トルコにおける商標ライセンス契約の留意点
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トルコにおける未登録周知商標の保護
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トルコにおける指定商品または役務に関わる留意事項
【詳細】
トルコは、1995年7月12日に、標章の登録のための商品およびサービスの国際分類に関するニース協定の加盟国となった。ニース協定に基づく「商品およびサービスの国際分類」の最新版(第10版)が、2012年1月28日から採用されている。トルコ特許庁(TPI)に提出される商標出願の商品および役務の分類は、ニース協定に基づくニース国際分類にしたがって行われる。
ニース国際分類に沿った商品および役務の分類に関する最新の通達が、2014年12月8日にトルコ官報において発表され、2015年1月1日に発効した。この通達は、下記のリンクから入手可能である。
http://www.tpe.gov.tr/TurkPatentEnstitusu/commonContent/MClassification/
トルコは、ニース国際分類を採用しており、商品および役務の審査は、該当するトルコ独自の副分類に基づいて行われている。(トルコでは、ニース分類にはない、同一区分内に類似商品および類似役務をまとめた独自のサブクラスがある。区分を超える類似範囲を規定している日本の類似群コードの考え方とは違っている。)したがって同じ分類に属する商品または役務であっても、同じ分類内の異なる副分類に分類される場合は、異なる出願人名義による同一または類似の商標であっても登録が認められる。言い換えれば、審査官は原則として、とりわけ法律第556号(以下、商標法)第7条(b)に基づく審査において、これらの副分類に基づき、先行商標と同一または混同を生じる類似の商標であって、後に出願された商標が、同じ分類内の同一副分類に分類される商品に関して出願された場合には、かかる後の商標出願を拒絶する。しかし、第三者の異議申立を審査する際は、より柔軟な判断が行われる。
商標法第7条(b)には「商標登録の絶対的拒絶理由」が記されており、商品および役務が同じ分類内の同一副分類に分類される場合は、同じ種類の商品または役務とみなされる。
「第7条(b):同一または同様の種類の商品または役務に関して、先に登録された商標または先の出願日を有する商標と同一または混同を生じる類似の商標は、商標として登録されない。」
商標法第24条に基づき、出願の対象となる商品および役務は、ニース国際分類の分類番号により指定され、分類されなければならない。特許庁は、商品および役務の分類に関して必要な改訂を行うことができる。
2015年1月18日に改正された商標法施行規則に従い、出願書式において具体的でない指定商品および指定役務は認められず、TPIの指令に従い、2か月以内に品目ごとに補正されなければならない。この補正期限の延長は認められない。補正指令を受けた指定商品および指定役務で、この期間内に補正されなかった商品および役務は削除され、これらを削除した状態で当該出願の以後の手続が遂行される。例えば、ファッションアクセサリーは、具体的でないとみなされ認可されないが、「ファッショアクセサリー、即ち、帽子、腕時計、財布、ハンドバッグ、扇子、日傘および雨傘」であれば認可される。
「商品・サービス国際分類表」第35類についても具体的でない記載が禁止されており、2011年10月19日に新たな規定が承認された際に、小売役務をカバーする第35類の商標出願に関して、大きな反響を引き起こした。「他者のために各種商品を取り揃え、買い手がこれらの商品を閲覧および購入できるように便宜を図ること」という広義の小売役務については、もはや商標登録できないため、出願人はその「各種商品」に代え、役務の対象となる商品、商品グループまたは特定の分野を示さなければならない。
法定料金に対する指定商品または役務の影響
TPIは、商品および役務の分類に関して必要な措置または改訂を行う権限を有している。また、出願の商品または役務が当該出願の指定商品または役務と異なる別の分類に属すると判断した場合には、TPIは分類追加料金を請求する。の要求に応じて2か月以内にかかる分類追加料金が納付しない場合、当該出願は取り下げたものとみなされる。この支払期限の延長は認められない。
トルコにおける商号の保護
【詳細】
トルコでは、商号は主に2012年7月1日施行の法律第6102号(以下、商法)によって保護されている。
商法第39条により、商人は商号のもとで商行為を成すべきであり、営利事業に関する証書に署名する場合は、商号を使用すべきである。
商法第50条により、正式に登記された商号の排他的権利は、当該商号の所有者に属する。
商法第51条の1は、裁判所、公務員、商工会議所、弁護士、またはトルコ特許庁が、商号に対する侵害行為を知った場合、直ちに商取引登記所または検察に通知する必要があると定めている。
商法は、登記された商号の所有者を広範に保護している。登記された商号が他人により商業上、不公正に使用された場合、登記された商号の所有者は、商法第52条に基づき、次の事項を請求できる。
1.使用の中止
2.将来の使用の禁止
3.不当に登記された商号の場合、当該登記の修正または抹消
4.不正行為に起因する重大な状況の除去・撤廃
5.設備および商品の破棄
6.損害が発生している場合、金銭的または非金銭的賠償。裁判所は被告に対して、侵害行為によって被告が得たであろう利益と同等の賠償金の支払い命令を出すことができる。また、原告の請求により、裁判所は被告に対して、判決および被告によって支払われるべき訴訟費用を新聞に掲載することを命ずることができる。
上記の商法第52条は、原告の商号が登記されている場合のみに適用される。
商号は、未登記でも使用することが可能であるが、未登記の商号の所有者は、商法に定められた行政的制裁措置として、商取引登記所により1000トルコ・リラの罰金を科せられる。
未登記の商号は、商法第54条から第63条に定められた不正競争規定によって保護されるが、保護範囲は狭く、未登記の商号の所有者はこれらの不正競争規定に従い、重大な損害を受けたことを立証する必要がある。
商号は、当該企業を直接示すために使用され、かつ他の企業と識別するために使用される。一方、商標は、企業自体ではなく、当該企業の商品および役務を他の企業の商品および役務から識別するために使用される。商号と商標は、別々の法律の基で保護され、異なる機能を有しているが、商号は商標としても使用可能であり、商号を商標として登録することを禁止したり義務化したりする規定はない。ただし、商号に関して商標法上の保護を得るためには、商号を商標として登録する必要がある。この例外として、商標法は下記の規定を有する。
商標法第8条の3により、未登録商標の所有者または取引上使用されている他の標識の所有者による異議申立において、次に掲げる場合は、出願された商標は登録されない。
1.他の標識の権利が、商標出願日前または当該出願につき主張されている優先日前に取得されている場合。
2.他の標識の所有者に後続の商標の使用を禁止する権利が付与されている場合。
商号は、上記の商標法第8条の3に規定されている「取引上使用されている他の標識」に含まれ、同条において、当該標識を取引において最初に使用した所有者に優先的な権利が与えられている。さらに、商標法第8条の5により、次のように規定されている。
「当該権利者からの異議申立により、出願された商標が第三者の名称もしくは写真を含む場合、または第三者の著作権もしくは産業財産権を害する場合は、登録されない。」
商号は、上記の「第三者の産業財産権」に含まれる。
トルコでの商標出願の拒絶理由通知への対応策
【詳細及び留意点】
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トルコ商標制度概要
【詳細】
1.商標法
トルコでは、1995年6月27日に施行され、その後たびたび改正が行われてきた商標の保護に関する法律第556号(以下、商標法)に、商標の保護が規定されている。商標法施行規則は、1995年11月5日に発効した後、1999年4月20日、2002年10月2日、2005年4月9日、2013年3月30日および2015年1月18日に改正が行われている。トルコは、「先使用主義」を採用している国である。
2.保護される標章の種類
視覚的に表示可能で、印刷により刊行および複製可能な字句などで、特定の者または事業体の商品または役務と他者のものとを識別できる下記の標識は、商標として登録することができる。
- 文字
- 名称
- 図案
- 特定の立体的形状
- 色彩(商標が複数の色彩の組合せから成り、識別性を有する場合に限られる)
- スローガン
- 音
- 匂い(香の商標)(出願する場合、当該商標の視覚的複製を示すために、その匂いの化学式も提出しなければならない)
- トレードドレス
- ホログラム
- 動き(動的商標)(出願する場合、提示したい瞬間の動きを視覚的に描写する商標見本を提出すべきであり、さらに当該商標における連続する動きが収録されたCDも提出しなければならない)
味および触感の商標に関する出願は、認められていない。
3.分類
トルコ特許庁では、商品および役務について、ニース協定に基づくニース国際分類を採用している。ニース国際分類は、実務における一般的指針として用いられる。
同一商標に関して、複数の分類をカバーする出願を申請することが可能である(一出願多区分制)。
登録前であればいつでも、出願人またはその代理人の請求に基づき、料金の納付をもって、一つの出願を複数の出願に分割することが可能である。ただし、登録後の分割は許されていない。
4.出願
商標出願する際、下記の情報および書類を提出しなければならない。
- 出願人の名前および住所
- 出願人の国籍
- 商品または役務の一覧
- 商標見本(5×5 cmまたは7×7 cmのサイズ;300 Dpi;RGBカラー)
- 法定出願料
- 委任状(認証不要)
優先権を主張する場合は、下記の情報および書類がさらに必要となる。
- 優先権の基礎となる出願の番号と出願日(出願時に必要)
- 優先権証明書の原本(出願後3ヵ月以内に提出されない場合、優先権主張は無効とみなされる)
優先権主張とは、出願人の母国がパリ条約の加盟国である場合、その母国出願の出願日がその後に出願されるトルコ出願の出願日とみなされることをいう。ただし、優先権を主張する場合、その母国出願後、6ヵ月以内にトルコ出願をしなければならない。
商標出願は、電子的にオンラインで申請することができる。2015年7月1日以降は、商標出願を書面ではできなくなっている。
5.登録証
商標法第39条では、「本法律および施行規則に基づいて申請された商標出願は、瑕疵がないと認定され、または瑕疵が是正され、または所定の期間内に異議申立を受けず、または異議申立が否認された場合には、登録簿に記載される。当該出願人は、登録証を受領する」と規定されている。
登録証の発行には、登録料の納付が必要となる。2015年1月12日以降、登録証はA4サイズ、中厚口(80g)の紙面に印刷され、出願人に送付される。
6.審査
トルコ特許庁の商標局は、審査制度を実施しており、絶対的拒絶理由の審査に加え、先行権利に対する相対的拒絶理由の審査も行っている。最初の審査で拒絶理由が見つからない場合、当該出願は毎月発行される商標公報において公告される。第三者は、当該公報の発行日から3ヵ月以内に異議申立をすることができる。
上記の期間内に異議申立がされなかった場合、当該出願は商標登録簿に記載され、商標官報に掲載される。異議申立がない場合、出願から登録までの所要期間は、約1年である。
最初の審査において出願が全体的または部分的に拒絶された場合、出願人は2ヵ月以内に特許庁商標局の審判部に審判請求することができる。この場合、審判部で審理され、審判請求が認められた場合には、異議申立の為に公報において公告される。
トルコ特許庁の商標局には、異議申立および上記の審判請求の審理を取り扱う別々の部門(異議・審判部)がある。この部門による決定を不服とする当事者は、トルコ特許庁の「再審査評価委員会」に対して不服申立できる。再審査評価委員会は、特許庁の最終決定機関であり、当委員会の決定に不服の場合、2ヵ月以内に裁判所に提訴することができる。
トルコ特許庁より異議通知を受領した出願人は、異議通知から1か月以内に答弁書を提出することができる。
異議申立が全部または一部認められ、当該出願が全部または一部拒絶された場合、出願人は異議決定通知から2ヵ月以内に、異議決定に対する不服申立を再審査評価委員会にすることができる。同様に、異議申立人も2ヵ月以内に、異議申立の否認または一部承認に対する不服申立をすることができる。不服申立において答弁書を提出できるが、異議申立または不服申立のいずれの段階においても答弁書の提出は強制ではない。
7.更新
商標登録は、出願日から10年間有効に存続する。登録はその後、10年ごとに更新できる。商標登録は、商標権者または商標権者の代理人による更新出願および更新登録料の納付をもって更新される。
有効期間が満了する月の末日前の6ヵ月以内に、更新出願し、更新登録料を納付しなければならない。満了日を過ぎた場合は、追加料金の納付をもって、当該満了日後の6ヵ月以内に、更新出願することができる。更新出願は、電子的にオンラインですることもできる。
8.商標の使用
登録から5年以内に正当な理由なく商標が使用されなかった場合、または継続して5年間にわたり使用が中断されていた場合、当該商標登録は不使用取消対象となる。
ただし、次の行為は、登録商標の使用とみなされる。
- 商標の識別性を変えることなく、異なる形態で登録商標を使用すること
- 輸出のためだけに商品またはその包装に商標を使用すること
- 商標権者の同意を得て商標を使用すること
- 商標を付した商品を輸入すること。
9.無効
管轄裁判所において、商標登録の無効が認定される。一般的な無効理由は、絶対的拒絶理由および相対的拒絶理由ならびに有効な使用の欠如である。
絶対的拒絶理由および相対的拒絶理由に基づく無効訴訟は、登録日から5年以内に提起しなければならない。ただし、悪意が存在する場合には、期限は適用されない。
無効訴訟を提起できるのは、あらゆる利害関係者、先行権利の所有者、ライセンシー、検察官または関係する政府機関である。