ブラジルにおける商標制度のまとめ-手続編
1. 出願に必要な書類
産業財産法第155条に規定されるように、出願は、識別性を有する1の標識に係わるものでなければならず、願書、該当する場合は複製、および出願手数料の納付証明書を含んでいなければならない。
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2. 登録できる標章/登録できない標章
2-1. 登録できる標章
産業財産法第122条に規定されるように、視覚的に認識することができる標識であって、識別性を有するものは、法的に禁止されていない限り、標章登録を受けることができる。具体的には、産業財産法第123条第1項に規定されるように、ある製品またはサービスを、出所は異なるが、同一、類似または同種である別の製品またはサービスから識別するために使用される標章である製品標章またはサービスマークは登録され得る。
2-2. 登録できない標章
産業財産法第124条において、登録を受けることができない標章が列挙されている。本条によれば、ブラジル、外国または国際的な盾、紋章、メダル、旗章、記章、公的な名声および記念碑、またはそれらの名称、図形もしくは模造、語句、形象または図形その他の標識であって、道徳もしくは善良の風俗に反するか、または他人の名誉もしくは印象を害するか、または良心、信条、信仰の自由もしくは尊敬および崇拝に値する思想および感情を損なうものなどが登録を受けることができない標章とされている。
2-3. 通常の標章以外の制度
産業財産法第123条第2項、第3項に規定されるように、ブラジルにおいては、ある製品またはサービスが、品質、特性、使用した原料および方法等に関し、一定の技術的基準または規格と合致していることを証明するために使用される標章である証明標章、一定の団体の構成員によって提供される製品またはサービスを識別するために使用される標章である団体標章も登録され得る。
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「ブラジルにおける物品デザインの商標的保護」(2018.09.06)
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「ブラジルにおける外国語(日本語)商標の取り扱い」(2018.09.04)
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「ブラジルにおける商標制度の運用実態」(2016.01.29)
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3. 出願の言語
産業財産法第155条の補項に規定されるように、願書およびその添付書類は、ポルトガル語で作成しなければならない。外国語による書類があるときは、簡単な翻訳文を出願時またはその後の60日以内に提出しなければならず、提出されない場合、その書類は考慮されない。
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4. グレースピリオド
ブラジルの産業財産法において、商標の新規性喪失の例外を規定する条文はない。
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5. 審査
5-1. 実体審査
産業財産法第158条~160条では、審査について規定されている。本規定によれば、方式審査で不備がないと認められた出願は、ブラジル産業財産庁により異議申立のために公告される。そして異議申立期間の終了後、実体審査が行われる。審査の終了後、登録出願の許可または拒絶の決定がなされる。
5-2. 早期審査(優先審査)
ブラジルの商標制度においては、早期審査や優先審査の規定はない。
5-3. 標章の類否判断の概要
ブラジル産業財産庁のブランドマニュアル5.11.1には、標章間の類似性の判断について記載されている。本マニュアルによれば、標章間の類似性の判断は、混同または過度な関連性を生じさせるおそれがある類似性が存在するか否かを検証するために、両標章の図形、称呼、観念を評価することによって行われる。
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6. 出願から登録までのフローチャート
6-1. 出願から登録までの商標出願のフローチャート
6-2. フローチャートに関する簡単な説明
出願後、まず出願は異議申立のために公告される。この公告から60日以内に異議申立が認められ、この期間内は実体審査が行われない。
次に、異議申立が行われた場合、その旨が出願人に通知される。出願人は、60日以内に異議申立に対する意見書を提出することができる。一方、異議申立が行われない場合、実体審査に移行する。
次に、実体審査において登録が許可された場合、許可の決定の日から60日以内に出願人によって登録料が納付されることにより標章登録がなされる(産業財産法第162条)。なお、登録料の納付期間は、出願人が追加手数料を納付することにより30日の延長が認められる(産業財産法第162条)。
一方、実体審査において出願が拒絶された場合、出願人は拒絶の決定の日から60日以内に不服審判を請求することができる。この不服審判の請求が行われた場合、ブラジル産業財産庁は、出願内容を再度レビューして、出願を許可するか、または拒絶する決定を行う。
不服審判において出願が拒絶された場合、その後の行政手続による不服申立は認められず、裁判所手続に移行する。一方、出願が許可された場合、審査において出願が許可された場合と同様に、許可の決定の日から60日以内に出願人によって登録料が納付されることにより標章登録がなされる。
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7. 拒絶査定不服
産業財産法第212条に規定されるように、拒絶の決定に対しては、この決定日から60日以内に不服の審判を請求することができる。
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8. 権利設定前の異議申立
産業財産法第158条に規定されるように、出願が受理された場合、その出願は公告されて、その後の60日の期間内に異議申立が認められる。異議申立が行われた場合、その旨が出願人に通知され、出願人は60日の期間内に意見書を提出することができる。
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9.上記7の判断に対する不服申立
産業財産法第215条に規定されるように、審判請求についての決定は最終決定であり、これに対して行政手続きによる不服申立をすることはできない。しかし出願人は、この決定から5年以内に連邦裁判所に対して拒絶の決定に対する不服を申し立てる訴訟を提起することができる。
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[権利設定後の争いに関する手続]
10. 権利設定後の異議申立
産業財産法第168条~172条では、権利設定後の行政上の無効手続について規定されている。本規定によれば、登録が本法の規定に違反して付与されていたときは、行政手続によりその無効が宣言される。当該無効手続は、登録証交付日から180日の期間内に、職権によりまたは正当な利害関係を有する者の請求に基づいて開始され、登録者は60日の期間内に意見書を提出することができる。
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11. 設定された標章権に対して、権利の無効を申し立てる制度
産業財産法第173条~175条では、設定された標章権に対して権利の無効を申し立てる制度として、登録の無効を宣言するための訴訟である無効訴訟について規定されている。本規定によれば、無効訴訟は、標章の登録日から5年が出訴期限とされ、ブラジル産業財産庁または正当な利害関係を有する者が連邦裁判所に提起することができる。無効訴訟に関する決定が確定した場合、その決定はブラジル産業財産庁によって公告される。
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12. 標章の不使用取消制度
産業財産法第143条~第146条では、標章の不使用取消制度について規定されている。本規定によれば、登録の付与から5年が経過した後、正当な利害関係を有する者の請求日時点において、標章の使用がブラジルにおいて開始されなかった場合、または標章の使用が5年以上連続して中断されていたか、もしくは5年の期間内において標章が登録証に記載されている元の識別性についての変更を意味する改変形態で使用された場合、標章の登録は剥奪される。ただし、標章登録者が、その不使用を正当な理由によって弁明したときは標章の登録は剥奪されない。
また、標章の使用は、登録証に記載されている全ての製品またはサービスを含まなければならない。含まない場合、標章の使用が証明された製品またはサービスと類似しておらずまたは同種でない製品またはサービスに関しては、その登録が剥奪される。
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「ブラジルにおける『商標の使用』と使用証拠」(2016.05.25)
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13. その他の制度
特になし。