中国における特許制度のまとめ-実体編
1.特許制度の特徴
(1) 特実同日出願
中国では、同一の発明創造には1つの専利権のみが付与されるが、同一の出願人が同一の発明創造について特許と実用新案を同日に出願する場合(以下、「特実同日出願」という。)、出願人は、先に取得した実用新案専利権が終了する前に当該実用新案専利権を放棄すれば、特許出願について権利付与を受けることができ(専利法第9条第1項)、特許出願の内容を適切に補正すれば、特許と実用新案の両方を維持することもできる(専利実施細則第41条、専利審査指南第二部分第3章6.2.1.1)。
関連記事:「中国における特許/実用新案の同日出願について」(2021.05.25)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19954/
(2) 出願の変更
特許から実用新案、実用新案から特許、といった出願種別の変更はできない。
関連記事:「中国における特許出願制度概要」(2020.03.17)
URL: https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18370/
(3) 秘密保持審査
いかなる機関、組織又は個人も、中国国内で完成した発明を外国に出願する場合、先ず国務院専利行政部門による秘密保持審査を受けなければならない(専利法第19条)。
関連記事:「中国で完成した発明に関する秘密保持審査制度」(2013.04.16)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/2641/
(4) コンピュータプログラム自体
「コンピュータプログラム自体」は特許を受けることができないが、コンピュータソフトウェア関連発明等は特許可能な発明として認められ得る(専利法第2条第2項、専利審査指南第二部分第1章4.2、同第9章序文第4段落)。
関連記事:「中国におけるコンピュータプログラムに関わる特許出願」(2022.01.18)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/21762/
関連記事:「中国におけるコンピュータソフトウェア関連発明等の特許保護の現状および出願実務について」(2019.01.08)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16381/
関連記事:「中国におけるコンピュータソフトウェア発明およびビジネスモデル発明の特許性」(2018.07.03)
URL: https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/15380/
(5) 遺伝資源の出所開示
遺伝資源に依存して完成した発明創造に関する特許出願は、出所を開示する必要がある(専利法第5条第2項、第26条第5項)。
関連記事:「中国特許出願における遺伝資源の出所開示の制度」(2014.01.28)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/5118/
2.発明の保護対象
発明とは、製品、方法又はその改善に対して行われる新たな技術方案を指す(専利法第2条第2項)。
関連記事:「中国知財法と日本知財法の相違点」(2022.11.22)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/27137/
コンピュータソフトウェアに関する発明、ビジネスモデルに関する発明については、発明の従来技術からの改良部分に関係しているものが方法である場合、専利法第2条、同第5条、同第22条、同第25条の要件を満たさず特許性を有さない。
関連記事:「中国におけるコンピュータソフトウェア発明およびビジネスモデル発明の特許性」(2018.07.03)
URL: https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/15380/
医薬分野の発明は製品と方法の2つのクレームで保護される。製品には化合物および医薬組成物を含み、方法には製造方法および医薬用途が含まれる。
関連記事:「中国における医薬用途発明の保護制度」(2018.02.22)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/14580/
3.特許を受けるための要件
専利法第2章に特許権付与の要件が規定されている。
積極的要件:特許要件(専利法第22条)
新規性、創造性(進歩性)、実用性(産業上利用可能性、自然法則利用性)を具備していなければならない。
消極的要件:不特許事由(専利法第25条)
(一)科学上の発見
(二)知的活動の規則及び方法
(三)疾病の診断及び治療方法
(四)動物と植物の品種
(五)原子核変換方法及び原子核の変換方法を用いて取得した物質
(六)平面印刷物の図案、色彩又は両者の組み合わせによって作成され、主に表示を機能とする設計
手続的要件(専利法第26条、専利法実施細則第15条から第22条)
記載要件を満たしていなければならない。
関連記事:「中国における特許出願制度概要」(2020.03.17)
URL: https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18370/
関連記事:「中国における特許・実用新案の実用性要件」(2012.10.09)
URL:http://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/1734/
4.職務発明の取り扱い
当該部門の職務を遂行して、又は主に物質・技術条件を利用して完成した発明創造は職務発明創造とする(専利法第6条)。
専利権を付与された部門は、職務発明創造の発明者又は創造者に対し奨励を与える。発明創造が許諾され、実施された後は普及・応用の範囲及び獲得した経済効果に応じて発明者又は創造者に合理的な報酬を与える(専利法第15条)。
関連記事:「中国における職務発明制度」(2014.01.14)
URL:http://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/4986/
関連記事:「中国における職務発明の奨励金、報酬についての法律問題」(2014.02.03)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/5185/
関連記事:「中国における日本企業および外国企業が直面している問題-職務発明規程の作成と見直し」(2015.05.08)
URL:http://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/8889/
関連記事:「中国における職務発明条例(草案)と科学技術成果転化促進法(改正)の解説」(2016.04.13)
URL:http://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/11087/
5.特許権の存続期間
(1) 存続期間
発明専利権の存続期間は、出願日から20年である(専利法第42条第1項)。
実用新案専利権の存続期間は、出願から10年である(専利法第42条第1項)。
意匠専利権の存続期間は、出願から15年である(専利法第42条第1項)。
(2) 特許権の存続期間の延長制度
中国で発売許可を得られた新薬に関連する発明専利において、新薬の発売承認審査にかかった期間について、国務院専利行政部門は専利権者の請求に応じて専利権の存続期間の補償を与える。補償の期間は5年を超えず、新薬発売承認後の専利権の合計存続期間は14年を超えないものとする(専利法第42条第3項)。
(3) 審査の遅延による存続期間の延長補償
発明専利の出願日から起算して満4年、かつ実体審査請求日から起算して満3年後に発明専利が付与された場合、国務院専利行政部門が専利権者の請求に応じて、発明専利の権利付与プロセスにおける不合理的な遅延について専利権の期間の補償を与える。ただし、出願人に起因する不合理的な遅延は除外する(専利法第42条第2項)。
関連記事:「中国における専利(特許・実用新案・意匠)の存続期間」(2015.05.26)
URL:http://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/8717/
関連記事:「中国における医薬品等の特許権の延長登録制度と関連制度」(2016.02.19)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/10232/
中国におけるAI関連発明の特許審査に関する調査
「近年の判例等を踏まえたAI関連発明の特許審査に関する調査研究報告書」(令和4年2月、日本国際知的財産保護協会)第2部 各国・機関のAI関連発明に関する制度・運用 第5章 中国
第1部 調査研究の概要
第3 調査研究結果
1 各国・機関のAI関連発明に関する制度・運用
(中国におけるAI関連発明に関する制度を紹介している。詳細は第2部 第5章に記載されている。)
(5)中国 P.8
第2部 各国・機関のAI関連発明に関する制度・運用
第5章 中国 P.127
(中国におけるAI関連は発明に関連する法律、規則、審査指南の該当する条文等を解説している。また、2件の審決例および1件の判例を紹介している。)
第1 法律・審査基準 P.127
1 発明の定義(発明該当性及び専利適格性) P.127
2 新規性及び創造性(進歩性) P.129
(1)新規性 P.129
(2)創造性(進歩性) P.130
(3)その他(実用性) P.133
3 記載要件 P.134
(1)実施可能要件 P.134
(2)サポート要件 P.135
(3)明確性 P.135
4 発明者 P.136
第2 AI関連発明に関する法律・規則・審査基準 P.137
1 AI関連発明の定義に関する規定等 P.137
2 AI関連発明の発明該当性 P.138
(1)発明該当性の判断基準 P.138
(2)審査例 P.141
3 AI関連発明の新規性・創造性 P.147
(1)創造性があると判断される場合 P.148
(2)創造性がないと判断される場合 P.150
4 AI関連発明の記載要件 P.152
(1)実施可能要件 P.152
(2)サポート要件・明確性要件 P.153
5 AI生成発明 P.155
6 五庁における事例研究について P.155
(1)事例1(発明該当性) P.155
(2)事例2(進歩性) P.155
7 その他 P.156
(1)AI関連発明のカテゴリー P.156
(2)パブコメ:2020年11月10日及び2021年8月3日 P.157
第3 AI関連発明に関する審決・判決 P.157
1 発明該当性に関する判断 P.157
(1)専利復審委員会1第43664号復審決定 P.157
2 記載要件に関する判断 P.158
(1)最高法行再34号判決 P.158
3 進歩性に関する判断 P.159
(1)専利復審委員会2第260508号復審決定 P.159
*1、2:中国国家知識産権局第295号公告(https://www.cnipa.gov.cn/art/2019/2/18/art_2073_143035.html)により、原国家知識産権局専利復審委員会は国家知識産権局専利局に統合された。
中国における特許制度のまとめ-実体編
1. 特許制度の特徴
(1) 特実同日出願
中国では、同一の発明創作には1つの専利権のみが付与されるが、同一の出願人が同一の発明創作について特許と実用新案を同日に出願する場合(以下、「特実同日出願」という。)、出願人は、先に取得した実用新案専利権が終了する前に当該実用新案専利権を放棄すれば、特許出願について権利付与を受けることができ、特許出願の内容を修正すれば、特許と実用新案との両方を維持することもできる(実施細則第41条)。
関連記事:「中国における特許/実用新案の同日出願について」(2021.05.25)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19954/
(2) 出願の変更
特許から実用新案、実用新案から特許、といった出願種別の変更はできない。
関連記事:「中国における特許出願制度概要」(2020.03.17)
URL: https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18370/
(3) 秘密保持審査
いかなる機関、組織又は個人も、中国国内で完成した発明を外国に出願する場合、先ず国家知識産権局による秘密保持審査を受けなければならない(専利法第19条*1)。
*1:第四次改正専利法2021年6月1日施行予定
関連記事:「中国で完成した発明に関する秘密保持審査制度」(2013.04.16)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/2641/
(4) コンピュータ・プログラム自体
「コンピュータ・プログラム自体」は特許を受けることができないが、コンピュータ・ソフトウェア関連発明等は特許可能な発明として認められ得る(専利法第2条第2項、専利審査指南第二部分第1章4.2、同第9章序文第4段落)。
関連記事:「(中国)コンピュータ・プログラムに関わる特許出願」(2013.10.25)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/3544/
関連記事:「中国におけるコンピュータ・ソフトウェア及びビジネスモデル関連等における保護の現状」(2014.07.25)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/6379/
関連記事:「中国におけるコンピュータ・ソフトウェア発明およびビジネスモデル発明における特許性について」(2018.07.03)
URL: https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/15380/
(5) 遺伝資源の出所開示
遺伝資源に依存して完成した発明創造に関する特許出願は、出所を開示する必要がある(専利法第5条第2項、第26条第5項)。
関連記事:「中国特許出願における遺伝資源の出所開示の制度」(2014.01.28)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/5118/
2. 発明の保護対象
発明とは、製品、方法又はその改善に対して行われる新たな技術方案を指す(専利法第2条)。
関連記事:「中国知財法と日本知財法の相違点」(2018.07.19)
URL: https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/15446/
コンピュータ・ソフトウェアに関する発明、ビジネスモデルに関する発明については、発明の従来技術からの改良部分に関係しているものが方法である場合、専利法第2条、同第5条、同第22条、同第25条の要件を満たさず特許性を有さない。
関連記事:「中国におけるコンピュータ・ソフトウェア発明およびビジネスモデル発明における特許性」(2018.07.03)
URL: https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/15380/
医薬分野の発明は製品と方法の2つのクレームで保護される。製品には化合物および医薬組成物を含み、方法には製造方法および医薬用途が含まれる。
関連記事:「中国における医薬用途発明の保護制度」(2018.02.22)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/14580/
3. 特許を受けるための要件
専利法第2章に特許権付与の要件が規定されている。
積極的要件:特許要件(専利法第22条)
新規性、創造性(進歩性)、実用性(産業上利用可能性、自然法則利用性)を具備していなければならない。
消極的要件:不特許事由(専利法第25条)
(一) 科学上の発見
(二) 知的活動の規則及び方法
(三) 疾病の診断及び治療方法
(四) 動物と植物の品種
(五) 原子核変換方法及び*2原子核変換方法を用いて取得した物質
(六) 平面印刷物の図案、色彩又は両者の組み合わせによって作成され、主に表示を機能とする設計
手続的要件(専利法第26条、実施細則第20条)
記載要件を満たしていなければならない。
*2:第四次改正専利法2021年6月1日施行予定
関連記事:「中国における特許出願制度概要」(2020.03.17)
URL: https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18370/
関連記事:「中国における特許・実用新案の実用性要件」(2012.10.09)
URL:http://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/1734/
4. 職務発明の取り扱い
当該部門の職務を遂行して、又は主に物質・技術条件を利用して完成した発明創造は職務発明創造とする(専利法第6条)。
専利権を付与された部門は、職務発明創造の発明者又は創造者に対し奨励を与える。発明創造が許諾され、実施された後は普及・応用の範囲及び獲得した経済効果に応じて発明者又は創造者に合理的な報酬を与える(専利法第15条*3)。
*3:第四次改正専利法2021年6月1日施行予定
関連記事:「中国における職務発明制度」(2014.01.14)
URL:http://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/4986/
関連記事:「中国における職務発明の奨励金、報酬についての法律問題」(2014.02.03)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/5185/
関連記事:「中国における日本企業および外国企業が直面している問題-職務発明規程の作成と見直し」(2015.05.08)
URL:http://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/8889/
関連記事:「中国における職務発明条例(草案)と科学技術成果転化促進法(改正)の解説」(2016.04.13)
URL:http://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/11087/
5. 特許権の存続期間
(1) 存続期間
発明専利権の存続期間は、出願日から20年である(専利法第42条)。
実用新案専利権の存続期間は、出願から10年である(専利法第42条)。
意匠専利権の存続期間は、出願から15年である(専利法第42条*4)。
*4:第四次改正専利法2021年6月1日施行予定
(2) 特許権の存続期間の延長制度
中国で発売許可を得られた新薬に関連する発明専利において、新薬の発売承認審査にかかった期間について、国務院専利行政部門は専利権者の請求に応じて専利権の存続期間の補償を与える。補償の期間は5年を超えず、新薬発売承認後の専利権の合計存続期間は14年を超えないものとする(専利法第42条*4)。
*4:第四次改正専利法2021年6月1日施行予定
(3) 審査の遅延による存続期間の延長補償
発明専利の出願日から起算して満4年、かつ実体審査請求日から起算して満3年後に発明専利が付与された場合、国務院専利行政部門が専利権者の請求に応じて、発明専利の権利付与プロセスにおける不合理的な遅延について専利権の期間の補償を与える。ただし、出願人に起因する不合理的な遅延は除外する(専利法第42条*4)。
*4:第四次改正専利法2021年6月1日施行予定
関連記事:「中国における専利(特許・実用新案・意匠)の存続期間」(2015.05.26)
URL:http://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/8717/
関連記事:「中国における医薬品等の特許権の延長登録制度と関連制度」(2016.02.19)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/10232/
中国における専利審査指南の改正(前編)
記事本文はこちらをご覧ください。なお、「中国における専利審査指南の改正(後編)」も併せてご覧ください。
中国における特許制度のまとめ-実体編
1. 特許制度の特徴
(1) 特実同日出願
中国では、同一の発明創作には1つの専利権のみが付与されるが、同一の出願人が同一の発明創作について特許と実用新案を同日に出願する場合(以下、「特実同日出願」という。)、出願人は、先に取得した実用新案専利権が終了する前に当該実用新案専利権を放棄すれば、特許出願について権利付与を受けることができ、特許出願の内容を修正すれば、特許と実用新案との両方を維持することもできる(実施細則第41条)。
関連記事:「中国における特許/実用新案の同日出願について」(2013.02.08)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/2342/
(2) 出願の変更
特許から実用新案、実用新案から特許、といった出願種別の変更はできない。
関連記事:「中国における特許出願制度概要」(2012.07.30)
URL: https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/151/
(3) 秘密保持審査
いかなる機関、組織又は個人も、中国国内で完成した発明を外国に出願する場合、先ず国家知識産権局による秘密保持審査を受けなければならない(専利法第20条)。
関連記事:「中国で完成した発明に関する秘密保持審査制度」(2013.04.16)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/2641/
(4) コンピュータ・プログラム自体
「コンピュータ・プログラム自体」は特許を受けることができないが、コンピュータ・ソフトウェア関連発明等は特許可能な発明として認められ得る(専利法第2条第2項、専利審査指南第二部分第1章4.2、同第9章序文第4段落)。
関連記事:「(中国)コンピュータ・プログラムに関わる特許出願」(2013.10.25)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/3544/
関連記事:「中国におけるコンピュータ・ソフトウェア及びビジネスモデル関連等における保護の現状」(2014.07.25)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/6379/
関連記事:「中国におけるコンピュータ・ソフトウェア発明およびビジネスモデル発明における特許性について」(2015.03.31)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/8314/
(5) 遺伝資源の出所開示
遺伝資源に依存して完成した発明創造に関する特許出願は、出所を開示する必要がある(専利法第5条第2項、第26条第5項)。
関連記事:「中国特許出願における遺伝資源の出所開示の制度」(2014.01.28)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/5118/
2. 発明の保護対象
発明とは、製品、方法又はその改善に対して行われる新たな技術方案を指す(専利法第2条)。
関連記事:「中国知財法と日本知財法の相違点」(2015.03.31)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/8323/
コンピュータ・ソフトウェアに関する発明、ビジネスモデルに関する発明については、発明の従来技術からの改良部分に関係しているものが方法である場合、専利法第2条、同第5条、同第22条、同第25条の要件を満たさず特許性を有さない。
関連記事:「中国におけるコンピュータ・ソフトウェア発明およびビジネスモデル発明における特許性について」(2015.03.31)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/8314/
医薬分野の発明は製品と方法の2つのクレームで保護される。製品には化合物および医薬組成物を含み、方法には製造方法および医薬用途が含まれる。
関連記事:「中国における医薬用途発明の保護制度」(2018.02.22)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/14580/
3. 特許を受けるための要件
専利法第2章に特許権付与の要件が規定されている。
積極的要件:特許要件(専利法第22条)
新規性、創造性(進歩性)、実用性(産業上利用可能性、自然法則利用性)を具備していなければならない。
消極的要件:不特許事由(専利法第25条)
(一) 科学上の発見
(二) 知的活動の規則及び方法
(三) 疾病の診断及び治療方法
(四) 動物と植物の品種
(五) 原子核変換方法を用いて取得した物質
(六) 平面印刷物の図案、色彩又は両者の組み合わせによって作成され、主に表示を機能とする設計
手続的要件(専利法第26条、実施細則第20条)
記載要件を満たしていなければならない。
関連記事:「中国における特許出願制度概要」(2012.07.30)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/151/
関連記事:「中国における特許・実用新案の実用性要件」(2012.10.09)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/1734/
4. 職務発明の取り扱い
当該部門の職務を遂行して、又は主に物質・技術条件を利用して完成した発明創造は職務発明創造とする(専利法第6条)。
専利権を付与された部門は、職務発明創造の発明者又は創造者に対し奨励を与える。発明創造が許諾され、実施された後は普及・応用の範囲及び獲得した経済効果に応じて発明者又は創造者に合理的な報酬を与える(専利法第16条)。
関連記事:「中国における職務発明制度」(2014.01.14)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/4986/
関連記事:「中国における職務発明の奨励金、報酬についての法律問題」(2014.02.03)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/5185/
関連記事:「中国における日本企業および外国企業が直面している問題-職務発明規程の作成と見直し」(2015.05.08)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/8889/
関連記事:「中国における職務発明条例(草案)と科学技術成果転化促進法(改正)の解説」(2016.04.13)
URL: https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/11087/
5. 特許権の存続期間
(1) 存続期間
発明専利権の存続期間は、出願日から20年である(専利法第42条)。
実用新案専利権及び意匠専利権の存続期間は、出願から10年である(専利法第42条)。
(2) 特許権の存続期間の延長制度
なし
(3) 審査の遅延による存続期間の延長補償
なし
関連記事:「中国における専利(特許・実用新案・意匠)の存続期間」(2015.05.26))
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/8717/
関連記事:「中国における医薬品等の特許権の延長登録制度と関連制度」(2016.02.19)
URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/10232/
中国におけるコンピュータソフトウエア関連発明等の特許保護の現状および出願実務について
「各国における近年の判例等を踏まえたコンピュータソフトウエア関連発明等の特許保護の現状に関する調査研究報告書」(平成29年11月、日本国際知的財産保護協会)第2部D、第4部D
(目次)
第2部 各国におけるコンピュータソフトウエア関連発明等の特許保護の現状
A. 総括
1 各国・地域の制度・運用の概要一覧表 P.11
2 主要対象国におけるCS関連発明等の特許性に関する重要審決・判決一覧
2.3 中国におけるCS関連発明等の特許性に関する重要判決・審決一覧 P.23
D. 中国 P.122
1 法律、審査基準 P.122
1.1 発明の定義及び/又は特許可能な発明の定義 P.122
1.2 発明が特許されるための要件 P.122
1.3 CS関連発明等の定義 P.124
1.3.1 CS関連発明の定義 P.124
1.3.2 BM関連発明の定義 P.125
1.4 CS関連発明等が特許可能な発明として認められるか P.125
1.4.1 CS関連発明 P.125
1.4.2 BM関連発明 P.125
1.5 CS関連発明等の特許性の審査基準 P.126
1.5.1 保護適格性の審査基準 P.126
1.5.2 進歩性の審査基準 P.129
1.6 CS関連発明等の審査基準における特記事項 P.130
1.7 保護対象として認められる可能性のあるCS関連発明等のクレーム形式 P.132
2 歴史的変遷 P.132
2.1 審決・判決 P.132
2.2 法律、審査指南の変遷 P.134
2.3 CS関連発明等の審査プラクティスの変遷 P.138
3 主要審決・判決 P.139
3.1 判決一覧 P.139
3.2 タクシーメータ税管理事件(2006年6月13日審決) P.139
3.3 マイクロモーション判決(2007年12月20日判決) P.142
3.4 マイクロソフト審決(2009年10月26日審決) P.143
3.5 生体情報制御方法事件(2012年6月18日審決) P.146
3.6 システム連動処理方法事件(2013年6月3日審決) P.148
3.7 オンライン銀行安全認証システム事件(2013年6月26日審決) P.149
3.8 ノキア判決(2014年2月24日判決) P.152
3.9 ロック付き銀行コンピュータ会計システム事件(2015年12月31日判決)
P.155
第4部 海外質問票調査及びサンプル調査
D. 中国 P.448
1 CS関連発明等に関する主な論点と判断方法について P.448
2 CS関連発明等に関する最近の審査実務の傾向や変化について P.448
3 CS関連発明等に関する拒絶理由とその解消方法について P.448
4 CS関連発明等の特許明細書等の記載に関する留意点について P.449
5 機能的記載のクレームの制限及び留意点について P.450
6 権利行使の観点からのクレームの書き方について P.451
7 CS関連発明等に関する問題点等、全般について P.452
8 CS関連発明等に関する法律や審査基準等の今後の動向について P.452
中国における用途発明の特許権の効力範囲を踏まえた食品の保護
「用途発明の特許権の効力範囲を踏まえた食品の保護の在り方に関する調査研究報告書」(平成27年11月、知的財産研究所)Ⅶ-5
(目次)
Ⅶ 各国・地域における用途発明の取扱い
5 中国 P.58
(1) 食品の用途発明に用いられるクレームの扱いについて P.58
(2) 食品の用途発明に対して付与された特許権の効力が及ぶ範囲 P.59
(i) 特許権の侵害となる行為について P.59
(ii) 第三者による行為の想定例について P.59
(3) 食品の用途発明に関する記載要件、新規性、進歩性の判断基準 P.60
(4) 食品の機能表示制度について P.61
(5) その他 P.61
(i) 機能性食品の技術分野における特許権による保護に関する近年の議論、運用変更、法改正等について P.61
(ii) 機能性食品の用途発明に関連した特許出願数について P.61
(iii) 食品の機能性表示と、特許権による保護の関係について P.61
8 海外調査結果まとめ
図表Ⅶ-4 各国における食品の用途発明について認められるクレーム P.76
図表Ⅶ-5 各国における食品の用途発明に対して付与される特許権の効力範囲 P.78