インドネシアにおける模倣品流通動向調査
「インドネシアにおける模倣品流通動向調査」(2023年3月、日本貿易振興機構 ジャカルタ事務所)
目次
1. 目的 P.4
2. 調査結果 P.4
(ジャカルタの地区別に衣類、バッグ、装身具、化粧品、スペアパーツ、電子機器等の市場の模倣品販売の調査結果を紹介している。また、大手Eコマースプラットフォーム(Tokopedia、Shopee、LazadaおよびBukalapak)における模倣品流通の調査結果を紹介している。)
2.1 物理的市場の調査 P.4
2.1.2 序論 P.4
2.1.3 業界特有の課題 P.4
2.1.4 模倣品市場に関する情報 – 実地調査 P.5
2.2 オンライン調査 P.20
2.2.1 序論 P.20
2.2.2 模倣品のオンライン市場調査 P.21
3. 最近の政策と主な法改正 P.23
(インドネシアの税関制度の概要、2018年から2023年の間の知的財産に関する法令の改正情報、2022年の知的財産権総局(DGIP)の取組みなどを紹介している。)
3.1 税関 P.23
3.2 IPに関する法令 P.23
3.2.1 オムニバス法 P.23
3.2.3 知的財産権総局による最新情報 P.23
3.3 インドネシアの法規制および関連するテイクダウン規定 P.25
3.4 IPの啓蒙活動と教育プログラム P.26
4. 模倣品取り締まり機関に関する報告 P.27
(2018年から2021までの知的財産侵害事件の件数、2019年から2022年の商標侵害訴訟、著作権訴訟、特許訴訟、工業意匠訴訟の統計情報および訴訟概要(一部案件)を紹介している。)
4.1. 模倣品取り締まりの関連機関およびそれぞれの管轄と権限 P.27
4.2. 過去5年の模倣品事件 P.28
5. インドネシアの市場における模倣品の実態に関する報告 P.34
(インドネシアの主要港湾の位置、入港船舶数、取り扱う貨物の内容や量などを紹介している。また、中国税関が公表した2016年から2021年までの模倣品差押え件数やインドネシア国内での模倣品の組立ての実態を説明している。INTAの2019年報告書によるインドネシアの模倣品の消費者についての分析した内容を解説している。)
5.1 模倣品の流通 P.34
5.2.2 税関チェックポイントでの模倣品の流通量 P.35
5.2 インドネシアにおける模造製品の製造と組立て P.37
5.3 模倣品の消費 P.37
6. インドネシアにおける企業の模倣品対策に関する報告 P.38
(インドネシアにおける模倣品対策(刑事訴訟、民事訴訟、交渉、模倣品防止戦略)について解説している。また、模倣品対策を積極的に実施している企業4社の事例を紹介している。)
6.1 模倣品が発見された際の対策、対策に要する時間とコスト、対策の成否の理由を説明する。また、模倣品が流通している場合の企業に対する助言も紹介する。 P.38
付属書1B:著作権刑事訴訟のフローチャート P.42
付属書1A:商標刑事訴訟のフローチャート P.43
6.2 オンラインの模倣品対策を含め、模倣品対策を積極的に実施している日本、欧州、米国の企業の事例 P.44
付属書 P.45
A. DGIP との会議
B. インドネシア国家警察との会議
C. DGCE との会議
インドネシアにおける意匠公報へのアクセス方法
1.DGIPによる公報の検索
(1) DGIPのウェブサイト(https://dgip.go.id/)にアクセスすると、DGIPのウェブサイトトップページに移動する(図1)。
なお、図1の画面左上の青線で囲んである米国の国旗を選択すると、ウェブサイト表記を英語に変更することができる。また、Google Chromeの機械翻訳を使用すると、画面右下に表示されるチャットアイコンに乱れが生じる場合がある。
以下、英語版で説明する。
図1 DGIPのウェブサイトトップページ(インドネシア語版)
(2) 図1画面の中部「Berita Resmi Kekayaan Intelektual(IP Gazette、知的財産公報)」の緑線で囲んである「Berita Resmi Desain Industri(Industrial Design Gazette、意匠公報)」をクリックすると直近の意匠公報10件が表示される(図2a)。
なお、意匠公報に関する内容は、すべてインドネシア語になる。
図2a Gazette画面
(3) 図2a画面の緑線で囲んであるマーク(眼の形のデザインのアイコン)をクリックすると公報を閲覧することができる(図3aから図3c)。また、オレンジ線で囲んであるマークをクリックすると公報をダウンロードすることができる。なお、Microsoft Edgeを使用している場合、画面表示の言語は右クリックで表示されるプルダウンメニューから「○○語に翻訳」(「〇〇」はMicrosoft Edgeの言語設定により異なる)を選択し、変更することもできる(図3d)。
図3a 公報画面1(公報表紙)
図3b 公報画面2(索引)
図3c 公報画面3(公報詳細)
図3d 画面言語変更(Microsoft Edgeの場合)
2.DGIPによる条件検索
(1) DGIPの提供するデータベースは、全てインドネシア語表記であるが、2023年1月現在、約8万件の意匠が収録されている。まず、DGIPのウェブサイト(https://dgip.go.id/)のウェブサイトトップページにアクセスする(図4)。
なお、図4の画面左上の緑色の線で囲んである米国の国旗を選択すると、ウェブサイト表記を英語に変更することができる。
以下、英語版で説明する。
図4 DGIPのウェブサイトトップページ(英語版)
(2) 赤線で囲んである「Search」(インドネシア語「Penelusuran」)からプルダウンメニューの「IP Data Searching」(インドネシア語「PDKI」)を選択するとデータベース(PDKI)のトップページ「PANGKALAN DATA KEKAYAAN INTELEKTUAL」画面が表示される(図5)。画面レイアウトはウィンドウサイズに応じて下記の画像と異なる場合がある。
なお、表示される画面の項目は、すべてインドネシア語となる。
図5 データベース(PDKI)のトップページ(Microsoft Edgeの場合)
(3) 検索ページはインドネシア語であるが、Microsoft Edgeの場合は、図5の画面表示の言語を右クリックで表示されるプルダウンメニューから緑線で囲んである「〇〇語に翻訳」を選択し、変更することができる。以下、Microsoft Edgeで英語に機械翻訳した例を紹介する。
2-1.簡易検索
図6 検索例
(1) 例えば、PDKIのトップページ画面(図6)の赤線で囲んであるプルダウンメニューから「Industrial Design」(インドネシア語「Desain Industri」)を選択し緑線で囲んである検索欄に「car」と入力し、青線で囲んである「Look for」(インドネシア語「Cari」)をクリックすると検索結果が表示される(図7)。
図7 検索結果
(2) 検索結果(図7)の緑線で囲んである名称をクリックすると、詳細画面が表示される(図8a、図8b)。
赤線で囲んであるステータスの選択肢は以下のとおりである(英語(インドネシア語(日本語))。
・In Progress(Dalam proses(審査中))
・Retracted(Ditarik kembali(取下))
・Cancelled(Dibatalkan(抹消))
・Given(Dibri(登録))
・Migrated(Dimigrasikan(電子化移行中))
・Rejected(Ditolak(拒絶))
・End(Berakhir(権利満了))
青線で囲んである「Search Result By country(Hasil Pencarian Per Negara)」には出願人の国籍別の件数が表示される。絞り込みはできない。
オレンジ線で囲んである「Total Applications(Total Permohonan)」には、特許、意匠、商標、著作権および地理的表示について、データベース内の収録全件数が示される。検索結果とは無関係である。
図8a 詳細画面1
図8b 詳細画面2
詳細情報は以下のとおりである(英語(インドネシア語(日本語))。
・Certificate No.(No. Sertifikat(登録番号))
・Date of Giving(Tgl. Pemberian(登録日)
・Status(Status(ステータス))
・Detail(Detail(詳細))
〇ANNOUNCEMENT NUMBER(NOMOR PENGUMUMAN(公報番号))
〇ANNOUNCEMENT DATE(TANGGAL PENGUMUMAN(公報発行日))
〇APPLICATION NUMBER(NOMOR PERMOHONAN(出願番号))
〇DATE OF RECEIPT(TANGGAL PENERIMAAN(出願日))
〇PROTECTION START DATE(TANGGAL DIMULAI PELINDUNGAN(権利開始日)):出願日と同日
〇PROTECTION END DATE(TANGGAL BERAKHIR PELINDUNGAN)(権利満了日))
〇NUMBER OF CLAIMS((JUMLAH KLAIM)請求項数)
〇NAME OF THE EXAMINER((NAMA PEMERIKSA)審査官名)
・Publication(Publikasi(公報))
〇Publication A(Publikasi A(公開公報))
・Product Usability(Kegunaan Produk(製品の使いやすさ))
・Description of the claim(Deskripsi Klaim(請求項の詳細))
・Class Locarno(Kelas Locarno(ロカルノ分類番号))
・Priority(Prioritas(優先権))
〇NUMBER(NOMOR(優先権番号))
〇DATE(TANGGAL(日付))
〇CITIZENSHIP(KEWARGANEGARAAN(優先権主張国))
・Holder(Pemegang(権利者))
〇NAME(NAMA(名前))
〇ADDRESS(ALAMAT(住所))
〇CITIZENSHIP(KEWARGANEGARAAN(国籍))
・Designers(Pendesain(創作者))
〇NAME(NAMA(名前))
〇ADDRESS(ALAMAT(住所))
〇CITIZENSHIP(KEWARGANEGARAAN(国籍))
・Consultant(Konsultan(代理人))
〇NAME(NAMA(名前))
〇ADDRESS(ALAMAT(住所))
〇CITIZENSHIP(KEWARGANEGARAAN(国籍))
図8aの緑線で囲んであるマークをクリックすると公報のPDFファイルがダウンロードできる。ブラウザーの設定によっては、画面表示される(図9)。
図9 公報画面
2-2.詳細検索(Advance Filter)
(1) 検索画面(図10a)の「Advance Filter」(オレンジの枠部分)をクリックすると詳細検索画面が表示される(図10b)。また、図7の赤の線で囲んであるステータスの選択肢の右側の「Filter」をクリックしても同じ画面が表示される。
図10a 検索画面(図6再掲)
図10b 詳細検索画面
検索条件の項目は以下のとおり(英語(インドネシア語、日本語))。
・By Number(Berdasarkan Nomor(番号検索))
〇Application Number(Nomor Permohonan(出願番号))
〇Announcement Number(Nomor Pengumuman(公開番号))
〇Priority Number(Nomor Prioritas(優先権番号))
・By Text(Berdasarkan Teks(文字検索))
〇Heading(Judul(意匠にかかる物品))
〇Holder’s Name(Nama Pemegang(権利者名))
〇Designer Name(Nama Pendesain(創作者名))
〇Consultant Name(Nama Konsultan(代理人名))
〇Province(Provinsi(地域)):プルダウンメニューから選択する。
・By Period(Berdasarkan Periode(期間検索)):YYYY-MM-DDで数字入力またはカレンダーから日付を選択できる。
〇Date of Grant(Tanggal Pemberian(登録日))
〇Announcement Date(Tanggal Pengumuman(公開日))
〇Protection Start Date(Tanggal Dimulai Perlindungan(権利開始日))
〇Protection End Date(Tanggal Berakhir Perlindungan(権利満了日))
図11 検索例
(2) 例えば図11のように検索条件「Heading」に「battery」、「Date of Grant」の検索範囲を「2021-0101」から「2022-02-28」までを選択し、「Apply Filter(Terapkan Filter(フィルター適用))」をクリックすると検索結果が表示される(図12)。
図12 検索結果
(3) 検索結果の確認方法は「2-1. 簡易検索 (2)」と同様である。
3.WIPO Global Design Databaseによる意匠検索
図13 DGIPのウェブサイトトップページ(英語版)
(1) DGIPのウェブサイトトップページ(https://dgip.go.id/)の「Search(Penelusuran(検索))」のプルダウンメニュー「WIPO」から「Industrial Design(Desain Industri(意匠)」を選択(図13)すると、WIPO検索画面「WIPO Global Design Database」(https://www3.wipo.int/designdb/en/index.jsp)にアクセスする(図14)。Global Design Databaseでは、インドネシア意匠の英語での検索が可能である。
図14 Global Design Databaseトップページ
画面左上の緑線で囲んである「SEARCH BY」欄、右上の赤線で囲んである「FILTER BY」欄が配置されている。検索条件の項目は以下のとおり。
SEARCH BY(検索)
・Design(意匠)
〇Indication of product(製品の表示)
〇Design class(意匠分類):ロカルノ分類、意匠分類(CA)、意匠分類(JP)、意匠分類(US)からの検索が可能である。
〇Description(詳細)
・Names(名称):権利者、創作者、代理人からの検索が可能である。
・Numbers(番号):出願番号、登録番号からの検索が可能である。
・Dates(日付):出願日、登録日、公開日、権利満了日からの検索が可能である(いずれも期間指定可能)。
・Country(国):指定官庁、保有国、出願人締約国による検索が可能である。
・Priority(優先権):優先権主張番号、優先主張日、優先権主張国からの検索が可能である。
FILTER BY(フィルター)
・Source(情報元):データを提供している特許庁が表示されている。
・Status(ステータス):権利状態からの絞り込みが可能である。
・Designation(指定):国の指定が可能である。
・Locarno class(ロカルノ分類)
・Reg.Year(登録年)
上記のほか、「Expiration」、「Holder」のタブを表示させて絞り込むことも可能である。
(2) 例えば、緑線で囲んである「SEARCH BY」、「Indication of product」タブに「Mobile Phone」と入力し「Search」をクリックする。さらに、赤線で囲んである「FILTER BY」の「Source」タブの「ID Designs」を選択し、「filter」をクリックすると、検索結果が表示される(図15)。オレンジ線で囲んである「Sort by」により検索結果の並び替えが可能である。
検索結果をクリアしたい場合、青線で囲んである「CURRENT SEARCH」の検索条件の右上「X」をクリックまたは、右下のごみ箱をクリックする。
図15 検索例
(3) 検索結果を確認したい意匠の欄をクリックすると詳細情報が表示される(図16)。
図16 詳細情報
詳細情報の項目は以下のとおり。なお、意匠によって項目が変わることがある。
・Status(ステータス)
・Application number(出願番号)
・Filing date(出願日)
・Date of the national registration(登録日)
・Expected expiration date of the registration/renewal(登録/更新期限の予定日)
・Description of the characteristic features of the design(s), or matter for which protection is not sought(意匠の特徴また保護を求めない事項の説明)
・Priority Data(優先権情報)
・Class and subclass of the Locarno Classification(ロカルノ分類番号、サブクラス)
・Indication of products(製品の表示)
・Name and address of creator of designs(意匠創作者の氏名および住所)
・Name and address of the holder(s)(権利者の氏名および住所)
・Name and address of representative(代表者の氏名および住所)
・Statement of Novelty(新規性の陳述)
・図面
Global Design Databaseは、英語で検索可能であり、使いやすい検索機能も有するが、DGIPのデータベースと比較すると、収録意匠件数がやや少ない。目的に応じて両者を使い分けるのが良いと考えられる。
インドネシアにおける特許・簡易特許(実用新案)公報のアクセス方法
1.DGIPによる公報の検索
(1) DGIPのウェブサイト(https://dgip.go.id/)にアクセスすると、DGIPのウェブサイトトップページに移動する(図1)。
図1 DGIPのウェブサイトトップページ
(2) 図1画面の中部「Berita Resmi Kekayaan Intelektual(IP Gazette、知的財産公報)」の緑線で囲んである「Berita Resmi Paten(Patent Gazette、特許公報)」をクリックすると直近の公報(特許および簡易特許公報)が10件表示される(図2)。
図2 Gazette画面
図1画面左上の青線で囲んである米国の国旗を選択すると、ウェブサイト表記を英語に変更することができる。また、画面表示の言語は右クリックで表示されるプルダウンメニューから「○○語に翻訳」(「〇〇」はブラウザーの言語設定により異なる)を選択し、変更することもできる(図3)。なお、Google Chromeを使用している場合、画面右下に表示されるチャットアイコンに乱れが生じる場合がある。
以下、英語版で説明する。
図3 画面言語変更(Google Chrome使用の場合)
1-1.Patent Gazette(特許公報(Berita Resmi Paten))
図4 Gazette画面 Patent Gazette選択(図2再掲)
図4画面の緑線で囲んであるマーク(眼の形のデザインのアイコン)をクリックすると特許公報を閲覧することができる(図5a、図5b)。また、オレンジ線で囲んであるマークをクリックすると公報をダウンロードすることができる。
図5a 公報画面1(公報表紙)
図5b 特許公報画面2(公報詳細)
1-2.Simple Patent Gazette(簡易特許公報(Berita Resmi Paten))
図6 Gazette画面 Simple Patent Gazette選択(図2再掲)
(1) 図6画面の緑の線で囲んであるマーク(眼の形のデザインのアイコン)をクリックすると簡易特許公報を閲覧することができる(図7a、図7b)。また、オレンジの線で囲んであるマークをクリックすると公報をダウンロードすることができる。
図7a 公報画面1(公報表紙)
図7b 簡易特許公報画面2(公報詳細)
2.DGIPによる条件検索
(1) DGIPの提供するデータベースは、全てインドネシア語表記である。DGIPのウェブサイト(https://dgip.go.id/)にアクセスするとDGIPのウェブサイトトップページが表示される(図8)。
図8 DGIPのウェブサイトトップページ(図1再掲)
(2) 図8の画面左上の緑色の線で囲んである米国の国旗を選択すると、ウェブサイト表記を英語に変更することができる。赤い線で囲んである「Search」(インドネシア語「Penelusuran」)からプルダウンメニューの「IP Data Searching」(インドネシア語「PDKI」)を選択するとデータベース(PDKI)のトップページ「PANGKALAN DATA KEKAYAAN INTELEKTUAL」画面が表示される(図9)。画面レイアウトはウィンドウサイズに応じて下記の画像と異なる場合がある。
図9 データベース(PDKI)のトップページ
(3) 図9の赤線で囲んであるプルダウンメニューから「Paten」を選択すると図10が表示される。
(4) 図10の画面表示の言語は、右クリックで表示されるプルダウンメニューから緑線で囲んである「〇〇語に翻訳」を選択し、変更することができる。以降、Microsoft Edgeを使用した場合の例を紹介する。
図10 データベース(PDKI)のトップページ 言語変更(Microsoft Edge使用の場合)
2-1.簡易検索
出願番号、登録番号(完全一致)あるいは発明の名称または要約書中の文字列に含まれる単語は簡易検索可能である。図11の緑線で囲んである欄に番号または文字列を入力すると検索結果が得られる。AND検索も可能である。出願番号等は、データベースに登録されている番号と完全一致の場合にのみ検索可能である。先頭のアルファベットの省略は不可である(入力例:P00201502200(出願番号)、IDP000075121(特許番号))。また、発明の名称はインドネシア語だが、要約書は大半の案件でインドネシア語に加えて英語が存在し、英語入力で要約書中の文字列が検索可能である。
図11 検索例
(1) 例えば、PDKIのトップページ画面(図11)の「Paten」の緑線で囲んである検索欄に「P00201502200」と入力し、青線で囲んである「Look for」(インドネシア語「Cari」)をクリックすると検索結果が表示される(図12)。
図12 検索結果
(2) 検索結果(図12)の緑線で囲んである名称をクリックすると、詳細画面が表示される(図13a、図13b)。
図12の赤線で囲んであるステータスの選択肢は以下のとおりである(英語(インドネシア語、日本語))。
・In Progress(Dalam proses(審査中))
・End(Berakhir(権利満了))
・Given(Diberi(登録)
・Retracted(Ditarik Kembali(取下))
・Deleted(Dihapus(取消))
・Migrated(Dimigrasikan(電子化移行中))
・Rejected(Ditolak(拒絶))
図12の青線で囲んである「Search Result By country(Hasil Pencarian Per Negara)」には検索結果の出願人の国別の件数が表示される。絞り込みはできない。
図12のオレンジ線で囲んである「Total Applications(Total Permohonan)」には、特許、商標、意匠、著作権および地理的表示について、データベース内の収録全件数が示される。検索結果とは無関係である。
図13a 詳細画面1
図13b 詳細画面2
詳細情報(図13)は以下のとおりである(英語(インドネシア語(日本語))。
・No. Patent(No. Paten(特許番号))
・Date of Giving(Tgl. Penaftaran(登録日)
・Status(Status(ステータス))
・Abstract(Abstract(要約))
・Detail(Detail(詳細))
〇ANNOUNCEMENT NUMBER(NOMOR PENGUMUMAN(公報番号))
〇ANNOUNCEMENT DATE(TANGGAL PENGUMUMAN(公報発行日))
〇APPLICATION NUMBER(NOMOR PERMOHONAN(出願番号))
〇DATE OF RECEIPT(TANGGAL PENERIMAAN(出願日))
〇PROTECTION START DATE(TANGGAL DIMULAI PELINDUNGAN(権利開始日)):出願日と同日
〇PROTECTION END DATE(TANGGAL BERAKHIR PELINDUNGAN)(権利満了日))
〇NUMBER OF CALIM(JUMLAH KLAIM(請求項数))
〇NAME OF EXAMINER(NAMA PEMERIKSA(審査官名))
・Publication(Publikasi(公報))
〇Publication B(Publikasi B(特許公報)):この項目は案件によって表示されない場合がある。
・Priority(Prioritas(優先権))
〇NUMBER(NOMOR(優先権番号))
〇DATE(TANGGAL(優先日))
〇CITIZENSHIP(KEWARGANEGARAAN(優先権主張国))
・IPC(IPC(特許分類番号))
・Patent Holder(Pemegang Paten(特許権利者))
〇NAME(NAMA(名前))
〇ADDRESS(ALAMAT(住所))
〇CITIZENSHIP(KEWARGANEGARAAN(国籍))
・Inventor
〇NAME(NAMA(名前))
〇ADDRESS(ALAMAT(住所))
〇CITIZENSHIP(KEWARGANEGARAAN(国籍))
・Last Maintenance Payment(Pembayaran Pemeliharaan Terakhir(最終維持年金納付))
〇YEAR OF LAST PAYMENT(TAHUN PEMBAYARAN TERAKHIR(最終納付年)
〇PAY DATE(TANGGAL BAYAR(支払い日))
〇NOMINAL(NOMINAL(名目)):金額が表示されている。
・Consultant(Konsultan(代理人))
〇NAME(NAMA(名前))
〇ADDRESS(ALAMAT(住所))
〇CITIZENSHIP(KEWARGANEGARAAN(国籍))
図13aPublicationの横にダウンロードマークが表示される案件がある。そのマークをクリックすると公報のPDFファイルがダウンロードされる。ブラウザーの設定によっては、画面表示される(図14)。
図14 公報画面
2-2.詳細検索(Advance Filter)
図15 検索画面(図11再掲)
(1) 検索画面(図15)のオレンジ線で囲んである「Advance Filter」をクリックすると詳細検索画面が表示される(図16)。また、図12の赤線で囲んであるステータスの選択肢の右側の「Filter」をクリックしても同じ画面が表示される。
図16 詳細検索画面
検索条件の項目は以下のとおり(英語(インドネシア語、日本語))。
・By Number(Berdasarkan Nomor(番号検索))
〇Application Number(Nomor Permohonan(出願番号))
〇Patent Number(Nomor Paten(特許番号))
〇Announcement Number(Nomor Pengumuman(公開番号))
〇IPC class(Kelas IPC(特許分類番号)):IPC分類番号を入力する。
〇Priority Number(Nomor Prioritas(優先権番号))
・By Text(Berdasarkan Teks(文字検索))
〇Title of Invention(Judul Invensi(発明の名称))
〇Inventor Name(Nama Inventor(発明者名))
〇Consultant Name(Nama Konsultan(代理人名))
〇Abstract(Abstrak(要約)
〇Name of Patent Holder(Nama Pemegang Paten(特許権利者名))
〇Province(Provinsi(地域)):プルダウンメニューから選択する。
・By Period(Berdasarkan Periode(期間検索)):YYYY-MM-DDで数字入力またはカレンダーから日付を選択できる。
〇Application Year(Tahun Permohonan(出願年))
〇Announcement Date(Tanggal Pengumuman(公開日))
〇 Date of Grant(Tanggal Pemberian(登録日))
〇Protection Start Date(Tanggal Dimulai Perlindungan(権利開始日))
〇Protection End Date(Tanggal Berakhir Perlindungan(権利満了日))
図17 検索例
(2) 例えば図17のように検索条件を緑線で囲んであるようにステータスを「Given(登録)」、「Name of Patent Holder(特許権利者名)」を「Pfizer」、「 Application Year(出願年)」を「2014」と設定し、赤線で囲んである「Apply Filter(Terapkan Filter(フィルター適用))」をクリックすると検索結果が表示される(図18)。
図18 検索結果
(3) 検索結果の確認方法は「2-1. 簡易検索 (2)」と同様である。
インドネシアにおける商標異議申立制度
インドネシアにおいて、商標出願に対する異議申立は、「商標及び地理的表示法」第20/2016号第14条、第15条、第16条および第17条に規定されている。以下に述べる異議申立手続は、2016年11月25日から実施されている。
法律第11/2020号による改正(以下、「商標法2020」)により、これまでの実体審査が公開期間終了後30日以内に開始され、150日以内に完了とされていたものが、公開期間終了時に開始され、異議のない出願については30日以内、異議のあった出願については90日以内に終了しなければならないとされた。
異議申立は、商標出願の公告期間中に提起することができる。商標法2020第13条に従い、商標出願は全ての方式要件を満たした時点で出願日が付与される。法定の公告期間は、遅くとも出願日の15日後から始まる2か月間である。
商標出願が認可されると、インドネシア知的財産総局(Directorate General of Intellectual Property Rights;以下、「DGIP」)は商標公報およびDGIPのウェブサイトにおいて出願を公告する。公告は、2か月間にわたり実施される。
商標法2020第16条(1)項に従い、上記の公告期間中に、何人も、DGIPに書面による異議申立を提起することができる。異議申立の際には、オフィシャルフィーを支払わなければならない。
異議申立の際に要求されるオフィシャルフィーは、法務人権省(Ministry of Justice and Human Rights Affairs)内で適用される非課税収益の種類および料金に関する政令第28/2019号に定められており、金額は商標出願1件につき100万ルピアである。
1.異議申立の理由
異議申立の理由は、商標法2020に下記のように規定されている。
(1) 商標法2020第20条
次の商標は登録できない: a. 国家のイデオロギー、法規、道徳規範、宗教、倫理、公序良俗に反するもの; b. 登録対象の商品/サービスと同じ名称、これを説明するもの、又はその単なる言及に過ぎないもの; c. 登録対象の商品/サービスの出所、品質、形式、サイズ、種類、又はその使用目的について、公衆を誤認させる可能性のある要素を含んでいるもの、又は同類の商品/サービスに対し保護対象となっている植物品種の名称。 d. 生産された商品/サービスの品質、便宜又は効能と一致しない情報を含んでいる。 e. 識別性を有する特徴がないもの; f. 一般名称、公有財産の象徴となっているもの; g. 機能的な形態が含まれているもの。 |
2020年の改正により、機能的な形態が含まれる標章の商標登録ができないとされた。
(2) 商標法2020第21条
1) 商標の要部又は全体が、次のいずれかと類似する場合、出願は拒絶される; a. 同類の商品/サービスに関して既に登録又は出願されている、他者の所有する商標; b. 同類の商品/サービスに関して、他者の所有する周知商標; c. 特定の条件を満たす、同じ種類ではない商品/サービスに関して他者の所有する周知商標;又は d. 登録済みの地理的表示 2) 次に該当する商標は拒絶される; a. 有名人の名前、略称、写真又は他者が所有する法人の名称に相当する、又はこれと類似するもの。但し、正当な権利者の書面による同意がある場合を除く。 b. 国家又は国内もしくは国際機関の名称又は略称、旗、紋章、シンボル又は象徴を模倣する、又はこれと類似するもの。但し、管轄当局の書面による同意がある場合を除く; c. 国家又は政府機関によって使用される公的な標識、印章又は証印を模倣する、又はこれと類似するもの。但し管轄当局の書面による同意がある場合を除く。 3) 出願人が悪意をもって提出した商標出願は拒絶される。 4) 1)項a項~c項までにいう、商標出願の拒絶に関する更なる詳細な規定は、大臣令により定められる。 |
2.異議申立の内容
商標法2020第16条(2)項に従い、異議申立は、十分な理由と共に、出願商標が商標法2020に基づき登録されるべきではない、または拒絶されるべきであることを証明する証拠を提出することができる。
異議申立は、異議理由を示す異議申立書に異議理由を裏付ける証拠を添付して提出される。異議申立を提出する際に必要な証拠の量に関する規定は存在しない。異議申立時に提出されなかった追加の証拠がある場合、異議申立人は、異議申立日から2週間以内であれば追加証拠を提出することができる。
商標法2020第16条
1) 第14条にいう公告期間中、何人もそれぞれ大臣宛の書面で手数料を支払い、当該の出願に異議を申立てることができる。 2) 1)項にいう異議申立ては,出願されている商標が本法に基づき、登録不可能又は拒絶されるべきであることが、証拠を伴う十分な理由がある場合に申立てることが出来る。 3) 1)項にいう異議申立てがあった場合,異議申立受理日から起算して14日間以内に,当該異議申立書の写しが出願人又は代理人宛に送達される。 |
3.異議申立の手続期間
商標法2020第16条(3)項に従い、異議申立が提出されると、DGIPは異議申立を受領した日から遅くとも14日以内に、異議申立書の写しを出願人に送付する。
出願人は、DGIPから送付された異議申立書の写しの送達日から2か月以内に、異議申立に対する答弁書を提出することができる(商標法2020第17条(2)項)。
商標法2020に定められた異議申立手続は、3つの段階からなる。第1段階は異議申立人による異議申立書の提出であり、第2段階は出願人による答弁書の提出であり、最後の段階はDGIPにより下される異議決定である。さらに、異議申立人および出願人は、異議申立書または答弁書について説明するために、DGIPにヒアリングを要求することができる。ヒアリングはDGIPにおいて行われる。
DGIPは、答弁書の提出期限から1か月以内に、当該出願の実体審査において、異議申立書および答弁書を審査資料として検討する(商標法2020第23条(2)項および(4)項)。
DGIPは、公告期間の満了日もしくは答弁書提出期限から、異議のない場合は30営業日以内に、異議のあった場合は90営業日以内に、当該出願の実体審査を完了する。
審査官が実体審査の結果、商標出願を認可できないと判断した場合、DGIPは出願人に対し、当該出願は登録できない、または拒絶される旨を書面で通知する。その場合、出願人は、当該通知の送達日から30日以内に応答する機会を与えられる(商標法2020第24条(3)項)。
審査官が実体審査の結果、商標出願を認可できると判断した場合、当該出願は商標登録簿に登録される(商標法2020第24条1)項)。
DGIPは、実体審査の結果について、異議申立人にも書面で通知する。
商標法2020第17条
1) 出願人又は代理人は、第16条にいう異議申立てに対する答弁書を提出する権利を持つ。 2) 1)項にいう答弁書は、大臣によって異議申立書の写しが送達された日付から起算して2カ月間以内に書面で提出されること。 |
商標法2020第23条
1) 実体審査とは、商標登録出願に対し、審査官が行う審査である。 2) 第16条及び第17条にいう異議申立て又は答弁は全て、1)項にいう実体審査において考慮対象とされる。 3) 公告期間満了日までに異議申立が提起されなかった場合、出願の実体審査が実施される。 4) 3)項にいう実体審査は、30日以内に完了するものとする。 5) 第17条にいう答弁書の提出期限最終日から起算して30日以内に、異議申立てが提起された場合、出願の実体審査が実施される。 6) 5)項にいう実体審査は、最長で90日以内に完了するものとする。 7) 実体審査実施のための必要に応じて、審査官以外の商標審査専門家を配置することが出来る。 8) 7)項にいう商標審査専門家によって行われた実体審査結果は、大臣の承認によって、審査官によって行われた実体審査結果と同等とみなすことが出来る。 |
商標法2020第24条
1) 審査官が、出願を登録可能であると決定すると、大臣は: a. 当該商標を登録する; b. 当該商標が登録されたことを出願人又は代理人に通知する; c. 商標証書を発行する;及び d. 当該商標の登録を、電子及び非電子媒体の商標官報上で公表する。 2) 審査官が、出願を登録不可能である又は拒絶すると判断した場合、大臣は出願人又は代理人に、拒絶理由通知書を送る。 3) 出願人又は代理人は,2)項にいう通知書を受け取った日付から30日以内に,その応答の理由を記載した応答書を提出することが出来る。 4) 出願人又は代理人が、3)項にいう応答書を提出しなかった場合、大臣は当該出願の拒絶を決定する。 5) 3)項にいう応答書を出願人又は代理人が提出し、審査官がその応答書を検討可能であると判断した場合、大臣は1)項に記載した規定を実施する。 6) 出願人又は代理人が3)項にいう応答書を提出し、審査官がそれを検討不可能であると判断した場合、大臣はその出願の拒絶を決定する。 7) 4)項及び6)項にいうような拒絶は、その理由を記載した文書により、出願人又は代理人に通知される。 8) 第16条にいう異議申立てのある場合、大臣は登録又は拒絶の通知書の写しを、当該異議申立の提起者宛てに送達する。 |
4.異議申立の取下げ
異議申立人は、審査官が出願の実体審査結果を決定する前であれば、DGIPに対して、異議申立の取下げ書を提出することができる。異議申立を取下げる一般的な理由としては、異議申立人と出願人との間で、商標譲渡契約、共存合意契約などを締結した場合が挙げられる。
5.審査官の拒絶査定に対する不服
審査官の拒絶査定に対して不服がある場合、出願人は、商標審判委員会に審判請求を提起することができ、その写しは、オフィシャルフィーの支払いをもってDGIPに送付される(商標法2020第28条2)項)。
商標法2020第28条
1) 第20条又は第21条にいうような理由に基づく出願の拒絶査定に対しては、審判請求を提出することが出来る。 2) 審判請求は有料で、出願人又は代理人から商標審判委員会宛に書面を提出し、その写しは大臣に届けられる。 3) 審判請求書は、拒絶査定に対する不服の理由を添え、完全に説明した上で提出すること。 4) 3)項にいう理由は拒絶された出願を改善又は補足するためのものではないこと。 |
審判請求書は、出願の拒絶査定の送達日から3か月以内に提出しなければならない(商標法2020第29条(1)項)。
商標法2020第29条
1) 拒絶された出願に対する審判請求は、拒絶査定の送達日から数えて90日以内に提出されること。 2) 1)項にいう審判請求が提出されなかった場合は、拒絶査定が出願者により受入れられたものとみなされる。 |
なお、異議申立以外に、関連当事者は商事裁判所に取消訴訟を提起することができる(商標法2020第76条)。
商標法2020第76条
1) 商標登録の取消訴訟は、第20条又は第21条にいう事由に基づき、関連当事者によって提訴することが出来る。 2) 登録されていない商標の所有者は、大臣宛に商標登録の出願を行った後、1)項にいうような訴訟を提訴することが出来る。 3) 登録商標所有者に対する取消訴訟は、商事裁判所に提訴する。 |
インドネシアにおける商標公報へのアクセス方法
1.DGIPによる公報の検索
(1) DGIPのウェブサイト(https://dgip.go.id/)にアクセスすると、DGIPのウェブサイトトップページに移動する(図1)。
図1 DGIPのウェブサイトトップページ
(2) 図1画面の中部「Berita Resmi Kekayaan Intelektual(IP Gazette、知的財産公報)」の緑の線で囲んである「Berita Resmi Merek(Trademark Gazette、商標公報)」をクリックすると直近の商標公報10件が表示される(図2a)。なお、図1の画面左上の青い線で囲んである米国の国旗を選択すると、ウェブサイト表記を英語に変更することができる。以下、英語版で説明する。
図2a Gazette画面
(3) 図2a画面の緑の線で囲んであるマーク(眼の形のデザインのアイコン)をクリックすると公報を閲覧することができる(図3aから図3c)。また、オレンジの線で囲んであるマークをクリックすると公報をダウンロードすることができる。なお、Google Chromeを使用している場合、画面表示の言語は右クリックで表示されるプルダウンメニューから「○○語に翻訳」(「〇〇」はChromeの言語設定により異なる)を選択し、変更することもできる(図3d)が、画面右下に表示されるチャットアイコンに乱れが生じる。
図3a 公報画面1(公報表紙)
図3b 公報画面2(索引)
図3c 公報画面3(公報詳細)
図3d 画面言語変更
2.DGIPによる条件検索
(1) DGIPの提供するデータベースは、全てインドネシア語表記であるが、収録商標数は最多である。DGIPのウェブサイト(https://dgip.go.id/)にアクセスするとのDGIPのウェブサイトトップページに移動する(図4)。
図4 DGIPのウェブサイトトップページ
(2) 図4の画面左上の緑色の線で囲んである米国の国旗を選択すると、ウェブサイト表記を英語に変更することができる。赤い線で囲んである「Search」(インドネシア語「Penelusuran」)からプルダウンメニューの「IP Data Searching」(インドネシア語「PDKI」)を選択するとデータベース(PDKI)のトップページ「PANGKALAN DATA KEKAYAAN INTELEKTUAL」画面が表示される(図5)。画面レイアウトはウィンドウサイズに応じて下記の画像と異なる場合がある。
図5 データベース(PDKI)のトップページ
(3) 図5の画面表示の言語を右クリックで表示されるプルダウンメニューから緑の線で囲んである「〇〇語に翻訳」を選択し、変更することができる。
2-1. 簡易検索
図6 検索例
(1) 例えば、PDKIのトップページ画面(図6)の「Brand」(インドネシア語「Merek」)の緑の線で囲んである検索欄に「apple」と入力し、青い線で囲んである「Look for」(インドネシア語「Cari」)をクリックすると検索結果が表示される(図7)。
図7 検索結果
(2) 検索結果(図7)の緑の線で囲んである名称をクリックすると、詳細画面が表示される(図8a、図8b)。
赤の線で囲んであるステータスの選択肢は以下のとおりである(英語(インドネシア語、日本語))。
・In Progress(Dalam proses(審査中))
・End(Berakhir(権利満了))
・Cancelled(Dibatalkan(抹消))
・Rejected(Ditolak(拒絶))
・Registered(Didaftar(登録))
・Retracted(Ditarik kembali(取下))
・Deleted(Dihapus(取消))
青の線で囲んである「Search Result per country(Hasil Pencarian Per Negara)」には検索結果の総数、出願人の国籍別の件数が表示される。絞り込みはできない。
オレンジの線で囲んである「Total Applications(Total Permohonan)」には、特許、商標、意匠、著作権および地理的表示について、データベース内の収録全件数が示される。検索結果とは無関係である。
図8a 詳細画面1
図8b 詳細画面2
詳細情報は以下のとおりである(英語(インドネシア語(日本語))。
・Registration No.(No. Pendaftaran(登録番号))
・Date of Registration(Tgl. Penaftaran(登録日)
・Status(Status(ステータス))
・Detail(Detail(詳細))
〇ANNOUNCEMENT NUMBER(NOMOR PENGUMUMAN(公報番号))
〇ANNOUNCEMENT DATE(TANGGAL PENGUMUMAN(公報発行日))
〇APPLICATION NUMBER(NOMOR PERMOHONAN(出願番号))
〇DATE OF RECEIPT(TANGGAL PENERIMAAN(出願日))
〇PROTECTION START DATE(TANGGAL DIMULAI PELINDUNGAN(権利開始日)):出願日と同日
〇PROTECTION END DATE(TANGGAL BERAKHIR PELINDUNGAN)(権利満了日))
・Publication(Publikasi(公報))
〇Publication A(Publikasi A(公開公報))
・Translation(Translasi(翻訳))
・Nice Class(Kelas Nice(ニース分類))
〇CLASS CODE(KODE KELAS(分類番号))
〇TYPES OF GOODS/SERVICES(JENIS BARANG/JASA(商品および役務の種類))
・Priority(Prioritas(優先権))
〇NUMBER(NOMOR(優先権番号))
〇CITIZENSHIP(KEWARGANEGARAAN(優先権主張国))
・Owner(Pemilik(権利者))
〇NAME(NAMA(名前))
〇ADDRESS(ALAMAT(住所))
〇CITIZENSHIP(KEWARGANEGARAAN(国籍))
・Consultant(Konsultan(代理人))
〇NAME(NAMA(名前))
〇ADDRESS(ALAMAT(住所))
〇CITIZENSHIP(KEWARGANEGARAAN(国籍))
図8aの緑の線で囲んであるマークをクリックすると公報のPDFファイルがダウンロードされる。ブラウザの設定によっては、画面表示される(図9)。
図9 公報画面
2-2. 詳細検索(Advance Filter)
(1) 検索画面(図10a)の「Advance Filter」(オレンジの枠部分)をクリックすると詳細検索画面が表示される(図10b)。また、図7の赤の線で囲んであるステータスの選択肢の右側の「Filter」をクリックしても同じ画面が表示される。
図10a 検索画面
図10b 詳細検索画面
検索条件の項目は以下のとおり(英語(インドネシア語、日本語))。
・By Number(Berdasarkan Nomor(番号検索))
〇Application Number(Nomor Permohonan(出願番号))
〇Registration Number(Nomor Pendaftaran(登録番号))
〇Priority Number(Nomor Prioritas(優先権番号))
〇Announcement Number(Nomor Pengumuman(公開番号)):IPC分類番号を入力する。
・By Text(Berdasarkan Teks(文字検索))
〇Brand Name(Nama Merk(商標名))
〇Classification(Klasifikasi(分類番号))
〇Consultant Name(Nama Konsultan(代理人名))
〇Owner’s Name(Nama Pemilik(権利者名))
〇Province(Provinsi(地域)):プルダウンメニューから選択する。
・By Period(Berdasarkan Periode(期間検索)):YYYY-MM-DDで数字入力またはカレンダーから日付を選択できる。
〇Year of Application(Tahun Permohonan(出願年))
〇Announcement Date(Tanggal Pengumuman(公開日))
〇Registration Date(Tanggal Pendaftaran(登録日))
〇Protection Start Date(Tanggal Dimulai Perlindungan(権利開始日))
〇Protection End Date(Tanggal Berakhir Perlindungan(権利満了日))
図11 検索例
(2) 例えば図11のように検索条件「Brand Name」に「Apple」、「Year of Application」に「2022」を選択し、「Apply Filter(Terapkan Filter(フィルター適用))」をクリックすると検索結果が表示される(図12)。
図12 検索結果
(3) 検索結果の確認方法は「2-1. 簡易検索 (2)」と同様である。
3.WIPO Global Brand Databaseによる商標検索
図13 DGIPのウェブサイトトップページ
(1) DGIPのウェブサイトトップページの「Search(Penelusuran(検索))」のプルダウンメニュー「WIPO」を選択し、「Trademark(Merek(商標))」を選択(図13)するとWIPO検索画面「WIPO Global Brand Database」(https://www3.wipo.int/branddb/en/)にアクセスする(図14)。Global Brand Databaseでは、インドネシア商標の英語での検索が可能である。
図14 Global Brand Databaseトップページ
画面左上の緑の線で囲んである「SEARCH BY」欄、右上の赤い線で囲んである「FILTER BY」欄が配置されている。検索条件の項目は以下のとおり。
SEARCH BY(検索)
・Brand(商標)
〇Text(文字)
■(Normal)(通常):match term(s) as entered:入力した単語を含む商標を検索
■(Fuzzy)(あいまい):matches are spelled similarity to entered term(s):入力した単語と類似する綴りの商標を検索する。
■(Phonetic)(音声):matches sound like entered term(s):入力した単語と音声類似の商標を検索する。
■(Stemming)(語幹):matches all forms of a word(入力した単語と語幹が類似する商標を検索)
〇Image class(イメージ分類)
〇Goods/Services(商品/サービス)
・Names(名称):権利者、代理人からの検索が可能である。
・Numbers(番号):出願番号、登録番号からの検索が可能である。
・Dates(日付):出願日、登録日、権利満了日からの検索が可能である(いずれも期間指定可能)。
・Class(分類):区分、商品・役務からの検索が可能である。
・Country(国):Origin、Designationによる検索が用意されているが、既に検索対象をインドネシア商標に絞り込んでいる場合には不要と思われる。
FILTER BY(フィルター)
・Source(情報元):データを提供している特許庁が表示されている。
・Image(イメージ):文字のみの商標、図形のみの商標、両者の組み合わせ商標について絞り込み可能である。
・Type(種別)
・Status(ステータス):権利状態からの絞り込みが可能である。
・Origin(出願されている特許庁):
・App. Year(出願年):出願年による絞り込みが可能である。
・Expiration(権利満了):先月権利満了、来月権利満了、6か月以内に権利満了、来年権利満了という権利満了時期による絞り込みが可能である。
上記のほか、「Nice Cl.」、「Reg. Year」、「Image class」、「Holder」、「Holder Country」、「Designation」、のタブを表示させて絞り込むことも可能である。
(2) 例えば、緑の線で囲んである「SEARCH BY」「Brand」タブにFuzzy検索で「cartier」と入力し「Search」をクリックする。さらに、赤の線で囲んである「Source」「ID」を選択し、「filter」をクリックすると、関連度(Relevance)が高い順に検索結果が表示される(図15)。なお、検索結果をクリアしたい場合、青の線で囲んである「CURRENT SEARCH」の検索条件の右上「X」をクリックまたは、右下のごみ箱をクリックする。
図15 検索例
(3) 検索結果を確認したい商標の欄をクリックすると詳細情報が表示される(図16)。
図16 詳細情報
詳細情報の項目は以下のとおり。なお、商標によって項目が変わることがある。
・Status(ステータス)
・Serial number of the application(出願番号)
・Date of filing of the application(出願日)
・Mark(標章)
・Reproduction of the mark where the mark is represented in standard characters(標章を標準文字で表現した標章の複製)
・Indication relating to the nature or kind of mark(標章の性質又は種類に関する表示)
・Name and address of the applicant(出願人の氏名及び住所)
・Name and address of the representative(代表者の氏名及び住所)
・The International Classification of Goods and Services for the Purposes of the Registration of Marks (Nice Classification) and the list of goods and services classified according thereto(標章の登録のための商品およびサービスの国際分類(ニース分類)および商品およびサービスのリストに基づく分類)
・Data relating to priority under the Paris Convention and other data relating to registration of the mark in the country of origin(パリ条約に基づく優先権に関するデータおよびその他の基礎出願国における標章の登録に関するデータ)
Global Brand Databaseは、英語で検索可能であり、使いやすい検索機能も有するが、DGIPのデータベースと比較すると、収録商標件数が10%程度少ない。目的に応じて両者を使い分けるのが良いと考えられる。
インドネシアにおける商標権の権利行使と模倣意匠への対応
1.インドネシアにおける商標権に基づく権利行使の検討
インドネシアは先願主義を採用しており、商標権侵害で侵害者に対して措置を講じるには、商標を登録し商標権を得ておかなければならない。商標が先に登録され、その保護範囲が広範であるほど、商標権者は、自らの権利を行使し知的財産を保護するための有利な立場を得ることが出来る。
しかしながら、商標権侵害において侵害者に対して法的措置を講じる前に、商標権者は以下のような事項を事前に理解しておく必要がある。
1-1.刑事手続
親告罪である知的財産権侵害事件は、インドネシア知的財産権総局(Director General of Intellectual Property:DGIP)の捜査局または警察により着手される。当局が侵害に対する手続を進める前に、権利者は正式な告発状を提出しなければならない。
告発状を受理すると、DGIP捜査局の捜査官は、知的財産権侵害に関する捜査の実施に関して警察と同様の権限が与えられる。通常、捜査はレイド(摘発)へとつながるが、滞貨案件と捜査官不足のため、実際にレイドが実施されるまでには数か月かかることもある。
1-2.民事手続
登録商標の商標権者またはライセンシー(適切なライセンス契約の登録を条件として)は、損害賠償請求または登録商標の不正使用に関する行為を止めさせるために、商標権侵害者を相手取り、商務裁判所に訴訟を提起することができる。
訴訟審理中のさらなる損失を防ぐため、商標権者(原告)は、侵害者(被告)に対して商標権者の被侵害商標を使用した製品またはサービスの生産、流通および取引を停止することを命じるよう、裁判所に差止請求することができる。
商務裁判所は、裁判所の判決が最終的なものとなり、法的拘束力を有した後、商品を処分するよう命じることができる。また、商務裁判所の判決に対しては最高裁判所に上告することができる。
1-3.水際措置・税関登録(Customs recordation)
2018年6月から施行されている知的財産権侵害品の輸出入管理等に関する財務省規則(No.40/PMK.04/2018)により、インドネシアの事業者である商標権者は、税関総局(Directorate General of Customs and Excise)に知的財産権の登録申請を行うことができる。申請が認められた場合、税関職員は知的財産権を税関登録システムに登録する。模倣品の疑いのある商品が輸出入されようとしている場合、知的財産権者は税関に保証金として銀行または保険会社の保証書を提出する必要がある。当該保証金は、予防措置および差止命令の執行中に発生した運用コストをカバーすることを目的としている。
税関職員は、商務裁判所の発効した令状を受理すると、輸入者、輸出者または商品の所有者に対して書面で通知を行い、令状の受理日をもって商品の通関を差し止めなければならない。知的財産権者は、商務裁判所長から許可が得られれば、疑義侵害物品を調査することができる。
差止期間は10営業日で、商務裁判所から追加の令状が発行されることにより、さらに10営業日延長することができる。この期間内に、知的財産権者は自らの権利を維持するために必要とされる法的手続を行っていることを税関職員に通知しなければならず、通知がなければ税関職員は商品の差止を終了する。
しかしながら、この規則にもかかわらず、実際にこの手続を進めることは非常に難しい。商品に関する十分な情報と裏付け証拠がない場合が多く、商品が模倣品であるか否かを判断することは難しい。
2.権利侵害された場合の準備
侵害者に対して措置を講じる前に、知的財産権者は、自らの権利に関して瑕疵が無いことを確認し、侵害者が反訴を提起してくることも想定しておく必要がある。こうした対応には、知的財産権の有効性確認、市場における知的財産権の使用状況調査、知的財産権権利者の確認、証拠の保全等が含まれる。
インドネシアでは知的財産権者は侵害者を訴追するよりも侵害者と和解することを選択することが多く、和解では通常、模倣品の破壊、誓約および侵害者による公的謝罪を行うことが含まれる。
権利侵害された場合の対応の第一歩として、侵害者および被侵害商標の使用に関する可能な限り多くの情報を集める調査を行うことが重要である。この調査結果を基に侵害者に対する戦略構築を行う必要がある。調査は、DGIPの捜査官を通じて実施することが可能ではあるが、調査結果を速やかに入手し、秘密を保持する観点から調査会社等を使用することが推奨される。
侵害製品が食品または医薬品に関するものである場合、インドネシア食品医薬品監督庁(Badan Pengawas Obat dan Makanan(DRUG AND FOOD CONTROL AGENCY OF THE REPUBLIC OF INDONESIA):BPOM)における調査も実施されなければならない。電化製品の場合、当該製品がインドネシア国家標準(Indonesian National Standard:SNI)を取得しているか否かの調査を行うことを推奨する。
警告状は、調査により得られた情報に基づき作成する。ただし、警告状はインドネシア語で記載しなければならない。警告状送付の後、追加書面の提出や相手側との交渉等が行われる。
3.侵害を主張した場合のリスク
商標権者が商標登録に基づく商標権を主張したが、当該商標をインドネシアにおいて3年間継続して使用していない場合、相手方から不使用による登録抹消が請求されると当該商標は抹消され得る。したがって、相手方による権利濫用の抗弁等を回避するためには、商標に関する有効性の確認および使用状況を確認することは重要である。
知的財産権者が疑義侵害商品の通関を一時的に差し止める令状を商務裁判所に請求したが、当該商品が侵害していないことが判明した場合、当該商品の所有者は、知的財産権者に対して逆告訴し、商品の留置に対する損害賠償請求を求めることができる。
4.「商標を使用している」の定義と証拠
登録商標は、登録後または当該商標を最後に使用した後継続して3年間使用されていない場合、不使用による登録抹消の対象となる(インドネシア商標法第74条)。商標が抹消されることを防ぐためには当該商標が使用されていなければならないが、その際、商標権者は、「商標の使用」の定義を念頭に置かなければならない。
(参考)インドネシア商標法第74条
(1) 登録商標の抹消は、当該商標が商品および/またはサービスの取引に登録日または最後に使用した後3年継続して使用されていないという理由で、利害関係のある第三者によって商務裁判所に訴訟を提起することができる。
(2) (1)項に記載の登録商標が使用されない理由が、次の場合には適用されない。
a. 輸入の禁止
b. 当該商標を使用した商品の流通の許可に関する禁止または当局からの暫定的な決定
c. 政令で定められたその他の同様の禁止
(3) (1)項に記載の登録商標の抹消は、商標登録簿に記録され、公告される。
インドネシア商標法第74条によると、登録商標は、その商標の使用が登録商標と合致していない場合、抹消の対象となる。ここで言う「合致」とは、製品上における商標の実際の表示と商標登録証における商標の表示が、言葉、文字および色の表現など全て同一でなければならないことを意味する。
例えば、商標が平易なブロック文字で登録されているが、製品上で様式化、すなわちデザイン化された文字などで表現されている場合、登録商標は「使用された」と見なされないことを意味する。また、商標が登録証において白と黒で表示されているが、製品上では赤色で表現されている場合も「使用」とは見なされない。
商標の使用証拠には、商標が付され登録後3年間継続して使用された証拠として日付が付された出版物、広告物、請求書、カタログ、製品やサービスの包装などが含まれる。
また、各ライセンス契約が適切にDGIPに登録されていれば、ライセンシーによる登録商標の使用が当該商標の適切な使用であると見なされる。
5.盗用(模倣)意匠出願に対する対策
インドネシア工業意匠法第26条によると、利害関係人は、意匠公開日から3か月以内に公開された意匠出願に対して異議を申し立てることができる。
(参考)インドネシア工業意匠法第26条
(1) 第25条(1)に規定する公開開始日以降、何人も実体的な事由の異議をDGIPに対して書面でかつ本法に規定する手数料の支払って申し立てることができる。
(2) (1)の規定における異議は、公開開始日から3か月以内に申し立てることができる。
(3) (2)に規定する異議は、DGIPから出願人に通知される。
(4) (2)に規定する異議に対して、出願人はDGIPからの通知送付の日から3か月以内に答弁することができる。
(5) (1)に規定する異議申立があったときは、審査官による実体審査が行われる。
(6) DGIPは異議および答弁を当該出願の登録または拒絶の審査における参考資料として提供する。
(7) DGIPは(1)に規定する異議を認めるか否かの決定を(2)に規定する公開の終了日から6か月以内に下す。
(8) (7)に規定するDGIPの決定は、出願人または代理人に対して当該決定の日から30日以内に書面で通知される。
異議申立の通知を受領した後、当該意匠出願人は、当該通知がDGIPにより送付された日から3か月以内に答弁を提出することができる。
その後、審査官は、異議申立および答弁の双方を考慮し、当該意匠出願の実態審査を行い6か月以内に決定を下す。登録を拒絶された出願人は、拒絶通知の日から3か月以内に商務裁判所に訴訟を提起することができる。
意匠権者は、インドネシア工業意匠法第37条により、自身の登録意匠の取消を申請することもできる。ただし、意匠登録原簿に登録されているライセンシーが、登録の取消請求に添付すべき承認書を提供しない場合、取消を行うことができない。したがって、すでにライセンス登録されている場合、第三者にライセンスされた意匠登録の権利取下げを行うことは難しい。
(参考)インドネシア工業意匠法第37条
(1) 登録された意匠は、意匠権者の書面による請求に基づいて、DGIPにより取り消すことができる。
(2) (1)に規定する意匠権の取消は、意匠一般登録簿に記録された実施権者が、当該登録取消の請求に添付される書面において承認を与えない場合は、認められない。
(3) 意匠権の取消の決定はDGIPにより次の者に書面で通知される。
(a) 意匠権者
(b) 意匠登録簿の記録に従い、ライセンスを得ている実施権者
(c) 取消請求をした者。この場合は、取消の決定の日以降に意匠権がもはや有効でないことを記載する。
(4) (1)に規定される意匠の取消の決定は、意匠登録簿に記録され、意匠公報により公告される。
盗用(模倣)意匠出願が既に登録されている場合、インドネシア工業意匠法第38条は、利害関係人が工業意匠権の登録取り消しを求める訴訟を商務裁判所に提起することを認めている。訴訟により意匠登録が取り消された場合でも、ライセンシーはライセンス契約の満了までライセンスを実施する権利がある。ライセンシーは、権利が取り消された登録意匠の所有者に支払われるべきであったロイヤルティの支払いを継続する義務を負わなくなるが、取消理由となった他の意匠権がある場合はライセンスの残りの期間のロイヤルティ支払いを当該他の意匠権の権利者に行う必要がある。
(参考)インドネシア工業意匠法第38条
(1) 意匠登録の取消訴訟は、利害関係人によって第2条(2)または第4条に規定する理由を伴い商務裁判所に提起することができる。
(2) (1)の規定における意匠登録の取消に関する商務裁判所の判決は、判決の日から14日以内にDGIPに送付される。
意匠権者は、異議申立の機会を逸しないように、模倣および類似の意匠を監視するために民間のウォッチサービス企業を活用する方法もある。企業が多くの登録意匠を有する場合、主要な意匠分類についてのみ監視することも費用削減のために考慮する必要がある。
潜在的な侵害者に対して、意匠をコピー使用すると侵害として見なされ得るということを警告するために、すべての製品上に「登録意匠」という語を記載することが推奨される。
インドネシアの知財関連の法令等へのアクセス方法
インドネシア知的財産総局(DGIP)ウェブサイトは、インドネシア語表示のみ可能であり、以下では、インドネシア語表示のウェブサイトでの法令等の確認方法について紹介する。
1. インドネシア知的財産総局(DGIP)ウェブサイトhttp://www.dgip.go.id/にアクセスし、下図のトップページ上段部の「PATEN(特許)」「MEREK(商標)」「HAK CIPTA(著作権)」「DESAIN INDUSTRI(工業意匠)」「INDIKASI GEOGRAFIS(地理的表示)」「DTLST & RD(半導体集積回路の配置設計および営業秘密)」の調べたい項目のボタン上にカーソルを移動する。
インドネシア知的財産総局(DGIP)ウェブサイトトップページ表示画面
2. 例えば、「PATEN(特許)」の上にカーソルを移動すると下図のようなプルダウンメニューが表示されるため、「Peraturan Perundang-undangan(法律)」をクリックする。
プルダウンメニュー表示画面
3. 下図のような、法律のリストが表示される。
特許に関する法律リスト表示画面
上記の法律リストで表示されている項目は、以下のとおりである。
・UNDANG – UNDANG (UU) PATEN REPUBLIK INDONESIA(インドネシア特許法)
・PERATURAN PEMERINTAH (PP) BIDANG PATEN(特許に関する政令)
・PERATURAN PRESIDEN REPUBLIK INDONESIA BIDANG PATEN(特許に関する大統領規則)
・PERATURAN MENTERI HUKUM DAN HAM RI NO. 15 TAHUN 2018 TENTANG PELAKSANAAN PATEN OLEH PEMEGANG PATEN(特許に関する法務・人権省規則)
・KEPUTUSAN PRESIDEN (KEPPRES) REPUBLIK INDONESIA(大統領令)
・SURTA EDARAN(通達)
4. 例えば、上図の「UU Nomor 13 Tahun 2016 tentang Paten(インドネシア特許法(2016年法律第13号改正))」のPDFマークをクリックすると、下図のような特許法の法文(インドネシア語)を参照することができる。
特許法の法文表示画面
インドネシア知的財産局が提供する産業財産権データベースの調査報告
「インドネシア知的財産局が提供する産業財産権データベースの調査報告」(2018年3月、日本貿易振興機構バンコク事務所知的財産部)第2章から第7章
(目次)
第2章 インドネシアIPデータベース P.7
1. 概要 P.7
1.1 インドネシア知的財産権総局ウェブサイト P.7
1.2 PATENTSCOPE P.9
1.3 ASEAN PATENTSCOPE P.9
1.4 欧州連合知的財産庁ウェブサイト P.9
1.5 WIPO Global Brand Database P.9
1.6 FOPISER P.9
2. 直近の主な変更点 P.10
3. 日本のJ-PlatPatとの相違点 P.10
第3章 特許・実用新案 P.11
1. 特許・実用新案検索データベース DGIP eStatus P.11
1.1 検索データベース仕様一覧 P.11
1.2 特許・実用新案レコード収録 P.13
1.3 特許・実用新案要素収録率 P.25
1.4 検索データベース DGIP e-Status 取扱い説明 P.34
1.5 特許・実用新案 DGIP e-Status 検索・表示項目留意点 P.43
2. 特許・実用新案検索データベース PDKI 取扱い説明(概略) P.49
3. 考察・まとめ P.50
第4章 意匠 P.51
1. 意匠検索データベース DGIP e-Status P.51
1.1 検索データベース仕様一覧 P.51
1.2 意匠レコード収録数 P.53
1.3 検索データベース DGIP e-Status 取扱い説明 P.54
1.4 意匠データベース DGIP e-Status 検索・表示項目留意点 P.60
2. 意匠検索データベース PDKI 取扱い説明(概略) P.63
3. 考察・まとめ P.64
第5章 商標 P.65
1. 商標検索データベース DGIP e-Status P.65
1.1 検索データベース仕様一覧 P.65
1.2 商標レコード収録数 P.67
1.3 検索データベース DGIP e-Status 取扱い説明 P.68
1.4 商標データベース DGIP e-Status 検索・表示項目留意点 P.77
2. 商標検索データベース PDKI 取扱い説明(概略) P.80
3. 考察・まとめ P.82
第6章 公報データベース(共通) P.83
1. 公報データベース仕様一覧 P.83
2. 公報データベース取扱い説明 P.85
2.1 特許・実用新案 P.86
2.2 意匠 P.89
2.3 商標 P.91
2.4 地理的表示 P.94
第7章 統計情報 P.96
1. 産業財産権の権利化期間 P.96
1.1 出願日から公開日までの期間 P.99
1.2 出願日から登録日までの期間 P.107
1.3 考察・まとめ P.115
2. 産業財産権の出願件数上位リスト P.116
2.1 全出願人 P.116
2.2 日本国籍出願人 P.117
2.3 技術分野ごと P.118
2.4 考察・まとめ P.118
インドネシアのマドリッド協定議定書の加盟
2017年10月2日、インドネシアはマドリッド協定議定書への加入書を世界知的所有権機関(WIPO)の国際事務局に寄託した。マドリッド協定議定書は、インドネシアにおいて2018年1月2日に発効する。これにより、マドリッド協定議定書の加盟国数は100か国となる。
2018年当初より、外国の企業および商標所有者はマドリッド制度を利用して、インドネシアにおける商品および役務に関する商標保護を申請できるようになる。インドネシアはグローバル市場のリーダーであり、G20経済圏で最も急速な成長を遂げている上位5か国の一つに数えられている。
インドネシアは、マドリッド協定に参加する東南アジア諸国連合(ASEAN)で8番目の国である。この加盟は、ASEAN全域における技術移転の促進、および知的財産権を巡る協力強化を通したイノベーションの推進というASEANが掲げる目標に向けた更なる一歩となる。
マドリッド制度は、一件の国際商標出願において多くの国々を指定することが可能な制度である。マドリッド国際出願手続は、従来の各国直接出願と比べて効率化と費用削減をもたらす。
1. 本国官庁としてのインドネシア知的財産総局(Directorate General of Intellectual Property Rights、以下「DGIP」という。)
インドネシア商標および地理的表示法第20/2016号の第52条に従い、以下のことが定められている。
(1)国際商標登録出願は、以下のいずれかの形式で行うことができる。
(a)インドネシアを本国とし、DGIPを経由してWIPO国際事務局宛てに送付される出願。
(b)指定国の1つとして、WIPO国際事務局を経由してDGIPにより受領される出願。
(2)上記(1)の項目(a)に定められた国際商標登録出願は、以下の者によってのみ提出することができる。
(a)インドネシア国民である出願人。
(b)インドネシア共和国の領域内に本拠を置く、または合法的に居住する出願人。
(c)インドネシア共和国の領域内で実際に産業または商業活動をしている出願人。
(3)上記(2)に規定された出願人は、国際商標登録出願の基礎として、インドネシアにおいて既に商標を出願しているか、または商標を登録している必要がある。
(4)国際商標登録出願に関する追加規定は、標章の国際登録に関するマドリッド協定議定書に基づいており、政令により規定されなければならない(新しい手続および手数料について説明する詳細な規定は、2017年後期に施行される予定である。)。
先述したように、DGIPへの国際出願を選択するインドネシアの出願人は、基礎となるインドネシア商標出願または登録を有していなければならない。
出願人は、オンラインシステムにより直接DGIPに国際登録出願の願書を提出しなければならない。DGIPは、国際出願を認証し、WIPO国際事務局へ送付する。
手数料および登録の有効性
マドリッド制度では、単一の国際出願で多数の国を指定でき、時間と費用を効率的に節約できる。また、複数の言語への翻訳費用がかからず、複数の指定国の行政手続に煩わされることもない。
DGIPに支払う手数料は、商標出願1件につき50万IDルピア(約50USドル)である。
WIPOに支払う基本手数料は、以下のとおりである。
‒ 653スイスフラン:白黒の標章
‒ 903スイスフラン:カラーの標章
マドリッド協定議定書に基づく指定国の個別手数料は、下記WIPOのサイトに掲載されている。
http://www.wipo.int/madrid/en/fees/ind_taxes.html
http://www.wipo.int/madrid/en/fees/calculator.jsp
DGIPは国際出願を受理後、WIPOに送付する前に、願書を認証するための方式審査を行う。この方式審査の結果不備がない場合は、DGIPは当該願書をWIPOに送付する。
WIPOは国際出願を受理後、マドリッド協定、マドリッド協定議定書および共通規則に定められた要件について審査を行う。ただし、この審査は、指定商品または役務の分類、および指定商品または役務の記述の明瞭性を含む、方式要件だけに限られている。
国際出願に不備がなければ、WIPOは当該国際出願を国際登録簿に記録し、WIPO国際商標公報において当該国際登録を公開し、各指定国に通報する。この公報は、マドリッド制度ウェブサイトを利用して電子形式(電子公報)で入手可能である。
標章が保護を受けられるかどうか、または指定国の知的財産官庁に既に登録されている標章と抵触するかどうかといった実体的事項は、適用される国内法に基づき指定国により審査される。
国際登録は10年間有効であり、手数料の支払いをもって国際登録日から10年ごとに更新可能である。各指定国における保護は、国際登録の更新に基づいて更新される。
2. 指定国官庁としてのDGIP
国際出願に関して、インドネシア特有の要件は以下のとおりである。
第一に、インドネシアを本国とする国際出願の指定商品または役務は、インドネシア基礎商標出願または登録商標に関する指定商品または役務と一致しなければならない。DGIPの厳格な審査基準の一部として、商品および役務の範囲が狭いことに留意すべきである。
第二に、他の国からのインドネシアを指定する国際出願は、現行の審査ガイドラインに従いインドネシア語で審査される。それゆえ、インドネシアの商標実務に合わせて指定商品または役務の補正が必要になる場合がある。
DGIPはマドリッド協定議定書による国際出願に対応するため、20名の担当官を割り当てる予定である。
実体審査
商標および地理的表示法第20/2016号に従い、DGIPは国際出願を認可または拒絶する決定を18か月以内に行う。
DGIPが指定商品または役務の全部または一部について国際出願を拒絶しても、他の指定国の決定には影響を及ぼさない。
暫定的拒絶は、商標および地理的表示法第20/2016号の第20条、第21条(1)項および第21条(2)項または異議申立に基づいて行うことができる。国際出願の出願人は、暫定的拒絶通報後、拒絶理由に対してDGIPに応答することができる。
審査および審理される商標の識別性/非識別性に関する基準
第20条の規定に従い、以下のいずれかに該当する標章は登録できない。
(a)国家のイデオロギー、法規、道徳規範、宗教、倫理または公序良俗に反する。
(b)登録対象の商品または役務と類似している、これを説明している、またはその単なる言及にすぎない。
(c)登録対象の商品もしくは役務の出所、品質、型式、サイズ、種類、使用目的について、または類似の商品もしくは役務に関して保護されている植物品種の名称について、公衆の誤認を生じるおそれのある要素を含んでいる。
(d)提供される商品または役務の品質、便益または効能と一致しない情報が含まれている。
(e)識別性のある特徴が何もない。
(f)一般名称または公有財産の象徴となっている。
審査および審理される商標の類似性/非類似性に関する基準
第21条(1)項の規定に従い、標章の要部または全体が以下のいずれかに該当する標章は拒絶される。
(a)同じ種類の商品または役務に関して既に登録または出願されている、他者により所有される商標と類似している。
(b)同じ種類の商品または役務に関して他者により所有されている周知商標と類似している。
(c)特定の条件を満たすことを前提として、同じ種類ではない商品または役務に関して所有されている周知商標と類似している。
(d)既知の地理的表示と類似している。
第21条(2)項の規定に従い、以下のいずれかに該当する標章は拒絶される。
(a)有名人の名前、略称、写真または他者が所有する法人の名称に相当する、またはこれと類似している。ただし、正当な権利者の書面による同意がある場合を除く。
(b)国家または国内もしくは国際機関の名称、略称、旗、紋章、シンボルまたは象徴を模倣している、またはこれと類似している。ただし、管轄当局の書面による同意がある場合を除く。
(c)国家または政府機関により使用される公的な標識、印章または証印を模倣している、またはこれと類似している。ただし、管轄当局の書面による同意がある場合を除く。
国際出願の出願人が拒絶への応答を望む場合、出願人の応答はインドネシアの法律に従わなければならない。
DGIPが国際出願の保護を認可する場合、DGIPは保護認容声明を発行する。WIPOはこの決定を記録し、国際出願の出願人に通知する。
インドネシアにおける暫定的拒絶通報の期間
インドネシアは、DGIPが国際登録の暫定的拒絶通報を発行すべき期間として、18か月を選択した。ただし、第三者により異議申立が提起された場合、DGIPは18か月の期限後に暫定的拒絶通報をWIPOに通知することができる。