日本と香港における特許分割出願に関する時期的要件の比較
1. 日本における特許出願の分割出願に係る時期的要件
日本国特許法第44条は、下記の(1)~(3)のいずれかの時または期間内であれば、2以上の発明を包含する特許出願の一部を1または2以上の新たな特許出願とすること(分割出願すること)ができることを規定している。
(1) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について補正をすることができる時または期間内(第44条第1項第1号)
なお、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について、補正をすることができる時または期間は、次の(i)~(iv)である。
(i) 出願から特許査定の謄本送達前(拒絶理由通知を最初に受けた後を除く)(第17条の2第1項本文)
(ii) 審査官(審判請求後は審判官も含む。)から拒絶理由通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第1号、第3号)
(iii) 拒絶理由通知を受けた後第48条の7の規定による通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第2号)
(iv) 拒絶査定不服審判請求と同時(第17条の2第1項第4号)
(2) 特許査定(次の(i)および(ii)の特許査定を除く)の謄本送達後30日以内(第44条第1項第2号)
(i) 前置審査における特許査定(第163条第3項において準用する第51条)
(ii) 審決により、さらに審査に付された場合(第160条第1項)における特許査定
なお、特許「審決」後は分割出願することはできない。また、上記特許査定の謄本送達後30日以内であっても、特許権の設定登録後は、分割出願することはできない。また、(2)に規定する30日の期間は、第4条または第108条第3項の規定により第108条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間に限り、延長されたものとみなされる(第44条第5項)。
(3) 最初の拒絶査定の謄本送達後3月以内(第44条第1項第3号)
第44条第1項第3号に規定する3か月の期間は、第4条の規定により第121条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間に限り、延長されたものとみなされる(第44条第6項)。
日本国特許法第44条(特許出願の分割) 特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。 一 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内にするとき。 二 特許をすべき旨の査定(第百六十三条第三項において準用する第五十一条の規定による特許をすべき旨の査定及び第百六十条第一項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から三十日以内にするとき。 三 拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月以内にするとき。 (第2項以下省略) |
2. 香港における特許出願の分割出願の時期的要件
香港における特許出願には、標準特許(R)出願、標準特許(O)出願、短期特許出願があり(香港特許条例(以下「条例」という。)第2条(1))、それぞれの出願について、分割出願することのできる時期的要件が異なる。
(1) 標準特許(R)について分割出願ができる時期
香港における標準特許(R)出願は、香港特許庁に直接出願するものではなく、指定特許庁※に出願された特許出願(指定特許出願)が公開された段階で、香港特許庁へ記録請求手続を行うものである(条例第15条(1))。その後、指定特許出願に対して指定特許庁で特許付与された段階で、その指定特許について香港特許庁へ登録付与請求手続を行うことで香港における標準特許(R)が付与される(条例第23条(1)、条例第27条(1))。
※ 指定特許庁として、以下の3つの特許庁が指定されている(条例第8条)※。
・中華人民共和国国家知識産権局
・欧州特許庁(英国を指定した特許に限る)
・英国特許庁
※香港特許庁ホームページ掲載サイト「Standard patent(R)」の「Designated patent application(指定特許出願)」参照 https://www.ipd.gov.hk/en/patents/faqs/standard-patent-r/index.html
標準特許(R)出願からの分割出願を香港特許庁へ直接行うことはできないが、標準特許(R)出願に対応する指定特許出願が指定特許庁で分割された場合に、その分割指定特許出願の公開日または記録請求公開日(当該標準特許(R)出願(親出願)の香港における公開日)のいずれか遅い方の後6か月以内に、その分割指定特許出願の記録請求(親出願の分割出願に相当)をすることができる(条例第22条(1))。
(2) 標準特許(O)について分割出願ができる時期
標準特許(O)出願とは、2019年に導入された制度であり、香港特許庁に直接行う特許出願をいい、香港特許庁の登録官によって実体審査が行われる(条例第2条(1)、第37A条、第37U条)。
標準特許(O)出願からの分割出願については、香港特許庁に直接行うことができる(条例第37Z条)。標準特許(O)について分割出願できる時期は、標準特許(O)出願(親出願)が登録査定された場合は登録公告の準備が完了する前まで(条例第37Z条(3)(a)(iii))、また標準特許(O)出願(親出願)について拒絶理由通知を受領した場合は、通知の日後2か月以内である(条例第37Z条(3)(a)(iv)、香港特許(一般)規則第31ZS条(2))。なお、標準特許(O)出願(親出願)が取下げられたか、取下げられたとみなされた後は、分割出願をすることができない(条例第37Z条(3)(a)(i),(ii))。
(3) 短期特許出願について分割出願ができる時期
標準特許(R)出願または標準特許(O)出願とは別に、香港特許庁へ直接出願する短期特許出願(日本の実用新案に相当、権利期間は出願から8年)もある(条例第2条(1)、第126条(1))。短期特許出願の場合には、その公開準備が完了する前まで、分割短期特許出願を行うことができる(条例第116条)。
香港特許条例 第22条 分割指定特許出願の場合の記録請求の規定 (1) 標準特許(R)出願において、次に該当する場合は、出願人は、分割指定特許出願の公開日又は本条例に基づく記録請求公開日の何れか遅い方の後6月以内に、登録官に対し、その分割指定特許出願を登録簿に記入するよう請求することができる。 (以下省略) |
香港特許条例 第37Z条 分割標準特許(O)出願 (1) (2)は、次の場合に適用される。 (a) 標準特許(O)出願(先の出願)がなされている場合、および (b) 出願人又は出願人の権原承継人が、(3)に定める条件を満たす新たな標準特許(O)出願をする場合 (2) 第103条(1)に従うことを条件として、 (a) 先の出願の出願日は、新たな出願の出願日とみなされる。また (b) 新たな出願は、優先権の利益を享受する。 (3) 条件は、次の事項である。 (a) 新たな出願が、次の通りなされること (i) 先の出願が取り下げられる前に (ii) 先の出願が取り下げられたものとみなされる前に (iii) 標準特許(O)が先の出願のために付与されている場合は、特許明細書の第37X条 (2)(a)に基づく公開のための準備が完了する前に、または (iv) 先の出願が登録官により拒絶された後所定期間内に、ならびに (b) 新たな出願が、 (i) 先の出願に含まれる主題の何れかの部分に関してなされること、および (ii) 所定の要件を遵守していること |
香港特許条例 第116条 分割短期特許出願 短期特許出願がなされた後、特許明細書の公開の準備が完了する第122条に基づく日付の前に、短期特許の新規出願が、所定の規則に従い原出願人または当該人の権原承継人によりなされた場合であって、出願が次に該当する場合は、当該新規出願は、先の短期特許出願の出願日をその出願日として有するものとして取り扱い、如何なる優先権の利益をも有する。 (a) 先の短期特許出願に含まれる主題の何れかの部分に関するものである場合 (以下省略) |
(条例の他の条文、および香港特許(一般)規則第31ZS条は、【ソース】の規定を参照されたい。)
日本と香港における特許分割出願に関する時期的要件の比較
日本 | 香港 | ||
分割出願の時期的要件(注) | 補正ができる期間 | 標準特許(R)出願 | 分割指定特許出願の公開日または記録請求公開日の何れか遅い方から6か月以内 |
標準特許(O)出願 | ・親出願が、登録査定された場合は、登録公告の準備が完了する前まで ・親出願が、拒絶理由通知を受領した場合は、通知の日後2か月以内 | ||
短期特許出願 | 公開準備が完了する前まで |
日本と香港における特許出願書類の比較
1. 日本における特許出願の出願書類
(1) 出願書類
所定の様式により作成した以下の書面を提出する(特許法第36条第2項)。
・願書
・明細書
・特許請求の範囲
・必要な図面
・要約書
(i) 願書
願書には、特許出願人および発明者の氏名(出願人が法人の場合は名称)、住所または居所を記載する(特許法第36条第1項柱書)。
(ⅱ) 明細書
明細書には、発明の名称、図面の簡単な説明、発明の詳細な説明を記載する(特許法第36条第3項)。
発明の詳細な説明は、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載しなければならない(特許法第36条第4項第1号)。
(ⅲ) 特許請求の範囲
特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない(特許法第36条第5項)。
(ⅳ) 要約書
要約書には、明細書、特許請求の範囲または図面に記載した発明の概要等を記載しなければならない(特許法第36条第7項)。
(2) 手続言語
書面は、日本語で記載する(特許法施行規則第2条1項)。
(3) 手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否
書面は日本語で作成するのが原則であるが、英語その他の外国語(その他の外国語に制限は設けられていない)により作成した外国語書面を願書に添付して出願することができる(特許法第36条の2第1項、特許法施行規則第25条の4)。この場合は、その特許出願の日(最先の優先日)から1年4か月以内(分割出願等の場合は出願日から2か月以内)に、外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない(特許法第36条の2第2項)。ただし、特許法条約(PLT)に対応した救済規定がある(特許法第36条の2第6項)。
(4) 優先権主張手続
外国で最初に出願した日から12か月以内に、パリ条約による優先権の主張を伴う日本特許出願をすることができる(パリ条約第4条C(1))。優先権主張の基礎となる出願の出願国と出願日を記載した書類を、最先の優先日から1年4か月または優先権の主張を伴う特許出願の日から4か月の期間が満了する日のいずれか遅い日までの間に、特許庁長官に提出しなければならない(特許法第43条第1項、特許法施行規則第27条の4の2第3項第1号)。優先権主張書の提出は、特許出願の願書に所定の事項を記載することで、省略することができる(特許庁「出願の手続」第二章第十二節「優先権主張に関する手続」)。また、最先の優先日から1年4か月以内に、特許庁長官に優先権証明書類を提出しなければならない(特許法第43条第2項)。
ただし、日本国特許庁と一部の外国特許庁、機関との間では、優先権書類の電子的交換を実施しており、出願人が所定の手続を行うことで、パリ条約による優先権主張をした者が行う必要がある書面による優先権書類の提出を省略することが可能となっている(特許法第43条第5項)。
<参考URL>
特許庁:優先権書類の提出省略について(優先権書類データの特許庁間における電子的交換について)
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/yusen/das/index.html
2. 香港における特許出願の出願書類
香港における標準特許出願には、標準特許(R)出願と標準特許(O)出願があり(香港特許条例(以下「条例」という。)第2条(1))、それぞれの出願について必要とされる出願書類等が異なる。
2-1. 標準特許(R)出願
香港における標準特許(R)出願は、香港特許庁に直接出願するものではなく、指定特許庁に出願手続きを行い(指定特許出願)、指定特許出願が公開された段階で、香港特許庁に対して「記録請求手続」を行うものである(条例第15条(1))。その後、指定特許出願が指定特許庁により特許付与された段階で、その指定特許に基づき香港特許庁に対して「登録および付与請求」の手続をすることで香港における標準特許が付与される(条例第23条(1)、第27条(1))。
指定特許庁として、以下の3つの特許庁が指定されている(条例第8条)※。
・中華人民共和国国家知識産権局
・欧州特許庁(英国を指定した特許に限る)
・英国特許庁
※香港特許庁ホームページ掲載サイト「Standard patent(R)」の「Designated patent application(指定特許出願)」参照 https://www.ipd.gov.hk/en/patents/faqs/standard-patent-r/index.html
したがって、香港において標準特許(R)の権利化を求める場合は、中国出願、英国出願あるいは欧州出願(英国指定を含む)を行う必要がある。
(1) 出願書類
香港特許庁に対する記録請求手続は、指定特許庁での出願公開日から6か月以内に下記の情報および書類の提出が求められる(条例第15条(1)および(2))。
(i) 指定特許出願と共に公開された説明、クレーム、図面、調査報告または要約を含む、公開された指定特許出願の写し
(ⅱ) 指定特許出願が発明者の名称を含まない場合は、出願人が発明者と信じる者を特定する陳述書
(ⅲ) 請求人の名称および住所
(ⅳ) 請求人が指定特許出願に出願人として記載されている者とは別の場合、標準特許(R)出願の権利を説明する陳述書およびその陳述書を裏付ける所定の書類
(ⅴ) 優先権(条例第11B条)が主張されている場合は、次の詳細を示す陳述書
(a) 主張されている優先日
(b) 先の出願が提出された国
(ⅵ) 指定特許庁の法律の適用上新規性を害さない開示であった発明の先の開示について指定特許庁の法律に従って主張がなされていた場合は、当該先の開示についての所定の詳細を示す陳述書
(ⅶ) 書類送達のための香港における宛先
(2) 手続言語
特許出願は、公用語の一つで行わなければならない(条例第104条(1),(3))。香港の公用語は、中国語と英語である(香港基本法第9条)。
(3) 手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否
指定特許出願の、手続言語へのまたは公用語の一つへの翻訳文は、必要とされない(香港特許(一般)規則(以下「規則」という。)第56条(4))ので、仮に香港特許庁への「記録請求」時に提出される指定特許出願の公開明細書の写し(上記提出書類(i))が手続原語以外で記載されていたとしても、公用語への翻訳文の添付なしで出願日が確保されると解されるが、指定特許庁は、上記2-1.に記載したとおりであるから、指定特許出願は一般的に中国語または英語で指定特許庁に出願されているため、手続原語以外で記載された明細書(写し)をもって香港特許庁に「記録請求」するケースはないと考えられる。
(4) 優先権主張手続
記録請求時における優先権主張の陳述書の提出(条例第15条(2)(e))、および登録付与請求時における優先権主張の裏付け書類の複写の提出(条例第23条(3)(c))を条件として優先権が与えられる(条例第11B条)。指定特許出願が享受する優先日が標準特許(R)出願の優先日とみなされる(条例第11C条)。
2-2. 標準特許(O)出願
標準特許(O)出願とは、2019年に導入された制度であり、香港特許庁に直接行う特許出願をいい、香港特許庁の登録官によって実体審査が行われる(条例第2条(1)、第37A条、第37U条)。
(1) 出願書類
標準特許(O)出願は,次のものを含まなければならない(条例第37L条(2))。
(ⅰ) 標準特許(O)の付与を求める願書
(ⅱ) 次の事項を記載した明細書
・出願の主題である発明の説明
・少なくとも1のクレーム
・説明またはクレームにおいて言及される図面
(ⅲ) 要約
(ⅳ) 新規性を損なわない開示の主張を望む場合は、要求される陳述書および証拠
(ⅴ) 出願人が先の出願の優先権の利用を望む場合、優先権陳述書および先の出願の謄本
(ⅵ) 発明がその実施のために微生物の使用を必要とする場合は、当該微生物の試料を公衆が利用できる可能性に関する情報
(2) 手続言語
特許出願は、公用語の一つで行わなければならない(条例104条(1))。香港の公用語は、中国語と英語である(香港基本法第9条)。
(3) 手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否
特許出願は公用語で行わなければならず、提出する書類が公用語によらない場合は、公用語への翻訳文を含まなければならない(条例第104条(1)、規則第56条(1))。
(4) 優先権主張手続
先の出願の優先権の利用を希望する標準特許(O)出願人は、先の出願の出願日後12か月の期間中、優先権の主張を伴った出願をすることができ(条例第37C条(2)、規則第31C条(1)(b))、優先権陳述書は当該後の出願とともに提出しなければならない(条例第37E条(1)、規則第31C条(3))。ただし、所定の手数料を支払いかつ出願公開の請求が行われていない場合は、優先権陳述書は、主張される最先の優先日後16月以内に提出することができる(条例第37E条(1)、規則第31C条(4),(5))。また、先の出願の謄本は、主張される最先の優先日後16月以内に提出することができる(条例第37E条(1)、規則第31C条(7))。なお、標準特許(O)出願の優先日とは、優先権が主張される先の出願の出願日である(条例第37F条(1))。
日本と香港における意匠権の権利期間および維持に関する比較
1. 日本における意匠権の権利期間
日本における意匠権の権利期間は、出願日から最長25年をもって終了する(意匠法第21条第1項)。ただし、平成19年3月31日までに出願された意匠権は、設定登録日から15年間、平成19年4月1日から令和2年3月31日までに出願された意匠権は、設定登録日から20年間である。
なお、関連意匠の意匠権の権利期間は、その基礎意匠の出願日から25年である(意匠法第21条第2項)。ただし、本意匠および関連意匠の双方が、平成19年3月31日以前の出願の場合は、関連意匠の意匠権の権利期間は、その本意匠の意匠権の設定登録日から15年間であり、本意匠が平成19年3月31日以前の出願で、関連意匠が平成19年4月1日から令和2年3月31日までの出願の場合は、関連意匠の意匠権の権利期間は、その本意匠の意匠権の設定登録日から20年間である。
権利維持を希望する場合は、登録日を年金納付起算日として、2年次分から毎年、年金を支払う必要がある(意匠法第42条第1項、第43条第2項)。
日本意匠法第21条 存続期間 意匠権(関連意匠の意匠権を除く。)の存続期間は、意匠登録の出願の日から25年をもって終了する。 2 関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から25年をもって終了する。 |
意匠法第42条および第43条は、省略(【ソース】の「日本国意匠法」を参照されたい。)。
2. 香港における意匠権の権利期間
香港における意匠権の権利期間は、出願日から最長25年をもって終了する(香港意匠条例第28条第1項、第2項)。
なお、最長25年までの権利維持を希望する場合には、出願日を起算日として、5年ごと(5、10、15、20年次の満了前3か月以内)に年金を支払う必要がある(香港意匠条例第28条第3項)。
香港意匠条例 第28条 登録の存続期間 登録の存続期間 (1) 意匠登録の最初の存続期間は、登録出願の出願日に始まる5年間である。 (2) 意匠登録の存続期間は、各5年の期間追加延長することができる。ただし、登録の全期間が登録出願の出願日に始まる25年を越えることはできない。 (3) 登録意匠の所有者が更に5年間の登録期間の更新を希望する場合は、所定の年金を、現在の登録期間の終了前に納付しなければならない。ただし、現在の登録期間の終了日の直前3月より前であってはならない。 (4) (3)に定める年金納付がされない場合は、当該意匠登録は、現在の登録期間終了時に効力を失うものとする。 (5) (4)に定める期間終了の直後6月の期間内に、年金および所定の追徴金が納付される場合は、当該意匠登録は、効力を失わなかったものとして取り扱われ、したがって、 (a) 当該期間中所有者によりまたは当該人の同意を得て、当該意匠に係る権利に基づきもしくは関してなされる事柄は、効力を有するものとみなされ、 (b) 登録が効力を失っていなかったならば意匠の侵害を構成したであろうと考えられる行為は、かかる侵害を構成するとみなされ、また (c) 登録が効力を失っていなかったならば当該意匠の政府使用を構成したであろうと考えられる行為は、政府使用を構成するとみなされる。 |
日本と香港における意匠権の権利期間および維持に関する比較
日本 | 香港 | |
---|---|---|
権利期間 | 出願日から25年 | 出願日から最長25年 |
権利維持 | 登録日を年金納付起算日として、2年次分から毎年、年金の支払い要 | 出願日を起算日として、5年ごと(5、10、15、20年次の満了前3か月以内)に年金の支払い要 |
香港における産業財産権権利化費用
記事本文はこちらをご覧ください。
香港の商標関連の法律、規則等
香港の商標関連の法律、規則(現地語・英語・日本語)は、以下のとおりである。
No. | 法令名 | 施行日等 | 法律番号等 | 情報元 | URL | 言語 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 香港商標条例 (商標條例) | 2020年6月19日施行* | 2020年第7號 編輯修訂紀錄 | 電子版香港法例 e-Legislation | https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap559!zh-Hant-HK | 中国語(繁) |
https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap559!en?INDEX_CS=N | 英語 | |||||
日本貿易振興機構 (JETRO) | https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/hk/law/pdf/hong_kong-shouhyou_jourei.pdf | 日本語 | ||||
2 | 香港商標規則 | 2020年6月19日施行 | 2015年第3號編輯修訂紀錄 | 電子版香港法例 e-Legislation | https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap559A!zh-Hant-HK | 中国語(繁) |
https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap559A!en?INDEX_CS=N | 英語 | |||||
日本貿易振興機構 (JETRO) | https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/hk/law/pdf/hong_kong-shouhyou_kisoku.pdf | 日本語 |
*香港商標条例の施行日については、日本語版タイトルに2020年12月10日施行とあるが、正しくは、同日本語版81頁 附則7 第1条注記および以下を参照。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/06/b06a8e6bdd902d6e.html
香港における商標公報へのアクセス方法
香港における商標公報は、香港知識産権署のサイトにおいて、公報の発行日ごとにまとめて閲覧することができる。
(1) 香港知識産権署のウェブサイト(https://www.ipd.gov.hk/sc/home/index.html)にアクセスすると図1の画面が表示される。

(2) 図1の画面の赤線で囲んである地球儀マークを選択するとプルダウンメニューが表示され、言語を選択することができる。本稿では、英語版での閲覧方法を紹介する。

(3) 図2の「Trademark」を選択するとメニューが表示され「HK IP Journal」をクリックすると図3の画面が表示される。

(4) 図3の画面上部に、「香港知識産権公報は《商標条例》第73条、《専利条例》第150A条および《登録意匠条例》第84A条に明記されている公報である。」と記載されている。図3の画面の表は、商標、専利、意匠と種別ごとにタブがあり、発行日を分けて表示されている。
香港知識産権公報は、通常、毎週金曜日に公布され、金曜日が祝日である場合、その前日に公布される。
公布日が2024年2月23日の商標公報を例として説明する。図3の画面中の「Feb 2024」の「23Feb」をクリックすると、図4の画面が表示される。

(5) 図4の画面中の「類別」(ニース分類の区分)の中で、調査したい商標の類別番をクリックすると、具体的な内容を閲覧できる。
例えば、1-5類を選択しクリックすると、2024年2月23日に公布された案件の1-5類の公報が画面に表示される(図5)。

香港における特許関連番号フォーマット
1. 香港における公報記載の特許関連番号
HKIPDのデータベースおよび公報に記載される番号の一例を紹介する。
1-1. データベース
(1) 出願番号フォーマット
・2000年1月以前発行分:0+2桁の西暦+4桁の数字(例(出願年が1996年の場合):0960111)
・2000年1月以降発行分:2桁の西暦+6桁の数字+.+1桁の数字(チェックデジット)(例(出願年が2000年の場合):00100037.3)
・2019年12月19日以降発行分:出願種別(2:標準特許(O)、3:短期特許、4:標準特許(R)、6:標準特許(R)PCTルート)+4桁の西暦+6桁の数字+.+1桁の数字(チェックデジット)
(例(出願年が2019年の場合):標準特許(O)):22019000112.7、短期特許:32019000101.8、標準特許(R):42019000002.6)
(2) 公開/登録番号フォーマット
・2000年1月以前発行分:0+2桁の西暦+4桁の数字(例:0960111)
・2000年1月以降発行分:1+2桁の西暦+4桁の数字(例:1000234)
・2019年12月19日以降発行分:HK+出願種別(2:標準特許(O)、3:短期特許、4:標準特許(R))+7桁の番号
(例:標準特許(O):HK20001792、短期特許:HK30011312、標準特許(R):HK40010351)
1-2. 公報
(1) 出願番号フォーマット
データベースと同じ。
(2) 公開公報
番号のあとにAがつく(例:20001792A)。
(3) 登録公報
番号のあとにBがつく(例:20001792B)。
2. 香港知的財産局HKIPDでの検索
(1) 香港知的財産局(Hong Kong Intellectual Property Department)の検索サイト(Online Search System)https://esearch.ipd.gov.hk/nis-pos-view/#/ にアクセスすると図1の画面が表示される。画面上部で使用言語(繁體中文または简体中文またはENGLISH)を変更できる。本記事では英文サイトの使用方法を説明する。

(2) 図1の画面の赤い丸で囲まれている「Search for Patents」をクリックすると図2の画面が表示され、画面下部「私は人間です」の欄の□をクリックすると、図3の画面が表示される。


(3) 図3画面に表示される写真(写真はその都度変更)を指示に従って選択し、「check」ボタンを押し、写真の画面が消えたら、図2の画面が再度表示されるので、画面下部「Accept」ボタンをクリックする。
(4) 「Register of Patents」のトップ画面(図4)では、画面上部赤い丸で囲まれている部分に「Quick Search(簡易検索)」、「Advanced Search(詳細検索)」、「Records Extract List」、の切替えタブがある。

検索項目の詳細説明については、「香港における特許公報の調べ方」(2022.01.13)(https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/21350/)を参照されたい。
検索条件を設定し、「Search」ボタンをクリックすると、検索結果が表示される(図5)。

該当する案件をクリックすると案件の詳細情報が表示される(図6)。

PDFデータベースの表示例を紹介する(図7から図10)。また、図6の赤線で囲んである「Published Documents」をクリックすると明細書や公報が表示される。公報での表示例を紹介する(図11から図14)。








3. Espacenetでの検索
Espacenetの「Advanced Search(詳細検索)」(https://worldwide.espacenet.com/advancedSearch)で検索する際の入力例を紹介する。
(a) 出願番号の検索
Application number(出願番号)の項目に「国コード+西暦4桁(例:2017年の場合2017)+出願番号(数字7桁)」を入力する。

(b) 公報番号での検索
公報番号の場合は「国コード+数字7桁(最大12桁まで)」を入力する。


4. 番号フォーマットまとめ
例1:香港標準特許(O)
種別 | 明細書 | 公報 | 香港知的財産局 データベース | Espacenet |
---|---|---|---|---|
出願番号 | ― | 22019000112.7 | 22019000112.7 | ― |
公開番号 | HK20001792A | 20001792A | HK20001792 | ― |
登録番号 | HK20001792B | 20001792B | HK20001792 | ― |
例2:PCT国内段階移行(CN)に基づく香港標準特許(R)
種別 | 明細書 | 公報 | 香港知的財産局 データベース | Espacenet |
---|---|---|---|---|
出願番号 | PCT/US2015/011839 (元となる出願番号WO,GB,CNなど) | ― | 17102126.4 | HK20170102126 |
公開番号 | CN105916561 B (元となる特許番号GB,CNなど) | ― | HK1228331 | HK1228331(A1) |
登録番号 | ― | 1228331B (HK登録番号) CN105916561B (元となる特許番号GB,CNなど) | HK1228331 | HK1228331(B) |
香港における知的財産の基礎情報(全体マップ)-関連情報編
1. 特許・実用新案・意匠・商標に関連する文献調査
[DB1](DB=データベース)
(1) DBの名称: Patent Search(特許検索) (2) 法域 ☒特許 ☒実用新案 ☐意匠 ☐商標 (3) 主な機能 特許の種類(直接出願、標準、短期)、香港出願番号、香港特許/公開番号、指定特許出願番号、指定特許公開番号、国際特許分類、出願人/所有者の名前、発明のタイトル、連絡先の住所、香港出願日(範囲)、公開日(範囲)、登録日(範囲)、指定特許庁出願日(範囲)などによる特許検索 (4) DB-URL: https://esearch.ipd.gov.hk/nis-pos-view/#/pt/quicksearch?lang=en (5) マニュアル(Help)-URL: https://esearch.ipd.gov.hk/nis-pos-view/#/general/help/pt 言語: ☒公用語 ☒英語 ☐その他の言語 |
[DB2]
(1) DBの名称: Design Search(意匠検索) (2) 法域 ☐特許 ☐実用新案 ☒意匠 ☐商標 (3) 主な機能 登録番号、物品、登録所有者の名前、連絡先の住所、クラスおよびサブクラスなどで登録状況ごとのデザインの検索 (4) DB-URL: https://esearch.ipd.gov.hk/nis-pos-view/#/ds/quicksearch (5) マニュアル(Help)-URL: https://esearch.ipd.gov.hk/nis-pos-view/#/general/help/ds 言語: ☒公用語 ☒英語 ☐その他の言語 |
[DB3]
(1) DBの名称: Trade Mark Search(商標検索) (2) 法域 ☐特許 ☐実用新案 ☐意匠 ☒商標 (3) 主な機能 商標出願番号、商標登録番号、商標の種類(普通、認証、団体、防御的)、商標のテキスト、マークの性質(色、3D、音、匂い、その他)、マークの説明、仕様、出願日(範囲)、登録日(範囲)申請者/所有者、代理人の詳細、連絡先の住所などによる商標検索 (4) DB-URL: https://esearch.ipd.gov.hk/nis-pos-view/#/tm/quicksearch?lang=en (5) マニュアル(Help)-URL: https://esearch.ipd.gov.hk/nis-pos-view/#/general/help/tm?lang=en 言語: ☒公用語 ☒英語 ☐その他の言語 |
関連記事:
「香港における商標公報のアクセス方法」(2020.12.03)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/19603/
「香港における商標公報の調べ方」(2022.01.04)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/21308/
「香港における意匠公報の調べ方」(2014.12.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/7578/
(2024年4月注:本稿作成後、上記記事は更新されています。
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/38688/)
「香港における特許公報の調べ方」(2022.01.13)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/21350/
2. 審決・判例情報
[DB1]
名称: Judiciary – Judgments & Legal Reference 司法機構 – 判決および法律参考資料 言語: ☒公用語 ☒英語 ☐その他の言語 URL: https://www.judiciary.hk/en/judgments_legal_reference/judgments.html |
[DB2]
名称: Trademarks Decisions (Cap. 559) 商標審決(Cap. 559、2003年4月4日以降の申立) URL: https://www.ipd.gov.hk/en/trade-marks/trade-mark-hearings/cap559/index.html 名称: Trademarks Decisions (Cap. 43) 商標審決(Cap. 43、2003年4月4日以前の申立) URL: https://www.ipd.gov.hk/en/trade-marks/trade-mark-hearings/cap43/index.html 言語: ☒公用語 ☒英語 ☐その他の言語 |
関連記事:
「香港における商標の判例の調べ方」(2020.08.13)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/19402/
「香港における意匠の判例の調べ方」(2020.07.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/19321/
「香港における特許・実用新案の審決の調べ方」(2020.06.30)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/19274/
3. 統計情報
統計 (1)
名称: Intellectual Property Database for Guangdong, Hong Kong and Macao – Trade Mark Statistics (HK) 広東、香港、マカオの知的財産データベース–商標統計(HK) 法域 ☐特許 ☐実用新案 ☐意匠 ☒商標 ☐審決 ☐侵害 ☐訴訟 言語: ☒公用語 ☒英語 ☐その他の言語 URL: https://www.ip-prd.net/en/trade-marks/index.html |
統計 (2)
名称: Intellectual Property Database for Guangdong, Hong Kong and Macao – Patent Statistics (HK) 広東、香港、マカオの知的財産データベース–特許統計(HK) 法域 ☒特許 ☒実用新案 ☐意匠 ☐商標 ☐審決 ☐侵害 ☐訴訟 言語: ☒公用語 ☒英語 ☐その他の言語 URL: https://www.ip-prd.net/en/patents/index.html |
統計 (3)
名称: Intellectual Property Database for Guangdong, Hong Kong and Macao – Design Statistics (HK) 広東、香港、マカオの知的財産データベース–意匠統計(HK) 法域 ☐特許 ☐実用新案 ☒意匠 ☐商標 ☐審決 ☐侵害 ☐訴訟 言語: ☒公用語 ☒英語 ☐その他の言語 URL: https://www.ip-prd.net/en/registered-designs/index.html |
統計 (4)
名称: Judiciary Annual Report 司法機構年報 法域 ☒特許 ☒実用新案 ☒意匠 ☒商標 ☐審決 ☐侵害 ☐訴訟 言語: ☒公用語 ☒英語 ☐その他の言語 URL: https://www.judiciary.hk/en/publications/publications.html (各年次の香港司法機構年報には各種の事件の統計情報が掲載される“Caseload, Case Disposal and Waiting Time at Different Court Levels”が含まれている。) |
統計 (5)
名称: Customs and Excise Department – Enforcement Results 香港税関 – 執行結果 法域 ☐特許 ☐実用新案 ☐意匠 ☒商標 ☒著作権 ☐審決 ☐侵害 ☐訴訟 言語: ☒公用語 ☒英語 ☐その他の言語 URL: https://www.customs.gov.hk/en/publications-useful-information/statistics/index.html (著作権および商標事件における税関局の執行に関連する統計は、“Cases, Seizures and Arrests”に記載されている。) |
関連記事:
「香港の知的財産権関連統計へのアクセス方法―取締関係」(2020.10.08)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/19499/
「香港における知財訴訟関連の統計情報のアクセス方法」(2020.09.29)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/19482/
「香港における特許(標準特許)および実用新案(短期特許)の出願・登録に関する統計情報へのアクセス方法」(2020.08.13)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/19404/
「香港における商標出願・登録に関する統計情報へのアクセス方法」(2020.08.13)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/19400/
「香港における意匠出願・登録に関する統計情報へのアクセス方法」(2020.06.30)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/19277/
「香港における特許制度、登録意匠制度、および特許制度の改革、ならびに香港における産業財産権の各種統計」(2018.05.01)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/14981/
「香港における特許無効手続に関する統計データ」(2018.02.15)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/14521/
4. 知的財産関係機関
<知財庁> 名称: Intellectual Property Department 知識産権局 URL: https://www.ipd.gov.hk/eng/home.htm <知財に関係する裁判所> 1.名称: The Judiciary of the Hong Kong Special Administrative Region of the People’s Republic of China 司法機構 URL: https://www.judiciary.hk/en/home/index.html 2.名称: Hong Kong court of final appeal 香港終審法院 URL: https://www.hkcfa.hk/en/home/index.html <弁理士、弁護士等の知財専門家の検索リスト> 名称: The Law Society of Hong Kong 香港律師会(弁護士リスト) URL: https://www.hklawsoc.org.hk/en/ 名称: Hong Kong Bar Association 香港大律師公会(法廷弁護士リスト) URL: https://www.hkba.org/ 名称: Asian Patent Attorneys Association Hong Kong Group アジア弁理士協会香港部会 URL: http://apaa.hk/ 名称: The Hong Kong Institute of Patent Practitioners Limited 香港専利代理人公会 URL: http://www.hipp.org.hk/ 名称: The Hong Kong Institute of Trade Mark Practitioners 香港商標師公会 URL: http://hkitmp.org/ <知的財産関連の支援団体、相談窓口> 名称: Japan External Trade Organization (JETRO) 日本貿易振興機構・香港事務所 URL: https://www.jetro.go.jp/jetro/overseas/cn_hongkong.html 名称: Intellectual Property Department – Links to government agencies and intellectual property organizations in Hong Kong, Mainland China, Macao and Overseas 知識産権局 -香港、中国本土、マカオ、海外の政府機関や知的財産組織へのリンク URL: https://www.ipd.gov.hk/en/tools-resources/links/index.html |
関連記事:
「香港の知的財産関連機関・サイト」(2020.06.04)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/link/18621/
香港における知財裁判外紛争解決手続(ADR)マニュアル
「香港知財ADRマニュアル」(2023年3月、日本貿易振興機構 香港事務所(知的財産権部))
目次
はじめに P.1
第1章 香港のADRをめぐる最近の動きと法制度 P.2
第1節:香港のADRをめぐる最近の動き P.2
香港の法制度の紹介
香港における裁判外紛争解決手続に関する法律
香港の現行仲裁条例
調停条例
謝罪条例
ADRケースの統計
第2節:香港のADRをめぐる法制度 P.13
法規定
適用される機関と機関の規定
知的財産権に関する法律
知的財産に関する香港の法律規定
第3節:香港のADRに関する国際協定 P.17
国際協定
管轄区域を越えた協定
第2章 香港における知財ADRの実施手順 P.18
(裁判外紛争解決手続(仲裁、調停)の概要を実務上の留意点とともに説明している。なお、第4節「ADRと訴訟の比較表」においては、所要期間の目安などが紹介されており、一般的に香港の知財仲裁は18か月以内、調停は2週間から2か月、訴訟は2から3年で完了するとされている。)
第1節:知的財産仲裁 P.20
a. 定義と法理論 P.20
b. 知財紛争を仲裁するメリット・デメリット P.29
c. 仲裁で解決される知的財産案件の種類 P.34
d. 香港の仲裁機関 P.42
e. 香港のADR 関連事例・判決例 P.45
第2節:知財調停 P.47
a. 定義と法理論 P.47
b. 調停の対象となる事件の種類 P.52
c. 香港で調停を行うための手続 P.52
d. 香港の調停機関 P.54
e. 香港の調停関連事例・判決例 P.56
第3節:ドメイン名に関する紛争解決 P.57
a. 定義と法理論 P.57
b. ドメイン名紛争解決のための手続 P.62
c. 香港のドメイン紛争サビスプロバイダ P.63
d. 香港におけるドメイン名関連事例・判決例 P.67
第4節:ADRと訴訟の比較表 P.68
第5節:オンライン紛争解決(Online dispute resolution) P.69
a. 定義と法理論 P.69
b. グローバルな知的財産紛争における各ODR の長所・短所 P.69
c. 各ODRの知的財産権案件の種類 P.70
d. 香港のODR機関 P.70
e. 香港におけるODR関連事例・判決例 P.71
APPENDIX A: 特許案件における主張書面についての仲裁廷による指示のサンプル P.72
第3章 紛争解決条項とADR P.76
(第1節では紛争解決条項を交渉する際の注意点を項目ごとに解説している。第2節では、香港国際仲裁センター(HKIAC)のモデル条項を例として重要な点を説明している。第3節では、日本の当事者が他の当事者と香港での仲裁または調停に合意する際に使用できるモデル条項の例を紹介している。)
第1節:紛争解決条項におけるADRとその交渉 P.76
仲裁地
アドホック仲裁または機関仲裁
仲裁機関の選択
仲裁規則
準拠法
仲裁人の人数
仲裁の言語
仲裁人・調停人に関する要件(例:国籍など)
文書の提出
暫定的救済
緊急仲裁
交渉期限
調停条項
等
第2節:モデル条項 P.94
香港に拠点を置く仲裁機関のモデル条項(リンク先の紹介)
仲裁の範囲について考え方
香港に拠点を置く機関が運営する調停に関するモデル条項(リンク先の紹介)
第3節:モデル条項の例 P.99
推奨される仲裁条項
推奨される調停条項
推奨される段階的な条項
第4章 香港知財 ADRのシミュレーション・シナリオ P.103
(日本企業が直面すると考えられる国際的な知的財産紛争の4つのシナリオを例とし、ADR において最適な判断をするために検討すべき項目を紹介している。)
第1節:シナリオ1 P.103
第2節:シナリオ2 P.106
第3節:シナリオ3 P.109
第4節:シナリオ4 P.113
香港における意匠公報の調べ方
1.検索画面へのアクセス
(1) 香港知的財産局(Hong Kong Intellectual Property Department)の検索サイト(Online Search System、https://esearch.ipd.gov.hk/nis-pos-view/#/?lang=en)にアクセスすると、図1の画面が表示される。画面上部で使用言語(繁體中文or简体中文or ENGLISH)を変更できる。本記事では、英語サイトの使用方法を説明する。

図1:Online Search Systemトップ画面
(2) 図1の画面中、赤線で囲まれている「Search for Designs」をクリックすると、図2の画面が表示される。画面下部の「私は人間です」の欄の□をクリックすると、図3の画面が表示される。

図2:Notice to Usersの画面

図3:画像質問画面例
(3) 図3画面に表示される写真(写真はその都度変更)を指示に従って選択し、「check」ボタンを押し、写真の画面が消えたら、図2の画面が再度表示されるので、画面下部「Accept」ボタンをクリックする。

図4a:Design Search画面
2.検索方法
図4aの示す「Design Search」のトップ画面では、画面上部赤線で囲ってある部分に「Quick Search(簡易検索)」、「Advanced Search(詳細検索)」、「Records Extract List」、の切り替えタブがある。
2-1. Quick Search(簡易検索)
Quick Searchタブに表示される項目は、以下のとおり。
・Status of Registration(登録状況):プルダウンメニューでステータスを選択できる。
〇Ceased(権利喪失)
〇Expired(権利満了)
〇Registered(登録)
〇Removed(取下げ)
〇Revoked(取消し)
〇Surrendered(放棄)
・Article(物品名称)
・Address for Service(代理人住所)
・Date of Entry in the Register(香港知的財産権局への登録情報記録日):数字入力(DD-MM-YYYY)またはカレンダーから日付を選択できる。
・Registration No.(登録番号)
・Registered Owner’s Name(権利者名)
・Class and Sub-class No.(ロカルノ分類およびサブクラス番号)
・Filing Date/Date of Registration(出願日/登録日):数字入力(DD-MM-YYYY)またはカレンダーから日付を選択できる。

図4b:Design Search(More search criteria)画面
「More search criteria(その他の検索条件)」(図4b参照)
・Priority Date(優先権主張日):数字入力(DD-MM-YYYY)またはカレンダーから日付を選択できる。
・Priority Number(優先権主張番号)
・Previous Registration Number(for Association)(先の登録番号(複合))
・Earlier Registration Number(for Division)(最先の登録番号(分割))
・UK Registration Date(英国登録日):数字入力(DD-MM-YYYY)またはカレンダーから日付を選択できる。
・UK Registration Number(英国登録番号)
・Licensee/Mortgagee’s name(実施権者/抵当権者名)
検索条件を設定し、「Search」ボタンをクリックすると、検索結果が表示される(図5)。確認したい案件をクリックすると案件の詳細情報が表示される(図6a~図6c)。

図5:検索結果画面

図6a:案件の詳細情報

図6b:案件の詳細情報

図6c:案件の詳細情報(Renewal Details(更新情報詳細))
図6aの画面上部の赤い丸で囲った箇所をクリックすると、公報のPDFを、操作している機器(PC等)に保存することができる。
2-2. Advanced Search(詳細検索)

図7:Design Search画面(Advanced Search)
検索項目は、「Quick Search」と同一である。「Quick Search」は検索語の前方一致あるいは後方一致検索の際に使用するトランケーション記号(ワイルドカード)の可否のみだが、「Advanced Search」ではドロップダウンリストで以下の検索条件を設定できる(図7)。
・is(同じ):要求された文字と同じ単語を含む結果を検索する。例:“Bottle”、“bottle”
・contains(含む):テキスト文字列内の位置に関係なく、要求された文字を含む結果を検索する。例:“Bottle”、“bottle”、“bottles”および“A bottle opener”
・does not contain(含まない):要求されたテキスト文字列を含まない結果を検索する。
・starts with(始まる):要求された文字で始まる単語を含むレコードを検索する。例:“Bottle of perfume”や“Bottle with cap”
・ends with(終わる):要求された文字で終わる単語を含むレコードを検索する。例:“Perfume bottle”や“A Bottle”
・is between(~の間):指定された範囲に対応するレコードを検索する。
・exists(存在する):選択した基準を含むレコードを検索する。
・does not exist(存在しない):選択した基準を含まないレコードを検索する。
検索条件を設定し、「Search」ボタンをクリックすると検索結果が表示される。
2-3. Extract List(抽出リスト)
検索結果に表示されている各案件のリストにおいて、確認したい案件の□にチェックを入れて(図8の赤線で囲んである部分)、画面上部にある★(星)マーク(緑線で囲んである部分)をクリックすると図9のような確認メッセージ(「Add to extract list」)が表示される。

図8:検索結果画面

図9:「Extract List」への案件追加の確認メッセージ画面
図9のメッセージ画面の「OK」ボタンをクリックすると「Extract List」に案件が追加され、図10の「Records Extract List」タブを選択すると、図11の画面が表示される。

図10:Records Extract Listタブ

図11:Records Extract List詳細画面