フィリピンにおける特許制度のまとめ-手続編
1.特許出願および実用新案登録出願に必要な書類
知的財産法第32条、第108条第1項に規定されるように、特許出願や実用新案登録出願は、フィリピン語または英語でなければならず、かつ、特許の付与を求める願書、発明の明細書、発明の理解に必要な図面、1以上のクレーム、要約を含まなければならない。
関連記事:
「フィリピンにおける特許出願制度概要」(2019.07.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17565/
「フィリピンにおける実用新案登録出願制度概要」(2019.07.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17567/
「日本とフィリピンにおける特許出願書類の比較」(2015.09.04)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/9413/
2.記載が認められるクレーム形式
発明に関する規則415(d)に規定されるように、クレームは、明細書に記載する発明と一致しなければならない。また、クレームで用いる語句については、明細書中に明確な裏付または先例を記載して、当該明細書を参照することによりクレームの用語の意味を確認することができるようにしなければならない。絶対に必要な場合を除き、発明の技術的特徴に関してクレームが明細書または図面を引用することがあってはならない。特に、「明細書第xxx部に記載したように」または「図面第xxx図に例示したように」等の引用をしてはならない。
また、発明に関する規則415(c)に規定されるように、多項従属クレーム(マルチクレーム)は、他の多項従属クレームの基礎としてはならない。
また、発明に関する規則416に規定されるように、適切な場合、クレームには次の(a)~ (c)のものを含める。
(a) 発明の主題を指定する記述、およびクレームする主題の定義のために必要とするが、組み合わせると先行技術の一部をなす技術的特徴を示す文言
(b) (a)にいう特徴との組合せで保護を求める技術的特徴を、「を特徴とする」または「によって特徴付けられる」との表現を先行させて記述した特徴付けの部分、および
(c) 出願に図面が含まれる場合に、クレームを理解しやすくするときは、クレームに記載した技術的特徴の後に、これらの特徴と関連付ける参照記号を括弧に入れて付すことが望ましい。これらの参照記号は、クレームを限定するとは解されない。
関連記事:
「フィリピンにおける特許出願制度概要」(2019.07.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17565/
「フィリピンにおける実用新案登録出願制度概要」(2019.07.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17567/
「フィリピンにおけるコンピュータソフトウエア関連発明等の特許保護の現状」(2019.01.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16395/
「フィリピンにおけるプロダクト・バイ・プロセス・クレームの解釈について」(2017.05.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/13691/
3.特許出願および実用新案登録出願の言語
知的財産法第32条、第108条第1項に規定されるように、特許出願や実用新案登録出願は、フィリピン語または英語でなければならない。
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「フィリピンにおける特許出願制度概要」(2019.07.23)
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「フィリピンにおける実用新案登録出願制度概要」(2019.07.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17567/
「日本とフィリピンにおける特許出願書類の比較」(2015.09.04)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/9413/
4.グレースピリオド
知的財産法第25条に規定されるように、当該出願の出願日または優先日の前12月の間における当該出願に含まれている情報の開示は、(1) その開示が当該発明者によってなされた場合、(2) 特許庁によってなされ、当該情報が、当該発明者がした別の出願に記載され、かつ、当該庁によって開示されるべきではなかったかまたは当該発明者から直接または間接に当該情報を得た第三者により当該発明者の認識もしくは同意なしになされた出願に記載されている場合、または、(3) その開示が当該発明者から直接または間接に当該情報を得た第三者によってなされた場合に該当するときは新規性を失わないものとする。
関連記事:
「フィリピンにおける特許発明の新規性喪失の例外」(2017.06.01)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/13772/
5.審査および年金制度について
5-1.特許出願の実体審査
知的財産法第48条に規定されるように、特許出願の実体審査の請求書は、対応する手数料とともに、特許出願の出願公開の日から6月以内に提出されなければならない。
5-2.早期審査(優先審査)
5-2-1.特許審査ハイウェイ
フィリピン知的財産庁は、日本国特許庁(JPO)、米国特許商標庁(USPTO)、韓国特許庁(KIPO)、欧州特許庁(EPO)と、特許審査ハイウェイプログラムを実施している。
フィリピン知的財産庁において特許審査ハイウェイを申請するためには、特許審査ハイウェイのリクエストフォーム、当該リクエストフォームに含まれているクレーム対応表、ガイドラインに記載されている他の関連文書を提出する必要がある。
5-2-2. ASEAN特許審査協力プログラム
ASEAN特許審査協力プログラム(以下「ASPECプログラム」という。)は、参加地域の特許庁間で特許調査および審査結果を共有することによって業務の効率化を図る制度であり、加盟国は、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイおよびベトナムの9か国である。
ASPECプログラムを申請するためには、ASPECリクエストフォームおよびクレーム対応表と、ASPECプログラムに参加する知財庁の対応する出願における、少なくとも1つのクレームが許可または特許可能であることを示す、特許付与、または、サーチおよび審査の結果を提出する必要がある。
5-3.出願の維持
特許維持年金(Philippine Pesos)
(参照:フィリピン知的財産庁より「SCHEDULE OF FEES ON PATENTS」https://www.ipophil.gov.ph/services/schedule-of-fees/patents/)
年度(公開日より) | 小規模企業 | 大規模企業 |
5 | 1,550.00 | 3,240.00 |
6 | 2,000.00 | 4,320.00 |
7 | 2,580.00 | 5,400.00 |
8 | 3,100.00 | 6,480.00 |
9 | 4,140.00 | 8,640.00 |
10 | 5,170.00 | 10,800.00 |
11 | 6,670.00 | 13,920.00 |
12 | 8,280.00 | 17,280.00 |
13 | 9,770.00 | 20,400.00 |
14 | 11,900.00 | 24,840.00 |
15 | 13,970.00 | 29,160.00 |
16 | 15,980.00 | 33,360.00 |
17 | 18,050.00 | 37,680.00 |
18 | 21,670.00 | 45,240.00 |
19 | 26,040.00 | 54,360.00 |
20 | 31,222.00 | 65,160.00 |
請求項の数が5を超える場合の1請求項毎の追加料金 | 210.00 | 420.00 |
関連記事:
「フィリピンにおける特許審査ハイウェイの実効性に関する調査研究」(2020.03.17)
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「フィリピンにおける特許出願制度概要」(2019.07.23)
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「フィリピンにおける特許年金制度の概要」(2018.10.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/15971/
「フィリピン知的財産権庁の特許審査体制」(2018.08.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/15666/
「フィリピンにおける特許権早期取得のテクニック」(2016.05.09)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/11186/
「日本とフィリピンにおける特許審査請求期限の比較」(2015.08.28)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/9372/
「ASEAN特許審査協力(ASPEC)プログラム」(2022.07.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/24171/
6.特許出願から登録までのフローチャート
6-1.特許出願から登録までのフローチャート
6-2.フローチャートに関する簡単な説明
特許出願後、知的財産法第42条および特許審査マニュアル2.1に規定されるように方式審査が行われ出願日が付与される。知的財産法第44条および第47条に規定されるように出願日または優先日から18月後、特許出願は、公衆の人々が発明の特許性についての所見を申し立てることができるようにするために、フィリピン知的財産庁の公報に公開される。特許性についての所見が申し立てられた場合、出願人にはその旨が通知され、出願人は見解を述べることができる。
次に、知的財産法第48条に規定されるように特許出願の公開から6月以内に、出願人は所定の手数料を納付して審査請求を行う。これにより特許出願が実体審査される。審査官が拒絶理由を発見した場合、拒絶理由が通知される。知的財産法第50条に規定されるように審査官が拒絶理由を発見しないか、拒絶理由通知に対する出願人の応答によって拒絶理由が解消した場合、すべての手数料を所定の期間内に納付することを条件に特許が付与される。知的財産法第52条に規定されるように特許の付与は、他の関連する情報とともに公報によって公示される。
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「フィリピンにおける実用新案登録出願制度概要」(2019.07.23)
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「フィリピン知的財産権庁の特許審査体制」(2018.08.21)
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[権利設定前の争いに関する手続]
7.拒絶査定不服申立
2022 年特許・実用新案・意匠に関する改正施行規則(以下、施行規則という。)913に規定されているように、第2回目またはその後の審査もしくは審理において、審査官は拒絶または異論が確定されたと宣言することができる。その際の出願人の応答は、クレームの拒絶の場合は、局長に対し不服申立を行うことができる。クレームの拒絶を伴わない異論の場合は、局長に申請することができる。
また、施行規則905に規定されているように、出願人は、拒絶の確定通知の郵送日から2月以内(延長不可)に、特許局長へ不服申立を行うことができる。
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「フィリピンにおける特許出願制度概要」(2019.07.23)
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8.権利設定前の異議申立
施行規則803に規定されるように、特許出願の公開日または出願人が行った実体審査請求の日のいずれか遅い期日から6月以内に、何人も、関連先行技術を引用して、新規性、進歩性、産業上の利用可能性に関する事項を含む、その発明の特許性について、書面により意見を表明することができる。出願人は、当該意見について見解を述べることができる。意見、見解、協議における討議は、当該特許出願の審査において考慮される。
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9.上記7の判断に対する不服申立
施行規則1308および1309に規定されるように、特許局長の決定が審査官による拒絶を支持する場合、出願人は特許局長の決定を受領してから1月以内であれば長官に不服申立できる。不服申立人は、不服申立の通知の提出日から30日以内に、その不服申立を維持するための論拠および主張の準備書面を提出する。
また、施行規則1311に規定されるように、特許局長の決定を覆し出願を認める長官の決定は、直ちに確定される。これに対して、知的財産庁長官の決定が出願を拒絶する特許局長の決定を支持する場合、出願人は、15日以内に上訴裁判所へ上訴することができる(不服申立てに関する改正統一法(庁命令No.41/2020年)11条)。
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[権利設定後の争いに関する手続]
10.権利設定後の異議申立
権利設定後の異議申立制度はない。
11.設定された特許権に対して権利の無効を申し立てる制度
当事者系手続に関する規則3第1条(a)に規定されるように、利害関係人は、発明としてクレームされているものが特許性を有していないものであること、特許が当該技術の熟練者が実施することができる程十分に明確かつ完全な方法では当該発明を開示していないこと、特許が公序良俗に反すること、または特許に出願当時の出願に記載された開示の範囲にない事項が含まれていることを理由として、特許またはその何れかのクレームもしくはクレームの一部の取消を申請することができる。
また、当事者系手続に関する規則3第1条(b)に規定されるように、裁判所の最終命令または決定により特許について権利を有すると宣言された者は、決定が確定した後3月以内に、既に発行されている特許の取消を求めることができる。
申請書は書面によるものでなければならず、認証され、かつフォーラムショッピング(申請者に有利な管轄地の選択)がないことの証明書(certification of non-forum shopping)が添付されていなければならない。申請者は、記録されている被申請者または代表者/代理人への送達の証明とともに、申請書の原本のみを提出する。申請書には、次のものが記載されている必要がある。
(1) 申請者、および被申請者を含むその他の当事者の氏名および住所
(2) 取消を求められた特許、実用新案の登録番号、登録者の名称、および登録日
(3) 申請者の1つまたは複数の訴因および求められる救済を構成する事実。
申請者は、フィリピンの弁護士の委任状、および適切にマークされた証拠の宣誓供述書、文書または客観的証拠を申請書に添付しなければならず、英語以外の文書については英語の翻訳を添付する必要がある。フィリピン国外で作成された文書については、アポスティーユ(公的認証)されているか、領事認証されている必要がある。
関連記事:
「フィリピンにおける特許、実用新案および意匠の無効手続を管轄する組織並びに統計データ」(2018.08.09)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/15646/
12.権利設定後の権利範囲の修正
施行規則1209によると、特許の所有者は、当該特許により与えられている保護の範囲を限定すること、明白な錯誤を訂正しまたは事務的な誤りを訂正すること、および、善意でした錯誤または誤りを訂正することを目的として、特許に変更を施すことを特許局に請求する権利を有する。
また、施行規則1210によると、特許の補正または訂正は、庁の印章により認証されて特許局長が署名した補正または訂正の証明書を伴わなければならず、その証明書は、当該特許証に添付するものとする。補正または訂正は、IPOPHL 電子公報において公告し、庁が交付する特許の謄本は、補正または訂正の証明書の謄本を含むものとする。
13.その他の制度
特許権侵害事件において、被告は、特許が無効であるという答弁または反訴を行うことができる。フィリピン知的財産庁より発行された特許証は、矛盾するか、同じものが無効の方法で発行されたことを示す他の証拠によって克服されない限り、有効であると推定される。
関連記事:
「フィリピンにおける知的財産権エンフォースメント」(2020.01.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18187/
「フィリピンにおける産業財産権侵害対策」(2013.09.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/4462/
フィリピンにおける特許制度のまとめ-手続編
1. 出願に必要な書類
知的財産法第32条、第108条第1項に規定されるように、特許出願や実用新案登録出願は、フィリピン語または英語でなければならず、かつ、特許の付与を求める願書、発明の明細書、発明の理解に必要な図面、1以上のクレーム、要約を含まなければならない。
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「フィリピンにおける特許出願制度概要」(2019.07.23)
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2. 記載が認められるクレーム形式
発明に関する規則415(d)に規定されるように、クレームは、明細書に記載する発明と一致しなければならない。また、クレームで用いる語句については、明細書中に明確な裏付または先例を記載して、当該明細書を参照することによりクレームの用語の意味を確認することができるようにしなければならない。絶対に必要な場合を除き、発明の技術的特徴に関してクレームが明細書または図面を引用することがあってはならない。特に、「明細書第xxx部に記載したように」または「図面第xxx図に例示したように」等の引用をしてはならない。
また、発明に関する規則415(c)に規定されるように、多項従属クレーム(マルチクレーム)は、他の多項従属クレームの基礎としてはならない。
また、発明に関する規則416に規定されるように、適切な場合、クレームには次の(a)~(c)のものを含める。
(a)発明の主題を指定する記述、およびクレームする主題の定義のために必要とするが、組み合わせると先行技術の一部をなす技術的特徴を示す文言
(b)(a)にいう特徴との組合せで保護を求める技術的特徴を、「を特徴とする」または「によって特徴付けられる」との表現を先行させて記述した特徴付けの部分、および
(c)出願に図面が含まれる場合に、クレームを理解しやすくするときは、クレームに記載した技術的特徴の後に、これらの特徴と関連付ける参照記号を括弧に入れて付すことが望ましい。これらの参照記号は、クレームを限定するとは解されない。
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https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17565/
「フィリピンにおける実用新案登録出願制度概要」(2019.07.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17567/
「フィリピンにおけるコンピュータソフトウエア関連発明等の特許保護の現状」(2019.01.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16395/
「フィリピンにおけるプロダクト・バイ・プロセス・クレームの解釈について」(2017.05.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/13691/
3. 出願の言語
知的財産法第32条、第108条第1項に規定されるように、特許出願や実用新案登録出願は、フィリピン語または英語でなければならない。
関連記事:
「フィリピンにおける特許出願制度概要」(2019.07.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17565/
「フィリピンにおける実用新案登録出願制度概要」(2019.07.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17567/
「日本とフィリピンにおける特許出願書類の比較」(2015.09.04)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/9413/
4. グレースピリオド
知的財産法第25条に規定されるように、当該出願の出願日または優先日の前12月の間における当該出願に含まれている情報の開示は、(1)その開示が当該発明者によってなされた場合、(2)特許庁によってなされ、当該情報が、当該発明者がした別の出願に記載され、かつ、当該庁によって開示されるべきではなかったかまたは当該発明者から直接または間接に当該情報を得た第三者により当該発明者の認識もしくは同意なしになされた出願に記載されている場合、または、(3)その開示が当該発明者から直接または間接に当該情報を得た第三者によってなされた場合に該当するときは新規性を失わないものとする。
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「フィリピンにおける特許発明の新規性喪失の例外」(2017.06.01)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/13772/
5. 審査
5-1. 実体審査
知的財産法第48条に規定されるように、実体審査の請求書は、対応する手数料とともに、特許出願の出願公開の日から6月以内に提出されなければならない。
5-2. 早期審査(優先審査)
5-2-1. 特許審査ハイウェイ
フィリピン知的財産庁は、日本国特許庁(JPO)、米国特許商標庁(USPTO)、韓国特許庁(KIPO)、欧州特許庁(EPO)と、特許審査ハイウェイプログラムを実施している。
フィリピン知的財産庁において特許審査ハイウェイを申請するためには、特許審査ハイウェイのリクエストフォーム、当該リクエストフォームに含まれているクレーム対応表、ガイドラインに記載されている他の関連文書を提出する必要がある。
5-2-2. ASEAN特許審査協力プログラム
ASEAN特許審査協力プログラム(以下「ASPECプログラム」という。)は、参加地域の特許庁間で特許調査および審査結果を共有することによって業務の効率化を図る制度であり、加盟国は、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイおよびベトナムの9か国である。
ASPECプログラムを申請するためには、ASPECリクエストフォームおよびクレーム対応表と、ASPECプログラムに参加する知財庁の対応する出願における、少なくとも1つのクレームが許可または特許可能であることを示す、特許付与、または、サーチおよび審査の結果を提出する必要がある。
年度(公開日より) | 小規模企業 | 大規模企業 |
5 | 1,550.00 | 3,240.00 |
6 | 2,000.00 | 4,320.00 |
7 | 2,580.00 | 5,400.00 |
8 | 3,100.00 | 6,480.00 |
9 | 4,140.00 | 8,640.00 |
10 | 5,170.00 | 10,800.00 |
11 | 6,670.00 | 13,920.00 |
12 | 8,280.00 | 17,280.00 |
13 | 9,770.00 | 20,400.00 |
14 | 11,900.00 | 24,840.00 |
15 | 13,970.00 | 29,160.00 |
16 | 15,980.00 | 33,360.00 |
17 | 18,050.00 | 37,680.00 |
18 | 21,670.00 | 45,240.00 |
19 | 26,040.00 | 54,360.00 |
20 | 31,222.00 | 65,160.00 |
請求項の数が5を超える場合の1請求項毎の追加料金 | 210.00 | 420.00 |
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「フィリピンにおける特許出願制度概要」(2019.07.23)
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「フィリピンにおける特許年金制度の概要」(2018.10.18)
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「フィリピン知的財産権庁の特許審査体制」(2018.08.21)
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「フィリピンにおける特許権早期取得のテクニック」(2016.05.09)
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「日本とフィリピンにおける特許審査請求期限の比較」(2015.08.28)
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「ASEAN特許審査協力(ASPEC)プログラム」(2014.07.18)
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6. 出願から登録までのフローチャート
6-1. 出願から登録までの特許出願フローチャート
6-2. フローチャートに関する簡単な説明
特許出願後、まず方式審査が行われる。次に、出願日または優先日から18月後、特許出願は、公衆の人々が発明の特許性についての所見を申し立てることができるようにするために、フィリピン知的財産庁の公報に公開される。特許性についての所見が申し立てられた場合、出願人にはその旨が通知され、出願人は見解を述べることができる。
次に、出願公開から6月以内に、出願人は所定の手数料を納付して審査請求を行う。これにより特許出願が実体審査される。審査官が拒絶理由を発見した場合、拒絶理由が通知される。審査官が拒絶理由を発見しないか、拒絶理由通知に対する出願人の応答によって拒絶理由が解消した場合、出願が許可され、登録料の納付後に特許証が発行される。付与された特許は、公衆の情報のためにフィリピン知的財産庁の公報に公開される。
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「フィリピンにおける実用新案登録出願制度概要」(2019.07.23)
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「フィリピン知的財産権庁の特許審査体制」(2018.08.21)
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[権利設定前の争いに関する手続]
7. 拒絶査定不服
発明に関する規則913に規定されているように、第2回目またはその後の審査もしくは審理において、審査官は拒絶またはその他の処分を確定することができ、その際の出願人の応答は、クレームの拒絶の場合は不服申立または本規則に定める補正に限られる。クレームの拒絶を伴わない異論または要求の場合は、本規則に規定する通り局長に申請することができる。
また、発明に関する規則905に規定されているように、出願人は、出願の審査の決定が確定した場合、決定通知の郵送日から4月以内に、局長へ申請または不服申立を行うことができる。
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8. 権利設定前の異議申立
知的財産施行規則803に規定されるように、出願の公開日または出願人が行った実体審査請求の日のいずれか遅い期日から6月以内に、何人も、関連先行技術を引用して、新規性、進歩性、産業上の利用可能性に関する事項を含む、その発明の特許性について、書面により意見を表明することができる。出願人は、当該意見について見解を述べることができる。意見、見解、協議における討議は、当該特許出願の審査において考慮される。
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9. 上記7の判断に対する不服申立
知的財産施行規則1308および1309に規定されるように、局長の決定が審査官による拒絶を支持する場合、出願人は局長の決定を受領してから30日以内であれば長官に不服申立できる。不服申立人は、不服申立の通知の提出日から30日以内に、その不服申立を維持するための論拠および主張の準備書面を提出する。
また、知的財産施行規則1311に規定されるように、局長の決定を覆し出願を認める長官の決定は、直ちに確定される。これに対して、長官の決定が出願を拒絶する局長の決定を支持する場合、出願人は、15日以外に上訴裁判所へ上訴することができる。
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[権利設定後の争いに関する手続]
10. 権利設定後の異議申立
権利設定後の異議申立制度はない。
11. 設定された特許権に対して権利の無効を申し立てる制度
当事者系手続に関する規則3第1条(a)に規定されるように、利害関係人は、発明としてクレームされているものが特許性を有していないものであること、特許が当該技術の熟練者が実施することができる程十分に明確かつ完全な方法では当該発明を開示していないこと、特許が公序良俗に反すること、または特許に出願当時の出願に記載された開示の範囲にない事項が含まれていることを理由として、特許またはその何れかのクレームもしくはクレームの一部の取消を申請することができる。
また、当事者系手続に関する規則3第1条(b)に規定されるように、裁判所の最終命令または決定により特許について権利を有すると宣言された者は、決定が確定した後3月以内に、既に発行されている特許の取消を求めることができる。
申請書は書面によるものでなければならず、認証され、かつフォーラムショッピング(申請者に有利な管轄地の選択)がないことの証明書(certification of non-forum shopping)が添付されていなければならない。申請者は、記録されている被申請者または代表者/代理人への送達の証明とともに、申請書の原本のみを提出する。申請書には、次のものが記載されている必要がある。
(1)申請者、および被申請者を含むその他の当事者の氏名および住所
(2)取消を求められた特許、実用新案の登録番号、登録者の名称、および登録日
(3)申請者の1つまたは複数の訴因および求められる救済を構成する事実。
申請者は、フィリピンの弁護士の委任状、および適切にマークされた証拠の宣誓供述書、文書または客観的証拠を申請書に添付しなければならず、英語以外の文書については英語の翻訳を添付する必要がある。フィリピン国外で作成された文書については、アポスティーユ(公的認証)されているか、領事認証されている必要がある。
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12. 権利設定後の権利範囲の修正
発明に関する規則1209によると、特許の所有者は、当該特許により与えられている保護の範囲を限定すること、明白な錯誤を訂正しまたは事務的な誤りを訂正すること、および、善意でした錯誤または誤りを訂正することを目的として、特許に変更を施すことを局に請求する権利を有する。
また、発明に関する規則1210によると、特許の補正または訂正は、庁の印章により認証されて局長が署名した補正または訂正の証明書を伴わなければならず、その証明書は、当該特許証に添付するものとする。補正または訂正は、公報において公告し、庁が交付する特許の謄本は、補正または訂正の証明書の謄本を含むものとする。
13. その他の制度
特許権侵害事件において、被告は、特許が無効であるという答弁または反訴を行うことができる。フィリピン知的財産庁より発行された特許証は、矛盾するか、同じものが無効の方法で発行されたことを示す他の証拠によって克服されない限り、有効であると推定される。
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フィリピンにおける特許制度のまとめ-実体編
1. 特許制度の特徴
(1)同日出願の特許および実用新案
知的財産法第111条に規定されるように、出願人は、同時であるか逐次的であるかを問わず、同一の対象について実用新案登録出願と特許出願の2つの出願をすることはできない。
また知的財産法第29条に規定されるように、2以上の者が相互に別個にかつ独立して発明をした場合は、特許を受ける権利は、その発明について出願をした者に帰属し、同一の発明について2以上の出願があった場合は、特許を受ける権利は最先の出願日または優先日を有する出願の出願人に帰属する。さらに知的財産法第108条第2項に規定されるように、知的財産法第29条の規定にいう場合において特許を受ける権利が実用新案登録を受ける権利と抵触するときは、同条は、「特許」を「特許または実用新案登録」と読み替えて適用する。したがって、異なる出願人が同一の対象について特許出願または実用新案登録出願を行った場合、特許または実用新案登録を受ける権利は最先の出願日または優先日を有する出願の出願人に帰属する。
(2)出願変更
知的財産法第110条に規定されるように、特許出願人は、特許の付与または拒絶の前のいつでも所定の手数料を納付することにより特許出願を実用新案登録出願に変更することができ、当該変更された実用新案登録出願には当初の出願の出願日が付与される。また実用新案登録出願人は、実用新案登録の付与または拒絶の前のいつでも所定の手数料を納付することにより実用新案登録出願を特許出願に変更することができ、当該変更された特許出願には当初の出願の出願日が付与される。
(3)守秘義務
知的財産法第44条第1項に規定されるように、特許出願は、出願日または優先日から18月を経過した後、庁によりまたは庁のために作成された先行技術を記載した文献を引用する調査書とともにIPO公報において公開される。また同条第3項に規定されるように、長官は、通商産業大臣の承認を得ることを条件として、公開することがフィリピン共和国の国家の安全および利益を害することとなると認める場合は、出願の公開を禁止しまたは制限することができる。
(4)コンピュータープログラムの特許性
知的財産法第22条第2項に規定されるように、コンピュータープログラムそれ自体は、特許を受けることができない。
(5)遺伝資源の出所開示
発明に関する規則第408に規定されるように、出願が微生物学的方法またはこれにより得られる物に関連し、かつ、微生物の使用を必要とする場合において、その発明を当該技術の熟練者が実施することができるような方法では、その微生物を出願に十分に開示することができず、また、その微生物を公衆の利用に供することができないときは、発明は、次の状況においてのみ開示されたものとみなされる。
(a)微生物の培養体が出願前に寄託機関に寄託されていること。
(b)寄託機関および培養体寄託番号が出願書類に記載されていること。この情報が出願の時点で未だ入手可能でない場合は、当該情報は、審査官の請求から2月以内に提出しなければならない。知的財産法第44条に基づく出願の公開は、当該情報の提出を待って行われる。
(c)なされた出願が、微生物の特性に関して、出願人による入手が可能な関連情報を与えること。
また発明に関する規則第409に規定されるように、微生物学的方法またはこれにより得られる物に関連し、かつ、微生物の新種の株の使用を必要とする出願は、次の条件が満たされた場合にのみ許可される。
(a)寄託が公認の国際寄託機関になされたこと
(b)当該寄託の証拠および寄託機関が割り当てた適切な識別または寄託番号が提出されたこと、および
(c)寄託機関が、培養体を永続的に保管し、公開された特許出願に関する事項について利害を有する者に当該培養体を分譲する契約上の義務を負っていること
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2. 発明の保護対象
発明に関する規則第201に規定されるように、発明は、有用な機械、物、前記の何れかの方法または改良、微生物、および非生物学的および微生物学的方法のいずれかであるか、これらのものに関連するものとされる。
また知的財産法第22条に規定されるように、発見、科学の理論および数学の方法並びに薬剤製品に関して、既知物質の新たな形式若しくは性質であって、当該物質の既知の効力の向上をもたらさないものの発見にすぎないもの、既知物質の何らかの新たな性質若しくは新たな用途の発見にすぎないものまたは既知方法の使用にすぎないもの、精神的な行為の遂行、遊戯または事業活動に関する計画、規則および方法並びにコンピュータープログラムそれ自体、手術または治療による人体または動物の体の処置方法および人体または動物の体の診断方法、植物の品種、動物の品種並びに植物および動物の生産の本質的に生物学的な方法、美的創作物、公序良俗に反するものは、特許による保護から除外される。
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3. 特許を受けるための要件
知的財産法第21条に規定されるように、人間の活動のすべての分野における課題についての、新規であり、進歩性を有し、かつ、産業上の利用可能性を有する如何なる技術的解決も特許を受けることができる。それは、物、方法若しくはその何れかの改良であってもよいしまたはそれらに関連するものであってもよい。
ここで知的財産法第23条、第24条に規定されるように、発明は、それが先行技術の一部である場合は新規であるとはみなされず、先行技術は、発明を請求する出願の出願日または優先日の前に世界の何れかの場所において公衆が利用することができるようにされているすべてのもの、および、本法の規定に従って公開され、フィリピンにおいて出願されまたは効力を有し、かつ、当該出願の出願日または優先日より前の出願日または優先日を有する特許出願、実用新案登録または意匠登録の全内容を指す。
また、知的財産法第26条第1項に規定されるように、発明を請求する出願の出願日または優先日において当該発明が先行技術に照らして当該技術の熟練者にとって自明でない場合は、その発明は進歩性を有する。
また、知的財産法第27条に規定されるように、何れかの産業において製造しおよび使用することができる発明は、産業上の利用可能性があるものとされる。
なお、知的財産法第25条に規定されるように、当該出願の出願日または優先日の前12月の間における当該出願に含まれている情報の開示は、その開示が当該発明者によってなされた場合、特許庁によってなされ、当該情報が、当該発明者がした別の出願に記載され、かつ、当該庁によって開示されるべきではなかったかまたは当該発明者から直接または間接に当該情報を得た第三者により当該発明者の認識若しくは同意なしになされた出願に記載されている場合、または、その開示が当該発明者から直接または間接に当該情報を得た第三者によってなされた場合に該当するときは新規性の欠如を理由として当該出願人を害さない。
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4. 職務発明の取り扱い
知的財産法第30条第2項に規定されるように、従業者がその雇用契約の期間内に発明をした場合、発明行為がその正規の職務の一部ではない場合は、従業者が使用者の時間、設備および材料を使用する場合であっても特許は従業者に帰属し、発明が従業者に正規に課された職務の遂行の結果である場合は、別段の明示のまたは暗黙の合意がない限り特許は使用者に帰属する。
5. 特許権の存続期間
知的財産法第54条に規定されるように、特許権の存続期間は、出願日から20年である。また、知的財産法第109条第3項に規定されるように、実用新案登録は、出願日から7年目の末日に満了し、更新することはできない。特許権や実用新案権の存続期間を延長する規定は存在しない。
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フィリピンにおける優先権主張の手続
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フィリピンにおける特許出願制度概要
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