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台湾における専利(特許/実用新案/意匠)の案件状態の調べ方-台湾経済部智慧財産局(TIPO)での専利査定または無効審判

1. 案件状態および経過情報確認
(1) 台湾経済部智慧財産局(TIPO、中国語(繁体語)「台灣經濟部智慧財產局」、https://www.tipo.gov.tw/tw/mp-1.html)のウェブサイトを開く。

図1 経済部智慧財産局トップページ

(2) 図1のトップページ「專利」のアイコンをクリックすると図2の専利の画面が表示される。

図2 「専利」画面

(3) 図2の申請專利の下にある赤枠の「專利檢索」をクリックすると、図3の「專利檢索」の選択肢画面が表示される。

図3 「専利檢索」画面

(4)出願経過情報検索は 図3赤枠の「2. 專利審查公開資訊查詢」を選択する。クリックすると図4の検索画面が表示される。

図4 「專利審查公開資訊查詢」検索画面

 初期設定では「中文」のタブが表示されている。日本語表示で検索する場合は赤枠「日本語」をクリックする。青枠「番号」の欄に出願番号、公開番号、登録番号のいずれかの番号を入力し、緑枠の「認証コード」欄の右側に表示される英字を入力し「検索」をクリックすると検索結果が表示される。
 入力した番号の桁数が適切でない場合、「查詢失敗:查詢號碼輸入錯誤,請確認長度是否正確。(検索失敗:番号の入力に誤りがあります。桁数が正しいか確認してください。)」と表示される。また、検索結果が見つからない場合、図5に示すように「データなし!!」と表示されるが、「番号」の欄に適切な番号を入力すると改めて検索することが可能である。

図5 検索結果画面(データなし)

 図4の右側の「說明」の「發明案件(特許)」、「新型案件(実用新案)」、「設計案件(意匠)」、「舉發案件(無効審判請求案件)」の確認したい項目をクリックすると、検索対象とされる案件の範囲と内容の解説がそれぞれ表示される。例えば、「發明案件」をクリックすると、図6の画面が表示される。

図6 検索対象、表示内容の説明画面(「發明案件」の例)

(5) 図7aおよび図7bは図4の番号欄に意匠出願番号「108307488」を入力し検索した案件の詳細画面の例である。

図7a 案件詳細画面1(日本語版)

 図7aに示す案件詳細画面の上部には以下のような案件の書誌事項が表示される。
・出願番号
・出願日
・出願人
・登録番号
・代理人
・発明の名称
・同じ創造が複数の出願の声明:1件の出願において複数の意匠が含まれているか。
・特許の種類
・Dossier Information Exchange(各国の特許出願情報):各国に出願されたファミリー特許があれば、その情報を見ることができる。
・ケースのステータス(案件状態)
・関連情報:無効審判請求の記録が表示される。青字の番号をクリックすると、詳細を確認することができる(後述「2. 無効審判案件の検索」では別の検索方法を紹介している。)。

図7b 案件詳細画面2(日本語版)

 図7bが示す案件詳細画面の下部「收發文歷程(経過情報)」には、審査過程で出願人が提出した文書およびTIPOが発行した文書のリストが表示される。
 青枠の表示は出願人からの提出文書(收文)、緑枠表示はTIPOが発行した文書(發文)である。
 各項目の右側に表示される青字の文書名をクリックすると、該当文書が表示される。

図8 案件詳細画面2(中国語版)

 図8は中国語の案件詳細画面である。図7bの日本語版画面の翻訳表示に適切でない部分があるため、中国語版画面を例に掲載されている書類を紹介する。

・申請設計專利(意匠出願)
・初審審查意見通知函(拒絶理由通知)
・申覆核駁理由(意見書)
・初審核准審定(登録査定)
・請領專利證書(特許性証明書の申請)
・函知證書作廢勿再使用(証明書が無効であり、再使用しないことを通知)

(6) 中国語版画面では、書類の全選択ボタンがある。また、書類を選択すると「下載」ボタンが表示され、ダウンロードすることができる。
 例えば、「申請書」を選択し、「下載」ボタンをクリックすると、図9の画面が表示される。ダウンロードには、「即時下載(直接ダウンロード)」または「寄送連結下載(ダウンロードリンクを送信)」の選択肢がある。

図9 ダウンロード方法選択画面1(中国語版)「即時下載」選択

 「即時下載(直接ダウンロード)」を選択した場合、操作したPCのダウンロード・フォルダにZip形式でPDFファイルとファイルリストをダウンロードすることができる。

図10 書類ダウンロード確認画面2(中国語版)「寄送連結下載」選択

 「寄送連結下載(ダウンロードリンクを送信」を選択した場合、ダウンロード用リンクの送信先メールアドレスを入力すると、図11の画面が表示される。

図11 ファイルダウンロード情報画面

 15分から30分待つと入力したメールアドレスにダウンロード用のURLが送られてくる。そのURL(メール本文には青字で「檔案」と表示されている)をクリックすると、ファイルおよびファイルリストをダウンロードすることができる。ファイルの容量が50MBを超える場合、「ダウンロードリンクを送信」のみが選択可能である。
 図12は、ダウンロードした書類(願書)の例である。

図12 ダウンロードした書類(願書)

2. 無効審判案件の検索
(1) すべての無効審判案件を検索する場合は、図13(図3再掲)の「専利檢索」画面で「4.中華民國專利資訊檢索系統」を選択すると図14の検索画面が表示される。

図13 「専利檢索」画面(図3再掲)

(2) 図14の赤枠の「檢索設定(検索設定)」欄に無効審判案件の記号「N01」と入力してオレンジ枠の「檢索(検索)」をクリックすると、図15の検索結果の一覧が表示される。

図14 「中華民國專利資訊檢索系統」検索画面
図15 無効審判案件の検索結果一覧

 図15の青枠の「案件狀態」で「核准」と表示されている案件は無効審判を経て登録維持となったもの、「消滅」と表示されている案件は無効になったもの、「撤銷」と表示されている案件は取下げになったものである。
 赤枠の「公開公告號(公開・登録番号)」をクリックすると、案件の詳細を確認することができる。また、虫めがねアイコンをクリックすると、一覧の上部に図16の入力欄が表示され、検索結果に対して更に条件を設定して再検索することができる。

図16 再検索入力欄
図17 検索結果(出願番号108307488)

 図17の赤枠の「公開公告號(公開・登録番号)」列の「D208123」をクリックすると、図18の案件詳細画面が表示される。

図18 案件詳細画面

(4) 図18の案件詳細画面で赤枠の「雜項(その他)」をクリックすると、図19の画面が表示される。

図19「雜項(その他)」表示画面(登録番号D208123(出願番号:108307488))

 本件は、登録となった後に、無効審判が請求され、審判の結果、無効とされたものであるが、図19の赤枠の「理由」の欄に、その経緯が記載されている。

(注)上記第2項で使用した検索サイト「中華民國專利資訊檢索系統」の使用方法については、下記関連記事も参照されたい。
関連情報:
「台湾における専利(特許/実用新案/意匠)公報の調べ方―台湾経済部智慧財産局(TIPO)ウェブサイト」(2022.10.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/26842/

台湾意匠における立体図

1. 立体図(中国語「立體圖」)の役割
 意匠登録を受けようとする物品が立体物である場合、立体図は、図面において必要な内容となる。

(1) 意匠は、物品の全部または一部についての形状、模様、色彩またはその結合で、視覚を通じて訴える創作物と定義される(台湾専利法(以下「専利法」という。)第121条第1項)。意匠登録を出願する際、出願人は、願書、明細書、および図面を備えなければならない(専利法第125条第1項)。

(2) 意匠登録出願の図面を作成する場合、工業製図の方法を参照し、黒線図、コンピューター・グラフィックス、または写真で表さなければならない。そして、各図面をその三分の二に縮小した場合でも図面の各細部をはっきりと識別できるようにするほか、各図面の名称を表記し、立体図、またはその意匠を最も代表する図面を代表図として指定しなければならない。

(3) 意匠登録を受けようとする物品が立体物である場合、図面がはっきりとその物品の立体感を表現できるようにするために、少なくとも立体図一点を含まなければならない。そして、その立体物の意匠の特徴をはっきりと表すために、原則的には、最もその意匠の重点を表せる視面を選ぶべきである。例えば、下図で示したように、立体図と全六面図(図1-1)、または立体図と六面図の一部(図1-2)で意匠の全体的外観を表すことができる。一方、図2のとおり、二点以上の立体図だけでも立体物の意匠を表現することができる(専利審査基準第3篇第1章3.1.1)。

図1-1 立体図および全ての面が揃った六面図による開示
図1-2 立体図および六面図の一部による開示
(専利審査基準第3篇「設計専利実体審査」第1章「明細書及び図面」から抜粋)
図2 二点以上の立体図による開示
(専利審査基準第3篇「設計専利実体審査」第1章「明細書及び図面」から抜粋)

(4) 意匠登録を受けようとする物品が立体物である場合、通常、立体図と他図面(例えば、もう一点の立体図、または正面図・背面図・左側面図・右側面図・平面図・底面図等の図面)で登録を受けようとする意匠の全ての内容を充分に表さなければならない。図面に開示されていない部分は、原則的に「登録を受けようとしない部分」とみなされるべきであるが、それらの図が同一または対称であることや、その他の事由のために省略されている場合、省略された内容が「登録を受けようとしない部分」に属するわけではないため、省略した理由を意匠の説明欄に明記しなければならない(専利審査基準第3篇第1章2.3.3)。

(5) 色彩の登録を求める場合、図面にて、その色彩を表さなければならない(専利法施行細則第53条第4項)。なお、色彩の登録を求めない場合、図面は線図、グレースケールのコンピューター・グラフィックス、またはモノクロ写真の方法で表すべきで、図面にその色彩を施し、「図面に開示された色彩は、本案の意匠を主張しない部分である」と意匠の説明欄に記載しなければならない(専利審査基準第3篇第1章3.2.5)。

(6) 部分意匠の場合は、意匠登録を受けようとする部分と、意匠登録を受けようとしない部分をはっきりと区別できる方式で図面に表さなければならない。部分意匠における「意匠を主張しない部分」を表示する場合は、破線またはその他の断線(例えば一点鎖線、二点鎖線等)または半透明色付けで表示することができる(専利審査基準第3篇第1章3.2.1)。部分意匠出願の際、その意匠の色彩を主張しない場合は、「登録を受けようとする部分」と「登録を受けようとしない部分」を、点線、破線その他の方法で明確に分けることができない場合、単色で遮る方式で「登録を受けようとしない部分」を表すことができ、そして意匠の説明欄に記載しなければならない(専利審査基準第3篇第1章3.2.5)。

(7) 意匠登録を受けようとする物品が平面的なもの(例えばハンカチ)である場合、その特徴はその物品の平面的意匠にあるため、意匠登録出願をする際に、正面図と背面図のみで表すことができる(図3-1)。意匠の特徴が一面のみに存在する場合、正面図または平面図のみで表すことができる。意匠が連続する平面(例えば生地)である場合、その平面的な意匠のユニット図(図3-2)を含まなければならない(専利法施行細則第53条第1項後段、専利審査基準第3篇第1章3.1.1)。

図3-1 平面的な物品の正面図、背面図
(専利審査基準第3篇「設計専利実体審査」第1章「明細書及び図面」から抜粋)
図3-2 平面的な物品の平面図およびユニット図
(専利審査基準第3篇「設計専利実体審査」第1章「明細書及び図面」から抜粋)

2. 立体図の製図方法
(1) 立体図は、三次元の立体的な物品を平面上に表す図面であり、意匠登録を受けようとする物品を表現するための基本的な図面の一つである。よく見られる立体図の製図方法には、軸測投影図法、斜投影図法、および透視投影図法がある(設計専利の明細書および図面の作成の手引3.1.2)。

(2) 軸測投影図法の製図原理につき、図4-1(a)のように、物体を前投影面と平行な元の位置から、図4-1(b)のように平面投影面と直交する軸に沿って角度αで回転させてから、図4-1(c)のように側投影面と直交する軸に沿って角度βで回転させると、前投影の方向から物体の三つの主要な平面が見える図4-1(d)の軸測投影図となる。

図4-1 軸測投影図法
(設計専利の明細書及び図面の作成の手引、8頁から抜粋)

(3) 異なる回転角により、例えば図4-2の等角投影、二等角投影、不等角投影などの異なる軸測投影図法の製図方法を利用することができる。出願人は、その出願しようとする意匠の特徴に応じて、最適な投影法を選ぶことができる(図4-3)。

図4-2 各種の軸測投影による製図方法
(設計専利の明細書及び図面の作成の手引、8頁から抜粋)
図4-3 軸測投影図法による図面の例
(設計専利の明細書及び図面の作成の手引、9頁から抜粋)

(4) 斜投影図法で図面を作成する場合は、主要な平面を選択してそれを投影面と平行にし、平行投影軸と投影面が90度にならないようにすれば、斜視図を得られる。一般的に、斜視図は、図5のように等斜図と半斜図に分けられる。斜投影図法で立体図を作成する際、ゆがみが生じやすくなるため、正方形柱または円柱等、斜投影法に適するシンプルな幾何形体でない場合は、軸測投影法か透視投影法を採用するのが好ましい。

図5 斜投影
(設計専利の明細書及び図面の作成の手引、9頁から抜粋)

(5) 図6のように、透視投影を採用する場合、観察者と物体の間に投影面を設け、観察者の物体の各点に対する視線と投影面が交わって構成された図形が透視図と呼ばれる。

図6 透視投影の原理
(設計専利の明細書及び図面の作成の手引、10頁から抜粋)

(6) 透視投影で得た図面は、比較的、視覚でとらえる真実のイメージに近いものの(例えば、図7のバス)、物品の外観について図面を見る者に誤解を生じさせないために(例えば、図8のミニ折り畳み自転車)、図面を作成する際には、実際のサイズに適う透視投影の方法を選択する必要がある。

図7 透視投影で得た立体図は視覚でとらえるイメージに近い
(設計専利の明細書及び図面の作成の手引、10頁から抜粋)
図8 透視投影では過度な表現となり誤解をさせる図面になる可能性がある
(設計専利の明細書及び図面の作成の手引、10頁から抜粋)

3. 留意事項
(1) 写真またはコンピューター・グラフィックスに関する注意事項
 意匠登録出願の図面を作成する場合、図9のコンピューター・グラフィックス(CG)や、図10の写真で表すこともできる。コンピューター・グラフィックスで表す場合、図面がぼやけたり解像度が悪くて縁に鋸歯状のギザギザが発生したりすることを避け、画像の背景を単色にするべきである。写真で表す場合は、正投影のような撮影の角度を維持すべきであり、写真の背景を単色にして、撮影時の照度を意匠の各細部が明らかに識別できるように調整すべきである。カラー写真またはコンピューター・グラフィックスで「登録を受けようとしない部分」を表す場合、半透明の色で表現すべきである(図9の右図)。

図9 CGで意匠を表す場合
(設計専利の明細書及び図面の作成の手引、24頁から抜粋)
図10 写真で意匠を表す場合
(設計専利の明細書及び図面の作成の手引、24頁から抜粋)

(2) 図面の重要性
 登録意匠の侵害鑑定を行う場合において、意匠の権利範囲を解釈するときには、図面を基準とし、明細書の内容を斟酌することができるとされている。このため、意匠の図面は、権利範囲を解釈する際の主要な基礎であり、各図面(立体図、六面図、平面図、ユニット図、その他の補助図を含む)により表されている具体的な意匠に、明細書の記載を斟酌してその範囲を定義することができる。

(3) 立体図の重要性
 意匠登録を受けようとする物品の図面につき、各図の名称を表記し、立体図または最も意匠を表すことができる図面を代表図として指定すべきであるとする専利法施行細則第54条第1項の規定から、立体図の重要性がわかる。

台湾における商標の権利取得手続(「台湾知的財産保護マニュアル」より)

 「台湾知的財産保護マニュアル(旧 台湾模倣対策マニュアル)」(2022年3月、日本台湾交流協会)(商標関連部分の抜粋)

本マニュアル中、商標に関連する項目の概要は以下のとおりである。
第1章第1節三では、台湾の商標の基本情報および関連する法律を紹介している。同第2節では、関連する主な知的財産関連当局を紹介している。同第3節では、統計情報(出願件数、検察処理件数、税関での輸入差止め件数)に基づき模倣品取締の動向を解説している。
第2章第1節では、商標の出願から権利取得手続に関する情報(登録要件、出願から権利取得の流れ、必要書類、方式審査および実体審査の概要、権利維持)について解説している。

以下、本マニュアルの目次および小見出し等に沿って、商標に関連する項目の内容を紹介する。

第1章 台湾の知的財産の概況
 第1節 保護される知的財産と関連法規
  (略)
  三、商標法 P.14
  (台湾における商標の基本情報を専利と比較しながら説明している。また、商標法に規定されている不使用取消、刑事罰有無、商標権侵害、商標法違反の場合の手続について解説している。)
   (一)定義 P.14
   (二)期間 P.15
   (三)登録要件 P.15
   (四)取消事由 P.16
   (五)刑事罰等 P.17
  (略)
  六、公平交易法 P.24
  (台湾の公平交易法は、日本の独占禁止法及び不正競争防止法に相当する法律である。公平交易法における未登録の著名商標等の保護の規定(第22条)について解説している。公平交易法第25条(取引秩序に影響を及ぼし得る欺罔行為等の禁止)の違反については、行政処分が規定されている。)
   (一)著名商標等の保護 P.24
   (二)公平交易法第25条違反 P.25
    1. 警告書の送付
    2. 公平交易法第25条の事件に関する公平交易委員会の処理原則
    3. 第25条違反の法的効果
  七、トレードドレスを保護する法律 P.27
  (トレードドレスが商標の対象となる場合がある。トレードドレスが保護の対象となりうる法律、公平交易法の規定について紹介している。なお、公平交易法第22条の違反については、刑事罰および行政処分が規定されていないため、民事上の請求によることになる。)
   (一)公平交易法第22条 P.27
   (二)公平交易法第25条 P.28
   (三)意匠、商標 P.28

 第2節 主な知的財産関連当局
 (知的財産に関連する機関および法令違反があった場合の管轄機関を紹介している。)
  一、知的財産局 P.28
  二、税関 P.29
  三、警察・法務部調査局、検察庁 P.29
  四、裁判所 P.30
  五、公平交易委員会 P.31
  六、小括 P.32

 第3節 最近の台湾の知的財産の動き P.32
 (2013年から2021年の商標出願件数をグラフで紹介している。また、2010年から2021年までの検察による処理件数および税関での輸入差止め件数をグラフで紹介している。)
  一、コロナ禍における出願動向 P.32
  (略)
  四、統計情報から見る最近の模倣品取締の動向 P.37

第2章 権利取得手続き
 第1節 商標 P.43
  はじめに
  (商標法で定める保護対象である「商標」、「証明標章」、「団体標章」、「団体商標」の定義を紹介している。)
  一、登録要件 P.43
  (商標の登録要件である「積極的要件」と「消極的要件」について解説している。)
   (一)積極的登録要件 P.44
    1. 「識別力」がある
    2. 「識別力」の判断基準
     (1) 識別力のある商標 P.44
      ①独創的商標
      ②随意的商標
      ③暗示的商標
     (2) 識別力のない商標 P.46
      ①説明的商標 
      ②通用標章又は名称
      ③その他
    3. 使用による識別力の発生-後天的な識別力 P.47
   (二)消極的登録要件 P.47
   (商標法第30条第1項の「商標の不登録事由」について紹介している。また、「誤認混同のおそれに関する審査基準」に記載されている判断基準となる以下の三つの要件を具体例とともに解説している。)
    1. 「商標の同一又は類似」 P.49
    2. 「商品・役務の同一又は類似」 P.51
    3. 「誤認混同のおそれ」 P.52
  二、出願手続きの流れ P.52
  (商標出願から権利取得までの手順ごとの手続内容および必要書類を一覧表で紹介している。また、手続の流れをフローチャート(2021年9月現在)で紹介している。
  三、手続き P.56
  (出願主務官庁(台湾経済部智慧財産局)の情報、現地代理人を紹介したURL(*2024年11月確認時URL変更されている)、一般の商標登録出願に必要な書類および注意事項、手続の流れを解説している。)
   (一)出願主務官庁 P.56
   (二)代理事務所 P.56
   (三)必要書類 P.57
    1. 願書 P.57
     (1) 商標の説明
     (2) 出願日
     (3) 優先権の有無
     (4) 出願人
     (5) 指定商品、役務及びその区分
    2. 商標見本 P.59
    3. 委任状 P.59
     (1) 書式
     (2) 代表者
     (3) 援用可否
     (4) 後日補正
    4. 優先権証明書 P.60
    5. その他 P.60
     (1) 立体商標(商標法施行細則第15条)
     (2) 音声商標(商標法施行細則第18条)
     (3) 動く商標(商標法施行細則第16条)
     (4) ホログラム商標(商標法施行細則第17条)
     (5) 匂い商標
   (四)先願主義と優先権主張 P.61
    1. 先願主義 P.61
    2. 優先権 P.61
     (1) 優先権主張の出願期限
     (2) 優先権主張の有資格者
      ①WTO加盟国及び互恵国
      ②WTO加盟国又は互恵国における住所、営業所の設置
      ③国際展示会における商標の使用
   (五)特殊な出願 P.63
     (証明商標、団体標章、団体商標について、一般出願と異なる点を説明している。)
   (六)方式審査 P.65
    1. 補正の範囲 P.65
    2. 補正の時期 P.66
    3. 補正の効果 P.66
    4. 出願中の分割と変更 P.66
     (1) 出願中の分割
     (2) 出願中の変更
   (七)実体審査 P.66
    1. 不登録事由がある P.67
     (1) 拒絶理由の通知
     (2) 拒絶理由の対応
      ① 同意書制度
      ② 権利不要求制度
     (3) 拒絶理由の解消
     (4) 不服申立て
    2. 不登録事由がない P.70
    3. 登録公告及び異議申立て P.71
   (八) 権利の維持 P.71
    1. 登録料の納付 P.71
     (1) 時期
     (2) 納付方法及び金額
     (3) 効果
     (4) 納付期限が経過した場合
      ①期限が過ぎても納付しない
      ②期限が過ぎた後に納付した場合(倍額納付をせず)
    2. 存続期間 P.73
    3. 存続期間の更新登録 P.73
     (1) 手続き
     (2) 所要費用
     (3) 提出の時期
     (4) 審査時間及び効果

台湾における著作権保護について(「台湾知的財産保護マニュアル」より)

 「台湾知的財産保護マニュアル(旧 台湾模倣対策マニュアル)」(2022年3月、日本台湾交流協会)(著作権関連部分の抜粋)

本マニュアル中、著作権に関連する項目の概要は以下のとおりである。
第1章第1節、一の第2項では、台湾において著作権の登録は保護要件ではない旨の説明を提示し、四では、台湾における著作権保護の基本情報および関連する法律を紹介している。同第2節では、主な知的財産関連当局を紹介している。同第3節では、統計情報(検察処理件数および税関での輸入差止め件数)に基づき模倣品取締の動向を解説している。
第2章第5節では、著作権の一般的保護要件および外国人の著作物の保護について解説している。
第3章第1節では、知的財産権の侵害が発生した場合の対策(模倣品の発見から撲滅までの流れ)を説明している。同第2節では、知的財産の譲渡およびライセンス契約について詳しく紹介している。

以下、本マニュアルの目次および小見出し等に沿って、著作権に関連する項目の内容を紹介する。

第1章 台湾の知的財産の概況
 第1節 保護される知的財産と関連法規
  一、はじめに
   (略)
   (二)登録の要否及び属地主義(日本で保護されている知的財産権は、台湾でも保護されるか) P.6
    (略)
    2. 登録が不要な知的財産権(著作権、営業秘密) P.7
  (略)
  四、著作権法 P.17
  (台湾の著作権について専利や商標と比較しながら簡潔に説明している。また、著作権法における刑事罰、および著作権法違反の場合の対応について解説している。)
   (一)定義 P.17
   (二)侵害行為 P.18
   (三)著作権取得のための要件及び外国の著作物の保護 P.19
   (四)刑事罰等 P.19
  (略)
  六、公平交易法 P.24
  (台湾の公平交易法は、日本の独占禁止法及び不正競争防止法に相当する法律である。公平交易法第25条(取引秩序に影響を及ぼし得る欺罔行為等の禁止)の違反については、行政処分が規定されている。)
   (略)
   (二)公平交易法第25条違反 P.25
    1. 警告書の送付
    2. 公平交易法第25条の事件に関する公平交易委員会の処理原則
    3. 第25条違反の法的効果
   (三)ライセンス契約についての規制 P.26

 第2節 主な知的財産関連当局
 (知的財産に関連する機関、および法令違反があった場合の管轄機関を紹介している。)
  一、知的財産局 P.28
  二、税関 P.29
  三、警察・法務部調査局、検察庁 P.29
  四、裁判所 P.30
  五、公平交易委員会 P.31
  六、小括 P.32

 第3節 最近の台湾の知的財産の動き P.32
 (2010年から2021年までの検察による処理件数、および税関での輸入差止め件数をグラフで紹介している。)
  (略)
  四、統計情報から見る最近の模倣品取締の動向 P.37

第2章 権利取得手続き
 (略)
 第5節 著作権 P.132
 (台湾における著作権保護の要件を解説している。)
  一、保護要件 P.43
   (一)一般的要件 P.132
   (二)外国人の著作物について P.133

第3章 知的財産権の保護・活用
 第1節 模倣品対策 P.144
 (台湾において著作権を含む知的財産権侵害が発生した場合の模倣品対策について説明している。)
  一、取り得る手段 P.145
   (一)警告書送付 P.145
   (二)税関の水際対策 P.147
   (三)警察・検察庁への刑事告訴・告発 P.149
   (四)民事訴訟 P.150
   (五)権利種別と取り得る手段との関係 P.152
  二、模倣品対策の基本的な考え方 P.152
   (一)警告書送付の意義 P.152
   (二)税関か警察かの選択 P.153 
   (三)刑事手続き又は民事手続きの選択 P.153
   (略)
   (六)自らの著作権の権利存在の立証 P.155

 第2節 権利譲渡・ライセンスの留意点 P.156
(知的財産の譲渡およびライセンス契約について詳しく紹介している。)
 一、知的財産の譲渡
   (一)知的財産の譲渡の可否 P.156
    (著作権のうち、著作財産権は譲渡可能であるが、著作者人格権は譲渡不可能とされている。)
   (二)知的財産の譲渡の際の登録 P.157
   (三)譲渡の登録手続き P.159
 二、ライセンスの類型 P.159
   (一)ライセンス契約の類型 P.159
   (略)
 三、ライセンス契約の留意点 P.161
   (一)専属ライセンス及び非専属ライセンス P.161
   (二)公平交易委員会の「ライセンス処理原則」の要点 P.162
(略)
 五、ライセンス料に掛かる税金 P.169

日本と台湾における意匠の新規性喪失の例外に関する比較

1. 日本における意匠出願の新規性喪失の例外
 日本においては、新規性を喪失した意匠の救済措置として、新規性喪失の例外規定が定められている。新規性喪失の例外規定の適用要件は、以下のいずれかである。

(1) 出願に係る意匠が、意匠登録を受ける権利を有する者(創作者または承継人)の意に反して公開されたこと(意匠法第4条第1項)。
(2) 出願に係る意匠が、意匠登録を受ける権利を有する者(創作者または承継人)の行為に基づいて公開されたこと(意匠法第4条第2項)。

 上記いずれの場合についても、以下の要件を満たす必要がある。

(a) 意匠登録を受ける権利を有する者が意匠登録出願をしていること

(b) 意匠が最初に公開された日から1年(平成30年6月9日以降の出願に適用)以内に意匠登録出願をしていること。ただし、平成29年12月8日までに公開された意匠については、平成30年6月9日以降に出願しても、改正意匠法第4条の規定は適用されないので注意が必要。

 なお第4条第2項に記載される自己の行為に基づく新規性喪失については、さらに以下の手続が必要となる。

(i) 出願時に、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする旨を記載した書面を提出、あるいは願書にその旨を記載すること(意匠法第4条第3項)。
(ii) 出願の日から30日以内に、公開された意匠が新規性喪失の例外規定の適用を受けることができる意匠であることを証明する「証明書」を証明書提出書とともに提出すること(意匠法第4条第3項)。

 「証明書」には、意匠が公開された事実(公開日、公開場所、公開された意匠の内容等)、および意匠登録を受ける権利の承継等の事実(公開意匠の創作者、行為時の権利者、意匠登録出願人等)を記載することが必要である。書式に従って作成された「証明する書面」が提出されている場合、審査官は、原則として、公開意匠が要件を満たすことについて証明されたものと判断し、新規性喪失の例外規定の適用を認める。ただし、公開意匠が適用を受けることができる意匠であることに疑義を抱かせる証拠を発見した場合には、審査官は適用を認めない。(意匠審査基準第Ⅲ部第3章「新規性喪失の例外」 4.1)。

日本意匠法 第4条 意匠の新規性の喪失の例外
1 意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して第三条第一項第一号又は第二号に該当するに至った意匠は、その該当するに至った日から一年以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同項及び同条第二項の規定の適用については、同条第一項第一号又は第二号に該当するに至らなかったものとみなす。
2 意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して第三条第一項第一号又は第二号に該当するに至った意匠(発明、実用新案、意匠又は商標に関する公報に掲載されたことにより同項第一号又は第二号に該当するに至ったものを除く。)も、その該当するに至った日から一年以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同項及び同条第二項の規定の適用については、前項と同様 とする。
(第3項、第4項省略)

 意匠審査基準第Ⅲ部第3章「新規性喪失の例外」、は省略(【ソース】の意匠審査基準を参照されたい。)。

2. 台湾における意匠出願の新規性喪失の例外
 台湾における意匠出願の新規性喪失の例外規定の適用は、意匠公報でなされた公開を除き、「出願人の意図によりなされた公開」と「出願人の意図に反してなされた公開」の2つの場合がある(台湾専利法第122条第3項、第4項)。

 「出願人の意図によりなされた公開」とは、公開が出願人の本意によるものであれば、出願人自らの行為に限られない。この状況の公開における行為の主体には、出願人、出願人が委託、同意、指示した者などが含まれる(台湾専利審査基準第3篇第3章4.5)。

 「出願人の意図に反してなされた公開」とは、出願人の本意によらず公開された状況を指す。この状況の公開における行為の主体には、出願人の委任、同意、指示を得ていない者、秘密保持義務に違反し、または不法な手段である脅迫、詐欺により創作を搾取した者等が含まれる(台湾専利審査基準第3篇第3章4.5)。

 これらの2つの場合について、公開の態様についての制限はなく、刊行物による発表、政府主催または認可の展覧会への展示、公開実施による場合等が含まれる(台湾専利審査基準第3篇第3章4.5)。

 意匠が公知となった日から6か月以内に出願しなければならない(台湾専利法第122条第3項、台湾専利審査基準第3篇第3章4.3)。新規性喪失の例外規定が適用されても、新規性を喪失した日に出願日が遡及するわけではない。つまり、新規性喪失の例外の適用を受けて意匠出願をしても、第三者が同じ意匠を当該出願前に公知にしていれば、その意匠出願は新規性がないとして拒絶される。また、第三者が同じ意匠を先に意匠出願している場合も、先願主義に従い、後の意匠出願は拒絶される(台湾専利審査基準第3篇第3章4.6)。

※ 台湾智慧財産局は、2024年9月11日に台湾専利法の改正案を公表し、その中で意匠の新規性喪失例外の適用期間を、公知となった日から1年に延長するとされている。改正法の施行期日は現時点で未定である。
台湾智慧財産局「公告專利法部分條文修正草案」https://www.tipo.gov.tw/tw/cp-86-979687-69f9a-1.html

 新規性喪失の例外の適用を受けられる場合でも、このようなリスクを避けるため、できるだけ早く出願する必要がある。注意すべきは、新規性喪失の例外を適用させるためには、意匠が公知とされた日から6か月内に出願すべきであるということである。

台湾専利法 第122条
 産業上利用することのできる意匠で、次の各号のいずれかに該当しなければ、本法により出願し、意匠登録を受けることができる。
1 出願前に既に同一または類似の意匠が刊行物に記載された場合
2 出願前に既に同一または類似の意匠が公然実施された場合
3 出願前に既に公然知られた場合
 意匠が、前項各号の事情に該当しなくても、それがその所属する技術分野の通常知識を有する者が出願前の従来技芸に基づいて容易に思いつくものは、意匠登録を受けることができない。
 出願人の意図によるものまたは出願人の意図に反する公開の事実が生じた日から6か月以内に意匠出願をした場合は、当該事実が第1項各号または前項に言う意匠登録を受けることができない事情に該当しない。
 出願により台湾または外国において法に基づき公報に公開されたことが出願人の意図によるものである場合、前項の規定を適用しない。

 台湾専利審査基準第3篇第3章4.「新規性又は創作性喪失の例外」、は省略(【ソース】の台湾専利審査基準を参照されたい。)。

日本と台湾における意匠の新規性喪失の例外に関する比較

日本台湾
新規性喪失の例外の有無
公知行為の限定の有無
例外期間公開日から1年公開日から6か月

台湾における特許関連番号フォーマット

 台湾における特許には出願番号、公開番号、登録番号等の各種番号が付与されるが、公開明細書・登録明細書(以下、合わせて「明細書」と略す。)および公報に記載される番号フォーマットと台湾経済部智慧財産局(台湾特許庁)が提供する専利(特許、実用新案、意匠)検索システムや欧州特許庁が提供するEspacenetの入力に用いられる番号フォーマットは異なっている。本稿では、台湾の特許番号体系および台湾経済部智慧財産局(台湾特許庁)が提供する専利(特許、意匠、実用新案)検索システムや欧州特許庁が提供する無料特許調査ツール「Espacenet」における番号フォーマットの入力例を紹介する。

1. 台湾における公報および明細書記載の特許関連番号
 台湾における公報および明細書に記載される番号の一例を紹介する。

1-1. 出願番号フォーマット
 台湾における出願番号フォーマットは、「年(台湾暦)2桁または3桁+出願種別数字1桁+連番数字5桁」となっている。台湾暦に1911を加えると西暦年となる。西暦2011年に台湾暦100年を迎えており、現在は「台湾暦3桁+出願種別数字1桁+連番数字5桁」となっている。

 出願種別数字が示す出願区別は以下のとおりである。
1:特許
2:実用新案
3:意匠

1-2. 公開番号フォーマット
 台湾における公開番号フォーマットも出願番号と同じく年を含むが、台湾暦ではなく西暦であり、「西暦4桁+連番数字5桁」となっている。

1-3. 公告番号フォーマット
 台湾では2004年6月30日まで公告公報が発行されており、「連番数字6桁」(年は含まれていない)となっていた。

1-4. 登録番号フォーマット
 登録番号フォーマットは、「出願種別コード1文字+連番数字6桁」となっている。
 出願種別コードが示す出願区別は、以下のとおりである。
I:特許
M:実用新案
D:意匠

 以下に、公報および明細書(公開特許公報および公開特許明細書:図1から図4、登録特許公報および登録特許明細書:図5から図8)における番号表記例を紹介する。

図1 公開特許公報(發明公開公報(A))フロントページ(公開特許番号200834010)
図2 公開特許明細書(發明専利説明書)フロントページ(公開特許番号200834010)

図1、図2の番号等の説明
[11]公開特許番号 200834010(緑線囲い)
[21]出願番号   096138312(赤線囲い)
[22]出願日    台湾暦96年(西暦2007年)10月12日(青線囲い)

図3 公開特許公報(發明公開公報(A))フロントページ(公開特許番号202222467)
図4 公開特許明細書(發明説明書公開本)フロントページ(公開特許番号202222467)

図3、図4の番号等の説明
[11]公開特許番号 202222467(緑線囲い)
[21]出願番号   109143236(赤線囲い)
[22]出願日    台湾暦109年(西暦2020年)12月8日(青線囲い)

図5 登録特許公報(専利公報(B))フロントページ(登録番号I437190)
図6 登録特許明細書(發明専利説明書公告本)フロントページ(登録番号I437190)

図5、図6の番号等の説明
[11]登録番号   I437190(オレンジ線囲い)
[45]公告日    台湾暦103年(西暦2014年)5月11日
[21]出願番号   096138312(赤線囲い)
[22]出願日    台湾暦96年(西暦2007年)10月12日(青線囲い)
[11]公開特許番号 200834010(緑線囲い)
[43]公開日    台湾暦97年(西暦2008年)8月16日

図7 登録特許公報(専利公報(B))フロントページ(登録番号I773003)
図8 登録特許明細書(發明説明書公告本)フロントページ(登録番号I773003)

図7、図8の番号等の説明
[11]登録番号   I773003(オレンジ線囲い)
[45]公告日    台湾暦111年(西暦2022年)8月1日
[21]出願番号   109143236(赤線囲い)
[22]出願日    台湾暦109年(西暦2020年)12月8日(青線囲い)
[11]公開特許番号 202222467(緑線囲い)
[43]公開日    台湾暦111年(西暦2022年)6月16日

 台湾暦100年以前の出願において、公開特許公報(中国語「發明公開公報」)および登録特許公報(中国語「専利公報」)では、出願番号は「台湾暦(0を加えた3桁固定)+出願種別数字1桁+連番数字5桁」で表示されるが(図1および図5)、公開特許明細書(中国語「發明専利説明書」)および登録特許明細書(發明専利説明書公告本)では、「台湾暦(桁合わせ無しの2桁)+出願種別数字1桁+連番数字5桁」で記載されている(図2および図6)。また、出願日の記載については、公開特許公報および登録特許公報では西暦が()で併記されるが(図1および図5)、公開特許明細書および登録特許明細書では台湾暦のみが表示されているので、注意が必要である(図2および図6)。
 台湾暦100年以降の出願においては、公開特許公報と公開特許明細書、および登録特許公報と登録特許明細書において、出願番号および出願日の記載に相違はない(図3、図4および図7、図8)。

2. 台湾経済部智慧財産局(台湾特許庁)専利検索システム(英語版)での検索
 台湾経済部智慧財産局が提供する専利検索システム(英語版)での検索手順を紹介する。

(1) 台湾経済部智慧財産局の英語版(https://www.tipo.gov.tw/en/mp-2.html)にアクセスし、画面を下にスクロールして、画面下部「Resources and Tools」の「Search」欄の「Patents」(赤線囲いの部分)を選択(図9)すると、「全球專利檢索系統(Global Patent Search System)」(https://gpss3.tipo.gov.tw/gpsskmc/gpssbekm?@@0.3689919477811945)に接続される(図10)。

図9 台湾経済部智慧財産局(英語版)トップページ
図10 「全球專利檢索系統(Global Patent Search System)」トップページ

(2) 本稿では、簡易検索方法を紹介する。その他の検索方法については、「台湾における専利(特許/実用新案/意匠)公報の調べ方―台湾特許庁(TIPO)ウェブサイト」(https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/26842/)を参照されたい。
 検索する際、いずれかのタイミングで図11の利用者確認画面が表示される。「人間であることを確認します」(赤線囲いの部分)の欄の□をクリックすると検索を進めることができる。

図11 利用者確認画面

 簡易検索の例(図12)として、緑線で囲んである欄に登録番号「I437190」(番号の1文字目はアルファベットの「I(アイ)」)を入力し、「Search」(オレンジ線囲いの部分)をクリックすると、検索結果が表示される(図13)。なお、出願日が2010年(台湾暦99年)以前の出願番号を検索する際には台湾暦の前に“0”を補っても補わなくても検索可能である。

図12 検索例
図13 検索結果

(3) 図13の検索結果の緑線で囲んである登録番号をクリックすると出願詳細情報が表示される(図14)。また、図13の右端(オレンジ囲いの部分)の「Gazette」をクリックすると登録特許公報(前掲図5)が、「Specifications」をクリックすると公告特許公報(前掲図6)がそれぞれ表示される。

図14 出願詳細情報1(登録番号I437190)

(4) 公開特許の記録と登録特許の記録はリンクしており(各公報発行後)、図14の「Patent Number」の「Publication TW200834010A」(青線囲いの部分)をクリックすると図15が表示される。

図15 出願詳細情報2(公開番号200834010)

 図15の「Legal Status」(オレンジ線囲いの部分)をクリックすると図16が表示され、中国語の出願詳細情報を確認することができる。また、図16の「公開號」の「公告I437190」(赤枠囲いの部分)をクリックする中国語での登録特許の詳細情報を確認することができる。

図16 出願詳細情報3(公開番号200834010(中国語))

(5) 図16の緑線で囲んである「E」をクリックすると、Espacenetのレコードに遷移し、出願詳細画面が表示される(図17)。台湾経済部智慧財産局の専利検索システムはEspacenetとリンクしているので、対応外国特許等を確認する際には便利である。

図17 出願詳細情報(Espacenet)

3. Espacenetでの検索
 Espacenetの「Advanced Search(詳細検索)」(https://worldwide.espacenet.com/advancedSearch)で検索する際の入力例を紹介する。

(1) 出願番号の検索
 図18のApplication number(出願番号)の項目に「国コード+西暦4桁(台湾暦+1911)+出願種別数字1桁+連番数字5桁」を入力する。先ほどの「I1437190」の出願番号は「096138312」(前掲図5)なので、国コード「TW」+上3桁(096)に1911を加算した「2007」+「138312」である「TW2007138312」を「Application number」欄に入力し「Search」をクリックすると検索結果が表示され、さらに検索結果(図19)の発明の名称「Light emitting diode lighting device」をクリックすると、図20が表示される。

図18 Advanced Search(詳細検索)での入力例(出願番号96138312)
図19 Advanced Search(詳細検索)での検索結果例(出願番号96138312)
図20 Espacenet出力例

 なお、Espacenetでの出願番号および出願日は、「Application number」(緑線囲いの部分)の欄に示しているように西暦(台湾暦+1911)に変換されている(図20)。

(2) 公開特許番号および登録特許番号での検索
 Publication number(公報番号)の項目に、公開特許番号の場合は「国コード+西暦(4桁)+連番数字5桁」番号(図21)を、登録特許番号の場合は「国コード+出願種別コード1文字+連番数字6桁」番号(図22)を入力すると、検索結果が表示される(図19)。

図21 Advanced Search(詳細検索)での入力例(公開特許番号200834010)
図22 Advanced Search(詳細検索)での入力例(登録特許番号I437190)

上記入力例における番号フォーマットの比較

種別明細書公報台湾経済部智慧財産局DBEspacenet
出願番号96138312096138312096138312TW2007138312
または
TW20070138312
公開番号200834010200834010200834010
TW200834010
登録番号I437190I437190I437190TWI437190

日本と台湾における特許分割出願に関する時期的要件の比較

1. 日本における特許出願の分割出願に係る時期的要件
 日本国特許法第44条は、下記の(1)~(3)のいずれかの時または期間内であれば、2以上の発明を包含する特許出願の一部を1または2以上の新たな特許出願とすること(分割出願すること)ができることを規定している。

(1) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について補正をすることができる時または期間内(第44条第1項第1号)
 なお、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について、補正をすることができる時または期間は、次の(i)~(iv)である。
 (i) 出願から特許査定の謄本送達前(拒絶理由通知を受けた後を除く)(第17条の2第1項本文)
 (ii) 審査官(審判請求後は審判官も含む。)から拒絶理由通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第1号、第3号)
 (iii) 拒絶理由通知を受けた後第48条の7の規定による通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第2号)
 (iv) 拒絶査定不服審判請求と同時(第17条の2第1項第4号)

(2) 特許査定(次の(i)および(ii)の特許査定を除く)の謄本送達後30日以内(第44条第1項第2号)
 (i) 前置審査における特許査定(第163条第3項において準用する第51条)
 (ii) 審決により、さらに審査に付された場合(第160条第1項)における特許査定
 なお、特許「審決」後は分割出願することはできない。また、上記特許査定の謄本送達後30日以内であっても、特許権の設定登録後は、分割出願することはできない。また、(2)に規定する30日の期間は、第4条または第108条第3項の規定により第108条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間に限り、延長されたものとみなされる(第44条第5項)。

(3) 最初の拒絶査定の謄本送達後3か月以内(第44条第1項第3号)
 (3)に規定する3か月の期間は、第4条の規定により第121条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間に限り、延長されたものとみなされる(第44条第6項)。

日本国特許法第44条(特許出願の分割)
特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。
 一 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内にするとき。
 二 特許をすべき旨の査定(第百六十三条第三項において準用する第五十一条の規定による特許をすべき旨の査定及び第百六十条第一項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から三十日以内にするとき。
 三 拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月以内にするとき。
(第2項以下省略)

2. 台湾における特許出願の分割出願の時期的要件
 台湾では、原出願の再審査(*)の査定前、または原出願の登録査定書の送達日から3か月以内に分割出願することができる(台湾専利法第34条)。
(*):再審査とは、拒絶査定に不服がある場合に請求することができる制度である。再審査では、原審査に参与しなかった特許審査官が審査し査定書が作成される(台湾専利法第48条、第50条)。

台湾専利法 第34条
 特許を出願した発明が、実質上2以上の発明である場合、特許主務官庁の通知又は出願人の請求により、出願を分割することができる。
 分割出願は次の各号に掲げる期間内にこれを行わなければならない。
1. 原出願の再審査の査定前
2. 原出願の登録査定書、再審査の登録査定書の到達日から起算して3か月以内。
 分割後の出願は、原出願の出願日を出願日とする。優先権がある場合は、優先権を主張することができる。
 分割後の出願は、原出願の出願時の明細書、特許請求の範囲又は図面に開示された範囲を超えてはならない。
 第2項第1号規定により分割を行った後の出願は、原出願で既に完了した手続から審査を続行しなければならない。
 第2項第2号規定により行う分割は、原出願の明細書又は図面に開示された発明で、且つ登録査定となった請求項と同じ発明に属しないものから分割出願しなければならない。分割を行った後の出願は、原出願が査定される前の審査手続きを続行するものとする。
原出願の登録査定を経た明細書、特許請求の範囲又は図面は変動してはならず、登録査定時の特許請求の範囲及び図面をもってこれを公告するものとする。

日本と台湾における特許分割出願に関する時期的要件の比較

日本台湾
分割出願の時期的要件1. 補正ができる時または期間
(i) 出願から特許査定の謄本送達前(拒絶理由通知を最初に受けた後を除く)
(ii) 審査官から拒絶理由通知を受けた場合の指定応答期間内
(iii) 拒絶理由通知を受けた後第48条の7の規定による通知を受けた場合の指定応答期間内
(iv) 拒絶査定不服審判請求と同時

2. 特許査定の謄本送達後30日以内(以下の(i)(ii)の特許査定を除く)
(i) 前置審査における特許査定
(ii) 審決により、審査に付された場合における特許査定

3. 最初の拒絶査定の謄本送達後3か月以内
1. 原出願の再審査の査定前

2. 原出願の登録査定書、再審査の登録査定書の到達日から起算して3か月以内

台湾における日本の地名等に関する商標出願・登録の調査

「台湾における日本の地名等に関する商標出願・登録の調査結果(2023年度)」(2023年5月、日本台湾交流協会 台北事務所)

(台湾における日本の都道府県および政令指定都市の名称、地域団体商標、地理的表示に係る登録産品名の商標出願もしくは登録状況を、検索方法とともに紹介している。)

目次
1. 調査期間 P.1
2. 調査方法 P.1
3. 調査結果 P.1
(1) 都道府県名 P.1
 ① 台湾企業・個人及び外国企業・個人により出願、登録されているもの
 ② 都道府県により出願、登録されているもの
 ③ 日本企業・個人等により出願、登録されているもの
(2) 政令指定都市名 P.2
 ① 台湾企業・個人及び外国企業・個人により出願、登録されているもの
 ② 政令指定都市により出願、登録されているもの
 ③ 日本企業・個人等により出願、登録されているもの
(3) 地域団体商標 P.2
 ① 台湾企業・個人及び外国企業・個人により出願されている商標数
 ② 日本企業・個人等により出願されている商標数
 ③ 権利者が関与している商標数
(4) 農林水産物等の地理的表示 P.3
 ① 台湾企業・個人及び外国企業・個人により出願されている商標数
 ② 日本企業・個人により出願されている商標数
 ③ 登録生産者団体が関与している商標数
(5) 酒類の地理的表示 P.3
 ① 台湾企業・個人及び外国企業・個人により出願されている商標数
 ② 日本企業・個人により出願されている商標数
 ③ 管理機関が関与している商標数

本調査における検索の方法及び調査報告の対象 P.4
1. 都道府県名・政令指定都市名について P.4
(1)検索方法
(2)調査対象
2. 地域団体商標及び農林水産物等の地理的表示、酒類の地理的表示について P.5
(1)検索方法
(2)調査対象

台湾においてOIモデル契約書ver2.0秘密保持契約書(新素材編、AI編)を活用するに際しての留意点

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台湾においてOIモデル契約書ver2.0技術検証(PoC)契約書(新素材編、AI編)を活用するに際しての留意点

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