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中国における商標制度のまとめ-実体編

1. 商標制度の特徴

中国商標は、構成要素によって、文字商標、図形商標、立体商標、色彩の組合せ商標および上記の要素の組合せによる結合商標に分けられている。また、使用対象等により、商品商標、役務商標、証明商標、団体商標に分けられている。さらに、知名度によって、馳名商標、著名商標などに分けられている。中国で保護される商標の類型と日本の類型とは、制度および実務上の運用において多くの点で相違している。

特に注意が必要な特徴としては、「一出願多区分」の制度が導入されてはいるが(商標法第22条第2項)、分割出願は部分拒絶通知が出された場合にのみ行うことができることである(商標法実施条例第22条)。

 

関連記事:「中国で保護される商標の類型」(2012.12.14)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/2063/

 

 

2. 登録できる商標

自然人、法人またはその他の組織の商品を他人の商品と区別することができる文字、図形、アルファベット、数字、立体的形状、色彩の組合せおよび音声等、並びにこれらの要素の組合せを含む標章は、すべて商標として登録出願することができる(商標法第8条)。

登録商標は、商品商標、役務商標、団体商標および証明商標とからなる(商標法第3条)。

 

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URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/6294/

 

関連記事:「(中国)商号と商標との関係」(2013.06.18)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/license/3098/

 

 

3. 商標を登録するための要件

登録のためには、商標法第8条に規定する商標であり、同第10条に規定する商標登録を受けることができない商標でないこと、同第11条に規定する識別力を有すること等の要件を満たす必要がある。

なお、「登録出願に係る商標は、顕著な特徴を有し、容易に識別でき、かつ他人の先に取得した合法的権利と抵触してはならない。」(商標法第9条)と規定されているが、商標法第9条は拒絶理由ではない。

 

関連記事:「中国における商標の「識別力」」(2013.07.26)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/3239/

 

関連記事:「中国における商標権の取得」(2013.12.10)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/4842/

 

 

4. 商標権の存続期間

・商標権の存続期間

登録商標の存続期間は商標の登録日から10年間である(商標法第39条)。

 

・商標権の更新登録

存続期間が満了する前12か月から、国家工商行政管理総局商標局に存続期間の更新申請手続を行うことができる。更新登録の申請は、何回でも可能である。また、一回の更新登録につき、10年間存続させることができる(商標法第40条)。

 

関連記事:「中国における登録商標の存続期間の更新申請」(2017.08.24)

URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/14006/

 

中国改正商標法及び実施条例の主な改正点

【詳細】

 中国・改正商標法マニュアル(2015年3月、日本貿易振興機構 進出企業支援・知的財産部 知的財産課)一の1、2

 

(目次)

一 改正法及び関連規定の主な改正点

 1 商標法 P.1

  (1) 第一章 総則  P.2

   ① 第4条:商標登録出願条件の確立 P.2

   ② 第7条:誠実信用の原則の追加 P.2

   ③ 第8条:音声商標の導入 P.3

   ④ 第14条:馳名商標の認定と保護 P.3

   ⑤ 第15条:冒認出願対策の強化 P.5

   ⑥ 第19条:代理機構への管理強化 P.6

  (2) 第二章 商標登録の出願 P.7

   ① 第22条第2項:「一出願多区分」制度を導入 P.7

   ② 第22条第3項:電子出願の導入 P.7

  (3) 第三章 商標登録の審査及び認可 P.8

   ① 第28条:審査期限の規定 P.8

   ② 第29条:審査手続きの改善 P.9

   ③ 第33条:異議申立の主体資格の制限 P.10

   ④ 第35条:異議後の救済手続きの変化 P.11

  (4) 第四章 登録商標の更新、変更、譲渡及び使用許諾 P.13

   ① 第40条:更新期間の延長 P.13

  (5) 第五章 登録商標の無効宣告 P.13

   ① 第44条~第47条 P.13

  (6) 第六章 商標使用の管理 P.15

   ① 第57条:新たな商標権侵害行為を定義 P.15

  (7) 第七章 登録商標専用権の保護 P.16

   ① 第58条:新たな不正競争行為を追加 P.16

   ② 第59条:先使用主義への適当な配慮 P.16

   ③ 第60条第2項:商標権侵害行為の再犯への処罰の追加 P.17

   ④ 第63条:懲罰規定の新設及び権利者の挙証責任の軽減 P.17

   ⑤ 第64条:商標権者の賠償要求時における使用義務の規定の追加 P.19

  (8) その他 削除された元の商標法の3つの条文 P.19

   ① 旧商標法第42条 P.19

   ② 旧商標法第45条 P.20

   ③ 旧商標法第50条 P.20

 2 商標法実施条例 P.21

  (1) 第一章 総則 P.21

   ① 第3条:馳名商標認定の立法趣旨の明確化 P.21

   ② 第5条:外国出願人が受取人を明記する規定の追加 P.22

   ③ 第8条:「電子データ」の形式で商標登録出願に関する規定の追加 P.22

   ④ 第9条、第10条:出願人が書類を提出する日付、要求及び送達に関する規定 P.23

   ⑤ 第11条:審査・審理期間に含まれない状況 P.24

   ⑥ 第12条:期間の計算方法について P.25

  (2) 第二章 商標登録の出願 P.25

   ① 第13条:商標登録願書に関する要件 P.25

   ② 第14条:商標登録出願人の身分証明に関する規定 P.27

   ③ 第18条:商標出願の受理条件に関する規定 P.27

  (3) 第三章 商標登録出願の審査 P.28

   ① 第22条:商標分割出願に関する規定 P.28

   ② 第23条:商標登録出願の内容に対する説明及び修正に関する規定 P.28

   ③ 第24~第28条:商標異議申立に関する規定 P.28

   ④ 第29条:出願又は登録書類の訂正に関する規定 P.30

  (4) 第四章 登録商標の変更、譲渡、更新 P.30

   ① 第30条:商標権者の名義変更に関する規定 P.30

   ② 第31条:商標譲渡について P.31

   ③ 第32条:商標権の移転について P.32

  (5) 第五章 商標国際登録 P.32

  (6) 第六章 商標審判 P.33

   ① 第51条:商標審判の定義について P.34

   ② 第52条~第56条:商標審判案件の審理範囲の規定について P.34

   ③ 第59条:商標審判案件の請求又は答弁の補足証拠に関する規定について P.36

   ④ 第61条、第62条:請求人が審判請求を取り下げること及び取り下げた結果に関する規定について P.36

  (7) 第七章 商標使用の管理 P.37

   ① 第65条:通用名称になった商標を取消す規定について P.37

   ② 第66条:正当理由なしで連続して三年不使用の登録商標を取消す規定について P.37

   ③ 第67条:3年連続不使用の登録商標の正当な理由について P.38

   ④ 第69 条:登録商標使用許諾届出の規定について P.38

   ⑤ 第70条:商標専用権の質権設定の規定について P.38

   ⑥ 第71条:被許諾者の名称と原産地を明記しない法律責任の規定について P.38

   ⑦ 第73条、第74条:商標抹消請求の規定について P.39

  (8) 第八章 登録商標専用権の保護 P.40

   ① 第75条:他人の商標専用権を侵害する行為に、便宜を提供する行為の定義 P.40

   ② 第78条:違法経営額を計算する考慮要素の規定について P.40

   ③ 第79条:権利侵害製品が合法的に取得されたことを証明する情況の規定 P.41

   ④ 第80条:商標権侵害の製品であることを知らずに販売し、当該商品を合法的に取得したことを証明できる法的責任の規定 P.41

   ⑤ 第81条:商標権帰属に争議がある情況の定義について P.41

   ⑥ 第82条:商標権侵害案件における商標権侵害製品に対する鑑定手続きの規定 P.42

  (9) 第九章 商標代理 P.42

  (10) 第十章 附則 P.43

 

参考資料

 1 改正法の条文・対照表

  (1) 商標法全文 P.87

  (2) 商標法対比表 P.104

  (3) 商標法実施条例 P.130