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日本とマレーシアにおける特許出願書類の比較

1.日本における特許出願の出願書類
1-1.出願書類

 所定の様式により作成した以下の書面を提出する。
・願書
・明細書
・特許請求の範囲
・必要な図面
・要約書

特許法第36条 特許出願
 特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
一 特許出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
二 発明者の氏名及び住所又は居所
2 願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない。
3 前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 発明の名称
二 図面の簡単な説明
三 発明の詳細な説明
4 前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。
二 その発明に関連する文献公知発明(第二十九条第一項第三号に掲げる発明をいう。以下この号において同じ。)のうち、特許を受けようとする者が特許出願の時に知つているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を記載したものであること。
5 第二項の特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。この場合において、一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である記載となることを妨げない。
6 第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。
二 特許を受けようとする発明が明確であること。
三 請求項ごとの記載が簡潔であること。
四 その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。
7 第二項の要約書には、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した発明の概要その他経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。

1-2.手続言語
 手続言語は、日本語である。

特許法施行規則 第2条
 書面(次項に規定するものを除く。)は、法令に別段の定めがある場合を除き、日本語で書かなければならない。
2 委任状、国籍証明書その他の書面であつて、外国語で書いたものには、その翻訳文を添附しなければならない。

1-3.手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否
 外国語により作成した外国語書面を願書に添付して出願することができる。その特許出願の日から1年4か月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。

特許法第36条の2
 特許を受けようとする者は、前条第二項の明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書に代えて、同条第三項から第六項までの規定により明細書又は特許請求の範囲に記載すべきものとされる事項を経済産業省令で定める外国語で記載した書面及び必要な図面でこれに含まれる説明をその外国語で記載したもの(以下「外国語書面」という。)並びに同条第七項の規定により要約書に記載すべきものとされる事項をその外国語で記載した書面(以下「外国語要約書面」という。)を願書に添付することができる。
2 前項の規定により外国語書面及び外国語要約書面を願書に添付した特許出願(以下「外国語書面出願」という。)の出願人は、その特許出願の日(第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあつては、同項に規定する先の出願の日、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあつては、最初の出願若しくはパリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下同じ。)第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日、第四十一条第一項、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による二以上の優先権の主張を伴う特許出願にあつては、当該優先権の主張の基礎とした出願の日のうち最先の日。第六十四条第一項において同じ。)から一年四月以内に外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、当該外国語書面出願が第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願である場合にあつては、本文の期間の経過後であつても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から二月以内に限り、外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出することができる。
3 特許庁長官は、前項本文に規定する期間(同項ただし書の規定により外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を提出することができるときは、同項ただし書に規定する期間。以下この条において同じ。)内に同項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文の提出がなかつたときは、外国語書面出願の出願人に対し、その旨を通知しなければならない。
4 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。
5 前項に規定する期間内に外国語書面(図面を除く。)の第二項に規定する翻訳文の提出がなかつたときは、その特許出願は、同項本文に規定する期間の経過の時に取り下げられたものとみなす。
6 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、第四項に規定する期間内に当該翻訳文を提出することができなかつたことについて正当な理由があるときは、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。
7 第四項又は前項の規定により提出された翻訳文は、第二項本文に規定する期間が満了する時に特許庁長官に提出されたものとみなす。
8 第二項に規定する外国語書面の翻訳文は前条第二項の規定により願書に添付して提出した明細書、特許請求の範囲及び図面と、第二項に規定する外国語要約書面の翻訳文は同条第二項の規定により願書に添付して提出した要約書とみなす。

特許法施行規則 第25条の4 外国語書面出願の言語
 特許法第三十六条の二第一項の経済産業省令で定める外国語は、英語その他の外国語(*)とする。

(*) 外国語書面出願の言語は、「英語その他の外国語」であり、英語以外の言語も可能である。

1-4.優先権主張手続
 優先権主張の基礎となる出願の出願国と出願日を記載した書類を出願と同時に最先の優先権主張日から1年4か月以内に特許庁長官に提出しなければならない。
 なお、2022年9月1日現在、マレーシア知的財産公社(MyIPO)はデジタルアクセスサービス(DAS)に参加していない。

特許法第43条
 パリ条約第四条D(1)の規定により特許出願について優先権を主張しようとする者は、その旨並びに最初に出願をし若しくは同条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし又は同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の国名及び出願の年月日を記載した書面を経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出しなければならない。
2 前項の規定による優先権の主張をした者は、最初に出願をし、若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし、若しくは同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の認証がある出願の年月日を記載した書面、その出願の際の書類で明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲及び図面に相当するものの謄本又はこれらと同様な内容を有する公報若しくは証明書であつてその同盟国の政府が発行したものを次の各号に掲げる日のうち最先の日から一年四月以内に特許庁長官に提出しなければならない。
一 当該最初の出願若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により当該最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により当該最初の出願と認められた出願の日
二 その特許出願が第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日
三 その特許出願が前項、次条第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による他の優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日
3 第一項の規定による優先権の主張をした者は、最初の出願若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の番号を記載した書面を前項に規定する書類とともに特許庁長官に提出しなければならない。ただし、同項に規定する書類の提出前にその番号を知ることができないときは、当該書面に代えてその理由を記載した書面を提出し、かつ、その番号を知つたときは、遅滞なく、その番号を記載した書面を提出しなければならない。
4 第一項の規定による優先権の主張をした者が第二項に規定する期間内に同項に規定する書類を提出しないときは、当該優先権の主張は、その効力を失う。
5 第二項に規定する書類に記載されている事項を電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。)によりパリ条約の同盟国の政府又は工業所有権に関する国際機関との間で交換することができる場合として経済産業省令で定める場合において、第一項の規定による優先権の主張をした者が、第二項に規定する期間内に、出願の番号その他の当該事項を交換するために必要な事項として経済産業省令で定める事項を記載した書面を特許庁長官に提出したときは、前二項の規定の適用については、第二項に規定する書類を提出したものとみなす。
6 特許庁長官は、第二項に規定する期間内に同項に規定する書類又は前項に規定する書面の提出がなかつたときは、第一項の規定による優先権の主張をした者に対し、その旨を通知しなければならない。
7 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を特許庁長官に提出することができる。
8 第六項の規定による通知を受けた者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内に第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を提出することができないときは、前項の規定にかかわらず、経済産業省令で定める期間内に、その書類又は書面を特許庁長官に提出することができる。
9 第七項又は前項の規定により第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面の提出があつたときは、第四項の規定は、適用しない。

関連情報:
・優先権書類の提出省略について(優先権書類データの特許庁間における電子的交換について)(特許庁)
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/yusen/das/index.html

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2.マレーシアにおける特許出願の出願書類(パリルート)
2-1.出願書類

 特許法および特許規則にて規定された以下の書面を提出する。
・願書(様式1)
・明細書
・特許請求の範囲
・必要な図面
・要約
・委任状(様式17)
・陳述書(様式22)(出願人が発明者でない場合)

マレーシア特許法第28条 出願日
(1) 登録官は,出願書類受領の日を出願日として記録するものとする。
ただし,出願書類が次に掲げる事項を含んでいることを条件とする。
(a) 出願人の名称及び宛先
(b) 発明者の名称及び宛先
(c) もしあれば配列表を含む明細書
(d) 1又は複数のクレーム,及び
(e) 出願書類の受領時に所定の手数料が納付されていることを示すもの
(1A) (1)項(d)の目的のため,出願が10個を超えるクレームからなる場合,各請求項について所定の手数料を納付しなければならない。
(2) 登録官が,出願書類の受領時に(1)項(a),(b),(c),又は(d)に基づく要件が満たされていないと認定したときは,登録官は出願人に対し,必要な訂正を所定の期限内に行うよう要求するものとする。
(2A) 登録官は、申請者による申請が(1A)項に基づく要件を満たしていないことを発見した場合、所定の期間内に超過したクレームごとに所定の手数料を支払うよう申請者に要求するものとする。
(3) 出願人が-
(a) (2)項に基づく必要な訂正を提出するための登録官の要求を遵守したときは,登録官は,要求した訂正を受領した日を出願日として記録するものとする。
(b) (2)項に基づく必要な訂正を提出するための登録官の要求に従わない場合,出願は放棄されたものとして扱われるものとする。
(c) (2A)項に基づく超過したクレームごとに所定の手数料を支払うという登録官の要求に従う場合、登録官は(1)項に基づく出願の受領日を出願日として記録するものとする。また、
(d) (2A)項に基づく超過したクレームごとに所定の手数料を支払うという登録官の要求に従わない場合、最初の10個のクレームのみ、(1)項に基づく出願の受領日を出願日として記録するものとする。
(4) 出願人が,実際には出願書類に含まれていない図面に言及している場合は,登録官は出願人に対し,欠落している図面を所定の期限内に提出するよう要求するものとする。
(5) 出願人が(4)項にいう要求を遵守したときは,登録官は,欠落していた図面を受領した日を出願日として記録しなければならず,かつ,出願人がそのように遵守しなかったときは,登録官は,出願書類受領の日を出願日として記録しなければならず,前記図面へは言及しないものとする。
(6) (2)項,(2A)項及び(4)項にいう所定の期限は、第82条に基づいて、登録官は延長してはならない。

マレーシア特許規則5 特許付与出願
(1) 特許付与の出願を行うには,次のものを提出しなければならない。
(a) 願書
(b) もしあれば配列表を含む明細書
(c) 1又は複数のクレーム
(d) 必要な場合は,1又は複数の図面,及び
(e) 要約
(2) 特許付与の出願は,特許登録局に対して行うものとする。

マレーシア特許規則7 特許付与請求
(1) 特許付与請求は,所定の手数料を納付し,登録官によって決定された様式により登録官に対して行うものとする。
(2) 発明の名称には,発明の対象が明確かつ具体的に表示されなければならない。

マレーシア特許規則10 出願人の特許を受ける権利
(1) 出願人が発明者である場合は,規則7(1)に基づく特許の付与のための願書においてその事実を述べなければならない。
(2) 出願人が発明者でない場合は,出願人が当該特許を受ける権利を有することを正当化する旨の陳述書を,規則7(1)に基づく特許の付与のための願書に,登録官が定める様式により,所定の手数料を添えて,添付しなければならない。
(3) (1)及び(2)の規定の適用上,特許代理人を選任する場合,特許付与のための願書には,登録官が定める様式による特許代理人の選任請求書を所定の手数料の支払いとともに添付しなければならない。

2-2.手続言語
 手続言語は、マレー語または英語である。

マレーシア特許規則18 物的要件
(1) 別段の定めがない限り,願書及び付属の陳述書その他の書類は各1通提出するものとする。ただし,登録官は,必要に応じて,1通以上を提出するよう要求することができる。
(1A) 出願書類及び付随する陳述書又は文書は,次の順序で提出する必要がある。
(a) 願書
(b) 明細書
(c) 1又は複数のクレーム
(d) 要約
(e) 必要な場合は,1又は複数の図面,及び
(f) もしあれば配列表
(1B) (1A)で言及されるすべての出願書類及び付随する陳述書又は文書は,新しいページから始めるものとする。
(2) すべての出願書類は,写真,静電印刷法,写真オフセット印刷法及びマイクロフィルムによる直接の複製が可能なように提出されなければならない。
(3) 出願を構成する各紙面のすべてのページに裂け目,しわ及び折り目があってはならず,かつ,片面にのみ記載がなされなければならない。
(4) すべての出願書類は丈夫で白くなめらかな無光沢で耐久力のあるA4の用紙(29.7cm×21cm)を使用しなければならない。
(5) (4)の規定に拘らず,登録官は,A4版以外の用紙の使用を許すことができる。
(6) 各用紙の最低余白は2cmとする。
(7) 明細書,1又は複数のクレーム,及び要約には,頂部中央にアラビア数字で続き番号を付さなければならない。
(7A) (7)に記載される要件に加え,出願に1又は複数の図面及び配列表が含まれる場合,1又は複数の図面及び配列表には,ページ内の上部に,(7)に述べるように,明細書,クレーム,要約とは別の独立した続き番号を付さなければならない。
(8) 出願の本文は,消去不能な暗色で,かつ,少なくとも1.5行の行間スペースを取ってタイプ又は印刷するものとする。ただし,図式記号,化学式,数学式及び若干の文字については,必要な場合,手書きすることが認められる。
(9) 出願の中で,明細書及びクレームについては,各ページの5行ごとに,該当行の左部,余白の右側にアラビア数字で行番号が付されなければならない。
(10) 図面は,耐久性のある,十分な緻密性を有する黒色の,一様な厚みの明確な線と筆法で,着色せずに作成するものとする。
(11) 願書及び付属の陳述書その他の書類は,マレーシア国語又は英語で作成し提出しなければならない。
(12) 配列表は,登録官によって決定された基準及び以下の基準に従って,配列表の複写を含む物理的なコンピューター記録媒体で特許登録局に提出されなければならない。
(13) (12)に基づいて,登録官に提出された物理的なコンピューター記録媒体は,登録官によって決定された要件に準拠する必要がある。

2-3.手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否
 外国語書面出願制度は設けられていない。

2-4.優先権主張手続
 優先権証明書およびその翻訳文は、登録官から要求があった場合に提出が必要である。提出期限は、登録官による要求の日から3か月以内である。

マレーシア特許法第27条
(1) 出願は,国際条約に基づき,出願された発明と同一の発明に関して,出願人又はその前任者が,当該国際条約に基づく出願日の直前12箇月の間に行った1又は複数の国内,地域又は国際出願について優先権を主張する宣言を含むことができる。出願人又はその前任者が、その宣言を含む出願の出願日の直前の12箇月の間に,当該国際条約又は条約の締約国において又は締約国のためにした1つ以上の国内出願、地域出願又は国際出願について,国際条約に基づく優先権を主張する宣言を含むことができる。
(1A) (1)に記載した12月の期間は、第82条の規定に基づく延長を受けることができない。
(1B) 出願人が(1)に記載した12箇月の期間中に優先権を主張しなかった場合、優先権は以下の場合に回復することができる。
(a) 優先権の回復の請求が,登録官が定める様式により,所定の手数料の支払いとともに出願人により登録官に対して行われること;及び
(b) (a)に基づく請求が所定の条件を満たすこと。
(2) 出願が(1)に基づく申立を含んでいるときは,登録官は出願人に対し,先の出願の謄本であって,出願先の当局によって,又は,先の出願が国際条約に基づいてなされた国際出願である場合は,世界知的所有権機関の国際事務局によって,正しいものとして認証されたものを,所定の期間内に提出するよう要求することができる。
(3) (1)にいう申立の効果は,同項にいう条約が定めているところによる。
(4) 本条又はそれに付属する規則の要件の何れかが遵守されていないときは,(1)にいう申立は,無効とみなす。

マレーシア特許規則第21条 優先権を主張する申立
(1) 特許法第27条(1)に基づく優先権主張の申立においては、次の事項を記載しなければならない。
(a) 各先願の日付
(b) (2)の規定に従うことを条件として、各先願の出願番号
(c) (3)の規定に従うことを条件として、各先願に付された国際特許分類記号(ある場合)
(d) 各先願が提出された国の名称または、先願が地域出願または国際出願であるときは、当該出願に関して指定された国の名称、および
(e) 先願が地域出願または国際出願である場合は、それが提出された官庁の名称
(2) (1)にいう申立の時に、先願の番号が不明な場合は、その番号は、当該優先権申立を含む出願がなされた日から3月以内に通知されるものとする。
(3) 国際特許分類記号が先願に付されない場合または(1)に述べる申立の時に未だ割り当てられていない場合は、出願人は申立中でこの事実を陳述するものとする。
(4) (1)の規定に従い複数の先願の優先権が主張される場合、それら複数の先願に関する情報を1個の申立において提供することができる。

マレーシア特許規則第22条 先願の謄本
(1) 特許法第27条(2)の規定が適用になる場合、出願人は、登録官による要求の日から3月以内に、各先願の認証謄本を提出しなければならない。
(2) (1)にいう認証謄本が他の出願において既に提出されている場合は、出願人はかかる他の出願に言及することができる。
(3) (1)にいう先願がマレーシア国語または英語以外の言語で作成されている場合は、登録官は、出願人に対して、登録官による要求の日から3月以内に、当該先願のマレーシア国語または英語による翻訳文を提出するよう出願人に求めることができる。

2-5.その他の書類
 出願人が発明者でない場合は、出願人が当該特許を受ける権利を有することを正当化する旨の陳述書を添付しなければならない。また、出願人が代理人を通じて手続を行う場合は、委任状を提出する。

マレーシア特許規則第10条 出願人の特許を受ける権利
(1) 出願人が発明者である場合は,規則7(1)に基づく特許の付与のための願書においてその事実を述べなければならない。
(2) 出願人が発明者でない場合は,出願人が当該特許を受ける権利を有することを正当化する旨の陳述書を,規則7(1)に基づく特許の付与のための願書に,登録官が定める様式により,所定の手数料を添えて,添付しなければならない。
(3) (1)及び(2)の規定の適用上,特許代理人を選任する場合,特許付与のための願書には,登録官が定める様式による特許代理人の選任請求書を所定の手数料の支払いとともに添付しなければならない。

マレーシア特許規則第45B条 手続における代理
(1) 特許法または特許法に基づき制定される規則において別段の定めがなされない限り、または登録官が別段の指示をしない限り、何人も、特許登録局における手続を特許代理人に委任することができ、委任を受けた特許代理人は、本人に代わって手続に出席し、書類を提出し、また書類に署名することができる。
(2) 特許代理人の任命および変更は、委任者が署名した登録官が定める様式により、登録官の定める所定の手数料の支払いとともに、登録官に提出して行わなければならない。

日本とマレーシアにおける特許出願書類の比較

日本 マレーシア
手続言語 日本語 マレー語または英語
手続言語以外の明細書での出願日確保の可否
その特許出願の日から1年4か月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出しなければならない。
不可
優先期間内に英語(またはマレー語)で出願書類作成しなければならない。また、陳述書や委任状の手配も必要。
優先権主張手続 優先権主張の基礎となる出願の出願国と出願日を出願と同時に提出し、最先の優先権主張日から1年4か月以内に特許庁長官に提出しなければならない。 優先権証明書およびその翻訳文は、登録官から要求があった場合に提出が必要である。提出期限は、登録官による要求の日から3か月以内である。