インドネシアにおける商標制度のまとめ-実体編
1. 商標制度の特徴
インドネシアの特徴的な商標制度として周知商標が挙げられるので、以下に紹介する。
インドネシアでは、商標登録は先願主義を採用しているが、登録されていない周知商標の商標権も商標局により認められる。未登録の周知商標と類似の商標があった場合、周知商標の所有者は、商標規則第18条に基づき、その商標が周知であることを証明する必要がある。
商標規則第18条によれば、周知商標に該当するか否かの判断基準は、関連する事業分野における商標に関する一般の公衆知識に基づいている。公衆とは、対象の周知商標により保護される商品/サービスの生産、販売促進、流通および販売について公正な関係を維持している消費者または社会一般とされている。
商標規則第18条(3)において、上記周知商標であるかは、以下を考慮して決定される。
1)周知商標の関連するビジネス分野の人々による知識または認知度
2)販売量と利益
3)市場シェア
4)使用分野
5)使用期間
6)投資を含む販売促進に対する強度
7)他の国での登録
8)商標の執行および管轄当局による周知商標としての商標の承認
9)評判と品質保証による固有の価値
商標規則第19条に基づき、異なる商品/サービスにおける周知商標の拒絶の要件は次のとおりである。
1)異議申立
2)周知商標の他の分類での登録
商標法第23条は、公開中に異議申立がない場合、実体審査は公開終了後30営業日以内に終了しなければならないことを規定している。異議申立がある場合は、実質的な審査を90営業日以内*1に終了する必要がある。
*1:雇用創出法第11/2020号による改正により150日から短縮された。
関連記事:
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「インドネシアの商標関連の法律、規則等」(2019.03.28)
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「インドネシアにおける悪意(Bad-faith)の商標出願に関する法制度、運用および判例」(2019.02.07)
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「インドネシアにおける商標権の取得」(2018.11.22)
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「インドネシアにおける商標法および特許法の改正動向」(2016.03.15)
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「インドネシアにおける商標審査基準関連資料」(2016.02.16)
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「インドネシアにおける商標の使用」(2015.10.13)
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「インドネシアにおける産業財産権制度」(2013.09.27)
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「インドネシアにおける知的財産制度」(2013.09.24)
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2. 登録できる商標
商標法第1条によると、「商標とは、個人または法人によって生産された商品/サービスを提供する際、それらの出所を識別させるための標識で、グラフィックイメージ、ロゴタイプ、名称、単語、文字、数字、色の組合せといった平面や立体、音声、ホログラム、またはそれらの要素が2つ以上組合さった形で表示される。」ものである。
また、商標法第2条によると、商標法の範囲は、商品商標、サービス商標、および地理的表示とされる。
第20条
次の商標は登録できない: a. 国家のイデオロギー、法規、道徳規範、宗教、倫理、公序良俗に反するもの; b. 登録対象の商品/サービスと同じ名称、これを説明するもの、又はその単なる言及に過ぎないもの; c. 登録対象の商品/サービスの出所、品質、形式、サイズ、種類、又はその使用目的について、公衆を誤認させる可能性のある要素を含んでいるもの、又は同類の商品/サービスに対し保護対象となっている植物品種の名称。 d. 生産された商品/サービスの品質、便宜又は効能と一致しない情報を含んでいる。 e. 識別性を有する特徴がないもの; f. 一般名称、公有財産の象徴となっているもの; g. 機能的な外観を備えるもの*2 |
さらに、商標法第21条は次のように規定している。
第21条
1) 商標の要部又は全体が、次のいずれかと類似する場合、出願は拒絶される; a. 同類の商品/サービスに関して既に登録又は出願されている、他者の所有する商標; b. 同類の商品/サービスに関して、他者の所有する周知商標; c. 特定の条件を満たす、同じ種類ではない商品/サービスに関して他者の所有する周知商標;又は d. 登録済みの地理的表示 2) 次に該当する商標は拒絶される; a. 有名人の名前、略称、写真又は他者が所有する法人の名称に相当する、又はこれと類似するもの。但し、正当な権利者の書面による同意がある場合を除く。 b. 国家又は国内もしくは国際機関の名称又は略称、旗、紋章、シンボル又は象徴を模倣する、又はこれと類似するもの。但し、管轄当局の書面による同意がある場合を除く; c. 国家又は政府機関によって使用される公的な標識、印章又は証印を模倣する、又はこれと類似するもの。但し管轄当局の書面による同意がある場合を除く。 3) 出願人が悪意をもって提出した商標出願は拒絶される。 4) 1)項 a.~c.までにいう、商標出願の拒絶に関する更なる詳細な規定は、大臣令により定められる。 |
関連記事:
「インドネシアの商標関連の法律、規則等」(2019.03.28)
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「インドネシアにおける商標出願への拒絶理由通知に対する応答」(2018.08.28)
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「インドネシアにおける意匠および商標の冒認出願対策」(2018.08.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/15675/
「インドネシアにおける物品デザインの商標的保護」(2018.06.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/15368/
「インドネシアにおける小売役務の保護の現状」(2018.04.19)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/14892/
3. 商標を登録するための要件
商標法第20条および第21条に違反しない商標を登録することができる。商標を登録するために使用の証拠を提出する必要はない。
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「インドネシアにおける商標出願への拒絶理由通知に対する応答」(2018.08.28)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/15677/
「インドネシアにおける商標の取得」(2015.01.06)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/7531/
4. 商標権の存続期間
商標法第35条に従い、商標の保護は出願日から10年間有効であり、10年ごとの更新が可能である。
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「インドネシアの商標関連の法律、規則等」(2019.03.28)
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「インドネシアにおける産業財産権権利化期間」(2014.11.25)
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