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ASEANの知的財産情報のポータルサイト(ASEAN IP Portal)の紹介

【詳細】 (1) ASEAN IP Portalサイト開設の背景 ASEANでは2015年のASEAN経済統合に向けて様々な取組みを行っているが、知財分野について協働する組織として、ASEAN各国の知財当局から構成されるASEAN知的財産協力作業部会(AWGIPC)が存在する。AWGIPCでは、ASEAN知財行動計画2011-2015(ASEAN IPR Action Plan 2011-2015)を策定し、この計画に沿って活動を行っている。この計画には28のイニシアチブが定めされており、その中で、ASEAN諸国の知財知識ネットワーク内における情報の共有や流れの促進、ASEAN諸国における知的財産制度の強化、ASEAN地域における知財意識のレベルアップのためのASEAN IP Portalサイトの開設・運営・定期的な更新等が掲げられている。計画では、2012年開設を目指していたようだが、AWGIPCは、2013年4月26日に、ASEAN IP Portal(http://www.aseanip.org)を立ち上げた。これは、ASEAN諸国の知的財産に関する情報を総合的・包括的に収集・提供するワンストップポータルサイトである。   (2) 掲載内容 ASEAN IP Portalには、ASEAN諸国の知的財産に係る法令、統計、登録手続等の情報が掲載されているほか、ASEAN各国・日本・中国・欧州特許庁ウェブサイトやWIPOウェブサイト等へもリンクが貼られており、マレーシア、シンガポール、ベトナムを含むASEAN諸国の知財情報を収集することができる。具体的には以下のような情報等が掲載されている。  

  • About AWGIPC:「ASEAN知財行動計画2011-2015(ASEAN IPR ACTION PLAN)」(2011年8月策定)やASEAN知財協力作業部会(AWGIPC)の紹介等
  • Activities:ASEAN IPの活動、AWGIPCの会合スケジュールの紹介等
  • Statistics:地理的表示・知財行動計画に基づく創造産業・著作権登録等に関する各国調査表、各国の商標・意匠等の出願・登録に係る統計、各国の商標登録に要する期間、各国の知的財産権に係る執行機関情報
  • Resources:各国の知財登録手続、特にASEAN諸国特有の商品・役務のリスト(WIPOに提出予定)、知財関連法令情報(現時点では、上部メニュー「Resources」のプルダウンメニュー「Law & Regulation」のページに掲載されているのはタイの法令情報のみである)
  • International Corporation:日本特許庁、中国特許庁、欧州特許庁、ASEAN-オーストラリア・ニュージーランドFTA(AANZFTA)、USTPO、WIPO、ECAP III等のサイトへのリンク
  • Networking:ASEAN各国の主要な執行機関情報、ASEAN各国の特許庁ウェブサイトへのリンク
  • Database search:OHIMウェブサイトへのリンク
  • ASPEC:アセアン特許審査協力プログラム関連のニュース、手続の紹介
  • International Registration:WIPOウェブサイト(PCT、マドリッド協定、ヘーグ協定、リスボン協定のページ)へのリンク

  ASEAN IP Portalのトップ画面上部メニュー(「About AWGIPC」「Activities」)のいずれかをクリックすると、画面右側に「select country」というプルダウンメニューが表示される。このプルダウンメニューから国を選ぶと、選択した国の知財政策、関連機関の構造・連絡先、登録手続、法令・規則、統計情報等が掲載されたページが開く。上述の通り、現時点では、上部メニュー「Resources」のプルダウンメニュー「Law & Regulation」のページに掲載されているのはタイの法令情報のみであるが、その他の国については、このプルダウンメニューから各国の情報にアクセスすれば、法令情報を閲覧できる。

国名選択プルダウンメニュー

国名選択プルダウンメニュー

  例えば、マレーシアを選択した場合、以下のような画面が表示される。各国のページとも左側にメニューが表示されているので、希望のものをクリックすれば当該情報が閲覧できる。

マレーシアのページ

マレーシアのページ

  (2) ASEAN IP Direct ASEAN IP Portalトップ画面上部メニュー右から2番目の「International Corporation」にポインタを合わせ、プルダウンメニュー一番下の「IP Direct」をクリックすると、シンガポール知財庁サイトにあるASEAN知財ディレクトリのページが開く。ASEAN知財ディレクトリは、ASEAN各国における知的財産保護に係る機関・執行機関・技術移転/ライセンス契約関連機関等の公的関連機関情報、助成金/借入金や技術·研究開発への投資のための政府の奨励策に関する情報源、著作権管理団体等の包括的情報を各国ごとに表形式で提供し、関連機関等のウェブサイトへのリンクが貼られている。ASEAN IP Directは、企業やその他の当事者に有効かつ包括的な「ワンストップ」リソースとしてのASEAN諸国の知財制度の活用を支援し、ASEANにおける貿易と投資を推進するものとして期待されている。

ASEAN IP Portal トップ画面

ASEAN IP Portal トップ画面

  【留意事項】

  • 本サイトは、2013年4月26日に開設されたばかりで一部構築中であり、時々アクセスできない等、未だ不安定な部分があるが、マレーシア、シンガポール、ベトナムを含むASEAN諸国の知財情報等がまとめて掲載されているため、ASEAN各国の知財庁のサイトを個別に訪問するよりも、情報を効率的に収集することができる。また、各国知財庁のウェブサイトはアクセスできなくなることも多いので、そのような場合に代替サイトとして活用することも期待される。
  • また、今後は判例や税関関連情報等の掲載が予定されており、このような情報が整備されるとASEAN知財情報を一括して収集できる非常に便利なサイトとなる。また、ASEAN知財行動計画には28のイニシアチブが定められており、その中には、ASEAN各国知財庁間における共通電子データ管理システムの構築や検索システムの連携、データベースの整備、特許文献や商標文献の電子化といた各国知財当局のインフラ整備といった項目も掲げられていることから、将来的には、このようなインフラ整備と、IP Portalとのリンクが期待される。
  • ASPEC(アセアン特許審査協力プログラム)のプルダウンメニューにある手続(「Notice & Procedures」のページ)は、本コンテンツ作成時点においてInternet Exploreでは表示されない。なお、ASPECについては、本データベース内コンテンツ「ASEAN特許審査協力(ASPEC)プログラム」を参照いただきたい。