韓国における特許制度のまとめ-実体編
1. 特許制度の特徴
(1)特許出願は、審査請求がある時にのみ審査する(特許法第59条第1項)。
審査請求期間は特許出願日(国際出願日)より従前5年から3年に短縮された(特許法第59条第2項)。
(2)韓国を指定国として指定したPCTによる国際出願は、優先日から2年7か月(国内書面提出期間)以内に発明の説明、請求範囲、図面の説明部分および要約書の韓国語翻訳文を提出しなければならない(特許法第201条第1項)。
ただし、国内書面提出期間満了日前1か月からその満了日まで、翻訳文の提出期間を延長してほしいという趣旨を書面(特許法第203条第1項)に記載して提出した場合、翻訳文の提出期間を1か月延長することができる(特許法第201条第1項ただし書)。
(3)特許出願が審査段階で拒絶決定(拒絶査定)になると、拒絶決定不服審判の請求前に、明細書または図面を補正して再審査を請求することができる(特許法第67条の2)。
拒絶決定不服審判の請求後には、明細書等を補正することができず、審査前置制度は廃止された。
(4)特許決定(特許査定)後、特許決定の謄本の送達を受けた日から3か月以内に分割出願が可能である(特許法第52条第1項第3号)。ただし、特許料納付以前でなければならない。
関連記事:「韓国における特許・実用新案出願制度概要」(2021.5.13)
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関連記事:「韓国における特許・実用新案の審査請求の留意点」(2017.9.21)
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2. 発明の保護対象
特許法では、「発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作として高度なものをいう」(特許法第2条第1号)と発明について定義を規定している。
・保護されない発明
(1)公共の秩序または善良な風俗に外れたり公衆の衛生を害するおそれがある発明については、特許を受けることができない(特許法第32条)。
(2)人間を手術、治療または診断する方法である医療行為は産業上、利用することができる発明(特許法第29条第1項本文)に該当しないという理由で拒絶している(特許・実用新案審査基準第3部第1章5.1)。
(3)コンピュータプログラム言語およびコンピュータプログラム自体は、コンピュータを実行する命令に過ぎないこととして特許法の保護対象ではない(特許・実用新案審査基準第3部第1章4.1.8)。
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3. 特許を受けるための要件
(1)積極的要件
産業上の利用可能性(特許法第29条第1項本文)、新規性(特許法第29条第1項各号)、進歩性(特許法第29条第2項)、拡大された先出願の地位(第29条第3項および第4項)、先願主義(特許法第36条)
(2)消極的要件
公共の秩序または善良な風俗から外れたり公衆の衛生を害するおそれがある発明については、特許を受けることができない(特許法第32条)。
(3)特許出願書類の記載要件
特許出願に関する手続は、書面の注意を要求しているので、願書、明細書(発明の説明、請求の範囲)、必要な図面および要約書等は、法で定める要件に符合するよう記載しなければならない(特許法第42条、特許法施行令第5条、第6条)。
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4. 職務発明の取り扱い
職務発明に関しては、発明振興法(第2条、第10条から第19条、第58条)で規定している。
職務発明とは従業員等が、その職務に関して発明したものが性質上、使用者等の業務範囲に属し、その発明をするようになった行為が従業員等の現在または過去の職務に属する発明をいう(発明振興法第2条第2号)。
職務発明については、原則的に発明者である従業員等に特許を受けることができる権利が帰属する一方、使用者等には従業員の職務発明に対する通常実施権を認めている(発明振興法第10条)。従業員等が使用者に職務発明を承継し、または専用実施権を設定する場合、使用者は従業員等に相当の補償をしなければならない(発明振興法第15条)。
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5. 特許権の存続期間
(1)存続期間
特許権の存続期間は、特許権の設定登録がされた日から特許出願日後20年になる日までである(特許法第88条第1項)。
(2)特許権の存続期間の延長制度
特許発明を実施するために他の法令に従い許可を受けたり、登録等をしなければならず、その許可または登録等のために必要な有効性・安全性等の試験に長期間を要する発明の場合には、その実施することができなかった期間に対して5年の期間まで、その特許権の存続期間を一度だけ延長することができる(特許法第89条第1項、特許法施行令第7条)。
(3)審査の遅延による存続期間の延長
特許出願について、特許出願日からの4年と出願審査請求日からの3年のうち、遅い日より遅延して特許権の設定登録がなされる場合には、その遅延された期間に相当する期間、特許権の存続期間を延長することができる(特許法第92条の2第1項、特許法施行令第7条の2)。
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6. 特許権の行使と侵害
(1)特許権者は侵害禁止請求権、損害賠償請求権、信用回復請求権等を有する(特許法126条、特許法128条、特許法131条)。
(2)特許権侵害の場合、損害と認める金額の3倍を越えない範囲で請求できる懲罰的賠償制度が導入された(特許法第128条第8項および9項)。
(3)特許技術が含まれるソフトウェアは、これを保存した媒体として権利行使が可能であり、方法発明の場合は、その方法を使用する行為またはその方法の使用を請約(申出)する行為まで含まれ、オンライン伝送行為までも権利行使が可能である(特許法第2条第3項ロ目および第94条2項)。
(4)特許表示は「特許+特許番号」または「方法特許+特許番号」で表示し、特許出願中の表示は「特許出願(審査中)+出願番号」または「方法特許出願(審査中)+出願番号」とする。特許表示物の虚偽表示をする場合、3年以下の懲役または3千万ウォン以下の罰金に処する(特許法第223条、特許法228条)。
韓国における特許制度のまとめ-実体編
1. 特許制度の特徴
(1) 特許出願は、審査請求がある時にのみ審査する(特許法第59条第1項)。
審査請求期間は特許出願日(国際出願日)より従前5年から3年に短縮された(特許法第59条第2項)。
(2) 韓国を指定国として指定したPCTによる国際出願は、優先日から2年7か月(国内書面提出期間)以内に発明の説明、請求範囲、図面の説明部分及び要約書の韓国語翻訳文を提出しなければならない(特許法第201条第1項)。
ただし、国内書面提出期間満了日前1か月からその満了日まで、翻訳文の提出期間を延長してほしいという趣旨を書面(特許法第203条第1項)に記載して提出した場合、翻訳文の提出期間を1か月延長することができる(特許法第201条第1項ただし書)。
(3) 特許出願が審査段階で拒絶決定(拒絶査定)になると、拒絶決定不服審判の請求前に、明細書または図面を補正して再審査を請求することができる(特許法第67条の2)。
拒絶決定不服審判の請求後には、明細書等を補正することができず、審査前置制度は廃止された。
(4) 特許決定(特許査定)後、特許決定の謄本の送達を受けた日から3か月以内に分割出願が可能である(特許法第52条第1項第3号)。ただし、特許料納付以前でなければならない。
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関連記事:「韓国におけるパリ条約ルートおよびPCTルートの特許出願の相違点」(2016.3.25)
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関連記事:「韓国での特許出願における拒絶理由通知に対する対応」(2013.10.8)
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2. 発明の保護対象
特許法では、「発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作として高度なものをいう」(特許法第2条第1号)と発明について定義を規定している。
・保護されない発明
(1) 公共の秩序または善良な風俗に外れたり公衆の衛生を害するおそれがある発明については、特許を受けることができない(特許法第32条)。
(2) 人間を手術、治療または診断する方法である医療行為は産業上、利用することができる発明(特許法第29条第1項本文)に該当しないという理由で拒絶している。
(3) 医薬品の用途発明は、明細書に薬理効果があることを薬理データ等で表した試験例で記載するか、またはこれに代わる程度に具体的に記載しなければならない。
(4) コンピュータプログラム言語およびコンピュータプログラム自体は、コンピュータを実行する命令に過ぎないこととして特許法の保護対象ではない。
関連記事:「韓国におけるコンピュータソフトウエア関連発明等の特許保護の現状および出願実務について」(2019.1.10)
http://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16383/
関連記事:「韓国における医薬品等の特許権の延長登録制度と関連制度」(2016.2.5)
http://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/10263/
関連記事:「韓国における特許出願時の留意事項」(2015.3.31)
http://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/8168/
3. 特許を受けるための要件
(1)積極的要件
産業上の利用可能性(特許法第29条第1項本文)、新規性(特許法第29条第1項各号)、進歩性(特許法第29条第2項)、拡大された先出願の地位(第29条第3項及び第4項)、先願主義(特許法第36条)
(2)消極的要件
公共の秩序または善良な風俗に外れたり公衆の衛生を害するおそれがある発明については、特許を受けることができない(特許法第32条)。
(3)特許出願書類の記載要件
特許出願に関する手続は、書面の注意を要求しているので、願書、明細書(発明の説明、請求の範囲)、必要な図面及び要約書等は、法で定める要件に符合するよう記載しなければならない(特許法第42条、特許法施行令第5条、第6条)。
関連記事:「韓国における特許事由と不特許事由」(2015.3.31)
http://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/8421/
関連記事:「(韓国)選択発明の特許要件及び効果の立証に関して判示した事例」(2013.5.2)
http://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/2734/
4. 職務発明の取り扱い
職務発明に関しては、発明振興法(第2条、第10条から第19条、第58条)で規定している。
職務発明とは従業員等が、その職務に関して発明したものが性質上、使用者等の業務範囲に属し、その発明をするようになった行為が従業員等の現在または過去の職務に属する発明をいう(発明振興法第2条第2号)。
職務発明については、原則的に発明者である従業員等に特許を受けることができる権利が帰属する一方、使用者等には従業員の職務発明に対する通常実施権を認めている(発明振興法第10条)。従業員等が使用者に職務発明を承継し、または専用実施権を設定する場合、使用者は従業員等に相当の補償をしなければならない(発明振興法第15条)。
関連記事:「韓国における職務発明制度について」(2019.5.16)
http://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/17127/
5. 特許権の存続期間
(1)存続期間
特許権の存続期間は、特許権の設定登録がされた日から特許出願日後20年になる日までである(特許法第88条第1項)。
(2) 特許権の存続期間の延長制度
特許発明を実施するために他の法令に従い許可を受けたり、登録等をしなければならず、その許可または登録等のために必要な有効性・安全性等の試験に長期間を要する発明の場合には、その実施することができなかった期間に対して5年の期間まで、その特許権の存続期間を一度だけ延長することができる(特許法第89条第1項、特許法施行令第7条)。
(3) 審査の遅延による存続期間の延長補償
特許出願について、特許出願日からの4年と出願審査請求日からの3年のうち、遅い日より遅延して特許権の設定登録がなされる場合には、その遅延された期間に相当する期間、特許権の存続期間を延長することができる(特許法第90条の2第1項、特許法施行令第7条の2)。
関連記事:「韓国における特許権存続期間の延長制度」(2015.11.17)
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