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ペルーの模倣被害に対する措置および対策

 「模倣被害に対する主要各国による措置及び対策に関する実態調査報告書」(平成29年3月、日本国際知的財産保護協会)第3章10、第2章

 

(目次)

第3章 各国の模倣被害に対する措置及び対策

 10 ペルー P.191

  10.1 エンフォースメントに係る制度の内容及び運用状況 P.191

   10.1.1 水際措置の内容及び実施状況 P.191

   10.1.2 刑事措置の内容及び実施状況 P.201

   10.1.3 民事措置の内容及び実施状況 P.204

 

第2章 概括表 P.7

ペルーにおける特許審査スピードアップのための実務上のヒント

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ペルー意匠制度概要

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ペルーでの商標出願の拒絶理由通知への対応策

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ペルーにおける特許法の概要

【詳細】

1.特許出願が満たすべき事項

1-1.新規性、進歩性、産業上利用可能性

 特許が付与されるために、発明は、新規性、進歩性、産業上利用可能性を有する必要がある(決議第486号第14条)。

 

1-2.明瞭性、完全性

 特許出願の明細書およびクレームは、明瞭性および完全性を有する必要がある(決議第486号第28条および第30条)。明細書の記述に基づき当業者が発明を実施することができず、さらなる技術的説明が必要な場合、出願は拒絶される。

 

1-3.発明の単一性

 一つの特許出願は、単一の発明のみを含む必要がある(決議第486号第25条)。

 

 複数の発明が一つの特許出願に含まれる場合、特許性は否定されないものの、審査官は、各発明について新たな特許出願を行うよう要求することができる。

 

2.方式審査

 特許出願されると、ペルー公正競争知的所有権保護庁(INDECOPI)の発明新技術局は、出願が方式要件(決議第486号第26条および第27条)を満たすか否かを審査する。

 

 方式要件が満たされていない場合、出願人にその旨が通知され、出願人に応答の機会が与えられる。応答期間は、通知から2ヶ月である。この応答期間は、出願人からの請求により一度限り、2ヶ月の延長が可能である(決議第486号第39条)。

 

 応答期間の満了時に出願人が方式要件を満たさなかった場合、出願は放棄されたものとみなされる。

 

3.審査請求

 公開日から6ヶ月以内に、出願人は、実体審査を請求しなければならない(決議第486号第44条)。

 

4.実体審査

4-1.審査官による審査報告書の発行

 出願人が実体審査を請求すると、担当する審査官が任命される。審査官は、出願時の明細書およびクレームとともに、存在する場合は、図面、配列表、生物学的材料に関する証明書も審査し、審査報告書を発行する。

 

4-1-1.明瞭性の評価

 明細書およびクレームが明瞭でなく、技術的課題と課題の解決方法とを理解することができない場合、審査官は、審査報告書に、明瞭性に関する拒絶理由を記載する。

 

4-1-2.禁止事項に該当するか否の評価

 明細書およびクレームの明瞭性が満たされている場合、審査官は、発明が、決議第486号の第15条、第20条、第21条における特許性にかかる禁止事項に該当するか否かについて評価する。

 

4-1-3.発明の単一性の評価

 審査官は、出願が発明の単一性を満たしているか否かを評価し、一つの出願に二つ以上の発明概念が存在する場合、発明の単一性の欠如を審査報告書で指摘する。発明の単一性欠如を理由とする審査報告書に対して、出願人は、分割出願を行うことができる。

 

4-1-4.新規性の評価

 新規性に関して、審査官は先行技術に関する調査を行う。審査官は、発明の新規性を喪失させる先行技術が存在した場合、新規性が欠如するクレームを審査報告書で指摘する。

 

4-1-5.進歩性の評価

 進歩性に関して、審査官は、先行技術に鑑みて発明が自明であるか否かを評価する。発明が、先行技術の構成要素の構造と類似し、同一の効果を示す場合、進歩性は認められない。先行技術に対して、クレームの構成要素の技術的利点が認められる場合、審査官は、発明が進歩性を有すると判断する。

 

4-2.出願人による審査報告書への応答

 出願人は、審査報告書の通知から60日以内(30日間の期間延長が可能)に審査報告書に対して応答することができる(決議第486号第45条)。

 

 特許を受けることができないクレームを削除すること、新規性または進歩性のいずれかの欠如により拒絶されたクレームを補正すること、または、先行技術に対する発明の効果を立証する実験または分析結果を提出すること、により拒絶理由が克服された場合、特許が付与される。

ペルー商標制度概要

【詳細】

1.商標に関する法令

ペルーにおける商標保護は、2000年12月1日に発効したアンデス共同体決議第486号(産業財産に関する一般規定)に加え、2009年2月2日に発効したアンデス共同体決議第486号の補足規定を承認する法令第1075号(産業財産法)の規定に従って付与される。さらにペルーは、1995年1月11日からパリ条約の加盟国であり、1937年3月25日から1929年一般米州商標・商業保護ワシントン条約の加盟国であり、さらに2009年11月6日から商標法条約(TLT)の加盟国でもある。

ペルーは「先願主義」を採用している。なお、商標の登録を得ることは、いかなる商品または役務に関しても法的義務ではない。

登録商標であることを示すために、「MarcaRegistrada」(スペイン語でRegisteredTrademarkを意味する)または他の適切な略語を登録表示として使用することが許されている(商標を登録せずに「MarcaRegistrada」またはRマーク「®」を使用することは、商標法違反となる)。

 

2.保護可能な商標の種類

写実的に複製可能であり、特定の者の商品または役務を他者のものと識別可能な下記の標章は、商標として登録可能である。

  1. 言葉
  2. 名称
  3. 図案(図像、図形、記号、図柄、ロゴ、モノグラム、肖像、ラベル、紋章、盾など。)
  4. 特定の立体的形状
  5. 色彩(色彩は、特定の形または形状の内側に包含されることを条件として登録が認められる。)
  6. スローガン
  7. 匂い(法律上は匂いの商標は保護可能であるが、現時点では特許庁において匂いを一貫した方法で記録するシステムがないため、匂いについて登録を取得するのは不可能である。)
  8. 味および触感の商標(法律上は味および触感の商標は保護可能であるが、現時点では特許庁において味および触感を一貫した方法で記録するシステムがないため、味および触感について登録を取得するのは不可能である。)
  9. トレードドレスおよび外装
  10. ホログラム
  11. ラベル
  12. 識別性のある箱または瓶のデザイン
  13. 地理的名称
  14. 数字、文字またはこれらの組合せ
  15. 色彩の組合せ

 

通常の商標登録に加えて、下記の種類の商標も登録可能である。

  1. 団体商標
  2. 証明商標
  3. サービスマーク

 

下記のものは、商標登録できない。

  1. 公序良俗に反する標章
  2. 一般名称
  3. 使用により獲得された識別力を証明できない、識別力のない商標
  4. 保護されている原産地名称と同一の表現

 

ドメイン名は、それが単なるWebアドレスではなく、商品または役務に関連して使用されている場合、または使用が意図されている場合に限り、商標として保護可能である。

 

3.分類システム、マルチクラス(多区分)出願、マルチクラス(多区分)出願の分割

ペルーは、1966年11月26日に発効した最高政令86Fにより、商品およびサービスに関するニース国際分類を採用し、現在は第10版を採用している。

ペルー特許庁に提出される出願の商品および役務の分類は、ニース協定に基づくニース国際分類にしたがって行われる。ニース分類システムは、実務において一般的指針として使用されている。

複数分類(多区分)を指定するマルチクラス出願が可能であるが、1分類のみを指定する個別出願も許されている。さらに同一商標に関してマルチクラス出願を複数提出することも可能である。

登録前のあらゆる時点において、出願人またはその代理人が請求することにより、料金の支払いをもって、一つの出願を複数の出願に分割することができる。ただし、登録後の分割は許されていない。

 

4.出願時に要求される情報および書類
  1. 出願人の名称および住所
  2. 出願人の登記されている州または国
  3. 指定商品または役務
  4. 商標見本(5×5cm、出願商標が立体の場合は、正面図、背面図、側面図、平面図および底面図。音商標の場合は、楽譜などの写実的表現およびその音を収録したCD。)
  5. 法定出願料
  6. 代理人委任状(公証人等による認証は必要ない。出願の提出時には必須ではないが、特許庁から指令を受領した日から60就業日以内に提出しなければならない。)

 

優先権が主張されている場合は、下記も必要となる。

  1. 外国基礎出願の出願番号および出願日。優先権証明書は、外国基礎出願の出願日から9か月以内に提出しなければならない。

出願人の本国がパリ条約の加盟国である場合、優先権主張により、自己の本国出願の出願日はペルーにおける出願日とみなされる。ただし、当該本国出願が、ペルーにおける出願より前6ヵ月以内に提出されていることを条件とする。

商標出願は、書面またはオンラインにより提出することができる。

 

5.登録証の発行

登録証の発行に関して、公費の発生は無い。

すべての要件が適正に満たされている場合、即ち指定商品または指定役務が審査官により正式に認められ、代理人委任状が法定期限内に提出され、その出願が公報において公告され、異議申立が提出されず、当該出願が実体審査を通過した場合には、特許庁は当該商標の登録を認可する決定を下した後、登録証が発行される。登録認可の決定通知および登録証は、出願人またはその現地代理人に送付される。

 

6.審査手続

代理人委任状とともに商標出願書が提出された後、特許庁は最初の約20日間に方式審査を行い、すべてが適正である場合(代理人委任状、指定商品または指定役務、分類)、当該出願は異議申立のために公告される。公告日から30就業日以内に異議申立が提出されなければ、当該出願は実体審査に回され、絶対的拒絶理由および相対的拒絶理由に関して審査される。実体審査には1ヵ月前後を要する。出願が実体審査を通過した場合、権利付与日から10年間にわたる登録が与えられる。通常、すべてが適正である場合、ペルーで商標登録を取得するまでの期間は、出願日から4‐7ヵ月である。

 

7.登録および更新

商標は権利付与日から10年間にわたり有効である。登録はさらに10年間毎に更新できる。

更新出願は、満了日前の6ヵ月の法定期間内に、または満了日後の6ヵ月の法定猶予期間内に提出することができる。商標を更新するために、登録対象の指定商品または指定役務に関して当該商標の使用を証明する必要はない。

代理人委任状(コピーでもよい)を更新出願に添付する必要がある。なお、先行する5年以内に他の申請において提出された代理人委任状を援用することができる。

さらに、特許庁より発行された更新料の支払いを証明する受領書を更新出願に添付しなければならない。更新出願が6ヵ月の猶予期間内に提出される場合、追加料金を支払う必要はない。

現在、更新証明書を取得するまでには、更新出願日から10‐60日間を要している。オンラインで更新申請を提出することはできない。

 

8.商標の使用

権利付与の決定が出願人またはその現地代理人に通知された日から3年以内に、当該商標が正当な理由なくアンデス共同体加盟国(ボリビア、コロンビア、エクアドルまたはペルー)のいずれの国においても、登録対象のすべての商品または役務に関して使用されなかった場合、当該商標登録は、第三者の不使用取消請求により取り消されるおそれがある。

 

なお、次に示す行為は使用とみなされる。

  1. 当該商標の識別性には影響を及ぼさない範囲で異なる形態による登録商標の使用
  2. 輸出のみを目的とした商品またはそのパッケージへの当該商標の使用
  3. 商標権者の同意を得た当該商標の使用
  4. 当該商標を付した商品の輸入

 

上記の期間内に、上記のいずれかのアンデス共同体加盟国内において一部の商品または役務に関してのみ当該商標が使用されていた場合には、当該商標登録は第三者の不使用取消請求により不使用の商品または役務は取り消され、実際に使用された商品または役務のみが維持される。

 

9.登録の無効

登録商標を無効とすることが可能である。

アンデス共同体決議第486号の第172条に基づき、商標登録が第134条第1段落および第135条の規定に違反して付与された場合には、特許庁は、職権によりまたは当事者の請求により、いつでも当該登録の絶対的無効(公序良俗違反などのような当事者以外の者でも主張できる)を宣告することができる。

商標登録が第136条の規定に違反して付与された場合、または悪意により取得された場合には、特許庁は、職権によりまたは当事者の請求により、当該登録の相対的無効(類似商標などの当事者以外の者では主張できない)を宣告することができる。この措置は、問題となる登録の権利付与日から5年が経過した後は禁止される。

上記の措置により、登録が無効とされた場合においても、国内法に基づき損害賠償請求を提起することは可能である。

商標の登録対象である商品または役務の一つまたは一部だけに、無効理由が該当する場合には、当該商品または役務に関してのみ無効が宣告され、当該商品または役務が当該商標登録から削除される。

 

第134条第1段落
本規定において、市場において商品や役務を区分することができる標章は、商標の構成要素となる。図的表現が可能な標章は商標として登録ができる。商標が付される製品または役務の本質は、いかなる場合も、その登録の妨げにはならない。

 

第135条

下記の標章は商標とはみなされない。

  1. 前条の第1段落に基づいて商標の構成要素となることができない標章
  2. 識別性に欠ける標章
  3. 商品もしくは包装のありふれた形状、または、当該製品もしくは役務に特有の本質もしくは機能により決定付けられる形状もしくは特徴のみからなる標章
  4. 製品もしくは役務に機能的もしくは技術的利点を提供する形状またはその他の要素のみからなる標章
  5. 商取引において、質、量、目的、価値、原産地、もしくは製造時期を記載する目的、または、記号もしくは記述が用いられる商品または役務に関して、商品または役務を称える表現を含めて、他のデータ、特徴、または情報を開示する目的を果たす、記号または記述のみからなる標章
  6. 当該製品もしくは役務の総称的なまたは技術的な名称である記号または記述のみからなる標章
  7. 当該国の日常言語もしくは用法に関する製品または役務について一般的でありふれた名称になったもののみからなる標章
  8. 特定の形状を与える区分なしに、分離した色彩からなる標章
  9. 特に、当該の商品または役務の出所、本質、製造方法、特徴、もしくは品質、またはそれらの目的の適合性について、業界または公衆を欺くおそれのある標章
  10. 保護された原産地名称を複製、模倣、または包含し、その使用が、前記名称との混同、もしくは前記名称を連想させる危険性、または、評判を悪用するおそれのある標章
  11. ワインおよび蒸留酒の保護された原産地名称を含む標章
  12. 標章が付される対象の商品や役務に関して、混同を生じるおそれのある国内または外国の地理的表示を含む標章
  13. 法的資格を有する当局の許可なしに、商標または商標の要素として、紋章、旗、記章、または国家に採択された支配や権限を示す公式な記号やマーク、および紋章としてのそれらの模倣、および、国際機関の紋章、旗、他の記章、国際機関の名称、またはその短縮された名称を複製、または模倣した標章
  14. 技術基準に適合していることを示す表示を複製または模倣した標章。ただし、加盟国において基準および質の要件を決定する国内の団体によって申請された場合を除く。
  15. 加盟国内外で保護されている植物の種類の名称を複製、模倣、または包含する標章。ただし、標章がその植物の種類に関連した商品や役務に用いられるよう意図されている場合、または、そのような使用がその植物の種類との混同や連想を招くおそれがある場合に限る。
  16. 法律、道徳、公序良俗の秩序、または適切な慣例に反する標章。

副段落b、e、f、g、hの規定にもかわらず、登録の申請者、またはその代表者が加盟国においてその標章を継続的に使用しており、且つ、そのような使用によって、それが付された商品や役務に関して識別性が得られた場合、標章は商標として登録することができる。

 

第136条

事業においてその使用が、特に下記に該当するような、第三者の権利を不当に害する標章は商標として登録できない。

  1. 標章が、同一の商品もしくは役務に関して、または、その使用が混同もしくは連想を生じさせるおそれがある商品もしくは役務について、第三者によって先に登録出願されたまたは登録された商標と同一または類似している場合
  2. その使用が、特定の状況下で、混同または連想を生じさせるおそれのある限りにおいて、保護されたトレードネーム、ラベル、またはビジネスサインと同一または類似している場合
  3. その使用が、特定の状況下で、混同または連想を生じさせるおそれのある、出願されたまたは登録されたキャッチフレーズと同一または類似している場合
  4. 出願人が、加盟国内外で保護された標章の所有者の、代表者もしくは販売者、または明示的に認可を得た者である場合、状況によって、混同または連想を生じさせるおそれのある、識別性を有する第三者の標章と同一または類似している場合
  5. 特に、出願人以外の者、または出願人以外の者として関連ある公共の部門によって確認されている者の名前、苗字、署名、肩書き、愛称、ペンネーム、肖像画、似顔絵、風刺画などといった、営利もしくは非営利の法人格を有する団体、または自然人の同一性もしくは名声に影響を与える標章からなる場合。ただし、その者の同意(その者が死亡しているときは相続人の同意)が証明されている場合を除く。
  6. 第三者の産業財産権または著作権を侵害する標章からなる場合。ただし、同意書が得られている場合を除く。
  7. 先住民のアフロアメリカまたは地域のコミュニティの名前、或いは、商品、役務、またはその手続き上の形態を識別するために用いられる、もしくは、それらの文化または慣習の表現を構成する名前、単語、文字、書体、または記号からなる場合。ただし、出願がコミュニティ自体によって、または明示の同意を得てなされた場合を除く。
  8. 標章が付される対象が商品か役務かにかかわらず、第三者が所有者である著名で識別性のある標章の全てもしくは一部の複製、模倣、翻訳、字訳、または複写を構成し、その使用が、第三者または第三者の商品或いは役務との混同やそれらを連想させることを生じるおそれ、もしくは、標章の名声の悪用、もしくは独特の権限もしくは商業価値や宣伝価値の希釈を招くおそれがある場合。

ペルーにおける遺伝資源の利用と特許制度

「各国における遺伝資源の利用と特許制度に関する調査研究報告書」(平成28年2月、日本国際知的財産保護協会)第Ⅰ部15.

(目次)

第Ⅰ部 各国・地域の名古屋議定書の実施状況

 15. ペルー P.161

第Ⅲ部 概括表

 概括表 各国における名古屋議定書の実施状況 P.201, 203, 205

 

ペルーにおける遺伝資源の出所開示の制度・運用・実施状況

【詳細】

 知的財産と遺伝資源の保護に関する各国調査研究報告書(平成25年2月、日本国際知的財産保護協会)第Ⅳ部4.2

 

(目次)

第Ⅳ部 各国の出所開示の制度・運用・実施状況

 4.2 ペルー P.42

第Ⅶ部 添付資料

 7.2 出所開示要件の制度・運用・実施状況概括表 P.248