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台湾においてOIモデル契約書ver2.0秘密保持契約書(新素材編、AI編)を活用するに際しての留意点

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台湾においてOIモデル契約書ver2.0技術検証(PoC)契約書(新素材編、AI編)を活用するに際しての留意点

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台湾における知的財産に関する特許庁の審判決定に対する行政不服審査手続の概要

 出願に対する拒絶査定または無効審判の審決への不服申立手続の流れは、図1のとおりである。

 図1:拒絶査定または無効審判の審決への不服申立手続の流れ

(1) 行政不服(中国語名「訴願」)の提起
(ⅰ) 訴願できる者
・出願手続で拒絶査定を受けた出願人
・無効審判で無効審決を受けた被請求人
・無効審判で棄却審決(権利維持審決)を受けた請求人

(ⅱ) 訴願の期間
・行政処分の送達後の翌日または公告期間満了の翌日から30日以内(訴願法第14条第1項)。
・拒絶査定や無効審決が送達された日の翌日から30日以内に、経済部経済法制司の訴願審議委員会*1に行政処分に不服がある旨を意思表示した場合も、30日以内に訴願書を補足することを条件に、法定期間内の訴願とみなされる(訴願法第57条)。

*1:2023年9月26日より、従来の台湾法規委員会および台湾経済部訴願審議委員会は、「台湾経済部経済法制司」に統合された(https://www.moea.gov.tw/Mns/populace/news/News.aspx?kind=1&menu_id=40&news_id=112374)。

(ⅲ) 訴願書
・訴願書には、訴願法第56条第1項に規定された事項(申立人・代理人に関する事項、原処分機関、請求の趣旨、事実及び理由、証拠等)を記載し、また原行政処分の写しおよび証拠(書類の場合は謄本または写し)を添付する。(訴願法第56条を参照)。
・訴願書不備の補正命令への応答期間は20日である(訴願法第62条)。

(ⅳ) 訴願への参加
 訴願人と利害関係が一致する者は、訴願の受理機関の許可を得て、訴願人の利益のために当該訴願に参加できる。また、訴願決定が原処分の取消または変更により第三者の利益に影響を及ぼす場合は、訴願受理機関は訴願決定をする前に、当該第三者に対して、訴願手続に参加し、意見を述べるよう通知をしなければならない(訴願法第28条)。

(2) 訴願審議委員会による審議
 各機関は、訴願を処理するために、訴願審議委員会を設置する。訴願審議委員会は法律家等の専門家で構成され、訴願を審議する(訴願法第52条第1項、第2項)。書面審査が原則である(訴願法第63条第1項)。

(3) 訴願決定
(ⅰ) 決定の手続
 訴願決定には、訴願審議委員会の委員の過半数が出席し、出席した委員の過半数の同意が必要となる(訴願法第53条)。訴願決定は、原則として、訴願書の受領日の翌日から3か月以内に行われる(訴願法第85条)。

(ⅱ) 訴願決定の内容
 訴願に理由がない場合は、棄却する決定、訴願に理由がある場合は、原処分を取り消して処分内容を変更する決定、または、処分を取り消して台湾特許庁に差し戻す決定(訴願法第81条第1項)がなされる。

(ⅲ) 訴願の取下げ
 訴願の取下げは、訴願提出後決定書が送達されるまで可能。取り下げた場合、同一の不服申立ができないことに注意が必要である(訴願法第60条)。

(4) 留意事項
・拒絶査定や無効審判の審決に対して不服がある場合、まず訴願法に基づく不服申立手続を行わなければならず、訴願を経ずに、知的財産・商業裁判所に拒絶査定や無効審判の審決の取消を求めることはできない。

・条文上、訴願審議委員会の求めに応じ、意見陳述や口頭弁論(訴願第65条、第66条)、調査・現場検証・鑑定などを行うことができるとされているが(訴願法第67条-第74条)、運用としては書面審査のみであるため、それを想定して準備を行うことが望ましい。

・2023年に行政院で可決され、国会に提出された専利法改正案では、出願の拒絶査定または無効審判の審決への不服申立手続について、大幅な改正が含まれている。この改正案が成立し、施行された後は、本稿で紹介した訴願手続は、出願の拒絶査定または無効審判の審決への不服申立手続には、適用されなくなる見込みである。したがって、改正の動向に注意する必要がある。

台湾の知的財産関連機関・サイト

(1) 立法機関
(a)立法院 https://www.ly.gov.tw/Home/Index.aspx
 立法院は、国家最高立法機関であり、国民が選出した立法委員で構成され、国民を代表して立法権を行使する。立法委員の任期は4年であり、連続就任することも可能である。立法院は、自主的に会期を設け、毎年2月から5月末および9月から12月末の法定集会期間以外に、必要に応じて法のもとで会期を延長することもできる。

(2) 行政機関
(a)経済部 https://www.moea.gov.tw/Mns/populace/home/Home.aspx
 経済部は、行政院のもとで、国家経済の発展計画の設計、監督、指導等を担当する。現在、6司6処、その下に10の三級機関(経済部智慧財産局、産業発展署等の機関を含む)および1つの訓練機関、4つの事業機構および58の在外商務機関が設置されている。

(b)経済部智慧財産局(中国語(繁体字)「經濟部智慧財產局」) https://www.tipo.gov.tw/tw/mp-1.html
 経済部智慧財産局は、新規の発明を奨励し、知的財産権の尊重、活用、保護を職責とし、専利(特許、意匠および実用新案を含む)審査、商標登録、営業秘密の保護、集積回路配置の登録、模倣の取締りを行っている。6組(専利審査一組、専利審査二組、専利紛争審査組、専利行政企画組、商標権組、著作権組)、6室(国際および法律事務室、秘書室、情報室、人事室、会計室、政府倫理室)と、経済部CD共同調査検査照合組で組織されている。また、新竹、台中、台南、高雄には、地方コンサルティングサービスセンターを設置している。

(c)経済部経済法制司 https://www.moea.gov.tw/Mns/colr/home/Home.aspx
 2023年9月26日より、従来の法規委員会および経済部訴願審議委員会は、「経済部経済法制司」に統合された。経済部経済法制司は、経済法務の企画と調整等の事項等を担当するほか、経済部智慧財産局含め経済部所属機関の行政処分が違法あるいは不当であるとして提起された行政不服申立(中国語「訴願」)案件、各県(市)政府、直轄市政府、経済部所轄監督範囲に属する事項に関する行政処分が違法あるいは不当であるとして提起された行政不服申立案件等も処理する。ウェブサイト(https://pamsdmz.moea.gov.tw/pams-public/page/decision-doc-query)で、経済部智慧財産局の専利または商標に対する査定の行政不服の決定書を検索できる。

(d)経済部国際貿易署 https://www.trade.gov.tw/
 経済部国際貿易署は、貿易政策、法規の研究、制定および執行、国際貿易組織活動への参加、貿易交渉、紛争処理および調整、自由貿易協定署名の推進等を行う。その他、貨物の輸出入、輸出入メーカーの管理と指導、対外貿易の促進、海外市場の開拓、在外商務機構との連絡と調整、貿易関連業務を行う法人、団体への指導等をその職務とする。

(e)経済部産業発展署 https://www.ida.gov.tw/ctlr?PRO=idx2015&lang=0
 2023年9月26日より、経済部工業局から「経済部産業発展署」に組織名を変更した。経済部産業発展署は、全国の工業発展のための業務を担当し、産業の包括的なサービスを提供する。また、台湾工業の改良・転換や、企業の事業構造強化のための指導に努め、生産力および国際競争力の向上を目指す。
(上記URLはご利用のパソコンの設定状況により繋がりにくい場合があります。)

(f)関務署(中国語「財政部關務署」(財政部関務署)) https://web.customs.gov.tw/
 関務署は、財政部に属する関税業務の執行機関であり、財政部大臣(中国語「部長」)の命令に従い、関税政策および法令の研究、制定を行う。また、関税の徴収、密輸取締り、保税、貿易統計、その他の機関から委託された税金の徴収、管理の代理執行等を行う。

(g)行政院 https://www.ey.gov.tw/
 行政院は、国家最高行政機関であり、本院には院長、副院長が設置される(院長が事情により職務にあたることができない場合には、副院長が代理でその職務を務める)。内政部、外交部、国防部、財政部、経済部等の行政院直轄機関は、法案立法の改善や法制度の完備、健全な施策に努める。

(3) 司法機関
(a)知的財産・商業裁判所(中国語「智慧財產及商業法院」) https://ipc.judicial.gov.tw/tw/mp-091.html
 刑事訴訟の遅滞を回避して紛争解決を促進し、また裁判官に知的財産案件の経験を積ませて専門家を育成すること等を目的として、2008年7月に知的財産裁判所が設立された。また、迅速で適切かつ専門的で重大な民事商業紛争の審理手続を確立するため、2021年7月に、商業法廷を設けることとし、「知的財産・商業裁判所」に名称変更された。それとともに、知的財産法廷が設置され、知的財産に関する民事訴訟、刑事訴訟および行政訴訟の審議実務について、その管轄において迅速かつ積極的に正確な審理を行い、統一的見解を出すことを目指している。

(b)最高裁判所(中国語「最高法院」) https://tps.judicial.gov.tw/tw/mp-011.html
 最高裁判所は、民事・刑事訴訟の最終審機関であり、訴額が150万台湾元を超えない民事事件、および刑事訴訟法第376条に列記された刑事事件を除く民事・刑事事件を取扱い、知的財産・商業裁判所の第2審判決に不服がある場合の民事・刑事訴訟案件等も最高裁判所の管轄である。

(c)最高行政裁判所(中国語「最高行政法院」) https://tpa.judicial.gov.tw/tw/mp-021.html
 最高行政裁判所は、行政訴訟の最終審機関であり、簡易訴訟事件を除いて、専利法(特許、実用新案、意匠)、商標法、著作権法、営業秘密法などの法令による知的財産に関わる行政事件を取扱い、知的財産・商業裁判所の第1審判決に不服がある場合の行政訴訟案件は最高行政裁判所の管轄である。

(d)司法院 https://www.judicial.gov.tw/tw/mp-1.html
 司法院は、解釈権、審判権、懲罰権および司法行政権を司り、院長、副院長を含む15名の大法官から成る。憲法の解釈および法律命令の統一的解釈権、大統領(中国語「總統(総統)」)、副大統領の弾劾および政党違憲解散案件についての裁判権、民事・刑事・行政訴訟案件の裁判権等の権限を有する。司法院院長および副院長は司法行政権を行使し、所属する各機関を監督し、司法制度の健全化、司法業務の業績・裁判品質の向上等を目指す。
 台湾の知的財産事件に関する判決書および決定書の検索は、司法院法学資料検索システムのウェブサイト(https://judgment.judicial.gov.tw/FJUD/default.aspx)からアクセス可能である(検索方法については、次のリンクの記事「台湾における判決の調べ方―台湾司法院ウェブサイト」を参照されたい。https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/19586/)。
(*注:上記記事は、本稿作成後、2023年11月2日付で更新されています。https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/37630/

 上記で紹介した司法機関および行政機関について、知的財産事件に関する訴訟もしくは行政救済のプロセスは、図1の通りである。

図1

(4) その他知的財産関係機関・サイト
(a) 台湾知的財産アカデミー(中国語「智慧財產培訓學院」) https://www.tipa.org.tw/tc/index.php
 台湾知財アカデミーは、経済部智慧財産局指導のもとで2005年に「知的財産専門人員育成訓練計画」の執行を国立台湾大学に委託し設立された。台湾全国の育成訓練機関を通じて知的財産の専門人材を育成、訓練し、革新的な研究開発のために高水準の環境を整え、国家競争力の向上を目的とする。

(b) 台湾全国法規データベース(中国語「全國法規資料庫」) https://law.moj.gov.tw/index.aspx
 台湾全国法規データベースは、法務部全国法規データベース作業グループにより運営されるサイトである。憲法、法律、命令、最高裁判所判決、その他関連情報を提供しており、利用者は、必要な条文資料を検索後、当該条文と関連する司法解釈、判決、関連法規、法規沿革など各項関連資料を参照することができる。また、すでに公布されているが、効力が発生していない法規に関する注釈も閲覧できる。

(c) 日本台湾交流協会 https://www.koryu.or.jp/
 日本台湾交流協会は、台湾在留邦人旅行者の入域、滞在、子女教育等について各種の便宜をはかること、並びに、日台間において民間の貿易および経済、技術交流等が支障なく維持、遂行されるよう適切な措置を講ずることなどを目的として、日台間実務関係を維持するために設立された団体である。また、「台湾知財セミナー」(経済部智慧財産局委託事業)等のイベントを開催している。

(d) 台湾知的財産権情報サイト https://chizai.tw/
 台湾知的財産権情報サイト(経済部智慧財産局委託事業)は、日本台湾交流協会台北事務所が事務局となって管理・運営するウェブサイトである。同ウェブサイトでは台湾の知的財産に関する最新情報を日本語で紹介しており、誰でも無料で利用することができる。月2回程度のメルマガも発行しており、こちらも無料で利用可能である。

台湾における公平交易法改正

 「公平交易法」(日本の「不正競争防止法」および「独占禁止法」に相当。)改正案が、2015年1月22日に立法院の三読(最終審議)で可決され、2015年2月4日に総統によって総統華総一義字第10400014311号令として公布された。第10条および第11条の条文が、公布の30日後から施行されるのを除き、その他の条文は、公布日から施行された。
 2015年の改正案は、「公平交易法」が1992年に施行されて以来、初めての全面的な法改正であり、その変更内容は大きく、法規構造を再度、構築・整備して、競争制限および不正競争関連規範を明確に区分する以外に、結合申請制度、連合行為に係る法の執行、不実な広告、著名商標保護、調査権、罰則などの規定をすべて調整、改正しており、事業者に大きな影響を及ぼすものである。以下に、今回法改正された法規構造の調整、不正競争、行政調査と処分、および罰則と行政救済などの関連規定の重要な変動を簡単に説明する。
 さらに、2017年に第11条の条文が改正され、同年6月14日に公布された。

1.法規構造の調整
 過去、「再販売価格の制限」(旧第18条、現行第19条)および「競争を制限するまたは公正な競争を阻害するおそれがある行為」(旧第19条、現行第20条)などの事項は、もともと「不正競争」の章に規範が置かれていたが、新法では、当該これらの事項が実際には市場競争秩序に影響を及ぼす競争制限行為の類型に属すことを明確にし、「競争制限」の章に移した。
 しかし、旧法第19条第3号の不当な手段や景品贈呈によって販売促進を行う場合、本質的に不正競争に属するため、別途、「不正競争」の章に新たに第23条を追加して対応している。また、旧法第19条第5号の他人の生産や販売上の機密を不当に取得するなどに関する事由を削除し、営業秘密法の規範に戻した。

2.不正競争
 不実な広告を認定する際に考慮すべき事項につき、包括的な一般的規定を新たに追加した。すなわち、「商品と関連し、かつ、取引決定に影響を及ぼすに足る事項」で、虚偽不実または人に錯誤を生じさせる表示または標章であり、既に取引相手人を勧誘する目的を達成している場合にのみ、本法の規範を受ける。旧法に列挙されていた商品の価格、数量、品質などの事項は、単なる例示であることを明確に規定した。
 事業者は、不当な景品贈呈によって販売促進を行ってはならない、とする規定を新たに追加し、ならびに公平交易委員会(日本の公正取引委員会に相当。)に関連規則を規定する権限を授けた。この新たに追加された規定により、旧法第19条第3号に代わって、現行の「公平交易委員会の景品贈呈販売促進額に対する処理原則」(「公平交易委員会対於贈品贈獎促銷額度案件之処理原則」)が公平交易委員会の権限の法的根拠となる。

3.調査および行政処理
 公平交易委員会は、証拠となる物品を押収できるとする規定を新たに追加し、調査を受ける者は正当な理由がある場合を除き、公平交易委員会が行う調査措置に協力する義務を有し、調査を回避、妨害または拒絶することはできない旨明確に規定した。
 調査を受ける予定の事業者が、すでに具体的な措置を講じて違法と疑われる行為を排除している場合、公平交易委員会は、行政コストを省くため、案件の調査を中止することができる。

4.罰則および行政救済
 公平交易委員会の調査に協力しない場合について、罰則額を引き上げた。
 新法では、公平交易委員会の処分について訴願(日本における行政不服申立)手続を経る必要がなく、直接行政訴訟手続きが適用される旨明確に規定した。ただし、新法改正施行前にまだ終結していない訴願案件は、依然として訴願法(日本における行政不服審査法に相当)の規定によりこれを終結する。

5.2017年の第11条改正
 「非友好的合併(いわゆる敵対的買収)」行為について、公平交易委員会による買収案件の審査期限を従来の30日から30営業日に延長した。これにより審査日数が連休やその他の要因で短縮されて審査の公正性に影響が及ぶことを回避する。
 さらに、公平交易委員会は、企業結合の届出について外部の意見を諮問することができ、必要であれば産業、経済分析の意見を提供するよう学術研究機関に依頼することができるとした。ただし、結合事業者の一方が結合に同意していない場合、公平交易委員会は届出事業者の届出事由を該事業者に提供し、その意見を諮問しなければならない。

台湾における安全保障に係る発明の保全と保全に関する対価について

1.安全保障に係る発明の保全に関する制度
 台湾における発明の保全に関する制度は、台湾専利法(以下、「専利法」という。)第51条に規定されている(専利法第120条で実用新案に準用する。)。また、本条について、中華民国経済部から、「専利案件が国防機密又はその他の国の安全に関わる機密を含む場合の作業要点」(以下、「作業要点」という。)が公表されている。

※「専利」には、特許、実用新案、意匠が含まれ、「専利法」は、これら全てを対象とする法律である。以下では、発明に係る専利として、「特許」、「特許出願」、「特許査定」等の用語を用いて解説する。また、「経済部」「国防部」の「部」は、日本における「省」に該当する政府機関である。

 専利法第51条は、発明が、国防上の機密またはその他の国の安全に関わる秘密(以下、「国防上の機密等」という。)に関するものである場合、その発明を秘密にしなければならない、と定めている。専利法の趣旨からは、特許すべき発明は開示されるべきであるが、特許出願された発明が、国防上の機密等に関する場合は、国益を考慮し、その発明は秘密にされ公衆に開示されるべきではないからである。

 保全対象となる秘密を保持しなければならない発明に係る特許出願は、国防部またはその他の国家安全関連機関(以下、「国防部等」という。)が、「国家機密」、「軍事機密」、「国防機密」、「国家機密と軍事機密のいずれでもあるもの」、「国家機密と国防機密のいずれでもあるもの」のいずれかに該当すると認定した発明に関する出願である(作業要点 第2条第3項)。

台湾専利法第51条
 発明が、審査の結果、国防機密又はその他の国の安全に関わる秘密に関わる場合、国防部又は国家安全関連機関から意見を聴取しなければならない。秘密を保持する必要があると認められた場合、出願書類は封緘する。出願の実体審査を経たものは、査定書を作成し、出願人及び発明者に送達しなければならない。
 出願人、代理人及び発明者は、前項の発明について秘密を保持しなければならない。これに違反した場合、当該特許出願権を放棄したものとみなされる。
 当該秘密保持の期間は、査定書を出願人に送達した時から1年間とする。また、秘密保持期間を延長することができ、毎回1年とする。専利所轄官庁は期間満了の1ヵ月前に、国防部又は国家安全関連機関に照会し、秘密保持の必要がない場合は、直ちに公開しなければならない。
 第1項の発明が特許査定された場合において、秘密保持の必要がなくなったときは、専利所轄官庁は出願人に3ヶ月以内に証書料及び1年目の特許料を納付するよう通知しなければならず、前記費用が納付された後はじめて公告される。期間が満了しても前記費用を納付しなかった場合、公告を行わない。
 秘密保持期間に出願人が受けた損失について、政府は相当の補償を与えなければならない。

2.発明の保全に関する制度の内容
2-1.国防上の機密等を含む特許出願の審査

 一般的に、秘密保持の必要性を伴う特許出願の処理には、国によって次の2つの方法のいずれかを採用している。一つは、秘密を保持したまま、秘密解除前に特許査定をせずに、国は出願人に一定の補償を与えるというものである。もう一つは、特許出願の審査が行われ、特許要件を充足すれば特許査定されるが、公開を行わず、機密解除後に公開されるというものである。台湾は、後者のアプローチを採用している(專利法逐條釋義 第51条【内容説明】一)。

 台湾経済部智慧財産局(以下、「智慧財産局」という。)は、特許出願の審査において、出願書類に国防上の機密等を含む発明が開示されていると判断したときは、国防部等の意見を聴取する(専利法第51条第1項)。これは、秘密保持の必要性があるか否かは、国防業務を担当する国防部等が最も熟知しているからである。
そして、秘密保持の必要性がある場合は、特許出願の書類を封緘する(専利法第51条第1項)。出願人が実体審査の請求をした場合、査定書を作成し、出願人と発明者に送達するが、その際は公告を保留する理由も査定書に記載される(專利法逐條釋義 第51条【内容説明】一)。

2-2.出願人等の秘密保持義務と義務違反に対する法的措置
 保全の対象となった発明に係る特許出願は公開されず(専利法第37条第3項第2号)、保全の対象となった発明について、出願人、発明者、および代理人(以下、「出願人等」という。)は守秘義務を負い、出願人等が秘密保持義務に違反した場合、その特許出願を放棄したものとみなされる(第51条第2項)。守秘義務は、出願人等だけでなく、智慧財産局の審査官にも課される(專利法逐條釋義 第51条【内容説明】柱書)。

 国防上の機密等を含む特許が公告されるのは、機密が解除された後である。特許権の効力は特許が公告された後に発生する。したがって、公告前は、出願人は未だ特許権を取得しておらず、出願は審査完了の状態に過ぎない。出願人等が、守秘義務に違反して情報を公開した場合、特許出願の放棄とみなされ、秘密解除後、出願人は、専利法上の権利享有を主張できなくなる。また、国家機密を漏洩する行為については、刑法などに関連規定があり、罪に該当する場合は、刑事責任を問われることとなる(專利法逐條釋義 第51条【内容説明】二)。

台湾専利法第37条
 専利所轄官庁が、発明特許出願書類を受理した後、審査の結果、手続に規定に合致しない箇所がなく、かつ公開すべきでない事情がないと認めた場合、出願日から18ヶ月後に当該出願を公開しなければならない。
 専利所轄官庁は、出願人の請求により、その出願を早期公開することができる。
 発明特許の出願が、次の各号のいずれかに該当する場合、公開しない。
1. 出願日から15ヶ月以内に取り下げられた場合。
2.国防上の機密又はその他の国家安全に関わる機密に及ぶ場合。 (以下省略)

2-3.秘密保持の期間および機密解除の手続
 秘密保持の期間は1年間であるが、秘密保持の必要性がある場合は、1回につき1年の延長をすることができる(専利法第51条第3項)。秘密保持期間が満了する1か月前に、智慧財産局は、国防部等に照会し、秘密保持の必要性があるかを確認し、秘密保持の必要性がない場合には、直ちに秘密解除し公開する。これは、国防上の機密等を含む特許出願と判断され、秘密にすべきであった発明でも,状況によっては秘密にする必要がなくなる場合がある。よって、出願人の権利利益を保護し、出願人ができるだけ早く特許権を取得できるように、秘密保持期間は1年ごとに見直すことにしている(專利法逐條釋義 第51条【内容説明】三)。

 さらに、特許査定の後、国防部等が技術内容を秘密にする必要がなくなったと判断した場合、智慧財産局は、3か月以内に証書料および初年度の特許料を納付するよう出願人に通知する。期限までに納付された場合は公告し、期限までに納付されなかった場合は公告を行わない(専利法第51条第4項)。この規定は、2011年の専利法改正によって追加されたものである。

2-4.保全対象とされた場合の補償
 公共の利益のために出願人の権益が損なわれた場合には、政府は補償金を支給して出願人の権益を公平に保護すべきとの観点から(專利法逐條釋義 第51条【内容説明】五第5項)、秘密保持期間に出願人が受けた損失について、政府は相当の補償を与えなければならないと規定されている(専利法第51条第5項)。請求主体は出願人と考えられ、補償対象は「秘密保持期間に出願人が受けた損失」である。補償請求額は、単に「相当の補償」と規定されているに留まり、具体的な基準は示されていない。

2-5.外国出願の禁止
 専利法では、専利法第51条の秘密保持の対象となる発明について外国で特許出願をすることを明示的に禁止する規定は置かれていない。ただし、秘密保持義務を負う以上、外国での出願もできないという解釈がされる可能性は否定できないので、実際にこのような状況が生じた場合には、所轄官庁および専門家に相談することが推奨される。
 
2-6.保全措置に対する不服申立て
 秘密保持について、訴願法に基づき、不服申立てを行うことができる。「訴願」は、日本の行政不服審査法に基づく審査請求に類似する制度であり、行政処分に不服がある場合には、処分を受けた者が、処分をした行政庁の上級行政庁等に対して不服申立てをするものである。処分の送達を受けた日から30日以内に提起する必要がある(訴願法第1条、第14条)。

3.智慧財産局における国防上の機密等を含む特許出願の処理
 出願人が、特許出願に際して、国防上の機密発明等に該当することを申告する義務があるか否かについては、法令上、特にこれを義務付ける規定はおかれていない。また、いかなる場合に国防上の機密発明等に該当するかについて、明確な基準が公表されているわけでもないが、「作業要点」によれば、智慧財産局が、国防上の機密等を含む特許出願を処理する際の主なプロセスは、以下のとおりである。

(1) 出願人が、特許出願は国防上の機密等を含む旨申告した場合、智慧財産局は、要約、明細書、特許請求の範囲および図面を国防部等に送付の上、これらの意見を聴取する(作業要点 第5条第1項)。
特許出願時に申告がなかった場合、出願人は、遅くとも特許出願の公開準備作業の完了前までに、出願が国防上の機密等を含む旨の申告書を提出しなければならない。申告書は、要約、明細書、出願の範囲および図面に添付して、国防部等に送付され、これらの意見を聴取する(作業要点 第5条第2項)。
出願人が前記期間を過ぎても申告書を提出しない場合、出願は一般出願手続に基づいて審査され、審査の結果、国防上の機密等を含むと判断された場合、国防部等に必要な書類を送付し、これらの意見を聴取する(作業要点 第5条第3項)。

(2) 意見を聴取した結果、特許出願に係る発明を秘密保持にする必要性はないと判断された場合、特許出願は、一般出願手続に基づいて処理される(作業要点 第6条)。

(3) 秘密保持の必要性のある特許出願の各段階の審査プロセスは、以下のとおりである(作業要点 第7条)。
(a) 方式審査段階で、出願人に、出願が公開されない旨を通知する。
(b) 特許公開前の審査段階において、関連する作業を非公開とする。
(c) 以下の場合、関連する規定に従い、公開手続を行う。
・出願日から3年以内に実体審査の請求がなく、専利法第38条第4項の規定により出願が取り下げられたものとみなされ場合において、智慧財産局が、国防部等に照会した結果、秘密保持の必要性がないと判断した場合。
・国防部等が承認した秘密保持期間が満了し、または、秘密保持解除の条件を満たした場合。

(4) 当該出願が、秘密を保持する必要があると認められた場合、秘密保持期間は、査定書が出願人に送達された時から1年間とする。また、秘密保持期間は延長することができ、毎回1年とする。秘密保持期間が満了する1か月前に、智慧財産局は、国防部等に照会して、秘密を保持する必要性があるかを確認する。秘密保持する必要性がないと判断した場合には、直ちに秘密保持を解除し、要約書、明細書、特許請求の範囲および図面を電子スキャンした上で公開手続を行う(作業要点 第11条第1項)。

台湾における知的財産の基礎的情報(全体マップ)-実体編

1. 出願ルート

 台湾では、専利権(特許権、実用新案権、意匠権)、商標権を取得するために、以下のルートにより出願することができる。しかし、WTO協定およびTRIPS協定以外の知的財産に関する国際協定に加盟しておらず、国際出願(PCT、マドリッド協定)、広域出願は不可である。ただし、台湾はパリ条約には加盟していないが、相互主義により日本・台湾間の出願にパリ条約に基づく優先権主張は可能であり、またTRIPS協定の適用により台湾以外のWTO加盟国におけるPCT出願等の優先権を主張することも可能である。

[台湾における出願ルート]

直接出願 国際出願 広域出願
特許 不可 不可
実用新案 不可 不可
意匠 不可 不可
商標 不可 不可

<諸外国・地域・機関の制度概要および法令条約等>
 URL:https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/mokuji.html

2. 法令・制度等

(1) 主な法律

法域 法律・規則(公用語)/(英語)
a: 法律・規則等の名称
b: 主な改正内容
URL:
改正年
(YYYY)
施行日
(DD/MM/YYYY)
専利 (公用語)
a: 専利法(特許、実用新案、意匠を管掌)
b:
 第60条の1「医薬品の許可証申請者が、新薬医薬品の許可証の所有者がすでに販売許可された新薬の記載済み特許権について、薬事法第48条の9第4号規定により声明した場合、特許権者は通知を受けた後、第96条第1項規定に基づき、侵害の排除又は防止を請求することができる。特許権者が薬事法第48条の13第1項で定めた期間内に前項の申請者に対し訴訟を提起していない場合、当該申請者はその申請した医薬品許可証の医薬品が当該特許権を侵害しているか否かについて確認の訴えを提起することができる」が追加された。

URL:https://law.moea.gov.tw/LawContent.aspx?id=FL011249

関連記事:「台湾における専利法の一部改正」(2020.8.11)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19392/


(2022)

(01/07/2022)
(英語)
a: Patent Act (as amended in 2022)
URL:https://www.tipo.gov.tw/en/dl-282833-b7190234ce204c4da2a878128d163706.html

(日本語)
a: 專利法
URL:https://chizai.tw/wp-content/uploads/2022/07/専利法(2022年7月1日施行)-j-.pdf


(2022)



(2022)
(公用語)
a: 專利法施行細則
b: 専利法改正に伴う改正。
URL:https://law.moea.gov.tw/LawContent.aspx?id=FL011250


(2023)

(01/05/2023)
(英語)
a: Enforcement Rules of the Patent Act (2023)
URL:https://www.tipo.gov.tw/en/dl-284613-8265faf0dae54efaa31a5ac58aa8b364.html

(日本語)
a: 專利法施行細則(旧細則)
URL:https://chizai.tw/wp-content/uploads/2022/10/專利法施行細則(2022年10月20改正)-j.pdf


(2023)



(2022)
商標 (公用語)
a: 商標法
b:
 没収に関する刑法条文の修正に応じて、第98条の用語が改正された。

修正前:
「商標権、証明標章権又は団体商標権を侵害する物品又は書類は、犯人の所有に属するか否かを問わず、これを没収する。」(第98条)
修正後:
「商標権、証明標章権又は団体商標権を侵害する物品又は書類は、犯罪行為者の所有に属するか否かを問わず、これを没収する。」(第98条)

URL:https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawOldVer.aspx?pcode=J0070001



(2016)

(15/12/2016)
(英語)
a: Trademark Act 2023
URL:https://law.moj.gov.tw/ENG/LawClass/LawAll.aspx?pcode=J0070001

注)現在施行されている商標法は2016年改正法であるが、同法の英語版は、未施行の最新の2023年改正法に上書きされてしまっているため、2023年法のURLを掲載する。

(日本語)
a: 商標法
URL:https://chizai.tw/wp-content/uploads/2023/06/商標法(2016年12月15日施行)-.pdf


(2023)




(2016)
(公用語)
a: 商標法施行細則
URL:https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=J0070002
b:
 商標法施行細則第19条第2項では、「商標の主務官庁は、WTOのニース協定に照らして、『商品及び役務の国際分類表』を作成したうえで、公告する」と改正された。

最新版の国際分類表は、下記智慧財産局のURL参照
URL:https://topic.tipo.gov.tw/trademarks-tw/cp-539-860501-9fc4a-201.html


(2018)

(07/06/2018)
(英語)
a: Enforcement Rules of the Trademark Act
URL:https://law.moj.gov.tw/ENG/LawClass/LawAll.aspx?pcode=J0070002

(日本語)
a: 商標法施行細則
URL:https://chizai.tw/wp-content/uploads/2022/05/商標法施行細則(2018年6月7日施行)-j-.pdf


(2018)




(2018)
著作権 (公用語)
a: 著作權法
b:
 学校および非営利の遠隔教育の場合、授業に必要な範囲内で、他人の著作物の合理的な利用ができるようになった(第46条、第46条の1)。

URL:https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=J0070017

(2022) (15/06/2022)
(英語)
a: Copyright Act
URL:https://www.tipo.gov.tw/en/lp-295-2-1-20.html

(日本語)
a:著作権法
URL:https://chizai.tw/test/wp-content/uploads/2021/11/20190501-著作権法(20190501施行).pdf

(2022) (2019)
不正競争 (公用語)
a: 公平交易法
b:
 企業結合案件の審査期間が60日から60仕事日へと改正されるほか、「主務官庁は、企業結合案件について外部の意見を募集することができる。必要である場合、産業経済の分析意見について、学術研究機関に依頼することができる。」との条文が新設された(第11条第9項)。
URL:https://www.ftc.gov.tw/internet/main/doc/docDetail.aspx?uid=1396&docid=167


(2017)

(14/06/2017)
(英語)
a: Fair Trade Act of 2017
URL:https://www.ftc.gov.tw/internet/english/doc/docDetail.aspx?uid=1295&docid=15182

(日本語)
a:台湾公平交易法
URL:https://chizai.tw/test/wp-content/uploads/2022/01/20220119-台湾公平交易法(2017年6月14日発効)-j.pdf

(2017)




(2017)



(2) 審査基準等

法域 審査基準、ガイドライン、マニュアル等
a:審査基準等の名称
URL:
最終更新
b:(DD/MM/YYYY)
専利 (公用語)
a: 專利審查基準彙編
URL:https://topic.tipo.gov.tw/patents-tw/lp-682-101.html


(03/07/2023)
(英語)
a: Patent Examination Guidelines, Part II: Substantive Examination for Invention Patents, Chapter 1,3,11,12(下記URL「Patent Act」画面でNo.13~16)
URL:https://www.tipo.gov.tw/en/lp-293-2.html

(日本語) a:専利審査基準(台湾知的財産権情報サイトで「法令・審査基準等」タブから「審査基準(専利)」タブを選択
URL:https://chizai.tw/legal/


(07/08/2023)






(14/07/2021)
(「基準」の種類により異なる)
商標 (公用語)
a: 商標審查基準彙編
(下記の審査基準をまとめたサイト)
URL:https://topic.tipo.gov.tw/trademarks-tw/lp-517-201-1-20.html


(07/06/2023)




a: 商標識別性審查基準
URL:https://topic.tipo.gov.tw/trademarks-tw/cp-517-860259-f5cf9-201.html

a: 混淆誤認之虞審查基準
URL:https://topic.tipo.gov.tw/trademarks-tw/dl-280016-cfbd6f2d0de04a86b65a061645abc68d.html
(ファイルがダウンロードされる。)

a: 商標法第30條第1項第11款著名商標保護審查基準
URL:https://topic.tipo.gov.tw/trademarks-tw/cp-517-860255-51632-201.html

(01/09/2022)


(27/10/2021)




(19/03/2020)

(英語)
a: Examination Guidelines on Distinctiveness of Trademarks
なし

a: Examination Guidelines on Likelihood of Confusion
なし

a: Examination Guidelines for the Protection of Well-known Trademarks under Subparagraph 11 of Paragraph 1 of Article 30 of the Trademark Act
URL:https://www.tipo.gov.tw/en/cp-294-175682-081b5-2.html








(16/04/2014)

(日本語)
a:商標審査基準(台湾知的財産権情報サイトで「法令・審査基準等」タブから「審査基準(商標)」タブを選択
URL:https://chizai.tw/legal/


(01/08/2023)
(「基準」の種類により異なる)



(3) 主な条約・協定(加盟状況)

条約名 加盟 加盟予定
(YYYY)
未加盟
(1) パリ条約
(工業所有権の保護に関するパリ条約)
☐( )
(2) PCT
(特許協力条約)
☐( )
(3) TRIPs
(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)
☐( )
(4) PLT
(特許法条約)
☐( )
(5) IPC
(国際特許分類に関するストラスブール協定)
☐( )
(6) ハーグ協定
(意匠の国際登録に関するハーグ協定)
☐( )
(7) ロカルノ協定
(意匠の国際分類を定めるロカルノ協定)
☐( )
(8) マドリッド協定
(標章の国際登録に関するマドリッド協定議定書)
☐( )
(9) TLT
(商標法条約)
☐( )
(10) STLT
(商標法に関するシンガポール条約)
☐( )
(11) ニース協定
(標章の登録のため商品及びサービスの国際分類に関するニース協定)
☐( )
(12) ベルヌ条約
(文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約)
☐( )
(13) WCT
(著作権に関する世界知的所有権機関条約)
☐( )
(14) WPPT
(実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約)
☐( )



3. 料金表

[情報1]

(公用語)
Title: 專利規費清單
URL:https://topic.tipo.gov.tw/patents-tw/cp-707-870831-4d63a-101.html

(英語)
Title: Schedule of Patent Fees
URL:https://www.tipo.gov.tw/en/cp-822-873215-9905e-2.html

[情報2]

(公用語)
Title: 商標規費清單(101年7月1日起生效)
URL:https://topic.tipo.gov.tw/trademarks-tw/cp-537-860499-15903-201.html

(英語)
Title: Schedule of Trademark Fees 2012
URL:https://www.tipo.gov.tw/en/dl-262364-86b72387a0cb4e528f51e622ec0eec9c.html
(ファイルがダウンロードされる。)

関連記事:「台湾における商標に関する政府料金」(2017.08.10)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/13976/
(注)本記事作成後、2023年10月12日付で上記記事は更新されています。
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/37464/

台湾における特許の早期権利化の方法

1.発明特許早期審査(AEP)制度
 台湾では、2010年1月1日から「発明特許早期審査の運用方案(AEP)」を正式に施行しているが、2014年1月1日からグリーンエネルギー技術に関する出願についても、早期審査申請事由(事由4)に追加された。その後、2022年1月1日に事由4「グリーンエネルギー技術」が「グリーンテクノロジー関連発明」に修正された。
 AEP制度を利用できる要件として、まず実体審査請求を行い、台湾知的財産局が発行した実体審査段階に入ることを通知する書簡が届いた後に早期審査を申請することができるが、第1回審査意見通知書が発行される前に提出しなければならない。また、早期審査申請事由としては、以下に示す(ⅰ)事由1、(ⅱ)事由2、(ⅲ)事由3、(ⅳ)事由4のいずれかを満たす必要がある。

 早期審査申請事由
(ⅰ)事由1 対応する外国出願が、外国特許庁の実体審査を経て、登録査定されたもの

必要書類 外国特許庁 審査結果までの処理期間
1. 申請書
2. 外国特許庁が登録査定公告したクレーム(中国語訳を含む)、または外国特許庁の登録査定通知(*1)の写しおよび公告が予定されているクレーム(中国語訳を含む)。
3. 外国特許庁の審査過程で出された審査意見通知書およびサーチレポート。中国語、英語以外の場合は、中国語の要点説明書を提出しなければならない。
4. 上記2.のクレームの中国語訳と台湾出願で提出したクレームとの差異の説明。差異のない場合は、上記1.の申請書における「差異なし」の項目に印を付けること。
5. 上記3.で、対応出願が、新規性または進歩性の欠如を指摘され非特許文献が引用された場合は、その写し(特許文献の場合は、提出不要)。
6. 手数料:無料
限定なし 6か月
ただし、実際の審査期間は、出願の属する技術領域により異なる。

*1:米国特許庁の「Notice of Allowance and Fees Due(PTOL-85)」、日本国特許庁の「特許査定」、欧州特許庁の「Decision to Grant a European Patent」等が該当する。

注1. 台湾で優先権を主張している基礎出願で、同一のパテントファミリーに属するものを「対応する外国出願」とすることができる。但し、台湾において優先権を主張していない対応出願を除外するものではなく、出願のクレームに記載されている発明が対応出願の明細書または図面に開示されているかどうかによって判断することを原則とする。

注2. 必要書類1~3は、提出必須。但し、サーチレポートが発行されていない場合は、提出しなくてよい。4~5は該当しない場合は不要。

注3. 出願人が早期審査のために有利と考える場合は、以下を提出することができる。
・ 外国特許庁に提出した答弁書
・ 引用文献により、対応出願が新規性または進歩性の欠如を指摘された場合、出願人は台湾出願が特許性を有する理由を説明することができる。

注4. 台湾出願において、出願人に対してクレームの減縮を要求する審査意見通知が出され、出願人が既に減縮したときは、出願人は、その補正クレームより広い範囲で登録査定された外国出願に基づいて早期審査を申請することはできない。

(ⅱ) 事由2 対応する外国出願が、米国、日本、欧州特許庁の審査意見通知書およびサーチレポートの発給を受けているが、審査結果は出ていないもの

必要書類 外国特許庁 審査結果までの処理期間
1. 申請書
2. 米国、日本、欧州特許庁の審査意見通知書で依拠したクレーム(中国語訳を含む)。
3. 米国、日本、欧州特許庁が発行した審査意見通知書(*2)およびサーチレポート(*3)の写し。英語以外のものは、中国語の要点説明書を提出しなければならない。
4. 上記2.のクレームの中国語訳と台湾出願で提出したクレームとの差異の説明。差異のない場合は上記1.の申請書における「差異なし」の項目に印を付けること。
5. 上記3.の審査意見通知書およびサーチレポートにおいて、引用文献により対応出願が新規性または進歩性欠如を指摘されている場合は、台湾出願が特許性を有する理由を説明しなければならない。
6. 上記5.の引用文献に非特許文献が含まれている場合は、その写し(特許文献の場合は提出不要)。
7. 手数料:無料
米国、日本、欧州特許庁 6か月(クレームに差異がない場合)

9か月(クレームに差異がある場合)

ただし、実際の審査期間は、出願の属する技術領域により異なる。

*2:米国特許庁の「Non-final rejection」、日本国特許庁の「拒絶理由通知書」、欧州特許庁の「Communication pursuant to Article96(2)EPC」または「Intention to Grant」または「Communication about Intention to Grant a European Patent」等が該当する。
*3:米国特許庁、 日本国特許庁または欧州特許庁を指定するPCT出願で国際調査機関(ISA)が作成した国際調査報告(ISR)または欧州特許庁が作成する欧州調査報告(European Search Report)

注1. 必要書類1~3は、提出必須。4~6は、該当しない場合は不要。

注2. 出願人が早期審査のために有利と考える場合は、以下を提出することができる。
・ 外国特許庁に提出した答弁書
・ 第2次またはそれ以降の審査意見等

(ⅲ) 事由3 ビジネスの実施上、必要とするもの

必要書類 審査結果までの処理期間
1. 申請書
2. 申請者のビジネス実施証明書(例:すでに交渉された実施許諾契約、販売カタログ等)
3. 手数料:NT$4,000
6か月
ただし実際の審査期間は、出願の属する技術領域により異なる。


(ⅳ) 事由4 グリーンテクノロジー関連発明に関するもの

必要書類 審査結果までの処理期間
1. 申請書
2. クレーム(特許請求の範囲)に記載された発明が、台湾のグリーンテクノロジー関連カテゴリーに該当することの説明
3. 手数料:NT$4,000
6か月
ただし、実際の審査期間は、出願の属する技術領域により異なる。

注1. グリーンテクノロジー関連発明の範囲は以下を含む。
ⅰ. 省エネルギー技術、新エネルギー技術、新エネルギー自動車等に関する技術分野
ⅱ. 二酸化炭素削減および省資源に関する発明
 具体的には、例えば、以下の技術分野: 1. 太陽エネルギー、2. 風力エネルギー、3. バイオエネルギー、4. 水力発電、5. 地熱エネルギー、6. 海洋エネルギー、7. 水素エネルギーおよび燃料電池、8. 二酸化炭素貯蔵、9. 廃棄物エネルギー、10. LED照明、11. グリーンおよび環境に優しい自動車の技術分野。

2.台日特許審査ハイウェイ(PPH MOTTAINAI)制度
 2012年5月から、台湾と日本との間で特許審査ハイウェイの試行プログラムが実施され、2014年5月1日に3年間の継続および新スキーム(PPH MOTTAINAI)が導入された。また、2017年5月1日より、更に3年間の継続合意がなされた後、2020年5月1日より、台湾と日本との間では「台日特許審査ハイウェイ(PPH MOTTAINAI)」制度が試行プログラムから永続型プログラムへと移行された。
 PPHの場合も、AEPの場合と同様に、まず実体審査請求を行い、台湾知的財産局が発行した実体審査段階に入ることを通知する書簡が届いた後に申請することができる。また、PPH申請は、第1回審査意見通知書が発行される前に提出しなければならない。
 PPH MOTTAINAI制度を利用できる要件として、日本国特許庁(以下、「JPO」という。)が審査を経て日本の優先権基礎出願の少なくとも1項以上の請求項を特許可能と認めれば、出願人はそれに基づき台湾の対応出願について、早期審査を申請できる。但し、JPOの特許査定を取得した出願人が、台湾でPPHを申請する場合、台湾での特許請求範囲は、JPOが特許査定した特許請求範囲と完全に同一、または減縮するよう補正しなければならない。

必要書類
1. 申請書
2. JPO発行の日本優先権基礎出願の各オフィスアクション(以下、「OA」という。)、特許査定された特許請求の範囲およびその翻訳(但し、日本の特許請求の範囲がJPO AIPN (Advanced Industrial Property Network)から取得することができれば、提出不要)
3. 台湾出願と日本の優先権基礎出願との特許請求の範囲の比較表
4. JPOでの審査時に引用された非特許文献
5. 手数料:無料

 2022年の統計によると、発明出願全体の平均特許査定率は77.91%であるが、PPHを利用した件の特許査定率は93.01%に達する。

3.AEP/PPH申請の効果
 2022年、一般の発明特許出願に係る第1回OA発行までの平均日数および審査終結までの平均日数は、それぞれ8.8か月および14.3か月である。
 しかし、AEPまたはPPHを利用した場合の平均日数は、下記の通りに短縮される。

AEP PPH (日本出願人)
事由1 事由2 事由3 事由4
第1回OA発行までの平均期間 48.9日 92.3日 73.5日 57.9日 42.3日
審査終結までの平均期間 155.1日 258.7日 207.9日 219.4日 118.3日

 もし、台湾発明特許出願に対応する日本出願が既に特許査定を取得していた場合、台湾でPPHを申請することが好ましい。一方、対応する日本出願が、OAの発給を受けているが審査結果は出ていないもの、ビジネスの実施上、必要とするもの、あるいはグリーンテクノロジーに関するものであれば、台湾でAEPを申請することができる。

台湾における商品・役務の類否判断について(前編)

1.はじめに
 台湾智慧財産局(日本の特許庁に相当、以下「知的財産局」という。)は、「誤認混同のおそれに関する審査基準(混淆誤認之虞審查基準)」を制定しており、そこで商品または役務の類否について解説している。ちなみに、知的財産局が、別途、「商品・役務分類及び相互検索参考資料(商品及服務分類暨相互檢索参考資料)」を作成、公開しており、商品・役務の類否判断に際し、重要な参考資料となっている。
 本稿では、主にこの「誤認混同のおそれに関する審査基準」および「商品・役務分類及び相互検索参考資料」を参考にして主題を検討し、商品または役務の類否判断の基本的な考え方、商品間の類否、役務間の類否、商品・役務間の類否、の4点に分けて解説する。

2.基本的な考え方
(1) 台湾の審査手法について
 知的財産局の商標審査実務では、商標が登録できるか否かを審査する際、日本と同様、まずは、①出願商標が識別力を有するか否かを判断し、次いで、②①で識別力を有すると判断した場合、出願商標の指定商品・役務と同一または類似する商品・役務において、同一または類似の先行商標が存在するか否かを調べ、かかる先行商標を発見した場合、最後に、③先行商標と出願商標とを比較対照し、同一または類似するか否かを判断する、という審査手法をとっている。

 ①の識別力の判断に関しては「商標識別性審査基準」に、③の商標の類否判断に関しては「誤認混同のおそれに関する審査基準」に従い、それぞれ判断が行われている。

 ちなみに、商標の標識(mark)が同一または類似を構成し、またその指定商品・役務についても同一または類似関係を有すると判断された場合、次いで、誤認混同を引き起こすおそれがあるか否かについて判断されることになり、その結果、誤認混同のおそれがあると判断された場合、出願商標は拒絶されることになる。

 「誤認混同のおそれに関する審査基準」2.には、基本的に、両商標の標識が同じで、さらに指定商品・役務も全く同じである場合、誤認混同のおそれがあると認められる、と規定されている。ただし、両商標の標識が同一でなく類似を構成し、その商品・役務が同一または類似関係を有する場合、さらに両標識の類似度合いおよび商品・役務の類似度合いを考慮し、「誤認混同のおそれ」があるか否かを判断しなければならない、と規定されている。

 両商標の「標識が類似」および「指定商品・役務が類似」という2つの要素がそろった場合、誤認混同のおそれがないとはいえないが、必然的に誤認混同のおそれがあるといえるものではない。その他の重要な要素の存在により、誤認混同のおそれがないこともあり、例えば、2つの商標が市場において既に長期にわたり並存しており、かつ、いずれも商品・役務の関連消費者に熟知され、容易に区別できる場合、誤認混同のおそれはないと認定される。このように、「標識の類似」および「商品・役務の類似」という要素以外に、誤認混同のおそれの有無に影響しうる他の関連要素が存在するかしないかも考慮されるべきものである。

 前述のように、商品・役務の類否判断の重要な参考資料として、「商品・役務分類及び相互検索参考資料」が作成されている。これは商品・役務が類似するか否かの実務上の判断において極めて重要な参考資料であり、同参考資料によって同じ類似群(類似群コード前4桁が同一)に属するものと、相互検索すべき類似群に属するものであれば、基本的に類似関係を有すると認められるが、商品・役務の類否については、個別案件において一般の社会通念および市場取引の状況を斟酌し、商品・役務の各種の関連要素を考慮しなければならない。

 「誤認混同のおそれに関する審査基準」5.3.3および「商品・役務分類及び相互検索参考資料」によると、通常、類似商品・役務とは、同一もしくは似ている性質・効能・用途を備えていることが一般的である。よって、原則として、商品・役務の類似性を判断する際は、まず、商品・役務の性質・効能・用途から考慮すべきであり、そして、製造者・提供者、それから販売ルート・場所、および消費者層などの要素を考慮すればよい。

 なお、日本国特許庁および日本台湾交流協会は、日本と台湾のそれぞれの商標審査で使用されている類似群コードの対応関係を示す一覧表(日台類似群コード対応表)を作成し、公表しているので参考にされたい。

3.商品間の類否について
(1) 商品間の類否判断における考え方

 台湾における商品の類否判断について、前述のとおり、基本的に「商品・役務分類及び相互検索参考資料」に開示されている同じ類似群(類似群コード前4桁が同一)に属するものと、相互検索すべき類似群に属するものであるか否かをもって行われている。その具体的な判断原則としては、「誤認混同のおそれに関する審査基準」5.3.4、5.3.5において、「商品の性質・効能または用途に関する原則」および「完成品と部品、原料または半製品に関する原則」という2つが規定されている。

① 商品の性質・効能または用途に関する原則
 商品の性質とは、商品の本質または特性を指す。例えば、「新鮮な果物」と「コーヒー」は、いずれも食用できる商品であるが、性質が異なる。一方、「炭酸水」と「ジュース」は、いずれも飲み物で、性質が同じである。
 商品の効能または用途とは、主な使用予定の目的を指しており、使用可能な方法ではないので、一般の社会通念により判断されるべきである。例えば、「スリッパ」の効能・用途は足元を保護し、歩くことを補助することであって、ゴキブリを殺すことではない。よって、「スリッパ」と「ゴキブリ駆除器」は、性質が異なる商品である。同一の効能・用途を有する商品とは、例えば、「ボールペン」と「万年筆」のように、書くことが主な効能または用途であり、書くために使用されることによって消費者の需要を満足させるものである。

 同審査基準では、更に「相互補完効能を有する商品」と「コーディネートして使用される商品」という2つの類型が取り上げられている。

A.「相互補完効能を有する商品」:
 「万年筆」と「万年筆のインク」のように、消費者群が同一で、片方がないと、他方も影響を受け、一緒に使用する必要があり、互いに補い合うことにより、共同で消費者の特定の要求を満たすことができる商品をいう。相互補完関係が密接になればなるほど、類似程度も高くなる。
 相互補完効能は、原則的に商品の使用のみに適用され、商品の製造過程には適用されない。また、完成品とその部品の間に類似関係があるとは限らない。(下記②を参照)
B.「コーディネートして使用される商品」:
 2つの商品がコーディネートして使用されることは、概念上、相互補完関係を有することとは異なり、例えば、第9類の「眼鏡」と第14類の「宝石」は、スタイリングとコーディネートとして併せて使用される可能性があるが、両者の性質および主な用途は異なるので、類似商品とは認められない。「眼鏡」の主な目的は視力改善用で、「宝石」はアクセサリーとして付けられるもので、両者は販売ルートが異なるほか、競争性も相互補完関係も有さないと認められる。一方、第25類の「被服」と「靴」は、いずれも体を保護するために、通常コーディネートして使用される商品である。消費者が「被服」を買うときに、同じ売り場で「靴」が見つかることを期待でき、両者が同一業者により製造されることもよくあることから、類似関係があると認定される。

② 完成品と部品、原料または半製品に関する原則
 商品自体とその製造材料には、必ずしも類似関係があるわけではない。当該材料が他人により製造・販売され、消費者は商品と材料が異なる出所であることを知っている場合、またはある材料が製造過程においてのみ使用され、一般人が買うことのできない場合、類似関係はないと認められる。
 商品自体とその部品または半製品とが必要な依存関係を有する場合、例えば、部品または半製品がなければ、商品の経済上の使用目的を達成できない場合は、類似商品として認められる可能性が高くなる。例えば、「電気式歯ブラシ」と「電気式歯ブラシ用ヘッド」、「自動車」と「自動車用リム」がその例である。
 一方、「皮革」と「皮革製被服;皮革製靴」のように、当該部品または半製品が製造過程において著しく変化し、完成品とは、その性質・用途、または消費者層・販売ルートも大きく異なる場合、前者(半製品)の購買者は製造産業であって、通常、消費者が直接買うことはなく、その販売ルートや消費者層も後者(完成品)とは異なるので、類似商品ではない。また、当該部品または半製品があらゆる商品に使われる場合、原則的に商品自体と類似しないと認められる。例えば、「酵母」と「パン」、「卵」と「ケーキ」も類似商品ではない。
 また、上記のほか、両商品が同一の製造業者に由来するものである場合、類似関係を有すると認定される可能性は高い。例えば、第27類の「カーペット」と第24類の「タペストリー」、第9類の「電子出版物」と第16類の「本;雑誌」がその例である。
 一方、両商品の販売ルートや売り場が同じであっても、類似関係があるとは限らない。例えば、第21類の「お皿;コップ」と第24類の「マットレスカバー;布団カバー」は、同じ売り場で販売されるにもかかわらず、商品の性質・効能または用途に差異が大きく、製造者も異なるので、類似しないと認められる。しかし、第7類の「家庭用ミキサー」と第11類の「電気コーヒー沸かし」は、同じ家電エリアで販売されるものなので、類似商品として認められる。

(2) 類見出し(Class Heading)の取り扱いについて
 台湾では、類見出し(クラスヘッディング)の表記が認められているものもあれば、認められないものもある。「商品・役務分類及び相互検索参考資料」によると、類見出しの前に「#」記号を付けているものは、範囲が広すぎるため表記として認められないものであり、具体的な商品を指定しなければならない。

(3) 商品名を指定する際の留意事項について
 「商標登録出願の方式審査基準(商標註冊申請案件程序審查基準)」2.1には、商品名を指定するときに、必ず具体的に指定しなければならず、「他の区分に属さない全ての商品」、「本区分に属する全ての商品」という範囲が広すぎる表記を指定することができない、と示されている。例えば、「台所用具」は、範囲が広すぎて不明確であるため、具体的に第8類の「台所用ナイフ」、第11類の「電気式ケトル」、または第21類の「コップ」を指定することが考えられる。
 実務上、日本の商標実務者は、「電子応用機械器具及びその部品」、「測定装置」など日本で認められている商品を指定しがちであるが、台湾では、それらの範囲は広すぎて不明確であるとして、具体的に列挙するよう補正を求められる。
 また、台湾の商標登録出願の政府手数料は、指定する商品が20個までの場合はNT$3,000となり、20個を超える場合は、1個ごとに政府手数料(割増料金)NT$200を納付する必要がある。よって、費用の面から、商品数は20個以内に抑えることも考えられる。
 商品個数の計算基準として「商品と特定商品の小売・卸売の個数計算原則及び例示(商品及特定商品零售服務個數計算原則及例示)」が定められている。例えば、一つの商品に、形状/用途を説明する形容詞を付ける場合、形状/用途の数により個数が異なり、「粉状・粒状・ペースト状のプラスチック」の場合は計3個で、「写真複写機用及びプリンター用カートリッジ」の場合は計2個となる。
 指定商品・役務の表現および所属区分は、実務変更により変わるほか、審査官により取り扱いも異なり、同一名称が過去に認められたことがあっても、後願で認められない場合もある。最新情報は、知的財産局の下記データベース、「商品・役務名分類照会(商品及服務名稱分類査詢)」を参照されたい。
(後編に続く)

台湾における商品・役務の類否判断について(後編)

(前編から続く)

4.役務間の類否について
(1) 役務間の類否判断における考え方

 役務間の類否判断も、商品の類否判断と同様、前述のとおり、基本的に「商品・役務分類及び相互検索参考資料」に開示されている同じ類似群(類似群コード前4桁が同一)に属するものと、相互検索すべき類似群に属するものであるか否か、をもって行われている。その具体的な判断原則については、台湾における役務の類否判断に関し、「誤認混同のおそれに関する審査基準」5.3.9には、「役務の性質、内容又は提供者などの要素に関する判断原則」が示されている。
 役務の性質、内容は、他人へ提供する労務または活動の類型により異なる。例えば、「タクシーによる輸送」と「バスによる輸送」はいずれも乗物による運輸役務を提供するほか、性質も同じであるため、類似関係を有すると認定される。
 役務の目的は、消費者の特定の需要を満たすことである。その需要の類似性、または代替性が高くなれば、それだけ役務間の類似程度も高くなる。例えば、「英語専門の塾」と「数学・理科専門の塾」、「民宿における宿泊施設の提供」と「ホテルにおける宿泊施設の提供」は、類似役務に該当する。
 さらに、通常、両役務が同一の業者によって提供される場合、類似関係があると認められる可能性は高い。例えば、「指圧マッサージ」と「サウナ」がその例である。

(2) 小売役務について
 台湾では、役務名として「小売(retail services or wholesale services)」のみを指定することは認められない。
 「商品・役務分類及び相互検索参考資料」では、「総合的小売」および「特定商品の小売」に分けて、それぞれ具体的に列挙して指定する必要がある、と明記されている。「総合的小売」の具体的な例としては、デパート、インターネットショッピング、スーパーマーケット等が挙げられる。
 台湾では、「小売」の代わりに、特定商品の小売を指定しなければならないので、総合的小売の「デパート」と、特定商品の小売としての「被服の小売」とが類似を構成するか否かは、審査基準に関連規定はないが、審査実務上、原則的に類似しないとされている。一般の社会通念および市場取引状況に基づき、役務の受取人(消費者)に、その商品が同一、または同一ではないが出所に関連があると誤認されやすい場合、例外的に類似関係を有すると認められる。一方、「特定商品の小売」と「特定商品」とが類似するか否かは、下記5.を参照願いたい。
 また、当該登録商標を使用していない商品に関し、不使用取消とされる可能性があるか否かについては、台湾商標法第63条第2項により、商標が登録された後に、正当な事由なくそれを使用せず、またはその使用を停止して既に3年を経過したとき、商標主務官庁は職権または請求により、その登録を取り消すことができる。即ち、特定商品を指定して登録を受けても、登録後3年以上の不使用という事実がある場合、当該商品における登録が取り消されるリスクがある。

(3) 役務名を指定する際の留意事項について
 実務上、よく日本の実務者が「電子出版物の提供」のような名称を第41類で指定するが、それは日本で認められる表記であって、台湾では認められない。台湾では、役務として「(第41類)電子出版物のオンライン閲覧(ダウンロードできない)」を指定するか、または商品として「(第9類)ダウンロードできる電子出版物」を指定する必要がある。
 商標登録出願の政府手数料は、役務の場合、第35類を除くその他の区分(第36類~第45類)は、区分ごとにNT$3,000であるが、第35類の「特定商品の小売・卸売り」を指定した場合、5個以内はNT$3,000で、5個を超えた場合、1個ごとに政府手数料NT$500の割増料金を納付する必要がある。第35類では、「特定商品の小売・卸売り」以外の役務を指定する場合、個数を問わず一律NT$3,000となる。

5.商品・役務間の類否について
(1) 商品・役務間の類否判断における考え方

 台湾における商品・役務間の類否判断に関しても、基本的に「商品・役務分類及び相互検索参考資料」に開示されている相互検索すべき類似群に属するものであるか否かをもって行われている。具体的な判断原則について、「誤認混同のおそれに関する審査基準」5.3.10には、①通常、商品の製造・販売と役務の提供が同一の事業者によって行われるか、②商品と役務の効能又は使用目的が一致するかどうか、③商品の販売場所と役務の提供場所が同一であるかどうか、および④商品と役務の消費者層の範囲が重なるかどうか、などの要素を総合的に考慮して判断する、と示されている。
 同審査基準では、以下の具体例が挙げられている。

① 第9類の「コンピュータハードウエア;コンピュータソフトウエア」商品と第42類の「コンピュータプログラミング;コンピュータデータ処理」役務は、類似関係を有する。
 商品と役務の間には、効能上、相互補完関係が存在し、また、同じ情報技術分野に属すものであるので、性質・消費者層および販売ルートなどの要素において共通・関連しているので、類似関係を有すると認める。

② 第25類の「被服」商品と第35類の「被服の小売」役務は、類似関係を有する。
 役務の目的が、特定商品の販売を提供する場合、両者は類似関係を有すると認められている。
 「被服の小売」の目的は、「被服」の販売を提供することで、また、通常、商品の販売場所と役務の提供場所が同一であるほか、消費者層も同様であるため、類似関係を有すると認める。

 台湾では、「『特定商品の小売り及び卸売り』および『当該特定商品』間の類似検索関係の参考表(「特定商品零售批發服務」與該「特定商品」間類似檢索關係參考表)」という参考資料があり、そこには、「一般社会通念及び取引の状況に照らして、役務又は商品の出所が同一である、または同一ではないが関連性があると誤認を生じやすい場合は、類似関係を有する、という一般的な原則が定められている。「被服」と「被服の小売」のほか、例えば、「飲料」と「コーヒー飲料の小売」、「薬剤」と「人用薬品の小売」も類似関係を有すると認められている。
 一方、同審査基準では、「総合的小売」(デパート、インターネットショッピングなど)と、「特定商品」の間に類似関係を有するか否かについて、明確な規定がない。知的財産及び商業裁判所110年行商更(一)字第4号行政判決では、「インターネットショッピング」と「電気製品」とが非類似と認められた。その理由は、前者がインターネットを販売ルートとして、商品の小売を行い、ウェブサイトを通じて商品情報を提供し、インターネット上で注文を受けた後、顧客に商品を届ける、という一体性がある役務であり、これは後者の特定商品と性質が異なり、また、前者は取り扱う商品の範囲がかなり広く具体的に限定されず、消費者が、両者の出所が同一である、または同一ではないが関連性があると誤認することが予想できないからである、とされた。