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フィリピン、ミャンマー、カンボジア、ラオス、ブルネイの特許・実用新案制度比較

国または
地域名
パリ
条約
WTO
協定
PCT PLT 特許法 実用
新案法
公開制度 審査請求
フィリピン × 18月 特許:○(6月)
実案:×
(実体審査無し)
ミャンマー × × × ○(未
施行)
○(未
施行)
18月 特許:〇(36月)
実案:×
(実体審査無し)
カンボジア × × *1
ラオス × 19月 特許:○(32月)
実案:〇(12月)
ブルネイ × × 18月 特許:○(13月)

*1:カンボジアへの直接出願の場合、審査協力機関(日本国特許庁、中国国家知識産権局、欧州特許庁、シンガポール特許庁)への審査請求。請求期限を定める規定は法、規則に見当たらない。

1.パリ条約
 フィリピン、ミャンマー、カンボジア、ラオス、ブルネイの中ではミャンマーのみが未加盟である。しかし、2019年に制定された特許法(未施行)によればパリ条約またはWTO協定の加盟国への出願による優先権が認められるとされる。

関連記事:
「フィリピンにおける優先権主張の手続」(2020.11.05)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19547/
「カンボジアにおける優先権主張の手続」(2020.10.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19536/
「ラオスにおける特許出願制度概要」(2019.07.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17552/
「ブルネイにおける優先権主張の手続(外国優先権)」(2020.09.15)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19466/

関連情報:
「ミャンマー特許法」(2019.03.11)
https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/mm/ip/pdf/laws_201903.pdf

2.WTO協定
 フィリピン、ミャンマー、カンボジア、ラオス、ブルネイのすべてが加盟しており、WTOの規定によるTRIPS協定の義務付けにより、WTO加盟国はパリ条約、PCTに加盟していなくても同加盟国にした出願に基づき優先権を主張して出願することができる。

関連記事:
「ミャンマーの模倣被害に対する措置および対策」(2017.11.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/14265/
「カンボジアにおける特許および実用新案登録を受けることができる発明とできない発明」(2020.08.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19437/
「ラオスにおける知的財産保護を巡る動き」(2020.11.03)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19543/

関連情報:
「世界貿易機関(WTO)」
https://www.soumu.go.jp/g-ict/international_organization/wto/pdf/wto.pdf

3.特許協力条約(PCT)
 フィリピン、ミャンマー、カンボジア、ラオス、ブルネイの中、PCTに加盟していないのはミャンマーのみであり、他の4か国はPCT出願の指定国とすることができる。ミャンマーもWTOには加盟しており、WTO加盟国にした出願については優先権を主張して出願することができる。

関連記事: 
「フィリピンにおける特許出願制度概要」(2019.07.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17565/
「カンボジアにおける特許出願制度概要」(2019.07.09)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17534/
「ラオスにおける特許出願制度概要」(2019.07.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17552/
「ブルネイにおける優先権主張の手続(外国優先権)」(2020.09.15)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19466/

4.特許法条約(PLT)
 フィリピン、ミャンマー、カンボジア、ラオス、ブルネイのいずれもPLTには加盟していない。

5.特許法
 フィリピンでは特許は知的財産法により規定されている。
 ミャンマーでは特許は特許法により規定されているが、未だ施行日が定まっていない。
 カンボジアでは特許は特許法により規定されている。また、違反行為に対する罰則も規定されている。
 ラオスでは特許は知的財産法により規定されているが、別途政令も設けられている。
 ブルネイでは特許は特許令により規定されている。

関連記事: 
「フィリピンにおける特許出願制度概要」(2019.07.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17565/
「ミャンマーにおける知的財産法の制定について(前編)」(2020.07.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19350/
「ミャンマーにおける知的財産法の制定について(後編)」(2020.07.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19352/
「カンボジアにおける特許出願制度概要」(2019.07.09)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17534/
「ラオスにおける知的財産保護を巡る動き」(2020.11.03)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19543/
「ブルネイにおける特許出願制度概要」(2019.10.24)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17830/

6.実用新案法
 フィリピンでは実用新案は知的財産法により規定されている。
 ミャンマーでは実用新案(小発明)は特許法により規定されているが、未施行である。
 カンボジアでは実用新案は特許法により規定されている。
 ラオスでは実用新案(小特許)は知的財産法により規定されている。
 ブルネイには実用新案制度はない。

関連記事:
「フィリピンにおける実用新案登録出願制度概要」(2019.07.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17567/
「カンボジアにおける実用新案出願制度概要(2019.07.11)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17536/
「ラオスにおける実用新案(小特許)制度概要」(2019.07.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17554/

7.公開制度
 フィリピンでは特許は方式審査が終了した後、出願日または優先日から18月で公開される。また、出願日から6月以降であれば早期に公開する制度がある。
 ミャンマーでは特許法が成立したが未施行であり、制度作りが進行中である。条文では特許は出願日から18月で公開される。また、早期公開請求がある。
 カンボジアでは特許は出願公開制度がなく、実体審査の後特許付与となった場合は公報に公告され、特許証の写しが公開される。
 ラオスでは特許は、方式審査通過後、出願日または基礎出願日から19月で公開となる。小特許は、方式審査通過後公開される。
 ブルネイでは特許は出願日または優先日から18月で公告(公開)される。

関連記事:
「日本とフィリピンにおける特許審査請求期限の比較」(2015.08.28)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/9372/
「ミャンマーにおける知的財産法の制定について(後編)」(2020.07.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19352/
「ラオスにおける特許出願制度概要」(2019.07.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17552/
「ラオスにおける実用新案(小特許)制度概要」(2019.0716)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17554/
「カンボジアにおける特許出願制度概要」(2019.07.09)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17534/
「ブルネイにおける特許出願制度概要」(2019.10.24)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17830/

8.審査請求
 フィリピンでは特許は出願公開日から6月以内に審査請求ができる。実用新案は実体審査が行われない。また、早期審査制度があり、PPH、PCT-PPH、PPH Mottainai、ASPECの利用が可能である。
 ミャンマーでは特許法が未施行であるが、特許は出願日から36月以内に審査請求できるとされている。実用新案は実体審査が行われない。
 カンボジアでは特許は通常の実体審査請求の制度はなく、国内直接出願の場合は審査協力機関に審査請求するか、国外での原出願に基づく優先権主張出願が必要である。また、早期審査制度があり、CPG(日本との特許の付与円滑化に関する協力に関する覚書)が利用可能である。
 ラオスでは特許は出願日または優先日から32月以内に審査請求ができる。また、早期審査制度があり、ASPEC、CPGが利用可能である。小特許は出願日から12月以内に審査請求できる。
 ブルネイでは特許は出願日または優先日から13月以内に調査請求、21月以内に審査請求ができる。外国出願、PCT出願については、出願日または優先日から42月以内に審査請求できる。また、早期審査制度があり、ASPEC、PPHプラス(Patent Prosecution Highway Plus)が利用可能である。

関連記事:
「フィリピン知的財産権庁の特許審査体制」(2018.08.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/15666/
「ミャンマーにおける知的財産法の制定について(後編)」(2020.07.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19352/
「カンボジアにおける特許出願制度概要」(2019.07.09)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17534/
「ラオスにおける特許出願制度概要」(2019.07.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17552/
「ラオスにおける実用新案(小特許)制度概要」(2019.07.16)https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17554/
「ブルネイにおける特許出願制度概要」(2019.10.24)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17830/

関連情報:
「特許審査ハイウェイ・プラス(PPHプラス)ガイドラインについて」(2021.01.28更新)
https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/kyoryoku/pph_plus_guideline.html