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ペルーにおける特許法の概要

【詳細】

1.特許出願が満たすべき事項

1-1.新規性、進歩性、産業上利用可能性

 特許が付与されるために、発明は、新規性、進歩性、産業上利用可能性を有する必要がある(決議第486号第14条)。

 

1-2.明瞭性、完全性

 特許出願の明細書およびクレームは、明瞭性および完全性を有する必要がある(決議第486号第28条および第30条)。明細書の記述に基づき当業者が発明を実施することができず、さらなる技術的説明が必要な場合、出願は拒絶される。

 

1-3.発明の単一性

 一つの特許出願は、単一の発明のみを含む必要がある(決議第486号第25条)。

 

 複数の発明が一つの特許出願に含まれる場合、特許性は否定されないものの、審査官は、各発明について新たな特許出願を行うよう要求することができる。

 

2.方式審査

 特許出願されると、ペルー公正競争知的所有権保護庁(INDECOPI)の発明新技術局は、出願が方式要件(決議第486号第26条および第27条)を満たすか否かを審査する。

 

 方式要件が満たされていない場合、出願人にその旨が通知され、出願人に応答の機会が与えられる。応答期間は、通知から2ヶ月である。この応答期間は、出願人からの請求により一度限り、2ヶ月の延長が可能である(決議第486号第39条)。

 

 応答期間の満了時に出願人が方式要件を満たさなかった場合、出願は放棄されたものとみなされる。

 

3.審査請求

 公開日から6ヶ月以内に、出願人は、実体審査を請求しなければならない(決議第486号第44条)。

 

4.実体審査

4-1.審査官による審査報告書の発行

 出願人が実体審査を請求すると、担当する審査官が任命される。審査官は、出願時の明細書およびクレームとともに、存在する場合は、図面、配列表、生物学的材料に関する証明書も審査し、審査報告書を発行する。

 

4-1-1.明瞭性の評価

 明細書およびクレームが明瞭でなく、技術的課題と課題の解決方法とを理解することができない場合、審査官は、審査報告書に、明瞭性に関する拒絶理由を記載する。

 

4-1-2.禁止事項に該当するか否の評価

 明細書およびクレームの明瞭性が満たされている場合、審査官は、発明が、決議第486号の第15条、第20条、第21条における特許性にかかる禁止事項に該当するか否かについて評価する。

 

4-1-3.発明の単一性の評価

 審査官は、出願が発明の単一性を満たしているか否かを評価し、一つの出願に二つ以上の発明概念が存在する場合、発明の単一性の欠如を審査報告書で指摘する。発明の単一性欠如を理由とする審査報告書に対して、出願人は、分割出願を行うことができる。

 

4-1-4.新規性の評価

 新規性に関して、審査官は先行技術に関する調査を行う。審査官は、発明の新規性を喪失させる先行技術が存在した場合、新規性が欠如するクレームを審査報告書で指摘する。

 

4-1-5.進歩性の評価

 進歩性に関して、審査官は、先行技術に鑑みて発明が自明であるか否かを評価する。発明が、先行技術の構成要素の構造と類似し、同一の効果を示す場合、進歩性は認められない。先行技術に対して、クレームの構成要素の技術的利点が認められる場合、審査官は、発明が進歩性を有すると判断する。

 

4-2.出願人による審査報告書への応答

 出願人は、審査報告書の通知から60日以内(30日間の期間延長が可能)に審査報告書に対して応答することができる(決議第486号第45条)。

 

 特許を受けることができないクレームを削除すること、新規性または進歩性のいずれかの欠如により拒絶されたクレームを補正すること、または、先行技術に対する発明の効果を立証する実験または分析結果を提出すること、により拒絶理由が克服された場合、特許が付与される。