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日本とインドの意匠出願における実体審査制度の有無に関する比較

日本における意匠出願の審査

 日本において意匠登録を受けるためには、願書、図面を含む出願書類が所定書式を満たしているかどうかの形式的な審査(方式審査)が行われた後、方式審査を通過した出願に対しては、審査官により意匠登録要件を満たしているかどうかの審査(実体審査)が行われる。実体審査において審査される内容は以下の通りである。

  1. 物品の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合であって視覚を通じて美感を起こさせる意匠であること(第2条1項)
  2. 工業上利用できる意匠であること(第3条1項柱書)
  3. 新規性を有する意匠であること。(第3条1項各号)
  4. 創作非容易性を有すること(第3条2項)
  1. 先願意匠の一部と同一または類似の意匠でないこと(第3条の2)
  2. 公序良俗違反でないこと(第5条1号)
  3. 他人の業務に係る物品と混同を生じる恐れがないこと(第5条2号)
  4. 物品の機能確保のために不可欠な形状のみからなる意匠でないこと(第5条3号)
  5. 最先の出願であること(第9条)

条文等根拠:意匠法第16条、第17条

 

日本意匠法 第16条 審査官による審査

 特許庁長官は、審査官に意匠登録出願を審査させなければならない。

 

日本意匠法 第17条 拒絶の査定

 審査官は、意匠登録出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。

 一 その意匠登録出願に係る意匠が第3条、第3条の3、第5条、第8条、第9条第1項もしくは第2項、第10条第1項から第3項まで、第15条第1項において準用する特許法第38条または第68条第3項において準用する同法第25条の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。

二 その意匠登録出願に係る意匠が条約の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。

三 その意匠登録出願が第7条に規定する要件を満たしていないとき。

四 その意匠登録出願人がその意匠について意匠登録を受ける権利を有していないとき。

 

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インドにおける意匠出願の審査

インドにおける意匠登録手続きにおいては、出願書類が提出されると、出願書類が方式要件を具備しているかどうかの方式審査が行われ、方式審査を通過した出願に対しては、実体審査が行われる。

条文等根拠:意匠法第5条、意匠規則第18条

 

また、出願日から6ヶ月以内に意匠出願を登録可能な状態にしなければ、当該出願を放棄したものとみなすというアクセプタンス期間制度が存在する。

条文等根拠:意匠規則第21条

 

インド意匠法 第5条 意匠登録出願

(1)何人かが新規性または創作性のある意匠であって如何なる国においても先に公開されておらず、かつ、公序良俗に反していないものの所有者である旨の主張をして出願したとき、長官は、本法により意匠を登録することができる。 ただし、長官は、当該登録前に、出願について、当該意匠が本法およびそれに基づいて制定された規則により登録できるか否かに関して、第3条(2)により任命された審査官による審査に付託し、当該付託に関する審査官の報告書を検討しなければならない。

(2)(1)による各出願は、所定の様式で行い、かつ、所定の方法で特許庁に提出し、所定の手数料を添えなければならない。

(3)1 意匠は、1 区分に限り登録することができ、意匠を登録すべき区分について疑義がある場合は、長官はその疑義を決定することができる。

(4)長官は、適当と認めるときは、登録のため自己に提出された意匠の登録を拒絶することができる。ただし、その拒絶に対して不服がある者は、高等裁判所に上訴することができる。

(5)出願人の不履行または怠慢による不備のため所定の期間内に登録できなかった出願は、放棄されたものとみなす。

(6)意匠が登録されるときは、登録出願日の時点で登録されたものとする。

 

インド意匠規則 18条 拒絶理由 

(1)法第5条(1)にいう出願に関する審査官の報告書の検討により、長官が何らかの拒絶理由を認め、それが出願人に不利なものであるかまたは出願について何らかの補正を必要とするときは、当該拒絶理由通知書を出願人またはその代理人に送付しなければならず、出願人またはその代理人が庁の拒絶理由通知の日から3ヶ月以内に拒絶理由を解消しまたは聴聞を申請しない限り、出願人は、その出願を取り下げたものとみなされる。

ただし、拒絶理由解消の期間は、出願日から6ヶ月を超えない。出願人またはその代理人は、定められた6ヶ月の期間が満了する前に、付則1の指定手数料を納付して様式18に基づく期間延長を請求することにより、3ヶ月を超えない期間について延長をすることができる。

(2)出願人もしくはその代理人が当該拒絶理由通知書の送付の日から3ヶ月以内に(1)に基づき聴聞を申請したとき、または当該出願人が再出願したか否かを問わず、長官がそうすることが望ましいと認めたときは、長官は、規則21に規定の出願完了のための残存期間に鑑みて聴聞の日付を決定する。

(3)(2)に基づき聴聞が決定したときは、出願人は、当該決定について少なくとも10日の予告または事件の状況下で長官にとり適切と認められる更なる短期の予告により通知されるものとし、出願人は、当該聴聞に出席するか否かを速やかに長官に通知しなければならない。

(4)(1)、(2)および(3)に基づいて必要となる聴聞は、可能なときはいつでも電話により認められ、その後ファクシミリ/Eメールにより詳細が通知される。

(5)出願人を聴聞の後、または出願人が出席しなかったかもしくは聴聞を受けることを望まない旨を通知したときは聴聞なしに、長官は、適切と考えるところに従って、意匠を登録するかまたは意匠の登録を拒絶することができる。

 

インド意匠規則 21条 拒絶理由

所定期間以内の未完了 出願人の怠慢または懈怠により未了となったため出願日から6ヶ月または規則18で規定する延長期間以内に登録することができなかった出願については、放棄されたものとみなす。

 

 

日本

インド

実体審査

の有無

ただし、出願日から6ヶ月以内に意匠出願を登録可能な状態にしなければ、当該出願を放棄したものとみなすというアクセプタンス期間制度が存在する。

 

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 新興国等知財情報データバンク 調査対象国、地域における実体審査制度については、下記のとおりである。

           実体審査制度に関する各国比較 

実体審査の有無

実体審査における新規性審査の有無

実体審査における創作容易性審査の有無

評価書請求の有無

JP

BR

CN

HK

ID

IN

KR

MY

PH

RU

SG

TH

TW

VN