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オーストラリアにおける庁指令に対する応答期間

【詳細】

オーストラリアにおける実体審査においては、実体審査の結果、拒絶理由が見出された場合、拒絶理由を指摘する第一回庁指令の日付から起算する所定期間内(以下“受理期限”)に、全ての拒絶理由を解消し、出願の受理を受けなければならない。この受理期限までに全ての拒絶理由が解消されない場合、受理期限の経過後、出願は失効する。庁指令毎の応答期間は定められていない。庁指令の発行とそれに対する応答を受理期限までに複数回行う場合にも、受理期限までに全ての拒絶理由を解消し、出願の受理を受けなければならない。従って、受理期限までに出願が受理されるように、全ての拒絶理由に対する応答を受理期限より十分前に出願人は提出する必要がある。

 

実体審査は、審査請求により開始される。審査請求は、「標準」特許出願(存続期間:20年間)においては出願人が、登録された「イノベーション(革新)」特許(存続期間:8年間、無審査登録主義)においては特許権者および第三者が行い得る。実体審査において、「標準」特許出願については出願の受理を、「イノベーション」特許については「イノベーション」特許が特許要件を満たしていることを決定する審査証明書を、下記期限までに受けなければならない。

(1)標準特許出願:2013年4月15日より前に審査請求された場合は第一回庁指令の日から21ヶ月、2013年4月15日以降に審査請求された場合は第一回庁指令の日から12ヶ月(2013年4月15日付で特許法改正が施行)。

(2)イノベーション特許:第一回庁指令の日から6ヶ月。

 

標準特許の付与を受けるためには、付与前の審査請求が必要である。イノベーション特許は、実体審査を経ずに登録されるが、登録後に実体審査を受け、特許要件を満たしていることを決定する審査証明書を受けた後でなければ権利行使をすることができない。イノベーション特許の登録後の審査の請求は、特許権者だけでなく第三者も請求することができる。

標準特許出願では、当該受理期限までに、審査官が提起する全ての拒絶理由を解消し、審査官がその出願を受理できる状態にしないと標準特許出願は失効する。また、イノベーション特許は、所定期間内に特許要件を満たしている旨の「認証(審査証明書)」を取得できないと失効する。

 

いずれの場合も、特許庁による拒絶に対して裁判所に不服申立をすると、受理期限は延長される。なお、受理期限は、後述する場合を除き、期限延長の請求や料金の支払いをしても延長することはできない。

なお受理期限が第一回庁指令の日から21ヶ月の場合(すなわち、2013年4月15日より前に審査請求した場合)、第一回庁指令の日付から12ヶ月以降に庁指令への応答書を提出する際には、応答の遅延による手数料が必要となるが、延長申請は必要ではない。

 

受理期限の延長に関する規定は、受理期限までに全ての拒絶理由を解消し、出願の受理を受けることができなかったことが、故意によるものではないと立証できる場合にのみ適用される。“故意によるものではない”事情としては、例えば、「自然災害のように出願人が制御することができない状況」または「過誤または遺漏」が挙げられる。延長のためには、証拠の提出を伴った詳細な理由を提示しなければならず、証拠の準備および詳細な理由の作成のために費用と労力を要する。

 

また受理期限までに全ての拒絶理由を解消し、出願の受理を受けることが困難であることが事前に判断できる場合には、受理期限までに分割出願を行い、分割出願において審査を継続することが、出願の権利化を進めるための安全な方法である。一方、上述の“故意によるものではない”事情がある場合には、受理期限の経過後に延長に関する規定を適用することもできる。この際に申請する延長期間の長さは制限されていない。ただし、受理期限の経過を知った後、延長申請までに不当な遅延がある場合、これは延長申請の却下理由となる。