フィリピンにおける産業財産権の検索データベースの調査2022
「ASEANにおける産業財産権の検索データベースの調査 2022」(2023年3月、日本貿易振興機構 バンコク事務所(知的財産部))
「ASEANにおける産業財産権の検索データベースの調査 2022」(2023年3月、日本貿易振興機構 バンコク事務所(知的財産部))第4章 フィリピン
(目次)
第4章 フィリピン
(フィリピン知的財産庁(IPOPHL)のデータベースであるIPOPHLシステム上の案件データに基づき、種別(特許および実用新案)ごとに、2022年に公開された出願を対象とし算出した「出願から公開までに要した期間」、および2022年に登録された案件を対象とし算出した「出願から登録までに要した期間」について紹介している。また、2004年から2022年に①公開された案件、および②登録された案件について、それぞれ、①出願から公開まで、および②出願から登録までの経過期間の分布を、全案件、出願人国籍別、出願ルート別、技術分野別にグラフで紹介している。加えて、2019年から2021年までの各年の出願を対象とし算出した、全出願人を対象とした出願件数上位ランキング、日本国籍出願人を対象とした出願件数上位ランキング、技術分野別の出願件数上位ランキング、外国出願人のフィリピン第一国出願の出願件数上位ランキングを紹介している。さらに、2003年から2022年までの各年の出願についての2023年1月時点での登録率を紹介している。)
1.特許 P.111
1.1 産業財産権の権利化期間 P.111
1.2 産業財産権の出願件数上位リスト P.130
1.3 登録率 P.136
2.実用新案 P.137
2.1 産業財産権の権利化期間 P.137
2.2 産業財産権の出願件数上位リスト P.154
2.3 登録率 P.162
フィリピンにおける知的財産の基礎情報(全体マップ)-関連情報編
[DB1](DB=データベース)
(公用語・英語)
(1)DBの名称: IPOPHIL Patent Search (WIPO Publish) フィリピン知的財産庁特許検索(WIPO公開) (2)法域 ☒特許 ☒実用新案 ☒意匠 ☐商標 (3)主な機能 (規定値) 出願国、出願番号、出願日、公開番号、公開日、出願国、技術分野 (選択) 国:出願人・発明者・代理人の国籍、優先権の詳細、PCT公開国 出願:法的状態、公開状態、分類、IPC分類 日付:出願日、登録日、優先日、PCT公開日 特許:名称(二か国語、英語)、説明、概要(二か国語、英語) 番号:元の出願番号、登録番号、PCT公開番号、優先番号、元の登録番号 その他:識別子、公開種類コード、出願種別、出願人・発明者・代理人の住所等 (4)DB-URL: 特許:https://onlineservices.ipophil.gov.ph/wopublish-search/public/patents?0 意匠:https://onlineservices.ipophil.gov.ph/wopublish-search/public/designs?0 (5)マニュアル-URL: なし |
[DB2]
(公用語・英語)
(1)DBの名称: Philippine Trademark Data Base (WIPO IP Portal) フィリピン商標データベース(WIPO IP ポータル) (2)法域 ☐特許 ☐実用新案 ☐意匠 ☒商標 (3)主な機能 (標識) テキスト、出願人/権利者、商品/サービス (名前) 出願人/権利者、代理人 (番号) 登録番号、出願番号 (日付) 登録日、出願日、有効期限 (分類) ウィーン分類、ニース分類 (フィルター機能) 状態、画像、出願日、権利者国籍、ニース分類、画像分類 (4)DB-URL: https://branddb.wipo.int/branddb/ph/en/ (5)マニュアル(Global Brand Database – Help)-URL: https://branddb.wipo.int/branddb/en/branddb-help.jsp |
関連記事:
「フィリピン知的財産庁が提供する産業財産権データベースの調査報告」(2018.12.06)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/16236/
「フィリピンにおける特許/意匠/実用新案公報の調べ方」(2018.08.30)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/15684/
「フィリピンにおける商標公報の調べ方」(2015.03.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/8095/
2. 審決・判例情報
[DB1]
名称:
IPOPHL IP Case Library フィリピン知的財産庁、IP判例ライブラリ 言語: ☒公用語 ☒英語 ☐その他の言語 URL: https://onlineservices.ipophil.gov.ph/ipcaselibrary/main.html (IPOPHLの裁定局である法務局(Bureau of Legal Affairs, BLA)による決定、長官室(ODG)の決定、およびフィリピン最高裁判所(SC)の判決を取得に有用である。) |
[DB2]
名称:
Court of Appeals – Recent Decisions and Resolutions 控訴裁判所、最近の判決と決議 言語: ☒公用語 ☒英語 ☐その他の言語 URL: https://services.ca.judiciary.gov.ph/recentdecisions/ (フィリピン控訴裁判所(Court of Appeals, CA)の判決と決議を検索することができる。ただし、検索を実行して必要な情報を取得するには、検索者は、決定を下したCAの管轄局と、ケース番号または当事者名を知っている必要がある。CAには、CAマニラ、CAセブ、CAカガヤンデオロの3つの管轄局がある。) |
[DB3]
名称:
Supreme Court of the Philippines – Decisions フィリピン最高裁判所、判決 言語: ☒公用語 ☒英語 ☐その他の言語 URL: https://sc.judiciary.gov.ph/decisions/ (フィリピン最高裁判所の判決を取得するための検索サービス。) 名称: Supreme Court E-Library 最高裁判所電子図書館 言語: ☒公用語 ☒英語 ☐その他の言語 URL: https://elibrary.judiciary.gov.ph/ (フィリピン最高裁判所の過去12か月より前の事件の決定について、検索者は最高裁判所電子図書館にアクセスすることができ、そこでは検索カテゴリー、各検索カテゴリーの見出しがあるとともに、すべての単語、任意の単語、正確なフレーズと真理値(True/False)による検索が使用できる。ただし、登録が必要である。) |
関連記事:
「フィリピンにおける知財訴訟等に関連する情報の取得方法」(2020.12.22)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/precedent/19641/
「フィリピンにおける審決・判決へのアクセス方法」(2018.08.28)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/15681/
「フィリピンにおける意匠権関連判例・審決例」(2017.03.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/precedent/13274/
「フィリピンにおける商標権関連判例・審決例」(2017.03.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/precedent/13262/
3. 統計情報
統計(1)
名称:
2015 to 2019 IPOPHL Intellectual Property Statistics フィリピン知的財産庁知財統計2015-2019 法域 ☒特許 ☒実用新案 ☒意匠 ☒商標 ☒審決 ☒侵害 ☒訴訟 言語: ☒公用語 ☒英語 ☐その他の言語( ) URL: https://www.ipophil.gov.ph/reference/statistics/ |
統計(2)
名称:
2011 to 2020 WIPO Statistical Country Profiles – Philippines WIPO各国状況統計(フィリピン)2011-2020 法域 ☒特許 ☒実用新案 ☒意匠 ☒商標 ☐審決 ☐侵害 ☐訴訟 言語: ☒公用語 ☒英語 ☐その他の言語 URL: https://www.wipo.int/ipstats/en/statistics/country_profile/profile.jsp?code=PH |
関連記事:
「フィリピンの知的財産権関連統計へのアクセス方法-取締関係」(2021.01.12)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/19673/
「フィリピンにおける特許・実用新案の出願・登録に関する統計へのアクセス方法」(2020.12.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/19639/
「フィリピンにおける意匠出願・登録に関する統計情報へのアクセス方法」(2020.12.08)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/19609/
「フィリピンにおける商標出願・登録に関する統計情報へのアクセス方法」(2020.12.03)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/19605/
「フィリピンにおける特許・実用新案、意匠、商標に関する統計情報」(2020.01.30)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/18203/
「フィリピン知的財産庁が提供する産業財産権データベースの調査報告」(2018.12.06)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/16236/
「フィリピンにおける特許、実用新案および意匠の無効手続を管轄する組織並びに統計データ」(2018.08.09)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/15646/
「フィリピンにおける特許出願の係属期間に関する統計」(2018.06.12)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/15332/
「フィリピンにおける意匠出願の係属状況に関する統計」(2018.04.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/14816/
「フィリピンにおける知的財産権侵害事案の刑罰制度およびその運用」(2018.01.30)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/14450/
4. 知的財産関係機関
<知財庁>
名称: Intellectual Property Office of the Philippines(IPOPHL、フィリピン知的財産庁) URL: https://www.ipophil.gov.ph/ <知財に関係する裁判所> 1.名称: Special Commercial Courts(SCC、特別商務裁判所) SCCはフィリピンのRegional Trial Court(RTC、地方裁判所)の一部に指定され、フィリピン国内の12の司法管轄区に147か所設置(2021年5月時点)されており、知的財産紛争の他、サイバー犯罪事件、不競法事件等を扱う。 ホームページは用意されていない(関連情報参照)。 URL: なし 2.名称: Court of Appeals of the Philippines (フィリピン控訴裁判所) URL: https://ca2.judiciary.gov.ph 3.名称: Supreme Court of the Philippines (フィリピン最高裁判所) URL: https://sc.judiciary.gov.ph/ <その他公的機関> 1.名称: Department of Trade and Industry(DTI、フィリピン貿易産業省)for Business Names URL: https://www.dti.gov.ph/ 注)DTIは商号を管轄している。 5.名称: Securities and Exchange Commission(SEC、フィリピン証券取引委員会)for Business Names URL: https://www.sec.gov.ph 注)SECは法人名および組合名の登録を担当し、登録商標の侵害の可能性のある登録名の変更の申立事件を処理する。 |
関連記事:
「フィリピンの知的財産関連機関・サイト」(2020.06.11)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/link/18634/
「フィリピンにおける模倣品の流通によりその知的財産権を侵害された企業に対するアドバイスおよび管轄機関の連絡先」(2020.01.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18195/
「フィリピンにおける知的財産権保護に関する政策立案や法執行に関わる機関」(2020.01.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18185/
「フィリピンにおける知的財産にかかわる諸団体等の活動」(2014.11.20)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/7132/
関連情報:
「More RTCs named special commercial courts to also handle cybercrime, other cases — SC(サイバー犯罪などの事件も扱う特別商務裁判所と名付けられたRTCが増加 – SC)」(2021.05.30)
https://mb.com.ph/2021/05/30/more-rtcs-named-special-commercial-courts-to-also-handle-cybercrime-other-cases-sc/
フィリピンにおける産業財産権データベースから得られる統計情報
「ASEAN産業財産権データベースから得られる統計情報」(2021年3月、日本貿易振興機構(JETRO)バンコク事務所知的財産部)第4章 フィリピン
注)圧縮版のため画像が粗くなっています。精細な画像を確認したい方は、下記【ソース】のリンクをご利用ください。
(目次)
第4章 フィリピン
(データベースの案件(特許、実用新案:2002年から2020年の出願/意匠、商標:2001年から2019年の出願を対象)から算出した出願から公開までに要した期間、および出願から登録までに要した期間を全案件、出願人国籍別、出願ルート別(特許、実用新案のみ)、技術分野別(特許、実用新案のみ)に紹介している。また、出願件数上位ランキング(特許、実用新案:2017年から2019年の出願/意匠、商標:2016年から2018年の出願を対象)および登録率(特許、実用新案:2001年から2020年の出願/意匠、商標2001年から2019年の出願を対象)を紹介している。なお、特許、実用新案については、全出願人、技術分野別、日本国籍出願人、外国出願人のフィリピン第一国出願の出願件数上位ランキングも紹介している。)
1.特許 p.114
1.1 産業財産権の権利化期間 p.114
1.2 産業財産権の出願件数上位リスト p.130
1.3 登録率 p.136
2.実用新案 p.137
2.1 産業財産権の権利化期間 p.137
2.2 産業財産権の出願件数上位リスト p.152
2.3 登録率 p.158
3.意匠 p.159
3.1 産業財産権の権利化期間 p.159
3.2 産業財産権の出願件数上位出願人リスト p.161
3.3 登録率 p.162
4.商標 p.163
4.1 産業財産権の権利化期間 p.163
4.2 産業財産権の出願件数上位出願人リスト p.165
4.3 登録率 p.166
フィリピン知的財産庁が提供する産業財産権データベースの調査報告
「フィリピン知的財産庁が提供する産業財産権データベースの調査報告」(2018年3月、日本貿易振興機構バンコク事務所知的財産部)第2章から第7章
(目次)
第2章 フィリピンIPデータベース P.7
1. 概要 P.7
1.1 フィリピン知的財産庁ウェブサイト P.7
1.2 PATENTSCOPE P.8
1.3 ASEAN PATENTSCOPE P.8
1.4 欧州連合知的財産庁ウェブサイト P.8
1.5 WIPO Global Brand Database P.8
1.6 FOPISER P.8
2. 直近の主な変更点 P.9
3. 日本のJ-PlatPatとの相違点 P.9
第3章 特許・実用新案 P.10
1. 特許・実用新案検索データベースIPOPHL P.10
1.1 検索データベース仕様一覧 P.10
1.2 特許・実用新案レコード収録数 P.11
1.3 特許・実用新案要素収録率 P.17
1.4 検索データベースIPOPHL取扱い説明 P.23
1.5 特許・実用新案IPOPHL検索・表示項目留意点 P.33
2. 考察・まとめ P.39
第4章 意匠 P.40
1. 意匠検索データベースIPOPH P.L40
1.1 検索データベース仕様一覧 P.40
1.2 意匠レコード収録数 P.41
1.3 検索データベースIPOPHL取扱い説明 P.42
1.4 意匠データベースIPOPHL検索・表示項目留意点 P.48
2. 考察・まとめ P.51
第5章 商標 P.52
1. 商標検索データベースIPOPHL P.52
2. 考察・まとめ P.53
第6章 公報データベース P.54
1. 公報データベース仕様一覧 P.54
2. 公報データベース取扱い説明 P.54
第7章 統計情報 P.60
1. 産業財産権の権利化期間 P.60
1.1 出願日から公開日までの期間 P.62
1.2 出願日から登録日までの期間 P.63
1.3 考察・まとめ P.64
2. 産業財産権の出願件数上位リスト P.65
2.1 全出願人 P.65
2.2 考察・まとめ P.65
フィリピンにおける特許、実用新案および意匠の無効手続を管轄する組織並びに統計データ
1. 無効手続に関する管轄権を有する裁判所
フィリピン知的財産法(改正されたフィリピン共和国法第8293号)に基づき、フィリピン知的財産権局(Intellectual Property Office)は、法務局(Bureau of Legal Affairs)を通じて準司法的権限を有する。法務局は、無効手続などの当事者系事件について管轄権を有する。また、法務局は、商事裁判所とともに、特許権侵害事件について(Regular Commercial Courts)、競合管轄権を有する。特許権侵害事件において、被告は、対象特許の取消を求める反訴請求を行うことができる。
法務局は、フィリピン知的財産法に従い、特許、実用新案および工業意匠の取消について審理し決定を下すという機能を有するため、無効手続に関する第一審裁判所と考えられる。長官室(Office of the Director General)は、法務局が下したすべての決定について専属的上訴管轄権を有する。上訴管轄権を有する長官室の決定に対しては、裁判所規則に従い、控訴裁判所に控訴することができる。
地域事実審裁判所(Regional Trial Courts)は、無効手続に関して、法務局とともに競合管轄権を有する。地域事実審裁判所の判例に対しては、控訴裁判所に控訴することができる。
控訴裁判所は、最高裁判所または他の裁判所の専属的管轄権が及ばない範囲において、地域事実審裁判所、準司法的当局(フィリピン知的財産権局など)、審判廷、委員会または機関のその他すべての判例、決定、決議、命令または裁定について専属的上訴管轄権を有する。
フィリピン最高裁判所は、フィリピンにおける最上位の裁判所である。控訴裁判所の判例に対しては、最高裁判所に上告することができる。
2. 法務局における無効手続
法務局に提起された無効手続の根拠のほとんどが、先行技術の一部を構成すること、または先行開示を理由とした、特許発明、実用新案または工業意匠の新規性または進歩性の欠如である。
フィリピン知的財産権局のオンライン事件ライブラリーによると、過去10年において、法務局により決定が下された事件は50件を超える。これら事件のうち少なくとも25件が工業意匠登録の無効手続に関するものであり、そのうちの6件は認容され、14件は棄却されている。一方、残る事件は、当事者が和解したものである。
実用新案登録の無効手続に関する事件は、少なくとも18件あり、そのうちの4件は法務局により認容され、残る事件は、無効を認める十分な根拠がない、または争点に現実的な意味がなく学術的なものであるとして棄却されているか、請願人が無効手続を取下げている。
過去10年において、法務局により決定が下された特許発明関連の事件は10件のみであり、そのうちの6件は認容され、4件は棄却されている。
なお、特許取消を求める反訴請求を伴う特許権侵害事件に関する統計データは存在しない。
3. 長官室に上訴された特許発明関連事件
2007年から2017年にかけて、長官室は27件の上訴事件について決定を下し、そのうちの6件については認容している。すなわち、これらの6件について、長官室は、法務局の決定に誤りがあると認定し、法務局の決定を破棄した。残る21件の上訴事件について、長官室は、法務局の認定を支持、または争点に現実的な意味がなく学術的なものとなったことを理由として棄却した。
これら27件の事件のうち、3件は工業意匠登録に関する事件であり、いずれも長官室により棄却された。実用新案関連の事件は10件で、そのうちの5件は認容され、5件は棄却された。特許発明については16件の上訴事件があるが、認容されたのは1件のみであった。なお、16件の特許発明関連の事件のうち、3件の上訴事件が、取下げられた出願の回復請求に関するものであった。
これらのうち、「対象特許出願が、親出願と同じ出願日を与えられるべき継続出願であるか否か」という争点に関する上訴事件についての長官室の注目すべき決定を以下に引用する。
「上訴人が、その対象特許出願が親出願と同じ出願日を与えられるべきであると主張することは適切でない。この規定は、新規性および進歩性を有し、かつ産業上利用可能な、特許を受けることができる発明についてのみ適用される。上訴人の発明は、先行技術の一部を構成するものであるため、もはや新規性を有さない。」(PFIZER Research and Development対Director of the Bureau of Patent、上訴第01-2011-0004号、特許出願番号第1-2002-00753号、2013年10月24日)
4. 最高裁判所により判例が下された特許発明関連事件
他の法域とは異なり、最高裁判所まで至った特許発明関連事件はごくわずかしかない。実際、過去10年において、最高裁判所により判例が下された事件は10件に満たない。その中に、無効手続に関するものは1件もない。特許に関する事件はあるが、争点となったのは、発行された差止命令の適否と特許出願回復請求の拒絶に関する検討についてであった。
フィリピン民法の第8条は、法律または憲法を適用または解釈する司法決定は、フィリピンの法制度の一部を形成するものとする旨を定めている。ここでいう司法決定とは、最高裁判所により発布されたものである。過去10年において、最高裁判所は、「侵害されたと主張される特許が既に失効している場合、特許権侵害に基づき差止救済を発行することはできない。特許権者の排他的権利は、特許の存続期間中のみ存在するものである。特許が失効すると、特許権者は、その特許によりカバーされる製品を製造、使用および販売する排他的権利をもはや有さない。」という原則を定めている(Phil Pharmawealth, Inc.対Pfizer, Inc.およびPfizer (Phil.) Inc.、G.R.第167715号、2010年11月17日)。