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韓国における特許制度のまとめ-手続編

1.出願に必要な書類
(1) 特許出願をする場合には、特許出願書、明細書、必要な図面及び要約書等を提出しなければならない(特許法第42条第1項及び第2項)。
(2) 個別委任状と包括委任状のうち、どちらか一つを提出しなければならない。

関連記事:「韓国における特許・実用新案出願制度概要」(2022.11.01)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/26894/

2.記載が認められるクレーム形式
(1) 認められるクレーム形式
・多項制を採択しており、独立項と従属項を区分し記載する。
・プログラムの場合、“プログラムを記録した記録媒体”、“記録媒体に保存されたコンピュータプログラム(アプリケーション)”の形式が認められる。

(2) 認められないクレーム形式
・請求項の従属項の記載方法に関して、2以上の項を引用した請求項は、その請求項の引用された項が、更に2以上の項を引用する方式(マルチ-マルチクレーム)で記載することができない(特許法第42条第8項及び特許法施行令第5条第6項)。
・コンピュータプログラム言語自体、コンピュータプログラム自体、単純な情報が提示されたデータ、信号等は認められない。

関連記事:「韓国における特許出願の請求項の記載方式」(2013.03.01)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/2406/

関連記事:「韓国におけるコンピュータソフトウエア関連発明等の特許保護の現状および出願実務について」(2019.01.10)
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3.出願の言語
 特許出願に関する書類は原則として韓国語で記載しなければならない(特許法施行規則第11条)が、明細書及び図面(図面中の説明部分に限る。)については、英語で記載して提出することができる(特許法第42条の3第1項)。
 ただし、英語で特許出願をした場合には、出願日(最優先日)から1年2か月になる日まで明細書及び図面(図面中の説明部分に限る。)の韓国語翻訳文を提出しなければならない(特許法第42条の3第2項)。

関連記事:「韓国における特許・実用新案出願制度概要」(2022.11.01)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/26894/

4.グレースピリオド
 特許を受けることができる権利を有する者の発明が、特許を受けることができる権利を有する者によって公知等がされている場合、または特許を受けることができる権利を有する者の意思に反して公知等がされた場合には、その日から12か月以内に特許出願をすれば特許出願された発明に対して新規性及び進歩性を適用する際に、その発明は公知等がされていないものとみなす(特許法第30条)。

関連記事:「韓国の特許・実用新案出願における新規性喪失の例外規定」(2017.07.13)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/13896/

5.審査
(1) 実体審査
 特許出願は、審査請求があるときに限り審査する。審査請求は、誰でもすることができ、審査請求期間は出願日から3年(2017年2月28日以前に特許出願された場合には5年)である(特許法第59条)。

(2) 早期審査(優先審査)
 特許出願が出願公開後、第三者の特許出願された発明の無断実施が認められた場合、または以下の事由に該当する出願について優先審査を申請することができる(特許法第61条)。
 1)防衛産業分野の特許出願
 2)緑色技術(温室ガス減縮技術、エネルギー利用効率化技術、清浄生産技術、清浄エネルギー技術、資源循環および親環境技術(関連融合技術を含む)等、社会・経済活動の全過程にわたり、エネルギーと資源を節約して効率的に使用し、温室ガス及び汚染物質の排出を最小化する技術を言う)と直接関連した特許出願
 2の2)人工知能またはモノのインターネット(IoT)等、第4次産業革命と関連した技術を活用した特許出願
 3)輸出促進に直接関連する特許出願
 4)国家または地方自治団体の職務に関する特許出願
 5)ベンチャー企業の認定を受けた企業の特許出願
 5の2)技術革新型中小企業として選定された企業の特許出願
 5の3)職務発明補償優秀企業として選定された企業の特許出願
 5の4)知識財産経営認証を受けた中小企業の特許出願
 6)「科学技術基本法」による国家研究開発事業の結果物に関する特許出願
 7)条約による優先権主張の基礎となる特許出願
 7の2)特許庁が「特許協力条約」に基づく国際調査機関として国際調査を遂行した国際特許出願
 8)特許出願人が特許出願された発明を実施しているか、実施準備中である特許出願
 9)電子取引と直接関連した特許出願
 10)特許庁長が外国の特許庁長と優先審査することに合意した特許出願
 11)優先審査の申請をしようとする者が特許出願された発明に関して調査・分類専門機関のうち、特許庁長が定めて告示した専門機関に先行技術の調査を依頼した場合であって、その調査結果を特許庁長に通知するよう、該専門機関に要請した特許出願
 12)65歳以上の者、または健康に重大な異常がある者がした特許出願
※IP5 PPH、グローバルPPH、PCT-PPH等が利用可能である。

(3) 出願を維持するための料金:不要

関連記事:「韓国における審査官の職権再審査制度」(2018.10.02)
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6.出願から登録までのフローチャート
(1) 出願から登録までの特許出願のフローチャート

(*) 海外からの出願は、特許法第15条第1項の「交通が不便な地域」に相当するため、2回の延長が可能である。しかし、韓国国内からの出願は「交通が不便な地域」に相当する場合と相当しない場合があり、相当しない場合は1回しか認められない(特許法第15条第1項、実用新案は実用新案法第3条で準用、審判便覧第13編第2章第3節)。

(2)フローチャートに関する簡単な説明
i) 特許決定(査定)の謄本を送達するまで明細書または図面を自発補正することができるが、意見提出通知書(拒絶理由通知)が送達された場合には、意見書の提出期間にのみ補正をすることができる(特許法第47条第1項)。
ii) 意見提出通知書(拒絶理由通知)に対する意見書提出期限は、通知書の発送日から2か月であるが、4か月までの期間延長を申請することができる。期間延長は1か月単位で4回まで、または、必要であれば4か月を超過しない範囲で2か月以上を一括して申請することができる。さらにまた、やむを得ない事由の発生で4か月を超過して指定期間の延長を受けようとする場合には、その事由を記載した疎明書を添付して延長申請をする必要がある(特許法施行規則第16条、特許・実用新案審査事務取扱規定第23条)。
iii) 拒絶決定(査定)謄本の送達を受けた後、補正書を提出し再審査を請求すること(特許法第67条の2)、補正をせずに拒絶決定(査定)不服審判を請求することができる(特許法第132条の17)。再審査を請求した後、再拒絶決定(査定)を受けた場合には、再審査を請求することができず、補正なく拒絶決定(査定)不服審判を請求することができる。
iv) 拒絶決定(査定)謄本の送達を受けた日から3か月以内に再審査請求または拒絶決定(査定)不服審判を請求することができ、上記期間は30日ずつ2回の期間延長を申請することができる(特許法第15条第1項、同第186条第5項、特許法施行規則第16条第4項、同第16条第5項)。
v) 拒絶決定(査定)不服審判の棄却審決の後、審決の謄本の送達を受けてから30日以内に、拒絶されていない請求項のみを分離して出願(分離出願)することができる(特許法第52条の2)。
vi) 特許決定(査定)の謄本を受け取ったら、謄本を受けた日から3か月以内に最初の3年分の特許料を納付しなければならない(特許法第79条、特許料等の徴収規則第8条)。特許料納付期間が経過した後、6か月以内に追納することができるが、追納期間内にも納付しなければ特許出願は放棄したものとみなす(特許法第81条第3項)。

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関連記事:「韓国での特許出願における拒絶理由通知に対する対応」(2013.10.08)
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[権利設定前の争いに関する手続]

7.拒絶決定(査定)に対する不服
 特許出願の拒絶決定(査定)に不服がある場合に、決定謄本の送達を受けてから3か月以内に特許審判院に拒絶決定(査定)不服審判を請求することができる(特許法第132条の17)。

関連記事:「韓国における特許出願の拒絶査定不服審判請求時の留意点」(2023.02.14)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/33775/

8.異議申立制度
 権利設定前の異議申立制度はない。しかし、特許出願が公開された後であれば、その特許出願に関して誰でも拒絶理由に該当し特許されることができないという旨の情報を証拠とともに特許庁長に提供することができる(特許法第63条の2)。

9.上記7の審決に対する不服
 特許審判院の審決に対して不服がある場合には、特許法院に訴え(審決取消訴訟)を提起することができる(特許法第186条第1項)。
 また、特許法院の判決に不服がある場合には、判決が法令に違反したことを理由に大法院へ上告することができる(特許法第186条第8項)。

関連記事:「韓国における特許・実用新案・商標・意匠の審決取消訴訟制度概要」(2023.04.13)
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[権利設定後の争いに関する手続]

10.権利設定後の異議申立
 誰でも、特許権の設定登録日から登録公告日後6か月になる日まで、その特許が特許取消事由に該当する場合、特許審判院に特許取消申請をすることができる(特許法第132条の2第1項)。
 特許取消申請の事由は、産業上の利用可能性、国内外の頒布された刊行物等による新規性、進歩性及び先願主義の違反等がある(特許法第132条の2第1項各号)。

関連記事:「韓国における特許取消申請について」(2020.11.12)
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11.設定された特許権に対して、権利の無効を申し立てる制度(無効審判)
 利害関係人または審査官は、設定登録された特許権が無効事由に該当する場合、特許審判院に無効審判を請求することができる(特許法第133条第1項)。
 無効事由:特許法第25条、第29条、第32条、第36条第1項から第3項、第42条第3項第1号または第4項、第33条第1項、第44条、第47条第2項前段、第52条第1項、第53条第1項、条約違反

関連記事:「韓国における特許無効審判の口頭審理(期日・場所の決定、争点整理など)」(2018.01.09)
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関連記事:「韓国における特許無効審判での証拠の取扱い」(2017.12.28)
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12.権利設定後の権利範囲の訂正審判
 特許権者は、請求の範囲を減縮する場合、誤って記載された事項を訂正する場合、または明確に記載されていない事項を明確にする場合に、明細書または図面について特許審判院に訂正審判を請求することができる(特許法第136条第1項)。
 特許取消申請、特許無効審判または訂正の無効審判が特許審判院に係属中である場合には、訂正審判を請求することができないが(特許法第136条第2項)、このときは訂正請求制度を利用して、補正が可能である(特許法第132条の3、第133条の2、第137条第3項及び第4項)。

関連記事:「韓国における補正および訂正に関連する制度ならびにその利用実態」(2018.01.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/14407/

13.その他の制度
・特許決定(査定)の謄本の送達を受けた日から3か月以内の期間内(特許料納付前)に分割出願が可能である(特許法第52条第1項第3号)。
・特許拒絶決定(査定)不服審判の審判請求が棄却された場合、審決の謄本の送達を受けた日から30日以内に、その特許出願の一部を新たな特許出願とする分離出願制度がある(特許法第52条の2)。

関連記事:「韓国における特許分割出願制度の活用と留意点」(2022.12.08)
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関連記事:「日本と韓国における特許分割出願に関する時期的要件の比較」(2022.11.01)
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韓国における特許制度のまとめ-手続編

1. 出願に必要な書類

(1) 特許出願をする場合には、特許出願書、明細書、必要な図面及び要約書等を提出しなければならない(特許法第42条第1項及び第2項)。

(2) 個別委任状と包括委任状のうち、どちらか一つを提出しなければならない。

関連記事:「韓国における特許・実用新案出願制度概要」(2017.7.20)

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2. 記載が認められるクレーム形式

(1) 認められるクレーム形式

・多項制を採択しており、独立項と従属項を区分し記載する。

・プログラムの場合、“プログラムを記録した記録媒体”、“記録媒体に保存されたコンピュータプログラム(アプリケーション)”の形式が認められる。

(2)認められないクレーム形式

・請求項の従属項の記載方法に関して、2以上の項を引用した請求項は、その請求項の引用された項が、更に2以上の項を引用する方式(マルチ-マルチクレーム)で記載することができない(特許法第42条第8項及び特許法施行令第5条第6項)。

・コンピュータプログラム言語自体、コンピュータプログラム自体、単純な情報が提示されたデータ、信号等は認められない。

 

関連記事:「韓国における特許出願の請求項の記載方式」(2013.3.01)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/2406/

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https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16383/

3. 出願の言語

・特許出願に関する書類は韓国語で記載しなければならない(特許法施行規則第11条)。

・明細書及び図面(図面中の説明部分に限る。)については、英語で記載して提出することができる(特許法第42条の3第1項)。ただし、英語で特許出願をした場合には、出願日(最優先日)から1年2か月になる日まで明細書及び図面(図面中の説明部分に限る。)の韓国語翻訳文を提出しなければならない(特許法第42条の3第2項)。

 

関連記事:「韓国における特許・実用新案出願制度概要」(2017.7.20)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/13908/

 

 

4. グレースピリオド

特許を受けることができる権利を有する者の発明が、特許を受けることができる権利を有する者によって公知等がされている場合、または特許を受けることができる権利を有する者の意思に反して公知等がされた場合には、その日から12か月以内に特許出願をすれば特許出願された発明に対して新規性及び進歩性を適用する際に、その発明は公知等がされていないものとみなす(特許法第30条)。

関連記事:「韓国の特許・実用新案出願における新規性喪失の例外規定」(2017.7.13)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/13896/

5. 審査

 

(1)実体審査

特許出願は、審査請求があるときに限り審査する。審査請求は、誰でもすることができ、審査請求期間は出願日から3年(2017年2月28日以前に特許出願された場合には5年)である(特許法第59条)。

(2)早期審査(優先審査)

特許出願が出願公開後、第三者の特許出願された発明の無断実施が認められた場合、または以下の事由に該当する出願について優先審査を申請することができる(特許法第61条)。

 1)防衛産業分野の特許出願

 2)緑色技術(温室ガス減縮技術、エネルギー利用効率化技術、清浄生産技術、清浄エネルギー技術、資源循環および親環境技術(関連融合技術を含む)等、社会・経済活動の全過程にわたり、エネルギーと資源を節約して効率的に 使用し、温室ガス及び汚染物質の排出を最小化する技術を言う)と直接関連した特許出願

 2の2)人工知能またはモノのインターネット(IoT)等、第4次産業革命と関連した技術を活用した特許出願

 3)輸出促進に直接関連する特許出願

 4)国家または地方自治団体の職務に関する特許出願

 5)ベンチャー企業の認定を受けた企業の特許出願

 5の2)技術革新型中小企業として選定された企業の特許出願

 5の3)職務発明補償優秀企業として選定された企業の特許出願

 5の4)知識財産経営認証を受けた中小企業の特許出願

 6)「科学技術基本法」による国家研究開発事業の結果物に関する特許出願

 7)条約による優先権主張の基礎となる特許出願

 7の2)特許庁が「特許協力条約」に基づく国際調査機関として国際調査を遂行した国際特許出願

 8)特許出願人が特許出願された発明を実施しているか、実施準備中である特許出願

 9)電子取引と直接関連した特許出願

 10)特許庁長が外国の特許庁長と優先審査することに合意した特許出願

 11)優先審査の申請をしようとする者が特許出願された発明に関して調査・分類専門機関のうち、特許庁長が定めて告示した専門機関に先行技術の調査を依頼した場合であって、その調査結果を特許庁長に通知するよう、該専門機関に要請した特許出願

 12)65歳以上の者、または健康に重大な異常がある者がした特許出願

※IP5 PPH、グローバルPPH、PCT-PPH等が利用可能である。

 

(3)出願を維持するための料金:不要

関連記事:「韓国における審査官の職権再審査制度」(2018.10.2)

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関連記事:「韓国特許庁の審査体制」(2018.7.3)

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https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/14039/

関連記事:「韓国における審査官との面談(または電話通話)」(2017.7.13)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/13900/

関連記事:「韓国における改正特許審査指針書の概要」(2016.2.23)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/10350/

関連記事:「韓国における特許審査ハイウェイ(PPH)の利用」(2016.1.5)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/10179/

6. 出願から登録までのフローチャート

(1)出願から登録までの特許出願のフローチャート

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(2)フローチャートに関する簡単な説明

ⅰ)特許決定(査定)の謄本を送達するまで明細書または図面を自発補正することができるが、意見提出通知書(拒絶理由通知)が送達された場合には、意見書の提出期間にのみ補正をすることができる(特許法第47条第1項)。

ⅱ)意見提出通知書(拒絶理由通知)に対する意見書提出期限は、通知書の発送日から2か月であるが、4か月までの期間延長を申請することができる。期間延長は1か月単位で4回まで、または、必要であれば4か月を超過しない範囲で2か月以上を一括して申請することができる。さらにまた、やむを得ない事由の発生で4か月を超過して指定期間の延長を受けようとする場合には、その事由を記載した疎明書を添付して延長申請をする必要がある(特許法施行規則第16条、特許・実用新案審査事務取扱規定第23条)。

ⅲ)拒絶決定(査定)謄本の送達を受けた後、補正書を提出し再審査を請求したり(特許法第67条の2)、補正をせずに拒絶決定(査定)不服審判を請求することができる(特許法第132条の17)。再審査を請求した後、再拒絶決定(査定)を受けた場合には、再審査を請求することができず、補正なく拒絶決定(査定)不服審判を請求することができる。

ⅳ)拒絶決定(査定)謄本の送達を受けた日から30日以内に再審査請求または拒絶決定(査定)不服審判を請求することができ、上記期間は30日ずつ2回の期間延長を申請することができる(特許法施行規則第16条)。

ⅴ)特許決定(査定)の謄本を受け取ったら、謄本を受けた日から3か月以内に最初の3年分の特許料を納付しなければならない(特許法第79条、特許料等の徴収規則第8条)。特許料納付期間が経過した後、6か月以内に追納することができるが、追納期間内にも納付しなければ特許出願は放棄したものとみなす(特許法第81条第3項)。

関連記事:「韓国での特許出願における拒絶理由通知に対する対応」(2013.10.8)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/3319/

[権利設定前の争いに関する手続]

 

7. 拒絶決定(査定)に対する不服

特許出願の拒絶決定(査定)に不服がある場合に、特許審判院に拒絶決定(査定)不服審判を請求することができる(特許法第132条の17)。

関連記事:「韓国における特許出願の拒絶査定不服審判請求時の留意点」(2017.9.14)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/2619/

8. 異議申立制度

権利設定前の異議申立制度はない。しかし、特許出願が公開されれば特許出願に関して誰でも拒絶理由に該当し特許されることができないという旨の情報を証拠とともに特許庁長に情報提供することができる(特許法第63条の2)。

9. 上記7の審決に対する不服

特許審判院の審決に対して不服がある場合には、特許法院に訴え(審決取消訴訟)を提起することができる(特許法第186条第1項)。

 また、特許法院の判決に不服がある場合には、判決が法令に違反したことを理由に大法院へ上告することができる(特許法第186条第8項)。

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[権利設定後の争いに関する手続]

 

10. 権利設定後の異議申立

誰でも特許権の設定登録日から登録公告日後6か月になる日まで特許取消事由に該当する場合、誰でも特許審判院に特許取消申請をすることができる(特許法第132条の2第1項)。

特許取消申請の事由は、産業上の利用可能性、国内外の頒布された刊行物等による新規性、進歩性及び先願主義の違反等がある(特許法第132条の2第1項各号)。

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11. 設定された特許権に対して、権利の無効を申し立てる制度(無効審判)

利害関係人または審査官は、設定登録された特許権が無効事由に該当する場合、特許審判院に無効審判を請求することができる(特許法第133条第1項)。

無効事由:特許法第25条、第29条、第32条、第36条第1項から第3項、第42条第3項第1号または第4項、第33条第1項、第44条、第47条第2項前段、第52条第1項、第53条第1項、条約違反

関連記事:「韓国における特許無効審判に関する統計データ」(2018.2.15)

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関連記事:「韓国における特許無効審判に関する制度」(2018.1.9)

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12. 権利設定後の権利範囲の訂正審判

特許権者は、請求の範囲を減縮する場合、誤って記載された事項を訂正する場合、または明確に記載されていない事項を明確にする場合に、明細書または図面について特許審判院に訂正審判を請求することができる(特許法第136条第1項)。

特許取消申請、特許無効審判または訂正の無効審判が特許審判院に係属中である場合には、訂正審判を請求することができないが(特許法第136条第2項)、このときは訂正請求制度を利用して、補正が可能である(特許法第132条の3、第133条の2、第137条第3項及び第4項)。

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13. その他の制度

特許決定(査定)の謄本の送達を受けた日から3か月以内の期間内(特許料納付前)に分割出願が可能である(特許法第52条第1項第3号)。