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メキシコにおけるハーグ協定に基づく意匠登録制度の概要

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メキシコにおける産業財産権保護法(商標関連)について

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メキシコにおけるライセンス契約に関する留意点

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メキシコにおける未登録周知商標の保護

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メキシコにおける冒認商標出願対応

【詳細及び留意点】

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メキシコにおける特許権侵害訴訟

【詳細及び留意点】

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メキシコにおける指定商品または役務に関わる留意事項

【詳細】

 メキシコでは、新規の商標出願は2段階の審査を受けなければならない。第1段階の方式審査では、指定商品または指定役務の記載について審査が行われ、メキシコ商標審査官は指定商品または役務の分類が正しいかどうかを判断する。この判断のためにメキシコには長年にわたり独自の商品または役務の国内分類が存在していたが、ニース協定が採択されたことにより、現在では「商品およびサービスの国際分類」(ニース国際分類)が採用されている。

 

 メキシコがニース協定の正式加盟国となったのは2001年3月であるが、同協定に定められた商品および役務の国際分類は、1989年以降メキシコの商標制度の通常プラクティスとして採用されており、その後、1994年にはメキシコ産業財産法の施行規則に正式に組み込まれている。

 

 1989年以降、メキシコ産業財産庁(Instituto Mexicano de la Propiedad Industrial:IMPI)による国際分類の解釈および適用は、ニース国際分類が改定される都度変更されてきた。その理由は、時代により進化する商品や役務が正しい分類に属しているかを都度見直すことにより、商標権者が実際の登録の保護範囲に基づき自己の商標権を確実に保護できるようにするためであった。

 

 また、メキシコ産業財産法第93条に基づき、特定の商品または役務の分類について疑義が生じた場合、かかる疑義は最終的にIMPIの判断に従わなければならない点に留意しなければならない。

 

 都度見直されているとはいえ、製造業やサービス業の発展や商品および役務の日々の進化によって、ニース国際分類において想定されていない新しい商品や役務が出現する場合がある。このため全ての商品および役務を正しく分類することは必ずしも容易な作業では無い。

 

 一方、IMPIは数年前、方式審査において、ニース国際分類の商品リストと一致させることに対して厳格な審査基準を定めた。これにしたがって、特定の商品または役務がニース国際分類の商品および役務一覧表に明確に記載されていない場合には、審査官は出願人に当該商品または役務の性質を明確にするよう補正指令を出し、国際分類の商品および役務のアルファベット順一覧表に厳密にしたがって当該商品または役務の記載を補正するよう要求するようになった。

 

 このように厳格な審査基準を適用するIMPIの目的は、商標出願人にニース国際分類の商品および役務一覧表に使われている表現をそのまま用いて指定商品または役務を記載させることである。当然のことながら、この実務は不合理であり、商品および役務を分類する際のひとつの指針となることのみを意図しているニース国際分類の本来の目的にも反している。

 

 さらに、ニース国際分類に定められた商品および役務のアルファベット順一覧表は、体系的な記述であって、制限的なものでないことは明らかであり、いかなる分類システムであっても既存のすべての商品および役務を網羅することは不可能である。だからこそ、ニース国際分類システムは、45の分類それぞれに注釈を設けており、アルファベット順一覧表に明示されていない特定の商品および役務について正しい分類を判断する際の一助として、商品または役務の性質に基づく一定の境界を示そうとしている。

 

 残念ながら、IMPIにより発表されている厳格な分類審査基準は、商標出願の審査に著しい遅延を引き起こしている。また補正指令に対する応答書の提出に要する代理人手数料およびオフィシャルフィーの追加発生で、出願人に必要以上の費用負担をさせている。

 

 知財法律事務所により構成されるメキシコ知的財産権保護協会(AMPPI)は、この実務を改めるよう、IMPIに対して継続的にアプローチしている。

 

 しかし、IMPIによりこの分類審査基準が緩和されるまでは、一般的に、メキシコでの商標出願前に、ニース国際分類の商品および役務のアルファベット順一覧表に可能な限り同じ商品および同じ役務の記載を用いて指定商品を記載することを推奨する。そうすることにより、商標登録を取得するまでの時間と費用が改善される。

 

 最後に特筆すべき点として、メキシコが2013年にマドリッドプロトコルに加盟した結果、この制度を通して提出された国際出願の商品および役務の分類は、世界知的所有権機関(WIPO)により審査されるため、IMPIの厳格な分類審査基準がわずかながらも緩和される方向に進んでいる。しかし、この基準は現時点では相変わらず厳格な状態にあることを念頭に置く必要がある。