台湾の商標関連の法律、規則、審査基準等
台湾の商標関連の法律、規則、審査基準等(現地語・英語・日本語)は、以下の通りである。
シンガポールにおける特許法改正の概要(2014年2月14日施行、2017年10月30日一部改正)
シンガポールでは改正特許法が2012年7月10日に成立し、シンガポール知的財産庁によって草案は公告され、2014年2月14日から施行された。以下にその概要を説明し、さらに2017年に改正があった点についても言及する。
(1)重要な改正点
重要な改正点は、自己査定型の特許制度(self-assessment patent system)から肯定的結果に基づく付与制度(positive grant system)へシフトしたことである。
改正前は、出願した発明が新規性等の特許要件を満たしているかの判断は審査官ではなく、出願人が自ら行って登録が認められる自己査定型の特許制度であったため、実際には新規性等の特許要件を具備しない発明にも特許が付与されていた。これは、シンガポール知的財産局が独自の調査および審査能力を有していなかったという事情からであった。
改正特許法においては、出願人の請求に基づいてシンガポール知的財産局が発行する審査内容に関する報告書が肯定的な出願にのみ、特許を付与することになった。また、「スロー/ファストトラック」システム(“slow/fast-track”prosecution system)も改正され、「ファスト」または「スロー」の選択肢のない単一のトラックシステムに統合された。
同時に、シンガポール知的財産局は上記改正を考慮して、有効な調査および審査能力の構築を提案した。
(i)「肯定的結果に基づく付与制度」および新たなタイムライン
改正特許法の下で出願人が利用可能な審査手続は、以下の4つである(シンガポール特許法第29条(1)、特許規則38(2)、43)。
(a)調査とその後の審査
この場合、出願日(優先日)から13か月以内に調査を請求し、調査報告書に基づいて出願日(優先日)から36か月以内に審査請求を行う。
(b)調査および審査
この場合、出願日(優先日)から36か月以内に調査および審査の請求を行う。
(c)対応する出願(corresponding application)、対応する国際出願(corresponding international application)、関連する国内段階の出願(related national phase application)の調査報告書を基礎とした審査。この場合、出願日(優先日)から36か月以内に審査請求を行う。
なお、「対応する出願」および「対応する国際出願」とは、オーストラリア、カナダ(英語による出願のみ)、日本、ニュージーランド、韓国、英国、米国の特許庁および欧州特許庁(英語による出願のみ)へなされた出願または特許協力条約に基づきなされた出願であり、(ア)出願人のシンガポールにおける出願の優先権の主張の基礎となる出願、(イ)出願人のシンガポールにおける出願に基づき優先権を主張する出願、(ウ)出願人のシンガポールにおける出願と同じ出願を基礎として優先権を主張する出願をいう。「関連する国内段階の出願」とは、「対応する出願」と同様の国の特許庁等へなされたPCT出願に基づく出願であり、シンガポール国内段階へ移行した出願をいう(同法第2条(1)、特許規則41)。
(d)対応する出願、対応する国際出願、関連する国内段階の出願の最終審査結果を基礎とした補充審査(supplementary examination)
2014年改正前は、対応する出願の最終審査結果に依拠することを選択することができたが、2014年の改正により、対応する出願の最終審査結果を利用する場合についても、シンガポール知的財産局における審査(補充審査)が行われることとなった。この場合、出願日(優先日)から54か月以内に補充審査の請求を行う。
上記(a)~(d)について、審査官による審査内容(判断結果)に関する報告書((a)(b)(c)の場合は審査報告書(examination report)、(d)の場合は補充審査報告書(supplementary examination report)と呼ばれる)が拒絶理由を含んでいない場合に、登録官により「特許付与適格通知(Notice of Eligibility to Proceed to Grant)」が発行される。その後、出願人は特許付与に関する費用の支払手続に入る。
審査報告書または補充審査報告書が1またはそれ以上の拒絶理由を含んでいる場合は、登録官により「出願拒絶を意図する通知」が発行される。この場合、出願人は拒絶理由を克服する提案を記載した書面を含む所定の書式を提出し、可能な場合には同時に修正し、審査報告書または補充審査報告書の再審理を要求する。その後、再審理が完了し、登録官により拒絶理由がないと判断された場合は「適格性通知」が発行される。再審理を経ても拒絶理由があると判断された場合は、「拒絶通知」が発行される。
その後、2017年特許法第29条および特許規則43の改正により2020年1月1日以降の出願には補充審査は利用できなくなることとなった。
シンガポール特許法
第29条 調査及び審査
(1)特許出願(本項において「当該出願」という)に係る出願人は,所定の期間内に,以下の項のうちの1つに従うこと。
(d)(11A)に関して,所定の様式で補充審査報告書を求める所定の文書と請求書を提出する。ただし
(i)出願人が以下の最終的な報告に依拠する場合,
(A)対応する出願,対応する国際出願又は関連国内段階出願の実体審査,若しくは
(B)国際段階における当該出願の実体審査(当該出願が第86条(3)に基づいて国内段階に移行した国際特許出願(シンガポール)である場合)
(ii)当該出願における各クレームが,少なくとも対応する出願,対応する国際出願又は関連する国内段階出願若しくは国際段階における当該出願におけるクレームの1つに関連する。及び
(iii)これらの結果により,当該出願における各クレームが新規性,進歩性(又は非自明性),産業上の利用可能性(又は有用性)の要件を満足する。
(10)(1)の規定に拘わらず,出願人が(1)(c)若しくは(3)に基づく審査報告書の請求又は(1)(b)に基づく調査及び審査報告書の請求を提出している場合は,出願人は次の対応をすることができる。
(b) (11A)に従うことを条件として,(1)(d)に基づく補充審査報告書の請求を,その請求のための所定の期間内に提出すること
(11A)(1)(d)及び(10)(b)は,次の場合を除いて適用されない。
(a)当該出願が第20条(3),第26条(11)又は第47条(4)にいう新規出願である場合-当該出願 の実際の出願日が所定の日より前である,又は
(b)その他の場合-当該出願の出願日が所定の日より前である。
シンガポール特許規則
規則43 調査及び審査報告の請求,審査報告の請求又は補充審査報告の請求の提出期間
(4) 第29条(11A)(a)及び(b)の所定の日は2020年1月1日
(ii)2014年改正以前のシステムとの手続上の相違点
上記に記載した(a)から(d)の審査の選択肢は、これまでの自己査定型システムにおいても既に利用できたものである。このうち、選択肢(a)~(c)は、審査報告書に加えて「適格性通知」も発行されるようになったこと以外、大部分は同様のシステムが残っている。これに対し、選択肢(d)については、上記(1)(i)(d)で述べた通り、新しいシステムに移行したことで、「適格性通知」発行のために、補充審査の申請を新たに行うことが必要になった。
PCT出願に基づき所定の特許庁(上記(1)(i)(c)記載の特許庁)の国内段階に移行した出願/特許は、シンガポールに国内移行した出願/特許に対して「関連する国内段階の出願/特許」と定義されるに至った。これにより、改正前は共通する優先権主張によって関連づけられた「対応する出願」、「対応する国際出願」の調査報告書および審査報告書のみが上記の選択肢(c)および(d)において使用されていたが、当該「関連する国内段階の出願」から得られた調査報告書も、上記の選択肢(c)において利用可能となった。また、当該「関連する国内段階の出願」から得られた審査報告書も、上記の選択肢(d)において利用可能となった(同法第29条(1)(c)、(d)、規則41)。
(2)その他の留意すべき改正(2014年)
(i)付与後調査および審査の削除
付与後調査および審査の規定(改正前第38A条)が削除された。
(ii)失効した特許の回復のための基準の引き下げ
失効した特許について、更新料の支払いを失念したことにつき故意がないと登録官が認めた場合に、回復され得ることとされた(第39条)。2014年改正前は、登録官は権利者が更新料の支払いにつき「所定の期間内に納付されるよう適切な注意を払っていた」と認められることが必要であった。
【留意事項】
2014年改正法は、2014年2月14日以降に出願される特許に適用されている。シンガポールでは、改正前は、自己査定型の特許制度であったため、実際は特許要件を満たさないものでも特許が付与されていたが、2014年改正によって、シンガポール知的財産局が発行する審査内容に関する報告書が肯定的な出願のみが特許を付与されることになった点に、留意が必要である。
また、対応する外国出願の最終審査結果を基礎とした出願の場合についても、補充審査の請求が必要になっている点にも留意すべきである。
ただし、補充審査は2017年10月30日の特許法および特許規則の一部改正により2020年1月1日以降の出願では利用できなくなる。
両岸経済枠組協力機構の協定(ECFA)の台湾知的財産権制度にもたらす影響
【詳細】
(1) 両岸経済枠組協力機構の協定(以下、「ECFA」という)とは
ECFAは一種の「機構」における協定であり、中国と台湾間の特殊な関係を考慮して設立されたものである。大部分の貨物およびサービス業者が貿易協定の協議および契約締結に長時間を要する問題を解消するため、実際の需要を考慮して、まず、下記条項を含む主な事項における処理原則を定めた「機構協定」を締結し、解決を図った。
・今後の貨物貿易およびサービス貿易の商業上の協議
・投資における保証制度
・経済協力の推進
・貨物とサービスの貿易における早期成果の獲得
・貿易救済規則(ダンピング対策、防衛措置等)
・貿易に関する争議(原因)の解決制度
・ECFAの有効および終了期間
すなわち、ECFA機構協定は両岸貿易の協力制度におけるひとつの起点であり、将来双方が推進する貨物貿易、サービス貿易、投資等業務の制度化の基礎となるものである。
(2) ECFAと知的財産権の関連性
両岸の貿易関連交流がますます密接になっていることに伴って発生した知的財産権の出願および権利侵害等関連争議は枚挙にいとまがない。これらの問題は両岸の貿易関連投資活動が日々増加していることに起因する他、両岸で同一の言語が使用されていることも原因の一つであり、知的財産権の保護が両岸共通の課題であることが明らかである。ECFA第6条にも、両岸がECFA締結後、知的財産権の保護および協力関係を強化することが明記されている。締結は2010年6月29日、重慶で行われた第5回江陳会にてなされた。またECFAの締結と同時に、「海峡両岸知的財産権保護協議」(以下、「IPR」という)も締結された。
(3) IPRの主な規定内容
(i) 優先権(IPR第2条)
台湾と中国は2002年、同時にWTOに加盟したが、中国はそれまで優先権の基礎出願と認めるための基本要件として、パリ条約の加盟国への出願であることを求めていた。そして、台湾は中国のひとつの省であって国ではないとして、台湾の優先権を認めようとしなかった。しかし、IPR第2条において、先方の専利、商標および品種権における最初の出願日の効力を確認することに同意し、両岸人民の優先権権益の保障に対する相互対応を積極的に進めるようになった(下記の「執行の効果」を参照)。
(ii) 植物品種の保護(IPR第3条)
両岸政府は各自公告した植物種類(植物品種保護リスト)の範囲内で先方の品種権の出願を受理し、申請できる品種権の植物における種類(植物品種保護リスト)の拡大について、協議することに同意した。
(iii) 審査と業務協力(IPR第4、5、6条)
審査作業の迅速な進行のため、双方は専利の検索および審査結果、品種権審査と検査等の情報の相互利用に対して積極的に協力することに同意した(IPR第4条)。
また、専利、商標の分野の更なる交流を促すため、両岸の専利、商標等業界における協力体制を拡大することにも同意した(IPR第5条)。
この他、両岸の文化創作である映像製品の交流を推進するため、著作権の認証についての共同体制が確立され、一方の映像製品が他方で出版されるとき、一方が指定する関連協会または団体にて受けた著作権の認証が他方でも認められるようになった(IPR第6条)。
(iv) 共同体制(IPR第7条)
法の執行にあたっても共同体制が確立され、下記の知的財産権保護事項について各自の規定によって適宜に処理することができる。
・海賊版および模倣品に対する取締り。特にインターネットを介して海賊版の書物、映像およびコンピュータシステム等を提供し、または提供に協力する権利侵害ウェブサイトや市場に流通している海賊版および模倣品。
・著名商標、地理的表示または著名な産地名称の保護
・悪意による先取り登録行為の防止。
・権利者が先取り登録された著名商標、地理的表示または著名な産地名称について取消請求する権利を保障する。
・果物およびその他農産品における虚偽の産地標示に対する市場での監督・管理および調査・取締り措置の強化。
(4) 執行の効果
(i) 優先権について
IPRは両岸主務機関の協議によって発効後、内部関連作業の調整を経て2010年11月22日から両者機関による受理が開始された。2010年11月22日より2018年6月30日までに中国で台湾出願を基礎とする優先権が主張された専利は計38,288件、商標は406件、品種権は3件であった。一方、台湾で中国出願を基礎とする優先権が主張されたのは専利が計22,719件で、商標は792件であった。両岸が双方の優先権を認めた後、権利者の両岸の出願日が異なるためにその両出願日の間に第三者に不法に先取り出願される事態を回避できるようになった。このように、当該措置は優先権の保障について成果が上がっている。
(ii) 版権認証について
従来、台湾の映像・文筆産業が中国市場に参入するときは、先ず香港を通じて著作権の認証を行い、次に中国の関連機関による出願審査を経た後、中国での発行が可能となった。このため、上記手続きに時間がかかり、中国での発行が遅れる他、当該手続きの間に他者に模倣される傾向があった。IPR署名後は、ビジネス交流の迅速化を図るために認証業務の共同体制を確立する必要に迫られた。
台湾特許庁はこれを受けて2010年11月17日、社団法人台湾著作権認証機構(以下、「TACP」という)を、台湾当該業界が中国市場への映像・音楽製品を出版する際の著作権認証機構として指定した。さらにTACPも2010年12月16日、中国の国家版権局の認可を得たため、台湾著作権保護協会は台湾の映像・音楽出版業者がより迅速に中国市場に参入できるよう、現在のように台湾の映像・音楽製品の中国市場参入時における著作権の認証作業を行い、作業工程を簡略にしている。TACPが2018年7月末までに受理した台湾の映像・音楽業者の認証請求案件は、録音製品1,099件、映像製品38件の計1,137件である。
(iii) 協力・処理について
ECFAおよびIPRの署名前に、両岸政府は主に民間機構を通じて、毎年輪番で専利、商標および著作権についての論壇を設け、両岸知的財産権保護問題について討論および意見交換を行った。このような交流を通じて、次第に特定の議題に対する解決方法または協力方法が確立されていった。しかしながら、民間機構に協力してもらって行う処理は間接的なもので、処理スピードも非常に遅く、煩雑であった。例えば、「台湾ビール」の商標を中国で登録出願したときは登録まで10年を要した。両岸知的財産権事務の協力関係を強化するため、IPR署名後は「専利」「商標」「著作権」および「品種権」の4つの作業チームが設置され、毎年定期的に作業チーム会議が開かれ、お互いの共通認識を模索するため、双方の重要事項および問題について話し合いが行われた。
IPR協議の発効時から2018年7月末までに、台湾特許庁は当該協議機関が確立したコミュニケーション形態と協力・処理体制を通じて、台湾人の、海賊版、模造、音楽・映画等を不法にダウンロードするウェブサイトに対する取締り、および、著名商標または著名な産地名称の先取り登録と台湾の果物の偽物等に対する取締りを含む知的財産権問題の解決に協力した。近年成果が上がった案件としては、「曼黛瑪蓮」、「女人我最大」、「CSBC(台湾国際造船股份有限公司の略称)」、「新東陽」、「吉園圃」、「欧萊徳」、「MSI微星科技」、「台銀」、「台塩生技」等の商標、および「CAS」証明標章の中国で受けた侵害、または救済を求める際に遭遇した困難に対して早期解決できたこと等が挙げられる。
【留意事項】
(1) 知的財産権の保護についても属地主義が採用されているので、両岸が協定に署名した場合でも、中国で専利、商標または植物品種権の保護を受けたいときは、中国の法律規定に従って登録出願または登録をしなければならない。また、両岸のECFA署名後も、台湾で取得した専利、商標または植物品種権は自動的に中国で保護を受けられるということはない。同様に、中国人が台湾で保護を受けたい場合は、台湾の関連法律規定に従って登録出願または登録しなければならない。
(2) IPRは台湾企業と台湾国民の保護を重視しているため、台湾の会社法人であれば、中国で優先権を主張することができる。出願人が複数である場合、中国は出願人のうちの一人が台湾国民で、その台湾国民を筆頭出願人としていれば、その他の出願人の国籍がどこであっても、その台湾案件に対する優先権の主張を受理する。外国企業の台湾支社については、当該会社が台湾の関連法律によって認可されており、関連技術開発が台湾でなされていれば、同様にその台湾案件に対する優先権の主張を受理する。
(3) 商標の先取り登録取消審判請求の成功案例に対する台湾特許庁の分析によると、当該請求を成功させるためには以下の要件を満たしていなければならない。
・明らかに悪意による先取り登録であり、当該証拠を積極的に提出できること。
・中国で実際に商標を使用し、知名度を有すること。
・公益に係わり、または民衆への影響が比較的大きい案件は注目を浴びやすい。
台湾における公平交易法改正
【詳細】
「公平交易法」(日本の「不正競争防止法」および「独占禁止法」に相当。以下「公平法」)改正案が2015年1月22日に立法院の三読(最終審議)で可決され、2015年2月4日に総統によって総統華総一義字第10400014311号令として公布された。第10条および第11条条文が公布の30日後から施行されるのを除き、その他の条文は公布日から施行された。
今回の改正案は、「公平法」が1992年に施行されて以来、初めての全面的な法改正であり、その変更内容は大きく、法規構造を再度、構築・整備して、競争制限および不正競争関連規範を明確に区分する以外に、結合申請制度、連合行為に係る法の執行、不実な広告、著名商標保護、調査権、罰則などの規定をすべて調整、改正しており、事業者に大きな影響を及ぼすものである。以下に、今回法改正された法規構造の調整、不正競争、行政調査と処分、および罰則と行政救済などの関連規定の重要な変動を簡単に説明する。
1.法規構造の調整
(1)過去、「再販売価格の制限」(原第18条、現行第19条)および「競争を制限するまたは公正な競争を阻害するおそれがある行為」(原第19条、現行第20条)などの事項は、もともと「不正競争」の章に規範が置かれていたが、新法では当該これらの事項が実際には市場競争秩序に影響を及ぼす競争制限行為の類型に属すことを明確にし、「競争制限」の章に移した。
(2)しかし、旧法第19条第3号の不当な手段や景品贈呈によって販売促進を行う場合、本質的に不正競争に属すため、別途、「不正競争」の章に新たに第23条を追加して処理する。また、旧法第19条第5号の他人の生産や販売上の機密を不当に取得するなどに関する事由を削除し、営業秘密法の規範に戻した。
2.不正競争
(1)不実な広告を認定する際に考慮すべき事項につき、包括的な一般的規定を新たに追加した。すなわち、「商品と関連し、かつ、取引決定に影響を及ぼすに足る事項」で、虚偽不実または人に錯誤を生じさせる表示または標章であり、既に取引相手人を勧誘する目的を達成している場合にのみ、本法の規範を受ける。旧法に列挙されていた商品の価格、数量、品質などの事項は、単なる例示であることを明確に規定した。
(2)事業者は不当な景品贈呈によって販売促進を行ってはならないとする規定を新たに追加し、ならびに公平交易委員会(日本の公正取引委員会に相当。以下「公平会」)に関連規則を規定する権限を授けた。この新たに追加された規定により、旧法第19条第3号に代わって、現行の「公平交易委員会の景品贈呈販売促進額に対する処理原則」(「公平交易委員会対於贈品贈獎促銷額度案件之処理原則」)が公平会の権限の法的根拠となる。
3.調査および行政処理
(1)公平会は証拠となる物品を押収できるとする規定を新たに追加し、調査を受ける者は正当な理由がある場合を除き、公平会が行う調査措置に協力する義務を有し、調査を回避、妨害又は拒絶することはできない旨明確に規定した。
(2)調査を受ける予定の事業者がすでに具体的な措置を講じて違法と疑われる行為を排除している場合、公平会は、行政コストを省くため、案件の調査を中止することができる。
4.罰則および行政救済
(1)公平会の調査に協力しない場合について、罰則額を引き上げた。
(2)新法では、公平会の処分について訴願(日本における行政不服申立)手続を経る必要がなく、直接行政訴訟手続きが適用される旨明確に規定した。ただし、新法改正施行前にまだ終結していない訴願案件は、依然として訴願法(日本における行政不服審査法に相当)の規定によりこれを終結する。
韓国における特許法改正(2015年1月/7月施行)が出願実務に与える影響【その2】
【詳細及び留意点】
記事本文はこちらをご覧ください。
韓国における特許法改正(2015年1月/7月施行)が出願実務に与える影響【その1】
【詳細及び留意点】
記事本文はこちらをご覧ください。
中国における職務発明条例(草案)と科学技術成果転化促進法(改正)の解説
【詳細及び留意点】
記事本文はこちらをご覧ください。
インドネシアにおける商標法および特許法の改正動向
【詳細】
インドネシア政府は、現在、商標法と特許法の改正案を策定中であり、2015年初めには改正案の公聴会が開催される予定である。
(1)商標法改正案
公表されている最新の商標法改正案は2008年版である。改正案における主な変更点は、以下の通りである。
(i)商標出願手続と審査期間:商標出願後、すべての出願はそのまま3ヶ月間の公告期間に付され、当該公告期間中に第三者による異議申立が可能となる。3ヶ月の公告期間が過ぎると、出願は最長6ヶ月間の実体審査に付される(現在は9ヶ月と10日間)
(ii)更新期間が、権利満了日前6ヶ月~権利満了日後6ヶ月に変更される。期間延長は認められない
(iii)三次元商標、ホログラム商標、音声商標、香り商標などの非伝統的商標に対する保護が新たに設けられる
(iv)裁判所から仮差止命令を取得する手順・手続の改善
(v)インドネシア知的財産権総局(Directorate General of Intellectual Property Rights : DGIP)が職権で商標登録を取り消すことを認める規定の削除
(vi)譲渡登録の場合における「連合商標(Association of Marks)」の概念の導入
(vii)マドリッドプロトコルに基づく国際商標の登録出願
2008年に改正案が発表されてから6年以上が経過している。この間に改正案には修正が加えられたものと考えられ、また今後も修正される可能性がある。改正案は、依然としてDGIPによる見直しや修正作業が継続的に進められており、最終的にどのような改正法が施行されるのかはいまだ不透明である。
(2)特許法改正案
特許法改正案は2012年に公表された。公表された改正案の中で提案されている改正箇所は以下の通りである。
(i)特許出願手続の電子化(電子出願)
(ii)特に医薬関連の国内特許出願の改善・向上を図るため、簡易特許の定義に「組成物」を新たに追加
(iii)政府業務を遂行中の発明者により発明された特許の特許権者は政府機関であるとする表明
(iv)政府機関に属する発明者への報酬の設定
(v)遺伝資源および/または伝統的知識から派生した発明に関して、その明細書中で遺伝資源および/または伝統的知識の出所に言及する義務
(vi)公告期間、実体審査期間に関する特許と簡易特許の公平な取扱いについての取決め
(vii)零細中小企業、研究機関および政府開発の特許権者による特許年金納付に関する追加規定
(iix)伝染病治療を目的として、インドネシア国内で付与された特許がカバーする医薬品を必要とする開発途上国または後発開発途上国の要請に応じて、輸出向けに当該医薬品をインドネシア国内で製造可能とする強制実施権の付与
(ix)仮決定手続の改善
(x)旧来からの医薬品に加え、刑事告訴や民事訴訟による訴追が可能となる並行輸入禁止製品に関する追加規定
特許法改正案が2012年に発表されてから3年が経過した。特許法改正案についても、この間に改正案には修正が加えられたものと考えられ、また今後も修正される可能性がある。改正案は、依然としてDGIPによる見直しや修正作業が進められており、最終的にどのような改正法が施行されるのかはいまだ不透明である。
中国改正商標法について留意すべき点
【詳細】
中国・改正商標法マニュアル(2015年3月、日本貿易振興機構 進出企業支援・知的財産部 知的財産課)四
(目次)
四 日本ユーザーが留意すべき点 P.81
1 商標出願、更新等の申請案件の変化 P.81
(1) 音声商標の導入 P.81
(2) 「一出願多区分」制度の導入 P.82
(3) 商標登録更新期間の変更 P.82
(4) 商標権譲渡手続きの変化 P.82
(5) 商標使用許諾届出の変化 P.83
2 商標権利保護に関する変化 P.83
(1) 審査・審理期限の明文化 P.83
(2) 異議申立プロセス及びその後続救済手段の変化 P.83
(3) 冒認出願対策の強化 P.84
(4) 未登録商標に対する保護の強化 P.84
(5) 登録商標の使用義務の強化 P.85
(6) 懲罰的賠償制度の導入 P.85
(7) 「馳名商標」表示の広告宣伝における使用の禁止 P.85
中国改正商標法と現行制度の審査業務フローの比較および改正後の法執行の概要
【詳細】
中国・改正商標法マニュアル(2015年3月、日本貿易振興機構 進出企業支援・知的財産部 知的財産課)二、三
(目次)
二 改正法と現行制度の審査業務フローの比較 P.74
1 法改正前の商標出願審査フローチャート P.74
2 法改正後の商標出願審査フローチャート P.75
3 主な変化に関する説明 P.76
(1) 補正手続きの変化 P.76
(2) 分割出願の追加 P.76
(3) 異議申立手続きの変化 P.77
(4) 商標行政訴訟案件の提訴裁判所の変更について P.77
三 改正後の法執行の概要 P.78
1 法執行の変化 P.78
(1) 商標権侵害行為の定義が明確化され、法執行において、より明確に執行できるようになった P.78
(2) 主観的な過失がなければ、法的責任を免除できるようになった P.78
(3) 商標権侵害行為の再犯への処罰が強化された P.79
2法執行の傾向 P.79