マレーシアにおける特許出願の補正の制限
【詳細】
1.出願人による特許出願の補正
特許法第26A条に規定の通り、出願人は、その出願を補正することができる。ただし、その補正は、原出願における開示範囲を超えてはならない。マレーシア特許法や特許規則には、係属中の出願の補正が可能な時期について記載されていないが、実務上、実体審査の審査合格報告書(Clear Substantive Examination Report)を受領した後は、出願の補正は受理されない。
2.登録官の権限による特許出願の補正
登録官(Registrar of Patents、特許法第8条(1)により特許庁長官に相当する。)は、特許法第79条(1)に基づく出願人の請求により、出願人の特許出願またはその出願に関連して特許登録局(Patent Registration Office)に提出された書類に対して、誤記または明白な錯誤を訂正する目的で、補正の指示をすることができる。出願人は登録官の指示に基づいた補正書を、特許様式16号を使用して、規定の手数料の納付と共に提出しなければならない。
3.登録官の権限による登録特許の補正
特許付与後の登録特許の補正(日本特許法での「訂正」に相当)は、以下のように特許法第79A条に定めている。出願人は補正書を、所定の書式(特許様式16A)にて、規定の手数料の納付と共に提出しなければならない。
(1)登録官は、本法に基づいて制定される規則に従って特許権者による請求に基づき、誤記もしくは明白な錯誤を訂正する目的で、または登録官が受け入れることができる他の理由で、その特許の明細書、クレームまたは図面を補正すること、またはその特許に関連する他の書類を補正することができる。
(2)登録官は、補正が補正前に開示されていた範囲を超える場合またはその特許の付与の時に与えられた保護範囲を拡大する場合は、本条に基づく補正を行ってはならない。
(3)登録官は、その特許の有効性が争点となりうる裁判所手続が係属している場合は、本条に基づく補正を行ってはならない。