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中国における商標制度のまとめ―手続編

1.出願に必要な書類
 商標登録出願人は、定められた商品分類表に基づき商標を使用する商品区分および商品名を明記し、登録出願しなければならない(商標法第22条)。
 商標登録出願人は、一つの出願において、多数の区分について同一の商標を登録出願することができる(同第22条)。

〔出願必要書類〕(商標法実施条例第13条、第14条)
 ① 願書
 ・記載情報:a.出願人名義(中英)、住所(中英)。
       b.商標見本およびその説明
       c.指定商品・役務
       d.その他必須な内容
 ② 身元証明書類
 ・日本法人の場合、会社登記簿謄本(3か月以内のものでなくても良い)の写し。
 ・日本自然人の場合、パスポートトップページの写しまたは運転免許証の写し。
 ③ 委任状

2.登録できる商標/登録できない商標
(1) 登録できる商標の種類(商標法第8条)
 文字、図形、立体、音、色彩のみ、その他(上記の組み合わせ)

(2) 登録できない商標の種類(商標法第8条の反対解釈)
 ホログラム、動き、トレードドレス、匂い、味、触感
(*中国には、標準文字制度はない。)

(3) 通常の商標以外の制度(商標法第3条、第13条)
 団体標章、証明標章、その他(商品商標、役務商標、馳名商標、著名商標)

関連記事:「中国における保護される商標の類型」(2021.05.27)
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関連記事:「中国における歌手名等からなる商標」(2014.12.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/7434/

関連記事:「中国改正商標法及び実施条例の主な改正点」(2016.01.12)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10201/

関連記事:「中国における証明商標制度」(2014.05.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/6044/

関連記事:「中国における模倣対策マニュアル」(2021.09.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/20866/
※「第8章その他の主要トピック」の第2節に「商号の問題」(p.302)について解説されている。

関連記事:「中国における商号と商標との関係」(2023年04月06号)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/license/34139/

<参考情報>
 自然人、法人またはその他の組織の商品を他人の商品と区別することができる文字、図形、アルファベット、数字、立体的形状、色彩の組合せ及び音声等、並びにこれらの要素の組合せを含む標章は、すべて商標として登録出願することができる(中国商標法第8条)。

3.出願の言語
 出願手続は中国語を使用しなければならない(商標法実施条例第6条)。
 商標が外国文字である、または外国文字を含む場合には、その意味を説明しなければならない(商標法実施条例第13条第7項)。
 商標法実施条例第13条第7項に基づき、商標中の外国文字は、実質的には、翻訳しなければならない。

関連記事:「中国における商標出願制度概要」(2020.04.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18449/

4.グレースピリオド(出願時の特例)
 中国政府が主催または承認した国際展示会に出展した商品に最初に使用された商標であって、かつ当該商品が出展された日から6か月以内であるときは、当該商標の出願人は、優先権を享受することができる(商標法第26条)。

5.審査
(1) 実体審査:あり(商標法第28条)

<参考情報>
 商標局は、商標登録出願について、商標登録出願書類の受領日から9か月以内に審査を完了し、本法の関連規定に適合する場合は、予備認可(初步审定)の公告をしなければならない(商標法第28条)。

関連記事:「中国における商標出願制度概要」(2020.04.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18449/

(2) 早期審査
 なし

<参考情報>
「商標登録出願に関する早期審査弁法(試行)」が2022年1月14日に施行されたが、対象となる商標は、国家または省レベルの重要なプロジェクトに関する商標、「知的財産権強国建設要綱」の実施を促進するための確かな必要性がある商標などで(商標登録出願に関する早期審査弁法(試行)第2条)、通常の商標出願に適用されるいわゆる「早期審査」ではない。

関連記事:「中国における商標登録出願の流れと審査期間および期間短縮への動き」(2022.02.24)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/22613/

(3) 商標の類否判断の概要
 商標の類似とは、文字、図形、アルファベット、数字、立体標章、色彩の組合せと音など、商標の構成要素に係る称呼、外観、観念や配列の順序などにおいて、一定の差異が存在するものの、全体として差異が軽微であることをいう。文字商標の類似については、「外観、称呼、観念」の三つの要素を考慮しなければならず、図形商標については、主として構図、外観及び着色を考慮しなければならない。結合商標については、全体的な表示形式だけでなく、顕著な部分についても考慮しなければならない(商標審査審理指南 下編 商標審査及び審理編 第五章 商標の同一又は類似の審査及び審理 2.解釈)。

 類似商品とは、機能、用途、生産部門、販売ルート、消費対象などがほぼ同一又は密接に関連する商品をいう。

 類似役務とは、役務の目的、内容、方式、対象などがほぼ同一又は密接に関連する役務をいう。
関連記事:「中国における商標の色彩の判断」(2021.05.27)
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関連記事:「(中国)文字商標の類否判断について」(2012.08.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/1082/

関連記事:「(中国)における文字商標の類否判断について(商標「ba&sh」の出願について、文字商標「BARSH」が引用され拒絶された事例)」(2012.08.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/1455/

6.出願から登録までのフローチャート
(1) 出願から登録までの商標出願のフローチャート

(2) フローチャートに関する簡単な説明
(A) 拒絶通知
 出願が登録要件を満たさない、または一部の指定商品について登録要件を満たさない場合には、これを拒絶または部分的に拒絶し、その旨を出願人に通知し理由を説明する(商標法第28条・第29条、商標法実施条例第21条)。部分拒絶の場合、不服審判を請求しない限り、登録要件を満たす部分のみが公告される。

関連記事:「中国における商標出願制度概要」(2020.04.16)
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関連記事:「中国における模倣対策マニュアル」(2021.09.21)
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※「第2章 中国での権利取得」の第2節に「商標権の取得」(p.70)について解説されている。

[権利設定前の争いに関する手続]

7.拒絶査定等に対する不服審判請求
 商標局による拒絶査定通知(拒絶通知または部分拒絶通知)、登録不許可決定書、登録商標無効宣告決定、不使用取消決定に不服がある場合は、商標評審委員会に対して不服審判を請求することができる(商標法第34条、第35条、第44条、第54条)。

関連記事:「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要(その1:拒絶査定不服審判)」(2017.08.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/13998/

8.権利設定前の異議申立
 公告された出願商標について、先行権利者または利害関係人が、馳名商標(商標法第13条第2項及び第3項)、無権限の代理人による商標登録等(第15条)、地理的表示商標の誤認(第16条第1項)、他人の先登録商標等(第30条)、先後願(第31条)若しくは商標代理機構の義務(第19条第3項)の規定に違反したと考える場合、または、何人かが、悪意の商標出願(商標法第4条)、絶対的拒絶理由(第10条、第11条、第12条)及び商標代理機構の義務(第19条第4項)の規定に違反したと考える場合は、公告の日から3か月以内に商標局に異議を申し立てることができる(商標法第33条)。公告期間の満了後、異議申立がなければ、登録の承認を受け、商標登録証を発行し公示する。
 異議申立の審決について、申立人に不服があるときは、商標評審委員会に当該登録商標の無効宣告を請求することができる(商標法第35条、第44条、第45条)。

9.上記7.の判断に対する不服申立
 当事者が商標評審委員会の決定に不服であるときは、通知を受領した日から30日以内に人民法院に提訴することができる(商標法第34条)。

関連記事:「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要(その1:拒絶査定不服審判)」(2017.08.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/13998/

関連記事:「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要(その2:登録不許可不服審判)」(2017.08.22)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/14000/

[権利設定後の争いに関する手続]

10.権利設定後の異議申立
 なし

11.設定された商標権に対して、権利の無効を申し立てる制度
 商標法第44、45条に基づいて商標評審委員会に無効審判を請求できる。無効審判手続は、主に(1) 請求人による審判請求、(2) 方式審査、(3) 被請求人の答弁、(4) 答弁に対する弁駁、(5) 審判合議体による審理、(6) 審決という審判の手順で進められる。請求人は、商標評審委員会が下した審決に不服がある場合、人民法院に行政訴訟を提起することができる。

関連記事:「中国における登録商標無効審判制度(中国語「請求宣告注冊商標無効制度」)の概要」(2017.08.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/13995/

関連記事:「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要(その3:登録商標無効宣告不服審判)」(2017.08.22)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/14002/

関連記事:「中国における商標事件の管轄および法適用の問題に関する解釈の公布」(2016.02.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10377/

12.商標の不使用取消制度
 登録商標が使用許可された商品の通用名となり、または正当な理由なく継続して3年間使用しなかったときは、いかなる法人または個人も、商標局に当該登録商標の取消を請求することができる(商標法第49条2項)。

関連記事:「中国における「商標の使用」の定義とその証拠」(2022.11.29)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/27197/

中国における商標制度のまとめ-手続編

1. 出願に必要な書類

 商標登録出願人は、定められた商品分類表に基づき商標を使用する商品区分および商品名を明記し、登録出願しなければならない(商標法第22条)。

 商標登録出願人は、一つの出願において、多数の区分について同一の商標を登録出願することができる(同第22条)。

 

 〔出願必要書類〕(商標法実施条例第13条、第14条)

 ① 願書

 ・ 記載情報:a.出願人名義(中英)、住所(中英)。

        b.商標見本およびその説明

        c.指定商品・役務

        d.その他必須な内容

 ② 身元証明書類

 ・ 日本法人の場合、会社登記簿謄本(3か月以内のものでなくても良い)の写し。

 ・ 日本自然人の場合、パスポートトップページの写しまたは運転免許証の写し。

③ 委任状

 

 

2. 登録できる商標/登録できない商標

(1) 登録できる商標の種類

 文字、図形、立体、音、色彩のみ、その他(上記の組み合わせ)

 

(2) 登録できない商標の種類

 ホログラム、動き、トレードドレス、匂い、味、触感

(*中国には、標準文字制度はない。)

 

(3) 通常の商標以外の制度

 団体標章、証明標章、その他(商品商標、役務商標、馳名商標、著名商標)

 

関連記事:「中国における保護される商標の類型」(2017.07.27)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/13926/

 

関連記事:「中国における歌手名等からなる商標」(2014.12.16)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/7434/

 

関連記事:「中国改正商標法及び実施条例の主な改正点」(2016.01.12)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10201/

 

関連記事:「中国における証明商標制度」(2014.05.16)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/6044/

 

関連記事:「中国における商号の保護」(2013.12.27)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/4931/

 

<参考情報>

 自然人、法人またはその他の組織の商品を他人の商品と区別することができる文字、図形、アルファベット、数字、立体的形状、色彩の組合せ及び音声等、並びにこれらの要素の組合せを含む標章は、すべて商標として登録出願することができる(中国商標法第8条)。

 

 

3. 出願の言語

 出願手続は中国語を使用しなければならない(商標法実施条例第6条)。

 商標が外国文字である、または外国文字を含む場合には、その意味を説明しなければならない(商標法実施条例第13条第7項)。

 商標法実施条例第13条第7項に基づき、商標中の外国文字は、実質的には、翻訳しなければならない。

 

関連記事:「中国における商標出願制度概要」(2012.07.30)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/163/

 

 

4. グレースピリオド

 中国政府が主催または承認した国際展示会に出展した商品に最初に使用された商標であって、かつ当該商品が出展された日から6か月以内であるときは、当該商標の出願人は、優先権を享受することができる(商標法第26条)。

 

 

5. 審査

(1) 実体審査:

 あり

 

関連記事:「中国における商標出願制度概要」(2012.07.30)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/163/

 

(2) 早期審査

 なし

 

関連記事:「中国における商標登録出願の流れと審査期間および期間短縮への動き」(2015.03.31)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/8225/

 

(3) 商標の類否判断の概要

 商標の類似とは、商標の文字の形、読み方、意味が類似し、商標の図形の構造、色彩、外観が類似し、または文字と図形の組み合わせの全体の構造方式・外観が類似し、立体商標における立体標識の形状・外観が類似し、色彩商標の色彩または色彩の組み合わせが類似し、音声商標の聴覚感知または全体的な音楽イメージが類似し、同一または類似の商品又は役務に使用するとき、関連公衆に商品又は役務の出所を混同させるおそれがあることをいう。

 類似の商品とは、機能、用途、生産部門、販売手段、消費対象などにおいて同一またはほぼ同一である商品をいう。

 類似の役務とは、役務の目的、内容、方式、対象などにおいて同一またはほぼ同一である役務をいう(「商標審査及び審理基準第三部分」中華人民共和国家工商行政管理総局 商標局 商標評審委員会 2016年12月 資料の仮訳:独立行政法人 日本貿易振興機構(ジェトロ)北京事務所知的財産権部編URL:https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/ip/law/pdf/section/20170105_1.pdf)。

 

関連記事:「中国における商標の色彩の判断」(2012.10.09)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/1676/

 

関連記事:「(中国)文字商標の類否判断について」(2012.08.21)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/1082/

 

関連記事:「(中国)における文字商標の類否判断について(商標「ba&sh」の出願について、文字商標「BARSH」が引用され拒絶された事例)」(2012.08.27)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/1455/

 

 

6. 出願から登録までのフローチャート

(1) 出願から登録までの商標出願のフローチャート

20190307_1_

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(2) フローチャートに関する簡単な説明

 

(A) 拒絶理由通知

 出願が登録要件を満たさない、または一部の指定商品について登録要件を満たさない場合には、これを拒絶または部分的に拒絶し、その旨を出願人に通知し理由を説明する(商標法第28条・第29条、商標法実施条例第21条)。部分拒絶の場合、不服審判を請求しない限り、登録要件を満たす部分のみが公告される。

 

関連記事:「中国における商標出願制度概要」(2012.07.30)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/163/

 

関連記事:「中国における商標権の取得」(2013.12.10)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/4842/

 

 

[権利設定前の争いに関する手続]

 

7. 拒絶査定等に対する不服

 商標局による拒絶査定通知・登録不許可決定書・登録商標無効宣告決定・不使用取消決定に不服がある場合は、商標評審委員会に対して不服審判を請求することができる(商標法第34条、第35条、第44条、第54条)。

 

関連記事:「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その1:拒絶査定不服審判)」(2017.08.17)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/13998/

 

 

8. 権利設定前の異議申立

なし

 

 

9. 上記7.の判断に対する不服申立

 当事者が商標評審委員会の決定に不服であるときは、通知を受領した日から30日以内に人民法院に提訴することができる(商標法第34条)。

 

関連記事:「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その1:拒絶査定不服審判)」(2017.08.17)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/13998/

 

関連記事:「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その2:登録不許可不服審判)」(2017.08.22)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/14000/

 

 

[権利設定後の争いに関する手続]

 

10. 権利設定後の異議申立

なし

 

関連記事:「中国における商標出願制度概要」(2012.07.30)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/163/

 

 

11. 設定された商標権に対して、権利の無効を申し立てる制度

 商標法第44、45条に基づいて商標評審委員会に無効審判を請求できる。無効審判手続は、主に(1)請求人による審判請求、(2)方式審査、(3)被請求人の答弁、(4)答弁に対する弁駁、(5)審判合議体による審理、(6)審決という審判の手順で進められる。請求人は、商標評審委員会が下した審決に不服がある場合、人民法院に行政訴訟を提起することができる。

 

関連記事:「中国における登録商標無効審判制度(中国語「請求宣告注冊商標無効制度」)の概要」(2017.08.17)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/13995/

 

関連記事:「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その3:登録商標無効宣告不服審判)」(2017.08.22)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/14002/

 

関連記事:「中国における商標事件の管轄および法適用の問題に関する解釈の公布」(2016.02.16)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10377/

 

 

12. 商標の不使用取消制度

 登録商標が使用許可された商品の通用名となり、または正当な理由なく継続して3年間使用しなかったときは、いかなる法人または個人も、商標局に当該登録商標の取消を請求することができる(商標法第49条2項)。

 

関連記事:「中国における「商標の使用」の定義とその証拠」(2016.03.08)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/10383/

 

 

13. その他の制度

・商標審査部が下した登録不許可決定書について不服審判請求を行うことができる(商標法第35条)。

・商標審査部が下した登録商標無効宣告決定について不服審判請求を行うことができる(商標法第44条)。

・商標審査部が下した登録商標の取消決定または非取消決定について不服審判請求を行うことができる(商標法第54条)。

 

関連記事:「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要 (その1:拒絶査定不服審判)」(2017.08.17)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/13998/

中国における登録商標無効審判制度(中国語「請求宣告注冊商標無効制度)の概要

28CN25-1

登録商標無効審判フロー

1.審理手続の流れ

(1)請求人による審判請求

登録商標無効審判(中国語「請求宣告注冊商標無効」)は、商標審判部(中国語「商標評審委員会」)に対して行う。無効審判は次の場合に請求できる。

(a)登録商標が、商標法第4条・第10条・第11条・第12条・第19条第4項の規定に違反するとき、または、欺瞞的手段もしくはその他不正手段により登録を受けたときは、商標局が自ら当該登録商標を無効宣告するが、その他の事業単位または個人は、登録商標の無効審判を商標審判部に請求できる(商標法第44条第1項)。

(b)登録商標が、商標法第13条第2項と第3項(他人の馳名商標を模倣等したもので公衆に誤認を与えるものは登録・使用禁止)、第15条(授権されていない代理人等による出願は登録・使用禁止)、第16条第1項(地理的表示が当該地域によるものではなく公衆に誤認を与えるものは登録・使用禁止)、第30条(先行商標と同一・類似するものは登録不可)、第31条(複数の出願人から同一・類似の商品について同一・類似の商標の登録商標出願がなされた場合、出願日が異なる場合は先願に係る商標を予備査定し、同日出願の場合は先行使用と認められる商標を予備的査定し、他の出願を拒絶する)、第32条(他人の先行権利を侵害する商標、または他人が先に使用している一定の影響力のある商標を不正な手段で先取りして出願した商標は登録不可)の規定に違反するときは、商標の登録日から5年以内に、先行権利者(中国語「在先権利人」)または利害関係人(中国語「利害関係人」)は商標審判部にその登録商標の無効審判を請求できる。ただし、悪意による登録の場合には、馳名商標権者は5年の期間制限を受けない(商標法第45条第1項)。

請求人は無効審判を請求するとき、商標審判部に書面の請求書類の正本1部を提出すると同時に、相手方当事者数に相当する副本を提出しなければならない。また、請求書類を提出した後、証拠を補足する必要がある場合、請求書に声明し、かつ請求日から3ヵ月以内に補足証拠を提出しなければならない。上述の法定補足期間は延長不可である。補足期間の満了後に形成し、または請求人が他の正当な理由で期間満了前に提出できなかった証拠は、期間満了後に提出する場合、商標審判部はかかる証拠を相手方当事者に交付して証拠調べを経てその証拠を採用することができる(実施条例第59条、商標審判規則(以下「審判規則」という)第20条・第23条)。

(2)方式審査

商標審判部は、審判請求書を受領した後、方式審査の要件を具備するか否か、つまり、請求書類と証拠が要求の様式で記載し、提出されたか否かなどを審理する。要件を具備するときは、その請求を受理し、請求人に受理通知書を送付する。要件を具備しないときは、請求人に不受理通知書を送付し、かつその理由を説明する。補正が必要な場合、補正通知書を送付し、それを受領した日から30日以内に補正するよう請求人に通知する(実施条例第57条、審判規則第22条)。

(3)被請求人の答弁

商標審判部は商標審判の請求を受理した後、直ちに請求書類の副本を商標権者に送達し、受領後30日以内に答弁するよう要求する。期間が満了して答弁しなくても、商標審判部の審理に影響を与えないが、実務上は、この反論の機会を利用して、答弁する商標権者が圧倒的に多い。

証拠を補足する必要がある場合、答弁書に声明し、かつ答弁書の提出日から3ヵ月以内に補足証拠を提出しなければならない(実施条例第58条・第59条、審判規則第23条)

(4)答弁に対する弁駁

当事者が法定の期間内に提出した証拠資料について、商標審判部が当該証拠資料を相手方当事者に送付し、指定の期限内に弁駁(中国語「質証」)を行うことを命じることができる(審判規則第23条第2項)。

弁駁手続とは、商標審判部が証拠交換通知書を請求人に送付した後、請求人はそれを受領した日から30日以内に、被請求人の証拠を調べたうえ、その答弁理由を反駁するものである。なお、提出は1回限りである。

(5)審判合議体による審理

審理は、原則として合議制を採用する。通常、3名以上の奇数人数の商標審判官により構成される合議体で審理を行う。ただし、審理事実が明らかで、事情状況が簡潔な事件について、商標審判官1名の単独審判を行うことができる(審判規則第6条・第27条)。

商標審判事件の審理は、原則として書面審理にて行う。ただし、実施条例第60条の規定により口頭審判を行うと決定された場合はこの限りでない(「審判規則」第4条)。なお、商標審判部は当事者の請求に応じて、または実際の需要により、審判請求に対して口頭審理を行うことを決定することができる(実施条例第60条)。通常は、口頭審理を行わず、書面審理が進められる比率が圧倒的に大きい。

審理を経て終結された事件については、商標審判部は法に基づき決定または審決を下す(審判規則第33条)。商標審判部が下した決定または審決に不服がある場合、審決を受領した日から30日以内に人民裁判所(中国語「人民法院」)に行政訴訟を提起することができる(商標法第44条、第45条)。

(6)審決

商標審判部は、請求人と被請求人が陳述した理由と提出した証拠を審理し、12ヵ月間以内(特殊な事情がある場合、6ヵ月間延長可能)に審決を下し、書面の審決を当事者双方に送付する。登録商標の維持または取消の審決に不服がある場合には、審決を受領した日から30日以内に、人民裁判所に対して行政訴訟を提起することができる(商標法第45条)。

2.証拠提出の留意点

審判当事者は、請求の事実または答弁の事実に対して挙証責任を有し、請求時または答弁時には、相応する証拠資料を提出しなければならない。証拠には、書証、物証、視聴資料などが含まれる。

証拠提出の際には、次の点に留意する必要がある。

(1)当事者が商標審判部に書証を提出するときは、原本を提出しなければならない(審判規則第40条)。全ての証拠について原本を提出することは困難であるが、実務上、重要な証拠は、できるだけ原本またはその公証本を提出すべきである。

(2)中国以外の領域で形成された証拠については、その証拠が形成された国で公証・認証手続きを行わなければならない(審判規則第41条)。

(3)外国語証拠を提出するときは、その中国語の翻訳文を添付しなければならない(審判規則第42条、商標実施条例第6条)。

【留意事項】

(1) 商標法第44条第1項による無効審判は請求期限がない。第45条第1項による無効審判は、通常5年間の除斥期間がある。悪意による登録の場合には、馳名商標権者は5年の期間制限を受けない。

(2) 商標法第44条第1項による無効審判は商標局以外の何人でも請求可能。第45条第1項に基づく審判請求は、先行権利者と利害関係者に限られる。

(3) 請求人または被請求人は、審判請求または答弁のとき、証拠を補足する必要がある場合、請求書類または答弁書に声明しなければならない。声明しない場合は、補足不可となる。

(4) 無効審判の期間は、通常12ヵ月間であるが、特殊な事情がある場合、6ヵ月間延長可能である。

中国改正商標法関連規定の主な改正点

【詳細】

 中国・改正商標法マニュアル(2015年3月、日本貿易振興機構 進出企業支援・知的財産部 知的財産課)一の3、4、5、6、7

 

(目次)

一 改正法及び関連規定の主な改正点

 3 馳名商標認定保護規定 P.44

  (1) 第2条:馳名商標の概念の明確化 P.44

  (2) 第3条、第5条、第6条、第7条:馳名商標の認定機関及び認定申請のルートの明確化 P.45

  (3) 第4条:馳名商標の認定規則の明確化 P.46

  (4) 第8条:当事者の責任の明確化 P.46

  (5) 第9条:馳名商標の証拠に対する要求の細分化 P.46

  (6) 第10条、第11条、第12条:馳名商標保護請求の処理期限についての改正 P.47

  (7) 第13条、第14条、第15条:地方工商部門の馳名商標に関わる業務職責の明確化・細分化 P.49

  (8) 第17条:商標局による認定取消しの新設 P.49

  (9) 第18条、第19条、第20条:馳名商標に関わる各級の工商部門の職責及びその職員の責任及び監督の明確化 P.50

  (10) 条項の削除:原規定の第9条、第13条 P.50

 4 商標評審規則 P.51

  (1) 第一章 総則 P.51

   ① 第2条:審判案件の審理の規範化、商標審判案件の種類及び係争商標の呼称の明確化 P.51

   ② 第3条、第5条:データ電文方式による審判書類を提出・送達する規定の追加 P.53

   ③ 第8条第2項:和解に合意した案件の商標評審委員会による継続的な審理 P.53

  (2) 第二章 請求及び受理 P.54

   ① 第20条:当事者の提出した副本が要求に合致しない場合の法的結果の明確化 P.54

   ② 第23条:挙証期間満了後に提出する証拠の規範化 P.54

   ③ 第26条:商標の譲渡又は移転後の案件審理の規範化 P.55

  (3) 第三章 審理 P.55

   ① 第30条:当事者の合法的な権利の保障及びプロセスに関する規定のさらなる整備 P.55

   ② 第31条:先行権利案件の結果を待つという規定の追加 P.56

   ③ 第35条:審判決定・裁定の商標局への引き渡し、執行時間の延長 P.57

   ④ 第36条:審判決定・裁定を下した後の撤回及び更正に関する規定の追加 P.58

   ⑤ 第37条:人民法院の判決を執行するための再審プロセスの規範化 P.59

  (4) 第四章 証拠規則 P.60

   ① 第38条第2項:証拠形式の明確化 P.60

   ② 第44条第2項:証拠調べの必要性の規定 P.60

  (5) 第五章 期間、送達 P.61

   ① 第53条:提出形式及び提出期間の計算方法及び提出文書に対する要件 P.61

   ② 第54条:文書送達の効率の向上 P.62

   ③ 第55条:外国当事者の法律文書の送達方式 P.63

  (6) 第六章 附則 P.64

   ① 第57条:新旧法適用の基本原則の確定 P.64

 5 工商総局による改正実施後の「中華人民共和国商標法」に関する問題の通知 P.66

  (1) 商標登録事項について P.66

   ① 各種の商標登録出願案件、異議申立案件が適用する法律の問題について P.66

   ② 商標案件審査期限の計算問題 P.66

  (2) 商標審判について P.67

   ① 各種の商標審判案件の適用する法律について(2014年5月1日以降に審理する案件) P.67

   ② 商標審判案件の審査期限を計算する問題について P.67

  (3) 商標監督管理について P.67

   ① 商標違法行為の時間と適用法律に関する問題について P.67

   ② 「馳名商標」を使用する行為に対して適用する法律の問題について P.67

 6 商標評審委員会による商標法改正決定実施後の商標審判案件に関する問題の通知 P.68

  (1) 商標法改正決定施行前に提出した争議案件 P.68

  (2) 異議申立不服審判の請求について P.68

  (3) 審判案件の文書様式について P.68

  (4) 審判案件の費用を納付する規定について P.69

 7 最高人民法院「改正商標法の施行決定後の商標事件の管轄と法律適用の問題に関する解釈」 P.70

  (1) 第1条:人民法院が受理する商標事件のタイプ P.70

  (2) 第2条、第3条:案件を管轄する規定について P.71

  (3) 第5条~第9条:各類の商標案件の適用する法律の規定について P.71

 

参考資料

 1 改正法の条文・対照表

  (4) 馳名商標認定保護規定 P.150

  (5) 商標評審規則 P.157

  (6) 工商総局による改正実施後の「中華人民共和国商標法」に関する問題の通知 P.169

  (7) 最高人民法院「改正商標法の施行決定後の商標事件の管轄と法律適用の問題

に関する解釈」 P.171

  (8) 商標評審委員会による商標法改正決定実施後の商標審判案件に関する問題の通知 P.174

中国改正商標法及び実施条例の主な改正点

【詳細】

 中国・改正商標法マニュアル(2015年3月、日本貿易振興機構 進出企業支援・知的財産部 知的財産課)一の1、2

 

(目次)

一 改正法及び関連規定の主な改正点

 1 商標法 P.1

  (1) 第一章 総則  P.2

   ① 第4条:商標登録出願条件の確立 P.2

   ② 第7条:誠実信用の原則の追加 P.2

   ③ 第8条:音声商標の導入 P.3

   ④ 第14条:馳名商標の認定と保護 P.3

   ⑤ 第15条:冒認出願対策の強化 P.5

   ⑥ 第19条:代理機構への管理強化 P.6

  (2) 第二章 商標登録の出願 P.7

   ① 第22条第2項:「一出願多区分」制度を導入 P.7

   ② 第22条第3項:電子出願の導入 P.7

  (3) 第三章 商標登録の審査及び認可 P.8

   ① 第28条:審査期限の規定 P.8

   ② 第29条:審査手続きの改善 P.9

   ③ 第33条:異議申立の主体資格の制限 P.10

   ④ 第35条:異議後の救済手続きの変化 P.11

  (4) 第四章 登録商標の更新、変更、譲渡及び使用許諾 P.13

   ① 第40条:更新期間の延長 P.13

  (5) 第五章 登録商標の無効宣告 P.13

   ① 第44条~第47条 P.13

  (6) 第六章 商標使用の管理 P.15

   ① 第57条:新たな商標権侵害行為を定義 P.15

  (7) 第七章 登録商標専用権の保護 P.16

   ① 第58条:新たな不正競争行為を追加 P.16

   ② 第59条:先使用主義への適当な配慮 P.16

   ③ 第60条第2項:商標権侵害行為の再犯への処罰の追加 P.17

   ④ 第63条:懲罰規定の新設及び権利者の挙証責任の軽減 P.17

   ⑤ 第64条:商標権者の賠償要求時における使用義務の規定の追加 P.19

  (8) その他 削除された元の商標法の3つの条文 P.19

   ① 旧商標法第42条 P.19

   ② 旧商標法第45条 P.20

   ③ 旧商標法第50条 P.20

 2 商標法実施条例 P.21

  (1) 第一章 総則 P.21

   ① 第3条:馳名商標認定の立法趣旨の明確化 P.21

   ② 第5条:外国出願人が受取人を明記する規定の追加 P.22

   ③ 第8条:「電子データ」の形式で商標登録出願に関する規定の追加 P.22

   ④ 第9条、第10条:出願人が書類を提出する日付、要求及び送達に関する規定 P.23

   ⑤ 第11条:審査・審理期間に含まれない状況 P.24

   ⑥ 第12条:期間の計算方法について P.25

  (2) 第二章 商標登録の出願 P.25

   ① 第13条:商標登録願書に関する要件 P.25

   ② 第14条:商標登録出願人の身分証明に関する規定 P.27

   ③ 第18条:商標出願の受理条件に関する規定 P.27

  (3) 第三章 商標登録出願の審査 P.28

   ① 第22条:商標分割出願に関する規定 P.28

   ② 第23条:商標登録出願の内容に対する説明及び修正に関する規定 P.28

   ③ 第24~第28条:商標異議申立に関する規定 P.28

   ④ 第29条:出願又は登録書類の訂正に関する規定 P.30

  (4) 第四章 登録商標の変更、譲渡、更新 P.30

   ① 第30条:商標権者の名義変更に関する規定 P.30

   ② 第31条:商標譲渡について P.31

   ③ 第32条:商標権の移転について P.32

  (5) 第五章 商標国際登録 P.32

  (6) 第六章 商標審判 P.33

   ① 第51条:商標審判の定義について P.34

   ② 第52条~第56条:商標審判案件の審理範囲の規定について P.34

   ③ 第59条:商標審判案件の請求又は答弁の補足証拠に関する規定について P.36

   ④ 第61条、第62条:請求人が審判請求を取り下げること及び取り下げた結果に関する規定について P.36

  (7) 第七章 商標使用の管理 P.37

   ① 第65条:通用名称になった商標を取消す規定について P.37

   ② 第66条:正当理由なしで連続して三年不使用の登録商標を取消す規定について P.37

   ③ 第67条:3年連続不使用の登録商標の正当な理由について P.38

   ④ 第69 条:登録商標使用許諾届出の規定について P.38

   ⑤ 第70条:商標専用権の質権設定の規定について P.38

   ⑥ 第71条:被許諾者の名称と原産地を明記しない法律責任の規定について P.38

   ⑦ 第73条、第74条:商標抹消請求の規定について P.39

  (8) 第八章 登録商標専用権の保護 P.40

   ① 第75条:他人の商標専用権を侵害する行為に、便宜を提供する行為の定義 P.40

   ② 第78条:違法経営額を計算する考慮要素の規定について P.40

   ③ 第79条:権利侵害製品が合法的に取得されたことを証明する情況の規定 P.41

   ④ 第80条:商標権侵害の製品であることを知らずに販売し、当該商品を合法的に取得したことを証明できる法的責任の規定 P.41

   ⑤ 第81条:商標権帰属に争議がある情況の定義について P.41

   ⑥ 第82条:商標権侵害案件における商標権侵害製品に対する鑑定手続きの規定 P.42

  (9) 第九章 商標代理 P.42

  (10) 第十章 附則 P.43

 

参考資料

 1 改正法の条文・対照表

  (1) 商標法全文 P.87

  (2) 商標法対比表 P.104

  (3) 商標法実施条例 P.130