. 公報検索(https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/33729/)を参照されたい。

 Form P8は書誌情報を含むものであり、南アフリカ特許公報において登録時に公開される出願の基礎情報として使用される。Form P8は要約(150字以内)および代表図(Form P8には記載欄がなく、必須ではない)とともに提出される。

 Form P7は、(1)明細書およびクレームならびに(2)必要な図面とともに提出される(特許法第32条(3))。PCTに基づく国内移行特許出願については、国際公開の明細書、クレームおよび図面ならびにPCT規則第19条および/または第34条に基づく補正が南アフリカ特許庁において自動的に記録されるため、明細書、クレームおよび必要な図面を提出する必要はない(特許法第43F条(3))。

(1) 明細書およびクレーム
 特許法第32条は、明細書の記載要件として、(a) 所定の要約を伴うこと、(b) 当該発明に係る技術に熟練した者が当該発明を実施できるよう、発明及び発明を実施する方法を十分に説明し、確認し、かつ、必要な場合は図示し又は例示すること、(d) 保護請求の対象である発明を明示するクレームを最後に記載すること、(e) クレームは、単一の発明に係るものでなければならず、明確でなければならず、また明細書で開示される事項に適切に基づくものでなければならないことなどを規定している。

 特許法第43F条(3)(e)(i)は、特許協力条約第3条(2)でいう明細書、請求の範囲、必要な図面および要約は、完全明細書であるとみなすことを規定している。

 南アフリカ特許庁の公式言語は英語である。最初の明細書として非英語の明細書も提出可能ではあるが、公式言語は英語であるため、英語の明細書が要求される。特許出願の書類として非英語の明細書が提出された場合には、その出願日から3月以内に宣誓書付き英文翻訳を提出しなければならない(特許法第30条(6)(c))。英語以外の言語で公開された国内移行特許出願の場合には、その移行日から6月以内に、公開された明細書およびクレーム(図面がある場合には、図面中のテキスト)の英訳、ならびに、PCT規則第19条および/または第34条に基づく補正の英文翻訳を提出しなければならない(特許法43E条(1)(b)、特許規則67B(2))。この場合の英文翻訳には翻訳者による宣誓は不要である。

(2) 図面(任意形式)
 図面は、A4サイズ、白黒で、複製が可能なように十分に明確なものを提出しなければならない(特許規則20、21)。図面中に含まれる全てのテキストは英語でなければならない(当初に英語以外の言語で提出された場合には、英文翻訳をその後提出しなければならない)。

 なお、パリ条約上の優先権が主張されている場合、優先権書類の認証付きコピーの提出が必要である(*)。優先権書類の言語が非英語である場合、その宣誓書付き英文翻訳の提出も必要である。しかし、PCTに基づく国内移行特許出願の場合には、優先権書類がWIPOの国際事務局に提出されており、優先権書類の受領を確認するForm PCT/IB/304が発行されていれば、上述の手続は不要である(特許法第30条(6)(b))。
(*) 2022年12月現在、南アフリカ知財当局は、デジタルアクセスサービスに参加していない。

2-2.宣誓書および委任状(Form P3)
 Form P3は、南アフリカにおける各々の特許出願に必要である(特許法第30条(6)(a)(ii)、特許規則8、22(1)(c))。包括委任状は使用できない。Form P3は、通常の特許出願または国内移行特許出願の出願日から6月以内に提出しなければならない(特許規則33)。当該提出期限は、要求により延長できる。

 Form P3は、以下に説明するいくつかの重要な取扱いを含む。すなわち、“特許出願に関して提出した所定の宣言が,重大な虚偽の陳述又は表示であって,宣言がなされた時に特許権者が虚偽であると知っていたものを包含している”場合には、南アフリカ特許の取消理由となる(特許法第61条(1)(g))。従って、Form P3中でなされる全ての宣誓は、真正かつ事実であると信じられるものでなければならない。

 発明者が特許出願人である場合は、発明者により真正な発明者である旨等の宣誓がなされる(特許規則 附則2 Form P3)。特許出願人が発明者ではない場合、出願人は発明者から出願する権利を譲り受けた旨を含めて宣誓し、譲渡の経緯を示すため、後述の譲渡証等を提出しなければならない場合がある。

 また、宣誓書には、「私が知り得る限り、当該出願人に特許が付与されたときに、当該特許の取消となる法律的な根拠は存在しない」という宣誓が含まれる(特許規則 附則2 Form P3第4項)。従って、特許が付与されるときまでに、特許出願人が知っている事情に照らして、特許出願は有効な状態にならなければならない。すなわち、明細書および/またはクレームに特許無効理由が含まれる場合には、特許付与までに自発補正により解消されなければならない。南アフリカの特許出願は先願発明に対する実体的な審査がなされないことから(特許法第36条)、特許付与の時にクレームが有効と考えられるものであり、かつ、権利行使可能なものであると確認する義務は出願人に課されており、無効理由の解消は特に重要である。

 さらに、宣誓書には、優先権主張に関する宣誓も含まれる(特許規則 附則2 Form P3第5項)。優先権主張の基礎となる特許出願が、先の出願の継続または一部継続出願である場合に注意が必要である(特に米国出願を基礎として優先権を主張する場合にこのような状況が生じる可能性がある)。すなわち、南アフリカ特許出願の独立クレームの主題が、当該南アフリカ特許出願の出願日から一年より前に関連する出願の中で最初に開示されている場合、優先権を主張しようとする出願は優先権主張の目的においてパリ条約の同盟国でなされた最初の出願とはみなされない(特許法第31条(1)(c)(iii))。そのような後の出願に対する優先権の主張は無効であり、付与された特許は、上述のように宣誓書が虚偽の供述を含んでいることを理由に取り消される。この問題に対する解決方法としては、優先権の主張が無効となる発明の主題に基づく全てのクレームを南アフリカ特許出願から削除すること、または、自発補正により優先権の主張が有効となる範囲にクレームを減縮することがあげられる。

2-3.固有の生物資源や遺伝資源の利用、伝統的知識またはその利用に関する供述書(Form P26)
 Form P26は技術分野に関わらず全ての特許出願について必要であり(特許法第30条(3A))、通常の特許出願または国内段階への移行書面の提出日から6月以内に提出しなければならない(特許規則33A(1))。当該提出期限は、公式の要求により延長できる。また、特許法第30条(3A)に関して提出された陳述が、重大な虚偽の陳述又は表示であって、陳述又は表示がなされた時点で特許権者が虚偽であると知っていた、若しくは虚偽であると知っていたはずである場合には、特許の取消申請の理由とされる(特許法第61条(1)(g))。

 Form P26は、生物資源もしくは遺伝資源および伝統的知識に基づくもの、もしくは由来するものであるか否かの宣言を含むが、ほとんどの場合、南アフリカの固有の生物資源、遺伝資源または伝統的知識が発明の主題に使用されることはなく、フォームはそれに従って作成される。

 クレームされた発明が実際に南アフリカの固有の生物資源もしくは遺伝資源、または伝統的知識もしくはその利用に基づくまたは由来するとの宣誓をForm P26が含む場合、South African National Environmental Management: Biodiversity Act No. 10 of 2004(生物学的多様性に関する法律)のいくつかの規定が適用される。そのような場合、特許出願人は生物資源もしくは遺伝資源の利用、または、伝統的知識の利用の権限を示す一つ以上の証拠の提出が必要である(特許法第30条(3B)、特許規則33A(2))。これらの証拠が提出されない限り、特許は付与されない。

2-4.発明の譲渡証(任意形式)
 特許出願人が発明者から出願する権利を譲り受けている場合、出願する権利を譲り受けていることを証明するのに十分な書類、すなわち、譲渡証やその他の証拠を提出しなければならない(特許規則22(d)、23)。通常、各発明者によって署名された確認譲渡証が提出される。

 譲渡証の提出に関してCIPCは2023年1月に実務通知を公表した(Practice Notice No.01 of 2023: Patent and Design Stakeholders)。これによれば、Form P3第3項において、発明が発明者から出願人に譲渡される旨を規定した雇用契約等を記載すれば、譲渡証の代替とされ得る(Practice Notice No.01 of 2023 5.(b)、P342)。また、その他の場合として、登録官を納得させ得る他の証拠の提出がある(Practice Notice No.01 of 2023 5.(c) 、P342)。例えば、発明者が譲渡証への署名を拒む場合に、出願人の会社における権限が付与された役員による宣誓書の提出がこれに該当する。ただし、このような場合であっても、発明者は雇用契約の範囲においてなされた発明を雇用主(出願人)に譲渡する義務を負うことを規定した譲渡契約の写しなど譲渡を立証する補足資料を必要とするのが一般的である。

 出願日から18か月以内に完全明細書が受理されない場合は、出願は失効するが(特許法第40条)、譲渡証もこれと同じく通常の特許出願の日から18月以内に提出しなければならない。PCTルートの場合は国内段階への移行日から12月以内に提出しなければならないので(特許法第43F条(3)(h))、譲渡証も当該期間内に提出しなければならない。

〔留意点〕
 南アフリカの特許出願の際に必要となる書類のほとんどは、特に作成が煩雑なものではないが、宣誓書および委任状等への署名には特別な注意が必要である。特に、特許を受ける権利の譲渡や優先権主張などの点で、虚偽の宣誓を含まないことが重要である。

南アフリカにおける商標制度概要

〔詳細〕
 南アフリカの知的財産法は、1916年に商標法が制定されたのが最初である。現在は、パリ条約、ベルヌ条約およびTRIPS協定を含む様々な国際条約や協定を基盤としている。現行の商標法は、1993年法律第194号の商標法、施行規則およびコモンローにより規定されている。商標法および施行規則は、商標の所有者に法律上の権利を与える商標の登録および権利行使について定めている。コモンローは、未登録商標に関する権利を保護しており、詐称通用や不正競争といった権利行使の手段が使える。

1.保護可能な商標
 商標法第2条において、「「標章」とは、図により表示することができるすべての標識をいい、図案、名称、署名、語、文字、数字、形状、外形、模様、装飾、色彩、商品の容器又はこれらの組合せを含む。」と定義されている。また、商標とは、「ある者が、標章を使用し若しくは使用しようとする商品又はサービスを他人との取引の過程で関連する同種の商品・役務から識別する目的で、当該商品・役務に使用し又は使用しようとする標章をいう。」と定義されている(商標法第2条)。

 登録可能な商標の種類は、上記にて全てが網羅されている訳ではなく、伝統的および非伝統的商標を含み、識別性を有し(商標法第9条)、図により表示することができる標章を全て含んでいる。また、登録可能な非伝統的商標として、立体形状、色彩、ホログラム、動き/マルチメディア、位置、ジェスチャー、音、匂い、味、触感の商標が挙げられている(商標出願審査ガイドライン附則G)。

 非伝統的商標の登録可能性の判断基準に関して、登録官は、明瞭性、正確性、自己完結性、利用容易性、理解容易性、永続性および客観性を挙げている、「Sieckmann v Deutsches Patent und Markenamt事件(欧州司法裁判所C-273/00,2002年12月12日)」の判決を考慮すべきとされている。
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:62000CJ0273

 企業知的所有権委員会(Companies and Intellectual Property Commission、以下「CIPC」という。)は、2009年1月に非伝統的商標の出願および審査に関するガイドラインを発表した(商標出願審査ガイドライン2.5.2、附則G)。ガイドラインでは、非伝統的商標を出願する際の要件が、商標の態様ごとに定められている。また、非伝統的商標の登録審査のためのさらなる要件として、例えば、証拠の提出などが登録官より求められる場合があるとされている。

 商標法第42条および第43条に従い、証明商標および団体商標を登録することも可能である。

 証明商標は、商品または役務の種類、品質、数量、意図される用途、価値または原産地といった特定の特徴に関して、当該商標所有者により証明される商品または役務と、その証明対象ではない商品または役務とを識別できるものでなければならない(商標法第42条(1))。証明商標は、登録を求める商品または役務について事業を営む者の名義で登録することはできない(商標法第42条(1))。そのような者は、独立した認証機関として行動できないためである。証明商標の登録出願において、出願人は、求めている登録の対象である商品または役務について取引を行っていない旨の陳述書および商標の使用を管理する規約を添付しなければならない(商標規則56(3))。

 団体商標は、団体の構成員である者の商品または役務と、構成員ではない者の商品または役務とを識別できなければならない(商標法第43条(1))。団体商標は、当該商標を使用する団体の管理機関として行動する者または事業体が所有できる。地理的名称その他の原産地表示も、団体商標として登録することができる(商標法第43条(2))。団体商標出願には、商標を管理する規約を添付し、規約には商標を使用することを許可された者、団体の構成員の資格の条件および該当する場合は濫用に対する制裁措置を含む商標の使用の条件を明記しなければならない(商標規則57(3))。

2.分類
 南アフリカでは、指定する分類ごとに別々の出願を提出する必要があり、複数分類の出願は認められていない(商標規則11条(3)、商標出願審査ガイドライン1.3)。商品および役務の分類に関して、南アフリカはニース協定には加盟していないが、世界知的財産機関(WIPO)の商品およびサービスの国際分類(ニース分類第11版)を採用している(商標出願審査ガイドライン2.2.2)。
https://www.cipc.co.za//wp-content/uploads/2021/04/CLASS_HEADINGS_19_NICE_V20.pdf

 実務経験によると、南アフリカの登録官は、類見出し(クラスヘディング)による出願を認めており、南アフリカではかなり広範な指定商品または役務で出願されるのが一般的である。しかし、かかる指定商品または役務により保護されるすべての商品または役務に関して所有者が商標を使用しない場合、または使用する意思がない場合は、部分的に取り消されるおそれがある(商標法第27条(1))。

3.手続および必要書類
3-1.調査

 一般に、商標出願する前に、使用可能性および登録可能性を確認するための調査を行うことが推奨される。調査を行う際には、誤認混同が生じる商標を特定するために考慮すべき様々な要素が存在するため、南アフリカの商標専門の代理人に調査の実施と報告を依頼することが望ましい。下記のリンクを通してCIPCにアカウントを登録することにより検索が可能である。簡易検索または図形要素検索ができ、簡易検索では、出願番号、称呼またはニース分類記号を入力することにより検索することができる。図形要素検索では、ウィーン分類による検索が可能となっている。
https://iponline.cipc.co.za/Account/Login.aspx?pb=d78/xsNSyRPmvb0BDOobBeX86fQXlkZcqbQotRNxOG+12jOcoHNxD8NdjQTlCxms

3-2.出願
 出願に際して、出願人は出願用の書式TM1を作成する必要がある(商標規則11、商標出願審査ガイドライン附則C)。書式TM1は、CIPCに書面で提出するかまたは電子的手段により提出することができる。出願人の選任した代理人が書式TM1を提出する場合は、委任状も必要となる(商標規則11(2)、商標出願審査ガイドライン3.5.2および附則L2)。審査の時点で委任状が提出されていない場合、提出を要求される(商標出願ガイドライン3.5.2)。委任状提出遅延の追加料金を支払わなくても済むように、委任状のコピーを出願書類に添付して提出することもできる。ただし、商標登録を許可される前に、署名済み委任状の原本を登録官に提出しなければならない(商標出願審査ガイドライン3.2.2および4.1)。

 パリ条約に基づく優先権主張を伴う南アフリカ出願を行う場合、他の条約加盟国における出願日から6か月以内であれば、当該条約加盟国における出願の優先権を主張することが可能である。優先権主張を行う場合は、優先権の証明は、南アフリカ出願と同時にまたは南アフリカ出願の出願日から3か月以内に提出しなければならない(商標法第63条(3)(a)、商標規則12)。

3-3.審査
 出願は、絶対的拒絶理由および相対的拒絶理由の双方について審査される(商標法第16条(2)(c)~(d)、商標規則15(2)、商標出願審査ガイドライン3.3、3.4)。登録されるためには、商標は少なくとも以下の要件を満たしていなければならない。

(1) 識別性がなければならない(本来的識別性または使用により獲得された識別性のいずれか)(商標法第9条、第10条(2)(a))
(2) 第三者の先行権利に抵触してはならない(商標法第10条(12)~(17))

 実務において、登録官から審査報告書を受領するまでに、出願日から約9‐12か月を要している。

 商標が審査され拒絶理由がなかった場合、登録官は商標登録を許可する(商標法第16条(2)(a)、商標規則15(3))。条件付で登録を許可する場合には、追加の条件(色彩の説明文、委任状の提出など)を満たすよう通知する(商標法第16条(2)(b)、商標規則15(3)、(5))。また、拒絶理由がある場合(主に商標に識別性がない、または第三者の先行権利と抵触する場合)、登録官は拒絶理由通知書を送付する(商標法第16条(2)(c)、(d)、商標規則15(4))。

3-3-1 無条件の登録許可
 拒絶理由がない場合、登録官は無条件に登録を許可する(商標規則15(3)、商標出願審査ガイドライン3.2.1)。

3-3-2 条件付の登録許可
 拒絶理由はないが、変更または修正に従うことを条件として、登録官が出願を登録許可する場合、出願人に条件付の登録許可を通知する(商標規則15(3)、(5)、商標出願審査ガイドライン3.2.2)。通知に対して、出願人は応答するか、または応答期限を3か月延長することができる(商標規則15(5)、商標出願審査ガイドライン4.2.1)。出願人が応答、または期間延長の申請のいずれもしない場合は、出願は放棄したものとみなされる(商標法第20条(2))。

3-3-3 拒絶理由通知
 拒絶理由がある場合、登録官は拒絶理由通知書を書面で出願人に送付する(商標規則15(4)、商標出願審査ガイドライン3.2.3)。拒絶理由通知から3か月以内に、出願人は自らの主張を書面で提出するかまたは聴聞若しくは期間延長を申請することができる(商標規則15(4)、商標出願審査ガイドライン4.2.2)。出願人が拒絶理由通知への応答、または期間延長の申請のいずれもしない場合は、出願は放棄したものとみなされる(商標法第20条(2))。

 登録許可の後、当該商標出願は、異議申立のために特許公報において公告される(商標法第17条、商標規則18)。南アフリカでは商標も「The Patent Journal」で公告され、毎月最後の週に発行される。出願人は公告申請しなければならず、登録官により自動的に公告されることはない。

 何れの利害関係人は、出願の公告日から3か月以内にまたは登録官が認めることがあるこれより長い期間内に、当該出願に対して異議を申立てることができる(商標法第21条)。3か月の異議申立期間の満了後、または出願に対して異議申立が行われたが登録許可が維持されたときは、登録官は商標を登録し、商標庁の印章で捺印した所定の方式による商標登録の証明書を出願人に交付する(商標法第29条)。

3-4.権利維持
 商標登録は出願日から10年間有効であり、登録を維持するためには10年ごとに更新しなければならない(商標法第37条(1)、(2))。更新登録出願の遅延については、満了後6か月間の猶予期間が与えられる(商標規則25(1))。登録の満了前に更新手数料を納付しなかった場合は、追加手数料が課される。また、満了後6か月の期限内に納付しなかった場合は、さらなる追加手数料が課される(商標規則25(2))。

 満了後6か月以内に更新手数料が納付されなかった場合は、登録官は、直ちにこの事実を特許公報に公告する。満了から1か月以内に、追加手数料と共に更新手数料が様式TM5(https://www.cipc.co.za//wp-content/uploads/Forms/Trade_mark/TM5.pdf)により納付された場合は、登録官は、登録簿から当該標章を抹消することなく、登録を更新することができる(商標規則26)。1か月の期間の満了後、当該手数料が納付されない場合は、登録官は、最終登録の満了日に当該標章を登録簿から抹消することができるが、追加手数料と共に更新手数料が様式TM5により納付され、登録官が、適切な条件の下で商標を回復することが公正であると判断する場合は、登録官は当該商標を登録簿に回復することができる(商標規則27、CIPCウェブサイト「MAINTAIN A TRADE MARK “RESTORATION OF TRADE MARK”」)。

4.異議申立手続
 出願の公告日から3か月間に、あらゆる利害関係人は当該出願に対して異議を申立てることができる(商標法第21条)。異議申立における利害関係人は、異議申立期間の満了前に、書面での通知により、当該期間の満了日から3か月間は登録証を発行しないよう登録官に請求することができ、この場合には登録官は登録証を発行してはならない(商標法第45条(3)、商標規則52(1))。異議申立手続の流れは、以下のとおりである。

(1) 申立人が、依拠する事実についての宣誓供述書により裏付けられた異議申立書を提出する。異議申立書は、商標規則の附則2の様式TM3による(商標規則19(1)、(2))。
(2) 出願人は、異議申立通知の送達後1か月以上の申立人に指定された何れかの日までに出願人が申立人および登録官に対し、書面で、当該申立てを防御する意図を有するか否か通報する。当該通報がなされない場合は、1月の期間の満了後10日以上の日に、申立てに係る聴聞が設定される(商標規則19(2)(d))。
(3)出願人は、申立てを防御する意図を有する通報から、2か月以内に答弁宣誓供述書を提
出しなければならない(商標規則19(2)(f))。
(4) 申立人は、答弁宣誓供述書の送達を受けてから1か月以内に、反対訴答宣誓供述書を提出することができる。登録官は、裁量により、さらなる宣誓供述書の提出を認めることができる(商標規則19(2)(g))。

 商標庁における未処理件数が多いため、登録官はすべての異議申立事件のヒアリングを南アフリカ高等裁判所に付託する方針を取っていることに注意が必要である(商標法第59条(2)、CIPCウェブサイト「MAINTAIN A TRADE MARK “OPPOSITIONS”」)。このような状況において、異議申立事件がヒアリング段階になると、登録官は付託書を含む事件ファイルの写しを異議申立人に提供し、登録官は高等裁判所に異議申立事件を付託する。高等裁判所に付託した際には、主張の要点を作成し、裁判所において論争するための法廷弁護士または顧問弁護士を選任することが慣行となっている。

5.取消手続
 商標登録は不使用を理由に、全部または一部が取り消される場合がある(商標法第27条)。下記の場合、不使用とみなされる。
(1) 指定商品および指定役務に関して商標を使用する出願人の善意の意思がないままに商
標が登録され、実際にこの意味で使用されなかった場合(商標法第27条(1)(a))
(2) 取消請求日の3月前までに、登録証の発行日から5年以上にわたり商標が使用されなかった場合(商標法第27条(1)(b))
(3) 2年以上前に商標の所有者が死亡した(自然人)、または解散しており(法人)、商標を譲渡する申請もされなかった場合(商標法第27条(1)(c))

 上記以外にも、商標登録が商標法第10条に記載されたいずれかの理由に該当するという事実により、商標が不当に登録された場合、または登録後に普通名称化する等で、本来の登録要件を満たさなくなっている場合は、商標の取消しを請求することができる(商標法第10条柱書)。取消手続の流れは、異議申立手続と同じである。

6.その他
 停電、抗議行動およびストライキ行動といった不測の事態のために、審査結果の入手や書類入手などに遅延が生じることもある。しかし、現在では手続の多くを電子化することで、手続遅延を回避し、未処理案件の解決に取り組んでいる。
 登録官は未処理件数の解消に努めているが、現時点では商標出願が登録されるまで実務において約24か月を要している。

南アフリカにおける意匠公報の調べ方

1.公報(Journal)の閲覧
(1) 南アフリカのCompanies and Intellectual Property Commission(CIPC) Intellectual Property Onlineのウェブサイト(https://iponline.cipc.co.za/)にアクセスし、図1のオレンジ線で囲んである「Publications」を選択し、プルダウンメニューから青線で囲んである「Patent Journals」をクリックすると直近のJournalのリストが表示される(図2)。

図1 CIPC Intellectual Property Onlineのトップページ

図2 Journal リスト画面

(2) 確認したい「Journal」(例として、「E_Journal_September 2022 Part 2」を選択)をクリックすると公報のPDFファイルがダウンロードされる(図3a)。

図3a Patent Journal表紙画面(2022年9月)

(2) ダウンロードしたファイルの「TABLE OF CONTENTS」ページ(図3b)の確認したい項目をクリックすると、該当するページが表示される。例えば、オレンジ線で囲んである「APPLICATIONS FOR REGISTRATION OF DESIGNS IN TERMS OF ACT No. 195 OF 1993」をクリックすると出願書誌情報を確認することができる(図3c)。緑線で囲んである「NOTICE OF REGISTRATION OF DESIGNS」をクリックすると登録公報詳細情報を確認することができる(図3d、3e)。青線で囲んである「DESIGNS」をクリックすると登録公報のリストが表示される(図3f)。

図3b TABLE OF CONTENTSページ画面

図3c 出願書誌情報(出願公開)画面(意匠)

図3d 登録公報詳細情報画面1(意匠)

図3e 登録公報詳細情報画面2(意匠)

 登録公報に記載されている情報は、以下のとおり。

(21) Number of application(出願番号)
(22) Date of lodgement(出受領日)
(23) release date (if applicable)(リリース日(該当する場合)
(43) Date of registration(登録日)
(52) Class(分類記号)
(24) Type of design(意匠の種類)
(71) Name(s) of applicant(s)(出願人名)
(33) Country(国)
(31) Number of convention application(優先権主張番号)
(32) Date of convention application(優先権主張日)
(54) Articles to which design is to be applied(意匠を付する物品)
(57) Brief statement of features(特徴の簡単な説明)

図3f 登録公報リスト画面(意匠)

2.公報検索
(1) 南アフリカのCompanies and Intellectual Property Commission(CIPC) Intellectual Property Onlineのウェブサイト(https://iponline.cipc.co.za/)にアクセスし、図4のオレンジ線で囲んである「Designs」を選択し、プルダウンメニューの「Free Search」、または緑線で囲んである「Free Designs Search」をクリックするとアカウントを作成するよう指示される(図5から図12)。

図4 CIPC Intellectual Property Onlineのトップページ

図5 アカウント作成手順1

 図5のオレンジ線で囲んである「Create Account」をクリックすると図6が表示される。

図6 アカウント作成手順2
 図6のオレンジ線で囲んである「NO」をクリックすると図7が表示される。

図7 アカウント作成手順3

 図7のオレンジ線で囲まれている「Passport Number」にパスポートの番号を入力し、青線で囲まれている「CONTINUE」をクリックすると図8が表示される。

図8 アカウント作成手順4

図8の入力項目は以下のとおりである。なお、*印は入力必須項目である。
(a)Surname(苗字)
(b) Name(s)(名前)
(c)ID/Passport Number(ID/パスポート番号):図7で入力したパスポート番号が表示される(図8は情報非表示)。
(d)Country(国):Japanを選択すると(k)が「Select province」からState / Provinceを入力する欄に変わる(図9参照)。
(e)Cellphone Number(携帯電話番号):国コードを含む携帯電話番号(数字のみ)を入力する。
(f)Email Address(emailアドレス)
(g)Re-type Email Address(emailアドレス再入力)
(h)Physical Address(住所):*印にポインターをあてると入力すべき内容(Street number and name)が表示される。番地を入力する。
(i) 町名や地名(入力例:Nagata-cho 1-chome)を入力する。
(j) *印にポインターをあてると入力すべき内容 Town/City(市町村)が表示される(入力例:Chiyoda-ku)。
(k) *印にポインターをあてると入力すべき内容 State/Province(県/地域)が表示される(入力例:Tokyo)。
(l) *印にポインターをあてると入力すべき内容 Postal/ZIP code(郵便番号)が表示される。
(m) Tick to copy your Physical Address to the Postal Address fields:緑の〇をクリックすると(n)に住所の内容が表示される。
(n)郵便住所:数字のみ入力する。

図9 アカウント作成手順4

 必要項目入力をし、図9(入力情報は非表示)の青線で囲んである「REGISTER」をクリックすると図10が表示される。

図10 アカウント作成手順5

 図10のオレンジ線で囲んである箇所に6桁の英語大文字が表示される(情報非表示)。この文字が公報検索する際のUsernameとなる。図8で入力したe-mailアドレスおよび携帯電話にCustomer Codeが登録されたメールが送られてくる。青線で囲んである「CONTINUE」をクリックするとパスワード設定画面が表示される(図11aおよび図11b)。

図11a アカウント作成手順6(パスワード設定)

図11b アカウント作成手順6(パスワード設定)

 図11aのオレンジ線で囲んである欄にパスワードを入力する。パスワードは8文字以上、英語大文字を1文字以上含み、英語小文字1文字以上を含み、数字1桁以上を含む必要がある。特殊文字は任意で@、$、!、#、%は使用することができる。上の欄(password)にパスワードを入力し、下の欄(Re-Type Password)は再入力欄である。図11bの青線で囲んである「UPDATE」をクリックすると図12が表示される。

図12 アカウント作成手順7

 図8で入力したe-mailアドレスおよび携帯電話に情報が更新されたメールが送られてくる(passwordは伏せ文字)。図12の青線囲んである「CONTINE」をクリックするとCIPCのe-Serviceのホーム画面(https://eservices.cipc.co.za/Index.aspx)に戻る。なお、CIPCからのメール受信まで時間がかかる場合や不達の場合もあるため、Customer CodeとPasswordは手元に控えておくことを勧める。

(2)アカウントを作成したのち、Companies and Intellectual Property Commission(CIPC) Intellectual Property Onlineのウェブサイト(https://iponline.cipc.co.za/)にアクセスし、図13のオレンジ線または緑線で囲んである「Free Designs Search」をクリックすると、ログイン画面が表示される(図14)。

図13 CIPC Intellectual Property Onlineのトップページ(図4再掲)

図14 ログイン画面(図5再掲)

(3)オレンジ線で囲んである「Username」「Password」欄に入力し、「Log in」をクリックすると、意匠検索画面が表示される。初期設定では「Simple Search」が表示される(図15)。

図15 意匠検索画面

2-1.Simple Search(簡易検索)

図16 Basic Search(簡易検索)意匠

(1) 図16画面のBasic Search(簡易検索)画面のオレンジ線で囲んである「Application Number」に出願番号を入力し、赤線で囲んである「Search」をクリックすると検索結果が表示される(図17)。

図17 検索結果画面

(2) 図17の検索結果の青字の「Application No」(出願番号)をクリックすると出願詳細情報が表示される(図18a、図18b)。

図18a 出願詳細画面1

図18b 出願詳細画面2

 出願詳細画面で確認できる情報は以下のとおり。
・Design number(意匠番号)
・Design articles(意匠の物品名)
・Date of application(出願日)
・Date of acceptance(許可日)
・Release date(リリース日)
・Date of registration(登録日)
・Type of design(意匠の種類)
・Status(ステータス)
・Design Class(意匠分類)
・Statement of features(意匠の特徴の説明)
・Name & address of applicant(出願人名および住所)
・Address for service(代理人住所)
・Design expiry date(満了日)
・Priority/Convention(優先権/条約)
 〇Country、Date、No(国、日付、番号)
・Renewal(s) (更新)
・Correspondence(通信履歴):特許庁へ提出した書類の履歴が表示される。
・Application History(出願経過情報)

2-2.Advanced Search(詳細検索)
(1) オレンジ線で囲んである「Advanced Search」タブをクリックすると、詳細検索画面が表示される(図19)。

図19 Advanced Search(詳細検索)画面

 詳細検索で設定できる項目は以下のとおり。

・Design Number(意匠番号)
・Design Number(意匠番号):出願番号を範囲で検索する。
・Design Article(意匠の物品名)
・Application Date(出願日):入力欄をクリックするとカレンダーが表示される。カレンダーの年月を変更するには、オレンジ線で囲んである部分をクリックする(図20)。
・Registration Date(登録日):Application Dateの範囲指定と同様。
・Reference Number(参照番号)
・Locarno Class(es)(ロカルノ分類番号)
・Design Type(意匠の種別)
・Design Status(意匠のステータス)
・Address for Service Name(代理人の住所)
・Proprietor Name(所有者名)

図20 Advanced Search(詳細検索)日付選択画面

(2) 例えば出願日を範囲して検索する場合、図20のようにカレンダーで選択またはyyyy-mm-ddで入力し、「Search」をクリックすると検索結果が表示される(図22)。

図21 Advanced Search(詳細検索)出願日範囲指定した例

図22 検索結果

(3) 検索結果の確認方法および確認できる項目は簡易検索と同様であるため、2-1.Simple Search(簡易検索)(2)を参照されたい。

3.留意点
 検索やアカウント作成時に頻繁に接続エラーやタイムアウトになることがある。エラーが続く場合は時間をおいて接続することをお勧めする。

南アフリカにおける特許公報の調べ方

1.公報(Journal)の閲覧
1-1.特許公報

(1) 南アフリカのCompanies and Intellectual Property Commission(CIPC) Intellectual Property Onlineのウェブサイト(https://iponline.cipc.co.za/)にアクセスし、図1のオレンジ線で囲んである「Publications」を選択し、プルダウンメニューから青線で囲んである「Patent Journals」をクリックすると直近のJournalのリストが表示される(図2)。

図1 CIPC Intellectual Property Onlineのトップページ

図2 Journal リスト画面

(2) 確認したい「Journal(例として、「E_Journal_September 2022 Part 2)」を選択しクリックすると公報のPDFファイルがダウンロードされる(図3a)。

図3a Patent Journal表紙画面(2022年9月)

(3) ダウンロードしたファイルの「TABLE OF CONTENTS」ページ(図3b)の確認したい項目をクリックすると、該当するページが表示される。例えば、オレンジ線で囲んである「APPLICATIONS FOR PATENTS」をクリックすると出願書誌情報を確認することができる(図3c)。緑線で囲んである「INSPECTION OF SPECIFICATIONS」をクリックすると登録公報詳細情報を確認することができる(図3d)。青線で囲んである「PATENTS」をクリックすると登録公報のリストが表示される(図3e)。

図3b TABLE OF CONTENTSページ画面

図3c 出願書誌情報(出願公開)画面(特許)

図3d 登録公報詳細情報画面(特許)

 出願書誌情報および登録公報に記載されている情報は、以下のとおり。

(21) Number of application(出願番号)
(22) Date of application(出願日)
(43) Date of acceptance(許可日)
(51) Class(分類記号)
(71) Name of applicant(s)(出願人名)
(72) Name of all inventors(すべての発明者名)
(33) Country(国)
(31) Number convention application(優先権主張番号)
(32) Date of convention application(優先権主張日)
(54) Title of invention(発明の名称)
(00) Number of sheets(シート数(登録公報には要約および代表図のみ表示されている))

図3e 登録公報リスト画面(特許)

 図3eの登録公報リスト画面では、Application Number(出願番号)、Patent Title(特許の名称)、Filing Date(出願日)が表示されている。

2.公報検索
(1) 南アフリカのCompanies and Intellectual Property Commission(CIPC) Intellectual Property Onlineのウェブサイト(https://iponline.cipc.co.za/)にアクセスし、図4のオレンジ線で囲んである「Patents」を選択し、プルダウンメニューから「Free Search」、または緑線で囲んである「Free Patent Search」または緑線で囲んである「Free Patent Search」をクリックするとアカウントを作成するよう指示される(図5から図7)。

図4 CIPC Intellectual Property Onlineのトップページ

図5 アカウント作成手順1

 図5のオレンジ線で囲んである「Create Account」をクリックすると図6が表示される。

図6 アカウント作成手順2

 図6のオレンジ線で囲んである「NO」をクリックすると図7が表示される。

図7 アカウント作成手順3

 図7のオレンジ線で囲まれている「Passport Number」にパスポートの番号を入力し、青線で囲まれている「CONTINUE」をクリックすると図8が表示される。

図8 アカウント作成手順4

 図8の入力項目は以下のとおりである。なお、*印は入力必須項目である。
(a)Surname(苗字)
(b) Name(s)(名前)
(c)ID/Passport Number(ID/パスポート番号):図7で入力したパスポート番号が表示される(図8は情報非表示)。
(d)Country(国):Japanを選択すると(k)が「Select province」からState / Provinceを入力する欄に変わる(図9参照)。
(e)Cellphone Number(携帯電話番号):国コードを含む携帯電話番号(数字のみ)を入力する。
(f)Email Address(emailアドレス)
(g)Re-type Email Address(emailアドレス再入力)
(h)Physical Address(住所):*印にポインターをあてると入力すべき内容(Street number and name)が表示される。番地を入力する。
(i) 町名や地名(入力例:Nagata-cho 1-chome)を入力する。
(j) *印にポインターをあてると入力すべき内容 Town/City(市町村)が表示される(入力例:Chiyoda-ku)。
(k) *印にポインターをあてると入力すべき内容 State/Province(県/地域)が表示される(入力例:Tokyo)。
(l) *印にポインターをあてると入力すべき内容 Postal/ZIP code(郵便番号)が表示される。
(m) Tick to copy your Physical Address to the Postal Address fields:緑の〇をクリックすると(n)に住所の内容が表示される。
(n)郵便住所:数字のみ入力する。

図9 アカウント作成手順4

 必要項目入力をし、図9(入力情報は非表示)の青線で囲んである「REGISTER」をクリックすると図10が表示される。

図10 アカウント作成手順5

 図10のオレンジ線で囲んである箇所に6桁の英語大文字が表示される(情報非表示)。この文字が公報検索する際のUsernameとなる。図8で入力したe-mailアドレスおよび携帯電話にCustomer Codeが登録されたメールが送られてくる。青線で囲んである「CONTINUE」をクリックするとパスワード設定画面が表示される(図11aおよび図11b)。

図11a アカウント作成手順6(パスワード設定)

図11b アカウント作成手順6(パスワード設定)

 図11aのオレンジ線で囲んである欄にパスワードを入力する。パスワードは8文字以上、英語大文字を1文字以上含み、英語小文字1文字以上を含み、数字1桁以上を含む必要がある。特殊文字は任意で@、$、!、#、%は使用することができる。上の欄(password)にパスワードを入力し、下の欄(Re-Type Password)は再入力欄である。図11bの青線で囲んである「UPDATE」をクリックすると図12が表示される。

図12 アカウント作成手順7

 図8で入力したe-mailアドレスおよび携帯電話に情報が更新されたメールが送られてくる(passwordは伏せ文字)。図12の青線囲んである「CONTINE」をクリックするとCIPCのe-Serviceのホーム画面(https://eservices.cipc.co.za/Index.aspx)に戻る。なお、CIPCからのメール受信まで時間がかかる場合や不達の場合もあるため、Customer CodeとPasswordは手元に控えておくことを勧める。

(2) アカウントを作成したのち、Companies and Intellectual Property Commission(CIPC) Intellectual Property Onlineのウェブサイト(https://iponline.cipc.co.za/)にアクセスし、図13のオレンジ線または緑線で囲んである「Free Patent Search」をクリックすると、ログイン画面が表示される(図14)。

図13 CIPC Intellectual Property Onlineのトップページ(図4再掲)

図14 ログイン画面(図5再掲)

 オレンジ線で囲んである「Username」「Password」欄に入力し、「Log in」をクリックすると、特許検索画面が表示される。初期設定では「Simple Search」が表示される(図15)。

図15 特許検索画面

2-1.Simple Search(簡易検索)

図16 Basic Search(簡易検索)

(1) 図16画面のBasic Search(簡易検索)画面のオレンジ線で囲んである「Application Number」に出願番号を入力し、赤線で囲んである「Search」をクリックすると検索結果が表示される(図17)。

図17 検索結果画面

(2) 図17の検索結果の青字の「Application No」(出願番号)をクリックすると出願詳細情報が表示される(図18aから図18c)。

図18a 出願詳細画面1

図18b 出願詳細画面2

図18c 出願詳細画面3

 出願詳細画面で確認できる情報は以下のとおり。
・Patent number(特許番号)
・Title of invention(発明の名称)
・Date of application(出願日)
・Date of acceptance(許可日)
・Date of expiry(満了日)
・Date of grant(登録日)
・Type of patent(特許の種類)
・Status(ステータス)
・IPC Class(国際特許分類)
・Patent abstract(特許 要約):表示されない。
・Inventors(発明者)
・Name & address of applicant(出願人名および住所)
・Address for service(代理人住所)
・Assignee(s)(譲受人)
・Priority/Convention(優先権/条約)
 〇Country、Date、No.(国、日付、番号)
・International patent number(国際出願番号)
・International filing date(国際出願日)
・Renewal(s)(更新)
・Correspondence(通信履歴):特許庁へ提出した書類の履歴が表示される。
・Application History(出願経過情報)

2-2.Advanced Search(詳細検索)
(1) オレンジ線で囲んである「Advanced Search」タブをクリックすると、詳細検索画面が表示される(図19)。

図19 Advanced Search(詳細検索)画面1

 詳細検索で設定できる項目は、以下のとおり。
・Application Number(出願番号)
・Application Number(出願番号):出願番号を範囲で検索する。
・Title of Invention(発明の名称)
・Application Date(出願日):入力欄をクリックするとカレンダーが表示される。カレンダーの年月を変更するには、オレンジ線で囲んである部分をクリックする(図20)。
・Grant Date(登録日):Application Dateの範囲指定と同様。
・Reference Number(参照番号)
・Patent Type(特許の種類)
・Patent Status(ステータス):プルダウンメニューで指定できる。
 〇Abandoned(放棄)
 〇Accepted(許可)
 〇Advertised(公告)
 〇Application never completed(出願不完全)
 〇Definitely lapsed(完全失効)
 〇Deemed Withdrawn(みなし取下げ)
 〇Expired(期限満了)
 〇Granted(登録)
 〇Lapsed-non payment(失効-未払い)
 〇Lapsed-not published(失効-非公開)
 〇Pending(審査中)
 〇Refused(拒絶)
 〇Revoked(取消し)
 〇Stopped by applicant(出願人による中止)
 〇Surrendered(放置)
 〇Unpaid(未払い)
 〇Withdrawn(取下げ)
・IPC Classification(国際特許分類)
・PCT Number(PCT国際出願番号)
・Address for Service Name(代理人住所)
・Applicant/Patentee(出願人/特許権者)
・Inventor Name(発明者名)

図20 Advanced Search(詳細検索)日付選択画面

(2) 例えば出願日を範囲指定して検索する場合、図20のようにカレンダーで選択またはyyyy-mm-ddで入力し、「Search」をクリックすると検索結果が表示される(図22)。

図21 Advanced Search(詳細検索)出願日範囲指定した例

図22 検索結果

(3) 検索結果の確認方法および確認できる項目は簡易検索と同様のため、2-1.Simple Search(簡易検索)(2)を参照されたい。

3.留意点
 検索やアカウント作成時に頻繁に接続エラーやタイムアウトになることがある。エラーが続く場合は時間をおいて接続することをお勧めする。

南アフリカにおける商標ライセンス契約の留意点

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