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日本とシンガポールの特許の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長に関する比較

1.日本の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長

(1)特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間

・出願人が在外者でない場合(国内出願人)は、意見書および補正書の提出期間は60日

・出願人が在外者である場合(外国出願人)は、意見書および補正書の提出期間は3か月

 条文等根拠:特許法第50条、第17条の2第1項、方式審査便覧04.10

 

日本特許法 第50条 拒絶理由の通知

 審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、第17条の2第1項第1号または第3号に掲げる場合(同項第1号に掲げる場合にあっては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)において、第53条第1項の規定による却下の決定をするときは、この限りでない。

 

日本特許法 第17条の2 願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面の補正

 特許出願人は、特許をすべき旨の査定の謄本の送達前においては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について補正をすることができる。ただし、第50条の規定による通知を受けた後は、次に掲げる場合に限り、補正をすることができる。

一 第50条(第159条第2項(第174条第2項において準用する場合を含む。)及び第163条第2項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による通知(以下この条において「拒絶理由通知」という。)を最初に受けた場合において、第50条の規定により指定された期間内にするとき。

二 拒絶理由通知を受けた後第48条の7の規定による通知を受けた場合において、同条の規定により指定された期間内にするとき。

三 拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合において、最後に受けた拒絶理由通知に係る第50条の規定により指定された期間内にするとき。

四 拒絶査定不服審判を請求する場合において、その審判の請求と同時にするとき。

 

日本方式審査便覧 04.10、1. 手続をする者が在外者でない場合

(2) 指定期間

 ア.次に掲げる書類等の提出についての指定期間は、特許及び実用新案に関しては60日、意匠(国際意匠登録出願における拒絶の通報に応答する場合を除く。)及び商標(国際商標登録出願における命令による手続補正書を提出する場合及び暫定的拒絶の通報に応答する場合を除く。)に関しては40日とする。ただし、手続をする者又はその代理人が、別表に掲げる地に居住する場合においては、特許及び実用新案に関しては60日を75日と、意匠及び商標に関しては40日を55日とする。

a.意見書(特50条[特67条の4、意19条において準用]、商15条の2[商65条の5、68条2項、商標法等の一部を改正する法律(平成8年法律第68号)附則12条において準用]、15条の3第1項、商附則7条[商附則23条])

 

日本方式審査便覧 04.10、2. 手続をする者が在外者である場合

(2) 指定期間

 ア.次に掲げる書類等の提出についての指定期間は、上記1.(2)コ.の国際意匠登録出願において拒絶の通報に応答する場合の意見書の提出及び意匠法第9条第4項に基づく応答書面の提出についての指定期間、及びサ.の国際商標登録出願における命令による手続補正書の提出についての指定期間を除き、3月とする。ただし、代理人だけでこれらの書類等を作成することができると認める場合には、上記1.(2)ア.の手続をする者が在外者でない場合の期間と同様とする

a.意見書(特50条[特67条の4、意19条において準用]、商15条の2[商65条の5、68条2項、商標法等の一部を改正する法律(平成8年法律第68号)附則12条において準用]、15条の3第1項、商附則7条[商附則23条])

 

(2)特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間の延長

 出願人が在外者でない場合(国内出願人)は、最大2か月まで延長可能である。出願人が在外者である場合(外国出願人)は、最大3か月まで延長可能である。

 条文等根拠:特許法第5条第1項、方式審査便覧04.10

 

日本特許法 第5条 期間の延長等

 特許庁長官、審判長または審査官は、この法律の規定により手続をすべき期間を指定したときは、請求によりまたは職権で、その期間を延長することができる。

2 審判長は、この法律の規定により期日を指定したときは、請求によりまたは職権で、その期日を変更することができる。

 

日本方式審査便覧 04.10、1. 手続をする者が在外者でない場合

(4)指定期間の延長(特・実・意)

 次に掲げる特許法及び実用新案法並びに特許登録令、実用新案登録令及び意匠登録令の手続の指定期間については、指定期間内又は指定期間に2月を加えた期間内の請求により、2月延長することができる。ただし、指定期間内に延長請求した場合には、指定期間経過後の再度の延長請求を行うことはできない。

ア.上記(2)ア.a.の意見書(特50条の規定によるものに限る)。ただし、当初の指定期間内に意見書を提出した場合又は特許法第17条の2第1項又は第3項に基づく補正を行った場合については、指定期間経過後の延長請求を行うことはできない。

 

日本方式審査便覧 04.10、2. 手続をする者が在外者である場合

(4)指定期間の延長(特・実・意)

 ウ.上記2.(2)ア.a.の特許法第50条の規定による意見書の提出についての指定期間は、請求により延長することができる。延長する期間は以下のとおりとする。

a.指定期間内の延長請求は、1回目の請求により2月延長し、2回目の請求により1月延長することができ、2回の請求により最長3月の期間延長をすることができる。

b.指定期間経過後の延長請求は、指定期間に2月を加えた期間内の請求により2月延長することができる。ただし、指定期間内に延長請求した場合には、指定期間経過後の再度の延長請求を行うことはできない。また、当初の指定期間内に意見書を提出した場合又は特許法第17条の2第1項又は第3項に基づく補正を行った場合については、指定期間経過後の延長請求を行うことはできない。

 

2.シンガポールの実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間延長

(1)特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間

・シンガポール知的財産庁に審査を請求した場合、応答期間は5か月

・シンガポール知的財産庁に補充審査*1を請求した場合、応答期間は3か月

 条文等根拠:特許規則46(4)、(4A)、(5)

 

シンガポール特許規則46 審査官の意見書等

(4)(a)第29条(4)に基づく審査報告、または

(b)第29条(5)に基づく調査および審査報告、

に関する、(3)に基づく最初の意見書に対する応答は、同意見書を伴った登録官の通知の日から5月以内に提出しなければならない。

(4A)第29条(6)に基づく補充審査に関する、(3)に基づく最初の意見書に対する応答は、同意見書を伴った登録官の通知の日から3月以内に提出しなければならない。

(5)出願人が(3)に基づいて第29条(4)に基づく審査報告又は第29条(5)に基づく調査および審査報告に関する意見書を提出した場合は、

(a)審査官は、その裁量により、自己の意見の理由を詳細に記載した追加の意見書を登録官に対し発出することができ、

(b)(2)および(3)がこれに従って適用され、また

(c)(3)に基づく追加の意見書に対する応答は、追加の意見書を伴った登録官からの通知の日から5月以内に提出しなければならない。

 

(2)特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間の延長

 いかなる場合も延長することができない。

 条文等根拠:特許規則108(2)(b)

 

シンガポール特許規則108 期限の変更

(1)登録官は、当事者からの書面による請求により、(2),(3)及び(4)並びに規則108Aに従うことを条件として,登録官は,期日又は期間の満了後6月以内になされる当事者からの書面による請求により,自己が適切と認める場合は,ある行為を実行するための又はある手続を取るための本規則による所定期間及び本規則に基づいて登録官が指定した期日又は期間について,自己の指示する当事者への通知により,かつ,自己の指示する条件に基づいて,延長することができる。

(2)次の規則に定められる期日または期間は、いかなる場合も延長することができない

(中略)

(b)規則9(1)、(2)および(3)、規則9A(1)および(2)(a)、規則19(2)、規則26(5)、規則26A(1)および(5)(a)、規則28(a)、(b)、(c)および(d)、規則29(4)、規則34(2)、規則46(4)、(4A)および(5)(c)、規則49、規則51(1)、(2)および(2A)、規則51A(1)および(2)、規則52(2)、規則53(1)、規則73(1)、規則74(1)、規則75、規則85(1)、規則86(3A)、規則88(8)(a)、規則88A(11)、規則91(3)および(5)ならびに附則4の第4項(2)

 

日本とシンガポールの特許の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長に関する比較

 

日本

シンガポール

応答期間

60日

(ただし在外者は3か月)

・IPOSに審査を請求した

 場合:5か月

・IPOSに補充審査*1を請求

 した場合:3か月

応答期間の延長の可否

不可

延長可能期間

最大2か月

(在外者は最大3か月)

 

*1: 2017年10月30日付けで改正された特許法により、2020年1月1日以降の出願から補充審査は利用できなくなる。(シンガポール特許法第29条(11A)、およびシンガポール特許規則43(4))。

日本とシンガポールにおける特許審査請求期限の比較

1.日本における審査請求期限

日本においては、審査を受けるためには出願審査請求を行う必要がある。出願審査請求は出願の日から3年以内に行うことができ、この期限内に出願審査請求がされない場合は、正当な理由があるものを除き、その特許出願は取り下げられたものとみなされる。

出願が国内優先権の主張を伴う場合や、パリ条約による優先権の主張を伴う場合においても、請求期間の起算日は実際に特許出願がされた日である。

PCTルートの場合は、国内書面を提出し、手数料の納付を行った後(外国語特許出願である場合はさらに翻訳文を提出した後)でないと、出願審査請求をすることができない(特許法第184条の17)。

なお、審査請求は出願人だけでなく、第三者も行うことができる。(特許法第48条の3第1項)。

条文等根拠:特許法第48条の2、第48条の3第4項、特許法施行規則第31条の2第6項、第184条の17

 

日本特許法 第48条の2 特許出願の審査

特許出願の審査は、その特許出願についての出願審査の請求をまって行なう。

 

日本特許法 第48条の3 出願審査の請求

特許出願があったときは、何人も、その日から3年以内に、特許庁長官にその特許出願について出願審査の請求をすることができる。

2 第44条第1項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第46条第1項もしくは第2項の規定による出願の変更に係る特許出願または第46条の2第1項の規定による実用新案登録に基づく特許出願については、前項の期間の経過後であっても、その特許出願の分割、出願の変更または実用新案登録に基づく特許出願の日から30日以内に限り、出願審査の請求をすることができる。

3 出願審査の請求は、取り下げることができない。

4 第1項または第2項の規定により出願審査の請求をすることができる期間内に出願審査の請求がなかったときは、この特許出願は、取り下げたものとみなす。

5 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、第1項に規定する期間内にその特許出願について出願審査の請求をすることができなかったことについて正当な理由があるときは、経済産業省令で定める期間内に限り、出願審査の請求をすることができる。

 

日本特許法施行規則 第31条の2第6項

6 特許法第48条の3第5項(同条第7項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の経済産業省令で定める期間は、同条第5項に規定する正当な理由がなくなった日から2月とする。ただし、当該期間の末日が同条第1項に規定する期間(同条第7項において準用する場合にあっては、第2項に規定する期間)の経過後1年を超えるときは、同項に規定する期間の経過後1年とする。

 

日本特許法 第184条の17 出願審査の請求の時期の制限

国際特許出願の出願人は、日本語特許出願にあっては第184条の5第1項、外国語特許出願にあっては第184条の4第1項または第4項および第184条の5第1項の規定による手続をし、かつ、第195条第2項の規定により納付すべき手数料を納付した後、国際特許出願の出願人以外の者は、国内書面提出期間(第184条の4第1項ただし書の外国語特許出願にあっては、翻訳文提出特例期間)の経過後でなければ、国際特許出願についての出願審査の請求をすることができない。

 

2.シンガポールにおける審査請求期限

改正特許法が施行された2014年2月14日以降になされた、シンガポール出願、シンガポール国内移行および分割出願を前提として以下に説明する。

シンガポールにおいては、審査を受けるためには出願審査請求を行う必要がある。シンガポールでは調査および審査請求の内容およびタイミングにより、以下の(i)~(ⅳ)の4つの審査請求オプションがあり、それぞれについての審査請求期間を以下に示す(特許法第29条(1)(b)~(d)、(3)、特許規則38(1)、43(1)~(3))。

 

<シンガポールにおける審査請求オプションと審査請求期限>

(i)シンガポールで調査請求を行い、その後審査請求→優先日から36か月(特許法第29条(3)、特許規則43(1))(調査請求は優先日から13か月、特許法第29条(1)(a)、特許規則38(1))

ただし、審査請求期限前1月以内に登録官が出願人に調査報告を送付した場合には、同調査報告を伴った登録官の通知の日から1月を特許法第29条(3)に基づく審査請求期間とする(特許規則43(2))。

(ⅱ)シンガポールで調査と審査を同時に請求→優先日から36か月(特許法第29条(1)(b)、特許規則43(1))

(ⅲ)他国の調査結果に基づきシンガポールで審査→優先日から36か月(特許法第29条(1)(c)、特許規則43(1))

(ⅳ)対応国の審査結果に基づく補充審査*1→優先日から54か月(特許法第29条(1)(d)、特許規則43(3))

 

ここで、審査請求期間の起算日は、優先権主張を伴う場合には優先日、優先権主張を伴わない場合にはシンガポール出願日である(特許規則38(1)、43(1)および(3))。また、分割出願の場合には、優先権主張を伴う場合には優先日、優先権主張を伴わない場合にはその分割出願の出願日である(特許規則43(3)(b))。上記前提の下、日本の読者の便宜のため、ここでは「優先日」を起算日として記載した。優先権主張を伴わない場合には、「出願日」と読み替えてください。

また、延長費用の支払いにより(i)~(ⅳ)全てについて審査請求期限の延長が可能である(特許規則108(4)(a)、同(7))。

期間内に審査の請求がなかったときは、特許出願は放棄されたものとみなす(特許法第29条(12)、(13))。

また、実体審査請求を行うことができるのは、出願人のみである(特許法第29条(1)、(3))。

条文等根拠:特許法第29条(1)(a)~(d)、(3)、(12)、(13)、特許規則38(1)、43(1)~(3)、108(4)、(7)

 

シンガポール特許法 第29条 調査および審査

(1)特許出願(本項において「当該出願」という)に係る出願人は、所定の期間内に、以下の項のうちの1つに従うこと。

(a)調査報告書を求める所定の様式の請求書を提出する。

(b)調査および審査報告を求める所定の様式の請求書を提出する。

(c)出願人が下記に示す最終的な結果を依拠する場合、所定の様式で審査報告を求める所定の書類と請求書を提出する。

(i)対応出願、対応する国際出願または関連する国内段階出願における調査、若しくは

(ii)国際段階の当該出願の調査

(当該出願が第86条(3)に基づいてシンガポールで国内段階に移行した国際出願である場合)

(d)(11A)に従うことを条件として、所定の様式で補充審査報告を求める所定の文書と請求書を提出する。ただし

(i)出願人が以下の最終的な報告に依拠する場合、特許出願がすべての方式要件を満たしている場合は、登録官は、出願人に通知する。

(A)対応する出願、対応する国際出願または関連国内段階出願の実体の調査および審査、若しくは

(B)国際段階における当該出願の実体の調査および審査(当該出願が第86条(3)に基づいて国内段階に移行した国際特許出願(シンガポール)である場合)

(ii)当該出願における各クレームが、少なくとも対応する出願、対応する国際出願または関連する国内段階出願若しくは国際段階における当該出願におけるクレームの1つに関連する。

および

(iii)これらの結果により、当該出願における各クレームが新規性、進歩性(または非自明性)、産業上の利用可能性(または有用性)の要件を満足する。

 

(3)登録官は(2)(b)に基づき調査報告を受領したとき、審査報告を求める所定の様式の請求書を提出する。

 

(略)

 

(12)以下の場合、出願は放棄されたものとして扱われる。

(a)(13)に従うことを条件として、出願人が次の1つを行わなかった場合、

(i)(1)の(b)、(c)もしくは(d)における所定の期間内に従うこと。

(ii)(3)が適用される場合、その項に従うこと。

(b)(10)が適用される場合において、出願人が(10)(b)に規定する所定の期間内に、(1)(d)に基づく補充審査の請求を行わなかった場合、または

(c)(11)が適用される場合において、出願人が(1)(b)に基づく調査および審査報告の請求、または(11)(b)に規定する所定の期間内に(1)(c)に基づく審査報告の請求を行わなかった場合。

 

(13)(a)登録官から(2)(b)に基づき調査報告を受け取った後、出願人が(3)に従いその項に規定する期間内に審査報告を求める請求を行わなかった後、および

(b)改正特許法2017の第3(f)条の開始日前、若しくは開始後3か月以内に、(3)に規定する期間延長の請求を提出する期間が満了する時、

出願人が、その日から6月以内に(3)に基づく審査報告の請求を行わなかった場合、出願は、放棄されたものとして扱われる。

 

シンガポール特許規則38 調査報告請求書の提出に係る期間

(1)第2条(1)(a)に基づく請求提出の所定の期間は、次のとおりとする。

(a)当該出願に宣言された優先日が記載されていない場合は、出願日から13月、または

(b)当該出願に宣言された優先日が記載されている場合は、当該宣言された優先日から13月

 

シンガポール特許規則43 調査および審査報告の請求、審査報告の請求または補充審査報告の請求*1の提出期間

(1)(2)に従うことを条件として、第29条(1)(b)に基づく調査および審査報告の請求または第29条(1)(c)若しくは(3)に基づく審査報告の請求の提出についての所定の期間は、

(a)(b)に従うことを条件として、

(i)出願の宣言された優先日、若しくは

(ii)宣言された優先日が存在しない場合は当該出願の出願日、

から36月、または

(b)第20条(3)、第26条(11)または第47条(4)に基づいて新規出願が行われる場合は、当該新規出願が実際に出願された日から36月とする。

 

(2)(1)(a)または場合により(b)にいう所定の期間の満了前1月以後に、登録官により第29条(2)(b)に基づいて調査報告の写しが出願人に送付される場合は、第29条(3)に基づく審査報告の請求の提出についての所定の期間は、第29条(2)(b)に基づく調査報告の写しを送付する登録官書簡の日付から1月とする。

(3)第2条(1)(d)に基づく補充審査報告の請求の提出についての所定の期間は、次のとおりとする。

(a)(b)に従うことを条件として、

(i)当該出願の宣言された優先日、若しくは

(ii)宣言された優先日が存在しない場合は当該出願の出願日、

から54月、または

(b)第20条(3)、第26条(11)または第47条(4)に基づいて新規出願が行われた場合は、新規出願が実際に出願された日から54月

 

シンガポール特許規則108 期限の延長一般

(4)次の何れかの規則に定める期日または期間については、延長の求められる期日または期間の最初の満了後18月以内に特許様式45の提出があった場合は、延長の求められる期日または期間の最初の満了直後に始まる計18月を超えない期間で延長される。

(a)規則18(1)、規則19(11)、規則26(2)、規則28(f)、規則34(1A)、規則38、規則42(3)、規則43、規則47(1)、規則86(1)、(6)、(8)若しくは(8A)、または

(b)規則26(3)(規則26(4)(a)および(b)に定める書類の提出に関する場合に限る)

 

(7)(a)登録官から第29(2)条(b)に基づく調査報告を受け取った後、審査請求するための規則43(1)もしくは(2)(どちらか適用可能な方)に規定する期間内に、第29条(3)に基づく審査報告の請求を出願人が行わなかった後、および

(b)2017年10月30日より前もしくは3月以内に満了する期間延長の様式45の提出に対する(4)に規定する期間、

その日から6月、様式提出に関する(4)の期間は延長される。

 

◆日本の基礎出願に基づく優先権を主張しシンガポールに出願した場合には、以下のようになる。

 

日本とシンガポールにおける特許審査請求期限の比較

  日本 シンガポール
提出期限 3年 ・シンガポールで審査

(36か月)

・補充審査(54か月)*1

基準日 日本の出願日 優先権を伴う場合には、

シンガポール出願日では

なく、日本の基礎出願日

審査請求できる者 出願人または第三者 出願人のみ

 

*1: 2017年10月30日付けで改正された特許法により、2020年1月1日以降の出願から補充審査は利用できなくなる。(シンガポール特許法第29条(11A)、およびシンガポール特許規則43(4))。

 

日本とマレーシアの特許の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長に関する比較

  1. 日本の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長

1.1 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間

・出願人が在外者でない場合(国内出願人)は、意見書および補正書の提出期間は60日

・出願人が在外者である場合(外国出願人)は、意見書および補正書の提出期間は3か月

 

 条文等根拠:特許法第50条、第17条の2第1項、方式審査便覧04.10

 

日本特許法 第50 拒絶理由の通知

審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあっては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)において、第五十三条第一項の規定による却下の決定をするときは、この限りでない。

 

日本特許法 第17条の2 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正

特許出願人は、特許をすべき旨の査定の謄本の送達前においては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。ただし、第五十条の規定による通知を受けた後は、次に掲げる場合に限り、補正をすることができる。

一 第五十条(第百五十九条第二項(第百七十四条第一項において準用する場合を含む。)及び第百六十三条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による通知(以下この条において「拒絶理由通知」という。)を最初に受けた場合において、第五十条の規定により指定された期間内にするとき。

 

二 拒絶理由通知を受けた後第四十八条の七の規定による通知を受けた場合において、同条の規定により指定された期間内にするとき。

 

三 拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合において、最後に受けた拒絶理由通知に係る第五十条の規定により指定された期間内にするとき。

 

四 拒絶査定不服審判を請求する場合において、その審判の請求と同時にするとき。

 

日本方式審査便覧 04.10

  1. 手続をする者が在外者でない場合

(2)次に掲げる書類等の提出についての指定期間は、特許及び実用新案に関しては60日、意匠(国際意匠登録出願における拒絶の通報に応答する場合を除く。)及び商標(国際商標登録出願における命令による手続補正書を提出する場合及び暫定的拒絶の通報に応答する場合を除く。)に関しては40日とする。ただし、手続をする者又はその代理人が、別表に掲げる地に居住する場合においては、特許及び実用新案に関しては60日を75日と、意匠及び商標に関しては40日を55日とする。

ア.意見書(特50条*1、商15条の2*2、15条の3第1項、商附則7条*3

*1 特50条: 特67条の4、意19条において準用

*2 商15条の2: 商65条の5、68条2項、商標法等の一部を改正する法律(平成8年法律第68号)附則12条において準用

*3 商附則7条: 商附則23条

 

  1. 手続をする者が在外者である場合

(2)次に掲げる書類等の提出についての指定期間は1.(11)*4及び(12)*4を除き、3月とする。ただし、代理人だけでこれらの書類等を作成することができると認める場合には、1.(2)の期間とする。

ア.意見書(1.(2)ア.において同じ。)

*4: 1.(11)は国際意匠登録出願において、(12)は国際商標登録出願においての指定期間。

 

1.2 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間の延長*5

・出願人が在外者でない場合(国内出願人)は、最大2か月まで延長可能

・出願人が在外者である場合(外国出願人)は、最大3か月まで延長可能

 

*5: 平成28(2016)年4月1日から延長請求のための合理的な理由は不要になった。

 

 条文等根拠:特許法第5条第1項、方式審査便覧04.10 1.(17)、方式審査便覧04.10 2. (12)

 

日本特許法 第5 期間の延長等

特許庁長官、審判長又は審査官は、この法律の規定により手続をすべき期間を指定したときは、請求により又は職権で、その期間を延長することができる。

2 審判長は、この法律の規定により期日を指定したときは、請求により又は職権で、その期日を変更することができる。

 

日本方式審査便覧 04.10

  1. 手続をする者が在外者でない場合

(17)次に掲げる特許法及び実用新案法並びに特許登録令、実用新案登録令及び意匠登録令の手続の指定期間については、指定期間内又は指定期間に2月を加えた期間内の請求により、2月延長することができる。

 ただし、指定期間内に延長請求した場合には、指定期間経過後の再度の延長請求を行うことはできない。

 ア.(2)ア.の意見書(特50条の規定によるものに限る。)

   ただし、当初の指定期間内に意見書を提出した場合又は特許法第17条の2第1項又は第3項に基づく補正を行った場合については、指定期間経過後の延長請求を行うことはできない。

 

  1. 手続をする者が在外者である場合

(12)特許法第50条の規定による意見書の提出についての指定期間は、請求により延長することができる。延長する期間は以下のとおりとする。

 ア.指定期間内の延長請求は、1回目の請求により2月延長し、2回目の請求により1月延長することができ、2回の請求により最長3月の期間延長をすることができる。

 イ.指定期間経過後の延長請求は、指定期間に2月を加えた期間内の請求により2月延長することができる。

   ただし、指定期間内に延長請求した場合には、指定期間経過後の再度の延長請求を行うことはできない。

   また、当初の指定期間内に意見書を提出した場合又は特許法第17条の2第1項又は第3項に基づく補正を行った場合については、指定期間経過後の延長請求を行うことはできない。

 

  1. マレーシアの実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間延長

2.1 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間

・応答期間は2か月

 

 条文等根拠:特許法第30条(1)~(3)、特許規則27C(4)、27D(5)、Practice Direction No. 1/2016

 

マレーシア特許法 第30 実体審査および修正実体審査

(1)第29A条(1)に基づいて実体審査の請求が行われたときは、登録官は、その出願を審査官に付託するものとし、審査官は、次に掲げることを行わなければならない。

 (a)その出願が、本法および本法に基づいて制定される規則の要件であって、当該規則により本法適用上の実体要件として指定されているものを遵守しているか否かを決定すること、および

 (b)同官の決定を登録官に報告すること

 

(2)第29A条(2)に基づいて修正実体審査の請求が行われたときは、登録官は、その出願を審査官に付託するものとし、審査官は、次に掲げることを行わなければならない。

 (a)その出願が、本法および本法に基づいて制定される規則の要件であって、当該規則により本法適用上の修正実体要件として指定されたものを遵守しているか否かを決定すること、および

 (b)同官の決定を登録官に報告すること

 

(3)審査官が(1)または(2)に従って、(1)または場合により(2)にいう要件の何れかが遵守されていない旨を報告したときは、登録官は出願人に対し、所定の期間内にその報告書について意見書を提出するためのおよびこれらの要件を遵守するために出願を補正するための機会を与えなければならず、また、出願人がこれらの要件を遵守したことを登録官に認めさせることができないか、またはこれらの要件を遵守するために出願を補正しないときは、登録官はその出願を拒絶することができる。

 

マレーシア特許規則 27C 実体審査*6

(4)特許法第30条(3)が適用される場合、登録官は、審査官の報告書の写しを出願人に送付するものとし、出願人は、かかる報告書の発行日から2か月以内に当該報告書に関して意見を述べもしくは出願を補正し、またはその両方を行わなければならない。

 

マレーシア特許規則 27D 修正実体審査*6

(5)特許法第30条(3)が適用される場合、登録官は、審査官の報告書の写しを出願人に送付するものとし、出願人は、かかる報告書の発行日から2か月以内に当該報告書に関して意見を述べもしくは出願を補正し、またはその両方を行わなければならない。

 

*6: 2016年6月1日(Practice Direction No. 1/2016)より補正書提出の起算日が「the date of mailing」から「the date of substantive/modified substantive examination report」に改正された。

 

2.2 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間の延長

・1回に限り、1か月から最大6か月の期間、拒絶理由通知への応答期間を延長することが可能

 

 条文等根拠:特許法第30条(4)、特許法第82条、Register’s Notice No. 2/2011

 

マレーシア特許法第30 実体審査および修正実体審査

(4)登録官は、(3)にいう所定の期間についての延長を承認することができるが、その延長は一回に限り承認を受けることができ、かつ、その後の延長は、第82条の規定に基づく承認を受けることができない。

 

マレーシア特許法 第82 期間の延長

第27条(1A)、第29A条(8)および第30条(4)に従うことを条件として、本法またはそれに基づいて制定される規則により、ある行為または事柄がなされるべき期間が定められている場合は、裁判所による別段の明示の指示があるときを除き、登録官は、所定の手数料の納付を受け、その期間満了の前または後の何れにおいても、その期間を延長することができる。

 

日本とマレーシアの特許の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長に関する比較

 

日本

マレーシア

応答期間

60日(ただし在外者は3か月)

2か月

応答期間の延長の可否

延長可能期間

2か月(在外者は最長3か月)

最大6か月

日本とマレーシアにおける特許分割出願に関する時期的要件の比較

  1. 日本における特許出願の分割出願に係る時期的要件

・平成19年(2007年)3月31日以前に出願された特許出願であるか、平成19年4月1日以降に出願された特許出願であるかにより、時期的要件が異なる。

・平成19年3月31日以前に出願された特許出願については、下記の(1)の時または期間内であれば分割出願を行うことができる。

・平成19年4月1日以降に出願された特許出願については、下記の(1)~(3)のいずれかの時または期間内であれば分割出願を行うことができる。

 

(1)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内(第44条第1項第1号)

 なお、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について、補正をすることができる時または期間は、次の(i)~(iv)である。

  (i)出願から特許査定の謄本送達前(拒絶理由通知を最初に受けた後を除く)(第17条の2第1項本文)

  (ii)審査官(審判請求後は審判官も含む。)から拒絶理由通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第1号、第3号)

  (iii)拒絶理由通知を受けた後第48条の7の規定による通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第2号)

  (iv)拒絶査定不服審判請求と同時(第17条の2第1項第4号)

 

(2)特許査定(次の(i)および(ii)の特許査定を除く)の謄本送達後30日以内(第44条第1項第2号)

 (i)前置審査において特許査定がされた場合(第163条第3項において準用する第51条)

 (ii)拒絶査定不服審判において拒絶査定が取り消され、審決により審査に差し戻され、特許査定がされた場合(第160条第1項)

 

 なお、拒絶査定不服審判を請求した場合の特許をすべき旨の審決の謄本送達後は分割出願することはできない。加えて、上記特許査定の謄本送達後30日以内であっても、特許権の設定登録後は、分割出願することはできない。また、(2)に規定する30日の期間は、第4条又は第108条第3項の規定により第108条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなされる(第44条第5項)。

 

(3)最初の拒絶査定の謄本送達後3月以内(第44条第1項第3号)

 (3)に規定する3か月の期間は、第4条の規定により第121条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなされる(第44条第6項)。

 

条文等根拠:特許法第44条

 

日本特許法 第44 特許出願の分割

特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。

 

一 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内にするとき。

 

二 特許をすべき旨の査定(第163条第3項において準用する第51条の規定による特許をすべき旨の査定及び第160条第1項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から30日以内にするとき。

 

三 拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があった日から3月以内にするとき。

 

2~4(略)

 

5 第1項第2号に規定する30日の期間は、第4条又は第108条第3項の規定により同条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。

 

6 第1項第3号に規定する3月の期間は、第4条の規定により第121条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。

 

7 第1項に規定する新たな特許出願をする者がその責めに帰することができない理由により同項第2号又は第3号に規定する期間内にその新たな特許出願をすることができないときは、これらの規定にかかわらず、その理由がなくなった日から14日(在外者にあっては、2月)以内でこれらの規定に規定する期間の経過後6月以内にその新たな特許出願をすることができる。

 

  1. マレーシアにおける特許出願の分割出願の時期的要件*1

(a)指令分割(単一性要件違反の指摘を含む審査報告書に対して行う分割出願)の場合、特許規則19A(a)に基づき、当該審査報告書の発行日から3か月以内

 

(b)自発分割(出願人が自発的に行う分割出願)の場合、特許規則19A(b)に基づき、最初の審査報告書の発行日から3か月以内

 

*1: 2016年6月1日発行のPractice Direction No. 2/2016により分割出願期限の起算日が「the date of mailing」から「the date of examination report」に改正された。

 

条文等根拠:特許法第26B条、特許規則19A

 

マレーシア特許法 26B 出願の分割

(1)出願人は、所定の期間内に、その出願を2以上の出願に分割することができる(「分割出願」)。

ただし、個々の分割出願は、原出願における開示を超えてはならない。

 

(2)個々の分割出願は、原出願の優先日を享受するものとする。[法律A648:s.14による挿入、法律A863:s.13による改正]

 

マレーシア特許規則 19A 出願の分割

特許法第26B条(1)の適用上、

(a)ある出願が、特許法第26条の違反を理由に同法第30条(1)または第30条(2)の下になされた審査に関する審査官の報告書中の異論に従い分割される場合、かかる分割の申立は、当該報告書が発行された日から3か月以内になされなければならず、また

 

(b)その他の場合は、出願は、出願人自身の自発的意志により、特許法第30条(1)または第30条(2)に基づき作成された審査官の最初の報告書の発行日から3か月以内に、分割を申し立てることができる。

 

日本とマレーシアにおける特許分割出願に関する時期的要件の比較

 

日本

マレーシア

 

 

分割出願の時期的要件(注)

 

 

補正ができる期間

(指令分割の場合)
審査報告書の発行日から3か月以内

(自発分割の場合)
最初の審査報告書の発行日から3か月以内

(注)査定(特許査定または拒絶査定)前の時期的要件の比較

 

 

日本とベトナムにおける特許出願書類の比較

1.日本における特許出願の出願書類

1-1.出願書類

 所定の様式により作成した以下の書面を提出する。

 ・願書

 ・明細書

 ・特許請求の範囲

 ・必要な図面

 ・要約書

 条文等根拠:特許法第36条

 

日本特許法 第36 特許出願

特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。

一 特許出願人の氏名又は名称及び住所又は居所

二 発明者の氏名及び住所又は居所

 

2 願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない。

 

3 前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 発明の名称

二 図面の簡単な説明

三 発明の詳細な説明

 

4 前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。

一 経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。

二 その発明に関連する文献公知発明(第二十九条第一項第三号に掲げる発明をいう。以下この号において同じ。)のうち、特許を受けようとする者が特許出願の時に知っているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を記載したものであること。

 

5 第二項の特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。この場合において、一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である記載となることを妨げない。

 

6 第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。

一 特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。

二 特許を受けようとする発明が明確であること。

三 請求項ごとの記載が簡潔であること。

四 その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。

 

7 第二項の要約書には、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した発明の概要その他経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。

 

1-2.手続言語

 日本語

 

1-3.手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否

 英語により作成した外国語書面を願書に添付して出願することができる。その特許出願の日から1年2か月以内に外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。

 条文等根拠:特許法第36条の2、特許法施行規則第25条の4

 

日本特許法 第36条の2

特許を受けようとする者は、前条第二項の明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書に代えて、同条第三項から第六項までの規定により明細書又は特許請求の範囲に記載すべきものとされる事項を経済産業省令で定める外国語で記載した書面及び必要な図面でこれに含まれる説明をその外国語で記載したもの(以下「外国語書面」という。)並びに同条第七項の規定により要約書に記載すべきものとされる事項をその外国語で記載した書面(以下「外国語要約書面」という。)を願書に添付することができる。

 

2 前項の規定により外国語書面及び外国語要約書面を願書に添付した特許出願(以下「外国語書面出願」という。)の出願人は、その特許出願の日(第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあっては、同項に規定する先の出願の日、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあっては、最初の出願若しくはパリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下同じ。)第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日、第四十一条第一項、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による二以上の優先権の主張を伴う特許出願にあっては、当該優先権の主張の基礎とした出願の日のうち最先の日。第六十四条第一項において同じ。)から一年四月以内に外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、当該外国語書面出願が第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願である場合にあっては、本文の期間の経過後であっても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から二月以内に限り、外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出することができる。

 

3 特許庁長官は、前項本文に規定する期間(同項ただし書の規定により外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を提出することができるときは、同項ただし書に規定する期間。以下この条において同じ。)内に同項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文の提出がなかつたときは、外国語書面出願の出願人に対し、その旨を通知しなければならない。

 

4 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。

 

5 前項に規定する期間内に外国語書面(図面を除く。)の第二項に規定する翻訳文の提出がなかつたときは、その特許出願は、同項本文に規定する期間の経過の時に取り下げられたものとみなす。

 

6 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、第四項に規定する期間内に当該翻訳文を提出することができなかつたことについて正当な理由があるときは、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。

 

7 第四項又は前項の規定により提出された翻訳文は、第二項本文に規定する期間が満了する時に特許庁長官に提出されたものとみなす。

 

8 第二項に規定する外国語書面の翻訳文は前条第二項の規定により願書に添付して提出した明細書、特許請求の範囲及び図面と、第二項に規定する外国語要約書面の翻訳文は同条第二項の規定により願書に添付して提出した要約書とみなす。

 

日本特許法施行規則 第25条の4 外国語書面出願の言語

特許法第三十六条の二第一項の経済産業省令で定める外国語は、英語とする。

 

1-4.優先権主張手続

 優先権主張の基礎となる出願の出願国と出願日を記載した書類を出願と同時に提出し、最先の優先権主張日から1年4か月以内に特許庁長官に提出しなければならない。

 ただし、日本国特許庁と一部の外国特許庁、機関との間では、優先権書類の電子的交換を実施しており、出願人が所定の手続を行うことで、パリ条約による優先権主張をした者が行う必要がある書面(紙)による優先権書類の提出を省略することが可能となっている。

 条文等根拠:特許法第43条

 

日本特許法 第43 パリ条約による優先権主張の手続

パリ条約第四条D(1)の規定により特許出願について優先権を主張しようとする者は、その旨並びに最初に出願をし若しくは同条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし又は同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の国名及び出願の年月日を記載した書面を経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出しなければならない。

 

2 前項の規定による優先権の主張をした者は、最初に出願をし、若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし、若しくは同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の認証がある出願の年月日を記載した書面、その出願の際の書類で明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲及び図面に相当するものの謄本又はこれらと同様な内容を有する公報若しくは証明書であってその同盟国の政府が発行したものを次の各号に掲げる日のうち最先の日から一年四月以内に特許庁長官に提出しなければならない。

 

一 当該最初の出願若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により当該最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により当該最初の出願と認められた出願の日

 

二 その特許出願が第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日

 

三 その特許出願が前項、次条第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による他の優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日

 

3 第一項の規定による優先権の主張をした者は、最初の出願若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の番号を記載した書面を前項に規定する書類とともに特許庁長官に提出しなければならない。ただし、同項に規定する書類の提出前にその番号を知ることができないときは、当該書面に代えてその理由を記載した書面を提出し、かつ、その番号を知つたときは、遅滞なく、その番号を記載した書面を提出しなければならない。

 

4 第一項の規定による優先権の主張をした者が第二項に規定する期間内に同項に規定する書類を提出しないときは、当該優先権の主張は、その効力を失う。

 

5 第二項に規定する書類に記載されている事項を電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)によりパリ条約の同盟国の政府又は工業所有権に関する国際機関との間で交換することができる場合として経済産業省令で定める場合において、第一項の規定による優先権の主張をした者が、第二項に規定する期間内に、出願の番号その他の当該事項を交換するために必要な事項として経済産業省令で定める事項を記載した書面を特許庁長官に提出したときは、前二項の規定の適用については、第二項に規定する書類を提出したものとみなす。

 

6 特許庁長官は、第二項に規定する期間内に同項に規定する書類又は前項に規定する書面の提出がなかつたときは、第一項の規定による優先権の主張をした者に対し、その旨を通知しなければならない。

 

7 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を特許庁長官に提出することができる。

 

8 第六項の規定による通知を受けた者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内に第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を提出することができないときは、前項の規定にかかわらず、経済産業省令で定める期間内に、その書類又は書面を特許庁長官に提出することができる。

 

9 第七項又は前項の規定により第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面の提出があつたときは、第四項の規定は、適用しない。

 

<参考URL>

特許庁:優先権書類の提出省略について(優先権書類データの特許庁間における電子的交換について)

https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/yusen/das/index.html

 

1-5.明細書の様式

 特許法施行規則様式第29に明細書の作成様式を示している。

 【発明の名称】

 【技術分野】

 【背景技術】

 【先行技術文献】

 【発明の概要】

  【課題を解決するための手段】

  【発明の効果】

 【図面の簡単な説明】

 【発明を実施するための形態】

  【実施例】

 【産業上の利用可能性】

 【符号の説明】

 

 条文等根拠:特許法第36条、特許法施行規則様式第29

 

2.ベトナムにおける特許出願の出願書類(パリルート)

2-1.出願書類

 知的財産法にて規定された以下の書面を提出する。

 ・願書

 ・保護を求める発明を特定する書類

(発明の説明書(日本における明細書)および要約書を含み、発明の説明書には必要な図面および特許請求の範囲が含まれる)

 ・委任状

 条文等根拠:知的財産法第100条

 

ベトナム知的財産法 第100 工業所有権登録出願に係る一般的要件

(1)工業所有権登録出願は、次の書類から構成される。

 (a)所定の様式による願書

 (b)第102条から第106条までの規定に従い保護を求めてクレームされた工業所有権を特定する書類、見本、情報

 (c)出願が代理人を通じて行われるときは、委任状

 (d)出願人が登録を受ける権利を他人から取得したときは、その権利を証明する書類

 (dd)優先権を主張するときは、それを証明する書類

 (e)所定の手数料および料金の領収書

 

(2)工業所有権登録出願書類および出願人と国家工業所有権庁との間の通信書類は、ベトナム語により作成しなければならない。ただし、次のものは例外として、他の言語により作成することができるが、国家工業所有権庁の請求があればベトナム語に翻訳しなければならない。

 (a)委任状

 (b)登録を受ける権利を証明する書類

 (c)優先権を証明する書類

 (d)当該出願を支持する他の書類

 

(3)工業所有権登録出願の優先権を証明する書類には、次のものを含める。

 (a)受理官庁により認証された最初の出願書類の写し

 (b)他人から取得したときは、優先権の譲渡証書

 

ベトナム知的財産法第102 発明登録出願に係る要件

(1)発明登録出願において保護を求める発明を特定する書類は、発明の説明および保護の範囲から構成される発明の説明書並びに要約を含まなければならない。

 

(2)発明の説明は、次の条件を満たさなければならない。

 (a)発明の内容について当該発明が当該技術の通常の知識を有する者により実施できる程度に開示すること

 (b)発明の内容を更に明らかにするために図面が必要であるときは、当該図面を簡単に説明すること

 (c)発明の新規性、進歩性および産業上の利用可能性を明らかにすること

 

(3)発明の保護の範囲は、その発明に対する権利の範囲を特定するのに必要かつ十分な技術的特徴の組合せの形態で表現するものとし、発明の説明書および図面に合致していなければならない。

 

(4)発明の要約は、発明の内容の本質的特徴を開示しなければならない。

 

2-2.手続言語

 ベトナム語

 条文等根拠:知的財産法第100条(2)(上記)

 

2-3.手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否

 不可

 

2-4.優先権主張手続

 優先権主張を出願と同時に行う必要がある。出願と同時もしくは出願から3か月以内に優先権証明書を提出しなければならない。また、優先権証明書の表紙(certification)部分のベトナム語訳の提出が必要である。

 条文等根拠:知的財産法第100条(1)(dd)(上記)、知的財産法第91条

 

ベトナム知的財産法 第91 優先権の原則

(1)発明、工業意匠、または標章の登録出願人は、次の条件が完全に満たされるときは、同一主題の保護に係る最初の出願に基づいて優先権を主張することができる。

 (a)最初の出願がベトナムにおいて、または優先権に関する規定を有し、ベトナム社会主義共和国が締約国である国際条約の締約国において、または当該規定の適用をベトナムと同意した国において行われたこと

 (b)出願人が、ベトナムもしくは(a)にいう国の国民であるか、またはベトナムもしくは(a)にいう国における居住者であるかまたはそこに取引もしくは生産の事業所を有すること

 (c)優先権の主張が出願書類に明確に記載されており、かつ、最初の出願書類の写しがその受理官庁により証明されていること

 (d)ベトナムが締約国である国際条約に規定する期限内に出願が行われたこと

 

(2)単一の発明、工業意匠、または標章の出願において、出願人は、異なる先の出願に基づく複合優先権を主張することができる。ただし、当該先の出願および当該出願の対応する内容が表示されていることを条件とする。

 

(3)優先権を享受する工業所有権登録出願は、最初の出願日と同一の優先日を有するものとする。

 

2-5.明細書の様式

 明細書には以下の順で構成されなければならない。

  (i)発明の名称

  (ii)発明技術分野

  (iii)発明の先行技術

  (iv)発明の目的*1

  (v)発明の技術的本質

  (vi)添付の図面の簡単な説明(もしあれば)

  (vii)発明実施方法の詳細な明細書

  (viii)発明の実施例(もしあれば)*1

  (ix)期待される利点(効果)(もしあれば/発明の技術的本質に記載があれば)*1

 

 条文等根拠:産業財産権に関する省令第01/2007/TT-BKHCN号、第16/2016/TT-BKHCN号

*1: 2018年1月15日施行の産業財産権に関する省令第16/2016/TT-BKHCN号により変更された。

 

日本とベトナムにおける特許出願書類の比較

 

日本

ベトナム

手続言語

日本語

ベトナム語

手続言語以外の明細書での出願日確保の可否

可(英語)

その特許出願の日から1年2か月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出しなければならない。

不可

(留意点)

優先期間内にベトナム語で出願書類を作成し、出願を行わなければならない。

優先権主張手続

優先権主張の基礎となる出願の出願国と出願日を出願と同時に提出し、最先の優先権主張日から1年4か月以内に特許庁長官に提出しなければならない。

優先権主張を出願と同時に行う。出願と同時もしくは出願から3か月以内に優先権証明書提出を提出しなければならない。優先権証明書の表紙(certification)部分のベトナム語訳の提出が必要である。

日本とベトナムにおける特許審査請求期限の比較

1.日本における審査請求期限

日本においては、審査を受けるためには出願審査請求を行う必要がある。出願審査請求は出願の日から3年以内に行うことができ、この期限内に出願審査請求がされない場合は、その特許出願は取り下げられたものとみなされる。

 

出願が国内優先権の主張を伴う場合や、パリ条約による優先権の主張を伴う場合においても、請求期間の起算日は実際に特許出願がされた日である。

 

PCTルートの場合は、国内書面を提出し、手数料の納付を行った後(外国語特許出願である場合はさらに翻訳文を提出した後)でないと、出願審査請求をすることができない(特許法第184条の17)。

 

なお、審査請求は出願人だけでなく、第三者も行うことができる。(特許法第48条の3第1項)。

 

条文等根拠:特許法第48条の2、第48条の3第4項、第184条の17

 

日本特許法 第48条の2 特許出願の審査

特許出願の審査は、その特許出願についての出願審査の請求をまって行なう。

 

日本特許法 第48条の3 出願審査の請求

特許出願があったときは、何人も、その日から三年以内に、特許庁長官にその特許出願について出願審査の請求をすることができる。

 

2 第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願については、前項の期間の経過後であっても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から三十日以内に限り、出願審査の請求をすることができる。

 

3 出願審査の請求は、取り下げることができない。

 

4 第一項の規定により出願審査の請求をすることができる期間内に出願審査の請求がなかったときは、この特許出願は、取り下げたものとみなす。

 

5 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、第一項に規定する期間内にその特許出願について出願審査の請求をすることができなかったことについて正当な理由があるときは、経済産業省令で定める期間内に限り、出願審査の請求をすることができる。

 

6 前項の規定によりされた出願審査の請求は、第一項に規定する期間が満了する時に特許庁長官にされたものとみなす。

 

7 前三項の規定は、第二項に規定する期間内に出願審査の請求がなかった場合に準用する。

 

8 第五項(前項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定により特許出願について出願審査の請求をした場合において、その特許出願について特許権の設定の登録があったときは、その特許出願が第四項(前項において準用する場合を含む。)の規定により取り下げられたものとみなされた旨が掲載された特許公報の発行後その特許出願について第五項の規定による出願審査の請求があった旨が掲載された特許公報の発行前に善意に日本国内において当該発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許権について通常実施権を有する。

 

日本特許法 第184条の17 出願審査の請求の時期の制限

国際特許出願の出願人は、日本語特許出願にあっては第百八十四条の五第一項、外国語特許出願にあっては第百八十四条の四第一項又は第四項及び第百八十四条の五第一項の規定による手続をし、かつ、第百九十五条第二項の規定により納付すべき手数料を納付した後、国際特許出願の出願人以外の者は、国内書面提出期間(第百八十四条の四第一項ただし書の外国語特許出願にあっては、翻訳文提出特例期間)の経過後でなければ、国際特許出願についての出願審査の請求をすることができない。

 

2.ベトナムにおける審査請求

ベトナムにおいては、実体審査を受けるためには実体審査請求を行う必要がある。実体審査請求は、出願日または該当する場合は優先日から42か月以内に行うことができる。実体審査請求がされない場合は、その特許出願は取り下げられたものとみなされる。

なお、ベトナムにおいては何人も実体審査請求を行うことができる。

 

条文等根拠:知的財産法第113条第1項および第3項、産業財産権に関する省令第01/2007/TT-BKHCN号第25条1.a (ii)

 

ベトナム知的財産法 第113 発明登録出願の実体審査請求 第1項

(1)出願日または該当する場合は優先日から42か月以内に、出願人または如何なる第三者も、国家工業所有権庁に対して、実体審査手数料を納付することを条件として、当該出願の実体審査を請求することができる。

 

ベトナム知的財産法 第113 発明登録出願の実体審査請求

第3項

本条1項および2項に規定する期限内に実体審査が請求されなかった場合は、当該特許出願は、当該期限の満了時に取り下げられたものとみなす。

 

ベトナム産業財産権に関する省令第01/2007/TT-BKHCN号 第25条1.a (ii)

実体審査請求は、特許出願については優先日から42か月、実用新案出願については36か月以内に提出しなければならない。実体審査期限は、不可抗力事象(自然災害、戦争等)や客観的障害(病気、出張など)が存在する場合*1には延長することができるが、6か月を超えてはならない。

*1: 2018年1月15日施行の産業財産権に関する省令第16/2016/TT-BKHCN号により変更された。

 

◆日本の基礎出願について優先権を主張しベトナムに出願した場合には、以下のようになる。

日本とベトナムにおける特許審査請求期限の比較

  日本 ベトナム
提出期限 3年 42か月
基準日 日本の出願日 日本の基礎出願日(優先日)

日本と台湾における意匠権の権利期間および維持に関する比較

1.日本における意匠権の権利期間

日本における意匠権の権利期間は、設定登録日から最長25年をもって終了する。(意匠法第21条)ただし、平成19年3月31日までに出願された意匠権は、設定登録日から15年間である。また、平成19年4月1日から令和2年3月31日までに出願された意匠権は、設定登録の日から最長20年です。

なお、関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から25年間である。本意匠および関連意匠の双方が、平成19年3月31日以前の出願の場合は、関連意匠の意匠権の存続期間は、その本意匠の意匠権の設定登録日から15年間である。

本意匠が平成19年3月31日以前の出願で、関連意匠が平成19年4月1日以降から令和2年3月31日までの出願の場合、関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から20年間である。

権利維持を希望する場合は、登録日を年金納付起算日として2年次から毎年、年金を支払う必要がある。

条文等根拠:意匠法第21条

日本意匠法第21 存続期間

意匠権(関連意匠の意匠権を除く。)の存続期間は、意匠登録出願の日から25年をもって終了する。

2 関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から25年をもって終了する。

2.台湾における意匠権の権利期間

台湾における意匠権の権利期間は、出願日から最長15年をもって終了する。関連意匠権の権利期間は、基本意匠権の権利期間終了と同時に終了する(専利法第135条)。

なお、権利維持を希望する場合には、公告日を年金納付起算日として2年次から毎年、年金を支払う必要がある。

条文等根拠:専利法(日本における特許法、意匠法、実用新案法に相当。以下「専利法」。)第135条

専利法 第135

意匠権の存続期間は、出願日から起算して15年をもって満了とする。関連意匠権の存続期間は、基本意匠権の存続期間と同時に満了するものとする。

日本と台湾における意匠権の権利期間および維持に関する比較

日本 台湾
権利期間 登録日から25年 出願日から15年
権利維持 年金起算日:登録日
年金支払い:2年次から毎年
年金起算日:公告日
年金支払い:2年次から毎年

日本とマレーシアにおける特許審査請求期限の比較

  1. 日本における審査請求期限

日本においては、審査を受けるためには出願審査請求を行う必要がある(特許法第48条の2)。出願審査請求は出願の日から3年以内に行うことができ、この期限内に出願審査請求がされない場合は、その特許出願は取り下げられたものとみなされる(特許法第48条の3第4項)。なお、特許出願が取り下げられたものとみなされた場合でも、出願審査の請求をすることができなかったことについて正当な理由があるときは、経済産業省令で定める期間内に限り、出願審査の請求をすることができる(特許法第48条の3第5項、特許法施行規則第31条の2第6項)。

出願が国内優先権の主張を伴う場合や、パリ条約による優先権の主張を伴う場合においても、請求期間の起算日は実際に特許出願がされた日である。

PCTルートの場合は、国内書面を提出し、手数料の納付を行った後(外国語特許出願である場合はさらに翻訳文を提出した後)でないと、出願審査請求をすることができない(特許法第184条の17)。

なお、審査請求は出願人だけでなく、第三者も行うことができる。(特許法第48条の3第1項)。

条文等根拠:特許法第48条の2、第48条の3第1項、第4項および第5項、特許法施行規則第31条の2第6項、第184条の17

 

日本特許法 第48条の2 特許出願の審査

特許出願の審査は、その特許出願についての出願審査の請求をまって行なう。

日本特許法 第48条の3 出願審査の請求

特許出願があったときは、何人も、その日から三年以内に、特許庁長官にその特許出願について出願審査の請求をすることができる。

2 第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願については、前項の期間の経過後であっても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から三十日以内に限り、出願審査の請求をすることができる。

3 出願審査の請求は、取り下げることができない。

4 第一項の規定により出願審査の請求をすることができる期間内に出願審査の請求がなかったときは、この特許出願は、取り下げたものとみなす。

5 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、第一項に規定する期間内にその特許出願について出願審査の請求をすることができなかったことについて正当な理由があるときは、経済産業省令で定める期間内に限り、出願審査の請求をすることができる。

6 前項の規定によりされた出願審査の請求は、第一項に規定する期間が満了する時に特許庁長官にされたものとみなす。

7 前三項の規定は、第二項に規定する期間内に出願審査の請求がなかった場合に準用する。

8 第五項(前項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定により特許出願について出願審査の請求をした場合において、その特許出願について特許権の設定の登録があったときは、その特許出願が第四項(前項において準用する場合を含む。)の規定により取り下げられたものとみなされた旨が掲載された特許公報の発行後その特許出願について第五項の規定による出願審査の請求があった旨が掲載された特許公報の発行前に善意に日本国内において当該発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許権について通常実施権を有する。

 

日本特許法施行規則 第31条の2 出願審査請求書の様式等

6 特許法第四十八条の三第五項(同条第七項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の経済産業省令で定める期間は、同条第五項に規定する正当な理由がなくなった日から二月とする。ただし、当該期間の末日が同条第一項に規定する期間(同条第七項において準用する場合にあっては、第二項に規定する期間)の経過後一年を超えるときは、同項に規定する期間の経過後一年とする。

日本特許法 第184条の17 出願審査の請求の時期の制限

国際特許出願の出願人は、日本語特許出願にあっては第百八十四条の五第一項、外国語特許出願にあっては第百八十四条の四第一項又は第四項及び第百八十四条の五第一項の規定による手続をし、かつ、第百九十五条第二項の規定により納付すべき手数料を納付した後、国際特許出願の出願人以外の者は、国内書面提出期間(第百八十四条の四第一項ただし書の外国語特許出願にあっては、翻訳文提出特例期間)の経過後でなければ、国際特許出願についての出願審査の請求をすることができない。

  1. マレーシアにおける審査請求

マレーシアにおいては、実体審査を受けるためには実体審査請求または修正審査請求を行う必要がある(特許法第29A条)。

実体審査請求および修正審査請求は、マレーシア出願の日から18か月以内に行うことができる(特許規則27(1))。ただし、PCTルートの場合は、国際出願日から4年である(特許規則27(1A))。また、修正審査請求については出願日から5年まで延長が認められる(特許規則27B)。

なお、マレーシアにおいては出願人のみが実体審査請求を行うことができる。

条文等根拠:特許法第29A条、特許規則27、特許規則27A、特許規則27B

マレーシア特許法 第29A 実体審査または修正実体審査の請求

(1)特許出願が第29条に基づく審査を受けており、かつ、取下または拒絶がされていないときは、出願人は、所定の期間内に、その出願について実体審査の請求をしなければならない。

(2)特許出願においてクレームされている発明と同一または基本的に同一の発明に関し、特許または工業所有権の保護に関するその他の権利が、マレーシア以外の所定の国においてまたは所定の条約に基づいて、その出願人または前権利者に付与されているときは、出願人は、実体審査を請求する代わりに修正実体審査を請求することができる。

(4)登録官は出願人に対し、実体審査請求書を提出するときに次に掲げるものを提出するよう要求することができる。

(a)マレーシア以外において当該出願人またはその前権利者により、国内、地域または国際の工業所有権官庁宛に提出された、特許もしくは工業所有権保護に関するその他の権利を求める出願に関する所定の情報または所定の関係書類

(b)実体審査の請求対象とされている出願においてクレームされている発明と同一または基本的に同一の発明に関し、特許協力条約に基づく国際調査機関により行われた調査または審査の結果に関する所定の情報

(5)出願人が所定の期間内に、

(a)(1)に基づく実体審査請求書もしくは(2)に基づく修正実体審査請求書の何れかを提出しなかったか、または

(b)(4)にいう情報または書類であって、登録官が要求したものを提供しなかった場合、その特許出願は、(6)に従うことを条件として、前記期間の終了時に取り下げられたものとみなす。

(6)(5)に拘らず、登録官は、出願人の申請に基づき、(1)または(2)にいう審査請求書の提出についての延期または(4)にいう情報もしくは書類の提供についての延期を承認することができるが、当該延期は、次に掲げる事由がある場合に限り承認を受けることができる。すなわち、(1)または(2)に基づく請求を行うための所定期間の満了までに、

(a)(2)にいう特許または権利が未だ付与されていないかもしくは取得可能な状態でないこと、または(b)(4)にいう情報もしくは書類が入手できていないこと。

(7)(6)に基づく延期は、当該延期請求書が(1)または(2)に基づく請求をするための所定期間の満了までに提出されなかったときは承認されないものとし、かつ、本法に基づいて制定される規則に定められている期間よりも長い期間については、延期は、求めることも、また、承認を受けることもできない。

(8)延期を承認する登録官の権限は阻害しないものとするが、本条の適用上の所定の期間は、第82条の規定に基づく延長を受けることができない。

 

マレーシア特許規則27 実体審査請求

(1)実体審査の請求は、出願日から18か月以内に、所定の手数料を納付し様式5を提出することにより登録官に対してなされなければならない。

(1A)(1)にかかわらず、 国内移行された国際出願の実体審査の請求は、国際出願提出日から4 年以内に、所定の手数料を納付し特許様式5を提出することにより登録官に対してなされなければならない。

(2)規則19Aに基づき出願の分割がなされる場合、更なる実体審査を求める請求は、出願の分割を申し立てるときになされなければならない。

 

マレーシア特許規則27A 修正実体審査請求

(1)修正実体審査請求は、出願日から18月以内に、所定の手数料を納付し様式5Aを提出することにより登録官に対してなされなければならない。

(1A)(1)にかかわらず、国内移行された国際出願の修正実体審査の請求は、国際出願提出日から4年以内に、所定の手数料を納付し特許様式5Aを提出することにより登録官に対してなされなければならない。

(2)規則19Aに基づき出願の分割がなされる場合、更なる修正実体審査を求める請求は、出願の分割を申し立てるときになされなければならない。

マレーシア特許規則27B 実体審査および修正実体審査の請求の猶予

(1)規則27 に定める実体審査もしくは規則27Aに定める修正実体審査の請求の猶予の申立、および規則27(3)に基づき要求される情報もしくは書類の提供の猶予の申立は、それぞれ、様式5Bの書面により登録官に対してなされるものとする。

(2)特許法第29A条(7)の適用上、許容される最大猶予期間は、次のとおりとする。

(a)規則27B(3)に定めに従い、27または27Aに基づく請求の申立てに関しては、出願日から5年間

(b)規則27(3)に基づき要求される情報もしくは書類の添付に関しては、出願日から5年間

(3)(2)(a)の所定の期間内に修正実体審査の請求の申立てができない場合、当該出願はかかる所定の期間満了から3か月以内に実体審査請求の申立てをすることができる。

Practice Direction No.1~3 of 2016

(1)特許出願の補正は、実体審査・修正実体審査の審査報告書発行日から2か月以内に行わなければならない。

(2)マレーシア特許規則第19A条に基づく特許出願の分割請求は、実体審査・修正実体審査の審査報告書の発行日から3か月以内に行わなければならない。

(3)特許出願の補正等により、クレームが追加された場合には、追加されたクレームに関する審査手数料が全額納付されない限り、特許法28条に基づく出願日として記録されない。

◆日本の基礎出願について優先権を主張しマレーシアに出願した場合には、以下のようになる。

日本とマレーシアにおける特許審査請求期限の比較

日本 マレーシア
提出期限 3年 18か月
基準日 日本出願の日 マレーシア出願の日

日本と台湾における特許分割出願に関する時期的要件の比較

1.日本における特許出願の分割出願に係る時期的要件

 平成19年3月31日以前に出願された特許出願であるか、平成19年4月1日以降に出願された特許出願であるかによって、時期的要件が異なる。

 平成19年3月31日以前に出願された特許出願については、下記の(1)の時または期間内であれば分割出願することができる。

 平成19年4月1日以降に出願された特許出願については、下記の(1)~(3)のいずれかの時または期間内であれば分割出願することができる。

 

(1)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内(第44条第1項第1号)

なお、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について、補正をすることができる時または期間は、次の(i)~(iv)である。

 (i)出願から特許査定の謄本送達前(拒絶理由通知を最初に受けた後を除く)(第17条の2第1項本文)

 (ii)審査官(審判請求後は審判官も含む。)から拒絶理由通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第1号、第3号)

 (iii)拒絶理由通知を受けた後第48条の7の規定による通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第2号)

 (iv)拒絶査定不服審判請求と同時(第17条の2第1項第4号)

 

(2)特許査定(次の(i)および(ii)の特許査定を除く)の謄本送達後30日以内(第44条第1項第2号)

 (i)前置審査における特許査定(第163条第3項において準用する第51条)

 (ii)審決により、さらに審査に付された場合(第160条第1項)における特許査定

 なお、特許「審決」後は分割出願することはできない。また、上記特許査定の謄本送達後30日以内であっても、特許権の設定登録後は、分割出願することはできない。また、(2)に規定する30日の期間は、第4条又は第108条第3項の規定により第108条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなされる(第44条第5項)。

 

(3)最初の拒絶査定の謄本送達後3月以内(第44条第1項第3号)

 (3)に規定する3か月の期間は、第4条の規定により第121条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなされる(第44条第6項)。

条文等根拠:特許法第44条

 

日本特許法 第44 特許出願の分割

特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。

一 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内にするとき。

 

二 特許をすべき旨の査定(第163条第3項において準用する第51条の規定による特許をすべき旨の査定及び第160条第1項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から30日以内にするとき。

 

三 拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から3月以内にするとき。

2~4(略)

 

5 第1項第2号に規定する30日の期間は、第4条又は第108条第3項の規定により同条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。

 

6 第1項第3号に規定する3月の期間は、第4条の規定により第121条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。

 

7 第1項に規定する新たな特許出願をする者がその責めに帰することができない理由により同項第2号又は第3号に規定する期間内にその新たな特許出願をすることができないときは、これらの規定にかかわらず、その理由がなくなった日から14日(在外者にあっては、2月)以内でこれらの規定に規定する期間の経過後六月以内にその新たな特許出願をすることができる。

 

2.台湾における特許出願の分割出願の時期的要件

・原出願の再審査の査定前に分割出願が可能

・原出願の特許査定書の送達日から3か月以内*1に分割出願可能

 

条文等根拠:専利法(日本における特許法、意匠法、実用新案法に相当。以下「専利法」。)第34条、第157条の3

 

台湾専利法 第34

特許を出願した発明が、実質上2以上の発明である場合、特許主務官庁の通知または出願人の請求により、出願を分割することができる。

 

分割出願は次の各号に掲げる期間内にこれを行わなければならない。

原出願の再審査の査定前

原出願の特許査定書の送達日から起算して3か月以内*1

 

分割後の出願は、原出願の出願日を出願日とする。優先権がある場合は、優先権を主張することができる。

 

分割後の出願は、原出願の出願時の明細書、特許請求の範囲または図面に開示された範囲を超えてはならない。

 

第2項第1号規定により分割を行った後の出願は、原出願で既に完了した手続から審査を続行しなければならない。

 

第2項第2号規定により分割を行った後の出願は、原出願が査定される前の審査手続きを続行するものとする。原出願は、査定時の特許請求の範囲および図面をもってこれを公告するものとする。

 

台湾専利法 第157条の3*2

本法中華民国108年(西暦2019年)4月16日改正法の施行前に、すでに査定又は処分された専利出願について、第34条第2項第2号、第107条第2項第2号に規定された期間を越えていない場合、改正施行後の規定を適用する。

 

*1: 2019年11月1日施行予定の改正専利法により特許査定後の分割出願の可能な期間が30日から3か月になることが公表されている。第157条の3に基づき2019年8月1日の登録査定から遡及適用される。

 

*2: 2019年11月1日施行予定の改正専利法に新設された。

 

日本と台湾における特許分割出願に関する時期的要件の比較

 

日本

台湾

分割出願の時期的要件(注)

補正ができる期間

出願係属中
原出願が初審査、または再審査係属中に可

(注)査定(特許査定または拒絶査定)前の時期的要件の比較

日本とインドネシアにおける特許分割出願に関する時期的要件の比較

1. 日本における特許出願の分割出願に係る時期的要件

 

 日本における特許出願の分割出願に係る時期的要件については、①平成19年3月31日以前の出願、②平成19年4月1日以降の出願、の2つの出願時期によって異なる。

 ①平成19年3月31日以前に出願された特許出願については、下記、特許分割出願の時期的要件(1)の時または期間内であれば分割出願することができる。

 ②平成19年4月1日以降に出願された特許出願については、下記、特許分割出願の時期的要件(1)~(3)のいずれかの時または期間内であれば分割出願することができる。なお、平成27年4月1日以降に出願された特許出願については、特許分割出願の時期的要件(2)または(3)の期間内に不責事由により分割出願できないときは、下記(4)の延長期間内に分割出願することができる。

 

<特許分割出願の時期的要件>

(1)願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について補正をすることができる時または期間内(特許法第44条第1項第1号)

 なお、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について、補正をすることができる時または期間は、次の(i)~(iv)である。

 (i)出願から特許査定の謄本送達前(拒絶理由通知を最初に受けた後を除く)(特許法第17条の2第1項本文)

 (ii)審査官(審判請求後は審判官も含む。)から拒絶理由通知を受けた場合の、指定応答期間内(特許法第17条の2第1項第1号、第3号)

 (iii)拒絶理由通知を受けた後第48条の7の規定による通知を受けた場合の、指定応答期間内(特許法第17条の2第1項第2号)

 (iv)拒絶査定不服審判請求と同時(特許法第17条の2第1項第4号)

 

(2)特許査定(次の(i)および(ii)の特許査定を除く)の謄本送達後30日以内(特許法第44条第1項第2号)

 (i)前置審査における特許査定(特許法第163条第3項において準用する第51条)

 (ii)審決により、さらに審査に付された場合(特許法第160条第1項)における特許査定

 なお、特許「審決」後は分割出願することはできない。また、上記特許査定の謄本送達後30日以内であっても、特許権の設定登録後は、分割出願することはできない。また、(2)に規定する30日の期間は、第4条または第108条第3項の規定により第108条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなされる(特許法第44条第5項)。

 

(3)最初の拒絶査定の謄本送達後3月以内(特許法第44条第1項第3号)

 (3)に規定する3か月の期間は、第4条の規定により第121条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなされる(特許法第44条第6項)。

 

(4)その不責事由がなくなった日から14日(在外者にあっては2月)以内で、(2)または(3)の期間の経過後6月以内(特許法第44条第7項)

 

 条文等根拠:特許法第44条

 

日本特許法 第44条 特許出願の分割

特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一または二以上の新たな特許出願とすることができる。

 一 願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について補正をすることができる時または期間内にするとき。

 二 特許をすべき旨の査定(第163条第3項において準用する第51条の規定による特許をすべき旨の査定および第160条第1項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があった日から30日以内にするとき。

 三 拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から3月以内にするとき。

2~4(略)

5 第1項第2号に規定する30日の期間は、第4条または第108条第3項の規定により同条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。

6 第1項第3号に規定する3月の期間は、第4条の規定により第121条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。

7 第1項に規定する新たな特許出願をする者がその責めに帰することができない理由により同項第2号又は第3号に規定する期間内にその新たな特許出願をすることができないときは、これらの規定にかかわらず、その理由がなくなった日から14日(在外者にあっては、2月)以内でこれらの規定に規定する期間の経過後6月以内にその新たな特許出願をすることができる。

 

2. インドネシアにおける特許出願の分割出願の時期的要件

 

 インドネシアにおいては、出願から(特許または拒絶)査定が発行されるまでは、いつでも分割出願を行うことができる。

※指令書(拒絶理由通知書)発行後であってもその応答期間に関わらず、(特許または拒絶)査定が発行されるまでは、いつでも分割出願を行うことができる。

 

 条文等根拠:特許法第38条(1)(2)、第58条(1)(2)、第62条(1)(3)(9)、特許規則第7条、第8条(1)(2)

 

インドネシア特許法 第38条

(1)特許出願は、出願人の自発および/または大臣の提案により補正または分割することができる。

(2)(1)項における補正または分割は、特許付与の決定が与えられる前に行うことができる。

 

インドネシア特許法 第58条

(1)実体審査の結果に基づき、特許を申請された発明が第54条の規定を満たす場合、大臣は出願を認容する。

(2)出願が認容された場合、大臣は出願人または代理人に当該出願が特許を付与される旨書面をもって通知する。

 

インドネシア特許法 第62条

(1)審査官が特許出願された発明が第54条の規定を満たさないと報告した場合、大臣は出願人またはその代理人に対して書面により当該規定の要件を満たすよう通知する。

(2)(1)項における通知は以下を含む:

(a)充足されるべき要件;及び

(b)実体審査において用いられる理由と引用文献

(3)出願人は、通知書の日から3か月以内に意見書を提出しおよび/または通知書に記載される要件を満たさなければならない。

(4)~(8)(略)

(9)(3)項、(4)項、(5)項および/または(8)項にいう期間内に出願人が意見を表すも通知書に記載される規定の要件を満たさない場合、大臣は、書面で出願人に対し2か月以内に出願は拒絶される旨通知する。

 

インドネシア特許規則 第7条

1特許出願は,1発明に対してのみすることができるという規定を遵守して,(次のように出願を分割することができる。)

(a)既になされた特許出願は,当該特許出願が 2 以上の発明を包含することが判明した場合は,2以上の出願に分割することができる。

(b)(a)にいう分割により生じた各特許出願は,別個の出願としてすることができ,当該特許出願に対しては,当初の特許出願の受理の日と同一の特許出願の受理の日を付与することができる。

 

インドネシア特許規則 第8条

(1)第7条にいう特許出願の分割は、特許局に対して書面でなされるものとする。

(2)(1)にいう特許出願の分割出願は、当該特許出願に対して実体審査が行われて既に終了している場合は、拒絶される。

 

日本とインドネシアにおける特許分割出願に関する時期的要件の比較

 

日本

インドネシア

分割出願の

時期的要件

1.補正ができる時または期間

(i)出願から特許査定の謄本送達前(拒絶理由通知を最初に受けた後を除く)

(ii)審査官から拒絶理由通知を受けた場合の指定応答期間内

(iii)拒絶理由通知を受けた後第48条の7の規定による通知を受けた場合の指定応答期間内

(iv)拒絶査定不服審判請求と同時

 

2.特許査定の謄本送達後30日以内(以下の(i)(ii)の特許査定を除く)

(i)前置審査における特許査定

(ii)審決により、審査に付された場合における特許査定

 

3.最初の拒絶査定の謄本送達後3月以内

 

4.不責事由がなくなった日から14日(在外者にあっては2月)以内で、2.または3.の期間の経過後6月以内

1.出願から(特許または拒絶)査定の発行まで