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アラブ首長国連邦における知的財産権侵害事案の刑罰制度およびその運用

 「主要各国における知的財産権侵害事案の刑罰制度及びその運用に関する調査研究」(2017年2月、日本技術貿易株式会社)アラブ首長国連邦Q&A

 

(目次)

現地回答

 アラブ首長国連邦Q&A P.15

  知的財産権侵害件数(UAE) P.21

  United Arab Emirates Q&A P.22

 

 14ヵ国比較対照表

 14ヵ国刑事事件統計資料

 各国別ケースリスト(UAE)

アラブ首長国連邦における四法の審査運用の実態および審査基準・審査マニュアル

 「中東諸国における特許・実用新案・意匠・商標の審査運用の実態および審査基準・審査マニュアルに関する調査研究 報告書」(平成29年3月、日本国際知的財産保護協会)第2部E

 

(目次)

第2部 調査研究結果

 E アラブ首長国連邦 P.181

  1 概要及び基礎情報 P.181

  2 特許 P.190

  3 実用新案 P.203

  4 意匠 P.215

  5 商標 P.224

 

N 総括表 P.509

アラブ首長国連邦の模倣被害に対する措置および対策

 「模倣被害に対する主要各国による措置及び対策に関する実態調査報告書」(平成29年3月、日本国際知的財産保護協会)第3章23、第2章

 

(目次)

第3章 各国の模倣被害に対する措置及び対策

 23 UAE P.405

  23.1 エンフォースメントに係る制度の内容及び運用状況 P.405

   23.1.1 水際措置の内容及び実施状況 P.406

   23.1.2 刑事措置の内容及び実施状況 P.409

   23.1.3 民事措置の内容及び実施状況 P.410

 

第2章 概括表 P.7

アラブ首長国連邦における商標出願時の商品役務記述の留意点

 UAEにおいて、商標を規律する法令は、アラブ首長国連邦商標法である。同法は、ガイドラインとして、ニース国際分類の第10版を採用しているが、33類(ビールを除くアルコール飲料)、32類のアルコール飲料および29類の豚肉を指定商品とする商標は登録が禁止されている。

 

 現在、UAE商標局における商標出願は、オンライン手続であるが、依然として一部の書類の提出が必要である。委任状および優先権証明書のコピーと一緒に、電子出願をオンライン文書管理システムにアップロードするが、電子出願の完了後に、出願書および付属書類の紙面コピーを商標局に提出する必要があり、登録手続が完全にペーパーレスではない。

 

 商品および役務は、ニース国際分類に従い45の区分に分けられているが、上記に述べた33類は除かれている。また、指定商品および役務の記述には制約があり、出願人は、商標局が承認しているニース国際分類の第10版に明記された文言しか使用できない。したがって、優先権を主張する場合においても、優先権上の指定商品または役務の記載ではなく、商品または役務の記載はニース国際分類の第10版の記載を使用する必要がある。

 

 重要な点として、商標局は、ニース国際分類の類見出し(クラスヘディング)の記載を使用した場合であっても、不明確または曖昧すぎるという理由で拒絶することはない。したがって、出願人は、具体的な商品もしくは役務を記述することなく、区分全体の類見出し(クラスヘディング)を指定して出願することができる。ただし、指定商品もしくは役務の区分ごとに別個の出願を提出しなければならず、複数の分類を一出願で指定する出願は認められていない。

 

 商標の出願人または商標権者が、UAEにおける出願、登録または更新時に商標の使用または使用意思を証明しなければならないという明示的要件は存在しない。しかし、登録日から連続する5年以内に商標を使用しない場合、不使用を理由に商標登録が取り消されるおそれがある。登録商標を用いて提供される商品もしくは役務に関して、重大な変更が行われている場合、不使用取消訴訟において当該商標は指定商品もしくは役務に関して使用されていないと判断される可能性がある。ただし、登録商標の指定商品もしくは役務と変更後の商品もしくは役務が実質的に類似している商品もしくは役務に関して使用される場合には、商標権者は当該登録商標に対する権利を保持することができる。

 

 登録商標の指定商品もしくは役務に関する軽微な変更は、新規の出願を提出しなくても許容されるが、商品もしくは役務の実質的な変更が行われた場合においては、権利確保のためには、別途、新規の出願が必要である。

アラブ首長国連邦における商標異議申立制度

1.異議申立の要件および異議理由

 

 アラブ首長国連邦商標法第14条の規定により、UAEにおいて、公告決定となった商標出願は、異議申立のために公告され、いかなる利害関係者も、異議理由に基づき異議申立書を提出することができる。異議申立期間は、公報およびアラビア語の日刊新聞2紙の最後の公告日から30日間である。異議申立期限の延長を申請することはできない。

 

 異議申立は、UAEにおける行政手続であり、基本的に訴訟手続ほど費用はかからない。異議申立手続は、登録可能性の問題にほぼ限定され、書面記録に基づいて行われる。

 

 UAEにおいて先行権利が確立されていない場合でも、著名性を根拠に異議申立を提起できる。商標が著名とみなされる程度は通常、周知商標の保護に関する国際基準(パリ条約の第6条の2)に従い、さらに周知商標保護の国内基準に従い判断される。いかなる証明力のある証拠も受け入れられ、次の要因を含む証拠全体に基づいて判断が下される:(i)販売の期間および地理的範囲;(ii)売上高;(iii)広告支出および広告の見本;(iv)表彰、論評および報道;(v)国内の関連する業界および消費者団体における当該商標の評判;ならびに(vi)商標の認知度を評価するための専門家証言および調査。

 

 他に認められる異議理由として、次のものが挙げられる:絶対的拒絶理由;悪意;パリ条約第6条の7(商標所有者の代理人または他の代表者の名義による登録)に基づく権利;パリ条約第8条(商号)に基づく権利;パリ条約第6条の3(国章、公式証明印および政府間機関の紋章に関する禁制)に基づく権利;公序良俗に反するもの。

 

2.異議手続および取下

 

 異議を提起する当事者として異議申立人は、異議理由を述べる責任がある。出願人は答弁書を提出できるが、出願人が答弁書を提出した場合、異議申立人は反駁書を提出する機会を与えられる。これらの書面に関しては、提出期限およびページ数の制限が設けられている。異議手続は書面記録のみで行われ、一方の当事者が要求する場合に限り、ヒアリングが開かれる。ヒアリングが設定されると、新たな証拠を提出することはできない。商標局は、ヒアリングを利用して、両当事者の書面において明確ではない事実や主張について質問する。

 

 異議申立書が提出された場合、当該出願の出願人は、異議申立書を受領後、答弁書を提出できるが、答弁書を提出しない場合、当該出願は却下される。答弁書は異議申立書内容に対する簡潔な否認で構成され、かかる答弁を裏づける証拠を提出する必要はない。

 

UAEは、先願主義の国であるので、異議申立において先行登録商標の使用を論点とすることはできない。先行登録商標の使用について論争するためには、出願人は別個に不使用取消訴訟を提起しなければならない。不使用取消訴訟において判決が出されるまでの間、異議申立手続が中断されることはなく、その逆もまた同様である。

 

 双方の当事者は、異議対象の商標の使用について和解契約を締結することがあるが、異議申立の取下条件について出願人または異議申立人が同意しているかどうかにかかわらず、異議申立の取下により、異議手続は自動的に終了する。異議申立人は、どの時点でも手続を取り下げることができるが、異議申立手続は、取下を証明する商標局の公式通知が発行されるまで、有効に存続する。

 

 各当事者により提出された書面に基づいて、さらに特定の場合にはヒアリングに基づいて、商標局は異議対象の出願に対する異議決定を発行する。異議決定を不服とする場合は、商標局の異議決定から15日以内に商標委員会に不服申立することができる。さらに商標委員会の決定を不服とする場合は、その決定の通知日から30日以内に、更なる上訴を民事裁判所に提起することができる。

アラブ首長国連邦における商標の使用と使用証拠

1.制定法の規定

 

 UAEにおいて、商標の出願人または商標権者が、出願時、登録時または更新時において、商標の使用または使用意思を証明しなければならないという明示的要件は存在しない。ただし、アラブ首長国連邦商標法第22条の規定により、登録日から継続して5年間商標を使用しない場合、商標登録は不使用を理由に取り消されるおそれがある。

 

2.商標の使用に関して適用される実務

 

 商標の使用に関し適用される実務としては、何人も請求可能な不使用取消請求がある。UAEにおける不使用取消請求は、裁判所に提起しなければならず、訴訟手続の時間や費用が大幅に増大する。考慮すべきもう一つの問題は、立証責任である。不使用の立証責任は、原告側が負う。原告側は、商標がどこにおいても使用されていないことを立証しなければならない。この立証作業を伴うこともあり、不使用取消訴訟は高額の費用を要する。

 

3.商標の使用の基準

 

 商標を付した商品の販売(または、商標を用いた役務の提供)により、商標が直接的に使用される必要がある。法律により義務づけられている使用は、商品および役務の識別を目的とした使用である。UAEにおいて商品または役務が利用可能かどうかも、重要な鍵を握る。

 

 商標の使用を示す行為としては、運用状況を考慮すると下記が挙げられる。

 

(1)雑誌やTVにおける広範囲にわたる当該商標の広告

(2)当該商標が使用されている販売資料に関するグラフィックデザイン準備作業、または、ラベリングの遂行

(3)当該商標が使用されているカタログ、ちらし、および、パンフレットの印刷

(4)国際法域における当該商標の使用

(5)出願時または登録時とは異なる態様による当該商標の使用。ただし、当該商標の識別力が変わらないことを条件とする。

(6)展覧会またはショールームにおける当該商標の展示

(7)当該商標を使用する商品販売または役務の提供に関する非公式の事業計画または市場調査に関する証拠の提出

(8)当該商標を使用する商品販売または役務の提供に関し必要な規制当局の許可の取得

(9)当該商標と対応するドメイン名の取得、またはウェブサイトの開設

(10)インターネットにおける当該商標の使用

(11)当該商標を使用する商品または役務の潜在的購入者との契約交渉

(12)当該商標に関する顧客の関心を調べるための市場調査または意識調査の実施

(13)UAEにおける当該商標の使用計画について言及する商業通信文の提供

(14)UAEにおいて当該商標のライセンシーを見つけようとする試み

(15)当該商標を使用する真摯な意思が示されている契約上の合意(ライセンス契約など)に基づく当該商標の使用

(16)当該商標を付す商品の導入を延期する説得力のあるマーケティング上の理由(例:他国からの制裁)

 

 商標権者は、不使用取消訴訟の抗弁において、上記の全てに依拠することができる。なお、不使用取消訴訟において、商標の使用態様が問題となることもある。最も望ましいのは、登録時と同じ態様で商標を使用することであるが、当該商標の同一性に実質的な影響を及ぼさない態様による登録商標の使用は、不使用取消訴訟において適切な使用とみなされる。

 

4.許容可能な不使用

 

 商標権者の力が及ばない事情で生じる不使用は、許容可能な不使用とみなされる場合がある。商標権者の力が及ばないとみなされる事情として、運用状況を考慮すると次のものが挙げられる。

(1)当該商標を付した商品の継続的販売に対する法的制限

(2)商標権者の破産または支払い不能

(3)国内の暴動

(4)根本的な商品および役務の需要の欠如

 

5.商標の変更

 

 商標または商標を用いて提供される商品もしくは役務に変更が行われた場合、当該商標は不使用取消の対象となる。ただし、元の商標と変更後の商標が引き続き商取引において同じ印象を与え、これらの商標が同一または実質的に類似の商品または役務に対してまたは関連して使用される場合には、この限りでは無い。元の商標に対する軽微な変更は、新規出願をしなくても許容されるが、主要な言葉の追加や削除、または図案の実質的な変更が行われた場合は、相違する商標とみなされ、権利を望む場合には新規出願を提出する必要がある。

 

6.不使用取消を避けるための再出願

 

 商標出願計画では、事業に当該商標を導入する時点で多数の国々を含むことが多いが、実際の使用は将来ずっと続くとは限らない。不使用取消訴訟による攻撃に対して対抗が難しい場合には、UAEにおける当該登録商標について再出願を検討することが考えられる。

 

7.ライセンス登録

 

 UAEでは、商標権者とライセンシーとのライセンス契約を商標局に登録する必要がある。ライセンス契約を登録しない場合、当事者間における契約の権利義務には影響を受けないものの、第三者による不使用取消訴訟に直面した際に、当該商標のライセンスおよびライセンシーの使用に依拠することができない。なお、ライセンス登録は、UAEにおいて強制ではない。また、ライセンス対象は登録商標に関してのみ登録できる。商標法施行規則は、商標ライセンス登録を義務づけておらず、登録しなくても処罰を受けることはない。しかし、ライセンスおよびライセンシーの権利が第三者に対して効力を生じるには、ライセンス契約を登録することが必要である。

イスラム法(シャリーア)と知的財産法

「シャリーア及びファトワーと知的財産法」(2016 年6 月、日本貿易振興機構ドバイ事務所)

 

(目次)

第1章 シャリーア及びファトワーの紹介及び概説 p.4

第2章 MENA地域の諸国におけるシャリーア及びファトワーの実践及び運用 p.7

 アラブ首長国連邦p.7

 アルジェリアp.8

 イラクp.8

 イランp.9

 エジプトp.11

 オマーンp.12

 カタールp.12

 クウェーp.14

 サウジアラビアp.16

 シリアp.19

 チュニジアp.20

 トルコp.20

 バーレーンp.22

 パレスチナp.22

 モロッコp.23

 ヨルダンp.23

 リビアp.25

 レバノンp.25

第3章 シャリーアと知的財産法の関係 p.26

 第1節 シャリーアによる知的財産法の制限及び影響の態様 p.26

 第2節 一部の国の知的財産法に規定された制限に伴う知的財産の対象物の制限 p.29

 アラブ首長国連邦p.29

 アルジェリアp.30

 イランp.30

 エジプトp.30

 オマーンp.31

 カタールp.32

 クウェート p.32

 サウジアラビア p.33

 シリアp.34

 チュニジア p.34

 トルコp.35

 モロッコp.35

 ヨルダンp.36

 ヨルダン川西岸地区 p.36

 リビアp.37

 第3節 登録できない項目一覧 p.38

第4章 知的財産権に関するファトワーの事例 p.39

第5章イスラム諸国において外国出願人が知的財産保護を受ける上で直面しうる障害p.41

第6章 知的財産保護の取得に際して障害に直面した場合に日本企業がとりうる措置 p.44

第7章 知的財産保護が得られない場合に利用しうる代替的な保護手段 p.44

第8章 おわりに p.45

アラブ首長国連邦(UAE)における商標権取得・行使に関する制度概要

「アラブ首長国連邦における商標権取得・行使に関する制度概要調査」(2016 年6 月、日本貿易振興機構ドバイ事務所)

 

(目次)

第1章 – はじめに  p.3

 第1節 – アラブ首長国連邦の知的財産法の概要 p.3

第2章 – アラブ首長国連邦の司法制度 p.4

 第1節 – 裁判所構成 p.4

 第2節 – 民事裁判所 p.4

 第3節 – 刑事裁判所 p.5

 第4節 – シャリア・イスラム法裁判所 p.5

 第5節 – 破棄院 p.5

第3章 -アラブ首長国連邦の現行法と手続き p.6

 第1節 – 統計 p.7

 第2節 – 登録商標についての要件 p.8

 第3節 – 登録期間 p.11

 第4節 – 商標登録の流れ p.12

第4章 – 商標登録出願 p.12

 第1節 – 商標登録出願の作成 p.12

 第2節 – 商標登録出願 p.13

 第3節 – 商標登録出願の審査p.15

 第4節 – 商標登録のメリット p.16

 第5節 – 公告及び異議申立手続 p.17

第5章 – 商標登録後 p.18

 第1節 – 商標登録後の手続き p.18

第6章 – エンフォースメント p.20

 第1節 – 法的措置 p.20

 第2節 – 行政措置 p.21

付属 1 – フローチャート p.22

付属2 – 料金表 p.26

アラブ首長国連邦(UAE)における知的財産権侵害の現状と市況報告

アラブ首長国連邦における知的財産権侵害の現状と市況報告(2015年4月、日本貿易振興機構ニューデリー事務所)

 

(目次)

1.アラブ首長国連邦における知的財産権侵害の現状 P.2

2.市況報告 - UAE概観 P.6

3.市況報告 - ドバイ P.9

4.市況報告 - アブダビ P.52

5.市況報告 - シャルジャ P.67

6.市況報告 - アジュマン P.80

7.市況報告 - ウンム・アル・クウェイン P.87

8.市況報告 - ラス・アル・ハイマ P.96

9.市況報告 - フジャイラ P.109

アラブ首長国連邦(United Arab Emirates:UAE)における意匠の表現に関する制度・運用

【詳細】

 各国における意匠の表現に関する調査研究報告書(平成25年2月、日本国際知的財産保護協会)第II部、第III部

 

(目次)

第II部 各国おける意匠の表現に関する制度・運用調査

 アラブ首長国連邦(UAE) P.179

第III部 海外アンケート調査

 海外アンケート調査の目的と手法 P.193

 海外アンケート調査の結果(一覧表及び別添資料) P.195