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台湾におけるロイヤルティ送金に関する法制度と実務運用の概要

 台湾においては、ロイヤルティ送金について、特別の規制はない。そこで、以下では、ロイヤルティに課される営利事業所得税を中心に紹介する。

1. 営利事業所得税
 台湾において業務上の活動を行っている営利事業者には、所得税法に従って営利事業所得税が課される(所得税法第3条第1項)。営利事業所得税は、日本では概ね法人税に相当する税金である。
 本社が台湾域外にある営利事業者については、台湾源泉所得がある場合、営利事業所得税が課税される(同条3項)。専利権、商標権、著作権、ノウハウ(中国語原文:秘密方法)および各種特権(中国語の原文は「特許」。なお、日本語の知的財産の「特許」とは意味が異なる。)を台湾域内において他人の使用に供することで取得するロイヤルティは、台湾源泉所得となる(同法第8条第6号)。そのため、日本企業が、台湾におけるこれらの権利の使用の対価として台湾企業からロイヤルティを受領した場合、営利事業所得税の対象となる。ロイヤルティは、源泉徴収の対象となっており、ロイヤルティを支払う台湾企業は、支払額から20%を控除し、日本企業に代わって国庫に納める必要がある(同法第88条第1項第2号及び各種所得にかかる源泉徴収税率基準第3条第1項第6号)。支払企業は、税金を控除の上、支払をした日から10日以内に、控除した税金を国庫に納付し、源泉徴収票を発行し、管轄税務当局に申告し審査を受けた後、納税義務者に交付しなければならない(同法第92条第2項)。
 以上が原則であるが、以下のような減免制度が活用できる可能性がある。

2. 免税制度
 営利事業者が新たな生産技術または製品の導入のため、または製品の品質向上、生産コスト削減のため、外国の営利事業者が有する専利権、商標権および各種特権を使用する場合において、主務官庁によりプロジェクトが承認された場合、その外国事業者に支払うロイヤルティに関する所得税の納付が免除される(所得税法第4条第1項第21号前段)。この免税の適用を受けるためには、主務官庁に申請し承認を得た後、税務当局に申請し審査を受けなければならない)(所得税法施行細則第8条の7)。
 よって、日本企業が収受するロイヤルティは、一定の要件が満たされる場合、免除を受けることができる可能性がある。免税申請の流れの概要は、以下のとおりである。

(1) 申請者(ロイヤルティを受領する企業)は、必要書類を揃え、経済部産業発展署に免税承認書の発行を申請する。
 経済部産業発展署は、「外国営利事業者が収受する製造業・技術サービス業および発電業のロイヤルティおよび技術サービス報酬に関する免税案件の審査原則」(中国語:外國營利事業收取製造業技術服務業與發電業之權利金及技術服務報酬免稅案件審查原則)に従い審査する。
 なお、必要書類および審査原則は、以下の経済部産業発展署の「0048外国営利事業に対する技術サービス報酬およびロイヤルティの免税証明申請」のページで詳しく説明されている。https://www.ida.gov.tw/ctlr?PRO=application.rwdApplicationView&id=50

 免税期間の上限は、3年であるが、期間が満了する前に同様の手続で再申請することができる(同審査原則第11条の1)。

(2) 経済部産業発展署から免税承認書を取得した後、申請者は、国税局に免税を申請する。北部国税局が公告している「営利事業所得税の処理期間」によれば、当該免税申請の処理期間は60日である。
 なお、この申請については、以下の北部国税局の「ロイヤルティおよび技術サービス報酬の免税専区」のページで詳しく説明されている。

https://www.ntbna.gov.tw/multiplehtml/f43a4d51d79c4e9e9690b2748d6cb2e3#gsc.tab=0

3. 日台民間租税取り決め
 日台民間租税取決め(正式名称は「所得に対する租税に関する二重課税の回避および脱税の防止のための公益財団法人交流協会と亜東関係協会との間の取決め」である。)では、「一方の地域内において生じ、他方の地域の居住者に支払われる使用料」の限度税率が10%と規定されている(日台民間租税取決め第12条第1項、2項)。日台民間租税取決めについては、以下の日本国税庁「日台民間租税取決めに定める相互協議手続について」のページで詳しく説明されている。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kokusai/nichitai/01.htm

また、「所得税協定適用審査準則」第25条では以下の旨が規定されている。

(1) 他方締約国(即ち、日台民間租税取決めの日本)の居住者が台湾からロイヤルティを取得し、その者が台湾域内に常設の機構または固定の場所を有しない、またはその権利とその台湾域内に常設の機構または固定の場所が実際には関連がない場合、源泉徴収義務者は支払時に、所得税協定(即ち、日台民間租税取決め)に規定する限度税率に基づき税金を控除することができる(第1項)。

(2) 他方締約国の居住者が、前項の規定に基づき限度税率を適用する場合、適用法令に従い、他方締約国の税務機関が発行した居住者証明およびその居住者が当該所得の受益所有者であることの証明を、源泉徴収義務者が源泉徴収申告を行うための証明として提供しなければならない。税務当局に源泉徴収申告する際、適用する所得税協定の条文を記載し、前記の所得者に提供された証明書類および所得計算に関する証明書類を提出しなければならない(第2項)。

 以上のように、日本企業は、台湾企業からのロイヤルティを収受する場合において、源泉税率を20%から10%への軽減を受けるためには、支払者の協力が必要であり、かつ一定の書類の提出が要求される。したがって、契約締結の段階から、日台民間租税取り決めを考慮した上で双方の権利義務を規定しておくべきである。
 なお、申告に必要な書類は、以下の国税局の「租税取り決めの限度税率適用申請書(源泉徴収義務者が源泉徴収申告を行う場合専用)」のページでも説明されている。

https://www.ntbca.gov.tw/singlehtml/8a5b287db3924b6fabef0d80a55bf536?cntId=c69e7c19a29a44549c1e9dc2a98e326f#gsc.tab=0

4. 送金手続
 最後に、海外送金に関連する中央銀行の規制を紹介する。
 まず、新台湾ドル両替がない外貨資金の出入りは、特に規制の対象とはならない。一方、新台湾ドル両替を伴う外貨資金の出入りについては、以下のように、一定の場合「外国為替収支又は取引申告弁法」第2条第1項および第5条第1号に基づく申告が必要である(銀行を通じて中央銀行に提出。なお、以下の説明は、支払人が会社である場合を想定した内容である。)

(1) 毎回の為替決済金額が50万新台湾ドル相当未満の場合
 申告書を提出する必要はない。

(2) 毎回の為替決済金額が50万新台湾ドル相当以上の場合
申告書を提出する必要がある。この申告書については、以下の中央銀行の「外国為替収支または取引申告書(2021.6.29改正公布)」のページで詳しく説明されている。

https://www.cbc.gov.tw/tw/cp-378-50430-F7FFA-1.html

(3) 1回あたりの為替決済金額が100万USドル相当以上である場合
 申告の際に、当該回の外国為替収支または取引に関する契約書、承認書またはその他の証明書類を添付する必要がある。これらの添付書類は、銀行に提出して、申告書の記載事項と一致することについて確認を受ける必要がある。

5. 注意事項
(1) 以上はロイヤルティについての説明であるが、支払が、ロイヤルティであるか、技術サービス報酬であるか、あるいは知的財産権の購入代金に該当するか、すなわち給付の性質によって扱いが異なる。また、給付の性質の認定は、主に双方が締結した契約の実質的な提供サービスの内容および提供方法により決まる。どれに該当するか疑義がある場合には、予め専門家に相談した上で、契約における文言を決定することが望ましい。

(2) 免税の申請、日台民間租税取り決めの適用を受けるためには、双方の協力が必要となる。したがって、契約締結の段階で、十分に協議をしておくことが望ましい。

(3) ライセンス契約書において、ロイヤルティに関する税を「支払者」が負担する旨既定する場合、契約書に規定されたロイヤルティの金額が、源泉徴収後の金額であるか否かを明確に定めておくことが望ましい。また、この場合源泉徴収税を含めた支払総額を計算の上、合意しておくことが望ましい。

(4) 税務については、しばしば変更があることが一般的であり、また、以上の説明は概要の説明に過ぎない。実際の作業は、税務、法務の専門家と相談の上進めることを推奨する。また、以上の説明は、台湾法の観点からの主にロイヤルティに特有の規制を説明したものであり、日本法の観点からの説明は含まない。

台湾における進歩性の審査基準に関する一般的な留意点(後編)

(前編から続く)
4.進歩性の具体的な判断
4-1.具体的な判断基準

 特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第2節「3. 進歩性の具体的な判断」の第3段落に記載された「(1)から(4)までの手順」に対応する専利審査基準(台湾)の記載は、以下のとおりである。

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
専利審査基準の第2篇第3章「3.4 進歩性を判断するステップ」

(2) 異なる事項または留意点
日本での進歩性の上記判断手順は、専利審査基準の第2篇第3章3.4におけるステップ「ステップ4:当該発明と関連する先行技術に開示された内容との間の差異を確認する」および「ステップ5:その発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が先行技術に開示された内容及び出願時の通常の知識を参酌して、特許出願に係る発明を容易に完成できるか否かを判断する」に該当すると考えられる。なお、上記以外のステップ1から3については、「台湾における進歩性の審査基準に関する一般的な留意点(前編)」「2. 基本的な考え方」を参照。

4-2.進歩性が否定される方向に働く要素
4-2-1.課題の共通性

特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第2節「3.1.1 主引用発明に副引用発明を適用する動機付け」の「(2) 課題の共通性」に対応する専利審査基準(台湾)の記載は、以下のとおりである。

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
専利審査基準の第2篇第3章「3.4.1.1 複数の引用文献と組み合せる動機付けがある」、「3.4.1.1.2 解決しようとする課題の共通性」

(2) 異なる事項または留意点
専利審査基準の第2篇第3章3.4.1.1.2には、「解決しようとする課題の共通性とは、複数の引用文献の技術内容が実質的に同一の解決しようとする課題を含むか否かにより判断する」と記載されており、同3.4.1.1には、「当業者に、複数の引用文献の技術内容を組み合せる動機付けが有るか否かを判断する時に、後知恵を避けるため、引用文献の技術内容と特許出願に係る発明の技術内容との関連性又は共通性を考慮するのではなく、複数の引用文献の技術内容の関連性又は共通性を考慮しなければならない」と記載されている。したがって、特許出願に係る発明の課題にかかわらず、複数の引用文献が実質的に同一の解決しようとする課題を含むのであれば、課題の共通性があると認められるので、日本と同様、請求項に係る発明とは別の課題が考慮される可能性もある。
また、課題の共通性を説明する専利審査基準における例(専利審査基準(台湾)の第2篇第3章3.4.1.1.2に記載されている例1および例2)も日本の審査基準における例(第III部第2章第2節「3.1.1 主引用発明に副引用発明を適用する動機付け」の「(2) 課題の共通性」に記載されている例2および例3)と同じであるので、基本的に、台湾における課題の共通性の判断手法は、日本と同じであると考えられる。

4-2-2.作用、機能の共通性
特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第2節「3.1.1 主引用発明に副引用発明を適用する動機付け」の「(3) 作用、機能の共通性」に対応する専利審査基準(台湾)の記載は、以下のとおりである。

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
専利審査基準の第2篇第3章「3.4.1.1.3 機能又は作用の共通性」

(2) 異なる事項または留意点
日本の特許・実用新案審査基準との違いはない。作用、機能の共通性を説明する台湾の審査基準における例(日本の特許・実用新案審査基準に記載されている例4。台湾の専利審査基準の第2篇第3章3.4.1.1.3に記載されている例1)も日本の審査基準における例(第III部第2章第2節「3.1.1 主引用発明に副引用発明を適用する動機付け」の「(3) 作用、機能の共通性」に記載されている例4)と類似している。

4-2-3.引用発明の内容中の示唆
特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第2節「3.1.1 主引用発明に副引用発明を適用する動機付け」の「(4) 引用発明の内容中の示唆」に対応する専利審査基準(台湾)の記載は、以下のとおりである。

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
専利審査基準の第2篇第3章「3.4.1.1.4 教示又は示唆」

(2) 異なる事項または留意点
日本の特許・実用新案審査基準との違いはない。引用発明の内容中の示唆の有無を説明する台湾の審査基準における例(台湾の専利審査基準の第2篇第3章3.4.1.1.4に記載されている例2)も日本の審査基準における例(第III部第2章第2節「3.1.1 主引用発明に副引用発明を適用する動機付け」の「(4) 引用発明の内容中の示唆」に記載されている例5)と同じである。

4-2-4.技術分野の関連性
特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第2節「3.1.1 主引用発明に副引用発明を適用する動機付け」の「(1) 技術分野の関連性」に対応する専利審査基準(台湾)の記載は、以下のとおりである。

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
専利審査基準第2篇第3章3.4.1.1.1「技術分野の関連性」

(2) 異なる事項または留意点
日本の特許・実用新案審査基準との違いはない。技術分野の関連性を説明する台湾の専利審査基準における例(台湾の専利審査基準の第二篇第三章第3.4.1.1.1節に記載されている例1)も日本の審査基準における例(第III部第2章第2節「3.1.1 主引用発明に副引用発明を適用する動機付け」の「(1) 技術分野の関連性」に記載されている例1)と同じである。

4-2-5.設計変更
特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第2節「3.1.2 動機付け以外に進歩性が否定される方向に働く要素」の「(1) 設計変更等」に対応する専利審査基準(台湾)の記載は、以下のとおりである。

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
専利審査基準第2篇第3章3.4.1.2「簡単な変更」

(2) 異なる事項または留意点
台湾の専利審査基準には、「特許出願に係る発明と単一の引用文献の技術内容の技術的特徴の違いについて、当業者が特定の課題を解決する時に、出願時の通常の知識を利用し、単一の引用文献の異なる技術的特徴を単に修飾、置き換え、省略又は転用等をして特許出願に係る発明を完成できる場合、当該発明は単一の引用文献の技術内容の『簡単な変更』となる」と記載されている。したがって、日本のような具体的な態様(公知材料の中からの最適材料の選択など)については、明確に記載されていないので、実務上、簡単な変更(設計変更)に該当するか否かは、審査官によりその判断が大きく異なる。
また、実務上、数値範囲の変更を阻害する要因がない限り、数値範囲の最適化または好適化が、簡単な変更(設計変更)に該当する、と認定される傾向がある。

4-2-6.先行技術の単なる寄せ集め
特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第2節「3.1.2 動機付け以外に進歩性が否定される方向に働く要素」の「(2) 先行技術の単なる寄せ集め」に対応する専利審査基準(台湾)の記載は、以下のとおりである。

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
専利審査基準の第2篇第3章「3.4.1.3 単なる寄せ集め」

(2) 異なる事項または留意点
 日本の特許・実用新案審査基準との違いはない。

4-2-7.その他
特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第2節「3.1.2 動機付け以外に進歩性が否定される方向に働く要素」と異なる専利審査基準(台湾)の該当する記載は、以下のとおりである。

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
 専利審査基準には対応する記載はない。

4-3.進歩性が肯定される方向に働く要素
4-3-1.引用発明と比較した有利な効果
特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第2節「3.2.1 引用発明と比較した有利な効果」の「(1) 引用発明と比較した有利な効果の参酌」に対応する専利審査基準(台湾)の記載は、以下のとおりである。

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
専利審査基準の第2篇第3章「3.4.2.2 有利な効果」

(2) 異なる事項または留意点
日本の特許・実用新案審査基準との違いはない。

4-3-2.意見書等で主張された効果の参酌
特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第2節「3.2.1 引用発明と比較した有利な効果」の「(2) 意見書等で主張された効果の参酌」に対応する専利審査基準(台湾)の記載は、以下のとおりである。

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
専利審査基準の第2篇第3章「3.4.2.2 有利な効果」

(2) 異なる事項または留意点
日本の特許・実用新案審査基準と異ならない。

4-3-3.阻害要因
 特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第2節「3.2.2 阻害要因」に対応する専利審査基準(台湾)の記載は、以下のとおりである。

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
専利審査基準の第2篇第3章「3.4.2.1 阻害要因」

(2) 異なる事項または留意点
 阻害要因があるか否かについて、台湾では、先行技術に特許出願に係る発明を除外する教示または示唆があるか否か、に基づいて判断される。例えば、先行技術に比較的良い実施態様が開示されているのみの場合、または一種以上の択一形式の記載があるのみの場合で、特許出願に係る発明が比較的良い実施態様ではない、または択一形式の記載のうちの一つである場合、当該先行技術は特許出願に係る発明を明確に除外しているわけではないことから、特許出願に係る発明に対する阻害要因を構成しない。よって、阻害要因に関する認定は、日本よりも厳しいと考えられる。

4-3-4.その他
特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第2節「3.2 進歩性が肯定される方向に働く要素」と異なる専利審査基準(台湾)の該当する記載は、以下のとおりである。

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
専利審査基準の第2篇第3章「3.4.2.3 補佐的判断要素」

(2) 異なる事項または留意点
専利審査基準によれば、進歩性が肯定される方向に働く要素としては、有利な効果、阻害要因のほか、「予測できない効果を有する発明」「長期間存在する課題を解決する発明」「技術的偏見を克服した発明」「商業上成功した発明」も考慮される。
「予測できない効果」とは、特許出願に係る発明が関連する先行技術からは予測できない効果を奏することを指し、効果に顕著な向上が生じた(量的変化)、または新しい効果が生じた(質的変化)ことが含まれ、それらが当業者にとって、当該発明の出願時に予測できないものを指す。
「長期間存在する課題を解決する発明」および「商業上成功した発明」に関する認定は、後述する「4-4-6. 商業的成功などの考慮」に関する認定と同様であると考えられる。
「技術的偏見を克服した発明」とは、ある技術分野における特定の課題に対し、特許出願に係る発明が技術的偏見により放棄された技術手段を採用し、当該技術手段が当該課題を解決できた発明を指す。

4-4.その他の留意事項
4-4-1.後知恵

特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第2節「3.3 進歩性の判断における留意事項」の(1)でいう「後知恵」に対応する専利審査基準(台湾)の記載は、以下のとおりである。

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
専利審査基準の第2篇第3章「3.6 審査における注意事項(3)」

(2) 異なる事項または留意点
 日本の特許・実用新案審査基準と違いはない。

4-4-2.主引用発明の選択
特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第2節「3.3 進歩性の判断における留意事項」の(2)でいう「主引用発明」に対応する専利審査基準(台湾)の記載は、以下のとおりである

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
 専利審査基準には、対応する記載がない。

(2) 異なる事項または留意点
専利審査基準の第2篇第3章第3.4節「進歩性を判断するステップ」のステップ4には、「関連する先行技術の中から、進歩性判断の論理付けに適用できる引用文献を選び、その中から選ばれた1つの引用文献と、特許出願に係る発明の技術内容との差異を対比し、その対比の基礎となる1つの引用文献を『主引例』という」と記載されているだけで、請求項に係る発明と、技術分野又は課題が同一である引例または近い関係にある引例を主引用発明とすることは要求されていないが、実務上、日本と同じ方法で主引用発明を選択するケースが多い。

4-4-3.周知技術と論理付け
特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第2節「3.3 進歩性の判断における留意事項」の(3)でいう「周知技術と論理付け」に対応する専利審査基準(台湾)の記載は、以下のとおりである。

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
専利審査基準の第2篇第3章「3.6 審査における注意事項(5)」

(2) 異なる事項または留意点
 日本の特許・実用新案審査基準との違いはない。

4-4-4.従来技術
特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第2節「3.3 進歩性の判断における留意事項」の(4)でいう「従来技術」に対応する専利審査基準(台湾)の記載は、以下のとおりである。

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
専利審査基準の第2篇第3章「3.6 審査における注意事項(4)」、および第2篇第1章「1.4 審査における注意事項(5)」

(2) 異なる事項または留意点
 日本の審査基準と異ならない。

4-4-5.物の発明と製造方法・用途の発明
特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第2節「3.3 進歩性の判断における留意事項」の「(5) 物自体の発明が進歩性を有している場合には、その物の製造方法及びその物の用途の発明は、原則として、進歩性を有している」に対応する専利審査基準(台湾)の記載は、以下のとおりである。

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
専利審査基準の第2篇第3章「3.6 審査における注意事項(6)」

(2) 異なる事項または留意点
 日本の特許・実用新案審査基準との違いはない。

4-4-6.商業的成功などの考慮
特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第2節「3.3 進歩性の判断における留意事項」の(6)でいう「商業的成功」に対応する専利審査基準(台湾)の記載は、以下のとおりである。

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
専利審査基準の第2篇第3章「3.4.2.3 補佐的判断要素」

(2) 異なる事項または留意点
 日本の特許・実用新案審査基準との違いはない。

5.数値限定
特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第4節「6. 数値限定を用いて発明を特定しようとする記載がある場合」に対応する専利審査基準(台湾)の記載は、以下のとおりである。

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
 専利審査基準には、対応する記載はない。

(2) 異なる事項または留意点
台湾では、数値限定に関する審査基準はないが、数値限定の発明は選択発明の一つの態様とされているので、選択発明に関する審査基準に基づいて進歩性が判断される。具体的には、先行技術に、限定された数値が明確に開示されておらず、限定された数値が先行技術からは予測できない効果を生じれば、進歩性を有すると認定される。

6.選択発明
特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第4節「7. 選択発明」に対応する専利審査基準(台湾)の記載は、以下のとおりである。

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
専利審査基準の第二篇第三章「3.5 選択発明の進歩性の判断」

(2) 異なる事項または留意点
 選択発明の進歩性について、台湾では、主に選択された部分が先行技術から予測できない効果を有するか否かに基づいて判断される。予測できない効果の判断は、前述の「4-3-4. その他」を参照。

7.その他の留意点
特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第1節「新規性」に記載されている、請求項に記載された発明の認定、引用発明の認定、およびこれらの発明の対比については、以下のとおりである。

7-1.請求項に記載された発明の認定
(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
専利審査基準の第2篇第3章「3.4 進歩性を判断するステップ」におけるステップ1

(2) 異なる事項または留意点
 日本の特許・実用新案審査基準との違いはない。

7-2.引用発明の認定
(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
専利審査基準の第2篇第3章「3.2.4 引用文献」

(2) 異なる事項または留意点
台湾では、新規性を否定する文献として、拡大先願に属する先行技術を引用できるが、進歩性を否定する文献としては引用できない。また、引用文献の開示内容は、実質的に示唆された内容を含む。実質的に示唆された内容とは、当業者が引用文献の公開時の通常知識を参酌して直接的かつ一義的に知ることのできる内容を指すが、どの時点の通常知識を参酌するかは、新規性と進歩性とで異なり、新規性の場合は、引用文献の公開時の通常知識を参酌するのに対して、進歩性の場合は、出願時の通常知識を参酌する。

7-3.請求項に記載された発明と引用発明の対比
(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
専利審査基準の第2篇第3章「3.4 進歩性を判断するステップ」におけるステップ2~4

(2) 異なる事項または留意点
 日本の審査基準と異ならない。

8.追加情報
 これまでに記載した事項以外で、日本の実務者が理解することが好ましい事項、または台湾の審査基準に特有の事項ついては、以下のとおりである。

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
 専利審査基準には、対応する記載がない。

(2) 異なる事項または留意点
実務上、明細書に「ある技術的特徴による効果を説明する実施例、比較例」が記載されていなければ、その効果に基づく進歩性の主張は認められないケースがある。拒絶理由としては、主に「ある技術的特徴による効果が先行技術から予測できない」こと、および「ある技術的特徴の範囲の臨界的意義」を証明できない、ことである。
台湾の審査実務では、追加実施例等の補充データを明細書に組み込むことは認められないが、出願時のクレームの請求範囲を裏付けるため、または発明の効果を証明するための補充資料として追加データを提出することは一般的に認められており、審査時に参考とされる。しかし、審査の段階で補充データを用意することは、出願人にとって困難である可能性があるため、明細書の作成時に、可能な限りの実施例及び比較例を盛り込むことを勧める。

台湾における進歩性の審査基準に関する一般的な留意点(前編)

1.記載個所
 進歩性(台湾専利法第22条第2項)については、専利審査基準の第2篇第3章3.に記載されている。その概要(目次)は、以下のとおり。

3. 進歩性
 3.1 前書き
 3.2 進歩性の概念
  3.2.1 当該発明が所属する分野において通常の知識を有するもの
  3.2.2 先行技術
  3.2.3 容易に完成できること
  3.2.4 引用文献
3.3 進歩性の審査原則
  3.3.1 全体審査
  3.3.2 組み合わせの対比
  3.3.3 請求項毎の審査
 3.4 進歩性審査を判断するステップ
  3.4.1 進歩性を否定する要素
   3.4.1.1 複数の引用文献と組み合わせる動機付けがある
    3.4.1.1.1 技術分野の関連性
    3.4.1.1.2 解決しようとする課題の共通性
    3.4.1.1.3 機能又は作用の共通性
    3.4.1.1.4 教示又は示唆
   3.4.1.2 簡単な変更
   3.4.1.3 単なる寄せ集め
  3.4.2 進歩性を肯定する要素
   3.4.2.1 阻害要因
   3.4.2.2 有利な効果
   3.4.2.3 補佐的判断要素     3.4.2.3.1 予測できない効果を奏する発明
    3.4.2.3.2 長期間存在した課題を解決した発明
    3.4.2.3.3 技術的偏見を解決した発明
    3.4.2.3.4 商業的成功を収めた発明
 3.5 選択発明の進歩性判断
 3.6 審査における注意事項

2.基本的な考え方
 特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第2節「2. 進歩性の判断に係る基本的な考え方」第一段落に対応する専利審査基準(台湾)の記載は、以下のとおりである。

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
 専利審査基準の第2篇第3章「3.4 進歩性を判断するステップ」

(2) 異なる事項または留意点
 台湾における進歩性の判断は、(1)記載の「進歩性を判断するステップ」における進歩性の5つの判断ステップを順に実行することにより、進歩性の有無を判断する。両国の審査基準には、若干の差異はあるが、基本的には、ほぼ同じであると考えられる。5つの判断ステップは、以下のとおりである。

 ・ステップ1:特許出願に係る発明の範囲を認定する。
 ・ステップ2:関連する先行技術に開示された内容を認定する。
 ・ステップ3:当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者の技術レベルを認定する。
 ・ステップ4:当該発明と関連する先行技術が開示する内容との間の差異を確認する。
 ・ステップ5:その発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が先行技術に開示された内容及び出願時の通常の知識を参酌して、特許出願に係る発明を容易に完成できるか否かを判断する。

3.用語の定義
3-1.当業者

 特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第2節「2. 進歩性の判断に係る基本的な考え方」でいう「当業者」に対応する専利審査基準(台湾)の記載は、以下のとおりである。

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
専利審査基準の第2篇第3章「3.2.1 当該発明が所属する技術分野において通常の知識を有する者」

(2) 異なる事項または留意点
 複数人を当業者とする態様について、日本では、複数の技術分野からの「専門家からなるチーム」を当業者とするのに対して、台湾では、同じ技術分野の仮想の一群を当業者とするので、日本よりも狭い態様といえる。

3-2.技術常識及び技術水準
 特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第2節「2. 進歩性の判断に係る基本的な考え方」でいう「「技術常識」および「技術水準」」に対応する専利審査基準(台湾)の記載は、以下のとおりである。

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
専利審査基準の第2篇第3章「3.2.1 当該発明が所属する技術分野において通常の知識を有する者」

(2) 異なる事項または留意点
 専利審査基準の第2篇第3章3.2.1における「一般知識には、マニュアルまたは教科書等に記載された周知(well-known)の知識が含まれ、普遍的に使用(commonly used)される情報および経験則から理解できる事項も含まれる。「普通の技能」とは、ルーティンワーク、実験を実施する普通の能力を指す。「一般知識」と「普通の技能」を『通常の知識』と称する」との記載によれば、日本での「技術常識」「周知技術」「慣用技術」のそれぞれは、台湾の「通常の知識」「一般知識」「普通の技能」に相当すると考えられる。
「技術水準」について、台湾の審査基準には、該当する用語が明確に記載されていないが、同3.2.1の記載により、「出願時の先行技術を理解、利用できる」ことを指すと考えられる。

3-3.周知技術及び慣用技術
特許・実用新案審査基準(日本)の第III部第2章第2節「2. 進歩性の判断に係る基本的な考え方」でいう「「周知技術」および「慣用技術」」に対応する専利審査基準(台湾)の記載は、以下のとおりである。

(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
専利審査基準の第2篇第3章「3.2.1 当該発明が所属する技術分野において通常の知識を有する者」

(2) 異なる事項または留意点
 「3-2. 技術常識及び技術水準」の「(2) 異なる事項または留意点」を参照。

進歩性の具体的な判断、数値限定、選択発明、その他の留意点については「台湾における進歩性の審査基準に関する一般的な留意点(後編))をご覧ください。

台湾における新規性の審査基準に関する一般的な留意点(後編)

 新規性に関する専利審査基準の記載個所、基本的な考え方、請求項に記載された発明の認定、引用発明の認定について「台湾における新規性の審査基準に関する一般的な留意点(前編)」をご覧ください。

5.請求項に係る発明と引用発明との対比
5-1.対比の一般手法

 特許・実用新案審査基準の第III部第2章第3節「4.1 対比の一般手法」に対応する専利審査基準の記載は、以下のとおりである。
(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
 専利審査基準の第2篇第3章「2.3 新規性の審査原則」

(2) 異なる事項または留意点
 新規性の対比の手法については、前編「2. 基本的な考え方」も参照されたい。実務上、基本的には請求項に係る発明と引用発明とが、実質的に同一であるか否かで判断されるが、引用発明との間に「文字の記載形式又は直接且つ疑いなく知ることができる技術的特徴にのみ差異が存在する」発明は新規性を有しないという審査基準がある。そのため、引用発明において実質的に単独または全体的に暗示されている特徴が引用される場合も時折あり、また、一部の判決(智慧財產法院 104 年行專訴字第 112 號判決(**)および智慧財產法院 105 年行專訴字第 25 號判決)では、効果も新規性の補助的な検証点として取り入れられている(從我國法院相關判決論新穎性判斷之「直接且無歧異得知」(2017.04智慧財産月刊Vol.220))。

(**) 台湾の判決は、次のサイトで、「裁判字號」として「104」、「行專訴」および「112」を入力すると参照することができる。以下同様である。
https://judgment.judicial.gov.tw/FJUD/default_AD.aspx
参考:「台湾における判決の調べ方―台湾司法院ウェブサイト」(2020.11.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/19586/

5-2.上位概念または下位概念の引用発明
 特許・実用新案審査基準の第III部第2章第3節「3.2 先行技術を示す証拠が上位概念又は下位概念で発明を表現している場合の取扱い」に対応する専利審査基準の記載は、以下のとおりである。
(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
 専利審査基準の第2篇第3章「2.4 新規性の判断基準」

(2) 異なる事項または留意点
 当地(台湾)では、「下位概念の発明が公開されていれば、その上位概念の発明は新規性を有しない」「上位概念の発明の公開は、その下位概念の発明の新規性に影響を及ぼさない」という基準に基づいて判断がされており、日本のような「先行技術を示す証拠が上位概念で発明を表現しているが、下位概念で表現された発明が導き出される場合には、下位概念で表現された発明を引用発明として認定することができる」という例外はない。
 また、専利審査基準 第2篇第3章「2.4 新規性の判断基準」(3)では、「先行技術に開示された化合物により、請求項に係る発明の、例えばその化合物の光学異性体、水和物、結晶物などが新規性を喪失することはない」という例も挙げられている。

5-3.請求項に係る発明の下位概念と引用発明とを対比する手法
 特許・実用新案審査基準の第III部第2章第3節「4.2 請求項に係る発明の下位概念と引用発明とを対比する手法」に対応する専利審査基準の記載は、以下のとおりである。
(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
 対応する記載がない。

(2) 異なる事項または留意点
 機能、特性等によって物を特定しようとする記載を含む請求項は、基本的に専利審査基準の第2篇第3章「2.4 新規性の判断基準」に基づいて判断される。数値範囲による限定を含む請求項については、後述する6-5.(数値限定を用いて発明を特定しようとする記載がある場合)を参照されたい。
 なお、選択発明の新規性の判断については、専利審査基準の第2篇第3章「2.5.4.1 個別の成分又はサブセットの選択」に次のような記載がある。
 「先行技術に開示された技術内容が、選択可能な成分が単一の群によって示されたものである場合、その中から選ばれた任意の1つの成分によって構成された選択発明は、新規性を具えない。しかし、先行技術の技術内容が、選択可能な成分が2つ以上の群によって示されたものである場合、その組成が異なる群の成分を組み合わせることによって生成されたものであり、且つ先行技術において具体的に開示されたものではないため、その選択発明は新規性を具える。上記2つ以上の群から組成された選択発明としては、通常以下の状況が挙げられる。
(1)既知の化学の一般式が2つ以上の置換基の群を有する場合に、異なる群から特定の置換基を個別に選んで組成された化合物。同様に、先行技術における異なる群から特定の成分を個別に選んで組成された混合物についての判断原則も同様である。
(2)製造方法の発明において、異なる出発物質の群の中から選ばれる特定の出発物質。
(3)既知の多数のパラメータ範囲の中から選ばれるいくつかの特定のパラメータからなる下位の範囲。」

5-4.対比の際に本願の出願時の技術常識を参酌する手法
 特許・実用新案審査基準の第III部第2章第3節「4.3対比の際に本願の出願時の技術常識を参酌する手法」に対応する専利審査基準の記載は、以下のとおりである。
(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
 専利審査基準の第2篇第3章「2.4 新規性の判断基準」

(2) 異なる事項または留意点
 特になし。

6.特定の表現を有する請求項についての取扱い
6-1.作用、機能、性質または特性を用いて物を特定しようとする記載がある場合

 特許・実用新案審査基準の第III部第2章第4節「2. 作用、機能、性質又は特性を用いて物を特定しようとする記載がある場合」に対応する専利審査基準の記載は、以下のとおりである。
(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
 対応する記載がない。

(2) 異なる事項または留意点
 作用、機能、性質または特性によって物を特定する記載がある請求項の解釈については、専利審査基準の第2篇第1章「2.5 請求項の解釈」で説明がされている。原則として、日本と同じく、かかる記載は、そのような機能、特性等を有する全ての物を意味していると解釈するが、新規性の判断に関する記載は特になく、基本的に専利審査基準の第2篇第3章「2.4 新規性の判断基準」に基づいて判断が行われる。

6-2.物の用途を用いてその物を特定しようとする記載(用途限定)がある場合
 特許・実用新案審査基準の第III部第2章第4節「3. 物の用途を用いてその物を特定しようとする記載(用途限定)がある場合」に対応する専利審査基準の記載は、以下のとおりである。
(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
 専利審査基準の第2篇第3章「2.5.2 用途によって物を特定する請求項」

(2)異なる事項または留意点
 用途によって物を特定する請求項について、当該用途が限定事項になるか否かは、当該用途が当該物に影響があるか否かことが考慮される。当該用途が請求の対象である物に影響がなく、単に物の目的または使用方法を説明するものであれば、当該物が新規性を有するか否かの判断に当たって、当該用途限定が影響することはない。一方、当該用途限定により、当該物が当該用途に適用するために、先行技術と異なる特定な構造および/または組成を含むことが示唆されている場合、当該用途が限定事項になる。
 例えば、化合物または組成物は、用途によって構造や組成が変わることは少ないので、用途は一般的に限定事項にならない。一方、次の態様は、新規性を有する例として専利審査基準に挙げられている。
 ・「鋼鉄溶解用の鋳型」は、高い融点を有する構造または組成を具えることを示唆しているので、融点の低い「プラスチック製製氷皿(鋳型)」に対して新規性を有する。
 ・「クレーンに用いられる吊りフック」は、特定のサイズおよび強度の構造を具えることを示唆しているので、魚釣り用の「釣針」に対して新規性を有する。
 ・「ピアノの弦に用いられる鉄合金」は、張力が高い層状微細構造を具えることを示唆しているので、層状微細構造のない鉄合金に対して新規性を有する。

6-3.サブコンビネーションの発明
 特許・実用新案審査基準の第III部第2章第4節「4. サブコンビネーションの発明を「他のサブコンビネーション」に関する事項を用いて特定しようとする記載がある場合」に対応する専利審査基準の記載は、以下のとおりである。
(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
 対応する記載がない。

(2) 異なる事項または留意点
専利審査基準に特に記述がない。
 
6-4.製造方法によって生産物を特定しようとする記載がある場合
 特許・実用新案審査基準の第III部第2章第4節「5. 製造方法によって生産物を特定しようとする記載がある場合」に対応する専利審査基準の記載は、以下のとおりである。
(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
 専利審査基準の第2篇第3章「2.5.1 製造方法によって物を特定する請求項」

(2) 異なる事項または留意点
 特になし。

6-5.数値限定を用いて発明を特定しようとする記載がある場合
 特許・実用新案審査基準の第III部第2章第4節「6. 数値限定を用いて発明を特定しようとする記載がある場合」に対応する専利審査基準の記載は、以下のとおりである。
(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
 専利審査基準の第2篇第3章「2.5.4.2 下位の範囲の選択」

(2) 異なる事項または留意点
 選択発明が、先行技術に開示された比較的大きな数値範囲から選ばれた比較的小さな範囲である場合、先行技術に例示された数値が当該下位の範囲内に入っていない限り、原則として新規性を有する。
 一方、選択発明の数値範囲が先行技術に開示された範囲と重複する部分がある場合、その重複する部分は通常、先行技術において明確に開示されたエンドポイント値または中間値によって新規性が喪失する。例えば、先行技術においてアルミナセラミックの焼成時間が3~10時間であるのに対し、請求項に係る発明の焼成時間が5~12時間である場合、請求項に係る発明は先行技術に明確に開示されているエンドポイント値(10時間)によって新規性を有さない。

7.その他
7-1.特殊パラメータ発明

 特許・実用新案審査基準には特殊パラメータ発明に関する記載はないが、専利審査基準には以下のとおり、特殊パラメータ発明に関する記載がある。
(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
 専利審査基準の第2篇第1章「2.5.1 特性によって物を特定する請求項」

(2) 説明
 専利審査基準では、特殊パラメータによって物を特定する請求項の新規性の判断については特に述べられていないが、その記載要件として、「特性を特殊パラメータで定義しなければならない場合、当該特殊パラメータは、特定された物を先行技術と区別可能にするものでなければならず、かつ、明細書に当該特殊パラメータの測定方法を記載しなければならない」という記載がある。

7-2.留意点
(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
 専利審査基準の第2篇第3章「2.3.2 単独対比」

(2) 説明
 新規性の判断における「単独対比」について、基本的に引用文献における技術内容と他の公開形式(既に公開実施されまたは公衆に知られている)における先行技術との結合により対比を行ってはならないが、専利審査基準には次の例外が挙げられている。
 「引用文献に開示された技術的特徴をより詳しく説明するために、その引用文献において他の参考文献が明確に記載されている場合、その参考文献が引用文献の公開日の前において既に公衆に知られていれば、その参考文献の示す内容は引用文献の一部に属すると見なされる。
 また、引用文献において明確に放棄された事項や明確に記載された先行技術は、引用文献の一部と見なされる。引用文献の公開日の前に既に公衆に知られている辞書、教科書、参考書等の参考文献を使用して引用文献の用語を解釈する場合、それら参考文献もまた文献引用の一部と見なされる。」

台湾における新規性の審査基準に関する一般的な留意点(前編)

1.記載個所
 新規性(台湾専利法第22条第1項)については、専利審査基準の第2篇第3章2.に記載されている。その概要(目次)は以下のとおり。

2. 新規性
 2.1 前書き
 2.2 新規性の概念
  2.2.1 先行技術
   2.2.1.1 既に刊行物に見られる
   2.2.1.1.1 一般原則
   2.2.1.1.2 刊行物の公開日の認定
   2.2.1.1.3 インターネット上の情報
    2.2.1.1.3.1 認定原則
    2.2.1.1.3.2 引用方式
    2.2.1.1.3.3 審査の注意事項
   2.2.1.2 既に公開実施されたもの
   2.2.1.3 既に公衆に知られている
  2.2.2 引用文献
 2.3 新規性の審査原則
  2.3.1 逐項審査(請求項毎の審査)
  2.3.2 単独対比
 2.4 新規性の判断基準
 2.5 特定の請求項及び選択発明の新規性判断
  2.5.1 製造方法によって物を特定する請求項
  2.5.2 用途によって物を特定する請求項
  2.5.3 用途の請求項
  2.5.4 選択発明
   2.5.4.1 個別の成分又はサブセットの選択
   2.5.4.2 下位の範囲の選択

2.基本的な考え方
 特許・実用新案審査基準の第III部第2章第1節「2. 新規性の判断」に対応する専利審査基準の記載は、以下のとおりである。
(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
 専利審査基準の第2篇第3章「2.4 新規性の判断基準」

(2) 異なる事項または留意点
 請求項に係る発明と引用発明が以下の事情のいずれかに該当する場合は、新規性を有しないと判断される。

(Ⅰ)完全に同一である
(Ⅱ)文字の記載形式または直接かつ疑いなく知ることができる技術的特徴にのみ差異が存在する
(Ⅲ)対応する技術的特徴の上位、下位概念のみに差異がある(下位概念の発明が既に公開されていれば、その上位概念の発明は新規性を有しない)

 上記(Ⅱ)について、専利審査基準では、該当しない例として、先行技術が「弾性体」である場合、「弾性体」には「ゴム」や「ばね」など、幾つかの概念が含まれているため、「ゴム」は、先行技術から直接かつ疑いなく知ることができるものと認定することはできないことが挙げられているが、(Ⅱ)に該当する例は挙げられていない。また、実務上の運用も曖昧である。
 台湾の判決に基づいて上記(Ⅱ)の判断基準を検討する際、「從我國法院相關判決論新穎性判斷之『直接且無歧異得知』(2017.04智慧財産月刊Vol.220)(https://www.tipo.gov.tw/tw/dl-17457-14c2214e5be74776905f4f83421820a2.html)」を参考にした。当該文献によると、裁判所は多くの場合、
(a)単独で対比する、
(b)引用発明において実質的に単独または全体的に暗示されている特徴を確定する、
(c)請求項に係る発明と引用発明との差異を逐一対比する、
(d)上記(b)の特徴が請求項に係る発明に対応するか否かを確定する、
という順で判断を行っており、また、一部の判決では、効果も新規性の補助的な検証点として取り入れられている。

3.請求項に記載された発明の認定
3-1.請求項に記載された発明の認定

 特許・実用新案審査基準の第III部第2章第3節「2. 請求項に係る発明の認定」第一段落に対応する専利審査基準の記載は、以下のとおりである。
(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
 専利審査基準の第2篇第1章「2.5 請求項の解釈」

(2) 異なる事項または留意点
 専利審査基準には、「請求項を解釈するにあたっては、原則として請求項における用語に対し、最も広く、合理的であり、かつ明細書と一致する解釈を与えなければならない」と記載されているので、日本の審査基準の「請求項の用語の意味を、その用語が有する通常の意味と解釈する」ことと比較して、解釈の幅がやや広いように見えるが、基本的には同様の「明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識を考慮して請求項中の用語を解釈する」という基準に基づいて認定が行われていると考えられる。

3-2. 請求項に記載された発明の認定における留意点
 特許・実用新案審査基準の第III部第2章第3節「2. 請求項に係る発明の認定」第二段落に対応する専利審査基準の記載は、以下のとおりである。
(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
専利審査基準の第2篇第1章「2.5 請求項の解釈」

(2) 異なる事項または留意点
 特になし。
 
4.引用発明の認定
4-1.先行技術
4-1-1.先行技術になるか

 特許・実用新案審査基準の第III部第2章第3節「3.1 先行技術」に対応する専利審査基準の記載は、以下のとおりである。
(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
 専利審査基準の第2篇第3章「2.2.1 先行技術」

(2) 異なる事項または留意点
 当地(台湾)でいう「出願前」とは、特許出願の出願当日よりも前を指し、出願日を含まず、優先権を主張する場合は、優先日当日よりも前を指し、優先日を含まない。日本のように時、分、秒まで考慮されることはなく、日単位で考慮される。

4-1-2.頒布された刊行物に記載された発明
 特許・実用新案審査基準の第III部第2章第3節「3.1.1 頒布された刊行物に記載された発明(第29条第1項第3号)」に対応する専利審査基準の記載は、以下のとおりである。
(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
 専利審査基準の第2篇第3章「2.2.1.1 既に刊行物に見られる」

(2) 異なる事項または留意点
 専利審査基準でいう「刊行物」とは、公衆に公開された文書または情報が記録されたその他の記録メディアを指し、世界中の如何なる場所または如何なる文字で公開されたかを問わず、抄録、撮影、複製またはインターネットによる伝送等の方法によって公衆がその技術的内容を知り得るようにすること(*)は、いずれもこれに属するものとする。
 また、インターネット上の情報とは、インターネットまたはオンラインデータベースに掲載されている情報であり、それが刊行物であるか否かは、公衆がそのホームページおよび位置を知ることができ、当該情報を取得することができるかによるべきで、公衆が実際にそのウェブサイトにアクセスしたか否かまたはそのウェブサイトにアクセスするのに料金を支払ったりパスワードを必要とするか否かは問題とせず、ウェブサイトが特にユーザーを限定せずに公衆が申請手順を通してそのウェブサイトにアクセスすることさえできれば、公衆に知られていることに属する。
 ただし、公衆に知られる状態になっていないことを示す明確な証拠があれば、それらを既に公開発行されたと認定することはできない。例えば、次の例が挙げられている。
(a)月刊雑誌の原稿および出版日のある商品への接触は特定の者のみである。
(b)「内部文書」または「機密文書」等の類似文字が表示されており、かつ、それが外部に公開されたことを示す明確な証拠がない。
(c)インターネット上の情報が特定の団体または企業のメンバーのみがイントラネットを介して取得できるようにしている機密情報。
(d)コード化されており(encoded)、料金を支払うことや無料などの通常の方法ではエンコードツールを取得して内容を知ることができない情報。
(e)正式に公開されていないURLで偶然にしか知りえない情報。

(*) 日本では、平成11年法改正により、特許法第29条第1項第3号に「電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明」が追加されたが、台湾では、専利審査基準における「刊行物」の解釈により対応している。

4-1-3.刊行物の頒布時期の推定
 特許・実用新案審査基準の第III部第2章第3節3.1.1「(2) 頒布された時期の取扱い」に対応する専利審査基準の記載は、以下のとおりである。
(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
 専利審査基準の第2篇第3章「2.2.1.1.2 刊行物の公開日の認定」

(2) 異なる事項または留意点
 専利審査基準にも、日本の審査基準の(a)~(f)と同じことが記載されており、さらに、次の点が追加されている。
 ・年を跨いで発行年が記載されているものは、その第一年目の最終日とする。
 ・年を跨いで発行年月が記載されているものは、その第一年目の年月の最終日とする。
 ・年を跨いで発行年月日が記載されているものは、その第一年目の年月日とする。
 ・季刊発行されるものは、発行地で認定される季節の最終日とする。

4-1-4.電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明
 特許・実用新案審査基準の第III部第2章第3節「3.1.2 電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(第29条第1項第3号)」に対応する専利審査基準の記載は、以下のとおりである。
(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
 専利審査基準の第2篇第3章「2.2.1.1.3 インターネット上の情報」

(2) 異なる事項または留意点
 インターネット上の情報が刊行物であるか否かについては、上記4-1-2.も参照されたい。また、原則的にインターネット上で公開された情報には公開日時が記載されていなければならない。もし、公開日時がその情報に記載されておらず、審査官が当該日時の事実性について疑念を抱く、または出願人がすでに提出した客観的な具体的証拠に対して当該日時の事実性について疑念を抱いた場合、その情報を公開または管理するウェブサイトが発行した証明またはその他の証拠資料を取得して、その情報の公開日時を証明しなければならない。証明できない場合は、引用文献とすることはできない。
 上述の「その他の証拠資料」の例は以下のとおりである。
(1)インターネットアーカイブサービスが提供するウェブページ情報。例えば、デジタルアーカイブであるウェイバックマシン(Wayback Machine, www.archive.org)。
(2)ウェブページまたはファイル変更履歴のタイムスタンプ。例えば、ウィキペディア(Wikipedia)の編集履歴。
(3)インターネット上のファイルディレクトリまたは自動注記情報などコンピュータが生成したタイムスタンプ。例えば、ブログの文章やインターネットフォーラムメッセージ(forum message)の公表時間。
(4)ウェブサイトのサーチエンジンが提供する索引日(indexing date)。例えば、グーグルのキャッシュ情報。

 インターネットの性質は文書と異なり、インターネット上で公開された情報は全て電子形式であるため、モニターに現れる公開された時間が操作されて変動したか否かを判断するのは困難であるものの、インターネット上の情報量が膨大でかつ内容が多岐にわたっていることを考慮して、操作される機会は少なく、反対の特定の指示がない限りは、当該時間を事実として推定することが認められるべきである。
 もし、情報内容に変更があった場合は、その変更履歴の内容および対応する日時を特定することができれば、その変更された日時を公開日とし、そうでない場合は、最後に変更された日時を公開日としなければならない。また、もしインターネット上の情報と同一の内容を有する文書があった場合、かつその情報と文書とがいずれも引用文献とすることができるときは、優先的に文書を引用しなければならない。

4-1-5.公然知られた発明
 特許・実用新案審査基準の第III部第2章第3節「3.1.3 公然知られた発明(第29条第1項第1号)」に対応する専利審査基準の記載は、以下のとおりである。
(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
 専利審査基準の第2篇第3章「2.2.1.3 既に公衆に知られている」

(2) 異なる事項または留意点
 専利審査基準でいう「公衆に知られている」とは、口語や展示などの方式によって技術内容を開示し、例えば会話、演説、会議、放送、テレビ報道などの方式で、または図面、写真、模型、見本等を公開展示する方式で、その技術を公衆に知られる状態にすることを指し、公衆が実際に既に聴取、閲覧または確実にその技術の内容を知ることを必要としない。また、会話や展示などの方式で技術内容が公衆に知られるようになった時を、公衆に知られている日とする。例えば前記の会話、演説および会議の日、公衆が放送やテレビ報道を受信した日、および公開展示の日がそれである。

4-1-6.公然実施をされた発明
 特許・実用新案審査基準の第III部第2章第3節「3.1.3 公然実施された発明(第29条第1項第2号)」に対応する専利審査基準の記載は、以下のとおりである。
(1) 対応する事項が記載された審査基準の場所
 専利審査基準の第2篇第3章「2.2.1.2 既に公開実施されたもの」

(2) 異なる事項または留意点
 専利審査基準でいう「公開実施」とは、専利法でいう実施の行為(製造、販売のための申出、販売、使用または上記目的のための輸入等を含む)を介して技術内容が開示され、その技術を公衆に知られる状態にすることを指し、公衆が実際に既に実施しまたは既に当該技術内容を知っている必要はない。例えば工場を見学した時、物または方法の実施によって公衆がその構造または工程を知ることができればこれに属する。ただし、もし前述の行為のみによって、説明または実験を介さずして、当業者が依然として物の発明の構造、要素または成分等および方法の発明の条件または工程等の技術的特徴を知ることができなければ、公開実施とはならない。例えば、技術の特徴部分が内部にある物品であって、その外観しか観察できないため、たとえ公衆の面前において実施したとしても、その技術を知ることができないものが即ちこれにあたる。また、公開実施によって技術内容が公衆に知られるようになった時点で公開実施の日とする。
 公開実施の内容の判断について、日本の審査基準には、「審査官は、用いられた機械、装置、システム等がどのような動作、処理等をしたのかという事実から発明を認定する」と記載されており、台湾でも、基本的には類似の方法がとられていると考えられる。ただし、専利審査基準では、実施がされても、「説明又は実験を介さなければ、当業者が物の発明の構造、要素又は成分等及び方法の発明の条件又は工程等の技術的特徴を知ることができない」場合は、公開実施に該当しないことが明確に言及されている。

請求項に係る発明と引用発明との対比、特定の表現を有する請求項についての取扱い、その他の留意事項については「台湾における新規性の審査基準に関する一般的な留意点(後編)」をご覧ください。

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台湾における実用新案に係る審査基準改訂のポイント(後編)

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