インドネシアにおける商標法および特許法の改正動向

【詳細】

 インドネシア政府は、現在、商標法と特許法の改正案を策定中であり、2015年初めには改正案の公聴会が開催される予定である。

 

(1)商標法改正案

 公表されている最新の商標法改正案は2008年版である。改正案における主な変更点は、以下の通りである。

(i)商標出願手続と審査期間:商標出願後、すべての出願はそのまま3ヶ月間の公告期間に付され、当該公告期間中に第三者による異議申立が可能となる。3ヶ月の公告期間が過ぎると、出願は最長6ヶ月間の実体審査に付される(現在は9ヶ月と10日間)

(ii)更新期間が、権利満了日前6ヶ月~権利満了日後6ヶ月に変更される。期間延長は認められない

(iii)三次元商標、ホログラム商標、音声商標、香り商標などの非伝統的商標に対する保護が新たに設けられる

(iv)裁判所から仮差止命令を取得する手順・手続の改善

(v)インドネシア知的財産権総局(Directorate General of Intellectual Property Rights : DGIP)が職権で商標登録を取り消すことを認める規定の削除

(vi)譲渡登録の場合における「連合商標(Association of Marks)」の概念の導入

(vii)マドリッドプロトコルに基づく国際商標の登録出願

 2008年に改正案が発表されてから6年以上が経過している。この間に改正案には修正が加えられたものと考えられ、また今後も修正される可能性がある。改正案は、依然としてDGIPによる見直しや修正作業が継続的に進められており、最終的にどのような改正法が施行されるのかはいまだ不透明である。

 

(2)特許法改正案

 特許法改正案は2012年に公表された。公表された改正案の中で提案されている改正箇所は以下の通りである。

(i)特許出願手続の電子化(電子出願)

(ii)特に医薬関連の国内特許出願の改善・向上を図るため、簡易特許の定義に「組成物」を新たに追加

(iii)政府業務を遂行中の発明者により発明された特許の特許権者は政府機関であるとする表明

(iv)政府機関に属する発明者への報酬の設定

(v)遺伝資源および/または伝統的知識から派生した発明に関して、その明細書中で遺伝資源および/または伝統的知識の出所に言及する義務

(vi)公告期間、実体審査期間に関する特許と簡易特許の公平な取扱いについての取決め

(vii)零細中小企業、研究機関および政府開発の特許権者による特許年金納付に関する追加規定

(iix)伝染病治療を目的として、インドネシア国内で付与された特許がカバーする医薬品を必要とする開発途上国または後発開発途上国の要請に応じて、輸出向けに当該医薬品をインドネシア国内で製造可能とする強制実施権の付与

(ix)仮決定手続の改善

(x)旧来からの医薬品に加え、刑事告訴や民事訴訟による訴追が可能となる並行輸入禁止製品に関する追加規定

 特許法改正案が2012年に発表されてから3年が経過した。特許法改正案についても、この間に改正案には修正が加えられたものと考えられ、また今後も修正される可能性がある。改正案は、依然としてDGIPによる見直しや修正作業が進められており、最終的にどのような改正法が施行されるのかはいまだ不透明である。