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日本とブラジルにおける意匠の新規性喪失の例外に関する比較

日本における意匠出願の新規性喪失の例外

 日本においては、新規性を喪失した意匠の救済措置として、新規性喪失の例外規定が定められている。新規性喪失の例外規定の適用要件は以下の通りである。

1 出願に係る意匠が、意匠登録を受ける権利を有する者(創作者または承継人)の意に反して公開されたこと(第4条第1項)または

2 出願に係る意匠が、意匠登録を受ける権利を有する者(創作者または承継人)の行為に基づいて公開されたこと(第4条第2項)

 

上記いずれの場合についても、以下の要件を満たす必要がある。

(1)意匠登録を受ける権利を有する者が意匠登録出願をしていること

(2)意匠が最初に公開された日から6ヶ月以内に意匠登録出願をしていること

 

なお第4条第2項に記載される自己の行為に基づく新規性喪失については、さらに以下の手続が必要となる。

(3)出願時に、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする旨を記載した書面を提出、あるいは願書にその旨を記載すること(第4条第3項)。

(4)出願の日から30日以内に、公開された意匠が新規性喪失の例外規定の適用を受けることができる意匠であることを証明する「証明書」を証明書提出書とともに提出すること(第4条第3項)。

 

「証明書」には、意匠が公開された事実(公開日、公開場所、公開された意匠の内容等)とともに、その事実を客観的に証明するための署名等を記載することが必要である。上記要件を満たした場合、その意匠登録出願に限り、その公開意匠は公知の意匠ではないとみなされる。

条文等根拠:意匠法第4条

 

日本意匠法 第4条 意匠の新規性の喪失の例外

1 意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して第三条第一項第一号または第二号に該当するに至った意匠は、その該当するに至った日から六月以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同条第一項および第二項の規定の適用については、同条第一項第一号または第二号に該当するに至らなかつたものとみなす。

2 意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して第三条第一項第一号または第二号に該当するに至った意匠(発明、実用新案、意匠または商標に関する公報に掲載されたことにより同条第一項第一号または第二号に該当するに至ったものを除く。)も、その該当するに至った日から六月以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同条第一項および第二項の規定の適用については、前項と同様とする。

3 前項の規定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、第三条第一項第一号または第二号に該当するに至った意匠が前項の規定の適用を受けることができる意匠であることを証明する書面を意匠登録出願の日から三十日以内に特許庁長官に提出しなければならない。

 

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ブラジルにおける意匠出願の新規性喪失の例外

 ブラジルにおいては、産業財産法第96条において意匠の新規性喪失の例外規定が規定されている。公開日から180日間の猶予が与えられており、発明者自身による開示も新規性喪失の例外規定の適用対象となっている。なお証明書の提出は義務ではないが、INPIの判断で開示した証拠を求められる場合がある。また国際展示会における公開等の公知行為に関する限定は設けられていない。

条文等根拠:産業財産法第96条、第12条、意匠規則2

 

ブラジル産業財産法 96条

(3)意匠は、出願日または主張する優先日前180 日以内に開示され、その開示が第12 条(I)から(III)までに記載した事情の下で行われた場合は、先行技術の一部であるとはみなされない。

 

ブラジル産業財産法 12 条

発明または実用新案の開示は、その特許出願の出願日または優先日前12ヶ月間に、次の者によってなされた場合は、先行技術であるとみなされない。

(i)発明者による開示

(ii)国家産業財産権庁が発明者から取得した情報に基づきまたは発明者が行った行為の結果として、発明者の同意を得ることなくなされた特許出願の公開

(iii)第三者による開示(発明者から直接的もしくは間接的に取得した情報に基づいた第三者による開示または発明者自身の行為に起因した第三者の開示)

補項 国家産業財産権庁は、規則に定めた条件に基づき、発明者に対して証拠添付の有無に拘らず、開示に関する陳述書を提出するよう要求することができる。

 

ブラジル 意匠規則 2 猶予期間

2.1 意匠の開示が、産業財産法第12条(a)、(b)および(c)に基づいて、意匠出願日または優先日に先立つ180日の間(猶予期間)に行われた場合は、先行技術とはみなされない。

2.2 出願人は、産業財産法第12条の適用上、出願時に出願人自身が開示した、開示の方法、場所および日付を示すことができる。

2.3 国家産業財産権庁は、審査中に必要とみなすときはいつでも産業財産法第12条に規定するように、かかる開示に関連した証拠として、その存在と日付に関する確実性の要件を伴っているもの、およびかかる開示の関係を、60日以内に提出するよう求める指令を発することができる。

 

日本とブラジルにおける意匠の新規性喪失の例外に関する比較

 

日本

ブラジル

新規性喪失の例外の有無

公知行為の限定の有無

 

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新興国等知財情報データバンク 調査対象国、地域における意匠の新規性喪失の例外については、下記のとおりである。

 

意匠の新規性喪失の例外に関する各国比較

6.新規性喪失