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中国における商標ライセンス契約の留意点

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ベトナムにおける技術移転に関する留意事項

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ベトナムにおける特許ライセンス契約の基礎および留意事項

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中国における知的財産権濫用に対する独禁法適用

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台湾における商標ライセンス契約の留意点

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インドにおける技術流出対策と営業秘密の保護

【詳細】

 一般に企業は、特許保護を求めることにより自らの技術を保護している。ただし、特許要件を満たさない発明は、営業秘密としてのみ保護することができる。さらに、事業活動においては、自社の顧客に関する情報や構築した関係についての情報が収集され、顧客から求められた課題解決を導くための様々な情報がデータベース上に構築される。

 

 このように収集され、蓄積された情報には価値があり、営業秘密としての保護に適している。知的所有権の貿易関連側面に関する協定(TRIPS協定)は、誠実な商慣行に反するような方法での無許可の情報開示、取得、あるいは使用を防ぐため、秘密情報の保護を法的に義務付けている。

 

 営業秘密としての保護適格を有するには、秘密であり、商業的価値を有しており、その秘密を保つための合理的な措置が当該情報の保有者によってとられていなければならない。

 

○技術および営業秘密の保護と流出防止のための実務

(1)該当する情報に「秘密」の表示を付し、従業員や関係者に対し、専有情報に触れていること、および契約義務の一部としてこれらの秘密保持が求められていることを認識させること。

 

(2)特許技術や営業秘密に関する情報を保存しているデータベース、サーバー、コンピュータプログラムへのアクセスは、業務上の必要性を有する限られた者のみに制限すること。機密性の高い領域へ入るときは、サーバーへのアクセスはパスワードで保護するようにし、コンピュータスクリーン上に適切な注意事項を表示させるよう設定すること。

 

(3)営業秘密としての専有情報や技術情報の重要性を、従業員に教育すること。

 

(4)営業秘密の取り扱いが適切な文言で規定されているかどうか、雇用契約を確認すること。

 

(5)業務提携や取引可能性を検討するため、第三者やベンダーと専有技術情報を共有する場合、秘密保持契約を結ぶこと。

 

○労働契約における制限条項

 従業員が自主的にまたは雇用期間終了により退職した場合に、技術関連の秘密情報を持ち出す行為を制限するような契約を締結することが使用者にとって一般的である。使用者はまた、離職した従業員を競業者が雇用し、元従業員の顧客を勧誘することを制限したいと考える。秘密保持条項や競業避止条項を含む、適切に作成された雇用契約がビジネスにおいては一般的に使用されている。

 

 ここで、最初に懸念される事項としては、同一事業分野の他企業への転職や、同一事業分野において従業員が起業することを制限する競業避止条項が、法的に強制可能か否かである。このような条項はインド契約法第27条の定める取引制限に該当する可能性がある。インド契約法第27条は以下のように定めている。

 「合法的な職業に就き、事業を行うことを制限するいかなる契約も、不当な制限を課す範囲において無効である。」

 

 この規定に対する唯一の例外は以下のとおりである。

「ビジネス上ののれん(goodwill)を利用し、販売する者は、購入者が(またはのれんを使用する権利を受けている者が)特定の地域で、類似のビジネスを実施しないことを契約してもよい。」

 

 上記以外のすべての状況下では、従業員の職業選択の自由等を制限する契約は無効として取り扱われる。インドには営業秘密を保護する成文法が存在しないため、営業秘密を保護するために使用者が従業員に対して要求できる合理的制限については、各裁判所が異なる見解をとってきた。以下に紹介する判決は、従業員側に有利な判断を下している。ただし、裁判所は雇用期間中に従業員が当該使用者のみに雇用されることを義務とする契約条件については、不当な取引制限ではないとしている。

 

○商取引における営業秘密の保護に関する判決例

 ベンダー、フランチャイジーあるいはディーラーによる競合技術の使用を制限する契約条項は、フランチャイザーが商品の流通促進を目的とするものであって、不当な取引制限とはみなされない。

 

 John Richard Brady And Ors v. Chemical Process Equipments P. Ltd. and Anr事件(第AIR 1987 Delhi 372号)において、原告は「飼料製造ユニット」を発明し、その現地生産のため被告からの加熱パネルの供給が必要となり、その交渉期間中に「飼料製造ユニット」について被告との間で技術資料、詳細なノウハウ、図面および明細書を共有した。被告は同意したにもかかわらず加熱パネルを供給せず、自ら「飼料製造ユニット」の製造を開始した。原告は、被告に開示したノウハウ、情報、図面、意匠および明細書が不正流用されたとし、訴訟を提起した。裁判所は、たとえ契約書に明示的な秘密保持規定がなくとも、その義務は暗示されており、被告は秘密保持義務違反について責任がある判断した。

 

○営業秘密および著作権の保護に関する判決例

・Mr. Diljeet Titus, Advocate v. Mr. Alfred A. Adebare and Ors.事件(第130 (2006) DLT 330)

 

 原告は、被告が勤務していた法律事務所を運営していた。原告および被告の雇用関係が悪化した後、被告の一人が事務所の勤務時間後に原告の事務所を訪ずれ、原告の重要データを含む7.2ギガバイトのデータをダウンロードした、と原告は主張した。原告はまた、被告が原告の10件を超える文書のハードコピーも盗んだと申し立てた。原告は、1957年インド著作権法による占有データの保護を求めた。

 

 被告は、当該データや文書は被告が原告運営の法律事務所に勤務していた際に行った業務の著作物であり、著作権者は被告であると反論した。原告は、コンピュータネットワーク、カスタマイズしたソフトウェア、法律図書、オフイスのインフラ等を習得させるのに相当の費用が費やされ、被告の業務成果物は原告に帰属すると抗弁した。

 

 裁判所は、被告が類似サービスをおこなうこと自体は制限しなかったが、当該成果物は法的には原告のものとされることを認め、その範囲において、雇用期間後の被告による情報の使用を制限した。

 

・Zee Telefilms Ltd. v. Sundial Communications Pvt. Ltd.(第2003(27)PTC457(Bom)号)

 ボンベイ高等裁判所は、秘密保持義務違反に関する法律は著作権に関する法律とは異なる、として以下のように判示した。秘密保持義務違反に関する法律は、著作権に関する制定法上の権利よりも範囲が広範である。アイデアや情報に関して著作権は存在し得ず、アイデアが表現されたものの実質的な複製がなければ、他人のアイデアを採用しても著作権侵害にはあたらない。ただし、もしそのアイデアや情報が、それを公表することが信義に反し、公表する正当な理由がないような状況において得られた場合、裁判所は、秘密保持義務違反を根拠に差止命令を出すことができる。

 

 著作権と秘密保持義務違反に関する法律との間の区別は、提出された未発表の原稿であって公開または使用について未承認であるものに関しては、極めて重要である。著作権は、恒久的な形式とされた資料を保護する一方、秘密保持義務違反に関する法律は、書面および口頭による秘密情報を保護する。

 

○まとめ

 財産的価値のある情報の漏洩を防止する契約について、制限的な取り決めに関する法的な位置付けを以下にまとめる。

 

(1)雇用期間中、従業員はいかなる他の業務にも従事しないことを期待され、使用者の営業秘密を漏洩してはならず、従業員による営業秘密の漏洩を禁止する取決めは有効であり、強制可能である。

(2)退職後、使用者と同じ事業分野での転職または同じ事業を行う従業員の職業選択の自由を制限する取決めは、営業の自由の制限としても判断されている。

(3)使用者が、競業者への移籍を望む従業員に対して包括的な制限を課し、会社の秘密情報に従業員がアクセスしたといった曖昧な主張を展開しても、裁判所が認める可能性は低い。しかし、退職する従業員が実際に情報を入手し、あるいは営業秘密についてアクセスした具体的な証拠があれば、裁判所は、起業のためまたは新しい雇用者のために使用される情報について、使用差止命令を出す可能性がある。

(4)契約当事者間での非勧誘条項自体は、取引制限や職業制限にはあたらず、契約法第27条に該当しないと考えられる。

(5)商業上の契約、パートナーシップ契約、フランチャイズ契約などについて、裁判所は、使用者と従業員間の契約に比べ、制限的な取決めであっても、より寛大な態度をとる傾向にある。

インドにおける営業秘密保護

模倣対策マニュアル インド編(2014年3月、日本貿易振興機構)第1章 第6節

(目次)

第1章 知的財産権の取得

 第6節 営業秘密の保護 P.127

  1 機密保持契約 P.128

  2 内部プロセス P.128

  3 侵害の救済措置 P.128

韓国における事例研究

韓国ライセンスマニュアル(2011年3月、日本貿易振興機構)第7編

 

(目次)

第7編 事例研究と契約書サンプル

第1章 事例1 p.324

1.事例概要 p.324

2.事例の検討 p.325

2-1.検討事項1:新規事業に係わる不十分な事前検討 p.325

2-2.検討事項2:契約期間 p.325

2-3.検討事項3:技術料の決定 p.326

2-4.検討事項4:技術料の精算 p.326

2-5.検討事項5:技術実施範囲 p.326

2-6.検討事項6:新規産業財産権の帰属 p.326

2-7.検討事項7:関連設備及び原資材の購買 p.327

2-8.検討事項8:紛争解決条項 p.327

第2章 事例2[韓国電子通信研究所のCDMA技術移転契約及び紛争事例] p.328

1.事例概要 p.328

第3章 事例3[技術対価交渉事例] p.330

1.事例概要 p.330

2.交渉の内容 p.331

第4章 事例4 p.332

1.事例概要 p.332

2.事例概要(事例4-1) p.333

3.事例概要(事例4-2) p.335

4.事例概要(事例4-3) p.337

5.事例概要(事例4-4) p.339

6.事例概要(事例4-5) p.342

第5章 その他の事例 p.344

1.技術導入者との競争回避戦略:ドルビー研究所 p.344

2.混成契約ライセンス:HomeTHX p.344

3.ライセンシーによる差別化されたライセンス戦略:任天堂社 p.345

4.特許侵害者に対する効果的なライセンス戦略:SGS p.345

韓国における契約書の作成

韓国ライセンスマニュアル(2011年3月、日本貿易振興機構)第6編

 

(目次)

第6編 契約書の作成

第1章 ライセンス契約の作成 p.264

1.国際ライセンス契約書の構成 p.266

2.契約の題目 p.267

3. 契約前文 p.267

3-1.導入部(Opening Paragraph) p.267

3-2.説明部(whereas clause) p.267

3-3.約因部 p.268

4. 定義条項 p.269

4-1.定義条項の意義 p.269

4-2.主要定義対象 p.269

4-3.当事者の立場による定義条項の作成要領 p.276

5. 実施許諾条項 p.278

5-1.実施権の選択 p.278

5-2.実施許諾の範囲 p.281

6. 実施料(Royalty) p.283

7. 技術情報の提供条項 p.283

8. 技術指導条項 p.285

8-1.意義 p.285

8-2.技術者派遣などによる技術指導 p.285

9. 部品などの供給条項 p.287

10.改良技術条項 p.288

10-1.意義 p.288

10-2.改良技術の共有が必要な理由 p.288

10-3.韓国の改良技術関連の法的な取り扱い p.289

10-4.改良技術条項の主要内容 p.290

10-5.ライセンサーとしての注意事項 p.291

11.商標使用条項 p.292

11-1.意義 p.293

11-2.商標の使用と製造物責任 p.293

12.保証責任 p.295

12-1.意義 p.295

12-2.保証責任に関する当事者間の利害関係 p.295

12-3.韓国の保証関連法規及び実務 p.296

12-4.保証責任の類型及び内容 p.296

12-5.整理 p.299

13.不争義務条項 p.300

14.最恵待遇条項 p.300

14-1.意義 p.300

14-2.主要検討事項 p.301

14-3.ライセンサーとしての注意事項 p.302

15. 譲渡条項 p.302

15-1.意義 p.302

15-2.典型的な譲渡条項 p.303

16.紛争解決条項 p.303

16-1.意義 p.303

16-2.裁判管轄(Jurisdiction)と準拠法 p.304

16-3.仲裁 p.305

17.一般条項 p.307

17-1.使用言語条項 p.307

17-2.秘密保持義務条項 p.308

17-3.存続条項 p.309

17-4.契約期間と更新 p.309

17-5.契約終了条項 p.310

17-6.その他 p.311

18.契約書後文 p.311

第2章 特許権などの譲渡契約書 p.313

1.特許権などの譲渡契約書の意義 p.313

2.譲渡契約書の主要条項 p.313

2-1.譲渡対象特許の表示条項 p.313

2-2.持分表示条項 p.313

2-3.特許権移転登録の協力条項 p.314

2-4.保証条項 p.314

2-5.譲渡代金 p.315

2-6.対価不返還条項 p.315

2-7.特許料条項 p.315

2-8.その他 p.315

第3章 研究開発契約書 p.316

1.共同研究開発契約書 p.316

1-1.意義 p.316

1-2.韓国実務における契約書作成時の注意事項 p.316

2.委託研究開発契約書 p.318

2-1.意義 p.318

2-2.韓国実務における契約書作成上の注意事項 p.318

第4章 その他の契約書 p.320

1.ジョイントベンチャー契約書 p.320

2.秘密保持義務契約書 p.320

 

付録1:特許及び技術導入契約書 p.346

付録2:特許譲渡契約書 p.354

付録3:クロスライセンス契約書 p.357

付録4:秘密保持義務契約書 p.362

付録5:ノウハウ移転契約書 p.366

付録6:共同開発契約書 p.371

付録7:委託研究開発契約書 p.374

付録8:商標ライセンス契約書 p.378

付録9:著作権ライセンス契約書 p.385

韓国における知財法と公正取引委員会による規制

【詳細】

 模倣対策マニュアル 韓国編(2012年3月、日本貿易振興機構)第II編第13章

 

(目次)

第II編 韓国の知的財産制度と関連法

 第13章 知財法と公正取引委員会による規制 p.177

  1. 概要 p.177

  2. 知的財産権の不当な権利行使 p.177

   2-1 最近の動向 p.177

   2-2 知識財産権の不当な行使に対する審査指針 p.178

   2-3 具体的な例示 p.178

  3. 並行輸入における不公正取引行為の類型の告示 p.181

  4. 表示・広告の公正化に関する法律 p.182

  5. 技術奪取 p.183

   5-1 下請取引公正化に関する法律及び施行令 p.183

   5-2 技術資料提供要求・流用行為審査指針 p.184

  6. 法違反行為に対する救済 p.185

   6-1 公正取引法の基本的な規制 p.185

   6-2 公正取引法違反行為に対する救済 p.185

   6-3 表示広告の公正化に関する法律の違反行為に対する救済 p.186

   6-4 下請取引公正化に関する法律違反行為に対する救済 p.186

  7. 問合せ先 p.186