中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その4:不使用取消不服審判)
1.不服審判請求の種類
商標審査部(中国語「商標局」)による拒絶査定通知・登録不許可決定書・登録商標無効宣告決定・不使用取消決定に不服がある場合は、商標審判部(中国語「商標評審委員会」)に対して不服審判請求する。
不服審判請求の種類としては下記4種がある。
(1)商標審査部が下した商標登録出願の拒絶査定について、商標法第34条に基づく不服審判請求事件
(2)商標審査部が下した登録不許可決定書について、商標法第35条に基づく不服審判請求事件
(3)商標審査部が下した登録商標無効宣告決定について、商標法第44条に基づく不服審判請求事件
(4)商標審査部が下した登録商標の取消決定または非取消決定について、商標法第54条に基づく不服審判事件
2.不使用取消不服審判の審理手続の流れ
不使用取消不服審判以外の審理手続きの流れについては、別コンテンツ「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その1:拒絶査定不服審判)」、「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その2:登録不許可不服審判)」、「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その3:登録商標無効宣告不服審判)」を参照のこと。
中国商標不使用取消不服審判フロー
商標審判部における商標不使用取消不服審判手続は、(1)請求人による審判請求、(2)方式審査、(3)被請求人の答弁、(4)答弁に対する弁駁、(5)審判合議体による審理、(6)審決という手順で進められる。
(1)請求人による不服審判請求および補足
不服審判請求するとき、商標審判部に書面の請求書類の正本1部を提出すると同時に、相手方がある場合、相手方当事者数に相当する副本を提出しなければならない。また、請求書類を提出した後、証拠を補足する必要がある場合、請求書に声明し、かつ請求日から3ヵ月以内に補足証拠を提出しなければならない。
上述の法定補足期間は延長不可である。補足期間の満了後に形成し、または請求人が他の正当な理由で期間満了前に提出できなかった証拠は、期間満了後に提出する場合、商標審判部はかかる証拠を相手方当事者に交付して証拠調べを経てその証拠を採用することができる。実務では、法定の補足期間を過ぎても、引き続き補足証拠を提出できるが、上述のような特別な状況でなければ、審判官の参考資料のみになる(審判規則第23条)。
(2)方式審査
商標審判部は、審判請求書を受領した後、方式審査の用件を具備するか否か、つまり、請求書と証拠が要求の様式で記載されて提出されたか否かなどを審理する。要件を具備するときは、その請求を受理し、請求人に受理通知書を送付する。要件を具備しないときは、請求人に不受理通知書を送付し、かつその理由を説明する。補正が必要な場合、補正通知書を送付し、それを受領した日から30日以内に補正するよう請求人に通知する(実施条例第57条、審判規則第17条)。
(3)被請求人の答弁
商標審判部は商標審判の請求を受理した後、請求書の副本を被請求人に送達し、受領後30日以内に答弁するよう要求する。期間が満了して答弁しなくても、商標審判部の審理に影響を与えないが、実務上は、この反論の機会を利用して、答弁する被請求人が圧倒的に多い(実施条例58条、審判規則第21条)。
証拠を補足する必要がある場合、答弁書に声明し、かつ答弁書の提出日から3ヵ月以内に補足証拠を提出しなければならない(実施条例59条、審判規則第23条)。
(4)答弁に対する弁駁
商標審判部は被請求人の答弁資料を請求人に送付し、指定の期限内に弁駁(中国語「質証」)を行うことを命じることができる(審判規則第23条2項)。
弁駁手続とは、商標審判部が証拠交換通知書を請求人に送付した後、請求人はそれを受領した日から30日以内に、被請求人の証拠を調べたうえ、その答弁理由を反駁するものである。なお、提出は1回限りである。
(5)審判合議体による審理
審理は、原則として合議制を採用する。通常、3名以上の奇数人数の商標審判官により構成される合議体を結成して審理を行う。ただし、審理事実が明らかで、事情状況が簡潔な事件について、商標審判官1名の単独審判を行うことができる(実施条例第60条、審判規則第27条)
商標審判事件の審理は、原則として書面審理にて行う。ただし、実施条例第60条の規定により口頭審理を行うと決定された場合はこの限りでない(審判規則第4条)。なお、口頭審理の請求は、必ずしも商標審判部に許可されるとは限らない。実施条例第60条の規定によれば、当事者は口頭審理を要求することができる。この場合、口頭審理を行う必要性についての具体的理由を提出しなければならない。商標審判部は、当事者が提出した理由が十分であるか否かを考慮し、口頭審理を行うか否かを判断することになる。通常は、口頭審理を行わず、書面審理が進められる比率が圧倒的に大きい。
審理を経て終結された事件については、法に基づき審判を終了し、結審する(審判規則第32条)
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(6)審決
商標審判部は、請求人と被請求人が陳述した理由と提出した証拠、被請求人の答弁書、請求人の証拠抗弁書を審理して審決を下し、書面の審決を当事者双方に送付する。登録商標の維持または取消決定に不服がある場合には、審決を受領した日から30日以内に、人民裁判所に対して行政訴訟を提起することができる(商標法第54条)。
3.証拠提出の留意点
審判当事者は、請求の事実または答弁の事実に対して挙証責任を有し、請求時または答弁時には、相応する証拠資料を提出しなければならない。証拠には、書証、物証、視聴資料などが含まれる。
証拠提出の際には、次の点に留意する必要がある。
(1)当事者が商標審判部に書証を提出するときは、原本を提出しなければならない(審判規則第40条)。全ての証拠について原本を提出することは困難であるが、実務上、重要な証拠は、できるだけ原本またはその公証本を提出すべきである。
(2)中国以外の領域で形成された証拠は、その証拠が形成された国で公証・認証手続きを行わなければならない(審判規則第41条)。
(3)外国語証拠を提出するときは、その中国語の翻訳文を添付しなければならない(審判規則第42条)。
中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その2:登録不許可不服審判)
1.不服審判請求の種類
商標審査部(中国語「商標局」)による拒絶査定通知・登録不許可決定書・登録商標無効宣告決定・不使用取消決定に不服がある場合は、商標審判部(中国語「商標評審委員会」)に対して不服審判請求する。
不服審判請求の種類としては下記4種がある。
(1)商標審査部が下した商標登録出願の拒絶査定について、商標法第34条に基づく不服審判請求事件
(2)商標審査部が下した登録不許可決定書について、商標法第35条に基づく不服審判請求事件
(3)商標審査部が下した登録商標無効宣告決定について、商標法第44条に基づく不服審判請求事件
(4)商標審査部が下した登録商標の取消決定または非取消決定について、商標法第54条に基づく不服審判事件
- 登録不許可不服審判の審理手続の流れ
登録不許可不服審判以外の審理手続きの流れについては、別コンテンツ「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その1:拒絶査定不服審判)」、「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その3:登録商標無効宣告不服審判)」、「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その4:不使用取消不服審判)」を参照のこと。
2014年5月1日の法改正により、異議申立事件において、商標局が登録を許可すると決定した場合、異議申立人より不服審判を請求できなくなっているが、その代わりに、商標法第44条、第45条の規定に基づき、商標審判部に当該登録商標の無効審判を請求することができる。一方、商標局が登録を許可しないと決定した場合、被異議申立人は不服があるときは、通知を受領した日から15日以内に、商標審判部に不服審判を請求することができる。
中国商標登録不許可不服審判フロー
商標審判部における商標登録不許可不服審判手続は、(1)請求人による審判請求、(2)方式審査、(3)被請求人の意見提出、(4)審判合議体による審理、(5)審決という手順で進められる。
(1)請求人による不服審判請求および補足
不服審判請求するとき、商標審判部に書面の請求書類の正本1部を提出すると同時に、相手方当事者数に相当する副本を提出しなければならない。また、請求書類を提出した後、証拠を補足する必要がある場合、請求書に声明し、かつ請求日から3ヵ月以内に補足証拠を提出しなければならない。
上述の法定補足期間は延長不可である。補足期間の満了後に形成し、または請求人が他の正当な理由で期間満了前に提出できなかった証拠は、期間満了後に提出する場合、商標審判部はかかる証拠を相手方当事者に交付して証拠調べを経てその証拠を採用することができる。実務では、法定の補足期間を過ぎても、引き続き補足証拠を提出できるが、上述のような特別な状況でなければ、審判官の参考資料のみになる(審判規則第23条)。
(2)方式審査
商標審判部は、審判請求書を受領した後、方式審査の要件を具備するか否か、つまり、請求書と証拠が要求の様式で記載されて提出されたか否かなどを審理する。要件を具備するときは、その請求を受理し、請求人に受理通知書を送付する。要件を具備しないときは、請求人に不受理通知書を送付し、かつその理由を説明する。補正が必要な場合、補正通知書を送付し、それを受領した日から30日以内に補正するよう請求人に通知する(実施条例第57条、審判規則第17条)。
(3)被請求人(元異議申立人)の意見提出
商標審判部は、審判請求を受理してから、被請求人に「元異議申立人(被請求人)が登録不許可不服審判に参加する通知書」とともに、審判請求書類(副本)を1部送付し、当該通知を受領した日から30日以内に意見書を提出するよう要求する。意見書を提出する場合、正本、副本を1部ずつ、当該通知および封筒と併せて商標審判部へ提出する。期限までに意見を提出しない場合でも、当該案件の審理に影響を与えない(実施条例第53条、審判規則第21条第2項)。
(4)審判合議体による審理
審理は、原則として合議制を採用する。通常、3名以上の奇数人数の商標審判官により構成される合議体を結成して審理を行う。ただし、審理事実が明らかで、事情状況が簡潔な事件について、商標審判官1名の単独審判を行うことができる(実施条例第60条、審判規則第27条)。
商標審判事件の審理は、原則として書面審理にて行う。ただし、実施条例第60条の規定により口頭審理を行うと決定された場合はこの限りでない(審判規則第4条)。なお、口頭審理の請求は、必ずしも商標審判部に許可されるとは限らない。実施条例第60条の規定によれば、当事者は口頭審理を要求することができる。この場合、口頭審理を行う必要性についての具体的理由を提出しなければならない。商標審判委員会は、当事者が提出した理由が十分であるか否かを考慮し、口頭審理を行うか否かを判断することになる。通常は、口頭審理を行わず、書面審理が進められる比率が圧倒的に大きい。
審理を経て終結された事件については、法に基づき審判を終了し、結審する(審判規則第32条)。
(5)審決
商標審判部は、請求人と被請求人が陳述した理由と提出した証拠、被請求人より提出した意見書を審理して審決を下し、書面の審決を請求人に送付する。審決に不服がある場合には、審決を受領した日から30日以内に、人民裁判所に対して行政訴訟を提起することができる(商標法第35条)。
3.証拠提出の留意点
審判請求人は、請求の事実に対して挙証責任を有し、請求時には、相応する証拠資料を提出しなければならない。証拠には、書証、物証、視聴資料などが含まれる。
証拠提出の際には、次の点に留意する必要がある。
(1)当事者が商標審判部に書証を提出するときは、原本を提出しなければならない(審判規則第40条)。全ての証拠について原本を提出することは困難であるが、実務上、重要な証拠は、できるだけ原本またはその公証本を提出すべきである。
(2)中国以外の領域で形成された証拠は、その証拠が形成された国で公証・認証手続きを行わなければならない(審判規則第41条)。
(3)外国語証拠を提出するときは、その中国語の翻訳文を添付しなければならない(審判規則第42条)。
中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その3:登録商標無効宣告不服審判)
1.不服審判請求の種類
商標審査部(中国語「商標局」)による拒絶査定通知・登録不許可決定書・登録商標無効宣告決定・不使用取消決定に不服がある場合は、商標審判部(中国語「商標評審委員会」)に対して不服審判請求する。
不服審判請求の種類としては下記4種がある。
(1)商標審査部が下した商標登録出願の拒絶査定について、商標法第34条に基づく不服審判請求事件
(2)商標審査部が下した登録不許可決定書について、商標法第35条に基づく不服審判請求事件
(3)商標審査部が下した登録商標無効宣告決定について、商標法第44条に基づく不服審判請求事件
(4)商標審査部が下した登録商標の取消決定または非取消決定について、商標法第54条に基づく不服審判事件
2.登録商標無効宣告不服審判の審理手続の流れ
登録商標が、商標法第10条・第11条・第12条の規定に違反するとき、または、欺瞞的手段もしくはその他不正手段により登録を受けたときは、商標局が自ら当該登録商標の無効宣告をする場合がある。商標局が登録商標の無効宣告を決定したときは、書面で当事者に通知しなければならない。当事者が商標局の決定に不服であるときは、通知を受領した日から15日以内に、商標審判部に不服審判を請求することができる(商標法第44条第1項)。
登録商標無効宣告不服審判以外の審理手続きの流れについては、別コンテンツ「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その1:拒絶査定不服審判)」、「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その2:登録不許可不服審判)」、「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その4:不使用取消不服審判)」を参照のこと。
中国登録商標無効宣告不服審判フロー
商標審判部における登録商標無効宣告不服審判手続は、(1)請求人による審判請求、(2)方式審査、(3)審判合議体による審理、(4)審決という手順で進められる。
(1)請求人による不服審判請求および補足
不服審判請求するとき、商標審判部に書面の請求書類1部を提出する。また、請求書類を提出した後、証拠を補足する必要がある場合、請求書に声明し、かつ請求日から3ヵ月以内に補足証拠を提出しなければならない。
上述の法定補足期間は延長不可である。実務では、法定期間を過ぎても、引き続き補足証拠を提出できるが、特別な状況でなければ、審判官の参考資料のみになる(商標審判規則(以下「審判規則」という)第23条)。
(2)方式審査
商標審判部は、審判請求書を受領した後、方式審査の要件を具備するか否か、つまり、請求書と証拠が要求の様式で記載されて提出されたか否かなどを審理する。要件を具備するときは、その請求を受理し、請求人に受理通知書を送付する。要件を具備しないときは、請求人に不受理通知書を送付し、かつその理由を説明する。補正が必要な場合、補正通知書を送付し、それを受領した日から30日以内に補正するよう請求人に通知する(実施条例第57条、審判規則第17条)。
(3)審判合議体による審理
審理は、原則として合議制を採用する。通常、3名以上の奇数人数の商標審判官により構成される合議体を結成して審理を行う。ただし、審理事実が明らかで、事情状況が簡潔な事件について、商標審判官1名の単独審判を行うことができる(実施条例第60条、審判規則第27条)。
商標審判事件の審理は、原則として書面審理にて行う。ただし、実施条例第60条の規定により口頭審理を行うと決定された場合はこの限りでない(審判規則第4条)。なお、口頭審理の請求は、必ずしも商標審判部に許可されるとは限らない。実施条例第60条の規定によれば、当事者は口頭審理を要求することができる。この場合、口頭審理を行う必要性についての具体的理由を提出しなければならない。商標審判部は、当事者が提出した理由が十分であるか否かを考慮し、口頭審理を行うか否かを判断することになる。通常は、口頭審理を行わず、書面審理が進められる比率が圧倒的に大きい。
審理を経て終結された事件については、法に基づき審判を終了し、結審する(審判規則第32条)。
(4)審決
商標審判部は、請求人が陳述した理由と提出した証拠を審理して審決を下し、書面の審決を請求人に送付する。審決に不服がある場合には、審決を受領した日から30日以内に、人民裁判所に対して行政訴訟を提起することができる(商標法第34条)。
3.証拠提出の留意点
請求人は、請求の事実に対して挙証責任を有し、請求時には、相応する証拠資料を提出しなければならない。証拠には、書証、物証、視聴資料などが含まれる。
証拠提出の際には、次の点に留意する必要がある。
(1)請求人が商標審判部に書証を提出するときは、原本を提出しなければならない(審判規則第40条)。全ての証拠について原本を提出することは困難であるが、実務上、重要な証拠は、できるだけ原本またはその公証本を提出すべきである。
(2)中国以外の領域で形成された証拠は、その証拠が形成された国で公証・認証手続きを行わなければならない(審判規則第41条)。
(3)外国語証拠を提出するときは、その中国語の翻訳文を添付しなければならない(審判規則第42条)。
中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その1:拒絶査定不服審判)
1.不服審判請求の種類
商標審査部(中国語「商標局」)による拒絶査定通知・登録不許可決定書・登録商標無効宣告決定・不使用取消決定に不服がある場合は、商標審判部(中国語「商標評審委員会」)に対して不服審判請求する。
不服審判請求の種類としては下記4種がある。
(1)商標審査部が下した商標登録出願の拒絶査定について、商標法第34条に基づく不服審判請求事件
(2)商標審査部が下した登録不許可決定書について、商標法第35条に基づく不服審判請求事件
(3)商標審査部が下した登録商標無効宣告決定について、商標法第44条に基づく不服審判請求事件
(4)商標審査部が下した登録商標の取消決定または非取消決定について、商標法第54条に基づく不服審判事件
- 拒絶査定不服審判の審理手続の流れ
拒絶査定不服審判以外の審理手続きの流れについては、別コンテンツ「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その2:登録不許可不服審判)」、「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その3:登録商標無効宣告不服審判)」、「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その4:不使用取消不服審判)」を参照のこと。
中国商標拒絶査定不服審判フロー
商標審判部における拒絶査定不服審判手続は、 (1)請求人による審判請求、(2)方式審査、(3)審判合議体による審理、(4)審決という手順で進められる。
(1)請求人による不服審判請求および補足
不服審判請求するとき、商標審判部に書面の請求書類1部を提出する。また、請求書類を提出した後、証拠を補足する必要がある場合、請求書に声明し、かつ請求日から3ヵ月以内に補足証拠を提出しなければならない。
上述の法定補足期間は延長不可である。実務では、法定期間を過ぎても、引き続き補足証拠を提出できるが、特別な状況でなければ、審判官の参考資料のみになる(商標審判規則(以下「審判規則」という)第23条)。
(2)方式審査
商標審判部は、審判請求書を受領した後、方式審査の要件を具備するか否か、つまり、請求書と証拠が要求の様式で記載されて提出されたか否かなどを審理する。要件を具備するときは、その請求を受理し、請求人に受理通知書を送付する。要件を具備しないときは、請求人に不受理通知書を送付し、かつその理由を説明する。補正が必要な場合、補正通知書を送付し、それを受領した日から30日以内に補正するよう請求人に通知する(商標法実施条例(以下「実施条例」という)第57条、審判規則第17条)。
(3)審判合議体による審理
審理は、原則として合議制を採用する。通常、3名以上の奇数人数の商標審判官により構成される合議体を結成して審理を行う。ただし、審理事実が明らかで、事情状況が簡潔な事件について、商標審判官1名の単独審判を行うことができる(実施条例第60条、審判規則第27条)。
商標審判事件の審理は、原則として書面審理にて行う。ただし、実施条例第60条の規定により口頭審理を行うと決定された場合はこの限りでない(審判規則第4条)。なお、口頭審理の請求は、必ずしも商標審判部に許可されるとは限らない。実施条例第60条の規定によれば、当事者は口頭審理を要求することができる。この場合、口頭審理を行う必要性についての具体的理由を提出しなければならない。商標審判委員会は、当事者が提出した理由が十分であるか否かを考慮し、口頭審理を行うか否かを判断することになる。通常は、口頭審理を行わず、書面審理が進められる比率が圧倒的に大きい。
審理を経て終結された事件については、法に基づき審判を終了し、結審する(審判規則第32条)。
(4)審決
商標審判部は、請求人が陳述した理由と提出した証拠を審理して審決を下し、書面の審決を請求人に送付する。審決に不服がある場合には、審決を受領した日から30日以内に、人民裁判所に対して行政訴訟を提起することができる(商標法第34条)。
3.証拠提出の留意点
請求人は、請求の事実に対して挙証責任を有し、請求時には、相応する証拠資料を提出しなければならない。証拠には、書証、物証、視聴資料などが含まれる。
証拠提出の際には、次の点に留意する必要がある。
(1)請求人が商標審判部に書証を提出するときは、原本を提出しなければならない(審判規則第40条)。全ての証拠について原本を提出することは困難であるが、実務上、重要な証拠は、できるだけ原本またはその公証本を提出すべきである。
(2)中国以外の領域で形成された証拠は、その証拠が形成された国で公証・認証手続きを行わなければならない(審判規則第41条)。
(3)外国語証拠を提出するときは、その中国語の翻訳文を添付しなければならない(審判規則第42条)。