中国における知的財産権侵害関連裁判マニュアル
「知的財産権侵害関連裁判マニュアル」(2023年3月、日本貿易振興機構北京事務所(知的財産権部))
目次
初めに P.6
第1章 中国知的財産権司法制度の概要 P.7
(第1節は知的財産事件の訴訟の動向について、新規受理件数、損害賠償額、地域の傾向、最高人民法院による知的財産権司法保護強化の取組等を紹介しながら解説している(2009年から2021年の中国における知的財産権民事事件及び知的財産権の保有件数の統計情報あり)。第2節は知的財産に関連する法律について、特に最近の法律改正(専利法(2020年)、商標法(2019年)、著作権法(2020年)、反不正競争法(2017年、2019年)等)、および最近の最高人民法院の司法解釈等を紹介している。第3節は中国法院の組織体系および管轄、訴訟制度の概要を説明している。第4節は知的財産権訴訟の流れについて説明している(知的財産権民事訴訟、知的財産権行政訴訟、知的財産権刑事訴訟(公訴および自訴事件別)のフローチャート、訴訟費用の解説あり)。)
第1節 中国知的財産権訴訟形態 P.7
一、知的財産権事件の増加動向 P.7
二、知的財産権訴訟損害賠償の動向 P.9
三、知的財産権事件の地域の特徴 P.12
四、知的財産権訴訟の司法環境 P.13
第2節 中国知的財産権司法制度体系 P.15
一、中国法律体系 P.15
二、知的財産権関連法の検索 P.36
第3節 知的財産権判決に関わる法院の組織体系 P.38
一、中国法院の組織体系 P.38
二、知的財産権審判体系 P.40
三、知識産権法院 P.41
四、知識産権法廷 P.43
五、インターネット法院 P.45
六、「三審合一」裁判モデル P.46
第4節 知的財産権訴訟概要 P.48
一、知的財産権訴訟の分類 P.48
二、知的財産権訴訟の流れ P.53
三、知的財産権訴訟の管轄 P.70
四、知的財産権訴訟の費用 P.81
第2章 訴訟準備の実務 P.86
(第1節は知的財産権侵害行為の発見から救済の基本的な方法を紹介している。第2節は訴訟代理人選定のポイントを紹介している。第3節は訴訟提起する場合の訴訟代理人との確認事項について解説している(知的財産権に関連する民事訴訟事件の訴因例の表あり)。第4節は立件前の重要な準備(弁護士による訴訟前調査、証拠準備)および立件申立て(必要書類、申請の手順(民事訴状の例、オンライン立件の例あり))について紹介している。第5節は中国における証拠保全制度を解説している(2017年から2020年までの知的財産権民事訴訟における公証証書の利用率の表あり)。第6節は司法鑑定手続(鑑定のフローチャートあり)について説明している。)
第1節 権利侵害の監視 P.86
一、権利侵害監視のチームの設立 P.86
二、権利侵害のルート探し P.87
三、訴訟の代わりの選択 P.88
第2節 弁護士の選定 P.93
一、弁護士の選択と評価のポイント P.93
二、事務所に関する情報の入手 P.95
三、弁護士の費用について P.96
四、委任契約の締結 P.97
第3節 法律事務所との確認事項 P.97
一、訴訟リスクの評価 P.97
二、当事者の適格の審査 P.99
三、訴訟のタイミングの確認 P.105
四、訴訟の訴因の確認 P.106
五、管轄法院の確認 P.115
六、侵害責任の確認 P.116
第4節 立件の準備 P.118
一、訴訟前の調査 P.118
二、証拠準備 P.123
三、立件の申請 P.129
第5節 証拠の保全 P.135
一、概要 P.135
二、中国公証制度 P.139
三、認証制度について P.146
四、電子証拠保存 P.152
第6節 司法鑑定 P.160
一、自発的鑑定と司法鑑定との区別 P.160
二、司法鑑定の概要 P.162
第3章 訴訟中の実務 P.170
(第1節は民事訴訟の基本的な制度概要、手続の流れ、証拠提出、調停、民事訴訟の書類を解説している。第2節は知的財産権侵害罪の概要、刑事訴訟手続の流れ(フローチャートあり)、刑事附帯民事訴訟について解説している。第3節は行政訴訟の概要、手続の流れ(フローチャートあり)、権利付与・確定をめぐる行政訴訟の訴因の分析結果等を紹介している。)
第1節 民事訴訟実務 P.170
一、民事訴訟の概要 P.170
二、民事訴訟の流れ P.173
三、挙証 P.178
四、証拠調査 P.189
五、訴訟調停 P.199
六、民事訴訟書類 P.206
第2節 刑事訴訟実務 P.213
一、知的財産権侵害罪の概要 P.214
二、刑事訴訟の流れ P.224
三、刑事附帯民事訴訟 P.233
第3節 行政訴訟の実務 P.239
一、行政訴訟の概要 P.239
二、行政訴訟の流れ P.248
三、権利付与・権利確定をめぐる行政訴訟 P.253
第4章 訴えられた場合の対処法 P.264
(第1節では警告状を受け取った時の対応のポイントを解説している。第2節では侵害訴訟を提起された場合の対応(法律で規定されている抗弁事由の説明あり)について解説している。第3節では専利権侵害への10の抗弁事由、商標権侵害への4つの抗弁事由、著作権侵害への4つの抗弁事由を紹介し、さらに、不正競争侵害(混同行為および営業秘密侵害行為によるもの)への抗弁事由についても説明している。第4節では、権利侵害の告発を受けた場合に取り得る、ダメージ低減のための一般的な措置を紹介している。)
第1節 警告状を受け取った時の対処 P.264
一、警告状に対する評価 P.264
二、警告状の送付先に対する調査 P.265
三、警告状に対する対処手段 P.267
第2節 侵害訴訟への防衛 P.269
一、手続き上の異議申立の可能性について P.269
二、知的財産権を用いて抗弁理由を探す P.272
三、相手の侵害訴訟へ反撃する P.274
四、できる限り権利侵害賠償額を引き下げる P.278
第3節 起訴された場合の抗弁事由 P.279
一、専利権侵害への抗弁事由 P.279
二、商標権侵害への抗弁事由 P.282
三、著作権侵害への抗弁事由 P.291
四、不正競争侵害への抗弁事由 P.295
第4節 いざという時のための準備 P.297
一、製品販売の一時停止 P.298
二、クライアントからの支持を得る P.298
三、権利侵害回避デザインを行う P.299
四、未権利化市場の活用 P.299
五、予備危機管理広報活動 P.300
第5章 訴訟後の実務 P.303
(第1節は、人民法院に発効した判決内容の強制執行を申し立てる際のアドバイスを提示している。第2節は、判決結果が公表される方法を紹介している。また、企業が判決結果を公表する際の留意点を解説している。第3節は、再発防止の手段や懲罰的賠償または重罰に関する規定を紹介している。)
第1節 判決の履行 P.303
一、有効な執行のためのアドバイス P.303
二、強制執行のための手掛りの調査 P.305
三、強制執行の督促手段 P.308
四、強制執行の注意事項 P.310
第2節 判決結果の公表 P.312
一、法院の公表 P.312
二、企業のホームページでの侵害者の情報の公開 P.315
三、適切な宣伝 P.315
四、その他の侵害者への警告の証拠 P.315
第3節 再発防止のための監視 P.316
一、再発の可能性について P.316
二、再発防止の手段 P.316
三、再犯重罰に関する規定 P.321
第6章 訴訟に関するトピックス及び専門研究 P.324
(13の侵害問題の概要と対処方法、研究テーマ等を解説している。)
一、商標の悪意ある抜け駆け出願への対処法 P.324
二、OEM生産の商標侵害問題 P.331
三、商標・専利に係る並行輸入の問題 P.337
四、企業名称による商標権侵害又は不正競争の法律問題研究 P.347
五、インターネットによる知的財産権侵害の対策研究 P.354
六、不法アップグレード及び改修等の権利侵害取締に関する事件処理ガイドライン P.360
七、フォントタイプ関連の著作権の問題 P.369
八、中国医薬品パテントリンケージ制度について P.376
九、グラフィックユーザーインターフェイスの意匠権侵害の問題研究 P.384
十、分業化による他人の専利権侵害行為に関する責任研究 P.393
十一、意匠・実用新案権に関わる判例研究 P.400
十二、知的財産権行政差止命令等の知的財産権保護制度の設置に関する検討 P.408
十三、知的財産権侵害に係る懲罰的賠償制度の研究 P.412
添付資料 P.418
(「資料一」では、知的財産権紛争関連の法令等のURLを紹介している。「資料二」では、5件の専利の侵害事例、5件の商標の侵害事例、3件の著作権の侵害事例、3件のその他の種類の侵害事例を解説している。)
資料一、知的財産権関連の主な法律制度の概要 P.418
資料二、中国における知的財産権関連の高額賠償の典型的事例の概要 P.450
中国における専利局の審査体制および審査状況
1.中国専利局の内部機構
専利局は国家知識産権局に直属しているもので、その内部には以下の組織図のように事務室、人事教育部、審査業務管理部、複審および無効審理部(拒絶査定不服審判および無効審判の審理を担当する専利複審委員会は、2019年に専利局に編入され、専利局の内部機構の一つとなった)、方式審査(形式審査)およびプロセッシング管理部、機械発明審査部、電気発明審査部、通信発明審査部、医薬バイオ発明審査部、化学発明審査部、光電技術発明審査部、材料工程発明審査部、実用新案審査部、意匠審査部、特許文献部、自動化部、党委員会、審査協力北京センター(2001年設立)、審査協力江蘇センター(2011年9月設立)、審査協力広東センター(2011年9月設立)、審査協力河南センター(2012年11月)、審査協力湖北センター(2013年1月設立)、審査協力天津センター(2013年9月設立)、審査協力四川センター(2013年10月設立)、中国特許技術開発公司の25の内部機構が設けられている。
図1:中国専利局組織図
2.専利(特許、実用新案、意匠)の審査に関わる各内部機構の役割
上記25の内部機構のうち専利出願の審査と直接関係する部門は、審査業務管理部、方式審査およびプロセッシング管理部、複審および無効審理部、機械発明審査部、電気発明審査部、通信発明審査部、医薬バイオ発明審査部、化学発明審査部、光電技術発明審査部、材料工程発明審査部、実用新案審査部、意匠審査部、審査協力北京センター、審査協力江蘇センター、審査協力広東センター、審査協力河南センター、審査協力湖北センター、審査協力天津センター、審査協力四川センターとなっている。これらの内設機構には各々多くの役割を有しているが、専利審査手続における主な役割は以下のとおりである。
審査業務管理部 | 専利審査手続における各業務部門間および代理機構との調整、出願書類の移送および管理、関係データの収集、期限の管理、および統計作業等 |
方式審査およびプロセッシング管理部 | 出願関係書類の受理、特許の方式審査、専利出願書類の管理、専利証書の発行、専利公報の編集および出版、出願に関わる庁費用の管理、特許と実用新案の分類等 |
複審および無効審理部 | 専利出願や集積回路配置図設計登録出願の拒絶査定不服審判、専利権無効審判、集積回路配置図設計専有権の取消審判、審決取消訴訟への応訴、専利や集積回路配置図設計に係る権利確定および権利侵害に関する技術判定の調査業務、裁判所や専利管理部門からの依頼を受けた場合の専利に係る権利確定および権利侵害事件の処理に関する専門意見の提出 |
機械発明審査部 電気発明審査部 通信発明審査部 医薬バイオ発明審査部 化学発明審査部 光電技術発明審査部 材料工程発明審査部 |
各技術分野の特許出願に対する実体審査等 |
実用新案審査部 | 実用新案出願の方式審査、出願書類の管理等 |
意匠審査部 | 意匠出願の分類・審査・登録、登録前後のプロセッシング管理および事務処理、意匠出願および出願書類の管理、意匠に関する庁費用の管理、書誌事項の修正等 |
審査協力北京センター 審査協力江蘇センター 審査協力広東センター 審査協力河南センター 審査協力湖北センター 審査協力天津センター 審査協力四川センター |
専利出願の実体審査、PCT出願の国際段階の予備審査等 |
3.特許出願が専利局に提出された後、専利局の各内部機構間での通常の流れ
通常、特許出願が専利局に提出されると、まず方式審査およびプロセッシング管理部にて受理され、公開手続のための情報の編集と加工(分類番号の付与、要約の編集等)が行われる。実体審査着手のための条件が充たされると、管理システム上は「実体審査待ち」の旨の標識が付与され、各実体審査部門の審査官が管理システムから取り出しうる状態になる。
各審査部門に属する審査官は、担当分野等に応じて、あらかじめ割当てられた管轄分類番号に基づき、管理システムからランダムに案件を取出し、実体審査を行う。実体審査完了後、案件は方式審査およびプロセッシング管理部に戻され、関係通知書(拒絶理由通知書、補正通知書、特許査定通知書または拒絶査定通知書等)が発行されることになる。専利出願が拒絶査定された場合または登録を受けた専利権に対して無効審判が請求された場合、これらの審判は複審および無効審理部の審理管轄となる。
4.専利局本庁にある各発明審査部と各地方に設けられた審査協力センターの担当分け
専利局本庁にある各発明審査部と各地方に設けられた審査協力センターは、いずれも特許出願を審査する役割を担っているが、特許出願は以下の基準で審査部門が決められる。
現在、専利局本庁にある各発明審査部は、主にPCT出願の審査、新人審査官への業務指導、課題研究およびPCT出願以外の出願の一部について実体審査を担当している。
各地方の審査協力センターは、主に特許出願の実体審査や課題研究を担当し、PCT出願の国際段階の検索と予備審査作業の一部を担当している。また、一部の地方センターは拒絶査定不服審判作業にも関与している。各審査協力センターは、その所有する審査官の所属分野の状況等に応じて担当技術分野に偏りがある。例えば、湖北センターは武漢光谷に設立されており、光通信技術に強い審査官が相対的に多いため、この分野の特許出願の審査は湖北センターの審査官により担当される可能性が高くなる。
5.専利局における審査の品質評価体制
専利局には、審査の品質評価体制がある。通常、4段階の品質検査が設けられており、1段階目は処(審査部内でさらに技術分野に応じて細分化した単位)内での品質検査、2段階目は審査部レベルの品質検査、3段階目は審査協力センターレベルの品質検査、4段階目は局レベルの品質検査となっている。
処内での検査に関しては、審査官間の相互検査であり、互いに審査の問題を検査および解決することを図る。
審査部レベルの品質検査に関しては、部内に副部長が統括する品質検査グループが設けられており、当該品質検査グループにより所定の抽出率で部内の案件をサンプリングして検査し、問題が発見されると、即時に審査官にフィードバックされる。審査官の担当案件に問題が多く発見されると、部長からの個別面談を受けるのみならず、年間評価にも反映される。
審査協力センターレベルの品質検査は、主に審査部レベルで検査を受けた案件の一部を対象として再検査を実施するものである。この段階の品質検査で発見された問題は、その審査部にフィードバックされ、当該審査部の年間評価に反映される。
局レベルの品質検査は、主に専利局長官への報告用のものであり、各審査協力センターや審査部門、審査官にフィードバックされない。
上記4段階の品質検査のうち、1、2段階は関係オフィスアクションの発行前に実施される検査であるため、事前検査と呼ばれる一方、3、4段階は関係オフィスアクションの発行後に実施される検査であるため、事後検査と言われる。
以上のような体制で特許審査の品質が保証される。
6.専利局の審査状況
近年、中国専利局は専利の審査周期を短縮するために審査スピードを速めつつある。2022年1月6日に開催された全国知識産研局局長会で発表された情報(https://www.cnipa.gov.cn/art/2022/1/7/art_53_172646.html)によれば、特許出願の平均審査期間は、2016年の約22か月から2021年の約18.5か月、高価値特許*1出願の平均審査期間は2021年に13.3か月と大幅に短縮されていた。また、2022年3月16日に公表された「知的財産権の高品質の発展を促進するための年間作業ガイドライン(2022)」(「推动知识产权高质量发展年度工作指引(2022)」)(https://www.cnipa.gov.cn/art/2022/3/21/art_551_174161.html)によれば、2022年末の審査期間の目標は、16.5か月、高価値特許は13.8か月である。
*1: 2021年4月26日に中国知識産権局が開催した第2四半期の記者会見において、中国知識産権局戦略企画司、葛樹司長が、「高価値特許とは、中国の重点産業の発展方向に相応しく、特許の品質が高く、価値の高い有効特許をいい、主には以下の5種類のものを含む:(1)戦略的新興産業に該当する特許、(2)海外でファミリ出願を有する特許、(3)10年間以上も有効維持した特許、(4)高い融資金額で質権を設定した特許、(5)国家科学技術賞または中国特許賞を受賞した特許。」と示した(https://www.cnipa.gov.cn/col/col2599/index.html)。
図2から図4は、専利局の公開データ(专利统计年报等)に基づいた出願件数の遷移グラフである。
図2:中国専利出願件数の遷移(2013~2021年)
図3:中国PCT国際出願受理件数の遷移(2013~2021年)
図4:中国専利登録件数の遷移(2013~2021年)
中国の知的財産関連機関・サイト
1.立法機関
・全国人民代表大会 http://www.npc.gov.cn/
中華人民共和国全国人民代表大会は国家の最高権力機関および立法機関であり、その常設機関として全国人民代表大会常務委員会がある。全国人民代表大会は、行政機関、司法機関、検察機関に優越し、これらの機関の構成員の選出および監督を行う。全国人民代表大会の代表(議員)の任期は5年で、大会は毎年1回開催される。
2.行政機関
・中華人民共和国中央人民政府(中国語「中华人民共和国中央人民政府」) https://www.gov.cn/
中華人民共和国国務院、すなわち中華人民共和国中央人民政府は、最高国家権力を持つ執行機関であり、最高国家行政機関である。総理、副総理、国務委員、各部部長、各委員会主任、審計長、秘書長などで組織され、任期は全国人民代表大会の代表と同様の5年である。総理、副総理、国務委員は連続して2期を超えて就任してはならない。
・国家知識産権戦略網(中国語「国家知识产权战略纲」) http://www.nipso.cn/
国家知的財産戦略網は、国家知的財産戦略実施工作部際連席会議弁公室により運営されるサイトであり、国家知的財産権戦略の実施企画の制定、指導、督促、関連政策措置の実施の検査、国家知的財産権戦略の実施過程における重大問題の調和と解決、国家知的財産権戦略実施における重大政策措置の研究と国務院への提案、国家知的財産権戦略実施に関するその他の重要事項の研究、調和等に関する最新情報を総合的に紹介している。
・国家知識産権局(中国語「国家知识产权局」) http://www.cnipa.gov.cn/
国家知識産権局は国家市場監督管理総局に管理される機関であり、専利・商標に関する審査・保護業務の推進、関連部門とともに中国国家知的財産戦略を実施すること、専利管理の基本的な秩序の構築(政策や制度の策定)、半導体集積回路の回路配置権に関する業務、専利・商標に関する法律法規および政策の宣伝普及活動などを職責とする。
・国家知識産権局専利局復審・無効審判部(*)(中国語「国家知识产权局专利局复审和无效审理部」) https://www.cnipa.gov.cn/col/col2632/index.html
国家知識産権局専利局復審・無効審判部は、専利法第41条に基づき国家知識産権局専利局によって設立され、専利局により拒絶された専利、集積回路の配置設計占有権の出願拒絶に対する不服審判や、専利権無効宣告等を行う。技術専門家と法律専門家で組織される。
(*)トップページの表記は「专利复审和无效」(専利覆審・無効)である。
・国家市場監督管理総局(中国語「国家市场监督管理总局」) https://www.samr.gov.cn
国家市場監督管理総局は、市場監督管理と関連する行政法執行業務を主管する国務院直属機関である(日本の行政機関における省と同等の権限を有する)。市場経営の流通、販売における行政法規の執行、法律法規の草案および政策の作成、監督管理、不正行為に対する指導、製品の品質と食品の安全性の規制や消費者の権利保護、国際協力と交流などが主な職責である。
・国家知識産権局商標局(中国語「国家知识产权局商标局」)http://sbj.cnipa.gov.cn
商標法に基づき、国家市場監督管理総局に管理される国家知識産権局商標局が全国の商標登録と管理を行い、各地工商行政管理部門は商標の使用行為について監督管理を行う。職権または権利者の申請により、登録商標専用権の侵害行為を取り締まり、商標権者と消費者の合法的な権益を保護する。2018年、中国機関編制委員会の公告により、元国家工商行政管理総局商標局、元商標評審委員会、元商標審査協作センターを統合して、国家知識産権局商標局を設立した。
・元商標評審委員会(中国語「原商标评审委员会(原商標評審委員会)」)[廃止]
元商標評審委員会は、商標法に基づき、商標における紛争問題の処理を担当し、主として、商標局による商標出願の拒絶査定、不登録裁定、商標取消裁定に対する当事者の不服審判請求への審理、登録商標に対する無効審判請求への審理、商標審判事件の審決取消訴訟への対応等を行う。2018年に国家知識産権局商標局に統合され、旧ウェブサイトにあった資料は国家知識産権局商標局中国商標網(中国語「中国商标网」 http://sbj.cnipa.gov.cn/sbj/index.html)に移された。
・中国税関(中国語「海关总署(海関総署」)
http://online.customs.gov.cn/static/pages/home.html
中国税関は国務院直属の機関であり、全国の税関を統一管理している。現在は、22の内部部門、13の直属事業組織、2の社会団体を管理している。
・中華人民共和国商務部(中国語「中华人民共和国商务部」) http://www.mofcom.gov.cn/
中華人民共和国商務部は国内外の貿易と国際経済協力を主管する国務院の組織である。国内外貿易と国際経済協力の発展戦略政策の立案、流通産業の構造調整・発展企画の策定、市場経済秩序の整備、全国の外国投資業務についてのガイドラインや政策の提供等を職責とする。
・中華人民共和国司法部(中国語「中华人民共和国司法部」) http://www.chinalaw.gov.cn/
中華人民共和国司法部は、総理に協力して法制処理業務を補助する機関であり、国務院に属する機関である。主に、国務院の立法業務についての検討や法律法規・行政法規の起草や審査、法治国家建設に関わる政策の検討、政府法制策定の推進、法律の問題点の研究、改正、削除、宣伝、交流などに加えて、監獄の管理および法律専門資格試験の実施などの業務も行う。
・国家著作権局(中国語「国家版权局」) https://www.ncac.gov.cn/
国家著作権局は、著作権に関連する法律法規の実施や草案作成、著作権管理における規則や重要な措置の実施と監督検査、著作権管理団体の審査、地方著作権行政管理部門の指導、大きな影響が生じた著作権事件の対応、著作権条約の交渉、調印等を行う。
3.司法機関
・中華人民共和国最高人民法院(中国語「中华人民共和国最高人民法院」) https://www.court.gov.cn/
(現在つながりません)
最高人民法院は、中国における最高司法機関であり、最上級の裁判所である。司法解釈の制定、地方各級人民法院および専門人民法院の裁判業務の監督を行い、また、法律で定められた職責の範囲内において、全国法院の司法行政業務を管理する(専門人民法院とは、軍事法院と海事法院、知的財産法院等を指す)。
・北京市第一中級人民法院(中国語「北京市第一中级人民法院」) http://bj1zy.bjcourt.gov.cn/index.shtml
北京市第一中級人民法院は、海淀、石景山、昌平、門頭溝、延慶の5つの地区からなる管轄地域内の国家安全を脅かす案件、無期懲役以上の刑罰に処する可能性がある刑事案件、あるいは外国人犯罪の刑事事件、管轄区内の影響力がある一審の民商事事件、知的財産事件、行政事件についての裁判を行う。また、管轄内の法院裁判に対する不服の提訴、あるいは検察機関が控訴する二審案件、WTO加入後の専属管轄における知的財産関連の行政案件および最高人民法院から与えられた重大案件などの裁判を行う。
・北京市第二中級人民法院(中国語「北京市第二中级人民法院」) http://bj2zy.bjcourt.gov.cn/index.shtml
北京市第二中級人民法院は、1995年4月に市人民代表大会常務委員会の採択を得て設立され、東城、西城、豊台、大興、房山を含む北京の5つの地区で発生した重大な一審案件および同基層法院の上訴案件の受理、同時に最高人民法院が指定した管轄内の重大案件の裁判を担う。
・北京市第三中級人民法院(中国語「北京市第三中级人民法院」)
http://bj3zy.bjcourt.gov.cn/index.shtml
2013年8月に設立され、北京の朝陽、通州、順義、懐柔、平谷、密雲の6つの地区につき、法律上で中級裁判所による管轄すべく刑事、民事、商事、行政の第一審事件、および前記地区の法院裁判に対する控訴、あるいは検察機関が控訴する二審案件などの裁判を担う。
・北京市第四中級人民法院(中国語「北京市第四中级人民法院」)
http://bj4zy.bjcourt.gov.cn/index.shtml
2014年12月に北京で設立された行政区域を跨ぐ中級裁判所であり、主な管轄範囲は、北京の区人民政府を被告とする行政事件の第一審、管轄レベルに応じて中級人民法院に属する北京の融資契約紛争、保険紛争の第一審の民事事件、北京で管轄すべく訴訟金額が2億元以下の香港、マカオ、台湾を含む外国関連の商事事件、地域を跨ぐ重大な環境資源保護事件、重大な食品・医薬品安全の第一審事件、天津鉄路運輸法院が審理する環境保護行政事件の控訴事件、北京海淀区人民法院、天津鉄路運輸法院、石家荘鉄路運輸法院が審理する鉄路特別管轄事件の一審裁判に対する控訴事件などである。
・北京知識産権法院(中国語「北京知识产权法院」) http://bjzcfy.chinacourt.gov.cn/index.shtml
2014年に設立され、北京市における特許、実用新案、意匠、コンピュータプログラム、半導体集積回路の回路配置、植物新品種、ノウハウおよび著名商標の認定に関する行政・民事事件、ならびに国家知識産権局専利局・商標局の決定に対する取消請求事件等を管轄する。
・北京法院網(中国語「北京法院网」) http://bjgy.bjcourt.gov.cn/index.shtml
北京市高級人民法院により運営されるサイトであり、社会に向けて、豊富な法律情報や、権威ある法院情報、迅速な裁判情報を提供することを目的としている。北京法院や司法改革、刑法学会等に関する情報が閲覧できる。
・上海法院網(中国語「上海法院网」) http://shfy.chinacourt.gov.cn/index.shtml
上海市の各法院の紹介、判例の紹介等を行うサイトであり、上海市高級人民法院をはじめとする上海市第一中級人民法院及びその傘下の7つの基層人民法院、上海市第二中級人民法院及びその傘下の9つの基層人民法院、上海市第三中級人民法院(上海知識産権法院、上海鉄路中級法院と共同で事務を行う)、上海海事法院、上海金融法院、上海鉄路法院に関するニュースや、審判業務に関する情報公開、審判に関する分析、知的財産権訴訟を含む訴訟ガイド、各法院や裁判官に関する紹介等が掲載されている。
・上海知識産権法院(中国語「上海知识产权法院」) http://shzcfy.gov.cn
2014年に設立され、上海市における特許、実用新案、意匠、コンピュータプログラム、半導体集積回路の回路配置、植物新品種、ノウハウおよび著名商標認定に関する行政・民事事件、ならびに地方の知的財産行政部門の決定に対する取消請求事件等を管轄する。
・広州知識産権法院(中国語「广州知识产权法院」) http://www.gipc.gov.cn/
2014年に設立され、広東省における特許、実用新案、意匠、植物新品種、半導体集積回路の回路配置、営業秘密、コンピュータプログラム関連の一審・行政訴訟事件、著名商標認定に関する一審民事訴訟事件、ならびに広州市各地裁による著作権、商標、技術契約、不正競争防止関連の判決や裁定に対する不服が申立てられた場合に控訴審事件等を管轄する。
4.その他知的財産関係機関・サイト
・中国専利情報センター(中国語「中国专利信息中心」) http://www.cnpat.com.cn
専利情報センターは国家知識産権局直属の事業団体であり、国家級の専利情報サービス機構として、情報システムの運用と研究開発、専利情報の提供等を行っている。国家知識産権局専利局から専利データバンクの管理権、使用権と総合サービスの提供の経営権を与えられている。
・知的財産権出版社(中国語「知识产权出版社有限责任公司」) http://www.ipph.cn/
国家知識産権局が主管する中国専利文献の法定出版機関であり、国家新聞出版総署により許可された国家級図書、定期刊行物、電子出版機関である。書籍、定期刊行物、専利文献の従来の出版、オンライン出版、専利情報サービス、システムの開発やデータ加工等の、知的財産に関する情報サービスを一体化した総合的な出版機関である。
・中国裁判文書網(中国語「中国裁判文书网」) https://wenshu.court.gov.cn
(現在つながりません)
最高人民法院が管理している中国の判決文公開ウェブサイトである。知的財産関連の判決文も収録され、2022年8月の時点「中国裁判文書網」サイトは1.35億件以上の判決文を公開している。
・JETRO https://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/
日本貿易振興機構(JETRO)が運営しているウェブサイトである。中国国内の各種統計、経済データ、通商政策、法律改正情報等の収集、日本からの出張者への一般経済概況ブリーフィングの実施、中国に進出した日系企業の各種相談の受付、日中企業のビジネスマッチングを目的とする日本企業への対中輸出支援事業や調達展示会を実施している。また、進出日系企業の中国国内における商標、特許、意匠、実用新案等の知的財産権保護活動を支援している。
中国におけるインターネット法院の現状と知財案件動向について
「中国インターネット法院の現状と知財案件動向調査」(2021年3月、日本貿易振興機構 広州事務所)
第一章 はじめに P.1
第二章 中国における知財司法保護状況 P.2
(中国において2014年から2019年までに行われた知財関連の司法体制改革、2019年、2020年に行われた関連法制の制定・改正、3つのインターネット法院(杭州、北京、広州)における事件の状況、各法院のIT化またはAI化の事例および成果、各法院における裁判情報の公開の状況および具体的な検索方法を紹介している。)
第一節 中国における最近の司法動向 P.2
第二節 インターネットに関わる事件の傾向 P.10
第三節 中国法院のIT化・AI化 P.14
第四節 法院の裁判情報の公開状況 P.20
第三章 インターネット法院の概要 P.28
(2017年から2020年までのインターネット法院の状況、インターネット法院の4つの特徴、インターネット法院が受理できる11種類の事件、管轄地域および控訴法院を紹介している。)
第一節 インターネット法院の誕生及び発展 P.28
第二節 インターネット法院の特徴 P.30
第三節 インターネット法院の管轄範囲及び控訴法院 P.32
第四章 インターネット法院とその他主体との連携 P.34
(杭州にある12の調停機関の名称、北京にある27の調停機関の名称、広州にある57の各種社会機構の概要について紹介している。また、各インターネット法院が構築した司法ブロックチェーン(情報を認証し記録する技術)を紹介している。)
第一節 外部調停機関の連携 P.34
第二節 司法システムと社会団体共同でブロックチェーンを構築する P.37
第五章 インターネット法院における実務 P.41
(訴訟手続概要(フローチャートあり)および、北京インターネット法院の電子訴訟プラットフォームでの手続の操作方法を説明している。訴訟費用やインターネット法院で結審した案件の執行実現方法および執行された案件を紹介している。また、技術調査官の導入、インターネット法院の利点および欠点について解説している。)
第一節 訴訟手続き P.41
第二節 証拠収集 P.51
第三節 損害賠償、合理的な支出及び訴訟費用 P.55
第四節 裁判執行 P.57
第五節 専門家と技術点調査員の導入と役割 P.59
第六節 メリット・デメリット紹介 P.60
第六章 インターネット法院の裁判例紹介 P.62
(情報ネットワーク伝達権侵害案件と金融借款契約紛争案件、ネットショッピング契約紛争案件に関する4件の判決を紹介し、インターネット法院における裁判の観点を説明している。)
第一節 情報ネットワーク伝達権侵害案件に関する紹介 P.62
第二節 金融借款契約紛争案件に関する紹介 P.65
第三節 ネットショッピング契約紛争案件に関する紹介 P.67
第七章 インターネット法院における訴訟 P.69
(インターネット法院の現在と今後の方向性、一審終結の割合が高いこと、日系企業の注目度は高いものの活用は不足していること、代理人委託、公証などの注意事項を紹介している。)
第一節 インターネット法院の審理品質と今後方向性の予測 P.69
第二節 判決後の実行性と効果 P.71
第三節 日系企業の運用状況と注意点 P.72
第八章 まとめ P.74
中国の知的財産関連機関・サイト
1.立法機関
・全国人民代表大会 http://www.npc.gov.cn/
中華人民共和国全国人民代表大会は国家の最高権力機関および立法機関であり、その常設機関として全国人民代表大会常務委員会がある。全国人民代表大会は、行政機関、司法機関、検察機関に優越し、これらの機関の構成員の選出および監督を行う。全国人民代表大会の代表(議員)の任期は5年で、大会は毎年1回開催される。
2.行政機関
・中華人民共和国中央人民政府 https://www.gov.cn/
中華人民共和国国務院、すなわち中華人民共和国中央人民政府は、最高国家権力を持つ執行機関であり、最高国家行政機関である。総理、副総理、国務委員、各部部長、各委員会主任、審計長、秘書長などで組織され、任期は全国人民代表大会の代表と同様の5年である。総理、副総理、国務委員は継続的に2期就任してはならない。
・国家知識産権戦略網 http://www.nipso.cn/
国家知的財産戦略網は、国家知的財産戦略実施工作部際連席会議弁公室により運営されるサイトであり、国家知的財産権戦略の実施企画の制定、指導、督促、関連政策措置の実施の検査、国家知的財産権戦略の実施過程における重大問題の調和と解決、国家知的財産権戦略実施における重大政策措置の研究と国務院への提案、国家知的財産権戦略実施に関するその他の重要事項の研究、調和等に関する最新情報を総合的に紹介している。
・国家知識産権局 http://www.cnipa.gov.cn/
国家知識産権局は国家市場監督管理総局に管理される機関であり、専利・商標に関する審査・保護業務の推進、関連部門とともに中国国家知的財産戦略を実施すること、専利管理の基本的な秩序の構築(政策や制度の策定)、集積回路の回路配置権に関する業務、専利・商標に関する法律法規および政策の宣伝普及活動などを職責とする。
・国家知識産権局専利局復審・無効審判部(中国語「国家知识产权局专利局复审和无效审理部」) http://reexam.cnipa.gov.cn/
国家知識産権局専利局不服・無効審判部は、専利法第41条に基づき国家知識産権局専利局によって設立され、専利局により拒絶された専利、集積回路の配置設計占有権の出願拒絶に対する不服審判や、専利権無効宣告等を行う。技術専門家と法律専門家で組織される。
・国家市場監督管理総局 http://www.samr.gov.cn
国家市場監督管理総局は、市場監督管理と関連する行政法執行業務を主管する省部級国務院直属機関である(日本の行政機関における省と同等の権限を有する)。市場経営の流通、販売における行政法規の執行、法律法規の草案および政策の作成、監督管理、不正行為に対する指導、製品の品質と食品の安全性の規制や消費者の権利保護、国際協力と交流などが主な職責である。
・国家知識産権局商標局 http://sbj.cnipa.gov.cn
商標法に基づき、国家市場監督管理総局に管理される国家知識産権局商標局が全国の商標登録と管理を行い、各地工商行政管理部門は商標の使用行為について監督管理を行う。職権または権利者の申請により、登録商標専用権の侵害行為を取り締まり、商標権者と消費者の合法的な権益を保護する。2018年、中国機関編制委員会の公告により、元国家工商行政管理総局商標局、元商標評審委員会、元商標審査協作センターを統合して、国家知識産権局商標局を設立した。
・元商標評審委員会(中国語「原商标评审委员会(原商標評審委員会)」) http://spw.sbj.cnipa.gov.cn
元商標評審委員会は、商標法に基づき、商標における紛争問題の処理を担当し、主として、商標局による商標出願の拒絶査定、不登録裁定、商標取消裁定に対する当事者の不服審判請求への審理、登録商標に対する無効審判請求への審理、商標審判事件の審決取消訴訟への対応等を行う。2018年に国家知的財産局商標局に統合した。
・中国税関(中国語「海关总署(海関総署)」) http://www.customs.gov.cn/
中国税関は国務院直属の機関であり、全国の税関を統一管理している。現在は、17の内部部門、6の直属事業組織、4の社会団体を管理している。
・中国商務部 http://www.mofcom.gov.cn/
中国商務部は国内外の貿易と国際経済協力を主管する国務院の組織である。国内外貿易と国際経済協力の発展戦略政策の立案、流通産業の構造調整・発展企画の策定、市場経済秩序の整備、全国の外国投資業務についてのガイドラインや政策の提供等を職責とする。
・中華人民共和国司法部 中国政府法制信息網 http://www.chinalaw.gov.cn/
中華人民共和国司法部は、総理に協力して法制処理業務を補助する機関であり、国務院に属する機関である。主に、国務院の立法業務についての検討や法律法規・行政法規の起草や審査、法治国家建設に関わる政策の検討、政府法制策定の推進、法律の問題点の研究、改正、削除、宣伝、交流などに加えて、監獄の管理および法律専門資格試験の実施などの業務も行う。
・中国著作権局(中国語「中華人民共和国国家版权局(版権局)」) http://www.ncac.gov.cn/
中国著作権局は、著作権に関連する法律法規の実施や草案作成、著作権管理における規則や重要な措置の実施と監督検査、著作権管理団体の審査、地方著作権行政管理部門の指導、大きな影響が生じた著作権事件の対応、著作権条約の交渉、調印等を行う。
3.司法機関
・最高人民法院 http://www.court.gov.cn/
最高人民法院は、中国における最高司法機関であり、最上級の裁判所である。司法解釈の制定、地方各級人民法院および専門人民法院の裁判業務の監督を行い、また、法律で定められた職責の範囲内において、全国法院の司法行政業務を管理する(専門人民法院とは、軍事法院と海事法院を指す)。
・北京市第一中級人民法院 http://bj1zy.chinacourt.org/
北京市第一中級人民法院は、八区一県で組織されている管轄地域内の国家安全を脅かす案件、無期懲役以上の刑罰に処する可能性がある刑事案件、或いは外国人犯罪の刑事事件、管轄区内の影響力がある一審の民商事事件、知的財産事件、行政事件についての裁判を行う。また、管轄内の法院裁判に対する不服の提訴、あるいは検察機関が控訴する二審案件、WTO加入後の専属管轄における知的財産関連の行政案件および最高法院から与えられた重大案件などの裁判を行う。
・北京市第二中級人民法院 http://bj2zy.chinacourt.org/
北京市第二中級人民法院は、1995年4月に市人民代表大会常務委員会の採択を得て設立され、北京東部の8つの区県内で発生した重大な一審案件および同基層法院の上訴案件の受理、同時に最高人民法院が指定した管轄内の重大案件の裁判を担う。
・北京知的財産法院 http://bjzcfy.chinacourt.gov.cn/index.shtml
2014年に設立され、北京市における特許、実用新案、意匠、コンピュータ・プログラム、集積回路の回路配置、植物新品種、ノウハウおよび著名商標の認定に関する行政・民事事件、ならびに国家知識産権局専利局・商標局の決定に対する取消請求事件等を管轄する。
・北京法院網 http://bjgy.chinacourt.org/
北京市高級人民法院により運営されるサイトであり、社会に向けて、豊富な法律情報や、権威ある法院情報、迅速な裁判情報を提供することを目的としている。北京法院や司法改革、刑法学会等に関する情報が閲覧できる。
・上海法院網 http://shfy.chinacourt.org/index.shtml
上海市の各法院の紹介、判例の紹介等を行うサイトであり、上海市高級人民法院をはじめとする上海市の7つの第一中級人民法院、5つの鉄路法院、1つの海事法院および10の第二中級人民法院に関するニュースや、審判業務に関する情報公開、審判に関する分析、知的財産権訴訟を含む訴訟ガイド、各法院や裁判官に関する紹介等が掲載されている。
・上海知的財産法院 http://www.shzcfy.gov.cn/
2014年に設立され、上海市における特許、実用新案、意匠、コンピュータ・プログラム、集積回路の回路配置、植物新品種、ノウハウおよび著名商標認定に関する行政・民事事件、ならびに地方の知的財産行政部門の決定に対する取消請求事件等を管轄する。
・広州知的財産法院 http://www.gipc.gov.cn/
2014年に設立され、広東省における特許、実用新案、意匠、植物新品種、集積回路の回路配置、営業秘密、コンピュータ・プログラム関連の一審・行政訴訟事件、著名商標認定に関する一審民事訴訟事件、ならびに広州市各地裁による著作権、商標、技術契約、不正競争防止関連の判決や裁定に対する不服が申し立てられた場合に控訴審事件等を管轄する。
4.その他知的財産関係機関・サイト
・専利情報センター(中国語「专利信息中心(専利信息中心)」) http://www.cnpat.com.cn
専利情報センターは国家知的財産局直属の事業団体であり、国家級の専利情報サービス機構として、情報システムの運用と研究開発、専利情報の提供等を行っている。国家知識産権局専利局から専利データバンクの管理権、使用権と総合サービスの提供の経営権を与えられている。
・中国知的財産網(知的財産権出版社) http://www.ipph.cn/
国家知識産権局が主管する中国専利文献の法定出版機関であり、国家新聞出版総署により許可された国家級図書、定期刊行物、電子出版機関である。書籍、定期刊行物、専利文献の従来の出版、オンライン出版、専利情報サービス、システムの開発やデータ加工等の、知的財産に関する情報サービスを一体化した総合的な出版機関である。
・中国裁判文書網 https://wenshu.court.gov.cn
最高人民法院が管理している中国の判決文公開ウェブサイトである。知的財産関連の判決文も収録され、2020年1月の時点で判決文8千万件以上を公開している。
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・JETROウェブサイト https://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/
日本貿易振興機構(JETRO)が運営しているウェブサイトである。中国国内の各種統計、経済データ、通商政策、法律改正情報等の収集、日本からの出張者への一般経済概況ブリーフィングの実施、中国に進出した日系企業の各種相談の受付、日中企業のビジネスマッチングを目的とする日本企業への対中輸出支援事業や調達展示会を実施している。また、進出日系企業の中国国内における商標、特許、意匠、実用新案等の知的財産権保護活動を支援している。