トルコにおける未登録周知商標の保護
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トルコにおける商標の使用と使用証拠
【詳細】
商標法第14条では、次に掲げる事項は、商標の使用を構成すると規定されている。
(1)登録商標の識別性を改変しないで、要素において異なる様式での登録商標の使用
(2)専ら輸出目的の商品またはその包装上の商標の使用
(3)商標権者の承諾のある商標の使用
(4)商標を付した商品の輸入
商標法では、商標出願において実際の使用または使用意図は要求されておらず、登録前に使用証拠を提出することも要求されていない。さらには、登録後5年以内や更新時に、特許庁に使用証拠を提出することも要求されていない。商標法第14条に規定された期間内に登録商標が使用されていない場合、登録商標は自動的に取り消されることはないが、不使用を理由とする登録商標の取消は、裁判所にて争われる。
不使用を理由とする登録商標の取消訴訟を回避するためには、登録後5年以内にトルコにおいて使用を開始していなければならない。
2014年4月9日以前は、商標法第42条1項(c)において、登録商標は次に掲げる場合は、裁判所により無効を宣言されると規定されていた。
商標法第42条1項(c)
登録商標が、第14条に違反する場合(ただし、手続の提起日と5年の期間の満了日の間の善意の使用は、無効理由を構成しない。手続が提起されることを知った上で使用がなされた場合は、裁判所は、手続提起に先立つ3月の間になされた使用を考慮に入れない。)
しかし、上記の商標法第42条1項(c)は、憲法裁判所判決2014年4月9日付第2013/147E.-2014/75K号により取り消されている。
上記判決の後、イスタンブール特別知的財産裁判所は、商標法第14条は、遡及効を有する無効ではなく、取消とみなされるべき不使用の制裁措置を定めたものであると主張した。現在、当該判決の効力は商標の専門家および専門機関で議論されているが、現状では、商標法第14条に基づき不使用を理由に裁判所に訴訟を提起した場合、不使用を認定する判決では遡及効を有していない取消のみが認められ、登録日まで遡及する無効を主張することはできなくなっている。
裁判所に提出される使用証拠は、問題となる商品や役務の性質、市場の特性、商標の使用の規模および頻度といった関連する状況を全て考慮し、裁判所の自由裁量により、使用証拠として十分であるかが判断されるので、単に商標として使用されているだけでは不十分な場合がある。
【留意事項】
使用義務は、登録された全ての指定商品または役務に関する使用を意味する。したがって、不使用を理由とした訴訟においては、一部の使用していない商品や役務があった場合には一部取消の決定がなされ、全く使用していない場合には全部取消の決定がなされる。