中国における特許制度のまとめ-手続編
1.出願に必要な書類
特許出願するときは、願書、説明書(明細書)およびその概要(要約書)、権利要求書(特許請求の範囲)等の文書を提出する(専利法第26条)。
優先権を主張して特許出願した場合は、最初の出願日(優先日)から16か月以内に、優先権主張の基礎とされた特許出願書類の副本を提出しなければならない(専利法第30条)。
関連記事:「中国における特許出願制度概要」(2020.03.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18370/
2.記載が認められるクレーム形式
(1) 認められるクレーム形式
製品、方法、特定の方法による製品、装置、システム、プログラムの記録された記憶媒体
備考:2017年4月1日から、中国特許審査指南の改訂版の運用が開始され、媒体クレームが認められるようになった。コンピュータプログラムそれ自体のプログラムクレームは依然として認められていない。
(2) 認められないクレーム形式
プログラム、データ、信号
関連記事:「中国におけるコンピュータプログラムに関わる特許出願」(2022.01.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/21762/
3.出願の言語
すべての書類は中国語で提出する必要があり、中国語でない場合は不受理となる(実施細則第3条、第39条)。外国語出願制度はない。
関連記事:「中国における特許出願制度概要」(2020.03.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18370/
4.グレースピリオド
出願日(優先権を享有する場合には、優先日を指す。)前6か月以内に以下のいずれかに該当する場合、新規性を喪失しない(専利法第24条、審査指南第1部分第1章6.3)。
(1) 国が緊急事態又は非常事態の情況下で、公共の利益のために初めて公開された場合 (2) 中国政府が主催する又は認める国際展示会で初めて展示された場合
(3) 規定の学術会議、あるいは技術会議上で初めて発表された場合
(4) 他者が出願人の同意を得ずに、その内容を漏洩した場合
関連記事:「中国における特許出願における新規性喪失の例外について」(2022.11.10)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/27060/
5.審査
(1) 実体審査
実体審査:あり
審査請求制度:あり
審査請求期間:出願日(優先日)から3年以内
請求人:審査請求を行うことができるのは出願人のみである。
関連記事:「日本と中国における特許審査請求期限の比較」(2015.06.19)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/9360/
(2) 早期審査(優先審査)
早期審査:あり
次に掲げる事由のうちいずれかに該当する専利出願又は専利復審事件は、優先審査を請求することができる。
(一) 省エネルギー・環境保護、次世代情報技術、バイオ、ハイエンド設備製造、新型エネルギー、新材料、新型エネルギー自動車、スマート製造などの国の重点発展産業に関係する場合。
(二) 各省級および設区市級人民政府が重点的に奨励している産業に関係する場合。
(三) インターネット、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの分野に関わり、かつ技術又は製品の更新速度が速い場合。
(四) 専利出願人または復審の請求人が、実施の準備を完了している、またはすでに実施している、若しくは他人がその発明創造を実施中であることを証明する証拠を有している場合。
(五) 同じ主題について、初めて中国で専利を出願し、その他の国または地域に対しても出願する場合で、中国が最初の出願である場合。
(六) 国の利益または公共の利益にとって重要な意義があり、優先審査の必要があるその他の場合。
利用可能なPPH:通常型、MOTTAINAI、PCT-PPH
関連記事:「中国における早期審査のための「特許審査ハイウェイ(PPH)」活用」(2022.11.22)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/27133/
関連記事:「中国における特許出願の早期権利化(早期公開/早期審査/優先審査/PPH)」(2021.05.20)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19894/
(3) 出願を維持するための料金:不要
6.出願から登録までのフローチャート
(1) 出願から登録までの特許出願のフローチャート
(2) フローチャートに関する簡単な説明
(A) 実体審査を請求する時および実体審査に入る旨の通知を受領した日より3か月以内に、特許出願を自発的に補正することができる。書類の補正は、元の明細書および特許請求の範囲に記載した範囲を超えてはならない(専利法第33条、実施細則第51条)。
(B) 1回目の拒絶理由通知には、4か月以内に応答しなければならない。2回目の拒絶理由通知には2か月以内に応答しなければならない(専利法第37条、審査指南第2部分第8章4.10.3、専利審査指南第2部分第8章4.11.3.2)。これらの期間は、手数料を支払うことで、1か月単位で2か月まで1回のみ延長することができる(審査指南第5部分第7章4.2)。書類の補正は、元の明細書および特許請求の範囲に記載した範囲を超えてはならない(専利法第33条、実施細則第51条)。
(C) 特許査定の通知の日から2か月以内に、登録手続を行わなければならない。期限内に登録手続をしなかった場合は、権利を放棄したものとみなされる(実施細則第54条)。登録手続を行う際には、特許登録料、公告印刷料および特許付与年の年金を納付しなければならない(実施細則第97条)。
(D) 発明専利権の期限は20年とし、実用新案専利権の期限は10年、意匠専利権の期限は15年とし、いずれも出願日から起算する。
発明専利の出願日から起算して満4年、かつ実体審査請求日から起算して満3年後に発明専利が付与された場合、国務院専利行政部門が専利権者の請求に応じて、発明専利の権利付与プロセスにおける不合理的な遅延について専利権の期間の補償を与える。ただし、出願人に起因する不合理的な遅延は除外する。
新薬の発売承認審査にかかった時間を補償するために、中国で発売許可を得られた新薬に関連する発明専利について、国務院専利行政部門は専利権者の請求に応じて専利権の存続期間の補償を与える。補償の期間は5年を超えず、新薬発売承認後の専利権の合計存続期間は14年を超えないものとする(専利法第42条)。
関連記事:「中国における特許出願制度概要」(2020.03.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18370/
関連記事:「日本と中国の特許の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長に関する比較」(2019.10.08)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17778/
関連記事:「(中国)応答期間の延長」(2012.08.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/1069/
[権利設定前の争いに関する手続]
7.拒絶査定不服審判請求
審査部の決定に不服の場合は、国務院専利行政部門に対して、審判請求をすることができる(専利法第41条)。
関連記事:「中国における特許・実用新案・意匠(中国語「専利」)の拒絶査定不服審判制度概要(中国語「専利復審請求制度」)」(2021.05.20)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/19891/
8.権利設定前の異議申立
なし
関連記事:「中国知財法と日本知財法の相違点」(2022.11.22)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/27137/
9.上記7.の判断に対する不服申立
国務院専利行政部門による判断の結果に不服がある場合は、中級人民法院に相当する北京知識産権法院に訴えることができる。
さらに、北京知識産権法院の判決に不服がある場合には、北京市高級人民法院に上訴できる。
関連記事:「中国における知的財産裁判所(知識産権法院)」(2016.03.11)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/10385/
関連記事:「中国における知的財産法院の最新動向」(2016.05.26)https://www.globalipdb.inpit.go.jp/trend/11218/
関連記事:「中国における最新の審判・裁判に関する情報の比較分析」(2015.03.20)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/8117/
関連記事:「(中国)特許庁審判部と審決取消訴訟との関係について」(2013.08.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/precedent/3353/
[権利設定後の争いに関する手続]
10.権利設定後の異議申立
なし
関連記事:「中国知財法と日本知財法の相違点」(2022.11.22)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/27137/
11.設定された特許権に対して、権利の無効を申し立てる制度
専利権(特許権・実用新案権・意匠権)の無効を請求する者は、何人も、国務院専利行政部門に対して、無効宣告請求書を提出することにより無効宣告を請求することができる(専利法第45~47条)。
請求できる期間:いつでも可能
無効理由:専利法2、5、9、19.1、22、23、25、26.3、26.4、27.2、33、および専利法実施細則20.2、43.1
関連記事:「中国における特許・実用新案・意匠(中国語「専利」)の無効審判制度概要(中国語「専利無効宣告請求制度」)」(2021.05.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/19905/
関連記事:「中国における無効審判請求の概要」(2014.09.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/6551/
12.権利設定後の権利範囲の修正
無効審判において、特許権者は、特許請求の範囲を訂正することができる。
ただし、訂正の目的は、請求項の削除、技術方案の削除、請求項の更なる限定および明らかな誤記の訂正に限られる(「専利審査指南」2017.04.01施行)。明細書・図面の訂正はできない(実施細則第69条)。
日本の訂正審判に相当する制度は存在しない。
関連記事:「中国における補正および訂正に関連する制度およびその利用実態」(2018.01.11)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/14405/
関連記事:「中国における権利化後の補正(訂正)の制限」(2017.12.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/14385/
関連記事:「中国における特許権取得後の訂正」(2014.06.03)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/6167/
13.その他の制度
実用新案と意匠について、権利の有効性に関する評価報告書制度がある(実施細則第56条)。
中国における特許制度のまとめ-手続編
中国における特許制度運用について、その手続き面に関する法令、出願実務を関連記事とともにまとめて紹介する。
【詳細】
1. 出願に必要な書類
特許出願するときは、願書、説明書(明細書)およびその概要(要約書)、権利要求書(特許請求の範囲)等の文書を提出する(専利法第26条)。
優先権を主張して特許出願した場合は、最初の出願日(優先日)から16か月以内に、優先権主張の基礎とされた特許出願書類の副本を提出しなければならない(専利法第30条*1)。
*1:第四次改正専利法2021年6月1日施行予定
関連記事:「中国における特許出願制度概要」(2020.03.17)
URL: https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18370/
2. 記載が認められるクレーム形式
(1) 認められるクレーム形式
製品、方法、特定の方法による製品、装置、システム、プログラムの記録された記憶媒体
備考: 2017年4月1日から、中国特許審査指南の改訂版の運用が開始され、媒体クレームが認められるようになった。コンピュータプログラムそれ自体のプログラムクレームは依然として認められていない。
(2)認められないクレーム形式
プログラム、データ、信号
関連記事:「(中国)コンピュータプログラムに関わる特許出願」(2013.10.25)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/3544/
3. 出願の言語
すべての書類は中国語で提出する必要があり、中国語でない場合は不受理となる(実施細則第3条、第39条)。外国語出願制度はない。
関連記事:「中国における特許出願制度概要」(2020.03.17)
URL: https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18370/
4. グレースピリオド
出願日(優先権を享有する場合には、優先日を指す。)前6か月以内に以下のいずれかに該当する場合、新規性を喪失しない(専利法第24条、審査指南第1部分第1章6.3)。
(1)国が緊急事態又は非常事態の情況下で、公共の利益のために初めて公開された場合*2
(2)中国政府が主催する又は認める国際展示会で初めて展示された場合
(3)規定の学術会議、あるいは技術会議上で初めて発表された場合
(4)他者が出願人の同意を得ずに、その内容を漏洩した場合
*2:第四次改正専利法2021年6月1日施行予定
関連記事:「中国の特許出願における新規性喪失の例外について」(2012.08.27)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/1439/
5. 審査
(1) 実体審査
実体審査:あり
審査請求制度:あり
審査請求期間:出願日(優先日)から3年以内
請求人:審査請求を行うことができるのは出願人のみである。
関連記事:「日本と中国における特許審査請求期限の比較」(2015.06.19)
URL:http://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/9360/
(2) 早期審査(優先審査)
早期審査:あり
次に掲げる事由のうちいずれかに該当する専利出願又は専利復審事件は、優先審査を請求することができる。
(一) 省エネルギー・環境保護、次世代情報技術、バイオ、ハイエンド設備製造、新型エネルギー、新材料、新型エネルギー自動車、スマート製造などの国の重点発展産業に関係する場合。
(二) 各省級および設区市級人民政府が重点的に奨励している産業に関係する場合。
(三) インターネット、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの分野に関わり、かつ技術又は製品の更新速度が速い場合。
(四) 専利出願人または復審の請求人が、実施の準備を完了している、またはすでに実施している、若しくは他人がその発明創造を実施中であることを証明する証拠を有している場合。
(五) 同じ主題について、初めて中国で専利を出願し、その他の国または地域に対しても出願する場合で、中国が最初の出願である場合。
(六) 国の利益または公共の利益にとって重要な意義があり、優先審査の必要があるその他の場合。
利用可能なPPH:通常型、MOTTAINAI、PCT-PPH
関連記事:「中国における早期審査のための「特許審査ハイウェイ(PPH)」活用」(2018.07.24)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/15548/
関連記事:「中国における特許出願の早期権利化(早期公開/早期審査/優先審査/PPH)」(2021.05.20)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19894/
(3)出願を維持するための料金:不要
6. 出願から登録までのフローチャート
(1)出願から登録までの特許出願のフローチャート
(2)フローチャートに関する簡単な説明
(A)実体審査を請求する時および実体審査に入る旨の通知を受領した日より3か月以内に、特許出願を自発的に補正することができる。書類の補正は、元の明細書および特許請求の範囲に記載した範囲を超えてはならない(専利法第33条、実施細則第51条)。
(B)1回目の拒絶理由通知には、4か月以内に応答しなければならない。2回目の拒絶理由通知には2か月以内に応答しなければならない(専利法第37条、審査指南第2部分第8章4.10.3、専利審査指南第2部分第8章4.11.3.2)。これらの期間は、手数料を支払うことで、1か月単位で2か月まで1回のみ延長することができる(審査指南第5部分第7章4.2)。書類の補正は、元の明細書および特許請求の範囲に記載した範囲を超えてはならない(専利法第33条、実施細則第51条)。
(C)特許査定の通知の日から2か月以内に、登録手続を行わなければならない。期限内に登録手続をしなかった場合は、権利を放棄したものとみなされる(実施細則第54条)。登録手続を行う際には、特許登録料、公告印刷料および特許付与年の年金を納付しなければならない(実施細則第97条)。
(D)発明専利権の期限は20年とし、実用新案専利権の期限は10年、意匠専利権の期限は15年とし、いずれも出願日から起算する。
発明専利の出願日から起算して満4年、かつ実体審査請求日から起算して満3年後に発明専利が付与された場合、国務院専利行政部門が専利権者の請求に応じて、発明専利の権利付与プロセスにおける不合理的な遅延について専利権の期間の補償を与える。ただし、出願人に起因する不合理的な遅延は除外する。
新薬の発売承認審査にかかった時間を補償するために、中国で発売許可を得られた新薬に関連する発明専利について、国務院専利行政部門は専利権者の請求に応じて専利権の存続期間の補償を与える。補償の期間は5年を超えず、新薬発売承認後の専利権の合計存続期間は14年を超えないものとする(専利法第42条*3)。 *3:第四次改正専利法2021年6月1日施行予定
関連記事:「中国における特許出願制度概要」(2020.03.17)
URL: https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18370/
関連記事:「日本と中国の特許の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長に関する比較」(2019.10.08)
URL: https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17778/
関連記事:「(中国)応答期間の延長」(2012.08.21)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/1069/
[権利設定前の争いに関する手続]
7. 拒絶査定不服
審査部の決定に不服の場合は、国務院専利行政部門に対して、審判請求をすることができる(専利法第41条*4)。
*4:第四次改正専利法2021年6月1日施行予定
関連記事:「中国における特許・実用新案・意匠(中国語「専利」)の拒絶査定不服審判制度概要(中国語「専利復審請求制度」)」(2021.05.20)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/19891/
8. 権利設定前の異議申立
なし
関連記事:「中国知財法と日本知財法の相違点」(2018.07.19)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/15446/
9. 上記7の判断に対する不服申立
国務院専利行政部門による判断の結果に不服がある場合は、中級人民法院に相当する北京知識産権法院に訴えることができる。
さらに、北京知識産権法院の判決に不服がある場合には、北京市高級人民法院に上訴できる。
関連記事:「中国における知的財産裁判所(知識産権法院)」(2016.03.11)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/10385/
関連記事:「中国における知的財産法院の最新動向」(2016.05.26)URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/trend/11218/
旧関連記事:「中国における最新の審判・裁判に関する情報の比較分析」(2015.03.20)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/8117/
旧関連記事:「(中国)特許庁審判部と審決取消訴訟との関係について」(2013.08.23)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/precedent/3353/
[権利設定後の争いに関する手続]
10. 権利設定後の異議申立
なし
関連記事:「中国知財法と日本知財法の相違点」(2018.07.19)
URL: https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/15446/
11. 設定された特許権に対して、権利の無効を申し立てる制度
専利権(特許権・実用新案権・意匠権)の無効を請求する者は、何人も、国務院専利行政部門に対して、無効宣告請求書を提出することにより無効宣告を請求することができる(専利法第45~47条)。
請求できる期間:いつでもできる。
無効理由:法2、5、9、19.1*5、22、23、25、26.3、26.4、27.2、33、および細則20.2、43.1
*5:第四次改正専利法2021年6月1日施行予定
関連記事:「中国における特許・実用新案・意匠(中国語「専利」)の無効審判制度概要(中国語「専利無効宣告請求制度」)」(2021.05.25)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/19905/
関連記事:「中国における無効審判請求の概要」(2014.09.26)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/6551/
12. 権利設定後の権利範囲の修正
無効審判において、特許権者は、特許請求の範囲を訂正することができる。
ただし、訂正の目的は、請求項の削除、技術方案の削除、請求項の更なる限定および明らかな誤記の訂正に限られる(「専利審査指南」2017.04.01施行)。明細書・図面の訂正はできない(実施細則第69条)。
日本の訂正審判に相当する制度は存在しない。
関連記事:「中国における補正および訂正に関連する制度およびその利用実態」(2018.01.11)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/14405/
関連記事:「中国における権利化後の補正(訂正)の制限」(2017.12.26)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/14385/
関連記事:「中国における特許権取得後の訂正」(2014.06.03)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/6167/
13. その他の制度
実用新案と意匠について、権利の有効性に関する評価報告書制度がある(実施細則第56条)。
中国における特許制度のまとめ-手続編
1. 出願に必要な書類
特許出願するときは、願書、説明書(明細書)およびその概要(要約書)、権利要求書(特許請求の範囲)等の文書を提出する(専利法第26条)。
関連記事:「中国における特許出願制度概要」(2012.07.30)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/151/
2. 記載が認められるクレーム形式
(1) 認められるクレーム形式
製品、方法、特定の方法による製品、装置、システム、プログラムの記録された記憶媒体
備考: 2017年4月1日から、中国特許審査指南の改訂版の運用が開始され、媒体クレームが認められるようになった。コンピュータプログラムそれ自体のプログラムクレームは依然として認められていない。
(2)認められないクレーム形式
プログラム、データ、信号
関連記事:「(中国)コンピュータプログラムに関わる特許出願」(2013.10.25)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/3544/
3. 出願の言語
すべての書類は中国語で提出する必要があり、中国語でない場合は不受理となる(実施細則第3条、第39条)。外国語出願制度はない。
関連記事:「中国における特許出願制度概要」(2012.07.30)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/151/
4. グレースピリオド
出願日(優先権を享有する場合には、優先日を指す。)前6か月以内に以下のいずれかに該当する場合、新規性を喪失しない(専利法第24条、審査指南第1部分第1章6.3)。
(1)中国政府が主催する又は認める国際展示会で初めて展示された場合
(2)規定の学術会議、あるいは技術会議上で初めて発表された場合
(3)他者が出願人の同意を得ずに、その内容を漏洩した場合
関連記事:「中国の特許出願における新規性喪失の例外について」(2012.08.27)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/1439/
5. 審査
(1) 実体審査
実体審査:あり
審査請求制度:あり
審査請求期間:出願日(優先日)から3年以内
請求人:審査請求を行うことができるのは出願人のみである。
関連記事:「日本と中国における特許審査請求期限の比較」(2015.06.19)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/9360/
(2) 早期審査(優先審査)
早期審査:あり
次に掲げる事由のうちいずれかに該当する専利出願又は専利復審事件は、優先審査を請求することができる。
(一) 省エネルギー・環境保護、次世代情報技術、バイオ、ハイエンド設備製造、新型エネルギー、新材料、新型エネルギー自動車、スマート製造などの国の重点発展産業に関係する場合。
(二) 各省級および設区市級人民政府が重点的に奨励している産業に関係する場合。
(三) インターネット、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの分野に関わり、かつ技術又は製品の更新速度が速い場合。
(四) 専利出願人または復審の請求人が、実施の準備を完了している、またはすでに実施している、若しくは他人がその発明創造を実施中であることを証明する証拠を有している場合。
(五) 同じ主題について、初めて中国で専利を出願し、その他の国または地域に対しても出願する場合で、中国が最初の出願である場合。
(六) 国の利益または公共の利益にとって重要な意義があり、優先審査の必要があるその他の場合。
利用可能なPPH:通常型、MOTTAINAI、PCT-PPH
関連記事:「中国における早期審査のための「特許審査ハイウェイ(PPH)」活用」(2015.03.18)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/8085/
関連記事:「中国における特許出願の早期権利化(早期公開/早期審査/優先審査/PPH)」(2013.01.18)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/2198/
(3)出願を維持するための料金:不要
6. 出願から登録までのフローチャート
(1)出願から登録までの特許出願のフローチャート
(2)フローチャートに関する簡単な説明
(A)実体審査を請求する時および実体審査に入る旨の通知を受領した日より3か月以内に、特許出願を自発的に補正することができる。書類の補正は、元の明細書および特許請求の範囲に記載した範囲を超えてはならない(専利法第33条、実施細則第51条)。
(B)1回目の拒絶理由通知には、4か月以内に応答しなければならない。2回目の拒絶理由通知には2か月以内に応答しなければならない(専利法第37条、審査指南第2部分第8章4.10.3、専利審査指南第2部分第8章4.11.3.2)。これらの期間は、手数料を支払うことで、1か月単位で2か月まで1回のみ延長することができる(審査指南第5部分第7章4.2)。書類の補正は、元の明細書および特許請求の範囲に記載した範囲を超えてはならない(専利法第33条、実施細則第51条)。
(C)特許査定の通知の日から2か月以内に、登録手続を行わなければならない。期限内に登録手続をしなかった場合は、権利を放棄したものとみなされる(実施細則第54条)。登録手続を行う際には、特許登録料、公告印刷料および特許付与年の年金を納付しなければならない(実施細則第97条)。
関連記事:「中国における特許出願制度概要」(2012.07.30)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/151/
関連記事:「日本と中国の特許の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長に関する比較」(2015.06.19)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/9322/
関連記事:「(中国)応答期間の延長」(2012.08.21)
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[権利設定前の争いに関する手続]
7. 拒絶査定に対する不服
審査部の決定に不服の場合は、復審委員会(審判部)に対して、審判請求をすることができる(専利法第41条)。
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8. 権利設定前の異議申立
なし
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9. 上記7.の判断に対する不服申立
専利復審委員会による判断の結果に不服がある場合は、中級人民法院に相当する北京知識産権法院に訴えることができる。
さらに、北京知識産権法院の判決に不服がある場合には、北京市高級人民法院に上訴できる。
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[権利設定後の争いに関する手続]
10. 権利設定後の異議申立
なし
関連記事:「中国知財法と日本知財法の相違点」(2015.03.31)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/8323/
11. 設定された特許権に対して、権利の無効を申し立てる制度
専利権(特許権・実用新案権・意匠権)の無効を請求する者は、何人も、復審委員会(審判部)に対して、無効宣告請求書を提出することにより無効宣告を請求することができる(専利法第45~47条)。
請求できる期間:いつでもできる。
無効理由:法2、5、9、20.1、22、23、25、26.3、26.4、27.2、33、および細則20.2、43.1
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12. 権利設定後の権利範囲の修正
無効審判において、特許権者は、特許請求の範囲を訂正することができる。
ただし、訂正の目的は、請求項の削除、技術方案の削除、請求項の更なる限定および明らかな誤記の訂正に限られる(「専利審査指南」2017.04.01施行)。明細書・図面の訂正はできない(実施細則第69条)。
日本の訂正審判に相当する制度は存在しない。
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13. その他の制度
実用新案と意匠について、権利の有効性に関する評価報告書制度がある(実施細則第56条)。