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中国における商標制度のまとめ―手続編

1.出願に必要な書類
 商標登録出願人は、定められた商品分類表に基づき商標を使用する商品区分および商品名を明記し、登録出願しなければならない(商標法第22条)。
 商標登録出願人は、一つの出願において、多数の区分について同一の商標を登録出願することができる(同第22条)。

〔出願必要書類〕(商標法実施条例第13条、第14条)
 ① 願書
 ・記載情報:a.出願人名義(中英)、住所(中英)。
       b.商標見本およびその説明
       c.指定商品・役務
       d.その他必須な内容
 ② 身元証明書類
 ・日本法人の場合、会社登記簿謄本(3か月以内のものでなくても良い)の写し。
 ・日本自然人の場合、パスポートトップページの写しまたは運転免許証の写し。
 ③ 委任状

2.登録できる商標/登録できない商標
(1) 登録できる商標の種類(商標法第8条)
 文字、図形、立体、音、色彩のみ、その他(上記の組み合わせ)

(2) 登録できない商標の種類(商標法第8条の反対解釈)
 ホログラム、動き、トレードドレス、匂い、味、触感
(*中国には、標準文字制度はない。)

(3) 通常の商標以外の制度(商標法第3条、第13条)
 団体標章、証明標章、その他(商品商標、役務商標、馳名商標、著名商標)

関連記事:「中国における保護される商標の類型」(2021.05.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19984/

関連記事:「中国における歌手名等からなる商標」(2014.12.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/7434/

関連記事:「中国改正商標法及び実施条例の主な改正点」(2016.01.12)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10201/

関連記事:「中国における証明商標制度」(2014.05.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/6044/

関連記事:「中国における模倣対策マニュアル」(2021.09.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/20866/
※「第8章その他の主要トピック」の第2節に「商号の問題」(p.302)について解説されている。

関連記事:「中国における商号と商標との関係」(2023年04月06号)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/license/34139/

<参考情報>
 自然人、法人またはその他の組織の商品を他人の商品と区別することができる文字、図形、アルファベット、数字、立体的形状、色彩の組合せ及び音声等、並びにこれらの要素の組合せを含む標章は、すべて商標として登録出願することができる(中国商標法第8条)。

3.出願の言語
 出願手続は中国語を使用しなければならない(商標法実施条例第6条)。
 商標が外国文字である、または外国文字を含む場合には、その意味を説明しなければならない(商標法実施条例第13条第7項)。
 商標法実施条例第13条第7項に基づき、商標中の外国文字は、実質的には、翻訳しなければならない。

関連記事:「中国における商標出願制度概要」(2020.04.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18449/

4.グレースピリオド(出願時の特例)
 中国政府が主催または承認した国際展示会に出展した商品に最初に使用された商標であって、かつ当該商品が出展された日から6か月以内であるときは、当該商標の出願人は、優先権を享受することができる(商標法第26条)。

5.審査
(1) 実体審査:あり(商標法第28条)

<参考情報>
 商標局は、商標登録出願について、商標登録出願書類の受領日から9か月以内に審査を完了し、本法の関連規定に適合する場合は、予備認可(初步审定)の公告をしなければならない(商標法第28条)。

関連記事:「中国における商標出願制度概要」(2020.04.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18449/

(2) 早期審査
 なし

<参考情報>
「商標登録出願に関する早期審査弁法(試行)」が2022年1月14日に施行されたが、対象となる商標は、国家または省レベルの重要なプロジェクトに関する商標、「知的財産権強国建設要綱」の実施を促進するための確かな必要性がある商標などで(商標登録出願に関する早期審査弁法(試行)第2条)、通常の商標出願に適用されるいわゆる「早期審査」ではない。

関連記事:「中国における商標登録出願の流れと審査期間および期間短縮への動き」(2022.02.24)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/22613/

(3) 商標の類否判断の概要
 商標の類似とは、文字、図形、アルファベット、数字、立体標章、色彩の組合せと音など、商標の構成要素に係る称呼、外観、観念や配列の順序などにおいて、一定の差異が存在するものの、全体として差異が軽微であることをいう。文字商標の類似については、「外観、称呼、観念」の三つの要素を考慮しなければならず、図形商標については、主として構図、外観及び着色を考慮しなければならない。結合商標については、全体的な表示形式だけでなく、顕著な部分についても考慮しなければならない(商標審査審理指南 下編 商標審査及び審理編 第五章 商標の同一又は類似の審査及び審理 2.解釈)。

 類似商品とは、機能、用途、生産部門、販売ルート、消費対象などがほぼ同一又は密接に関連する商品をいう。

 類似役務とは、役務の目的、内容、方式、対象などがほぼ同一又は密接に関連する役務をいう。
関連記事:「中国における商標の色彩の判断」(2021.05.27)
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関連記事:「(中国)文字商標の類否判断について」(2012.08.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/1082/

関連記事:「(中国)における文字商標の類否判断について(商標「ba&sh」の出願について、文字商標「BARSH」が引用され拒絶された事例)」(2012.08.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/1455/

6.出願から登録までのフローチャート
(1) 出願から登録までの商標出願のフローチャート

(2) フローチャートに関する簡単な説明
(A) 拒絶通知
 出願が登録要件を満たさない、または一部の指定商品について登録要件を満たさない場合には、これを拒絶または部分的に拒絶し、その旨を出願人に通知し理由を説明する(商標法第28条・第29条、商標法実施条例第21条)。部分拒絶の場合、不服審判を請求しない限り、登録要件を満たす部分のみが公告される。

関連記事:「中国における商標出願制度概要」(2020.04.16)
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関連記事:「中国における模倣対策マニュアル」(2021.09.21)
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※「第2章 中国での権利取得」の第2節に「商標権の取得」(p.70)について解説されている。

[権利設定前の争いに関する手続]

7.拒絶査定等に対する不服審判請求
 商標局による拒絶査定通知(拒絶通知または部分拒絶通知)、登録不許可決定書、登録商標無効宣告決定、不使用取消決定に不服がある場合は、商標評審委員会に対して不服審判を請求することができる(商標法第34条、第35条、第44条、第54条)。

関連記事:「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要(その1:拒絶査定不服審判)」(2017.08.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/13998/

8.権利設定前の異議申立
 公告された出願商標について、先行権利者または利害関係人が、馳名商標(商標法第13条第2項及び第3項)、無権限の代理人による商標登録等(第15条)、地理的表示商標の誤認(第16条第1項)、他人の先登録商標等(第30条)、先後願(第31条)若しくは商標代理機構の義務(第19条第3項)の規定に違反したと考える場合、または、何人かが、悪意の商標出願(商標法第4条)、絶対的拒絶理由(第10条、第11条、第12条)及び商標代理機構の義務(第19条第4項)の規定に違反したと考える場合は、公告の日から3か月以内に商標局に異議を申し立てることができる(商標法第33条)。公告期間の満了後、異議申立がなければ、登録の承認を受け、商標登録証を発行し公示する。
 異議申立の審決について、申立人に不服があるときは、商標評審委員会に当該登録商標の無効宣告を請求することができる(商標法第35条、第44条、第45条)。

9.上記7.の判断に対する不服申立
 当事者が商標評審委員会の決定に不服であるときは、通知を受領した日から30日以内に人民法院に提訴することができる(商標法第34条)。

関連記事:「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要(その1:拒絶査定不服審判)」(2017.08.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/13998/

関連記事:「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要(その2:登録不許可不服審判)」(2017.08.22)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/14000/

[権利設定後の争いに関する手続]

10.権利設定後の異議申立
 なし

11.設定された商標権に対して、権利の無効を申し立てる制度
 商標法第44、45条に基づいて商標評審委員会に無効審判を請求できる。無効審判手続は、主に(1) 請求人による審判請求、(2) 方式審査、(3) 被請求人の答弁、(4) 答弁に対する弁駁、(5) 審判合議体による審理、(6) 審決という審判の手順で進められる。請求人は、商標評審委員会が下した審決に不服がある場合、人民法院に行政訴訟を提起することができる。

関連記事:「中国における登録商標無効審判制度(中国語「請求宣告注冊商標無効制度」)の概要」(2017.08.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/13995/

関連記事:「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要(その3:登録商標無効宣告不服審判)」(2017.08.22)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/14002/

関連記事:「中国における商標事件の管轄および法適用の問題に関する解釈の公布」(2016.02.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10377/

12.商標の不使用取消制度
 登録商標が使用許可された商品の通用名となり、または正当な理由なく継続して3年間使用しなかったときは、いかなる法人または個人も、商標局に当該登録商標の取消を請求することができる(商標法第49条2項)。

関連記事:「中国における「商標の使用」の定義とその証拠」(2022.11.29)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/27197/

中国における商標制度のまとめ-手続編

1. 出願に必要な書類

 商標登録出願人は、定められた商品分類表に基づき商標を使用する商品区分および商品名を明記し、登録出願しなければならない(商標法第22条)。

 商標登録出願人は、一つの出願において、多数の区分について同一の商標を登録出願することができる(同第22条)。

 

 〔出願必要書類〕(商標法実施条例第13条、第14条)

 ① 願書

 ・ 記載情報:a.出願人名義(中英)、住所(中英)。

        b.商標見本およびその説明

        c.指定商品・役務

        d.その他必須な内容

 ② 身元証明書類

 ・ 日本法人の場合、会社登記簿謄本(3か月以内のものでなくても良い)の写し。

 ・ 日本自然人の場合、パスポートトップページの写しまたは運転免許証の写し。

③ 委任状

 

 

2. 登録できる商標/登録できない商標

(1) 登録できる商標の種類

 文字、図形、立体、音、色彩のみ、その他(上記の組み合わせ)

 

(2) 登録できない商標の種類

 ホログラム、動き、トレードドレス、匂い、味、触感

(*中国には、標準文字制度はない。)

 

(3) 通常の商標以外の制度

 団体標章、証明標章、その他(商品商標、役務商標、馳名商標、著名商標)

 

関連記事:「中国における保護される商標の類型」(2017.07.27)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/13926/

 

関連記事:「中国における歌手名等からなる商標」(2014.12.16)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/7434/

 

関連記事:「中国改正商標法及び実施条例の主な改正点」(2016.01.12)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10201/

 

関連記事:「中国における証明商標制度」(2014.05.16)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/6044/

 

関連記事:「中国における商号の保護」(2013.12.27)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/4931/

 

<参考情報>

 自然人、法人またはその他の組織の商品を他人の商品と区別することができる文字、図形、アルファベット、数字、立体的形状、色彩の組合せ及び音声等、並びにこれらの要素の組合せを含む標章は、すべて商標として登録出願することができる(中国商標法第8条)。

 

 

3. 出願の言語

 出願手続は中国語を使用しなければならない(商標法実施条例第6条)。

 商標が外国文字である、または外国文字を含む場合には、その意味を説明しなければならない(商標法実施条例第13条第7項)。

 商標法実施条例第13条第7項に基づき、商標中の外国文字は、実質的には、翻訳しなければならない。

 

関連記事:「中国における商標出願制度概要」(2012.07.30)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/163/

 

 

4. グレースピリオド

 中国政府が主催または承認した国際展示会に出展した商品に最初に使用された商標であって、かつ当該商品が出展された日から6か月以内であるときは、当該商標の出願人は、優先権を享受することができる(商標法第26条)。

 

 

5. 審査

(1) 実体審査:

 あり

 

関連記事:「中国における商標出願制度概要」(2012.07.30)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/163/

 

(2) 早期審査

 なし

 

関連記事:「中国における商標登録出願の流れと審査期間および期間短縮への動き」(2015.03.31)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/8225/

 

(3) 商標の類否判断の概要

 商標の類似とは、商標の文字の形、読み方、意味が類似し、商標の図形の構造、色彩、外観が類似し、または文字と図形の組み合わせの全体の構造方式・外観が類似し、立体商標における立体標識の形状・外観が類似し、色彩商標の色彩または色彩の組み合わせが類似し、音声商標の聴覚感知または全体的な音楽イメージが類似し、同一または類似の商品又は役務に使用するとき、関連公衆に商品又は役務の出所を混同させるおそれがあることをいう。

 類似の商品とは、機能、用途、生産部門、販売手段、消費対象などにおいて同一またはほぼ同一である商品をいう。

 類似の役務とは、役務の目的、内容、方式、対象などにおいて同一またはほぼ同一である役務をいう(「商標審査及び審理基準第三部分」中華人民共和国家工商行政管理総局 商標局 商標評審委員会 2016年12月 資料の仮訳:独立行政法人 日本貿易振興機構(ジェトロ)北京事務所知的財産権部編URL:https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/ip/law/pdf/section/20170105_1.pdf)。

 

関連記事:「中国における商標の色彩の判断」(2012.10.09)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/1676/

 

関連記事:「(中国)文字商標の類否判断について」(2012.08.21)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/1082/

 

関連記事:「(中国)における文字商標の類否判断について(商標「ba&sh」の出願について、文字商標「BARSH」が引用され拒絶された事例)」(2012.08.27)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/1455/

 

 

6. 出願から登録までのフローチャート

(1) 出願から登録までの商標出願のフローチャート

20190307_1_

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(2) フローチャートに関する簡単な説明

 

(A) 拒絶理由通知

 出願が登録要件を満たさない、または一部の指定商品について登録要件を満たさない場合には、これを拒絶または部分的に拒絶し、その旨を出願人に通知し理由を説明する(商標法第28条・第29条、商標法実施条例第21条)。部分拒絶の場合、不服審判を請求しない限り、登録要件を満たす部分のみが公告される。

 

関連記事:「中国における商標出願制度概要」(2012.07.30)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/163/

 

関連記事:「中国における商標権の取得」(2013.12.10)

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[権利設定前の争いに関する手続]

 

7. 拒絶査定等に対する不服

 商標局による拒絶査定通知・登録不許可決定書・登録商標無効宣告決定・不使用取消決定に不服がある場合は、商標評審委員会に対して不服審判を請求することができる(商標法第34条、第35条、第44条、第54条)。

 

関連記事:「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その1:拒絶査定不服審判)」(2017.08.17)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/13998/

 

 

8. 権利設定前の異議申立

なし

 

 

9. 上記7.の判断に対する不服申立

 当事者が商標評審委員会の決定に不服であるときは、通知を受領した日から30日以内に人民法院に提訴することができる(商標法第34条)。

 

関連記事:「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その1:拒絶査定不服審判)」(2017.08.17)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/13998/

 

関連記事:「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その2:登録不許可不服審判)」(2017.08.22)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/14000/

 

 

[権利設定後の争いに関する手続]

 

10. 権利設定後の異議申立

なし

 

関連記事:「中国における商標出願制度概要」(2012.07.30)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/163/

 

 

11. 設定された商標権に対して、権利の無効を申し立てる制度

 商標法第44、45条に基づいて商標評審委員会に無効審判を請求できる。無効審判手続は、主に(1)請求人による審判請求、(2)方式審査、(3)被請求人の答弁、(4)答弁に対する弁駁、(5)審判合議体による審理、(6)審決という審判の手順で進められる。請求人は、商標評審委員会が下した審決に不服がある場合、人民法院に行政訴訟を提起することができる。

 

関連記事:「中国における登録商標無効審判制度(中国語「請求宣告注冊商標無効制度」)の概要」(2017.08.17)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/13995/

 

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URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/14002/

 

関連記事:「中国における商標事件の管轄および法適用の問題に関する解釈の公布」(2016.02.16)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10377/

 

 

12. 商標の不使用取消制度

 登録商標が使用許可された商品の通用名となり、または正当な理由なく継続して3年間使用しなかったときは、いかなる法人または個人も、商標局に当該登録商標の取消を請求することができる(商標法第49条2項)。

 

関連記事:「中国における「商標の使用」の定義とその証拠」(2016.03.08)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/10383/

 

 

13. その他の制度

・商標審査部が下した登録不許可決定書について不服審判請求を行うことができる(商標法第35条)。

・商標審査部が下した登録商標無効宣告決定について不服審判請求を行うことができる(商標法第44条)。

・商標審査部が下した登録商標の取消決定または非取消決定について不服審判請求を行うことができる(商標法第54条)。

 

関連記事:「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その1:拒絶査定不服審判)」(2017.08.17)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/13998/

中国における商標事件の管轄および法適用の問題に関する解釈の公布

【詳細】

 商標事件を正しく審理するために、2014年4月10日、最高人民法院は「最高人民法院による商標法改正の施行後における商標事件の管轄および法適用の問題に関する解釈」を公布した。本司法解釈は9つの条文があり、2014年5月1日より施行された。

 本司法解釈は、2013年8月30日に第12回全国人民代表大会常務委員会第4回会議で許可された「中華人民共和国商標法の改正に関する決定」および改めて公布された「中華人民共和国商標法」、「中華人民共和国民事訴訟法」、「中華人民共和国行政訴訟法」などの法律規定に基づいて制定されたものである。

  本司法解釈では、国家工商行政管理総局 商標評審委員会が下した不服審判決定または裁定を不服とする行政不服事件、国家工商行政管理総局が下した商標その他の具体的行政行為を不服とする事件、商標権の帰属を巡る係争事件など13種類の案件について、人民法院(日本における裁判所に相当)が管轄する、と提示されている。

  本司法解釈の規定によれば、商標評審委員会が下した不服審判決定または裁定を不服とする行政事件および国家工商行政管理総局商標局が下した商標に係る拒絶査定等の国家工商行政管理総局商標局による行政行為を不服とする事件の場合、北京市第一中級人民法院が管轄する。第一審の商標民事案件については、中級以上の人民法院および最高人民法院が指定した基層人民法院が管轄する。著名商標の保護に係る民事、行政事件の場合は、省、自治区の人民政府所在地の市、計画単列市、直轄市轄区の中級人民法院および最高人民法院が指定したその他の中級人民法院が管轄する。

  本司法解釈では、「中華人民共和国商標法の改正に関する決定」が施行される前に受理された商標事件について、商標局および商標評審委員会は同決定の施行後において決定または審決を下し、当事者が行政訴訟を提起し、人民法院が、当該決定又は審決が商標法の審査期限に関する規定に適合するか否かを認定するときには、改正施行決定の日から当該審査期限を計算しなければならないと示されている。

 本司法解釈では、別途定めがある場合を除き、「中華人民共和国商標法の改正に関する決定」の施行後において人民法院が受理した商標民事事件で、当該決定の施行前に発生した行為に係る場合、改正前の商標法の規定が適用され、当該決定の施行前に発生し、該決定の施行後まで持続する行為の場合、改正後の商標法の規定が適用される、と強調している。

 「最高人民法院による商標法改正の施行後における商標事件の管轄および法適用の問題に関する解釈」(2014年2月10日最高人民法院審判委員会第1606次会議で決議)全文訳は以下の通り。

法解釈〔2014〕4号

中華人民共和国最高人民法院公告

「最高人民法院による商標法改正の施行後における商標事件の管轄および法適用の問題に関する解釈」は2014年2月10日に最高人民法院審判委員会第1606次会議での許可により公布され、2014年5月1日より施行開始する。

最高人民法院

2014年3月25日

 

正しく商標事件を審理するために、2013年8月30日第12回全国人民代表大会常務委員会第4次会議で認可された《最高人民法院による商標法改正の施行後における商標事件の管轄および法適用の問題に関する解釈》および改めて公布される《中華人民共和国商標法》、《中華人民共和国民事訴訟法》および《中華人民共和国行政訴訟法》などの法律規定に基づき、人民法院の審理する商標案件の管轄と法適用等についての問題を、以下のように解釈を制定する。

 第1条

 人民法院は以下の商標案件を管轄する:

  1. 国務院工商行政管理部門商標評審委員会(以下「商標評審委員会」と略称)が下した決定あるいは裁定に不服である行政案件
  2. 工商行政管理部門が下した商標についての具体的行政行為が不服である案件
  3. 商標専用実施権の帰属を巡る係争案件
  4. 商標専用実施権侵害を巡る係争案件
  5. 商標専用実施権不侵害の確定を巡る係争案件
  6. 商標専用実施権および譲渡契約を巡る係争案件
  7. 商標使用許諾契約を巡る係争案件
  8. 商標代理契約を巡る係争案件
  9. 訴訟前に商標専用実施権侵害の停止を申請する案件
  10. 訴訟前における商標専用実施権侵害の停止の申請による損害責任事件
  11. 商標係争による訴訟前に財産保全を申請する事件
  12. 商標係争による訴訟前に証拠保全を申請する事件
  13. その他の商標事件

 第2条

 商標評審委員会が下した不服審判決定または裁定を不服とする行政事件および、国家工商行政管理総局商標局(以下、商標局と称する)が下した商標に係る具体的行政行為に関する事件は、北京市関連中級人民法院が管轄する。

 第3条

 第一審の商標民事案件については、中級以上の人民法院および最高人民法院が指定した基層人民法院が管轄する。

 著名商標の保護に係る民事、行政案件の場合は、省、自治区の人民政府所在地の市、計画単列市、直轄市轄区の中級人民法院および最高人民法院が指定したその他の中級人民法院が管轄する。

 第4条

 工商行政管理機構が商標権侵害行為を取り締まる際に、当事者が関連商標について商標権の帰属または商標専用実施権侵害を巡る民事訴訟を提起する場合、人民法院は管轄しなければならない。

 第5条

 商標法改正決定の施行前に提出された商標登録および更新登録請求につき、商標局が施行後に該商標出願を受理しない、または更新登録しない旨の決定を下し、当事者が行政訴訟を提起した場合、人民法院は審査時に改正後の商標法を適用する。

 商標法改正決定の施行前に提出された商標異議申立てについて、商標局が施行後に該異議申立てを受理しない旨の決定を下し、当事者が行政訴訟を提起した場合、人民法院は審査時に改正前の商標法を適用する。

 第6条

 商標法改正施行前に当事者が許可登録されていなかった商標出願につき、不服審判を請求し、商標評審委員会が施行後に不服審判決定または裁定を下し、当事者が行政訴訟を提起した場合、人民法院は審査するときに改正後の商標法を適用する。

 商標法改正施行前に受理した商標不服審判請求について、商標評審委員会が施行後に許可登録の決定を下し、当事者が行政訴訟を提起した場合、人民法院はそれを受理しない。商標評審委員会が施行後に許可登録をしない決定を下し、当事者が行政訴訟を提起した場合、人民法院は訴権および主体資格に関する問題を審査するときに改正前の商標法を適用する。

 第7条

 商標法改正施行前に既に許可登録された商標につき、商標評審委員会が施行前に受理し、施行後に不服審判決定または裁定を下し、当事者が行政訴訟を提起した場合、人民法院は関連手続き問題を審査するときに改正後の商標法を適用し、実体問題を審査するときに改正前の商標法を適用する。

 第8条

 商標法改正決定が施行される前に受理された関連商標事件について、商標局および商標評審委員会は同決定の施行後において決定または裁定を行い、当事者が行政訴訟を提起し、人民法院が当該決定または裁定が商標法の関連審査期限に関する規定に適合しているか否かを認定する場合、改正決定の施行日より起算して当該審査期限を算出しなければならない。

 第9条

 本解釈に別途規定がある場合を除き、商標法改正施行後に人民法院の受理した商標民事案件が、該当施行前に発生した行為に係る場合には、改正前の商標法の規定を適用する。該当施行前に発生し、該当施行後まで持続した行為に係る場合には、改正後の商標法の規定を適用する。