インドにおける特許制度のまとめ-手続編
1. 出願に必要な書類
特許権を受けようとする者は、以下の書類および手数料を提出しなければならない。
(1) 有効出願日を確保するために必要な書類
・願書
・明細書(直接出願の場合、完全明細書または仮明細書。条約出願や国内段階出願の場合、完全明細書)
・発明者である旨の宣言書
・手数料
(2) 必要に応じて提出する書類
・出願権の証拠(出願人が発明者ではない場合)
・委任状(現地代理人に代理権を与える場合)
・外国出願に関する陳述書および誓約書(インド特許出願と実質的に同じ内容の外国出願がある場合)
・優先権書類と、その翻訳文(優先権を主張する場合)
関連記事:「インドにおける特許出願制度概要」(2019.6.13)
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2. 出願の言語
ヒンディー語または英語(特許規則9)。外国語出願制度はない。
3. グレースピリオド
(1) 意に反する公開:出願人から取得され、その者の意に反して発明が公開された場合であって、その公開後、速やかに特許出願が行われた場合、当該発明は新規性を失わない(特許法29条(2)、特許法29条(3))。
(2) 政府への伝達:特許出願に係る発明は、当該発明もしくはその価値を調査するため政府もしくは政府により委任された者に当該発明を伝達した場合であっても、新規性を失わない(特許法30条)。
(3) 博覧会などにおける発表:特許出願に係る発明は、以下の行為が行われても、その最初の発表後12か月以内に特許出願を行った場合に限り、新規性を失わない(特許法31条)。
(i) 中央政府によって官報で指定された博覧会において、真正かつ最初の発明者、または発明者から権原を取得した者の同意を得て行われた発明の展示、またはその開催場所において当該博覧会を目的としてその者の同意を得て行われた発明の実施
(ii) 博覧会における発明の展示または実施の結果としての当該発明の説明の公開
(iii) 発明が博覧会において展示もしくは実施された後、および博覧会の期間中、真正かつ最初の発明者などの同意を得ないで何人かが行った発明の実施
(iv) 真正かつ最初の発明者が学会において発表した論文に記載されまたはその者の同意を得て当該学会の会報に公表した発明の説明
(4) 試験目的の実施:特許出願に係る発明は、特許出願の優先日前1年以内に、出願人またはその同意を得た者が、特許出願に係る発明の適切な試験目的のためにインドにおいて公然と実施したとしても、新規性を失わない(特許法32条)。ただし、発明の内容に鑑み、その試験を公然と実施する合理的必要性があった場合に限る。
(5) 仮出願の後の実施および公開による先発明:仮出願を行った場合、仮出願後、仮明細書に記載された事項がインドで実施され、またはインドまたは他の地域で公開されても新規性を喪失しない(特許法33条)。
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4. 審査
(1) 実体審査
実体審査:あり
審査請求制度:あり(特許法11B条(1))
審査請求期間:出願日(優先日)から48か月以内(特許法11B条(1))
請求人:出願人および利害関係人(特許法11B条(1))
(2) 早期審査(優先審査)
以下の要件のうちのいずれかに該当する場合、早期審査請求を行うことができる(特許規則24C条(1))。
(a) 出願人が国際出願の国際調査機関または国際予備審査機関としてインド特許意匠商標総局(the Office of the Controller General of Patents, Designs & Trade Marks (CGPDTM)、以下「インド特許庁」)を選択したこと
(b) 出願人が、インド国内外を問わず、スタートアップ企業であること(スタートアップ企業の定義:設立から5年以内で、年間売上高が2億5千万ルピー(約3億8千万円)未満の事業体、規則2(fb))
(c) 出願人が小規模団体(small entity)である
(d) 出願人が、全員が自然人であって、そのうち女性が含まれている
(e) 出願人が政府系機関である
(f) 出願人が、中央政府もしくは州政府によって設立された機関であって、中央政府が所有もしくは管理する機関である
(g) 出願人が会社法2013の項目45の2条に定義される「政府系企業」である
(h) 出願人が、政府が実質的に資金を提供している機関である
(i) 政府の要請に基づいて指定された産業に関連する出願である
(j) 出願人がインド特許庁と他国特許庁との合意に従って出願を処理するための資格を有する(いわゆるPPHを申請している)
(3) 出願を維持するための料金
特許権を維持するためには所定の納付期間内に更新手数料を納付しなければならない(特許法53条(2))。
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5. 出願から登録までのフローチャート
(1) 出願から登録までの特許出願のフローチャート
(2) フローチャートに関する簡単な説明
ⅰ) 特許出願の種類は、直接出願(本出願および仮出願)、国際出願、国際出願の国内段階移行出願、パリ条約に基づく条約出願がある。
ⅱ) 特許出願の出願日(優先日)から18か月が経過すると、特許出願は公開される。特許出願は公開される前に取下げることができる。
ⅲ) 審査請求がなされた出願は審査(方式的、実体的)される。審査請求を行わなかった場合、出願は取下げられたものとみなされる。
ⅳ) 審査の結果は、最初の審査報告(FER: First Examination Report)として出願人に通知される。FERの発送日は、拒絶理由解消期間(6か月)の起算日になる。出願人は、拒絶理由解消期間内に、特許出願が許可される状態にしなければならない(特許法21条)。後続の審査報告(SER: Subsequent Examination Report)が発行されても拒絶理由解消期間は延びない。拒絶理由解消期間は、最長3か月延長できる。特許出願が許可される状態にするというのは、すべての拒絶理由を解消するような応答書(意見書、補正書)を提出することを意味する。
ⅴ) 応答書が提出されていればインド特許庁はもう一度審査を行う。拒絶理由があり、拒絶理由解消期間が経過していない場合はSERが出願人に通知され、拒絶理由解消期間が経過している場合で出願人から聴聞申請があれば聴聞通知が出願人に発送される。聴聞が行われた後に、出願人に応答書(意見書、補正書)を提出する機会が与えられる。
ⅵ) 拒絶理由がすべて解消すると、特許査定(Notice of Grant)が通知され、特許公報(Publication of Grant)が発行される、特許証が交付され、設定登録によって特許権が発生する。拒絶理由が残っている場合、拒絶査定(Notice of Refusal)が通知される。
ⅶ) 特許権の存続期間は出願日(優先日)から20年である。特許権をこの存続期間維持するためには、特許権者は、更新手数料を納付しなければならない。
ⅷ) 何人も特許出願に対して、出願公開後、特許権付与前までに付与前異議申立て(特許法25条(1))を請求することができる。付与後異議申立ては、利害関係人が、特許公報発行後、1年以内に請求することができる(特許法25条(2))。
ⅸ) 特許庁の決定、指示、指令に対して不服がある場合、決定、指示、指令の通知日から3か月以内に知的財産審判委員会(IPAB: Intellectual Property Appellate Board)に審判請求を行うことができる(特許法117A条)。
ⅹ) 利害関係人は、所定の無効理由の1つまたは複数に基づいて、特許の取消をIPABに審判請求することができる(特許法64条(1))。
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[権利設定前の争いに関する手続]
6. 拒絶査定に対する不服
出願人は、特許庁の(特許出願を拒絶する)決定に対して不服がある場合、決定の通知日から3か月以内にIPABに審判請求を行うことができる(特許法117A条)。
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7. 権利設定前の異議申立て
何人も特許出願に対して付与前異議申立て(特許法25条(1))を行うことができる。付与前異議申立ては、出願公開後、特許権付与前までに請求することができる。
8. 上記6の判断に対する不服申立て
IPABによる拒絶査定維持の審決に不服がある場合、出願人は、この審決に対して高等裁判所に裁量不服申立て、または最高裁判所に特別許可申請を行うこともできる。IPABによる拒絶査定取消の審決に対して原則として不服を申し立てることはできない。
[権利設定後の争いに関する手続]
9. 権利設定後の異議申立て
利害関係人が、特許公報発行後、1年以内に付与後異議申立てを請求することができる。
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10. 設定された特許権に対して、権利の無効を申し立てる制度
利害関係人が、所定の無効理由の1つまたは複数に基づいて、特許の取消をIPABに審判請求することができる(特許法64条(1))。
関連記事:「インドにおける特許無効手続に関する統計データ(後編:取消請求および訴訟)」(2018.3.15)
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11. 権利設定後の権利範囲の修正
特許出願の願書および明細書などの補正は、特許権付与前はもちろんのこと、特許権付与後においても行うことができる(特許法57条(1))。しかし、拒絶査定がなされた後は補正を行うことができない。明細書の補正は、権利の部分放棄、訂正、または釈明による方法で行わなければならず、事実の挿入を目的とするものでなければならない(特許法59条(1))。
特許権付与後に補正申請が行われた場合、特許庁は、その補正の内容が本質的(実体的)なものか否かを審査し、補正内容が本質的なものである場合、補正申請の内容を公告する(特許法57条(3)、特許規則81条(3)(a))。補正内容が形式的なものである場合でも、管理官の裁量によって公告することもできる(特許法57条(3))。利害関係人は、補正の内容に異議がある場合、補正申請の公告の日から3か月以内に異議申立てを行うことができる(特許法57条(4)、特許規則81条(3)(b))。
12. その他の制度
(1) 外国出願許可(特許法39条)
特許法は、外国へ特許出願を行おうとする「インドに居住する者」に対して、外国出願許可(FFL: Foreign Filing License)の取得を義務付けている。インドに居住する者は、原則として外国出願許可を取得しなければインド国外で特許出願を行い、またはさせてはならない(特許法39条(1))。また、当該発明が国防目的または原子力に関連する判断した場合、特許庁は、中央政府の事前承認なしに外国出願許可を付与できない(同第39条(2))。発明者および出願人の一人でもインドに居住する者であれば本法は適用される。ただし、保護を求める出願がインド国外居住者によりインド以外の国において最初に出願された発明に関しては本法は適用しない(同第39条(3))。外国出願許可の規定に違反した場合、対応するインド特許出願は放棄されたものとみなされ、付与された特許権は無効理由を有する(特許法64条(1)(n))。また、外国出願許可の規定に違反した者は、禁固もしくは罰金に処され、またはこれらが併科される(特許法118条)。
(2) 国内実施報告制度(特許法146条)
インドには、特許発明の商業的実施状況を定期的に報告することを毎年、特許権者および実施権者に義務付ける独自の制度が存在する。排他的権利を有する特許権者に対してインドにおける特許発明の適正な実施を促すための制度である。実施状況の報告を怠ると罰金の対象となり、実施状況の虚偽報告を行った者には罰金刑または禁固刑、またはこれらが併科される。インド特許庁は、実施の状況を公開することができる。インドにおいて適正に実施されていない特許に対して、利害関係人が強制実施権を申請できる。
(3) 拒絶理由解消期間(特許法21条)
特許法においては、所定の期間内(拒絶理由解消期間)に特許出願を特許権付与可能な状態にしなければ、特許出願は放棄されたものとみなされる。拒絶理由解消期間は、最初の審査報告(FER:First Examination Report、日本の拒絶理由通知書に相当)の発送日(The date of issue (dispatch):FERに記載された日)から6か月である(特許法21条、特許規則24B条(5))。
(4) 聴聞(特許法14条)
インドにおいて聴聞(Hearing)は、特許審査手続を構成する重要な手続の1つである。出願人から聴聞の申請があれば、インド特許庁は出願人に不利な決定を行う前に出願人に聴聞を受ける機会を与えなければならない。インド特許庁は職権で聴聞を設定することもできる。出願人は、拒絶理由解消期間内に応答書を提出し、聴聞の申請を行えば、拒絶査定が行われる前に聴聞を受ける機会が出願人に付与され(特許法14条)、拒絶理由解消期間経過後も特許出願をインド特許庁に係属させることができる。
関連記事:「日本とインドの特許の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長に関する比較」(2019.10.31)
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インドにおける特許制度のまとめ-実体編
1. 特許制度の特徴
(1)特許出願を行う権利
特許出願を行う権利は真正かつ最初の発明者にある(特許法6条(1)(a))。真正かつ最初の発明者とは発明を自身で行った自然人である。特許出願を行う権利は譲渡可能な権利である。特許出願を行う権利の譲受人が特許出願を行う場合、この権利が適切に譲渡されたことを示す証拠をインド特許意匠商標総局(the Office of the Controller General of Patents, Designs & Trade Marks (CGPDTM)、以下「インド特許庁」)に提出する必要がある(特許法7条(2))。
(2)不特許事由
特許を受けることができる発明の主題は、製品または方法に係るものであって、特許法3条および4条に掲げられたものに該当しないことが求められる。特許法3条は「特許を受けられない発明(Inventions not patentable)」(不特許事由)を15項目列挙している。特許法4条は原子力に関する発明に特許を付与しないことを規定している。
(3)外国出願許可
特許法は、外国へ特許出願を行おうとする「インドに居住する者」に対して、外国出願許可(FFL:Foreign Filing License)の取得を義務付けている。インドに居住する者は、原則として外国出願許可を取得しなければインド国外で特許出願を行い、またはさせてはならない(特許法39条(1))。また、当該発明が国防目的または原子力に関連すると判断した場合、インド特許庁は、中央政府の事前承認なしに外国出願許可を付与できない(同第39条(2))。発明者および出願人の一人でもインドに居住する者であれば本法は適用される。ただし、保護を求める出願がインド国外居住者によりインド以外の国において最初に出願された発明に関しては本法は適用しない(同第39条(3))。
外国出願許可の規定に違反した場合、対応するインド特許出願は放棄されたものとみなされ、付与された特許権は無効理由を有する(特許法64条(1)(n))。また、外国出願許可の規定に違反した者は、禁固もしくは罰金に処され、またはこれらが併科される(特許法118条)。
(4)関連外国出願に関する情報提供義務
特許法は、インド特許出願と同内容の発明を外国に出願している場合、その関連外国出願の情報をインド特許庁に提供することを、特許出願人に義務付けている(特許法8条)。
(5)拒絶理由解消期間
最初の審査報告(拒絶理由通知)(FER:First Examination Report)が通知されたら、出願人は所定の期間内(拒絶理由解消期間)にすべての拒絶理由を解消するような応答書(意見書、補正書)を提出し、特許出願を特許権付与可能な状態にしなければならない。応答書の提出がなければ、特許出願は放棄されたものとみなされる。拒絶理由解消期間は、FERの発送日から6か月である(特許法21条、規則24B条(5))。
(6)聴聞
インドにおいて聴聞(Hearing)は、特許審査手続を構成する重要な手続の1つである。出願人から聴聞の申請があれば、インド特許庁は出願人に不利な決定を行う前に出願人に聴聞を受ける機会を与えなければならない。インド特許庁は職権で聴聞を設定することもできる。
(7)補正の制限
インドにおいて明細書などの補正に対して厳しい制限がある。特許の権利範囲を定めるクレームの範囲を拡大する補正または発明の技術的特徴を変更するような補正は認められていない。
(8)異議申立制度
瑕疵ある特許権付与を防止するための仕組みとして、付与前異議申立制度(特許法25条(1))と、付与後異議申立制度(特許法25条(2))が規定されている。付与前異議申立制度においては、出願公開後、特許権付与前であれば、何人も、特許出願を拒絶すべきことを陳情することができる。付与後異議申立制度においては、特許権付与の公告後1年の期間が満了するまでの間、利害関係人は、特許権付与に対する異議を申し立てることができる。
(9)特許発明の国内実施報告義務
特許法は、特許発明の商業的実施状況を定期的に報告することを特許権者および実施権者に義務付けている(特許法146条)。特許権者および実施権者に対してインドにおける特許発明の適正な実施を促すための制度である。インド特許庁は、特許権者および実施権者から提供された特許発明の実施状況に関する情報を公開することができる(特許法146条(3))。実施状況の報告を怠ると罰金の対象となり、実施状況の虚偽報告を行った者には罰金刑もしくは禁固刑、またはこれらが併科される(特許法122条)。
(10)強制実施権制度
特許発明に関する公衆の合理的な需要が充足されていないなど、特許権付与の目的に反する状況にある場合、利害関係人の請求により、インド特許庁はこの利害関係人に対して強制実施権を付与することができる(特許法84条など)。また、強制実施権を付与してから2年が経過しても公衆の需要が充足されていない状況が継続している場合、インド特許庁は特許権を取消すことができる。
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2. 発明の保護対象および特許を受けるための要件
特許権による保護対象の発明は、特許要件を満たす必要がある。特許法は、実体的特許要件として次の2つの要件を求めている。第1の要件:「発明」(Invention)であること、第2の要件:「特許性」(Patentability)を有すること。
第1の要件の「発明」要件を満たすためには、「発明」であること、「進歩性」および「産業上利用可能」を有することが要求される。「発明」とは、進歩性を含み、かつ産業上利用可能な、新規の製品または方法をいう(特許法2条(1)(j))。「進歩性」とは、現存の知識と比較して技術的前進を含み、もしくは 経済的意義を有するか、または両者を有し、当該発明を当該技術の当業者にとって非自明とする発明の特徴をいう(特許法2条(1)(ja))。「産業上利用可能」とは、発明が産業において製造または使用することができることをいう(特許法2条(1)(ac))。
第2の要件の「特許性」要件を満たすためには、非技術的発明、他の法律で保護すべき発明、公序良俗に反する発明などの「不特許事由」に該当しないことが要件である(特許法3条、4条)。不特許事由とは、特許出願に係る発明が、インドにおいて特許を受けられない発明(Inventions not patentable)とされる事由をいう。不特許事由は、表1に掲げる事由をいい、これらの事由に該当する発明は、特許法上の発明に該当としない旨を規定している。
表1 | |
根拠条文 | 不特許事由の簡単な説明 |
3条(a) | 取るに足らない発明 |
3条(b) | 公序良俗に反する発明 |
3条(c) | 科学的原理の単なる発見 |
3条(d) | 既知の物質についての新たな形態にかかる発明 |
3条(e) | 物質の成分の単なる混合にかかる発明 |
3条(f) | 既知の装置の単なる配置もしくは再配置または複製にかかる発明 |
3条(h) | 農業または園芸についての方法にかかる発明 |
3条(i) | 内科的または診断的な方法にかかる発明 |
3条(j) | 植物、動物、種子、変種および種の全部または一部にかかる発明 |
3条(k) | コンピュータプログラムそれ自体およびビジネス方法にかかる発明 |
3条(l) | 文学および芸術作品にかかる発明 |
3条(m) | 精神的行為をなすための方法にかかる発明 |
3条(n) | 情報の提示に関する発明 |
3条(o) | 集積回路の回路配置に関する発明(半導体集積回路配置法により保護される) |
3条(p) | 事実上、古来の知識である発明 |
4条 | 原子力に関する発明 |
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関連記事:「インドにおける遺伝資源の利用と特許制度」(2016.4.27)
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3. 職務発明の取り扱い
インド特許法には、日本特許法35条に当たる職務発明規定はない。出願権の帰属、対価などは雇用主と従業員の民法上の契約による。
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4. 特許権の存続期間
(1)特許権の存続期間
特許権の存続期間は出願日から20年である(特許法53条(1))。インド特許法には存続期間の延長制度は設けられていない。特許権の存続期間の起算日は特許出願の種類によって異なる。通常の特許出願(特許法7条)および条約出願(特許法135条)に係る特許権の存続期間はインドにおける実際の出願日から20年、国内移行した国際出願に係る特許権の存続期間は国際出願日から20年(特許法53条(1)ただし書き)、分割出願に係る特許権の存続期間は親出願の出願日から20年である(特許法16条(3))。追加特許権の存続期間は、主発明特許の存続期間と同一である(特許法55条(1))である。
(2)特許権の存続期間の延長制度
インド特許法には存続期間の延長制度は設けられていない。
(3)審査の遅延による存続期間の延長補償
インド特許法には審査の遅延による存続期間の延長補償制度は設けられていない。
(4)特許権の更新
特許権を維持するためには所定の納付期間内に更新手数料を納付しなければならない(特許法53条(2))。更新手数料の納付は登録簿に記録される(規則93)。ただし、追加特許権(特許法54条)については更新手数料の納付は不要である(特許法55条(2))。更新手数料の納付期間を徒過した場合であっても、追加手数料を添えて期間延長の請求を行うことにより、納付期間を最長6か月まで延長することができ、更新手数料を追納することができる(特許法53条(2)、142条(4)、規則80(1A)、第1附則)。
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