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中国知財法と日本知財法の相違点

【詳細】

中国と日本の特許・実用新案・意匠関連法制度

 

・中国専利法(特許・実用新案・意匠)に関する関連規定

(1)専利法、専利法実施細則、審査指南、司法解釈などがある。

(2)発明、実用新案、意匠の規定を一つの専利法に収めている。

(3)審査における具体的な規定に関しては、中国国家知識財産権局(中国特許庁)の部門規定である「審査指南」に規定されている。

(4)最高人民法院(日本の最高裁に相当。)が法律の具体的な適用について司法解釈として規定する。

 

・日本の特許・実用新案・意匠に関する規定

(1)特許法、実用新案法、意匠法。それぞれ発明、実用新案、意匠について規定を設けており、実用新案法と意匠法のうち多くの規定は、特許法に準ずるとされる。

(2)中国の審査指南は日本における審査基準に該当する。

 

中国と日本の特許・実用新案、意匠に関する制度の違い

 

(1)権利の存続期間

  特許権 実用新案 意匠
中国 出願日から20年 出願日から10年 出願日から10年
日本 出願日から20年 出願日から10年 登録の日から20年(注)

(注)平成19年3月31日以前の意匠登録出願については、設定登録の日から最長15年をもって意匠権の存続期間を終了する。

 

(2)権利の保護対象

  中国 日本
特許 発明とは、製品、方法またはその改良に対して行われる新しい技術案を指す。すなわち製品の発明と方法の発明を指す。日本のように物を生産する方法は特に独立した種別では規定されていない。 「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。物の発明、方法の発明、ものを生産する発明について、それぞれ実施行為が規定されている。
実用新案 中国専利法上の実用新案とは、「製品の形状、構造またはそれらの組み合わせについて出された実用に適した新しい技術案」である。日本の実用新案とほぼ同じ概念である。

進歩性の判断において、「従来技術と比べて、実質的な特徴と進歩を有すること」と規定しており、発明における「従来技術と比べて、際立った実質的な特徴と顕著な進歩を有すること」より、要件が緩くなっている。進歩性の判断基準が特許より低く規定されている点は日本と同様である。

「物品の形状、構造またはそれらの組み合わせ」と規定される。

進歩性の判断において、「実用新案登録出願前に当業者が従来技術に基づいてきわめて容易に考案をすることができ」となっており、特許の進歩性の判断「通常の知識を有する者が従来技術に基いて容易に発明をすることができない」という基準より低く規定されている。

意匠 「製品の形状、模様またはそれらの結合及び色彩と形状、模様の結合に対して行った美感に富んだ工業上応用に適した新しいデザイン」を指し、日本の意匠と同様の規定となっている。

(i)製品の形状、(ii)製品の模様、(iii)製品の形状と模様、(iv)製品の色彩と形状、(v)製品の色彩と模様、(vi)製品の形状と色彩と模様が意匠に該当する。

意匠とは、「物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。」をいう。物品の外観に現れないような構造的機能は保護の対象とはならない。

 

(3)特許出願の審査

 

中国

日本

方式審査 有り 有り
実体審査 有り 有り
審査の流れ 方式審査、実体審査 方式審査、実体審査
審査請求 中国専利法において、優先日から3年以内に審査請求をしなければ出願は取り下げられたものとみなされる。優先日から起算される点は出願日から起算されるとする日本特許法と異なるので、注意が必要である。また、審査請求は、日本特許法のように何人も審査請求ができるわけではなく、原則として出願人のみが審査請求可能である。また、中国知識産権局が必要と認める際には、自ら実体審査を開始することができる。 日本特許法において、出願日から1年6ヶ月後に出願の内容を公開され、また、出願日から3年以内に審査請求しなければならない。3年以内に審査請求が無い場合には、取り下げたものと見なされる。

 

(4)特許に関する審判

  中国 日本
審判の種類 復審とは、拒絶査定を不服として行う救済手続であり、日本の拒絶査定不服審判に相当する。

中国の専利法では、復審(拒絶査定不服審判)の他、無効審判が規定されている。

 

中国の審判は専利復審委員会の3名または5名により構成される合議体によって行われる。

拒絶査定不服審判、特許無効審判、延長登録無効審判、訂正審判の規定がある。
拒絶査定不服審判の請求期限 拒絶査定通知を受け取った日から3ヶ月以内に提起することができる 拒絶査定の送達から3ヶ月以内に拒絶査定不服審判を請求することができる。
拒絶査定不服審判と審査前置制度 専利復審委員会は、審査を行った審査部門に受理した審判請求書移送し、その審査部門により審査が行われる。

拒絶査定を取り消す場合は必ず審査部門に差戻しされることになる。すなわち、すべて前置審査である。

審判請求がなされ、その請求と同時に明細書、特許請求の範囲又は図面について補正があつたときは、審査官がその請求を審査し、拒絶理由が解消された場合には、直接特許査定を行うことができる。
異議申立制度との関係 現在特許の異議申立制度はなく、日本の現行特許法と同様に、中国専利局により特許権が付与された後は、何人も無効審判を請求することができる。 現行特許法では、異議申立制度はなく、登録特許が無効理由を含むと考える第三者は、無効審判を請求することができる。なお、2014年法改正により特許異議の申立て制度が創設される。