タイにおける特許・実用新案・意匠年金制度の概要
1. 特許権
1-1. 存続期間
タイにおける特許権の権利期間は、出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)から20年である(タイ特許法(以下「特許法」という。)第35条)。権利期間の延長制度は存在しない。
1-2. 年金の納付期限
年金の納付義務は、出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)を起算日として5年度※1から発生するが、出願が特許査定を受けた場合のみ納付が求められる(特許法第43条第1段落)。したがって、出願から4年以上経過した場合であっても、審査中は年金納付手続は不要である。出願から特許査定まで4年以上を要した場合は、特許査定後に5年度から査定を受けた年までの年金を、特許の付与後60日以内に納付する必要がある(特許法第43条第2段落)。これを累積年金と言う※2。その後の年金納付は、各年毎に当該年度の開始後60日以内にしなければならない(特許法第43条第1段落)。
※1 ここでの「年度」とは、出願日を起算日とする特許期間における年度をいう。
※2 累積年金とは、年金納付義務が特許査定前から存在し、かつ特許査定が下されてから納付が開始される国において、登録の手続の際に納付すべき年金のことを指す。指定された年度から査定された年度までをカバーする年金をまとめて納付し、それ以降は年払いに移行する。なお、査定された時期と年金納付日の関係によっては、指定された年度から査定された年度の次の年度の分までを納付することになる場合もある。
タイの居住者でない者が年金を納付する場合は、その者の代理人として、タイ国内で行為する者として長官により登録された代理人を任命しなければならない(特許法(B.E.2522)に基づく省令第21号(B.E.2542)(以下「省令第21号」という。)第13条第1段落)。
1-3. 納付期限を徒過した場合(追納制度)
1-2に記載の定められた期間内に年金納付がなされなかった場合、納付期間の満了後120日以内であれば、所定の年金金額に加えて年金金額に対して30パーセントの割増手数料を同時に納付することを条件に年金の追納が可能である(特許法第43条第3段落)。
1-4. 権利回復制度
1-3に記載の定められた追納期間内に、年金および割増手数料が納付されなかった場合、タイ特許庁長官は、特許の取消に関する報告書を特許委員会※3に提出しなければならない(特許法第43条第4段落)。
特許委員会に対する手続として、特許権者は、特許の取消命令を受領した日から60日以内に、定められた期間内に年金および割増手数料を納付できなかったことが止むを得ない事情によるものであったことを記載した要請書を、特許委員会に提出することができる(特許法第43条第5段落)。要請書が提出された場合、特許委員会は、事情に応じて納付期間を延長するか、または特許を取り消すことができる。
※3 商務担当国務次官を議長とし、内閣に指名された科学,工学,工業,工業意匠,農業,薬学,経済および法律の分野における資格を有する12名以下の委員からなる委員会を言う(特許法第66条)。特許委員会は、審判請求についての決定等に関する権限および義務を有する(特許法第70条)。
追納期間経過までに年金を納めない場合、特許権は消滅するが、権利を放棄したい旨を記した書面をタイ特許庁に提出することにより自発的に放棄する手続もある(特許法第53条)。
1-5. 年金の誤納
意図しない特許権に対して年金を誤って納付してしまった場合の誤納返還に関する明確な規定はないが、全額を一括して前納した場合において、その後権利を放棄しても年金の払い戻しを受けることはできないとの規定はある(特許法第44条)。
2. 実用新案権
2-1. 存続期間
実用新案権(タイ特許法第65条の2に規定される小特許の権利をいう。)の権利期間は、出願日から最長10年である(特許法第65条の7)。実用新案権の登録時には、出願日を起算日として6年の存続期間が設定される(特許法第65条の7第1段落)。その後、6年度と8年度の満了前90日に、それぞれ2年間の存続期間の延長手続を行うことで、計10年の権利期間を得ることができる(特許法第65条の7第2段落)。
2-2. 年金の納付期限
実用新案の規定である特許法第65条の10において、特許の年金を規定する特許法第43条を準用しているので、実用新案の年金制度は、権利期間を除き特許とほぼ同様である。
年金の納付義務は、出願日を起算日として5年度から発生するが、出願が登録査定を受けた場合のみ納付が求められる(特許法第65条の10で準用する第43条第1段落)。したがって、出願から4年以上経過した案件であっても、審査中は、年金納付手続は不要である。出願から登録査定まで4年以上を要した場合は、5年度から査定を受けた年までの年金を、実用新案の付与後60日以内に納付する必要がある(特許法第65条の10で準用する第43条第2段落)。これを累積年金と言う(前記※1を参照)。累積年金の納付後は、各年毎に年度の開始後60日以内に年金を納付しなければならない(特許法第65条の10で準用する第43条第1段落)。
タイの居住者でない者が年金を納付する場合は、その者の代理人として、タイ国内で行為する者として長官により登録された代理人を任命しなければならない(省令第21号第24条で準用する第13条第1段落)。
2-3. 納付期限を徒過した場合(追納制度)
年金の追納制度は、5年度と6年度の年金納付については特許と同じである(特許法第65条の10で準用する第43条第3段落)。6年度と8年度の満了前の存続期間の延長手続については、特許のような追納の規定は適用されない。
2-4. 権利回復制度
追納期間を徒過した場合の権利回復制度は、5年度と6年度の年金納付については特許と同じである(特許法第65条の10で準用する第43条第4、5段落)。6年度と8年度の満了前の存続期間の延長手続については、特許のような権利回復の規定は適用されない。
追納期間経過までに年金を納付しない場合、実用新案権は消滅するが、権利を放棄したい旨を記した書面をタイ特許庁に提出することにより自発的に放棄する手続もある(特許法第65条の10で準用する第53条)。
2-5. 年金の誤納
年金の誤納返還に関する制度も特許と同じである(特許法第65条の10で準用する第44条)
3. 意匠権
3-1. 存続期間
意匠権の権利期間は、出願日から10年である(特許法第62条)。権利期間の延長制度は存在しない。
3-2. 年金の納付期限
意匠の規定である特許法第65条において、特許の年金を規定する特許法第43条を準用しているので、意匠の年金制度は、権利期間を除き特許とほぼ同様である。
年金は、出願日を起算日として5年度から発生するが、出願が登録査定を受けた場合のみ納付が求められる(特許法第65条で準用する第43条第1段落)。したがって、出願から4年以上経過した案件であっても、審査中は、年金納付手続は不要である。出願から登録査定まで4年以上を要した場合は、5年度から査定を受けた年までの年金を、意匠の付与後60日以内に納付する必要がある(特許法第65条で準用する第43条第2段落)。これを累積年金と言う(前記※1を参照)。その後の年金納付は、各年度の開始後60日以内にしなければならない(特許法第65条で準用する第43条第1段落)。
タイの居住者でない者が年金を納付する場合は、その者の代理人として、タイ国内で行為する者として長官により登録された代理人を任命しなければならない(省令第21号第23条で準用する第13条第1段落)。
3-3. 納付期限を徒過した場合(追納制度)
年金の追納制度は、特許と同じである(特許法第65条で準用する第43条第3段落)。
3-4. 権利回復制度
追納期間を徒過した場合の権利回復制度は、特許と同じである(特許法第65条で準用する第43条第4、5段落)。
追納期間経過までに年金を納めない場合、意匠権は消滅するが、権利を放棄したい旨を記した書面をタイ特許庁に提出することにより自発的に放棄する手続もある(特許法第65条で準用する第53条)。
3-5. 年金の誤納
年金の誤納返還に関する制度も特許と同じである(特許法第65条で準用する第44条)
タイにおいてOIモデル契約書ver2.0共同研究開発契約書(新素材編、AI編)を活用するに際しての留意点
記事本文はこちらをご覧ください。
タイにおける主な知的財産関連サイトのリンク情報(その1)
1. 法区分の色分け凡例:
特許・実用新案、意匠、商標(地理的表示を含む)、その他(著作権等)
カテゴリーの色分け凡例:
報告書(統計、年報、白書、JETROマニュアル、調査報告書)
法律・規則・基準・様式・ガイドライン・手続/審査/審判情報
公報・データベース・分類・検索・FAQ・審査例・登録例・判例・審決例
その他有益なもの(料金、分類不能)
2. タイ知的財産局のウェブサイト紹介
https://www.ipthailand.go.th/th/home.html
(*タイ知的財産局のウェブサイトのリンクは、接続にやや時間がかかるので注意されたい。)
เกี่ยวกับกรม(タイ知的財産局について) | |||
ประวัติกรม(歴史) https://www.ipthailand.go.th/th/ประวัติกรม.html |
|||
โครงสร้างกรม(組織構造) https://www.ipthailand.go.th/th/โครงสร้างกรม.html |
|||
ผู้บริหารกรม(局幹部) https://www.ipthailand.go.th/th/ipthailandexecutive.html |
|||
ผู้บริหารเทคโนโลยีสารสนเทศระดับกรม(情報技術部エグゼクティブ) https://www.ipthailand.go.th/th/dcio.html |
|||
อำนาจหน้าที่(権限) https://www.ipthailand.go.th/th/duty2.html |
|||
แผนยุทธศาสตร์กรมทรัพย์สินทางปัญญา(戦略計画) https://www.ipthailand.go.th/th/about/วิสัยทัศน์-พันธกิจ-ค่านิยม.html |
|||
ผลการดำเนินงาน(パフォーマンス) https://www.ipthailand.go.th/th/ผลการดำเนินงาน.html |
|||
ระเบียบนโยบายและแผน(規則、ポリシー、計画) https://www.ipthailand.go.th/th/กฎกระทรวง-ประกาศ-ระเบียบนโยบายและแผน.html |
|||
กลุ่มคุ้มครองจริยธรรม(倫理保護グループ) https://www.ipthailand.go.th/th/กลุ่มคุ้มครองจริยธรรม.html |
|||
คู่มือการปฏิบัติงาน(マニュアル) https://www.ipthailand.go.th/th/คู่มือการปฏิบัติงาน.html |
|||
สิทธิบัตร/อนุสิทธิบัตร(特許・小特許(実用新案)) https://www.ipthailand.go.th/th/คู่มือการปฏิบัติงาน/category/สิทธิบัตร-อนุสิทธิบัตร-2.html ※タイでは、「特許」を「小特許(実用新案)」と区別するため、「発明特許」と表記する場合もあるが、ここでは「特許」と表記する。 |
|||
คู่มือการตรวจสอบคำขอรับสิทธิบัตรการประดิษฐ์และอนุสิทธิบัตร ฉบับปี ๒๕๖๒(特許および小特許出願の審査のためのガイド、2019年版)
http://www.ipthailand.go.th/th/คู่มือการปฏิบัติงาน/item/คู่มือการตรวจสอบคำขอรับสิทธิบัตรการประดิษฐ์และอนุสิทธิบัตร-ฉบับปี-๒๕๖๒.html?category_id=2704 |
|||
คู่มือการตรวจสอบสิทธิบัตรการประดิษฐ์และอนุสิทธิบัตรทางด้านเคมีและเภสัชภัณฑ์(化学および医薬品の特許および小特許審査ガイド)
http://www.ipthailand.go.th/th/คู่มือการปฏิบัติงาน/item/คู่มือการตรวจสอบสิทธิบัตรการประดิษฐ์และอนุสิทธิบัตรทางด้านเคมีและเภสัชภัณฑ์.html?category_id=2704 |
|||
สิทธิบัตรการออกแบบผลิตภัณฑ์(製品設計特許(意匠)) https://www.ipthailand.go.th/th/คู่มือการปฏิบัติงาน/category/สิทธิบัตรการออกแบบผลิตภัณฑ์.html |
|||
Manual for Design Application(意匠出願マニュアル) https://www.ipthailand.go.th/th/คู่มือการปฏิบัติงาน/item/manual-for-design-application.html?category_id=2705 |
|||
คู่มือตรวจสอบคำขอรับสิทธิบัตรกำรออกแบบผลิตภัณฑ์(意匠出願審査ガイド) https://www.ipthailand.go.th/th/คู่มือการปฏิบัติงาน/item/คู่มือตรวจสอบคำขอรับสิทธิบัตรกำรออกแบบผลิตภัณฑ์.html?category_id=2705 |
|||
เครื่องหมายการค้า(商標) https://www.ipthailand.go.th/th/คู่มือการปฏิบัติงาน.html |
|||
คู่มือแนวทางการพิจารณาสั่งการของนายทะเบียนสำนักเครื่องหมายการค้า พ.ศ.2565(2022年商標庁登録官の命令を検討するためのガイドライン)
https://www.ipthailand.go.th/th/คู่มือการปฏิบัติงาน/category/เครื่องหมายการค้า-3.html |
|||
กลุ่มบริหารงานบุคคล/KM(人事管理グループ) https://www.ipthailand.go.th/th/กลุ่มบริหารงานบุคคล.html |
|||
บริการข้อมูล(情報サービス) | |||
เกี่ยวกับกรม(商標) | |||
ภาพรวมเครื่องหมายการค้า(商標の概要) https://www.ipthailand.go.th/th/trademark-001.html |
|||
ขั้ตอน ระยะเวลาและส่วนงานที่รับผิดชอบ(フローチャート、期間、責任範囲) https://www.ipthailand.go.th/th/trademark-005.html |
|||
ตัวอย่างหนังสือสำคัญการจดทะเบียน(登録証明書の例) https://www.ipthailand.go.th/th/trademark-004.html |
|||
กระบวนการยื่นคำขอจดทะเบียน(登録申請プロセス) https://www.ipthailand.go.th/th/trademark-002.html |
|||
การรับจดทะเบียนเครื่องหมายการค้า(商標登録) https://www.ipthailand.go.th/th/trademark-002/item/การรับจดทะเบียนเครื่องหมายการค้า.html |
|||
เอกสารประกอบการรับจดทะเบียนเครื่องหมายการค้า(商標登録のための書類) https://www.ipthailand.go.th/th/trademark-002/item/เอกสารประกอบการรับจดทะเบียนเครื่องหมายการค้า.html |
|||
※以上2つの他、以下の情報が掲載されている。 ・商標登録情報の修正 ・商標登録情報の変更を裏付ける文書 ・商標ライセンス契約登録 ・商標使用許諾契約の登録書類 ・商標権の譲渡または継承 ・商標権の譲渡または継承を裏付ける文書 ・商標登録の更新 ・商標登録更新書類 ・所有者の商標撤回要求 ・所有者の商標の撤回を要求するための文書 |
|||
แบบฟอร์ม ตัวอย่างและ คู่มือการกรอก(フォーム、サンプルおよび記入ガイド) https://www.ipthailand.go.th/th/trademark-007.html ※手続関係書類(様式)が21種類掲載されている。 |
|||
วีดีโอแนะนำการกรอกแบบฟอร์ม(フォームに記入するための説明ビデオ) http://www.ipthailand.go.th/dipvdo/vdofull/full1.mp4 ※いきなり説明ビデオが始まるので音量等に注意すること。 |
|||
ค่าธรรมเนียม(手数料(料金表)) https://www.ipthailand.go.th/th/trademark-006.html |
|||
จำพวกรายการสินค้าบริการ(商品とサービスのリスト) https://www.ipthailand.go.th/th/trademark-009.html |
|||
รายการสินค้าและบริการที่ยื่นขอจดทะเบียนเครื่องหมายการค้าในประเทศไทย(タイで商標登録を申請されている商品とサービスのリスト) https://tmsearch.ipthailand.go.th/ ※約3万6千個のタイ語と英語の対訳付きの商品リスト(検索可能) |
|||
TM class(EUIPOのTM class) https://euipo.europa.eu/ec2/ |
|||
กฎหมาย(法律) https://www.ipthailand.go.th/th/trademark-008.htm |
|||
พระราชบัญญัติ(法律) https://www.ipthailand.go.th/th/dip-law-2/category/พระราชบัญญัติ-acts-2.html |
|||
กฎกระทรวง(大臣規則) https://www.ipthailand.go.th/th/dip-law-2/category/กฎกระทรวง-ministerial-regulations-2.html |
|||
※以上2つの他、以下の情報が掲載されている。 ・商工省発表 ・知的財産局発表 ・知的財産局規則 ・商標審判部通知 ・商標審判部命令 ・商標登録事業者に関するお知らせ ・その他 |
|||
สถิติ(統計) https://www.ipthailand.go.th/th/trademark-010.html ※年毎の、以下のような統計が掲載されている。 ・商標登録統計 国別 ・商標登録出願統計 国別 ・商標統計 類別 ・登録申請の統計および商標登録年 ・商標登録統計 カテゴリー別 ・商標登録出願統計 カテゴリー別 ※エクセルファイルでダウンロードされる。 |
|||
เอกสารเผยแพร่(出版物) https://www.ipthailand.go.th/th/trademark-011.html |
|||
ช่องทางการให้บริการ(サービスチャネル) https://www.ipthailand.go.th/th/trademark-003.html ※国内出願がオンラインまたは郵送で可能である旨の絵が示されている。 |
|||
ประกาศโฆษณาเพิกถอนเครื่องหมายการค้า(商標取消のお知らせ) https://www.ipthailand.go.th/th/revoke20191025.html |
|||
การจดทะเบียนเครื่องหมายการค้าระหว่างประเทศ (Madrid Protocol)(国際商標登録(マドリッド協定議定書)) https://www.ipthailand.go.th/th/patent-9.html ※以下の情報が掲載されている。 ・国際商標登録のフローチャート ・マドリッド協定議定書に基づく国際商標登録のガイダンス |
|||
รายชื่อตัวแทน(代理人のリスト) https://www.ipthailand.go.th/th/list-of-law-relevant-representatives-in-thailand.html ※代理人事務所およびウェブサイトへのリンクが掲載されている。 |
|||
สิทธิบัตร/อนุสิทธิบัตร(特許/小特許(実用新案)) | |||
ภาพรวมสิทธิบัตร(特許の概要) https://www.ipthailand.go.th/th/patent-001.html |
|||
คู่มือการขอรับสิทธิบัตรและอนุสิทธิบัตรฉบับประชาชน(特許および小特許出願マニュアル) https://www.ipthailand.go.th/th/patent-0110.html |
|||
ขั้นตอน ระยะเวลาและส่วนงานที่รับผิดชอบ(フローチャート、期間、責任範囲) https://www.ipthailand.go.th/th/patent-005.html |
|||
ขั้นตอนการดำเนินการขอรับสิทธิบัตร(特許を申請するためのプロセス) https://www.ipthailand.go.th/th/patent-005/item/ขั้นตอนการดำเนินการขอรับสิทธิบัตร.html |
|||
ขั้นตอนการตรวจสอบคำขอสิทธิบัตรการประดิษฐ์(特許出願を審査するプロセス) https://www.ipthailand.go.th/th/patent-005/item/ขั้นตอนการตรวจสอบคำขอสิทธิบัตรการประดิษฐ์.html |
|||
ขั้นตอนการดำเนินการขอรับอนุสิทธิบัตร(小特許を申請するためのプロセス) https://www.ipthailand.go.th/th/patent-005/item/ขั้นตอนการดำเนินการขอรับอนุสิทธิบัตร.html |
|||
การยื่นคำขอและเอกสารประกอบการยื่น(願書と添付書類) https://www.ipthailand.go.th/th/patent-002.html |
|||
การจดทะเบียนสิทธิบัตรการประดิษฐ์(特許登録要件) https://www.ipthailand.go.th/th/patent-002/item/การจดทะเบียนสิทธิบัตรการประดิษฐ์.html |
|||
เอกสารประกอบการจดทะเบียนสิทธิบัตรการประดิษฐ์(特許の登録を裏付ける文書) https://www.ipthailand.go.th/th/patent-002/item/เอกสารประกอบการจดทะเบียนสิทธิบัตรการประดิษฐ์.html |
|||
※以上2つの他、以下の情報が掲載されている。 ・小特許登録 ・小特許登録のための補足文書 ・特許および小特許に基づくライセンス権の登録 ・特許および小特許に基づくライセンス登録のための補足文書 ・特許および小特許の譲渡の登録 ・特許および小特許の譲渡の登録のための文書 ・小特許の更新 ・小特許の更新のための補足文書 ・国際特許(PCT)登録 ・国際特許(PCT)登録のための補足文書 ・登録後の特許および法定登録に関する情報の補正の通知 ・特許登録および登録後の小特許に関する情報の補正の通知のための文書 |
|||
แบบฟอร์ม ตัวอย่างและ คู่มือการกรอก(フォーム、サンプルおよび記入ガイド) https://www.ipthailand.go.th/th/patent-007.html ※手続関係書類(様式)が36種類掲載されている。 |
|||
วีดีโอแนะนำการกรอกแบบฟอร์ม(フォームに記入するための説明ビデオ) http://www.ipthailand.go.th/dipvdo/vdofull/full2.mp4 ※いきなり説明ビデオが始まるので音量等に注意すること |
|||
ตัวอย่างร่างคำขอรับสิทธิบัตร/อนุสิทธิบัตร(特許出願/小特許のドラフト(記載例集)) https://www.ipthailand.go.th/th/patent-014.html ※各分野の出願例が掲載されている。 |
|||
ค่าธรรมเนียม(手数料(料金表)) https://www.ipthailand.go.th/th/patent-006.html |
|||
Patent Agent ตัวแทนสิทธิบัตร(弁理士) https://www.ipthailand.go.th/th/patent-009.html ※弁理士試験等に関係する情報が掲載されている。 |
|||
กฎหมาย(法律) https://www.ipthailand.go.th/th/patent-008.html |
|||
พระราชบัญญัติ(法律) https://www.ipthailand.go.th/th/dip-law-2/category/acts.html |
|||
กฎกระทรวง(大臣規則) https://www.ipthailand.go.th/th/dip-law-2/category/กฎกระทรวง-ministerial-regulations.html |
|||
※以上2つの他、以下の情報が掲載されている。 ・商工省発表 ・知的財産局発表 ・知的財産局規則 ・特許委員会規則 ・特許委員会の発表 ・知的財産局の命令 ・国家平和秩序評議会の長の命令 |
|||
สถิติ(統計) https://www.ipthailand.go.th/th/patent-012.html ※年毎の、以下のような統計が掲載されている。 ・特許登録申請統計 ・特許登録統計 ・国別の特許登録統計 ・登録申請の統計 小特許の登録 |
|||
เอกสารเผยแพร่(出版物) https://www.ipthailand.go.th/th/patent-010.html |
|||
ช่องทางการให้บริการ(サービスチャネル) https://www.ipthailand.go.th/th/patent-003.html ※国内出願がオンラインまたは郵送で可能である旨の絵が示されている。 |
|||
ประกาศโฆษณาแบบผังภูมิฯ(公報レイアウトの公告) https://www.ipthailand.go.th/th/ประกาศโฆษณา-แบบผังภูมิฯ.html ※エクセルファイルへのリンクが23個掲載されている。 ※ファイルを開くと公報の書誌欄をレイアウトしたシートが表示される。 |
|||
ประกาศโฆษณา(公開) https://www.ipthailand.go.th/th/ประกาศโฆษณา-สิทธิบัตร-อนุสิทธิบัตร.html ※特許出願および小特許の公開公報(毎週)がzipファイルでダウンロードされる。ただし、要部(書誌および図面)のみである。 |
|||
การจดทะเบียนสิทธิบัตรระหว่างประเทศ (PCT)(国際特許出願) https://www.ipthailand.go.th/th/สิทธิบัตรต่างประเทศ.html ※国際特許出願の説明、費用、統計等が記載されている。 |
|||
สิทธิบัตรการออกแบบผลิตภัณฑ์(製品設計特許(意匠)) | |||
ภาพรวมสิทธิบัตรการออกแบบผลิตภัณฑ์(意匠の概要) https://www.ipthailand.go.th/th/design-patent-001.html |
|||
ขั้นตอน ระยะเวลาและส่วนงานที่รับผิดชอบ(フローチャート、期間、責任範囲) https://www.ipthailand.go.th/th/design-patent-005.html |
|||
ตัวอย่างหนังสือสำคัญการจดทะเบียน(登録証明書の例) https://www.ipthailand.go.th/th/design-patent-002-5.html |
|||
กระบวนการยื่นคำขอจดทะเบียน(登録申請プロセス) https://www.ipthailand.go.th/th/design-patent-002.html |
|||
การจดทะเบียนสิทธิบัตรการออกแบบผลิตภัณฑ์(意匠登録の流れ) https://www.ipthailand.go.th/th/design-patent-002/item/การจดทะเบียนสิทธิบัตรการออกแบบผลิตภัณฑ์.html |
|||
เอกสารประกอบการจดทะเบียนสิทธิบัตรการออกแบบผลิตภัณฑ์(意匠登録の文書) https://www.ipthailand.go.th/th/design-patent-002/item/เอกสารประกอบการจดทะเบียนสิทธิบัตรการออกแบบผลิตภัณฑ์.html |
|||
※以上2つの他、以下の情報が掲載されている。 ・意匠登録情報変更のお知らせ ・意匠登録情報の変更を通知するための文書 ・意匠の譲渡 ・意匠の譲渡に関する書類 ・意匠ライセンス ・意匠ライセンスドキュメント |
|||
แบบฟอร์ม ตัวอย่างและ คู่มือการกรอก(フォーム、サンプルおよび記入ガイド) https://www.ipthailand.go.th/th/design-patent-007.html ※手続関係書類(様式)が18種類掲載されている。 |
|||
วีดีโอแนะนำการกรอกแบบฟอร์ม(フォームに記入するための説明ビデオ) http://www.ipthailand.go.th/dipvdo/vdofull/full2.mp4 ※いきなり説明ビデオが始まるので音量等に注意すること。 |
|||
ตัวอย่างการกรอกแบบฟอร์ม(フォームへの記入例) https://www.ipthailand.go.th/th/ตัวอย่างการกรอกแบบฟอร์ม.html ※出願書類の記載例(図面を含む)が掲載されている。 |
|||
ค่าธรรมเนียม(手数料(料金表)) https://www.ipthailand.go.th/th/design-patent-006.html |
|||
Patent Agent ตัวแทนสิทธิบัตร(弁理士) https://www.ipthailand.go.th/th/design-patent-009.html ※弁理士試験等に関係する情報が掲載されている。 |
|||
กฎหมาย(法律) https://www.ipthailand.go.th/th/design-patent-010.html |
|||
พระราชบัญญัติ(法律) https://www.ipthailand.go.th/th/dip-law-2/category/พระราชบัญญัติ-acts-ออกแบบ.html |
|||
กฎกระทรวง(大臣規則) https://www.ipthailand.go.th/th/dip-law-2/category/กฎกระทรวง-ministerial-regulations-ออกแบบ.html |
|||
※以上2つの他、以下の情報が掲載されている。 ・商工省発表 ・知的財産局発表 ・知的財産局規則 ・特許委員会規則 ・特許委員会の発表 ・知的財産局の命令 |
|||
สถิติ(統計) https://www.ipthailand.go.th/th/สถิติ5.html ※年毎の、以下のような統計が掲載されている(特許とともに意匠の統計も掲載されている。)。 ・特許登録申請統計 ・特許登録統計 ・国別の特許登録統計 |
|||
ช่องทางการให้บริการ(サービスチャネル) https://www.ipthailand.go.th/th/design-patent-003.html ※国内出願がオンラインまたは郵送で可能である旨の絵が示されている。 |
|||
※以上3つ(商標、特許/小特許、意匠)の他、以下の法律等についても、同様のリンク構成で掲載されている。詳細は省略する。 | |||
ลิขสิทธิ์(著作権) https://www.ipthailand.go.th/th/copyright-001.html |
|||
สิ่งบ่งชี้ทางภูมิศาสตร์(地理的表示(GI)) https://www.ipthailand.go.th/th/gi-001.html |
|||
การป้องปรามการละเมิดทรัพย์สินทางปัญญา(知的財産権侵害の防止) https://www.ipthailand.go.th/th/protect-001.html |
|||
ความลับทางการค้า(営業秘密) https://www.ipthailand.go.th/th/secret-001.html |
|||
แบบผังภูมิของวงจรรวม(半導体集積回路の回路図) https://www.ipthailand.go.th/th/layout-006.html |
|||
การผลิตผลิตภัณฑ์ซีดี(CD製品の製作) https://www.ipthailand.go.th/th/cd-001.html ※タイでは著作権侵害に対処するため、CD製造機械の販売等がCD製品製造法により規制されている。 (*2024年5月現在、上記リンクはつながりません。) |
|||
การระงับข้อพิพาท(紛争解決プロセス) https://www.ipthailand.go.th/th/การระงับข้อพิพาท.html |
|||
ทรัพย์สินทางปัญญาในเวทีต่างประเทศ(海外の知的財産) https://www.ipthailand.go.th/th/ทรัพย์สินทางปัญญาในเวทีต่างประเทศศ.html ※多国間協定に関する知的財産制度、二国間協定に関する知的財産制度、二国間における知的財産関連の協力、ASEAN諸国における知的財産関連の協力、について解説されている。 |
|||
ศูนย์(IPAC:知的財産アドバイザリーセンター) https://www.facebook.com/IPiPACThailand/about_details ※知的財産局のFacebookのページが表示される。SNSへの接続が制限されている場合は接続できない。 |
|||
บริการออนไลน์(オンラインサービス) | |||
ระบบการจดทะเบียนทรัพย์สินทางปัญญาอิเล็กทรอนิกส์(電子知的財産登録システム) https://sso.ipthailand.go.th/login?app_id=1700000003&redirect_url=https:%2F%2Fportal.ipthailand.go.th%2Ftoken%3Fcontinue_url%3Dhttps%253A%252F%252Fportal.ipthailand.go.th%252F ※ログインページが表示される。 |
|||
ตรวจสอบข้อมูลเครื่องหมายการค้าสำหรับประชาชน(先行商標の検索の勧め) https://ipthailand.go.th/th/gi-003/item/ตรวจสอบข้อมูลเครื่องหมายการค้าสำหรับประชาชน.html |
|||
รายการสินค้าและบริการที่ยื่นขอจดทะเบียนเครื่องหมายการค้าในประเทศไทย(タイで商標登録を申請している商品と役務のリスト) https://tmsearch.ipthailand.go.th/ ※約3万8千件のタイ語と英語の対訳付きの商品リスト(検索可能) |
|||
ระบบแจ้งเตือนคําขอรับสิทธิบัตร(特許通知システム) https://www.ipthailand.go.th/th/notifypatent.html ※特許異議申立データベース、意匠異議申立データベース、特許満了事前通知、が掲載されている。 |
|||
สอบถามข้อมูลการจดแจ้งลิขสิทธิ์(著作権情報の確認) https://copyright.ipthailand.go.th/search ※登録された著作権の情報を確認することができる。 |
|||
ระบบเรียนทางไกลทรัพย์สินทางปัญญา(e-ラーニング) https://elearning.ipthailand.go.th/lms/ ※e-ラーニングシステムである。 |
|||
วีดีโอแนะนำการกรอกแบบฟอร์ม(説明ビデオのリンク集) http://www.ipthailand.go.th/dipvdo/ |
|||
โชว์รูมลิขสิทธิ์ออนไลน์(オンライン著作権紹介) https://search.ipthailand.go.th/cpr ※著作物と思われるキャラクター画像が紹介されている。 |
|||
รับสมัครงานกรมทรัพย์สินทางปัญญา(採用情報) https://ipthailand.thaijobjob.com/ |
|||
แบบประเมินความพึงพอใจ(満足度評価フォーム) https://www.ipthailand.go.th/th/formonline.html |
|||
ระบบรับคำขอเครื่องหมายการค้าระหว่างประเทศ(国際商標登録システム) https://sso.ipthailand.go.th/login?app_id=1701000013&redirect_url=https:%2F%2Fmadrid.ipthailand.go.th%2F#%2Fdcp%2Fdashboard ※ログインページが表示される。 |
|||
ระบบรับแจ้งข้อมูลลิขสิทธิ์และให้บริการข้อมูลลิขสิทธิ์(著作権通知システムと著作権情報サービス) https://copyright.ipthailand.go.th/ ※オンライン著作権登録に関するページである。 |
|||
ระบบข้อมูลการจัดเก็บค่าลิขสิทธิ์เพลง(音楽著作権検索システム) https://music.ipthailand.go.th/ ※音楽著作権の検索に関するページである。 |
|||
ระบบค้นหาข้อมูลตัวแทนดำเนินคดีละเมิดลิขสิทธิ์(著作権侵害者に関する情報を検索するためのシステム) https://agent.ipthailand.go.th/ |
|||
แจ้งข้อมูลการใช้ข้อยกเว้นการละเมิดลิขสิทธิ์เพื่อประโยชน์ของคนพิการ(障害者のための著作権侵害の例外適用に関する通知)
https://copyright.ipthailand.go.th/company/auth/login ※ログインページが表示される。 |
|||
การระงับข้อพิพาทออนไลน์(オンライン紛争解決:タイ仲裁センター) https://odr.thac.or.th/auth/login ※ログインページが表示される。 |
|||
ดาวน์โหลดแบบฟอร์มต่างๆ(様式のダウンロード) ・商標 ・特許・小特許 ・意匠 ・知的財産権侵害の防止のリクエスト ・著作権 ・地理的表示 ・その他(申請書類ではなく、知的財産局の予算等の書類が掲載されている。) |
|||
กิจกรรมและสื่อประชาสัมพันธ์(活動・公報) ・プレスリリース ・活動写真 ・ジャーナル ・インフォグラフィック(知的財産局が作成したポスターの紹介) ・出版物 ・ビデオ ・イベントのカレンダー ・抑制効果(模倣品対策) |
|||
ข้อมูลเผยแพร่(公開情報) ※調達、セミナー、出版、年次報告、統計等 |
|||
กฎหมาย(法令集) ※商標、特許、意匠、著作権、地理的表示等 |
日本とタイにおける意匠権の権利期間および維持に関する比較
1. 日本における意匠権の権利期間
日本における意匠権の権利期間は、意匠登録出願の日から25年をもって終了する(意匠法第21条第1項)。
ただし、平成19年3月31日までに出願された意匠権は、設定登録日から15年、平成19年4月1日から令和2年3月31日までに出願された意匠権は、設定登録の日から20年である。
なお、関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から25年間である(意匠法第21条第2項)。
ただし、本意匠および関連意匠の双方が、平成19年3月31日以前の出願の場合は、関連意匠の意匠権の存続期間は、その本意匠の意匠権の設定登録日から15年間であり、本意匠が平成19年3月31日以前の出願で、関連意匠が平成19年4月1日から令和2年3月31日までの出願の場合は、関連意匠の意匠権の権利期間は、その本意匠の意匠権の設定登録の日から20年である。
なお、権利維持を希望する場合は、登録日を年金納付起算日として2年次から毎年、年金を支払う必要がある(意匠法第42条第1項、第43条第2項)。
条文等根拠:意匠法第21条、第42条、第43条
日本意匠法第21条 存続期間 意匠権(関連意匠の意匠権を除く。)の存続期間は、意匠登録の出願の日から25年をもって終了する。 2 関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から25年をもって終了する。 |
日本国意匠法第42条 登録料 意匠権の設定の登録を受ける者又は意匠権者は、登録料として、第二十一条に規定する存続期間の満了までの各年について、一件ごとに、一万六千九百円を超えない範囲内で政令で定める額を納付しなければならない。 (第2項以下省略) |
日本意匠法第43条 登録料の納付期限 前条第一項の規定による第一年分の登録料は、意匠登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に納付しなければならない。 2 前条第一項の規定による第二年以後の各年分の登録料は、前年以前に納付しなければならない。 (第3項以下省略) |
2. タイにおける意匠権の権利期間
タイにおける意匠権の権利期間は、出願日から10年をもって終了する(特許法第62条)。
なお、権利維持を希望する場合には、出願日を年金納付起算日として5年次から毎年、年金を支払う必要がある。ただし、登録になるまでは年金を支払う義務はなく、意匠特許が意匠特許期間の5年次の開始後に付与された場合は、意匠特許付与後60日以内に累積年金(出願日を年金納付起算日として5年次から意匠特許が付与された年次までを合わせた年金)をまとめて支払う。
条文等根拠:特許法第62条、第43条、第65条(特許法第43条を準用する根拠)
タイ特許法 第62条 意匠特許の有効期間は、国内での出願の日から10年間とする。 意匠特許の期間は、第16条を準用する第65条、又は第74条に基づき裁判所に訴訟が係属している期間を含まない。 |
タイ特許法 第43条 特許権者は、省令に定める年金を特許期間の5年目から納付しなければならない。年金は、特許期間の5年目及びそれに続く年度の開始後60日以内に納付しなければならない。 特許が特許期間の5年目の開始後に付与されたときは、最初の年金は、特許の付与後60日以内に納付しなければならない。 (以下省略) |
タイ特許法 第65条 第II章の発明特許に関する第10条、第11条、第12条、第13条、第14条、第15条、第16条、第19条、第20条、第21条、第22条、第27条、第28条、第29条、第31条、第32条、第33条、第34条、第37条、第38条、第39条、第40条、第41条、第42条、第43条、第44条及び第53条の規定は、第III章の意匠特許について準用するものとする。 |
日本とタイにおける意匠権の権利期間および維持に関する比較
日本 | タイ | |
---|---|---|
権利期間 | 出願日から25年 | 出願日から10年 |
権利維持 | 登録日を年金納付起算日として、2年次から毎年、年金の支払い要 | 出願日を納付起算日として、5年次以降毎年、年金の支払い要。ただし、意匠特許が意匠特許期間の5年次の開始後に付与された場合は、意匠特許付与後60日以内に累積年金を支払う。 |
タイにおける商品・役務の類否判断について(前編)
1. はじめに
日本では先行商標と出願商標は非類似とされているケースで、タイでは、同じ商標の出願について、同じ先行商標と類似と判断され、拒絶査定を受けることがある。この相違は、両国の指定商品・役務に関する審査実務の違いによって生じる場合がある。例えば、日本は「類似群」と呼ばれるグループ分けを採用しており、商品・役務が同じグループに属さない限り、原則として非類似とみなされる。しかし、タイの審査基準では、商品・役務を事前にグループ分けしていないため、判断が異なる可能性がある。そこで本稿では、タイの審査基準に基づく商品・役務の類似・非類似の判断について紹介し、日本の審査基準との相違点を明らかにし、日本の実務家が、タイの商品・役務の類否判断について理解を深めることを目的とする。
具体的には、①商品・役務の類似・非類似を判断する基本原則、②商品間の類似・非類似、③役務間の類似・非類似、④商品・役務間の類似・非類似、の4点について比較・検討する。
2. 基本原則
2-1. タイにおける商標登録要件
タイ商標法B.E.2534(以下「法」という)第6条によると、商品商標/役務商標は、以下の3つの要件をすべて満たさなければ登録とならない:
(1)識別力を有すること
(2)法に基づいて登録が禁止されていないこと
(3) 他人の登録済み商品商標/役務商標と類似・同一でないこと。
タイ知的財産局(以下「DIP」という)は、上記3つの拒絶理由を同時に審査し、すべての拒絶理由を1通の通知に記載する慣行を有する。
2-2. 各商標登録要件についての説明
1) 識別力を有すること
法第7条第1項により、一般公衆が、その商標が使用されている商品・役務が他の商品・役務とは異なることを識別できる場合、当該商標は固有の識別力を有するとみなされる。また、その商標が法第7条第2項に規定する基準を満たす場合、固有の識別力を有するとみなされる。例えば、語句は、適用される商品・役務の性質または品質を直接描写するものであってはならず(法第7条第2項第2号)、文字または数字は、様式化されたものでなければならない(法第7条第2項第4号)等である。
法第7条第2項の基準を満たさず、識別力がないとされる商標であっても、商標が識別力を獲得する程度にタイで広く使用されていることを出願人が証明できれば、登録可能である(法第7条第3項)。使用による識別力の証明要件に関する通知(https://www.ipthailand.go.th/images/781/criteria_for_accreditation.pdf)によると、出願人は、一般公衆または関連公衆が出願人の商標であると認識できることを証明するために、合理的な期間、出願商標と全く同じ形態で商標が使用されていることを示す証拠を提出する必要がある。証拠には、請求書や販促資料のコピーが含まれるが、これらに限定されない。
また、複数の要素から構成される商標の場合、識別力を有さない要素が特徴的(顕著)でないと審査官が判断した場合は、法第17条に基づき、当該要素の識別力を否認した上で登録を認める。一方、識別力を有さない要素が商標の特徴的な部分を構成していると審査官が判断した場合、その商標は識別力を有さないとして完全に拒絶される。
DIPは、全審査官間の効率的で調和のとれた審査を確立するため、商標審査部および裁判所の関連事例とともに、審査手続および審査の流れを詳述した商標審査基準を発行している。本稿作成時の最新の審査基準は2022年1月に導入されている(https://www.ipthailand.go.th/images/3534/2565/TM/TM_2565.pdf)。
2)法に基づいて登録が禁止されていないこと
商標は、法第8条に規定された特徴を含んでいる場合、例えば、国または国際組織の紋章等を含む場合(ただし、外国の管轄官庁または国際機関が許可する場合を除く。)(法第8条第1項第6号)、公序良俗に反する標章(法第8条第1項第9号)、法律により保護されている地理的表示からなる標章(法第8条第1項第12号)等を含む場合は、その商標全体が禁止され、登録することはできない。
3) 他人の登録済み商品商標/役務商標と類似・同一でないこと
旧法下では、同法第13条(https://www.ipthailand.go.th/images/633/ActTrademark-2-edit.pdf)に基づき、出願商標が他人の先行商標と同一または類似し、かつ、指定商品・役務が同一区分であるか、または(区分が異なる場合)同じ性質である場合、拒絶されていた。
つまり、商標が同一または類似する場合、同一区分であれば、指定商品・役務の種類に拘らず、拒絶され、区分が異なる場合のみ指定商品・役務の性質が考慮された。
2016年に改正された法第13条では、出願商標が他人の先行商標と同一または類似し、かつ、指定商品・役務について他人の先行商標と同一の性質である場合、区分に関係なく、拒絶されると規定された。つまり、指定商品・役務については、区分が同じである場合も異なる場合も、その性質が常に考慮されることとなった。
新審査基準では、需要者が商品・役務の由来または商標所有者に関して混同する可能性を審査官が判断する際に、関連する商標の(A)全体的な外観、(B)称呼、および(C)指定商品・役務を考慮しなければならないと規定されている。(新審査基準84頁参照)。
実務上、審査官は、まず、(A)全体的な外観および(B)称呼を考慮する。同一または類似する先行商標が(A)および(B)に基づいて特定された場合、審査官はそれと出願商標の(C)指定商品・役務を検討する。
(A) 全体的な外観
商標の類似性は、特定の要素を個別に評価するのではなく、商標全体の外観から評価する必要がある。ただし、出願商標の特徴的部分は、先行商標と同一または類似であってはならない(新審査基準84頁参照)。つまり、異なる要素が十分に特徴的でない場合、出願商標は先行商標と類似または同一であると見なされる。
新審査基準から以下を例示する。
外観類似 例1
は、と類似。
理由:商標の特徴的部分は楕円形の中の「MDS」の文字であり、類似。よって商標全体の外観は類似。
外観類似 例2 理由:馬は反対方向に向いているものの、基本的には翼を生やした馬が同じ姿勢で足を挙げている構成の商標であり、外観は類似。よって商標全体の外観は類似。
外観非類似 例1
は、と非類似。
(商標審決番号82/2551(2008))
理由:どちらも鷲の図を含むが、図は異なる様式で表示されている。さらに、「INC」と「KINGJO」の異なる要素から構成されている。よって商標全体の外観は異なる。
(B) 称呼
商標の全体的な外観とは別に、称呼も同様に重要である。新審査基準では、外観に関係なく、称呼が先行商標と同一または類似していることのみを理由に拒絶することができることが記載された(新審査基準84頁(2)参照)。類似性の判断は、例えば、音節の数、最初の音節の音、最後の音節の音などを比較することにより行う。
新審査基準から以下を例示する(称呼は英文字で示す)。
称呼類似 例1
“STRIDE”は(称呼:“strive”)と類似。(商標審決番号169/2551(2008))
理由:両商標は異なる言語で表記されているが、称呼は同じ頭子音と母音で類似している。従って、両商標は紛らわしいほど類似している。
称呼非類似 例1
“”(称呼:“BOFTEX”)は“”と非類似
(商標審決番号840/2559(2016))
理由:主な理由に、両商標の最初の音節、すなわち「BOFT」と「BON」の発音が異なることを挙げ、両商標は非類似とされた。
(C) 商品・役務の関連性・非関連性の検討
最後に、(A)および(B)により商標が同一または類似すると判断された場合、審査官は当該商標の商品・役務の関連性を評価する。一般的には、特定の商品および役務に関連する分類およびその他の関連要素が考慮される。
区分の適用上、商品および役務は、同一区分の他、異なる区分に属する商品および役務と類似または関連していると見なされる場合がある。DIPは、区分間のクロスチェックの目的で、事前に関連性があるとみなされる区分のリストを提供している(https://search.ipthailand.go.th/)が、これによれば、区分25(被服等)は区分9、24、35、40、45と関連する可能性があるとされている(中編の第3-1項、後編の第5項参照)。
しかし、同サイトで指定されている以外の区分とクロスチェックを行う例も見られる。
上記のリストとは別に、新審査基準は、その他の関連する要素を考慮するためのアプローチを以下のように示している(新審査基準89~90頁参照)。
ⅰ) 商品または役務が同一の需要者グループを対象としているかどうか。
審査官は、出願商標と先行商標の商品または役務の需要者を特定し、それらが同一のグループに属するかどうかを検討する。例えば、出願商標の商品が航空車両であるのに対し、先行商標の商品が陸上車両である場合、商品が同じ区分12に分類される車両であっても、想定される需要者グループは全く異なる。このことから、関連する公衆の間で混同が生じる可能性はない。(商標審決番号1136/2565(2022))
ⅱ) 意図する需要者が専門家または知識のある者かどうか。
商品または役務が、専門家または知識を有する者が使用する場合またはその監督下で使用することを意図している場合には、混同のおそれは生じない。例えば、両商標の商品が処方箋を必要とする医薬品である場合、意図される需要者は、医薬品または医療用品に関する特定の知識を有する者、または医師若しくは薬剤師によって処方される患者であろう。したがって、混同のおそれはない。(商標審決番号713/2553(2010))
ⅲ) 商品または役務の目的が同じかどうか。
このアプローチでは、商品または役務が同じ性質のものであっても、意図する目的が異なれば、関連性がないものとすることができる。例えば、出願商標の商品は色やカラーコーティングの製造に使用する化学品であるのに対し、引用商標の商品はプラスチック接着剤の製造に使用する化学品である場合、同じ区分1に分類される化学品であっても、その使用目的は全く異なる。このことから、関係公衆の間に混同のおそれは生じないというべきである。(商標審決番号43/2560(2017))
ⅳ) 商品または役務が同一の流通経路を通じて販売または提供されているかどうか。
審査官は、両商標の商品または役務が同一の場所または同一の流通経路で販売または提供されているか否かを検討しなければならない。例えば、出願商標の商品が機械およびその部品または産業用機械であるのに対し、引用商標の商品が電気ドリルである場合、同じ区分7であっても、流通経路は異なる。具体的には、出願人の商品は販売業者からのみ購入できるのに対し、先行商標権者の商品は一般の工具店で購入できる。このことから、関係公衆の混同の可能性は生じないはずである。(商標審決番号41/2560号(2017))
ⅴ) 商品または役務が高価格であるかどうか。
商品または役務の価格の相違は、需要者が商品または役務を選択する際に払う注意の程度に対応する。具体的には、需要者が高額な商品・役務を衝動的に購入することは考えにくい。商品や役務の価格が高ければ高いほど、消費者はより高度な注意を払うことになる。このような行動を考えれば、価格が大きく異なる場合、混同を生じない、とされる。
ⅵ) その他の考慮事項
上記(A)、(B)、(C)のアプローチとは別に、特徴的要素と非特徴的要素の両方から構成される商標の場合、識別力を考慮しなければならない。現行の実務では、DIPは非特徴的要素を商標の非主要部分とみなし、ある商標を他の商標と区別することができないものとする。その結果、これらの要素は無視され、残りの識別力を有する特徴的要素のみが比較の対象となる。新審査基準では、このような実務に沿い、前述の第17条により権利不要求とされる要素は、非特徴的部分とみなされ、無視されることが規定されている(新審査基準88頁参照)。
以下を例示する。
称呼類似 例1
“BILLY EIGHT”(“EIGHT”は権利不要求)は、“”と類似。
(商標審決番号803/2559(2016))
理由:出願商標の“EIGHT”は権利不要求であるため、特徴的要素は“BILLY”とみなされる。両商標の特徴的部分は共通しているので、混同を生じるほど類似している。
称呼非類似 例1
“”は、“”と非類似。
(商標審決番号 368/2564(2021))
理由:両商標の共通する“BANGKOK DRINKING WATER”は非特徴的部分とみなされ、残りの図形が特徴的部分とみなされる。これらの図形は外観が異なるので、一般公衆および関連公衆の混同の可能性は生じない。
(中編に続く)
タイにおける商品・役務の類否判断について(中編)
(前編から続く)
3. 商品の類似性または非類似性
3-1. 商品の類似・非類似の判断方法
審査官は、出願商標と同一区分および商品・役務が関連すると予備的に考えられる他の区分において、先行商標を調査する。前記「前編2-2.3)(C)商品・役務の関連性・非関連性の検討」で述べたとおり、DIPは、各区分においてクロスチェックの対象となる関連区分のリストをウェブサイトで提供している*1。下表は、商品の各区分に関連する商品区分をDIPのウェブサイトから抜粋したものである。例えば、区分1は区分5をクロスチェックする可能性が高いことを示している。出願前調査の指定区分以外の区分とのクロスチェックに活用されたい。なお、このリストで指定されている以外の区分についてもクロスチェックが行われる例もあることに留意されたい。
区分 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
関連区分 | 5 | 1 | 1, 5 | 1 | 1 | 8 | 8,11,12 |
区分 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
関連区分 | 6 | 11 | – | 7,9 | 7 | – | – |
区分 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 |
関連区分 | 9 | – | – | – | – | – | – |
区分 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
関連区分 | – | 22 | 25 | 9,24 | 24,25 | 24 | – |
区分 | 29 | 30 | 31 | 32 | 33 | 34 |
関連区分 | 30,32 | 29,32 | – | 29,30,33 | 32 | – |
*1 DIPのウェブサイトを閲覧する方法を後編【クロスチェックリストの閲覧方法】に示した。
審査官は、区分とは別に、新審査基準の「前編2-2.3)(C)商品・役務の関連性・非関連性の検討」に沿って、特定の商品間の関連性を検討する。具体的には、以下の点を評価する:
(i) 商品または役務が同一の需要者グループを対象としているかどうか。
(ii) 意図する需要者が専門家か知識ある者かどうか。
(iii) 商品または役務の目的が同じかどうか。
(iv) 商品または役務が同一の流通経路を通じて販売または提供されているかどうか。
(v) 商品または役務が高価格であるかどうか。
しかし、審決・判決例によれば、上記以外の観点も存在すると思われる。例えば、商品が生産段階で関連するかどうか、商品が完成品と部品の関係にあるかどうか等が挙げられる。
商品間の関連性の判断に関する審判部の審決例および裁判所の判決例は、以下のとおり。
(A) 商品が関連しているとみなされた例
① 商標審決番号479/2564(2021)
出願商標:
区分33:ぶどう酒
引用商標:
区分32:果実ジュース、野菜ジュース、果実風味水
理由:引用商標の指定商品は、出願人のぶどう酒製造に使用できることから、両商標の商品は同じ性質を有している。
注目点:商品は生産段階において関連する、と判断された。
② 商標審決番号746/2565(2022)
出願商標:
区分7:ゴルフコース用土圧縮ローラー、ゴルフコースなどで使用する芝生用土壌改良用機械
引用商標:
区分7:道路ローラー用シート、道路ローラー用シート懸架装置、道路ローラー用コンソールボックス、クレーンシート、クレーンシート用懸架装置等
理由:両商標の商品は、同一区分であるだけでなく、同じ性質のものであると判断する。具体的には、機械である出願商標の商品と機械の部品である引用商標の商品は、一緒に使用できるとした。さらに、対象となる需要者グループも同一である。
注目点:区分とは別に、商品の関連要素、すなわち、完成品と部品の関係、需要者の対象グループも考慮して判断された。
(B) 商品が関連していないとみなされた例
① 商標審決番号1136/2565(2022)
出願商標:ELIMINATOR
区分12:航空機
引用商標:ELIMINATOR
区分12:オートバイ、オートバイの泥除け、オートバイのフレーム等
理由:両商標の商品は、同一区分にもかかわらず、使用目的、対象とする需要者グループ、流通経路が異なる。出願商標の商品は航空機であるのに対し、引用商標の商品は陸上車両である。また、需要者は、使用目的に応じて、商品を購入する前にある程度の調査を行うと考えられる。したがって、両商標の商品は、同じ性質のものではない。
注目点:本審決は、審判部が商品に関する様々な要素を考慮していることを示している。具体的な使用目的を考慮し、その結果、異なるタイプである車両に関連性はないと判断している。さらに、車両の特別な特性を考慮し、需要者は通常、注意して購入すると判断している。以上の理由により、混同が生じる可能性は低いとされた。
② 商標審決番号964/2564(2021)
出願商標:
区分25:スポーツに関連する全ての被服
引用商標:
区分25:上着(下着およびスポーツ用衣料は除く。)
理由:同一区分ではあるが同一商品ではなく、また、引用商標は「スポーツ用衣料」を明確に除外している。したがって、両者の商品は、同じ性質のものではない。
注目点:審判部は、商品の特定の使用目的を検討する。本審決例では、具体的な使用目的が重複していないことから、両者の商品は関連性がないとされた。
③ 商標審決番号87/2564(2021)
出願商標:
区分7:卵ベースの食品を精製するために使用される機械、卵食品加工機械、卵食品の包装に使用される機械
引用商標:
区分7:ホイールローダー(訳注:ブルドーザーの足回りがタイヤで受器が比較的大きい運搬車両)、ロードホールダンプ機械(訳注:坑内採掘に使用され比較的大きいホイールローダーの1種)、コンクリート舗装機、採掘機など
理由:出願商標の商品は、卵から食品を加工するための特別なものであるのに対し、引用商標の商品は、様々な使用目的を意図した機械であり、広範な産業に関連するものであると説明している。これらの事実を踏まえると、両商標の商品は、同じ性質のものではない。さらに、これらの商品は、高価格であり、仕様も様々である。対象となる需要者は、知識が豊富で、混乱することなく、目的に従って商品を正しく選択できる人である。
注目点:審判部は商品の種類(本審決例は、どちらも機械)とその使用目的を考慮する。特定目的の商品は、一般目的の同じ商品とは関連が生じない。また、商品が高価格で仕様が多様である場合は、対象需要者は通常、かかる商品についての知識を有しており、混同の可能性はない。
④ 商標審決番号246/2563(2020)
出願商標:VELSAN
区分1:化粧産業用化学品
引用商標:VALSAN
区分1:無菌包装用途等に使用される過酸化水素溶液
理由:両商標の商品は同一区分であっても、商品の性質は、需要者が商品の出所や所有者について混同したり誤認したりしない程度に異なっている。
注目点:本審決においては、商品間の関連性/非関連性を判断するために何を考慮したかについて明示していない。しかし、「化粧品産業用」と「無菌包装用」という使用目的は異なると考えていると思われる。
⑤ 商標審決番号 41/2560(2017)
出願商標:SANDEX
区分7:機械用精密減速機、機械用割出駆動装置、ピックアンドプレース装置(訳注:機械部品の搬送装置の1種)、シート材を他の機械に順次供給する供給装置など
引用商標:SUNDEX
区分7:電気ドリル
理由:両商標の商品が同一区分であっても、両者の商品に関連性がない。出願商標の商品が工場で使用する機械であるのに対し、引用商標の商品は電気ドリルである。両者は使用目的も形状も明らかに異なる。さらに、出願商標の機械は、特定の販売代理店を通じて販売されるのに対し、引用商標のドリルは、通常の商店で販売される。このように、想定される需要者層と流通経路が異なる。最後に、出願商標の商品は高価格であるため、購入者は使用目的に応じて慎重に商品を選択する。その結果、商品の出所や所有者に関して社会的混乱は生じない。
注目点:審判部は、対象とする需要者の相違および流通経路の相違がもたらす使用目的を検討する。本審決では、商品の外観の相違も考慮し、さらに、商品を選択する際の注意の程度に影響する商品の価格も考慮した。
⑥ 商標審決番号43/2560(2017)
出願商標:NATOROSOL PERFORMAX
区分1:塗料製造用セルロースエーテル、ワニス製造用セルロースエーテル、ステイン製造用セルロースエーテルなど
引用商標:
区分1:工業用膠(にかわ)
理由:両商標の商品は、同一区分であっても、両者の商品は関連性がない。出願商標の商品が、塗料やコーティング剤の製造に使用されるのに対し、引用商標の商品は、工業用接着剤である。使用目的も産業グループも明らかに異なる。また、出願商標の商品は一般店ではなく、特定の販売店を通じて販売されているのに対し、引用商標の商品は一般的な接着剤や貼付器具の販売店で販売されるものである。また、工業用接着剤は高価格帯の商品であるため、需要者は用途に応じて慎重に購入を検討する必要がある。
注目点:審判部では、区分だけでなく、使用目的、業界、流通経路および商品価格も考慮する。
⑦ 商標審決番号4325/2561(2018)
出願商標:
区分9:ICカード(スマートカード);暗号化されたIDカード;スマートカード読取装置
引用商標:
区分9:ワイヤレスアダプター、コンピュータデータ・信号変換装置
審査官も審判部も、出願商標と引用商標とは、商品が同一区分であり同じ性質であるため、関連性があると判断したが、出願人はこの案件を中央知的財産権国際貿易裁判所に提訴した。同裁判所は、「当事者の両商品が第9類という同一の類に属するとしても、この類には広範な商品が分類されている。その上で、当事者の特定商品間の関連性を検討し、引用商標権者の商品が人と人との間の通信に使用されるモバイル機器であるのに対し、出願人の商品は電子カードとセキュリティ目的のカードリーダーまたはレコーダーとの間の非接触データ通信に使用されると認定する。このように、両当事者の具体的な商品は異なり、異なる消費者グループを対象としている。その結果、商品が同じ区分であるにもかかわらず、公衆が商品の出所や所有者について混乱したり誤解したりすることはないと考えられる。」との判決を下した。
本件は最高裁判所(終審裁判所)に上告され、最高裁判所は次のような判決を下した。「出願人の商品はセキュリティ目的で使用されるため、需要者は商品の品質を検査し、需要者の使用目的を満たすかどうかを判断しなければならない。つまり、需要者はセキュリティシステムに関する知識を持ち、両当事者の商標を区別できるはずである。さらに、両当事者の商品の使用方法は異なる。結論として、公衆が商品の出所や所有者について混乱したり誤解したりすることはないと思われる。」
注目点:審判部は、単に商品の区分と性質のみを考慮した。一方、中央知的財産権国際貿易裁判所および最高裁判所は、その他の関連要素、すなわち、対象需要者、使用目的および使用方法を検討した。
上記の判決例によれば、商品の類似性が判断される際には、様々な要素が考慮される。例えば、生産段階における商品の関連性、販売段階における商品の流通方法(取引経路)、使用目的が同一か重複するか、商品が同一需要者グループを対象としているか、商品が完成品と部品の関係で関連しているかなど、日本やタイでも同様の要素が考慮される。
3-2. ニース分類の活用
法第9条は、欧州連合理事会規則第33条(2)および(6)と同様に、指定商品・役務の分類および明確化に関する要件を規定している。商品および役務の分類に関する告示により、商品および役務はニース分類に沿った45の区分に分類される。一方、指定商品および指定役務が十分に明確化されているかどうかを判断するため、DIPは認容する商品・役務を以下の一覧に公開している。(「タイで商標登録出願された商品・役務一覧」https://tmsearch.ipthailand.go.th/)
3-3. 参照のための商品名一覧(類見出しのみの名称を含む)
前項に示した一覧は、単なる例であり、出願時に、この一覧から商品・役務の名称を選択することは必須ではない。これは、電子システムを通じて出願する場合にも、DIPに紙で提出する場合にも適用される。
ただし、「商標使用を緊急とする必要性についての商標審査結果の第一次通知に関する告示」および「緊急の場合における商標審査結果の第一次通知に関する告示」により導入された「早期審査」の対象となる出願については、その他の要件のうち、商品および役務は前記一覧から選択しなければならない。
類見出しについては、一般的に広すぎて受け入れられないと考えられている。この問題については、「3-4. 商品を指定する際の留意点」で詳述する。
3-4. 商品を指定する際の留意点
タイで商品・役務を指定する場合、出願人は以下の点に留意する必要がある。
DIPは、指定商品・役務の記載について、かなり厳格である。一般に、出願人は、意図する商品・役務を項目ごとに明確に指定する必要がある。例えば、区分 5の「医薬品用薬剤“pharmaceutical preparations”」という記載は広すぎると考えられる。例えば、アレルギー用錠剤、循環器疾患治療用製剤のように、具体的な医薬品の種類や治療目的を特定する必要がある。
また、通常、類見出しは広すぎるとみなされる。例えば、「被服、履物、帽子 “Clothing, footwear, headwear”」は区分25の類見出しであるが、認容されない。また、「すなわち」、「本区分に含まれるものすべて」、「前述のものすべて」のような広い範囲を示す表現も認められない。
タイ語で記載された商品・役務の名称と英訳の一覧がDIPウェブサイトに掲載されている。(前記、「タイで商標登録出願された商品・役務一覧」)。ただし、適切な保護を確保するため、タイ語の名称と英訳の整合性を確認することが推奨される。
なお、上記の一覧は、事前の通知なしに頻繁に更新される。審査官は、出願時ではなく、審査時に入手可能なリストに依拠する。したがって、出願時に許容された商品・役務記載が後に拒絶される可能性がある。
(後編に続く)
タイにおける商品・役務の類否判断について(後編)
(中編から続く)
4. 役務の類似性または非類似性
4-1. 役務の類似・非類似の判断方法
前編および中編で述べたとおり、DIPは、各区分においてクロスチェックの対象となる関連区分のリストをウェブサイトで提供している*1。下表は、役務の各区分に関連する役務区分をDIPのウェブサイトから抜粋したものである。出願前調査の指定区分以外の区分とのクロスチェックに活用されたい。なお、このリストで指定されている以外の区分についてもクロスチェックが行われる例もあることに留意されたい。
区分 | 35 | 36 | 37 | 38 | 39 |
関連区分 | 36 | 35 | 40 | 41,42 | – |
区分 | 40 | 41 | 42 | 43 | 44 | 45 |
関連区分 | 37 | 38 | 38 | – | – | – |
*1 DIPのウェブサイトを閲覧する方法を稿末【クロスチェックリストの閲覧方法】に示した。
役務の類似・非類似の判断については、前記「前編2-2.3)(C) 商品・役務の関連性・非関連性の検討」における5つの評価点に加え、その他の関連する要素も考慮する。主な考慮点としては、役務の性質並びに特質、事業分野および需要者グループが挙げられる。
(A) 役務が関連しているとみなされた例
① 商標審決番号366/2561(2018)
出願商標:
区分36:土地・建物の鑑定評価・管理
引用商標:, COURTARD, および
区分43:ホテル・レストランにおけるサービスの提供
出願商標の指定役務は、ホテル、リゾート、キャンプを含む広範な不動産の開発および管理であると説明している。従って、両当事者の役務は区分が異なるにも拘わらず、同じ種類の不動産に関連する同じ性質のものである。従って混同の可能性がある。
注目点:役務が提供される事業分野の関連性を考慮する。
② 商標審決番号634/2559(2016)
出願商標:
区分35:メディアに関する包括的な広告制作
引用商標:
区分38:有線テレビ放送、区分41:ラジオ・テレビ番組の企画、娯楽目的のファッションショーの企画、コンサートの企画
引用商標:
区分41:テレビおよびラジオの番組制作
出願商標の役務が「総合的な広報媒体の制作」であるのに対し、引用商標の役務は「有線テレビ放送、ラジオおよびテレビ番組の制作、企画、娯楽目的のファッションショーの企画、コンサートの企画」であり、両商標の役務は異なる区分ではあるが関連性がある、とされた。
注目点:本審決において、役務間の関連性/非関連性を判断するために、どのような考慮事項を用いるかについて明示していない。しかし、著者は、両商標の役務が、同じ事業分野、すなわちエンターテインメント産業とメディア産業で提供されていることから、両商標の役務は、関連性があると判断されたと理解している。
③ 商標審決番号628/2563(2022)
出願商標:
区分41:不動産・不動産に関連する時事・トレンド・経済分野のオンライン・ニュースレターの提供、不動産・不動産に関連する時事・トレンド・経済分野の電子メールによるオンライン電子ニュースレターの配信等
引用商標:
区分35:インターネット上の動画再生前後の広告、モバイルメッセンジャーを通じた広告、インターネットを通じた広告、オンライン上の広告スペースのレンタル、広告資料の作成および更新、商業情報代理店、経営管理に関する助言サービス、経営管理コンサルタントなど
両商標の役務は、異なる区分ではあるが、同じ性質、すなわち、すべて情報の提供および配布であり、両商標間には混同の可能性がある、とされた。
注目点:上記②の審決(634/2559(2016))とは異なり、本件では、両商標の役務が全く異なる分野(出願商標が不動産分野であるのに対し、引用商標は広告および経営管理分野)であるにも拘わらず、両商標の役務の性質に注目し、両商標が本質的に情報の提供と配布である点で関連している、と判断した。
(B) 役務が関連していないとみなされた例
① 商標審決番号148/2559(2016)
出願商標:
区分35:ビタミン剤等の栄養補助食品に関する小売・卸売業経営、ミネラルエキス等の小売・卸売業経営
引用商標:
区分44:医療研究センターサービス
両商標の役務は異なる区分であり、同じ性質のものではないと説明している。
注目点:両商標の役務の関連性/非関連性の判断に考慮点は明示されていない。著者は、異なる事業分野、異なる需要者グループに対して提供される役務であることが考慮されたと理解している。特に、出願商標は一般消費者を対象とした商業分野であり、引用商標は医療関係者を対象とした医療研究産業分野であると解される。
② 商標審決番号1341/2559(2016)
出願商標:
区分43:食品・飲料の小売サービス、カクテルラウンジ、コーヒーショップ、食品・飲料のケータリング等
引用商標:
区分35:ホテルの経営管理、ホテルに関する宣伝・販売促進サービス等
区分36:不動産管理、不動産の賃貸等
両商標の役務は異なる区分であり、同じ性質のものではないと説明している。
注目点:両商標の役務の関連性/非関連性の判断に考慮点は明示されていない。著者は、両商標の役務は異なる事業分野で提供される役務であることが考慮されたと理解している。特に、出願商標は飲食業において提供され、引用商標は不動産業および一時宿泊業において提供されている点が考慮されたと考えられる。
③ 商標審決番号805/2563(2020)
出願商標:
区分42:補聴器に関する科学研究サービス、補聴器に関する技術研究サービス等
引用商標:
区分42:農業科学研究サービス、農業に関するコンピュータプログラム作成サービス、農業に関する科学研究サービス等
両商標の役務は異なる区分であり、同じ性質のものではないと説明している。
注目点:両商標の役務の関連性/非関連性の判断に、考慮点は明示されていない。著者は、両商標の役務は異なる事業分野および異なる需要者グループに提供される役務であることが考慮された、と理解している。特に、出願商標は、聴覚障碍者を対象とする補聴器に特定された科学分野であり、引用商標は、農業従事者を対象とする農業に特定された科学分野である点が考慮された、と考えられる。
上記の審決例に基づけば、タイでは、例えば、対象としている需要者の範囲や需要者グループが一致しているか、事業分野のカテゴリーが一致しているかなど、日本と同様の要素が考慮されている。ただし、対象役務や対象事業分野が同一の法律で規制されている点を考慮する日本とは異なり、これらのアプローチは、タイでは採用されていない。
また、上記の審決例から、EUIPOの商標審査基準(https://guidelines.euipo.europa.eu/1803468/1786759/trade-mark-guidelines/3-1-1-similarity-factors)における役務の非類似性・類似性を検討する際の基準(役務の性質、役務の目的、関連する公衆や需要者)をEUと共有していると思われる。
4-2. 小売役務
前記「(中編)3-2 ニース分類の活用」で述べたように、指定役務は明確に記載しなければならず、広範であってはならない。現行の実務に基づけば、「小売」という役務表記は広範すぎて受け入れられないと考えられる。例えば、「バッグの小売店サービス」、「宝飾品の小売サービス」のように、出願人はどの商品を提供するのかを明確に特定しなければならない。
とはいえ、DIPは現在、「小売役務」よりもさらに広範な役務記載、すなわち、役務の名称「他人の利益のために、輸送を除く様々な商品を集め、消費者がそれらの商品を便利に見て購入できるようにすること」を認めている。このことは、商標審決番号2484/2562(2019)においても採用されている。
小売役務と商品との関連性を評価する際のアプローチを説明するため、商標審決番号2484/2562(2019)および商標審決番号1013/2564(2021)を示す。
① 商標審決番号 2484/2562(2019)
出願商標:
区分35:他人のために、様々な商品を集めること、消費者が便利に商品を見たり購入したりできるようにすること、食品の販売管理、商品の輸出入管理、他の事業者のための購買サービスなど
[重要:本出願は「小売」というサービス自体を対象とするものではない。]
引用商標:
区分30:チューインガム
引用商標:
区分30:ゼリー
理由:出願商標の役務は、商品と同じ性質を有さないビジネスの一種であるとした。したがって、混同の可能性は生じないとした。
本審決は、出願商標の役務から保護される事業の範囲が引用商標に使用する商品と重複するか否かを検討することなく、単に事業が商品と同一性質のものではないと判断しているように思われる。
しかし、その2年後、審判部は、対象商標の具体的な商品と役務との関連性をより詳細に検討した審決を下したので以下に紹介する。
② 商標審決番号1013/2564(2021)
出願商標:
区分35:顧客が便利に商品を見たり購入したりできるように、他人の利益のために様々な商品を集めること、化粧品の小売・卸売、トイレタリー製品の小売・卸売、歯科用品の小売・卸売、飲料などのオンライン小売
引用商標:
区分29:牛肉缶詰、魚缶詰、果物缶詰、野菜缶詰、魚介類缶詰など
理由:両商標の商品と役務とは異なる区分である。さらに、出願商標の役務は、他人の利益のために、顧客が便利にそれらの商品を見たり購入したりできるように、様々な商品をまとめることであり、引用商標の商品と同じ性質のものではない特定の商品の小売や卸売を行うことである。その結果、混同のおそれはない、とした。
注目点:上記2つの審決例から得られるポイントは以下の通りである:
・「小売」という役務よりも、「他人の利益のために、消費者が便利に商品を見たり購入したりできるようにするために、様々な商品を集めること」という役務の方が広範であるため、これらの審決から、提供される商品が表示されていない「小売役務」や「卸売役務」、「販売役務」などは(DIPによって認められる場合)、商品と同じ性質のものではないと結論づけることができると思われる。換言すれば、「小売」という広範な役務を指定する先行登録商標は、区分 1から区分 34までのいずれかに属する商品を指定する後行商標出願の登録を妨げるものであってはならない。このことは、区分35の「消費者の便宜のために種々の商品を一緒にすること」、「販売管理」および「商品のオンライン販売サービス」は、区分25の「シャツ」および「ズボン」と同一性質のものではないとする新審査基準でも確認されている(新審査基準90頁参照)。詳細は「5.商品・役務間の類似性または非類似性」で後述する。
・「小売役務“retail services”」、「卸売役務“wholesale services”」、「販売役務“sale services”」に使用する提供商品が具体的に表示されている場合は、当該商標の商品とは性質が異なる商品を提供する他の商標とは無関係とみなされる。
例えば、「バッグの小売店舗サービス」と「化粧品の小売店舗サービス」のように、提供する商品が異なる小売サービス間の関連性を検討した前例はない。しかし、「3.商品の類似性・非類似性」に記載したようなアプローチにより、販売する特定の商品間の関連性を検討すべきであると考える。特に、商品が同じ性質のものでない場合、または同じ需要者グループを対象としていない場合は、関連性がなく、混同の可能性は生じない。同様に、関連性のない商品を提供する小売サービスも、需要者に混同を生じさせるものではないと考えられる。例えば、「化粧品産業で使用する化学薬剤の小売サービス」と「無菌包装で使用する過酸化水素水溶液の小売サービス」は、商標審決番号246/2563(2020)に基づくと、特定商品の使用目的により関連性が認められない、と考えられる。
4-3. 不使用取消
法第63条によれば、3年間使用されていない商標登録は、不使用を理由に取消される可能性がある。しかし、実際には、不使用取消は、不使用の立証責任を申立人が負うため、非常に困難である。審判部は、商標権者が使用を証明する証拠を全く提出せず、反駁しない場合であっても、不使用の証明が不十分であるという理由で申立を却下するケースもある。不使用の場合であっても、商標権者は、不使用が特別な事情によるものであり、商標を放棄する意図によるものではないことを証明することにより、防御することができる。例えば、商標権者が特定の商品または役務に関して商標を使用している場合、商標権者に商標を放棄する意思がないと解釈することができる。法律は、特定の商品および役務に対する部分的取消の可能性も明示していない。
4-4. 役務を指定する際の考慮事項
審査官は、指定役務記載の可否を判断する際に、中編「3-4. 商品を指定する際の留意点」で説明した基準を同様に適用する。また、出願人は、意図する役務を項目ごとに明確に指定しなければならない。しかし、区分1~34では認められない広範な商品が、役務の説明では含まれることがある。例えば、「区分5:食品サプリメント」および「区分25:衣料品」という商品は認められないが、「食品サプリメントに関する小売サービス」および「衣料品の小売サービス」というサービスの指定は、区分35で認められる。したがって、出願人は、サービスの範囲を不必要に限定しないよう、前記「タイで商標登録出願された商品・サービス一覧」に掲載されている最新の商品・役務許容リストを常に入手する必要がある。
5. 商品・役務間の類似性または非類似性
DIPは、各区分においてクロスチェックの対象となる関連区分のリストをウェブサイトで提供している。下表は、区分1から34までの商品に対する区分35から45までの役務との関連区分と、役務に対する商品との関連区分とのリストをDIPのウェブサイトから抜粋したものである。なお、このリストで指定されている以外の区分についてもクロスチェックが行われる例もあることに留意されたい。
区分 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
関連区分 | 35 | 35 | 35,42,44 | 35 | 35,42,44 |
区分 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
関連区分 | 35 | 35,37 | 35 | 35,37,38,41,42 | 35,44 |
区分 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
関連区分 | 35,37 | 35,37,39 | 35 | 35,37 | 35 |
区分 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
関連区分 | 35,37,41 | 35 | 35 | 35,37,42 | 35,37,43 |
区分 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
関連区分 | 35 | 35 | 35 | 35 | 35,40,45 |
区分 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
関連区分 | 35,40 | 35 | 35,41 | 35,42,43 | 35,42,43 |
区分 | 31 | 32 | 33 | 34 | 35 |
関連区分 | 35,42,43 | 35,42,43 | 35,42,43 | 35 | – |
区分 | 36 | 37 | 38 | 39 | 40 |
関連区分 | – | – | 9 | 12 | – |
区分 | 41 | 42 | 43 | 44 | 45 |
関連区分 | 9 | 9 | – | – | – |
クロスチェックとは別に、審査官は、「前編2-2.3)(C)商品・役務の関連性・非関連性の検討」に記載されたアプローチに沿って、特定の商品・役務の関連性を検討する。
上記のアプローチに加え、新審査基準では、広範な役務の記載は、狭義の商品の記載と同じ性質を有するとはみなされないことが具体的に規定されている(新審査基準90頁参照)。その例は以下の通り:
・区分35の「消費者の便宜のために各種の商品を集めること」、「販売管理」、「商品のオンライン販売サービス」は、区分25の「ワイシャツ」、「ズボン」と性質が異なる。
・区分43の「飲食店サービス」は、区分30の「茶、コーヒー、ココア」、区分32の「飲料、水(飲料)」、区分33の「酒類、蒸留アルコール飲料」と性質が異なる。
・区分44の「美容サービス」は、区分3の「皮膚栄養クリーム」と性質が異なる。
商品と役務の関連性を判断する際のアプローチを示す商標審決例を以下に示す。
(A) 商品と役務とが関連しているとみなされた例
① 商標審決番号1617/2560(2017)
出願商標:
区分19:非金属建材、建築用硬質非金属パイプ、建築用非金属材料シート、建築用非金属板、建築用非金属ポータブル構造部品
引用商標:
区分43:倉庫の建設、工場の建設、店舗の建設、家屋の建設、倉庫の建設、工場の建設、店舗の建設、家屋の建設、建設に関するコンサルタント業など
理由:引用商標の役務は建設サービスに関するものであるため、両者の商品/役務は同じ性質のものであるとした。
注目点:建築材料である出願商標の商品が引用商標の建築サービスの提供に使用できることから、両商標の商品と役務とは同じ性質であると考えることができる。
② 商標審決番号106/2559(2016)
出願商標:
区分42:個人用電子機器に関するオンライン問題の処理、個人用電子機器の技術サポート
引用商標:
区分9:オーディオテープレコーダー、スピーカ、コンピュータ等
理由:両商標は異なる区分に属するが、両商標の商品とサービスは同じ性質であり、混同の可能性がある、とした。
注目点:両商標の商品および役務が、電子機器という同じ分野に関するものであることから、両商標の商品および役務が同じ性質のものであると考えることができる。
(B) 商品と役務が無関係とみなされた例
① 商標審決番号921/2564(2021)
出願商標:
区分11:空気濾過媒体、空気濾過装置、空気濾過装置用フィルター、音響媒体
引用商標:
区分37:車両注油、車両保守、車両整備、車両修理、車両洗浄
理由:両商標の商品と役務は異なる区分であり、それぞれの使用目的は特定されている。その結果、両商標の商品と役務は同じ性質のものではなく、混同の可能性は生じない。
注目点:両商標の商品・役務の具体的な使用目的または提供目的が重複しているかどうかを検討する。
② 商標審決番号371/2562(2019)
出願商標:
区分44:美容施術に関する助言サービス、美容コンサルタント、美容施術等
引用商標:
区分3:皮膚栄養クリーム
理由:両商標は化粧品に関連するが、異なる需要者グループを対象としており、異なる取引経路を通じて提供されている。その結果、出願商標の商品と引用商標の役務は同じ性質のものではない、とした。
注目点:区分とは別に、商品の関連要素、すなわち、需要者の対象グループと取引経路も考慮した結論となっている。本審決例と新審査基準に基づき、商品と役務の類似性・非類似性を判断する際、例えば、商品と役務の意図された目的が合致しているか、商品と役務が対象とする需要者が一致しているかなど、タイと日本は、その判断方法を共有している。
さらに、タイは、欧州の商標審査基準に規定されている要因の一部、すなわち、商品・役務の性質や意図する目的を考慮している。
6. まとめ
DIPおよび裁判所は、商品および役務の類似性を判断するために、商標の国際分類(区分)のみならず、例えば、商品および役務の性質、商品の使用または役務の提供の目的、生産段階における関連性、対象需要者、取引経路、商品または役務の価格等の様々な要素を考慮している。
【クロスチェックリストの閲覧方法】
(1) DIPのウェブサイト https://search.ipthailand.go.th/ に接続する。
(2) クリック
(3) クリック
(4) 何も入力せず、ここをクリック
(5) 区分 ニース分類 Class Heading 関連区分(商品・役務)
46はDIP独自分類で証明商標を、47は団体商標を示し、全区分に関連する。
タイにおける知的財産関連機関・サイト
(1) 立法機関
・タイ国民議会(National Assembly)
https://web.parliament.go.th/view/7/nationalassembly/TH-TH
タイ王国の立法府であって、上院の元老院(250議席)と、下院の人民代表院(500議席)とから構成される二院制を採用している。人民代表院は、元老院よりも優越的権限が付与されており、人民代表院の議長が国会議長を務める。具体的には、法案および予算の先議権を有すること、タイ国王によって任命されたタイ首相を承認すること、首相および閣僚の不信任決議を可決すること等の優越的権限が付与されている。
(2) 行政機関
・タイ知的財産局(Department of Intellectual Property:DIP)
https://www.ipthailand.go.th/th/home.html
商務省管轄の組織であって、知的財産権の保護および侵害の抑制のための措置の実行、知的財産権の管理システムの構築、ならびに知的財産権の啓発活動等を目的として設立された。具体的な業務としては、特許法(発明特許、発明小特許、意匠)、商標法、著作権法、地理的表示(GI)およびその他の関連法律に基づいた知的財産権の保護・活用、知的財産の保護のためのシステム開発、知的財産に関する他国組織との連携および協力関係の構築が挙げられる。近年、知的財産局は、システム開発に注力しており、2020年2月よりオンラインによる著作権登録システムの運用を開始、2022年12月より商標の画像検索システムの運用を開始している。
※1:著作権登録システムhttps://copyright.ipthailand.go.th/
※2:商標の画像検索システムhttps://search.ipthailand.go.th/
・タイ経済警察(Economic Crime Suppression Division:ECD)
http://www.royalthaipolice.go.th/
タイ警察(Thai Royal Police)の中央捜査局下に設立された、知的財産を含む経済犯罪に対応するための特別組織であり、経済犯罪制圧部とも称される。タイ国内において、損害金額が比較的小規模である知的財産権侵害について、権利者からの情報、要請または職権に基づき摘発(レイド、差押え)を行う(タイ国内全体における事件を取り扱う)。著作権については、権利者の訴えがない限り逮捕は行わない。特許権については、権利者からの訴えとそれを証明する材料の提出に基づき、裁判所の令状を取得の上で摘発を行う。
・タイ特別捜査局(Department of Special Investigation:DSI)
https://www.dsi.go.th/
法務省の下に設立された、特別技能を持つ専門家から構成される特別な捜査機関である。捜査対象となる事案としては、複雑で、緻密かつ入念な捜査や情報収集が必要とされる刑事事件、公序良俗や道徳、国家の治安、国際関係等に深刻に抵触する刑事事件、そのほか同捜査機関自らが捜査を請け負うべきと判断する事件などが挙げられている。
・タイ税関(Customs)
https://www.customs.go.th/
財務省の下に設立され、知的財産に関する業務として知的財産権の執行および国境における模倣品の取り締まりを行う政府組織である。タイ税関は、タイ関税法、タイ輸出入法、商標法および著作権法等に基づいて、裁判所の命令によることなく職権または権利者からの要請に基づき、商標と著作権に係る知的財産侵害物品を差し止め、没収、処分することができる。
・タイデジタル経済社会省(Ministry of Digital Economy and Society:MDES)
https://www.mdes.go.th/
経済および社会に対するデジタル開発に関する国家戦略、計画、統計および法令を提案、監視、規制、評価することが主要な任務とされる。デジタル経済社会省の大臣は、コンピュータ犯罪法に基づき、知的財産法により刑事犯罪を構成するコンピュータ・データの拡散中止の要求、または、コンピュータ・システムからの削除の要求を裁判所に申請するための承諾を与える任務を担っている。デジタル経済社会省は、知的財産局と連携して、オンライン上で販売される知的財産権の侵害品を監視する。
(3) 司法機関
・タイ知的財産・国際取引中央裁判所(The Central Intellectual Property and International Trade Court)
https://ipitc.coj.go.th/th/page/item/index/id/500
知的財産専門の裁判所として設置された第一審裁判所であって、知的財産および国際取引に関する民事・刑事事件を担当する。知財保護と国際取引の公正を保つことを設立目的とし、発明創出や国際取引、技術導入の機能を果たしている。裁判は、2名の専門判事(Career Judge)と1名の賛助判事(Assist judge)によって行われ、賛助判事は、知的財産や国際取引のエキスパートであって、大学教授や医師、エンジニアなどの有識者が担う。
・タイ専門事案控訴裁判所(Court of Appeal for Specialized Cases:CASC)
https://appealsc.coj.go.th/th/page/item/index/id/1
2016年10月に設立された、タイ知的財産・国際取引中央裁判所(CIPITC)の控訴審を専門に取り扱うための裁判所であって、専門事案を判断可能な裁判官のみで構成されている。当裁判所が設置される以前は、CIPITCの判決に不服がある場合に最高裁判所へ控訴していたが、2016年10月より、当裁判所へ控訴することとなり、民事・刑事ともに3審制度を採用することとなった。
(4)その他知的財産関係機関
・国立知的財産権行使センター(National Intellectual Property Rights Centre of Enforcement:NICE)
ウェブサイトなし
全政府の省庁間において協力体制を図り、高度な協力を要する事件の取り扱いまたは重大な犯罪、組織犯罪の防止を強化することを目的として2014年5月に設立された。インターネット詐欺、模倣品のオンライン販売および直接販売など、最近多発している犯罪に注力している。
・著作権保護センター(New Copyright Protection Centre)
ウェブサイトなし
インターネット上の著作権侵害等オンラインによる知的財産権侵害行為への対応強化を目的として、タイ政府によって2018年12月に設立された。国家放送通信委員会に本部を設置し、国家警察庁との連携を通じて、オンラインによる著作権侵害等への迅速な対応を行う。同センターが、権利者より申立てを受けた場合には、警察当局の調査員と国家放送通信委員会が連携して申立ての妥当性を確認しあい、デジタル経済社会省による協力の下、違法サイトのブロック等の対抗措置を速やかに行う。
・IP IDE Center(IP Innovation Driven Enterprise Center)
https://www.sciencepark.or.th/index.php/th/innovation-update/open-ip-ide-center-2017/
タイ知的財産局によって開設された、オンサイトのアドバイザリーサービスセンターである。具体的には、情報サービスと技術動向の分析、ベンチャー企業を革新主導型企業に導くためのアドバイス、知的財産の管理に関するガイダンス、企業への国際的な知財産保護のための誘致サービスを提供しているほか、知的財産に関する学習ツールを提供している。そのほか、知的財産に関する取引を扱っているオンラインプラットフォーム「IP Mart」も提供している(https://ipmart.ipthailand.go.th/)。
・日本貿易振興機構(ジェトロ)バンコク事務所 知的財産部
https://www.jetro.go.jp/world/asia/th/ip.html
アセアン10か国、特にメコン地域(タイ、ベトナム、カンボジア、ラオスおよびミャンマー)を対象国として、日系企業等の知的財産に関する業務をサポートする業務を行っている。具体的な業務としては、アセアンにおける「知的財産制度・模倣品対策に関する情報の調査およびその広報」、「知的財産に関する法律的な助言」、「知的財産に関する研修・セミナー」、「東南アジア知財ネットワーク(SEAIPJ)の事務局」および「現地政府当局へのロビーイング活動」を行っている。
・タイ知的財産振興協会(Intellectual Property Promotion Association of Thailand:IPPAT)
http://www.ippat.org/
知的財産に関する代理人のサポート、知的財産権の保護や保護手段の研究、ならびに知的財産に関する知識の普及を目的として設立された団体である。会員は、主に弁護士で構成されており、タイの知的財産法を対象として活動し、また会員を対象として知的財産法および条約の改正や審査マニュアル等に関するセミナーを開催している。
タイにおける産業財産権の検索データベースの調査2022
「ASEANにおける産業財産権の検索データベースの調査2022」(2023年3月、日本貿易振興機構 バンコク事務所(知的財産部))
「ASEANにおける産業財産権の検索データベースの調査2022」(2023年3月、日本貿易振興機構 バンコク事務所(知的財産部))第6章 タイ
(目次)
第6章 タイ P.192
(タイ知的財産局(DIP)で2022年7月から運用された新システム上の案件データに基づき、種別(特許および実用新案(小特許))ごとに、2022年に公開された出願を対象とし算出した「出願から公開までに要した期間」、および2022年に登録された案件を対象とし算出した「出願から登録までに要した期間」について紹介している。また、2004年から2022年に①公開された案件、および②登録された案件について、それぞれ、①出願から公開まで、および②出願から登録までの経過期間の分布を、全案件、出願人国籍別、出願ルート別、技術分野別にグラフで紹介している。加えて、特許の案件についての2017年から2021年までの各年の出願、および実用新案(小特許)の案件については2019年から2021年までの各年の出願を対象とし算出した、全出願人を対象とした出願件数上位ランキング、日本国籍出願人を対象とした出願件数上位ランキング、技術分野別の出願件数上位ランキング外国出願人のタイ第一国出願の出願件数上位ランキングを紹介している。さらに、2003年から2022年までの各年の出願についての2023年1月時点での登録率を紹介している。)
1.特許 P.192
1.1 産業財産権の権利化期間 P.192
1.2 産業財産権の出願件数上位リスト P.214
1.3 登録率 P.223
2.実用新案 P.224
2.1 産業財産権の権利化期間 P.224
2.2 産業財産権の出願件数上位リスト P.241
2.3 登録率 P.249