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メキシコにおける指令書への応答期間と期間延長

 すべてのメキシコ特許出願は、方式審査と実体審査を受ける(メキシコ産業財産法第106条、第110条)。 

 最初に受ける方式審査は、出願書類の方式的な面、例えば、譲渡証、翻訳文、優先権証明書、委任状等の出願に必要な書類の有無、ならびに、余白、書体、文字の大きさおよび図面等の書面の書式・体裁に関わる。方式要件が満たされていない場合には、出願人に対し指令書によりその不備が通知される(メキシコ産業財産法第106条、メキシコ産業財産規則第5条、特許、実用新案ガイドライン4.2)。

 方式審査段階においては、メキシコ産業財産庁により指摘された方式に関する拒絶理由のすべてを解消するために、出願人には、最大で2回の指令書が送付される。ただし、2回目の指令書への応答においても、方式要件を満さないと判断された場合、その出願は、さらなる応答の機会を与えられることなく、放棄されたものとみなされる(メキシコ産業財産法第106条、第117条、特許、実用新案ガイドライン4.2.13)。

 方式審査指令書に対する応答書の提出には、出願人に、その指令書の通知日の翌就業日から通常2か月の応答期間が与えられる。その応答期間は、さらに2か月の期間延長が可能である。その2か月の追加期間は自動的に与えられ、延長取得について事前の申請は必要としない(メキシコ産業財産法第106条、第117条、メキシコ産業財産規則第5条)。なお、その延長に関する庁費用は、実務上、応答書を提出する際に納付することになる。

 すなわち、メキシコにおいては、方式審査指令書に対する応答書を提出することができる期間は、最大で、指令書の通知日の翌就業日からから4か月である。

 出願が方式的な要件をすべて満たし、出願日から18か月が経過した後、その出願は官報において公開される。公開から2か月以内の第三者からの情報提供期間の満了後、出願は実体審査に入る。(メキシコ産業財産法第107条、第109条、メキシコ産業財産規則第39条)。

 実体審査においては、メキシコ産業財産庁により指摘される拒絶理由すべてを解消するために、出願人には、最大で4回の指令書が送付される。第4回の最後の指令書への応答においても、特許要件を満たさないと判断された場合には、拒絶査定が発行される。拒絶査定に対して不服の場合、更なる手続は、連邦行政裁判所(TFJA)に対して行うこととなる(特許、実用新案ガイドライン4.2.13、メキシコ産業財産法第111条および第407条、連邦行政手続法第83条から第86条)。

 方式審査指令書と同様、実体審査指令書に対する応答書の提出には、出願人に対し、その指令書の通知日の翌就業日から通常2か月の応答期間が与えられる。さらに、その応答書を提出するため、1回のみ2か月の期間延長が可能である。その2か月の延長期間は、自動的に与えられ、その延長取得について事前の申請は不要である(メキシコ産業財産法第111条、第117条、メキシコ産業財産規則第5条、第45条)。なお、その延長に関する庁費用は、実務上、応答書を提出する際に納付することになる。

 方式審査指令書と同様、実体審査指令書に対する応答書を提出することができる期間は最大でその指令書の通知日の翌就業日から4か月であり、これ以上は延長することができない。応答最終期限日が、祝日あるいは休日であった場合には、応答期限日は、次の開庁日とみなされる(メキシコ産業財産法第21条、メキシコ産業財産規則第4条)。

 出願人からの応答書の提出に対して、メキシコ産業財産庁は、次の指令書(次の実体審査指令書、特許査定あるいは拒絶査定)を、その応答書の受領から4か月以内に発行する(メキシコ産業財産庁に対する諸手続の回答期限を定める覚書第12条)。したがって、通常、出願人は、応答書を提出してから4か月以内に次の指令書を受領するものと想定することができる。ただし、世界5大特許庁(日本、米国、欧州、中国、韓国)の審査手順に準じるメキシコ産業財産庁の審査基準に基づいて、審査官は、対応する外国出願の審査経過を参照することができ、対応外国出願でのさらなる審査結果を待って、次の指令書を発行することもできる。したがって、上記の4か月以内という期間は、対応外国出願の審査状況によって延びる場合もある。

 方式審査指令書および実体審査指令書と同様、特許査定を受領すると、認可費用の納付を行うため、出願人は、その通知の日の翌就業日から通常2か月の納付期間が与えられる。さらに、認可費用の納付のため、1回のみ2か月の期間延長が可能である。その2か月の延長期間は自動的に与えられ、延長取得について事前の申請は不要である(メキシコ産業財産法第111条、第117条、メキシコ産業財産規則第5条)。なお、その延長に関する庁費用は、実務上、認可費用を納付する際に同時に納付することになる。

 上述のとおり、現在の応答期間に関連する規定によれば、出願人は、延長費用を前もって負担する必要がなく、最終期限日まで指令書への対応の是非を決定することができる。