ホーム VN-dxy-2300

ベトナム商標における指定商品・役務の留意事項

 ベトナムでは、複数の指定商品・役務に基づく出願が認められ、また、1区分につき指定する商品・役務の数には制限がない(知的財産法第101条第4項)。指定商品・役務の記載に関する規則やガイドライン等は存在しないが、記載方法については、実務上のルールがいくつかあるので、注意が必要である。

(1) 指定商品・役務について
 ベトナムにおいて商標登録出願を行う際には、指定商品・役務は、ニース協定に基づく国際分類に従う必要がある(知的財産法第105条第3項)。ベトナム国家知的財産庁(IP Viet Nam)は、常に当該国際分類を踏襲するようにしており、2024年1月1日より第12版が適用されている(日本の政令別表・省令別表のような商品および役務の区分リストは用意されていない)。なお、旧分類で出願した商標については、更新申請時に新しい分類に従って書き換える必要はなく、旧分類のままとなる。

(2) 指定商品・役務記載の際の留意事項
・ベトナムでは、商品および役務をクラスヘディングで指定すると指定範囲が広すぎるため認められない場合がある。つまり、IP Viet Namで商標登録出願が拒絶されないようにするためには、出願時から、商品・役務を詳細に特定する必要がある。ただし、このようなクラスヘディングを指定して出願してしまった場合には、審査過程において、詳細かつ明確な指定商品・役務に補正(自発補正または拒絶理由通知に対する対応)することが認められる。

・「機能性食品」(Functional Food)は、第5類として認められる。「機能性食品、ただし、医療用は除く」(Functional Food, not for medical purpose)として、第29類や第30類で指定することは認められない。

・「本区分に属するその他の商品/役務」(other goods/services belonging to this class)との記載は、認められない。

・「当該材料から製造される製品、ただし他の区分の当該製品は除く」(Products made from this material, not in other classes)および「本区分に属する当該材料から製造される製品」(Products made from the materials which belongs to this class)との記載も認められない。

・ベトナムにおいて、あまり使われない言葉、造語、ベトナムの方言、英語や日本語などの外国語による指定商品および指定役務は、認められない。もっとも、方言については、対応する通常使用される言葉とともに記載される場合には、認められることもある。ただし、その場合、方言を括弧書きで記載しなければならない。しかしながら、外国語は、たとえベトナム語と併記してあっても認められない。

・国際分類のガイドラインに基づいて分類できない場合には、国際分類の一般的注釈に従って取り扱われる。

・WIPOが提供するMGS(Madrid Goods and Services Manager)で指定商品を検索した後、「指定締約国における受入れの可否」について、「VN ベトナム」を選択することで、検索した商品・役務が、ベトナムにおいて受け入れられるか否かを事前に確認することができる。

(3) 費用:執筆時点でのベトナム国内商標出願について、拒絶理由通知などなく、順調に手続が進んだ場合の公的費用(VND:ベトナムドン)を以下に示す(通達No. 263/2016/TT‑BTC)。[ ]内のアルファベット及び数字は、当該通達料金表内の項番号に対応する。
(i) 出願時に必要な費用
・出願基本手数料[A. 1.1]: 150,000 VND
・優先権審査手数料(1優先権主張)[B. 1.2]: 600,000 VND
・出願公開手数料[B. 4.1]: 120,000 VND
・実体審査手数料
 審査料(区分ごとに)[B. 1.1]: 550,000 VND
 審査料加算(7品目以上の品目ごとに加算)[B. 1.1]: 120,000 VND
(ii) 登録時に必要な費用
・設定登録手数料[B. 4.2]:120,000 VND
・公告手数料[B. 4.1]:120,000 VND
・登録証発行基本手数料[A. 2.1]:120,000 VND
・登録証発行追加手数料(追加1区分あたり)[A. 2.1]:100,000 VND