中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要(その1:拒絶査定不服審判)
1.不服審判請求の種類
商標審査部による拒絶査定通知、登録不許可決定書、登録商標無効宣告決定、不使用取消決定に不服がある場合は、商標審判部に対して不服審判請求する。
不服審判請求には次の4種類がある。
(1) 商標審査部が下した商標登録出願の拒絶査定に対する、中国商標法(以下「商標法」という。)第34条に基づく不服審判請求事件
(2) 商標審査部が下した登録不許可決定に対する、商標法第35条に基づく不服審判請求事件
(3) 商標審査部が下した登録商標無効宣告決定に対する、商標法第44条に基づく不服審判請求事件
(4) 商標審査部が下した登録商標の取消決定または非取消決定に対する、商標法第54条に基づく不服審判事件
2.拒絶査定不服審判の審理手続の流れ
拒絶査定不服審判以外の審理手続きの流れについては、別の記事である「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要(その2:登録不許可不服審判)」、「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要(その3:登録商標無効宣告不服審判)」、「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要(その4:不使用取消不服審判)」をご参照ください。
中国商標拒絶査定不服審判フロー
商標審判部における拒絶査定不服審判手続は、(1) 請求人による審判請求、(2) 方式審査、(3) 審判合議体による審理、(4) 審決という手順で進められる。
(1) 請求人による不服審判請求および補足
拒絶査定について商標登録出願人に不服があるときは、通知を受領した日から15日以内に、商標審判部に不服審判を請求することができる(商標法第34条)。
不服審判請求をする場合、商標審判部に書面の請求書類1部を提出する。また、請求書類を提出した後、証拠を補足する必要がある場合、請求書において声明し、かつ請求日から3か月以内に補足証拠を提出しなければならない。
上述の法定補足期間は延長不可である。実務では、法定期間を過ぎても、引き続き補足証拠を提出できるが、特別な状況でなければ、審判官の参考資料としてのみ扱われる(商標審判規則(以下「審判規則」という。)第23条)。
(2) 方式審査
商標審判部は、審判請求書を受領した後、方式審査の要件を具備するか否か、つまり、請求書と証拠が所定の様式で記載されているか否かなどを審理する。要件を具備するときは、その請求を受理し、請求人に受理通知書を送付する。要件を具備しないときは、請求人に不受理通知書を送付し、かつその理由を説明する。補正が必要な場合、補正通知書を送付し、それを受領した日から30日以内に補正するよう請求人に通知する(商標法実施条例(以下「実施条例」という)第57条、審判規則第17条)。
(3) 審判合議体による審理
審理は、原則として合議制を採用する。通常、3名以上の奇数人数の商標審判官により構成される合議体を結成して審理を行う。ただし、審理事実が明らかで、事情や状況が簡潔な事件について、商標審判官1名の単独審判を行うことができる(審判規則第6条、第27条)。
商標審判事件の審理は、原則として書面審理にて行う。ただし、実施条例第60条の規定により口頭審理を行うと決定された場合は、この限りでない(審判規則第4条)。なお、口頭審理の請求は、必ずしも許可されるとは限らない。実施条例第60条の規定によれば、当事者は口頭審理を要求することができる。この場合、口頭審理を行う必要性についての具体的理由を提出しなければならない。商標審判部は、当事者が提出した理由が十分であるか否かを考慮し、口頭審理を行うか否かを判断することになる。通常は、口頭審理を行わず、書面審理で進められる比率が圧倒的に大きい。
以下のいずれかに該当する場合、審判を終了し、結審する(審判規則第32条)。
(i) 請求人が死亡した、または終止した後に相続人がいない、または相続人が審判権を放棄した場合。
(ii) 請求人が審判請求を取り下げた場合。
(iii) 当事者が自己により又は調停を経て合意して結審できる場合。
(iv) 審判を終了すべきその他の場合。
(4) 審決
商標審判部は、請求人が陳述した理由と提出した証拠を審理して審決を下し、書面の審決を請求人に送付する。請求人は、審決に不服がある場合、審決を受領した日から30日以内に、人民裁判所に対して行政訴訟を提起することができる(商標法第34条)。
3.証拠提出の留意点
請求人は、請求の事実に対して挙証責任を有し、請求時に、相応する証拠資料を提出しなければならない。証拠には、書証、物証、視聴資料などが含まれる。
証拠提出の際には、次の点に留意する必要がある。
(1) 審判請求人が商標審判部に書証を提出するときは、原本を提出しなければならない(審判規則第40条)。全ての証拠について原本を提出することは困難であるが、実務上、重要な証拠は、できるだけ原本またはその公証本を提出すべきである。
(2) 中国以外の領域で形成された証拠は、その証拠が形成された国で公証・認証手続きを行わなければならない(審判規則第41条)。
(3) 外国語証拠を提出するときは、その中国語の翻訳文を添付しなければならない(審判規則第42条)。
中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その4:不使用取消不服審判)
1.不服審判請求の種類
商標審査部(中国語「国家知識産権局商標局審査処」)による拒絶査定・登録不許可決定・登録商標無効宣告決定・不使用取消決定に不服がある場合は、商標審判部(中国語「国家知識産権局商標局評審処」)に対して不服審判請求する。
不服審判請求には下記4種がある。
(1) 商標審査部が下した商標登録出願の拒絶査定についての、商標法第34条に基づく不服審判請求事件
(2) 商標審査部が下した登録不許可決定についての、商標法第35条に基づく不服審判請求事件
(3) 商標審査部が下した登録商標無効宣告決定についての、商標法第44条に基づく不服審判請求事件
(4) 商標審査部が下した登録商標の取消決定または非取消決定についての、商標法第54条に基づく不服審判事件
2.不使用取消不服審判の審理手続の流れ
不使用取消不服審判以外の審理手続の流れについては、別コンテンツ「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その1:拒絶査定不服審判)」、「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その2:登録不許可不服審判)」、「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その3:登録商標無効宣告不服審判)」を参照のこと。
図1 中国商標不使用取消不服審判フロー
商標審判部における商標不使用取消不服審判手続は、(1) 請求人による審判請求、(2) 方式審査、(3) 被請求人の答弁、(4) 答弁に対する弁駁、(5) 審判合議体による審理、(6) 審決という手順で進められる。
(1) 請求人による不服審判請求および補足
不服審判請求するとき、商標審判部に書面の請求書類の正本1部を提出すると同時に、相手方がある場合、相手方当事者数に相当する副本を提出しなければならない。また、請求書類を提出した後、証拠を補充する必要がある場合、請求書または答弁書に声明し、請求日から3か月以内に一括して補充する証拠を提出しなければならない。
上述の法定補充期間は延長不可である。補充期間の満了後に形成した、または請求人が他の正当な理由で期間満了前に提出できなかった証拠を期間満了後に提出する場合、商標審判部はかかる証拠を相手方当事者に渡して証拠調べを経てその証拠を採用することができる。実務では、法定の補充期間を過ぎても、引き続き補充の証拠を提出できるが、上述のような特別な状況でなければ、提出された証拠は審判官の参考資料とされる(審判規則第23条)。
(2) 方式審査
商標審判部は、審判請求書を受領した後、方式審査の要件を満たすか否か、つまり、請求書と証拠が規定の様式で記載されて提出されたか否かなどを審理する。要件を満たすときは、その請求を受理し、請求人に受理通知書を送付する。要件を満たしていしないときは、請求人に不受理通知書を送付し、かつその理由を説明する。補正が必要な場合、補正通知書を送付し、それを受領した日から30日以内に補正するよう請求人に通知する(実施条例第57条、審判規則第17条)。
(3) 被請求人の答弁
商標審判部は商標審判の請求を受理した後、請求書の副本を被請求人に送達し、受領後30日以内に答弁するよう要求する。期限内に答弁しなくても、商標審判部の審理に影響を与えないが、実務上は、この反論の機会を利用して、答弁する被請求人が圧倒的に多い(実施条例58条、審判規則第21条)。
証拠を補充する必要がある場合、答弁書に声明し、かつ答弁書の提出日から3か月以内に補充する証拠を提出しなければならない(実施条例59条、審判規則第23条)。
(4) 答弁に対する弁駁
商標審判部は被請求人の答弁資料を請求人に送付し、指定の期限内に弁駁(中国語「質証」)を行うことを命じることができる(審判規則第23条2項)。
弁駁手続とは、商標審判部が証拠交換通知書を請求人に送付した後、請求人はそれを受領した日から30日以内に、被請求人の証拠を調べたうえ、その答弁理由を反駁するものである。なお、提出は1回限りである。
(5) 審判合議体による審理
審理は、原則として合議制を採用する。通常、3名以上の奇数人数の商標審判官により構成される合議体を結成して審理を行う。ただし、審理事実が明らかで、事情状況が簡潔な事件について、商標審判官1名の単独審判を行うことができる(実施条例第60条、審判規則第27条)
商標審判事件の審理は、原則として書面審理にて行う。ただし、実施条例第60条の規定により口頭審理を行うと決定された場合はこの限りでない(審判規則第4条)。なお、口頭審理の請求は、必ずしも商標審判部に許可されるとは限らない。実施条例第60条の規定によれば、当事者は口頭審理を要求することができる。この場合、口頭審理を行う必要性について具体的理由を提出しなければならない。商標審判部は、当事者が提出した理由が十分であるか否かを考慮し、口頭審理を行うか否かを判断する。実務上、口頭審理を行わず、書面審理が進められる傾向にある。
以下のいずれかに該当する場合、審判を終了し、結審する(審判規則第32条)。
(i) 請求人が死亡した、または終止した後に相続人がいない、または相続人が審判権を放棄した場合。
(ii) 請求人が審判請求を取り下げた場合。
(iii) 当事者が自己により又は調停を経て合意して結審できる場合。
(iv) 審判を終了すべきその他の場合。
(6) 審決
商標審判部は、請求人と被請求人が陳述した理由と提出した証拠、被請求人の答弁書、請求人の証拠抗弁書を審理して審決を下し、当該審決を当事者双方に書面で送付する。登録商標の維持または取消決定に不服がある場合には、審決を受領した日から30日以内に、人民裁判所に対して行政訴訟を提起することができる(商標法第54条)。
3.証拠提出の留意点
審判当事者は、請求の事実または答弁の事実に対して挙証責任を有し、請求時または答弁時には、相応する証拠資料を提出しなければならない。証拠には、書証、物証、視聴資料などが含まれる。
証拠提出の際には、次の点に留意する必要がある。
(1) 当事者が商標審判部に書証を提出するときは、原本を提出しなければならない(審判規則第40条)。全ての証拠について原本を提出することは困難である場合、実務上、重要な証拠は、できるだけ原本またはその公証本を提出すべきである。
(2) 中華人民共和国以外または香港、マカオ、台湾地区で形成された証拠は、その証拠が形成された国で公証・認証手続を行わなければならない(審判規則第41条)。
(3) 外国語証拠を提出するときは、その中国語の翻訳文を添付しなければならない(審判規則第42条)。
中国における商標制度のまとめ―手続編
1.出願に必要な書類
商標登録出願人は、定められた商品分類表に基づき商標を使用する商品区分および商品名を明記し、登録出願しなければならない(商標法第22条)。
商標登録出願人は、一つの出願において、多数の区分について同一の商標を登録出願することができる(同第22条)。
〔出願必要書類〕(商標法実施条例第13条、第14条)
① 願書
・記載情報:a.出願人名義(中英)、住所(中英)。
b.商標見本およびその説明
c.指定商品・役務
d.その他必須な内容
② 身元証明書類
・日本法人の場合、会社登記簿謄本(3か月以内のものでなくても良い)の写し。
・日本自然人の場合、パスポートトップページの写しまたは運転免許証の写し。
③ 委任状
2.登録できる商標/登録できない商標
(1) 登録できる商標の種類(商標法第8条)
文字、図形、立体、音、色彩のみ、その他(上記の組み合わせ)
(2) 登録できない商標の種類(商標法第8条の反対解釈)
ホログラム、動き、トレードドレス、匂い、味、触感
(*中国には、標準文字制度はない。)
(3) 通常の商標以外の制度(商標法第3条、第13条)
団体標章、証明標章、その他(商品商標、役務商標、馳名商標、著名商標)
関連記事:「中国における保護される商標の類型」(2021.05.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19984/
関連記事:「中国における歌手名等からなる商標」(2014.12.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/7434/
関連記事:「中国改正商標法及び実施条例の主な改正点」(2016.01.12)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10201/
関連記事:「中国における証明商標制度」(2014.05.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/6044/
関連記事:「中国における模倣対策マニュアル」(2021.09.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/20866/
※「第8章その他の主要トピック」の第2節に「商号の問題」(p.302)について解説されている。
関連記事:「中国における商号と商標との関係」(2023年04月06号)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/license/34139/
<参考情報>
自然人、法人またはその他の組織の商品を他人の商品と区別することができる文字、図形、アルファベット、数字、立体的形状、色彩の組合せ及び音声等、並びにこれらの要素の組合せを含む標章は、すべて商標として登録出願することができる(中国商標法第8条)。
3.出願の言語
出願手続は中国語を使用しなければならない(商標法実施条例第6条)。
商標が外国文字である、または外国文字を含む場合には、その意味を説明しなければならない(商標法実施条例第13条第7項)。
商標法実施条例第13条第7項に基づき、商標中の外国文字は、実質的には、翻訳しなければならない。
関連記事:「中国における商標出願制度概要」(2020.04.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18449/
4.グレースピリオド(出願時の特例)
中国政府が主催または承認した国際展示会に出展した商品に最初に使用された商標であって、かつ当該商品が出展された日から6か月以内であるときは、当該商標の出願人は、優先権を享受することができる(商標法第26条)。
5.審査
(1) 実体審査:あり(商標法第28条)
<参考情報>
商標局は、商標登録出願について、商標登録出願書類の受領日から9か月以内に審査を完了し、本法の関連規定に適合する場合は、予備認可(初步审定)の公告をしなければならない(商標法第28条)。
関連記事:「中国における商標出願制度概要」(2020.04.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18449/
(2) 早期審査
なし
<参考情報>
「商標登録出願に関する早期審査弁法(試行)」が2022年1月14日に施行されたが、対象となる商標は、国家または省レベルの重要なプロジェクトに関する商標、「知的財産権強国建設要綱」の実施を促進するための確かな必要性がある商標などで(商標登録出願に関する早期審査弁法(試行)第2条)、通常の商標出願に適用されるいわゆる「早期審査」ではない。
関連記事:「中国における商標登録出願の流れと審査期間および期間短縮への動き」(2022.02.24)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/22613/
(3) 商標の類否判断の概要
商標の類似とは、文字、図形、アルファベット、数字、立体標章、色彩の組合せと音など、商標の構成要素に係る称呼、外観、観念や配列の順序などにおいて、一定の差異が存在するものの、全体として差異が軽微であることをいう。文字商標の類似については、「外観、称呼、観念」の三つの要素を考慮しなければならず、図形商標については、主として構図、外観及び着色を考慮しなければならない。結合商標については、全体的な表示形式だけでなく、顕著な部分についても考慮しなければならない(商標審査審理指南 下編 商標審査及び審理編 第五章 商標の同一又は類似の審査及び審理 2.解釈)。
類似商品とは、機能、用途、生産部門、販売ルート、消費対象などがほぼ同一又は密接に関連する商品をいう。
類似役務とは、役務の目的、内容、方式、対象などがほぼ同一又は密接に関連する役務をいう。
関連記事:「中国における商標の色彩の判断」(2021.05.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19956/
関連記事:「(中国)文字商標の類否判断について」(2012.08.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/1082/
関連記事:「(中国)における文字商標の類否判断について(商標「ba&sh」の出願について、文字商標「BARSH」が引用され拒絶された事例)」(2012.08.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/1455/
6.出願から登録までのフローチャート
(1) 出願から登録までの商標出願のフローチャート
(2) フローチャートに関する簡単な説明
(A) 拒絶通知
出願が登録要件を満たさない、または一部の指定商品について登録要件を満たさない場合には、これを拒絶または部分的に拒絶し、その旨を出願人に通知し理由を説明する(商標法第28条・第29条、商標法実施条例第21条)。部分拒絶の場合、不服審判を請求しない限り、登録要件を満たす部分のみが公告される。
関連記事:「中国における商標出願制度概要」(2020.04.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18449/
関連記事:「中国における模倣対策マニュアル」(2021.09.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/20866/
※「第2章 中国での権利取得」の第2節に「商標権の取得」(p.70)について解説されている。
[権利設定前の争いに関する手続]
7.拒絶査定等に対する不服審判請求
商標局による拒絶査定通知(拒絶通知または部分拒絶通知)、登録不許可決定書、登録商標無効宣告決定、不使用取消決定に不服がある場合は、商標評審委員会に対して不服審判を請求することができる(商標法第34条、第35条、第44条、第54条)。
関連記事:「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要(その1:拒絶査定不服審判)」(2017.08.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/13998/
8.権利設定前の異議申立
公告された出願商標について、先行権利者または利害関係人が、馳名商標(商標法第13条第2項及び第3項)、無権限の代理人による商標登録等(第15条)、地理的表示商標の誤認(第16条第1項)、他人の先登録商標等(第30条)、先後願(第31条)若しくは商標代理機構の義務(第19条第3項)の規定に違反したと考える場合、または、何人かが、悪意の商標出願(商標法第4条)、絶対的拒絶理由(第10条、第11条、第12条)及び商標代理機構の義務(第19条第4項)の規定に違反したと考える場合は、公告の日から3か月以内に商標局に異議を申し立てることができる(商標法第33条)。公告期間の満了後、異議申立がなければ、登録の承認を受け、商標登録証を発行し公示する。
異議申立の審決について、申立人に不服があるときは、商標評審委員会に当該登録商標の無効宣告を請求することができる(商標法第35条、第44条、第45条)。
9.上記7.の判断に対する不服申立
当事者が商標評審委員会の決定に不服であるときは、通知を受領した日から30日以内に人民法院に提訴することができる(商標法第34条)。
関連記事:「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要(その1:拒絶査定不服審判)」(2017.08.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/13998/
関連記事:「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要(その2:登録不許可不服審判)」(2017.08.22)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/14000/
[権利設定後の争いに関する手続]
10.権利設定後の異議申立
なし
11.設定された商標権に対して、権利の無効を申し立てる制度
商標法第44、45条に基づいて商標評審委員会に無効審判を請求できる。無効審判手続は、主に(1) 請求人による審判請求、(2) 方式審査、(3) 被請求人の答弁、(4) 答弁に対する弁駁、(5) 審判合議体による審理、(6) 審決という審判の手順で進められる。請求人は、商標評審委員会が下した審決に不服がある場合、人民法院に行政訴訟を提起することができる。
関連記事:「中国における登録商標無効審判制度(中国語「請求宣告注冊商標無効制度」)の概要」(2017.08.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/13995/
関連記事:「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要(その3:登録商標無効宣告不服審判)」(2017.08.22)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/14002/
関連記事:「中国における商標事件の管轄および法適用の問題に関する解釈の公布」(2016.02.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10377/
12.商標の不使用取消制度
登録商標が使用許可された商品の通用名となり、または正当な理由なく継続して3年間使用しなかったときは、いかなる法人または個人も、商標局に当該登録商標の取消を請求することができる(商標法第49条2項)。
関連記事:「中国における「商標の使用」の定義とその証拠」(2022.11.29)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/27197/
中国における商標制度のまとめ-手続編
1. 出願に必要な書類
商標登録出願人は、定められた商品分類表に基づき商標を使用する商品区分および商品名を明記し、登録出願しなければならない(商標法第22条)。
商標登録出願人は、一つの出願において、多数の区分について同一の商標を登録出願することができる(同第22条)。
〔出願必要書類〕(商標法実施条例第13条、第14条)
① 願書
・ 記載情報:a.出願人名義(中英)、住所(中英)。
b.商標見本およびその説明
c.指定商品・役務
d.その他必須な内容
② 身元証明書類
・ 日本法人の場合、会社登記簿謄本(3か月以内のものでなくても良い)の写し。
・ 日本自然人の場合、パスポートトップページの写しまたは運転免許証の写し。
③ 委任状
2. 登録できる商標/登録できない商標
(1) 登録できる商標の種類
文字、図形、立体、音、色彩のみ、その他(上記の組み合わせ)
(2) 登録できない商標の種類
ホログラム、動き、トレードドレス、匂い、味、触感
(*中国には、標準文字制度はない。)
(3) 通常の商標以外の制度
団体標章、証明標章、その他(商品商標、役務商標、馳名商標、著名商標)
関連記事:「中国における保護される商標の類型」(2017.07.27)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/13926/
関連記事:「中国における歌手名等からなる商標」(2014.12.16)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/7434/
関連記事:「中国改正商標法及び実施条例の主な改正点」(2016.01.12)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10201/
関連記事:「中国における証明商標制度」(2014.05.16)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/6044/
関連記事:「中国における商号の保護」(2013.12.27)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/4931/
<参考情報>
自然人、法人またはその他の組織の商品を他人の商品と区別することができる文字、図形、アルファベット、数字、立体的形状、色彩の組合せ及び音声等、並びにこれらの要素の組合せを含む標章は、すべて商標として登録出願することができる(中国商標法第8条)。
3. 出願の言語
出願手続は中国語を使用しなければならない(商標法実施条例第6条)。
商標が外国文字である、または外国文字を含む場合には、その意味を説明しなければならない(商標法実施条例第13条第7項)。
商標法実施条例第13条第7項に基づき、商標中の外国文字は、実質的には、翻訳しなければならない。
関連記事:「中国における商標出願制度概要」(2012.07.30)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/163/
4. グレースピリオド
中国政府が主催または承認した国際展示会に出展した商品に最初に使用された商標であって、かつ当該商品が出展された日から6か月以内であるときは、当該商標の出願人は、優先権を享受することができる(商標法第26条)。
5. 審査
(1) 実体審査:
あり
関連記事:「中国における商標出願制度概要」(2012.07.30)
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(2) 早期審査
なし
関連記事:「中国における商標登録出願の流れと審査期間および期間短縮への動き」(2015.03.31)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/8225/
(3) 商標の類否判断の概要
商標の類似とは、商標の文字の形、読み方、意味が類似し、商標の図形の構造、色彩、外観が類似し、または文字と図形の組み合わせの全体の構造方式・外観が類似し、立体商標における立体標識の形状・外観が類似し、色彩商標の色彩または色彩の組み合わせが類似し、音声商標の聴覚感知または全体的な音楽イメージが類似し、同一または類似の商品又は役務に使用するとき、関連公衆に商品又は役務の出所を混同させるおそれがあることをいう。
類似の商品とは、機能、用途、生産部門、販売手段、消費対象などにおいて同一またはほぼ同一である商品をいう。
類似の役務とは、役務の目的、内容、方式、対象などにおいて同一またはほぼ同一である役務をいう(「商標審査及び審理基準第三部分」中華人民共和国家工商行政管理総局 商標局 商標評審委員会 2016年12月 資料の仮訳:独立行政法人 日本貿易振興機構(ジェトロ)北京事務所知的財産権部編URL:https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/ip/law/pdf/section/20170105_1.pdf)。
関連記事:「中国における商標の色彩の判断」(2012.10.09)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/1676/
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6. 出願から登録までのフローチャート
(1) 出願から登録までの商標出願のフローチャート
(2) フローチャートに関する簡単な説明
(A) 拒絶理由通知
出願が登録要件を満たさない、または一部の指定商品について登録要件を満たさない場合には、これを拒絶または部分的に拒絶し、その旨を出願人に通知し理由を説明する(商標法第28条・第29条、商標法実施条例第21条)。部分拒絶の場合、不服審判を請求しない限り、登録要件を満たす部分のみが公告される。
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[権利設定前の争いに関する手続]
7. 拒絶査定等に対する不服
商標局による拒絶査定通知・登録不許可決定書・登録商標無効宣告決定・不使用取消決定に不服がある場合は、商標評審委員会に対して不服審判を請求することができる(商標法第34条、第35条、第44条、第54条)。
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8. 権利設定前の異議申立
なし
9. 上記7.の判断に対する不服申立
当事者が商標評審委員会の決定に不服であるときは、通知を受領した日から30日以内に人民法院に提訴することができる(商標法第34条)。
関連記事:「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その1:拒絶査定不服審判)」(2017.08.17)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/13998/
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[権利設定後の争いに関する手続]
10. 権利設定後の異議申立
なし
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11. 設定された商標権に対して、権利の無効を申し立てる制度
商標法第44、45条に基づいて商標評審委員会に無効審判を請求できる。無効審判手続は、主に(1)請求人による審判請求、(2)方式審査、(3)被請求人の答弁、(4)答弁に対する弁駁、(5)審判合議体による審理、(6)審決という審判の手順で進められる。請求人は、商標評審委員会が下した審決に不服がある場合、人民法院に行政訴訟を提起することができる。
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12. 商標の不使用取消制度
登録商標が使用許可された商品の通用名となり、または正当な理由なく継続して3年間使用しなかったときは、いかなる法人または個人も、商標局に当該登録商標の取消を請求することができる(商標法第49条2項)。
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13. その他の制度
・商標審査部が下した登録不許可決定書について不服審判請求を行うことができる(商標法第35条)。
・商標審査部が下した登録商標無効宣告決定について不服審判請求を行うことができる(商標法第44条)。
・商標審査部が下した登録商標の取消決定または非取消決定について不服審判請求を行うことができる(商標法第54条)。
関連記事:「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その1:拒絶査定不服審判)」(2017.08.17)
中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その4:不使用取消不服審判)
1.不服審判請求の種類
商標審査部(中国語「商標局」)による拒絶査定通知・登録不許可決定書・登録商標無効宣告決定・不使用取消決定に不服がある場合は、商標審判部(中国語「商標評審委員会」)に対して不服審判請求する。
不服審判請求の種類としては下記4種がある。
(1)商標審査部が下した商標登録出願の拒絶査定について、商標法第34条に基づく不服審判請求事件
(2)商標審査部が下した登録不許可決定書について、商標法第35条に基づく不服審判請求事件
(3)商標審査部が下した登録商標無効宣告決定について、商標法第44条に基づく不服審判請求事件
(4)商標審査部が下した登録商標の取消決定または非取消決定について、商標法第54条に基づく不服審判事件
2.不使用取消不服審判の審理手続の流れ
不使用取消不服審判以外の審理手続きの流れについては、別コンテンツ「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その1:拒絶査定不服審判)」、「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その2:登録不許可不服審判)」、「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その3:登録商標無効宣告不服審判)」を参照のこと。
中国商標不使用取消不服審判フロー
商標審判部における商標不使用取消不服審判手続は、(1)請求人による審判請求、(2)方式審査、(3)被請求人の答弁、(4)答弁に対する弁駁、(5)審判合議体による審理、(6)審決という手順で進められる。
(1)請求人による不服審判請求および補足
不服審判請求するとき、商標審判部に書面の請求書類の正本1部を提出すると同時に、相手方がある場合、相手方当事者数に相当する副本を提出しなければならない。また、請求書類を提出した後、証拠を補足する必要がある場合、請求書に声明し、かつ請求日から3ヵ月以内に補足証拠を提出しなければならない。
上述の法定補足期間は延長不可である。補足期間の満了後に形成し、または請求人が他の正当な理由で期間満了前に提出できなかった証拠は、期間満了後に提出する場合、商標審判部はかかる証拠を相手方当事者に交付して証拠調べを経てその証拠を採用することができる。実務では、法定の補足期間を過ぎても、引き続き補足証拠を提出できるが、上述のような特別な状況でなければ、審判官の参考資料のみになる(審判規則第23条)。
(2)方式審査
商標審判部は、審判請求書を受領した後、方式審査の用件を具備するか否か、つまり、請求書と証拠が要求の様式で記載されて提出されたか否かなどを審理する。要件を具備するときは、その請求を受理し、請求人に受理通知書を送付する。要件を具備しないときは、請求人に不受理通知書を送付し、かつその理由を説明する。補正が必要な場合、補正通知書を送付し、それを受領した日から30日以内に補正するよう請求人に通知する(実施条例第57条、審判規則第17条)。
(3)被請求人の答弁
商標審判部は商標審判の請求を受理した後、請求書の副本を被請求人に送達し、受領後30日以内に答弁するよう要求する。期間が満了して答弁しなくても、商標審判部の審理に影響を与えないが、実務上は、この反論の機会を利用して、答弁する被請求人が圧倒的に多い(実施条例58条、審判規則第21条)。
証拠を補足する必要がある場合、答弁書に声明し、かつ答弁書の提出日から3ヵ月以内に補足証拠を提出しなければならない(実施条例59条、審判規則第23条)。
(4)答弁に対する弁駁
商標審判部は被請求人の答弁資料を請求人に送付し、指定の期限内に弁駁(中国語「質証」)を行うことを命じることができる(審判規則第23条2項)。
弁駁手続とは、商標審判部が証拠交換通知書を請求人に送付した後、請求人はそれを受領した日から30日以内に、被請求人の証拠を調べたうえ、その答弁理由を反駁するものである。なお、提出は1回限りである。
(5)審判合議体による審理
審理は、原則として合議制を採用する。通常、3名以上の奇数人数の商標審判官により構成される合議体を結成して審理を行う。ただし、審理事実が明らかで、事情状況が簡潔な事件について、商標審判官1名の単独審判を行うことができる(実施条例第60条、審判規則第27条)
商標審判事件の審理は、原則として書面審理にて行う。ただし、実施条例第60条の規定により口頭審理を行うと決定された場合はこの限りでない(審判規則第4条)。なお、口頭審理の請求は、必ずしも商標審判部に許可されるとは限らない。実施条例第60条の規定によれば、当事者は口頭審理を要求することができる。この場合、口頭審理を行う必要性についての具体的理由を提出しなければならない。商標審判部は、当事者が提出した理由が十分であるか否かを考慮し、口頭審理を行うか否かを判断することになる。通常は、口頭審理を行わず、書面審理が進められる比率が圧倒的に大きい。
審理を経て終結された事件については、法に基づき審判を終了し、結審する(審判規則第32条)
。
(6)審決
商標審判部は、請求人と被請求人が陳述した理由と提出した証拠、被請求人の答弁書、請求人の証拠抗弁書を審理して審決を下し、書面の審決を当事者双方に送付する。登録商標の維持または取消決定に不服がある場合には、審決を受領した日から30日以内に、人民裁判所に対して行政訴訟を提起することができる(商標法第54条)。
3.証拠提出の留意点
審判当事者は、請求の事実または答弁の事実に対して挙証責任を有し、請求時または答弁時には、相応する証拠資料を提出しなければならない。証拠には、書証、物証、視聴資料などが含まれる。
証拠提出の際には、次の点に留意する必要がある。
(1)当事者が商標審判部に書証を提出するときは、原本を提出しなければならない(審判規則第40条)。全ての証拠について原本を提出することは困難であるが、実務上、重要な証拠は、できるだけ原本またはその公証本を提出すべきである。
(2)中国以外の領域で形成された証拠は、その証拠が形成された国で公証・認証手続きを行わなければならない(審判規則第41条)。
(3)外国語証拠を提出するときは、その中国語の翻訳文を添付しなければならない(審判規則第42条)。
中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その3:登録商標無効宣告不服審判)
1.不服審判請求の種類
商標審査部(中国語「商標局」)による拒絶査定通知・登録不許可決定書・登録商標無効宣告決定・不使用取消決定に不服がある場合は、商標審判部(中国語「商標評審委員会」)に対して不服審判請求する。
不服審判請求の種類としては下記4種がある。
(1)商標審査部が下した商標登録出願の拒絶査定について、商標法第34条に基づく不服審判請求事件
(2)商標審査部が下した登録不許可決定書について、商標法第35条に基づく不服審判請求事件
(3)商標審査部が下した登録商標無効宣告決定について、商標法第44条に基づく不服審判請求事件
(4)商標審査部が下した登録商標の取消決定または非取消決定について、商標法第54条に基づく不服審判事件
2.登録商標無効宣告不服審判の審理手続の流れ
登録商標が、商標法第10条・第11条・第12条の規定に違反するとき、または、欺瞞的手段もしくはその他不正手段により登録を受けたときは、商標局が自ら当該登録商標の無効宣告をする場合がある。商標局が登録商標の無効宣告を決定したときは、書面で当事者に通知しなければならない。当事者が商標局の決定に不服であるときは、通知を受領した日から15日以内に、商標審判部に不服審判を請求することができる(商標法第44条第1項)。
登録商標無効宣告不服審判以外の審理手続きの流れについては、別コンテンツ「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その1:拒絶査定不服審判)」、「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その2:登録不許可不服審判)」、「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その4:不使用取消不服審判)」を参照のこと。
中国登録商標無効宣告不服審判フロー
商標審判部における登録商標無効宣告不服審判手続は、(1)請求人による審判請求、(2)方式審査、(3)審判合議体による審理、(4)審決という手順で進められる。
(1)請求人による不服審判請求および補足
不服審判請求するとき、商標審判部に書面の請求書類1部を提出する。また、請求書類を提出した後、証拠を補足する必要がある場合、請求書に声明し、かつ請求日から3ヵ月以内に補足証拠を提出しなければならない。
上述の法定補足期間は延長不可である。実務では、法定期間を過ぎても、引き続き補足証拠を提出できるが、特別な状況でなければ、審判官の参考資料のみになる(商標審判規則(以下「審判規則」という)第23条)。
(2)方式審査
商標審判部は、審判請求書を受領した後、方式審査の要件を具備するか否か、つまり、請求書と証拠が要求の様式で記載されて提出されたか否かなどを審理する。要件を具備するときは、その請求を受理し、請求人に受理通知書を送付する。要件を具備しないときは、請求人に不受理通知書を送付し、かつその理由を説明する。補正が必要な場合、補正通知書を送付し、それを受領した日から30日以内に補正するよう請求人に通知する(実施条例第57条、審判規則第17条)。
(3)審判合議体による審理
審理は、原則として合議制を採用する。通常、3名以上の奇数人数の商標審判官により構成される合議体を結成して審理を行う。ただし、審理事実が明らかで、事情状況が簡潔な事件について、商標審判官1名の単独審判を行うことができる(実施条例第60条、審判規則第27条)。
商標審判事件の審理は、原則として書面審理にて行う。ただし、実施条例第60条の規定により口頭審理を行うと決定された場合はこの限りでない(審判規則第4条)。なお、口頭審理の請求は、必ずしも商標審判部に許可されるとは限らない。実施条例第60条の規定によれば、当事者は口頭審理を要求することができる。この場合、口頭審理を行う必要性についての具体的理由を提出しなければならない。商標審判部は、当事者が提出した理由が十分であるか否かを考慮し、口頭審理を行うか否かを判断することになる。通常は、口頭審理を行わず、書面審理が進められる比率が圧倒的に大きい。
審理を経て終結された事件については、法に基づき審判を終了し、結審する(審判規則第32条)。
(4)審決
商標審判部は、請求人が陳述した理由と提出した証拠を審理して審決を下し、書面の審決を請求人に送付する。審決に不服がある場合には、審決を受領した日から30日以内に、人民裁判所に対して行政訴訟を提起することができる(商標法第34条)。
3.証拠提出の留意点
請求人は、請求の事実に対して挙証責任を有し、請求時には、相応する証拠資料を提出しなければならない。証拠には、書証、物証、視聴資料などが含まれる。
証拠提出の際には、次の点に留意する必要がある。
(1)請求人が商標審判部に書証を提出するときは、原本を提出しなければならない(審判規則第40条)。全ての証拠について原本を提出することは困難であるが、実務上、重要な証拠は、できるだけ原本またはその公証本を提出すべきである。
(2)中国以外の領域で形成された証拠は、その証拠が形成された国で公証・認証手続きを行わなければならない(審判規則第41条)。
(3)外国語証拠を提出するときは、その中国語の翻訳文を添付しなければならない(審判規則第42条)。
中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その1:拒絶査定不服審判)
1.不服審判請求の種類
商標審査部(中国語「商標局」)による拒絶査定通知・登録不許可決定書・登録商標無効宣告決定・不使用取消決定に不服がある場合は、商標審判部(中国語「商標評審委員会」)に対して不服審判請求する。
不服審判請求の種類としては下記4種がある。
(1)商標審査部が下した商標登録出願の拒絶査定について、商標法第34条に基づく不服審判請求事件
(2)商標審査部が下した登録不許可決定書について、商標法第35条に基づく不服審判請求事件
(3)商標審査部が下した登録商標無効宣告決定について、商標法第44条に基づく不服審判請求事件
(4)商標審査部が下した登録商標の取消決定または非取消決定について、商標法第54条に基づく不服審判事件
- 拒絶査定不服審判の審理手続の流れ
拒絶査定不服審判以外の審理手続きの流れについては、別コンテンツ「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その2:登録不許可不服審判)」、「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その3:登録商標無効宣告不服審判)」、「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その4:不使用取消不服審判)」を参照のこと。
中国商標拒絶査定不服審判フロー
商標審判部における拒絶査定不服審判手続は、 (1)請求人による審判請求、(2)方式審査、(3)審判合議体による審理、(4)審決という手順で進められる。
(1)請求人による不服審判請求および補足
不服審判請求するとき、商標審判部に書面の請求書類1部を提出する。また、請求書類を提出した後、証拠を補足する必要がある場合、請求書に声明し、かつ請求日から3ヵ月以内に補足証拠を提出しなければならない。
上述の法定補足期間は延長不可である。実務では、法定期間を過ぎても、引き続き補足証拠を提出できるが、特別な状況でなければ、審判官の参考資料のみになる(商標審判規則(以下「審判規則」という)第23条)。
(2)方式審査
商標審判部は、審判請求書を受領した後、方式審査の要件を具備するか否か、つまり、請求書と証拠が要求の様式で記載されて提出されたか否かなどを審理する。要件を具備するときは、その請求を受理し、請求人に受理通知書を送付する。要件を具備しないときは、請求人に不受理通知書を送付し、かつその理由を説明する。補正が必要な場合、補正通知書を送付し、それを受領した日から30日以内に補正するよう請求人に通知する(商標法実施条例(以下「実施条例」という)第57条、審判規則第17条)。
(3)審判合議体による審理
審理は、原則として合議制を採用する。通常、3名以上の奇数人数の商標審判官により構成される合議体を結成して審理を行う。ただし、審理事実が明らかで、事情状況が簡潔な事件について、商標審判官1名の単独審判を行うことができる(実施条例第60条、審判規則第27条)。
商標審判事件の審理は、原則として書面審理にて行う。ただし、実施条例第60条の規定により口頭審理を行うと決定された場合はこの限りでない(審判規則第4条)。なお、口頭審理の請求は、必ずしも商標審判部に許可されるとは限らない。実施条例第60条の規定によれば、当事者は口頭審理を要求することができる。この場合、口頭審理を行う必要性についての具体的理由を提出しなければならない。商標審判委員会は、当事者が提出した理由が十分であるか否かを考慮し、口頭審理を行うか否かを判断することになる。通常は、口頭審理を行わず、書面審理が進められる比率が圧倒的に大きい。
審理を経て終結された事件については、法に基づき審判を終了し、結審する(審判規則第32条)。
(4)審決
商標審判部は、請求人が陳述した理由と提出した証拠を審理して審決を下し、書面の審決を請求人に送付する。審決に不服がある場合には、審決を受領した日から30日以内に、人民裁判所に対して行政訴訟を提起することができる(商標法第34条)。
3.証拠提出の留意点
請求人は、請求の事実に対して挙証責任を有し、請求時には、相応する証拠資料を提出しなければならない。証拠には、書証、物証、視聴資料などが含まれる。
証拠提出の際には、次の点に留意する必要がある。
(1)請求人が商標審判部に書証を提出するときは、原本を提出しなければならない(審判規則第40条)。全ての証拠について原本を提出することは困難であるが、実務上、重要な証拠は、できるだけ原本またはその公証本を提出すべきである。
(2)中国以外の領域で形成された証拠は、その証拠が形成された国で公証・認証手続きを行わなければならない(審判規則第41条)。
(3)外国語証拠を提出するときは、その中国語の翻訳文を添付しなければならない(審判規則第42条)。
中国における商標のコンセント制度
「商標制度におけるコンセント制度についての調査研究報告書」(平成28年2月、株式会社サンビジネス)Ⅲ-3-(1)-(i)、Ⅲ-3-(3)
(目次)
Ⅲ 海外公開情報調査
3 海外公開情報調査の結果
(1) 対象国・地域ごとの調査結果
(i) 中国 P.13
(3) 対象国・地域ごとの調査結果の比較 P.22
資料編
資料Ⅰ 海外公開情報調査
資料Ⅰ-1 質問票調査回答
1 中国 P.71