タイにおける商標コンセント制度に関する留意点(前編)
1.はじめに
タイではコンセント(併存登録同意)制度が導入されている。タイのコンセント制度に用いられる同意書は2種類ある。同意書は、各当事者による新規出願前に、アサイン/アサインバックが行われるタイ商標法第51-1条の「特別な事情」に該当する場合には、受理される。以下に同意書が受理された事例を紹介する。
2.コンセント制度について
(1) コンセント制度の根拠となる法令、審査基準等の場所
タイのコンセント制度に用いられる同意書は2種類ある。
第1の同意書は、タイ商標法に規定されていない通常用いられている同意書であり、中央知的財産・国際貿易裁判所(以下、「IP&IT裁判所」という。)、特別控訴裁判所(Court of Appeal for Specialized Cases)および最高裁判所の一部の事件を除いて受理されていない。なお、第1の同意書に関する審査基準等は存在しない。
第2の同意書は、タイ商標法第51-1条に規定されているアサインバックに関するものである。
[1]第1の同意書
裁判所の民事訴訟において第1の同意書が受理された事例を以下に示す。
事例1:出願番号:516186/登録番号:KOR338053,出願番号:516187/登録番号:KOR337659
2003年、出願人は国際分類第18類および第25類の商品について商標「MARNI」を出願した。登録官は、同じ分類に対する登録商標「MANI」と誤認混同するほどに類似するとしてこれを拒絶した。出願人は、商標委員会に対し、外観、称呼および商品の相違を主張し、同意書を提出して、タイ商標法第27条に基づく併存を認めることを求める審判を請求した。商標委員会は、綴り、称呼、商品が類似することから誤認混同するおそれが高いと指摘し、請求を却下した。商標委員会はまた、登録商標の所有者からの同意書は、後願商標の登録を得るためには信頼できず、その同意は誤認混同のおそれを低減するものではなく、依然として公衆が商標権所有者と商品の出所に関して誤認するおそれがあると述べた。
2006年、出願人は審決を不服としてIP&IT裁判所に控訴した。IP&IT裁判所判決No.101/2006において、IP&IT裁判所は、両商標が外観、称呼および商品に関して相互に関連していることを認め、被告(知的財産局)に有利な判決を下し、提出されたタイおよびその他の国における商標の使用証明は、タイにおける指定商品に対する商標の一般的認識を証明するために採用しなかった。そのため、タイ商標法第27条の「特殊事情」に基づく、商標の併存は認められなかった。
その後、最高裁判決No.1149/2009において、最高裁判所は、出願人の商標「MARNI」が1988年以来他の複数の国で使用されており、本件の数年前にタイに導入され、出願人の商標は登録商標「MANI」と区別されていたことを認め、商標委員会の審決とIP&IT裁判所の判決を破棄した。最高裁判所はさらに、登録商標の所有者からの同意書は商標間の類似性を排除することはできず、かつ、登録商標の所有者が同じ業界に属するにもかかわらず、後願商標の使用および登録を認めた。この場合、出願人が善意で商標「MARNI」を使用していたことが認められている。商標「MARNI」は登録商標「MANI」の登録の15年後に出願されたが、タイでの出願時に登録商標が使用されていたわけではなった。以上から、タイ商標法第27条に基づく商標の併存が認められた。
商標「MARNI」は、国際分類第18類と第25類の両方で登録に成功しており、現在も有効である。
事例2:出願番号: 739934/登録番号:171129929
2009年、出願人は国際分類5類の「殺虫剤」の商標「ALTACOR」を出願し、2010年、登録官は、同じ類の「農業目的の抗真菌剤および殺菌剤」の登録商標ANTRACOLと混同を生じるほどに類似するとして当該出願を拒絶した。出願人は、外観、称呼および商品が非類似である旨を主張し、タイ商標法第27条に基づき、商標の併存を認めるよう商標委員会に審判を請求した。
2012年、商標委員会は、称呼と商品が相互に関連しており、長期にわたり販売し、消費者に広く知られたことを証明するには証拠が不十分であること、また、タイの消費者の間で登録商標「ANTRACOL」が広く知られていることを理由に、出願商標「ALTACOR」を拒絶した。
出願人は、審決を不服として、IP&IT裁判所に訴訟を提起した。IP&IT裁判所判決No.116/2013において、IP&IT裁判所は、農業局(Department of Agriculture)が発行した有害物質の登録を示す文書や同意書を含む、タイにおける商標の使用証明を精査し、商標委員会の審決を覆した。IP&IT裁判所は、「同意書が登録官および商標委員会の審査・審理を拘束しないとしても、IP&IT裁判所は、他の異なる種類の証拠とともに考慮に入れることができる」と述べた。
最高裁判決No.5330/2015では、IP&IT裁判所判決を支持し、商標権所有者と商品の出所に関して混同を引き起こすほど両商標は類似していないと判断した。さらに、登録商標の所有者は、原告が商標「ALTACOR」を使用し登録することを認め、原告の商標登録に対して異議を申立てたり、取消したり、訴訟を起こさないことに同意する同意書を作成した。同意書により、登録商標の所有者が、出願商標と引用された登録商標との間に混同を生じるほどの類似性を認めず、また、これらの商標が併存し得ることを認めていたと推認される。最高裁判所はIP&IT裁判所判決を支持し、後願出願人の商標登録を認めた。
商標「ALTACOR」は登録され、現在も存続している。その後、タイ語の商標「ALTACOR」も出願されており、登録商標「ANTRACOL」と類似しないと判断され、2016年に登録された。新規出願時には、商標「ANTRACOL」に対する最高裁判決No.5330/2015の写しおよび説明書が登録官に提出された。
[2]第2の同意書
第2の同意書は、タイ商標法第51-1条に規定されているアサインバックに関するものである。
タイ商標法第51-1条の「特別な事情」を立証するために、アサイン/アサインバック方式が適用された後に、新規出願時に同条に規定される「書面による同意」が確認された事例はない。したがって、このアプローチがすべての事案で成功するとは限らない。
(2) コンセントの対象
同意書は、登録官に対して、両当事者の商標間の類似を解消するためにも、商標委員会に対して、拒絶査定不服審判を請求するためにも重要ではない。同意書は両当事者間の合意にすぎないからである。さらに、外観、称呼そして商品の類似、また、公衆の誤認混同を回避するものではない。
しかしながら、同意書は、各当事者による新規出願前に、アサイン/アサインバックが行われるタイ商標法第51-1条の「特別な事情」に該当する場合には、受理される。
タイでは、同意書が受理される状況(事情)は非常に限られており、タイ商標法第27条に規定されている。
商標審査マニュアル(第2章第2部 3. 商標の同一性または類似性の検討3.2))によれば、登録官は、タイ商標法第27条に基づいて登録を認めるに当たり、次の事項を考慮する。
1) 登録商標の所有者と後願出願人の双方がその商標を誠実に使用しているか否か
(1)両者ともほぼ同一の期間内に商標を使用する、また、後願出願人が登録商標の所有者より前に商標を使用する
(2) 他人の標章を模倣する意思がない。このとき、創造した語句、創造した図、文字のフォントなど、標章の外観から同一かどうか検討することができる。
(3) 自身の標章と同一または類似する標章を使用する者がいることを知らない。
2) 商標の併存が認められる特殊事情
(1)商標が更新されていないが、継続的に使用されている
(2)出願人は、タイ国内で広く製品の配布、普及、宣伝を行っており、他人から異議を申立てられたことがない。
(3)商務省発表の区分変更後の商品と、当事者の商標が使用される商品が偶然に類似している。
(4)タイ商標法第51-1条第2段落の譲渡人、譲受人または相続人からの同意書
(5)併存を認める最高裁判決
3) 登録官は、出願人が提出した事実および事情を次の証拠書類とともに検討する。
(1)出願人の沿革、例えば設立、標章の使用開始年、標章の外観(2)会社、出願人または他人による使用証拠
(3)使用を示す証拠(区分/指定商品/指定役務)が登録願書した通りかどう
か。(4)使用している標章の外観が登録申請した通りかどうか。
(5)領収書(月/年 販売額の合計)
(6)納品書/Tax Invoice/発注書(月/年 販売額の合計)
(7)販売による収益/価格を示す証拠(月/年 販売額の合計) (8)広告費に係る領収書(月/年 販売額の合計)
(9)販売による収益を示す、会社の貸借対照表/監査報告書/利益余剰金 (年 金額)
(10)様々な媒体の広告資料(例えば、パンフレット/小冊子/定期刊行誌/ 書籍/広報資料/その他(年/月) 標章の外観が登録申請した通りかどうか。
(11)他国の登録証写し
(12)工場設立許可証写し(年を明記)
(13)商品サンプル
(14)裁判所判決文写し
(15)その他の証拠
(D) 登録官が証拠不十分と考える場合、登録官は後願出願人に対して登録商標を引用して、同一または類似の判断を行う。
(E) 登録官が証拠十分と考える場合、後願出願人の商標の登録を認める。なお、登録官は、商標の使用の方法および範囲に関する条件および制限、その他の条件および制限を考慮する場合もある。
(F) タイ商標法第27条による特殊事情下で両当事者の商標の併存が認められる場合、登録官はその旨の理由を記載した書面による通知を出願人及び登録商標の所有者に送付する。
なお、出願人または登録商標の所有者は、タイ商標法第27条第1段落に基づく登録官の併存を認める旨の命令に対し、当該命令の書面による通知を受領してから60日以内に商標委員会に審判を請求することができる(同法第2段落)。
コンセント制度における審査、コンセントの提出時期、コンセントの書式、コンセント制度登録後の要件、アサインバックについては「タイにおけるに商標コンセント制度に関する留意点(後編)」をご覧ください。
タイにおける商標コンセント制度に関する留意点(後編)
タイにおけるコンセント制度および同意書が認められた事例については、「タイにおける商標コンセント制度に関する留意点(前編)」をご覧ください。
3.コンセント制度における審査について
(1) 提出されたコンセントを審査官が無条件で認容し、併存登録が認められる場合、その根拠となる法令、審査基準等の場所
特に法令・商標審査マニュアル等で定められていない。
(2) 提出されたコンセントを審査官が審査する場合または参酌する場合、併存登録が認められる要件と、その根拠となる法令、審査基準等の場所
特に法令・商標審査マニュアル等で定められていない。
(3) (2)における留意点
出願時、または、商標の類似を理由とする拒絶に対する不服審判の請求時、出願人が同意書を提出した場合、登録官および商標委員会は、タイ商標第27条に基づく2つの商標の併存登録を求める同意書を受理することは強制されない。
同意書が提出された場合でも、登録官は、出願商標に対して先行登録商標を引用して、オフィスアクションを発行する。
また、商標委員会は、視覚的・聴覚的態様および/または商品に関して類似する場合、商品の出所または商標権所有者に関して公衆に誤認混同を引き起こす可能性があるとの理由から、登録官の拒絶査定を維持する。商標委員会は、商標委員会規則第11条*1に従い、提出された証拠書類(同意書を含む)が、出願人が製品を広く流通させていること、商標が公衆の間で広く認識されるように宣伝されていること、商標がタイにおいて長期間使用されていることを証明するには不十分であると判断する。したがって、同意書を含むこのような証拠書類は、タイ商標法第27条に基づいて商標の併存を要求する上で効果的ではない。
*1:商標委員会規則第11条には「第10条に基づく提出書類又は証拠が外国語である場合、請求人は、翻訳者による翻訳証明付きで、全部又は特定の重要部分についてタイ語訳を提供しなければならない」旨が記載されている。なお、実務では、請求人がタイ語翻訳を提供しない場合、証拠を考慮するか否かは商標委員会の裁量により判断されるといわれている。
IP&IT裁判所、専門事件控訴裁判所および最高裁判所は、登録官および商標委員会よりも、非類似の主張に対して寛容である。3つの裁判所はいずれも通常、商標登録についてより広範な見解をとっている。裁判所は、継続的に長期間に渡る商標の使用を証明する証拠および同意書とともに、法的主張に基づいて判断を下す。このような証拠は、タイ商標法第27条に基づき、双方の商標が併存できるという裁判所の判断をもたらす場合がある。
同意書を受理するか否かは、裁判所の裁量である。登録商標と後願商標の両方が同一であるが、商品が異なる流通経路を通じて入手可能である場合、裁判所は、タイにおける一定期間の商標の使用を証明する同意書および証拠書類により、商標の併存を認める。重複する商品があるが、両商標が同一でない場合、裁判所は、出願人がタイにおいて長期間にわたり商標が広く使用されていることを示す同意書および文書による使用証明書を提出し、その結果、公衆が後願出願人の商標が付された商品と登録商標が付された商品を区別することができる場合にも、併存を認める。
4.コンセントの提出時期
(1) コンセントの提出時期
商標所有者は、審査段階において登録官に出願時に、審判請求日から60日以内に商標委員会に、法廷審問期日前の7日間の間にIP&IT裁判所に、タイおよび外国においてその商標が使用されていることを示す証拠とともに同意書を提出することが推奨される。
(2) 提出時期について留意点
コンセントの提出時期は以下のとおりである。
No. | 同意書提出の段階 | 同意書の提出時期 |
1 | 出願段階 | 同意書は、登録官の実体審査の資料として、出願時に出願書類とともに提出されるべきである(商標審査マニュアル第2章第2部3.3、 タイ商標法51-1条)。 |
2 | 審判段階 | 同意書は、不服申立てから60日以内に、他の裏付け資料とともに商標委員会に提出しなければならない(商標委員会規則第10条)。 |
3 | 訴訟段階 | 同意書は、訴状提出時に記載された裏付け証拠として、法廷審問日の7日前までにIP&IT裁判所に提出しなければならない(民事訴訟法第88条)。 |
5.コンセントの書式
コンセントの書式の規定はないが、同意書に記載しなければならない事項は、以下のとおりである。
・登録商標の所有者が、同意を要求する後願出願人の商標の使用/登録に同意する商品およびサービス
・引用された商標権者の署名および同意の説明
・同意書は原本または認証謄本でなければならないこと
・登録商標の所有者がタイにおいて指定商品等における商標の使用および登録を認める旨の陳述書
6.コンセントによる併存登録後の要件について
(1) コンセントにより併存登録された商標と引用商標について、それぞれを譲渡する場合の譲渡の制限の有無
いずれの商標に関しても、譲渡の制限はない。
(2) 併存登録された商標の更新時にコンセントも更新(新たにコンセントを提出すること)の必要有無
裁判所で同意書が受理され、商標が登録され、その後10年ごとに更新する場合、登録商標の更新時に新しい同意書を新たに提出する必要はない。
(3) 併存登録後、引用商標権者によるコンセントを取下げの可否(可能である場合、登録された商標への影響や取下げの時期の期限の有無;その根拠となる法令、審査基準等の場所)
同意書は、登録を認める裁判所の判決をもたらすための証拠書類の一部にすぎないため、商標が登録されている場合、引用商標権者は、両者の相互の私的合意に基づく併存登録後、同意を取下げることは可能である。ただし、後の出願人の商標が有効に存続している必要がある。先願登録商標の商標権者が後の出願人の登録を取消すことを希望する場合、商標委員会および/または裁判所に取消しを請求することができる。
7.アサインバックについて
7-1タイにおけるアサインバック運用の可否
2016年に改正商標法が施行される以前の商標法第14条および第50条に基づいて、同一所有者の連合商標の登録が義務付けられており、登録された連合商標すべてを譲渡または継承されなければならなかった。
2016年改正法により、連合商標制度が廃止(商標法第14条と第50条廃止)され、登録商標の所有者が一部の商品について商標を他人に譲渡することを可能にするタイ商標法第51-1条に従って、商品全体または商品の一部について商標を譲渡することができるようになった。
タイ商標法第51-1条は、商標の譲渡人および譲受人が、アサイン/アサインバックされた商標に類似する他の商標を出願した後に、損害を防止するために譲渡人および譲受人を保護することを目的としている。
タイ商標法第51-1条に基づく登録官の登録査定による受益者は、先のアサイン/アサインバックされた商標に類似する商標の新規出願の前に、譲渡人、譲受人または相続人としての関係を有していなければならない。
根本的な問題は、タイ商標法第51-1条に基づく特別な状況を確立するために、アサイン/アサインバックの方式を使用する必要があることであり、これにより同意書が受入れられるようになる。タイの実務慣行では、譲渡人、譲受人または相続人からの同意書は、このような特定の状況下でのみ受入れられ、それ以外では受入れられない。
商標審査マニュアル 第2章第2部3.3によれば、タイ商標法第51-1条に基づく同一または類似する商標登録の検討は以下のとおりである。
(A) 登録官は検討の結果、出願人の商標が譲渡、譲受または相続された他人の出願商標または登録商標と、第13条または第20条に基づいて同一または類似すると判断する。
(B) 出願人がタイ商標法第48条または第49条に基づいて、(1)譲渡人、(2)譲受人または(3)相続人であるか否か。
(C) アサイン/アサインバックの日付が、新規出願日より前または同日である。
(D) 出願人が以下の詳細が示されている商標登録の同意書を有していなければならない。
・出願商標の譲渡人、譲受人または相続人であることに関する詳細。
・譲渡日または相続日に関する詳細。
・同意書は原本を使用する。複数の出願に提出する場合、最初の出願に原本を提出し、他の出願は写しを提出して原本はどの出願にあるか明記する。
(E) 登録官は特別な事情があるとして同一または類似する商標を登録することができる。
第51-1条に関する登録官の審査指針
(A-1) 出願人が、譲渡人、譲受人または相続人の出願中または登録商標に類似する標章を提出する際に、同意書を新たな出願書類とともに提出しない場合、登録官は、商標法第13条または第20条に基づいて登録済または出願中の標章を引用する。
(A-2) 商標法第13条または第20条に基づいて商標が拒絶された場合、出願人は次の権利を有する。
・商標委員会に異議を申立てる。この場合、出願人は登録官に対して第51-1条の権利を行使することはできない。
・上訴期間前または拒絶受領後60日以内に、第51-1条に基づく権利を主張する同意書を登録官に提出すること。登録官は、出願人及び登録商標の所有者に通知及び理由を交付することにより、第13条または第20条に基づく異議を取消し、第27条に基づく共存を認める。
(B-1) 出願人が登録願書(書式Kor.01) と共に同意書を提出せず、登録官は検討の結果、その者の譲渡、譲受、または相続した商標と第13条または第20条に基づいて同一または類似すると判断した場合、登録官は通常通り第13条または第20条命令を発出する。
(B-2) 出願人が同意書を提出せず、登録官が第13条または第20条命令を発出したとき、出願人には以下2つの権利がある。
・登録官命令に対して審判請求する。審判請求の権利を行使した場合、出願人はさらに審査段階で第51-1条の権利を行使することはできない。
・第51-1条の権利を行使する。出願人は審判請求期限までに全ての譲渡人、譲受人または相続人からの商標登録同意書を提出しなければならない。この場合、登録官は第13条または第20条命令を取消し、他の問題が無い場合には第27条に基づき登録を認め、出願人および先行商標の所有者に対し理由を付して通知書で命令を伝える。
(C-1) 登録官が検討の結果、その者の譲渡、譲受、または相続した商標と第13条または第20条に基づき同一または類似すると判断し、出願人が登録同意書を提出した場合、登録官は商標登録できる特別な事情があるとみなし、商標を登録することができる。
このとき、譲渡された区分について検討する必要はなく、登録官は第13条または第20条に基づき同一または類似すると判断すれば十分である。
(C-2) 登録官は出願人に対し、陳述書(書式Kor.20)を用いて譲渡、譲受または相続について説明し、登録出願の譲渡人、譲受人または相続人であることに関する詳細を示した書類を添付するよう命令を発出することができる。
審判で認容審決を得る可能性は低いため、類否について登録官により拒絶された場合や費用および時間のかかる裁判手続を理由に、後願出願人は、先願商標の所有者に出願を一時的に譲渡することにより、商標を譲渡し、それをアサインバックすることを検討することができる。後願出願人の出願商標が登録された後、その商標を元の所有者に戻すことができる。
しかしながら、このようにすることで、誤認混同するほどに類似する商標は将来の出願がより複雑になると予想される。各当事者の新規出願は、拒絶を回避するために相手方からの同意書の提出を必要とする。
したがって、タイ商標法第51-1条を利用すると、当事者間の継続的で長期的な関係が必要になる。
7-2.その他
タイには、上記7-1.以外の理由によるアサインバック制度はない。したがって、アサインバックは、タイ商標法第51-1条に従う必要がある。
タイにおける模倣対策マニュアル
「タイ模倣対策マニュアル」(2022年3月、日本貿易振興機構バンコク事務所(知的財産権部))
(目次)
I 模倣品をはじめとした知的財産権侵害品の定義 P.1
(特許権、小特許権、意匠権、商標権、著作権について侵害と定められている行為および該当条文ならびに刑法で規定されている侵害行為および該当条文番号を紹介している。)
1 模倣品とは P.1
2 侵害行為の類型 P.1
II 権利取得 P.8
(出願から権利取得(根拠法、保護対象、出願人の要件および代理人の要否、出願手続、予備審査、異議申立、実体審査、早期審査、職務発明、審判、権利保護期間・年金、譲渡・ライセンスならびに放棄・取消)に関する手続概要をフローチャートともに紹介している。また、検索システムについて紹介している。)
1 特許権の取得 P.8
2 小特許権の取得 P.27
3 意匠権の取得 P.32
4 商標権の取得 P.40
III 管轄機関及びそれぞれの所掌範囲、権限 P.57
(タイの各知的財産関連機関が担う職務、権限および責務を紹介している。)
1 知的財産局 P.57
2 法務省特別捜査局 P.57
3 検察庁 P.59
4 税関 P.59
5 経済犯罪制圧部 P.60
6 技術犯罪制圧部 P.60
7 タイ情報技術犯罪抑制作業部会 P.61
8 知的財産侵害抑制小委員会 P.62
9 中央知的財産国際貿易裁判所 P.62
10 デジタル経済社会省 P.63
11 国家放送通信委員会 P.64
IV 知的財産権のエンフォースメント P.66
(模倣疑義品に対する権利者自らによる対策(知的財産の登録状況の確認、侵害の有無の確認、証拠の収集、警告状の送付および和解交渉)、タイ知的財産局(DIP)を利用した行政的救済、民事的救済および刑事的救済(裁判の流れ(フローチャートあり)、事例、統計情報(2016年から2021年までの裁判件数、2011年から2021年までの警察による侵害品の摘発および押収数)、税関での対策の流れ(フローチャートあり)、統計情報(2011年から2021年までの税関による侵害品の摘発および押収数)を紹介している。)
1 権利者自らによる対策 P.66
2 行政的救済 P.68
3 民事救済 P.69
4 刑事救済 P.73
5 税関における水際対策 P.82
V 政府の模倣品対策 P.86
(タイが加盟している国際条約、日本と関連がある自由貿易協定/経済連携協定、知的財産権に関する優遇・支援制度、関連機関の役割、タイ商務省が行っている知的財産侵害の抑止活動を紹介している。)
1 加盟している主な知財関係の国際条約 P.86
2 FTA/EPAにおける知財の取り扱い P.87
3 政府の政策 P.91
4 関連機関の実施能力 P.92
5 権利者との協力 P.93
6 啓発活動 P.94
VI 模倣品に対する企業の対策事例 P.96
(日系企業の対策事例を模倣品発見時の対処、対策に要した時間とコスト、成功又は失敗した理由の観点から解説している。)
1 日系企業の対策事例 P.96
2 外資系企業及び地場企業の対策事例 P.97
VII オンライン上の模倣品に対する対策 P.98
(オンライン上の模倣品に対する対策として、大手ECサイトでの模倣品排除の手続を紹介している。また、オンライン・プラットフォーマーの責任を追及する際に適用される法律を紹介している。)
1 概要 P.98
2 ECサイトにおける模倣品への対策 P.98
3 オンライン・プラットフォーマーの法的責任 P.101
VIII 模倣品が流通している企業に対するアドバイス P.104
(タイに模倣品が流通している企業が採るべき必要な対策について紹介している。)
1 知的財産権の確保 P.104
2 模倣品及び冒認出願の監視 P.104
3 一般消費者への注意喚起 P.105
4 積極的な権利行使 P.105
5 法律事務所との関係の構築 P.105
IX 所轄機関の連絡先 P.107
(10機関の所在地、電話番号、Fax番号、Webサイト、E-mailアドレス等を紹介している。)
X 参考資料 P.110
1 特許出願書 P.110
2 優先権主張申請書 P.112
3 PCT出願国内移行出願書 P.113
4 実体審査請求書 P.114
5 特許登録証 P.115
6 PPH申請書 P.116
7 ASPEC申請書 P.117
8 小特許登録証 P.118
9 意匠出願書(タイ語のみ) P.119
10 意匠登録証 P.121
11 商標出願書(タイ語のみ) P.122
12 商標登録証 P.124
タイにおける商標制度のまとめ-手続編
1. 出願に必要な書類(1992年省令第3項~第12項の2)
① 願書
以下の情報を記載する。
・出願人情報
・商標見本(外国語からなる場合はその称呼と意味)
・指定商品・指定役務
・その他必須な内容
② 委任状
・タイ国外で署名する場合はその国の公証役場で署名認証手続が必要
③(タイ国籍以外の自然人の場合のみ)本人署名入りのパスポート写し
④(タイ企業の場合のみ)発行から6か月以内の会社登記簿謄本
優先権を主張を伴う場合は以下の書類も必要となる。
⑤ 優先権主張証明書
⑥ 優先権主張申請書(タイ出願時に基礎出願が無効になっていない旨出願人が陳述する書面)
関連記事:「タイにおける商標出願制度概要」(2019.6.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17463/
関連記事:「タイにおける商標制度の概要」(2014.11.7)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/7018/
2. 登録できる商標/登録できない商標
(1)登録できる商標の種類(タイ商標法第4条)
写真、絵画、創作された図、ロゴ、名称、語句、文、文字、数字、署名、色の集合、物体の外形(shape)もしくは形状、音、またはそれらの一つもしくは複数が結合したもの。
(2)登録できない商標の種類(タイ商標法第8条)
① 国の紋章または盾形紋章,王室の印章,公印,チャクリ王朝の紋章,王室の勲章からなる紋章および記章,官庁印,省,事務局,局または州の印章
② タイの国旗,王旗または公式な旗
③ 王室の名称,王室のモノグラム(組合せ図案文字)または王室の名称若しくは王室のモノグラムの省略形
④ 王,王妃および王位継承者の肖像
⑤ 王,王妃若しくは王位継承者または王族を表す名称,語,言葉または紋章
⑥ 他の国の紋章および国旗,国際組織の紋章および旗,他の国の首長の紋章,他の国または国際組織の公式の紋章および品質管理証,他の国または国際組織の名称およびモノグラム。ただし,当該他の国または国際組織の担当官の許可がある場合はこの限りでない。
⑦ 赤十字の公式記章および紋章または「Red Cross」若しくは「Geneva Cross」の名称
⑧ タイ政府,タイの政府機関,公共企業体若しくはタイのその他の政府組織または外国政府若しくは国際機関が主催した博覧会またはコンテストで授与されたメダル,免状または証明書の外観と同一または類似の標章またはその他の標章。ただし,このメダル,免状,証明書または標章がその描写を付した商品に関して出願人に実際に授与され,係る商標の一部として使用される場合を除く。
⑨ 公序良俗に反する標章
⑩ 登録商標であるか否かを問わず,大臣の告示で定める著名商標と同一の標章または商品の所有者若しくは出所に関して公衆を混同させる虞のある商標に類似する標章
⑪ ①,②,③,⑤,⑥または⑦に類似する商標
⑫ 地理的表示に関する法律に基づいて保護されている地理的表示
⑬ 大臣の告示で定めるその他の商標
2016年商標審査マニュアル(タイ語のみ、タイ知的財産局のウェブサイトから参照可。)には登録できない商標の例が挙げられている。
(3)通常の商標以外の制度
証明標章、団体標章も登録することが可能である。
関連記事:「タイにおける公序良俗に反する商標」(2015.6.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/9170/
関連記事:「タイにおける周知商標」(2015.5.19)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/8586/
3. 出願の言語
出願手続にはタイ語を使用しなければならない(1992年省令第2項)。
商標が外国文字を含む場合はその意味を願書に記載しなければならない。(1992年省令第12項)。
関連記事:「タイにおける外国語表記を含む商標出願の識別性判断」(2015.2.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/7936/
4. 商標登録出願時の特例(タイ商標法第28条の2)
タイまたはタイが加盟している商標保護に関する条約または国際協定の加盟国でタイまたは当該加盟国の政府機関、公共企業体またはその他の政府組織の企画により開催された博覧会で展示された場合で、商標所有者がその商品を当該博覧会に持ち込んだ日かまたは最初の外国出願日のうち何れか早い方の日から6か月以内に当該博覧会に展示した商品について商標登録出願を行ったとき、当該商標の出願人は第28条第1段落に基づく権利(優先権)を主張することができる。
5. 審査
(1)実体審査
登録官は、その出願商標が登録要件を満たさない、または保護を受けようとする商品が明確に記載されていない等と判断した場合、拒絶理由通知または拒絶査定を発して出願人に通知する。(タイ商標法第15条、第16条)
登録官は、その出願商標が登録要件を満たすと判断した場合、公告命令をおこない、公告する。(タイ商標法第29条)
(2)早期審査
制度を定める条文は無いが、適切な理由を添えた上申書を登録官に提出することで、実務上早期審査を請求することができる。ただし、早期審査の可否は登録官の裁量による。
(3)商標の類否判断の概要
商標の外観と称呼が類似し、区分に関わらず同じ種類の商品または役務に使用するとき、公衆に対して商品または役務の所有者または出所に関して誤認混同を生じさせる恐れのある程に類似すると判断される。(タイ商標法第13条、2016年商標審査マニュアル)
関連記事:「タイの商標関連の法律、審査基準等」(2019.4.4)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16812/
関連記事:「タイにおける商標審査基準関連資料」(2016.2.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/10286/
6. 出願から登録までのフローチャート
(1)出願から登録までの商標出願のフローチャート
(2)フローチャートに関する簡単な説明
① 商標出願
所定の書式を整えてタイ商務省知的財産局(Department of Intellectual Property, DIP)へ提出する。
タイに居所を有していない日本企業や自然人が出願するためには、タイ国内に居所を有する者(特許代理人資格は必要ではなく、国籍も問わない)が出願行為を代理する必要があり、委任状が必要となる。
② 審査
提出書類の書式が正しいか、必要書類が揃っているかといった方式的な要件の他、指定商品または指定役務記述の登録可否判断、識別性の判断、先行商標との類否判断が行われる。
国際分類表を参考に作成された独自の商品役務リストを採用しており、全体的に細かい記述が求められる。
日本より厳しく識別性を判断する傾向にあるため、出願前に現地代理人にコメントを求めることをお勧めする。
③ 拒絶理由通知
審査の結果、指定商品または指定役務記述等に対する補正命令、権利不要求(ディスクレーマー)命令等が発出された場合、出願人は命令受領から60日以内に登録官へ応答することができる(期限の延長不可)。期日内に応答しない場合、放棄とみなされる。
④ 拒絶命令
審査の結果、識別性の不備、または先行商標と同一もしくは類似するとして拒絶命令が発出された場合、出願人は拒絶命令受領から60日以内に商標委員会へ審判請求することができる(期限の延長は不可)。期日内に応答しない場合は放棄とみなされる。
⑤ 商標委員会への審判請求
拒絶命令に不服があれば、商標委員会に審判請求をすることができる。拒絶命令の内容が解消された場合は審査に係属する。
⑥ 裁判所への提訴
商標委員会への審判請求によっても問題が解消されなければ、知的財産・国際取引中央裁判所(CIPITC)へ提訴することができる。裁判は三審制で、上級審として控訴審(Court of Appeals)、最高裁(Supreme Court)がある。
⑦ 公告
審査の結果、登録するべきと判断された場合は公告される。第三者は、公告から60日以内に異議申立をすることができる。
⑧ 登録料支払命令
異議申立期間中に第三者による異議申立がなければ登録料支払命令が発出される。出願人は命令受領から60日以内に登録料を支払う必要がある。支払わなかった場合、放棄とみなされる。
⑨ 商標登録証の発行
登録料の支払いにより登録番号が付与され、商標登録証が発行される。
[権利設定前の争いに関する手続]
7. 拒絶命令に対する不服(タイ商標法第18条)
審査の結果、識別性の不備、または先行商標と同一もしくは類似するとして拒絶命令が発出された場合、出願人は拒絶命令受領から60日以内に商標委員会へ審判請求することができる。
関連記事:「タイにおける商標権の取得」(2014.12.19)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/7426/
8. 権利設定前の異議申立(タイ商標法第35条)
第三者は、公告から60日以内に異議申立をすることができる。
9. 上記7の判断に対する不服申立(タイ商標法第38条)
商標委員会の審決に不服とする商標出願人または異議申立人は、審決の受領日から90日以内に知的財産・国際取引中央裁判所(CIPITC)に提訴することができる。
関連記事:「タイにおける商標権関連判例・審決例」(2017.3.22)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/precedent/13268/
[権利設定後の争いに関する手続]
10. 権利設定後の異議申立
条文上規定はない。
11. 設定された商標権に対して、「不使用以外」で権利の取消しを申し立てる制度
その登録商標が登録要件(第7条、第8条、第13条)を満たしていないことを証明できる場合、商標委員会へ取消請求することができる。(タイ商標法第61条)
その登録商標が公序良俗に反する場合、商標委員会へ取消請求することができる。(タイ商標法第62条)
その登録商標が通商上慣用となり、業界または公衆にとって商標としての性格を失ったことを証明できる場合、知的財産・国際取引中央裁判所(CIPITC)に取消請求することができる。(タイ商標法第66条)
請求人自らがその商標権者よりも優先する権利を有することを証明できる場合、その商標権の登録命令日から5年以内に知的財産・国際取引中央裁判所(CIPITC)へ取消請求することができる。(タイ商標法第67条)
関連記事:「タイにおける知的財産権登録に拠らない発明、意匠、商標の保護」(2014.12.15)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/7291/
12. 商標の不使用取消制度(タイ商標法第63条)
登録された指定商品または指定役務について取消請求を行う前の3年間に商標が使用されていないことを証明できる場合、商標委員会に対して取消請求を行うことができる。
13. その他の制度
特になし。
タイにおける商標制度のまとめ-実体編
1. 商標制度の特徴
(1)商標の一出願多区分制(タイ商標法第9条)
商標法の2016年改正により商標の一出願多区分制が導入されたが、2019年現在の実務では出願後に区分毎への分割が認められていないため、一部の区分に対し拒絶を受けた場合、拒絶を受けた区分とそれ以外の区分に出願を分割して拒絶対応と登録手続を並行で進めることはできない。
(2)商標権の譲渡(タイ商標法第49条)
商標権の登録後であれば、その指定商品または指定役務の一部のみの登録につき、譲渡・相続することが可能である。未登録の場合はそれが認められず、全ての商品・役務に関する地位を譲渡・相続しなければならない。
(3)商標ライセンス契約の登録(タイ商標法第68条、第70条)
商標ライセンス契約は書面で作成され、かつ登録官に対して登録されなければならず、登録されていないライセンス契約は、係争になった場合無効とされる(タイ最高裁判所(The Supreme Court of Thailand)判例1223/2549、5219/2550)ため、第三者対抗要件がない。登録申請書には商標権者がライセンシー商品の品質を管理できるような条件または制限、使用を許諾する商品を記載しなければならない。登録されたライセンス契約に基づくライセンシーによる商標の使用は商標権者の使用とみなされるが、登録されていないライセンス契約に基づく場合、商標権者の使用とみなされず、不使用取消の対象とされる可能性がある。
ただし、係争にならなければ、登録の有無にかかわらず、ライセンス契約の当事者間では有効とされる。
関連記事:「タイにおける商標出願制度概要」(2019.6.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17463/
関連記事:「タイ最高裁判所における判決の概要の調べ方」(2019.5.28)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17263/
関連記事:「タイにおける知的財産権使用許諾契約」(2015.1.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/7688/
関連記事:「タイにおけるライセンス及び秘密管理に関する法制度と実務運用」(2014.11.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/7186/
2. 登録できる商標(タイ商標法第4条)
写真、絵画、創作された図、ロゴ、名称、語句、文、文字、数字、署名、色の集合、物体の外形(shape)もしくは形状、音、またはそれらの一つもしくは複数が結合したものに対して登録が認められている。商標、役務標章、証明標章、団体商標がある。
関連記事:「タイにおける周知商標」(2018.9.13)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/15747/
3. 商標を登録するための要件(タイ商標法第6条)
識別性を備え(第7条)、商標法で禁止されている特徴を持たず(第8条)、他人の登録商標と同一または類似しないこと(第13条)。
関連記事:「タイにおける商標審査基準関連資料」(2016.2.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/10286/
関連記事:「タイにおける一般用語の商標登録に関する判例」(2015.3.31)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/8262/
4. 商標権の存続期間
・商標権の存続期間(タイ商標法第53条)
商標の登録日(出願日)から10年
・商標権の更新手続(タイ商標法第54条)
存続期間満了日前3か月の間に更新申請が可能である。さらに満了日から6か月の間の猶予期間中の手続には、更新手数料とその20%にあたる割増手数料が発生する。
関連記事:「タイにおける商標権の取得」(2014.12.19)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/7426/
タイにおける商標出願制度概要
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