台湾における商標関連手続に必要な書類
【詳細】
台湾特許庁(台湾智慧財產局)における商標の手続きは、出願、取り下げ、補完、変更出願、登録延長、商標権異動、争議処理等に分けることができ、商標出願人又は商標権者は、それぞれの手続において関連法律条文により定められた書類を提出しなければならない。例えば、各種商標の出願時には商標登録願を、当該商標を分割したい場合には分割願を提出しなければならない。以下では、商標出願人又は商標権者の各手続きにおける必要書類についてそれぞれ紹介し、関連法律条項を注記する。
(1) 出願時に必要な書類
商標法の出願客体には商標、団体商標、証明標章及び団体標章の4つのタイプがあり、いずれも文字、図形、記号、色彩、立体形状、動態、ホログラム、音声等又は前記を組み合わせたものを出願対象にできる。更に、商標法には出願対象について制限がないため、「におい」(中国語「氣味商標」)に至っても出願対象とすることができる(現時点では、商標登録審査を受けているものはあるが、登録された実例はない)他、各種形態を組み合わせることもできる(商標法第2条、第18条、第80条、第85条、第88条、第94条)。
このように出願の形態が多岐にわたるため、願書の書式は特に統一したものを求められることはないが、比較的よく見られる商標、団体商標、証明標章及び団体標章の出願時に必要な書類は以下の通りである。
・登録願
〇商標登録願(商標法第18条第1項、商標法施行細則第12条)
〇色彩商標(中国語「顏色商標」)登録願(商標法第18条第1項、商標法施行細則第14条)
〇立体商標登録願(商標法第18条第1項、商標法施行細則第15条)
〇音声商標(中国語「聲音商標」)登録願(商標法第18条第1項、商標法施行細則第18条)
〇全体図(Hologram marks)商標登録願(商標法第18条第1項、商標法施行細則第17条)
〇動態(Motion marks)商標登録願(商標法第18条第1項、商標法施行細則第16条)
〇その他商標登録願(商標法第18条第1項、商標法施行細則第12条)
〇団体商標登録願、色彩団体商標登録願、立体団体商標登録願、音声団体商標登録願、全体図団体商標登録願(※)、動態団体商標登録願(※)
(商標法第18条第1項、第88条、第94条、商標法施行細則第12条、第14至18条、第48条)、
〇証明標章登録願、色彩証明標章登録願、立体証明標章登録願、音声証明標章登録願、全体図証明標章登録願(※)、動態証明標章登録願(※)
(商標法第18条第1項、第80条、第94条、商標法施行細則第12条、第14至18条、第48条)
・委任状(商標法第6条、商標法施行細則第5条)
(2) 出願から公告に至るまでに必要な書類
(i) 出願取下時
出願取下願(商標法施行細則第6条)
(ii) 変更時
(a) 出願人及び代理人の基本資料の変更時
登録前における変更願(商標法第24条、商標法施行細則第24条)
(b) 登録前における図の変更又は商品・役務の減縮変更時(商標法第23条但書による変更を指し、当該商標の指定商品・役務の減縮、又は商標の図に実質上変更をきたさない変更に限られる*。)
登録前における図の変更又は商品・役務の減縮変更願(※)(商標法第23条、商標法施行細則第24条)
*:具体例としては以下の状況が挙げられる。
・識別性を有さないおそれがある箇所や公衆が商品又は役務の性質、品質又は産地を誤認・誤信するおそれがある箇所の削除。
・商品の重量又は成分標示、代理業者又は小売業者の電話番号、住所又はその他単なる情報に係る事項の削除。
・国際的に通用する商標又は登録番号の削除。
・商標に属さない部分を点線に変更する。
(c) 登録前における図の変更または商品・役務の減縮時(商標法第25条による変更を指す**)
登録前における図の変更又は商品・役務の減縮願(※)(商標法第25条、商標法施行細則第26条)
**:商標の同一性に影響せず、又は指定商品・役務の範囲を拡大しないことを前提とした、出願人の名称又は住所の誤り、文字・用語若しくは記入事項の誤り等について「訂正」を申請することができる。
(iii) 登録前における分割時
登録前における分割願(商標法第26条、商標法施行細則第27条)
(iv) 登録更新(中国語「延展」)時
登録更新願の書式(商標法第34条、商標法施行細則第35条第1項)
(v) 書類の補完時
出願書類補完願(実務において、各種商標、証明標章、団体商標、団体標章出願案、登録前における変更、出願案の分割、出願案の取り下げ願等の提出時に書類を補完するために使用)
(3) 公告後に必要な書類
(i) 商標権の分割時
分割願(商標法第37条、商標法施行細則第36条)
(商標権の分割とは、登録商標の指定商品・役務を分割するものであり、商標の図の構成部分を分割するものではない(商標法第37条)。団体商標、証明標章は、その性質上、指定商品・役務に関係するため分割申請ができるが、団体標章は商品・役務に関係しないので、分割申請することはできない)。
(ii) 商標権の異動時
・登録変更願(商標法第38条第2項、商標法施行細則第37条)
・登記移転願(商標法第42条、商標法施行細則第39条)
・登録商品・役務減縮願(商標法第38条第1項、商標法施行細則第37条)
・権利許諾登記願(商標法第39条第2項及び商標法施行細則第38条)
・権利許諾登記の廃止願(商標法第41条及び商標法施行細則第38条)
・権利再許諾登記願(商標法第40条第3項及び商標法施行細則第38条)
・権利再許諾登記の廃止願(商標法第41条及び商標法施行細則第38条)
・質権設定登記願(商標法第44条及び商標法施行細則第40条)
・質権消滅登記願(商標法第44条及び商標法施行細則第40条)
・商標権放棄願(商標法第45条)
(iii) 争議関連
(a) 審判等請求時
・異議申立(中国語「異議」)の請求書(商標法第48条、第49条)
・無効審判(中国語「評定」)の請求書(商標法第57条、第62条)
・取消審判(中国語「廃止」)の請求書(商標法第63条、第67条)
(b) 取下げ時
異議申立、無効審判及び取消審判請求の取下げ願(※)(商標法第53条、第62条、第67条)
(c) 異議申立、無効審判及び取消審判請求手続きにおける公聴
公聴願、(利害関係者)公聴出席願、一般民衆公聴出席願(行政手続法【中国語「行政程序法」】第107条)
(v) その他
・登録証の再発行(中国語「補発」)又は更新(中国語「換発」)願(商標法施行細則第41条)。
・商標併存同意書(商標法第30条第10号但書)
・中国語・英語による証明書の発行願
(※)台湾特許庁の申請書ダウンロードリストの中に含まれていない書類。
【留意事項】
(1) 台湾特許庁が提供するダウンロード式の申請書書式は、商標法及び商標法施行細則の改正または関連規定の改定によって、申請書の細部事項が更新された。このため、使用時には、当該申請書書式にアクセスして、最新版の書式をダウンロードすることが望ましい。
(2) 商標法又は商標法施行細則に記載のある申請書中、一部の申請書については、台湾特許庁の申請書ダウンロードリストの中に含まれていない(「※」マークにて表示)。
ダウンロードリストに含まれていない申請書については、特に形式上の制約はなく、申請事項を明確に表現することができる書式であればよい。また、台湾特許庁が提供する書式についても、必ずしも当該書式で申請しなければならないというわけではない。
香港における「商標の使用」と使用証拠
【詳細及び留意点】
商標出願の時点では使用の要件はないが、出願書式において、香港における指定商品および指定役務に関して、商標が出願人によりまたは出願人の同意の下で使用されていること、または出願人は当該商標を使用するまたはその使用を認める誠実な意図を有していることを示す必要がある。登録前も商標登録の更新時のいずれにおいても、使用を立証する必要はない。
しかし、商標の使用を立証する使用証拠は、不使用取消、異議申立および侵害訴訟において提出を要求され、商標出願に対する絶対的拒絶理由通知または相対的拒絶理由通知の克服に際しても重要となる。
1.商標の使用
商標登録は、商標が、登録に係る商品または役務に関して,商標権者またはその同意を得た者により少なくとも継続して3年間香港で真正に使用されておらず、不使用の正当な理由がない場合には、第三者からの不使用取消請求があれば取り消される。(香港商標条例第52条(2)(a))。当該期間において商標が実際に使用されていたことを立証する責任は、商標権者が負う(香港商標条例第82条)。したがって、商標権者にとって、商標の登録日から3年以内に、登録されたすべての指定商品または指定役務に関して、その登録商標の真正な使用を開始し、3年以上の継続する期間にわたる商標の使用休止を避け、さらに使用証拠を保管することが重要である。この使用証拠は、不使用取消請求から商標登録を防御する上で必要となる。ライセンシーによる商標の使用は、商標権者による有効な商標の使用となる。
商標条例には、何が商標の「使用」と看做されるか明確な定義はないが、出願において指定されたまたは登録された商品または役務に関する使用でなければならない。
商標の使用は、商標が登録された態様における商標の識別性を変えない要素において異なる態様による使用が含まれる(香港商標条例第52条(3)(a))。例えば、ブロック体大文字で登録された文字商標が、異なるフォントまたは大文字と小文字で使用される場合や、白黒で登録された商標が別の色で使用される場合は、登録された商標の識別性を変えたものとは看做されない。香港における使用には、輸出のみを目的として香港において商品または商品の包装に商標を付すことが含まれるとともに、商標が役務に関して登録されている場合、香港外部に提供されるまたは提供が予定される役務に関する使用(例えば、ホテルまたはレストランサービスが香港外で提供される場合において、当該ホテルまたはレストランサービスについて、香港において商標を宣伝すること)が含まれる。
何人も、登録されている商品または役務と同一または類似する商品または役務に関して、登録商標と同一または類似する商標を業として使用する場合は、登録商標を侵害する(香港商標条例第18条(1)、(2)、(3)および(4))。これを適用する上で、特に次の場合は、何人も商標を使用することになる(香港商標条例第18条(5))。
(1)商標を商品または包装に適用する場合
(2)商標の下で販売のために商品を提供または展示する場合
(3)商標の下で商品を市場に出す場合
(4)販売のために商品を提供または展示する目的、または商品を市場に出す目的で、商標の下で商品を在庫する場合
(5)商標の下で役務を提供または供与する場合
(6)商標の下で商品を輸入または輸出する場合
(7)商標を商業文書または広告に使用する場合
侵害を構成する商標の「使用」には、商標を適用することが商標権者またはライセンシーにより許可されていないことを知っている者またはそう信じる理由を有する者が、商品のラベル表示または包装のために、商業文書として、または商品もしくは役務の公告のために、使用される予定の材料に当該商標を適用しまたは適用させることも含まれる(香港商標条例第18条(6))。
商標権者は、登録商標の右上にシンボルマーク「®」を使用することを推奨する。
2.使用証拠
商標の真正な商業的使用を立証するため、商標権者は、販売額や売上高の数値や広告支出、インボイスの原本または写し、カタログ、宣伝広告資料といった過去の情報や資料を保管し、そうした情報や資料に基づく適切な使用証拠の作成に備えることが重要である。
不使用取消請求に対する抗弁に際しては、当該不使用取消請求の申請がなされる前3年間の期間内に、当該登録商標の真正な商業的使用が実際に行われたことを立証する必要がある。真正な使用とは、必ずしも中断のない使用または長期の使用を意味するものではない。使用証拠が、登録された商品または役務のすべての使用を立証していない場合、その使用を立証することができない商品または役務に関して、商標登録が部分的に取り消されることとなる。
商標出願において、拒絶理由の克服の際に必要とされる「使用による識別力」または「善意の同時使用」を立証するための使用は、例えば出願日前2~5年といった、中断のない比較的長期にわたるものであることが多い。使用証拠が出願におけるすべての商品または役務の使用を立証できない場合、当該出願の指定商品または指定役務は、使用が立証された商品または役務に限定される。
使用証拠は、商標権者または出願人の代表者により署名された宣誓書の形式で提出されなければならない。香港外で作成される宣誓書は、当該国での認証が必要となる。
宣誓書に関する公証人の認証手続において、宣誓者の署名の証明を第三者に代理させるという日本において広く行われているプラクティスは、香港においては認められない。宣誓者は、公証人の面前で宣誓書に署名しなければならない。
宣誓書の形式による使用証拠は、案件に応じて英語または中国語によるものでなければならない。その他の外国語による場合は、当該文書または関連部分の適切な公証翻訳文が要求される。
商標登録局ワークマニュアルは、宣誓書に関するその他方式要件について、その詳細を定めている。
ブラジルにおける「商標の使用」と使用証拠
【詳細及び留意点】
登録商標の所有者は、登録された当該商標の態様を変更することなく、登録された指定商品または指定役務に関して当該商標を使用しなければならない。
商標の使用証拠の提出することは、商標登録や商標更新の要件にはなっていない。しかし、商標登録に対して不使用を理由とする取消請求が提起された場合、商標権者は当該商標の使用証拠の提出を要求される。この不使用取消請求は、登録日から起算して5年が経過した後、正当な利害関係を有する第三者が提起することができる(ブラジル産業財産法第143条)。
1.詳細および考察
ブラジル産業財産法第143条によれば、(i)商標の登録から5年が経過した後の不使用取消請求時点で、商標の使用が開始されなかった場合または(ii)商標の使用が5年以上連続して中断されていた場合、不使用取消の請求により登録が取り消される。
上記の規定は、商標がブラジル国内で使用されなければならないことを規定しているが、最高裁判所は既に次のような判決を示している。「ブラジル国内で設計され、製造された製品が専ら外国市場向けのものであるという事実は、それら製品に関わる商標の登録取り消しを意味するものではない。」(2015年11月6日付特別上訴1.236.218-RJ)。したがって、当該製品がブラジルで製造された後に他の国々に輸出されたことを示す証拠は、ブラジル国内での使用証拠と同様に扱われる。
商標の使用を立証する期間は、不使用取消請求の提出日に先立つ5年間(請求日前日をまでを含む過去5年間)であり、この期間中にブラジル国内で当該商標が散発的では無く、恒常的に使用されたことを証明する必要がある。商標の散発的な使用は、登録取り消しの宣告を回避するには不十分であり、最高裁判所は以下のような判決を示している。
立証対象期間となる5年間におけるブランドの価値および製品の売上量が不明瞭であれば、商標登録の取り消しを認めることが可能である(この判例で審理された状況では、タバコ70箱(収益にして614.75レアル相当)と商標権者が同じ期間に行っていた数十億レアル規模の事業(その生産高はタバコ4000億箱以上に相当する)とが比較された)(2015年11月6日付特別上訴1.236.218-RJ)。
商標の使用を立証するために十分な証拠の量に関しては、法律に規定がないが、当国の慣行によれば、商品もしくは役務の性質によって異なる。
商標が安価な製品(鉛筆など)に関して使用されている場合、当該商標の使用を立証するためには大量の証拠を提出しなければならない。これに対し、製品が非常に高価であり、その生産量が限られている場合(航空機など)、少ない量の証拠でも認められる。
もう一つの重要な問題は、商標が登録された態様を変更することなく使用されていることを証明しなければならないというものである。ただし、ブラジル産業財産庁 (Instituto Nacional da Propriedade Industrial: INPI)商標の使用に関するガイドラインによれば、商標が文字商標として登録されている場合、商標中の文字の構成を変えない限り、あらゆる種類のフォントで当該商標を使用することが可能であり、特定の図形とともに(文字と図形の組み合わせで)使用することもできる。
これに対し、商標が文字と図形の組み合わせもしくは図形のみで登録されている場合、その商標は登録された態様を変更することなく使用されるか、少なくとも識別性に影響するような変更なしに使用されなければならない。ブラジル産業財産法にもINPIの商標の使用に関するガイドラインにも、商標の識別性に影響する変更に関する詳細は定められていないため、その判断はケース・バイ・ケースで行われることになる。
さらに、ブラジル産業財産法第144条によれば、商標は当該商標の指定商品または指定役務に使用されなければならず、それらの指定商品または指定役務の一部についてしか使用されていなかったことが立証された場合、登録が部分的に取り消される。ただし、登録された指定商品が「鉛筆およびペン」である場合に、「鉛筆」と「ペン」は類似の商品であるため、商標権者が「鉛筆」のみについて当該商標の使用を立証すれば、「ペン」に関する取り消しを免れることができる。
最後に、ブラジル産業財産法第143条1項に規定されているように、商標権者は正当な理由があれば不使用取消への抗弁を行うことができる。ただし、この条文でも「正当な理由」の定義が示されていないため、ケース・バイ・ケースで判断される。
2.認容される使用の証拠
最も有効な使用証拠は、商標が表示され、当該商標により識別される商品または役務ならびに取引日が明記された国内向けの送り状である。国内の新聞または雑誌に掲載された広告の日付入りコピーやカタログのコピーも有効である。
商標により識別される商品がブラジルに輸入された製品であった場合、その輸入に対してブラジル財務省が発行した輸入許可通知書のコピーを提出する必要がある。
ブラジルの現地企業が商標ライセンスに基づいて商品の製造販売を行っている場合は、ライセンス契約書のコピーとともにライセンシー名義の使用証拠を提出すれば有効である。なお、当該ライセンス契約は国家産業財産権庁に登録されている必要はない(ブラジル産業財産法第140条2項)。
3.提言
不使用取消請求が提起された場合に備えて、商標権者は過去5年以内の日付の入った送り状もしくはカタログを保管しておくことが望ましい。送り状は、商標が表示されているとともに、当該商標と取引される商品または役務との関連づけを可能にする情報(製品説明、参照番号など)も記載されていなければならない。
商標が登録された態様を変更することなく使用されていることが極めて重要である。商標の識別性に影響する変更かどうかに関する判断は、法に基づくものではなく、慣行に基づくものであって、時代によって変化する可能性があるからである。
このため、商標を構成する二つの単語のスペースを狭くするというような些細な変更がなされただけであっても、新たな態様の商標が長期間もしくは無期限に使用されることが見込まれる場合には、念のため新規出願することが望ましい。
台湾における景品での使用が商標使用と認められる可能性
【詳細】
商標の使用は核心的な問題の1つである。商標が連続して3年使用されていない場合、当該商標の商標登録取消事由を構成する可能性がある。また、著名商標にかかる保護については、商標の使用状況が著名を構成するか否か考慮しなければならない。さらに、商標権侵害が成立するか否かは、商標の使用を前提としなければならない。
商標法第5条は以下の通り規定する。
台湾商標法第5条
商標の使用とは、販売を目的として、ならびに次に掲げる各号のいずれかに該当し、関連する消費者にそれが商標であると認識させることができることをいう。
(1)商標を商品またはその包装容器に用いる。
(2)前号の商品を所持、展示、販売、輸出または輸入する。
(3)提供する役務と関連する物品に商標を用いる。
(4)商標を商品または役務と関連する商業文書または広告に用いる。
前項各号の状況は、デジタルマルチメディア、電子メディア、インターネットまたはその他媒介物の方式で行う場合も同様である。
また同法第57条第3項には「前項の規定により提出する使用に関する証拠は、商標が真実、使用されていることを証明でき、ならびに商業取引の一般慣習に合致しなければならない」と規定されており、これは商標取消に関する第67条第2項に準用される。
商標法第5条の規定により、商標の使用は「販売の目的」に限られている。これまでの実務見解によれば、いわゆる「販売の目的」は有償の行為に限定され、無償行為は含まなかった。したがって、景品は通常、商標の使用と認定されない。しかし、台湾経済部智慧財産局(日本の特許庁に相当)が智慧財産裁判所(知的財産裁判所)(日本の知的財産高等裁判所に相当)およびその他各界の専門家および学者を集めて共同で議論し、ならびに外国の立法例および実務見解を参酌した後、智慧財産局または知的財産裁判所は特定の条件下での景品について、商標の使用と認定した。
知的財産裁判所の103年(2014年)度行商訴字第140号行政判決は、VALENTINO商標商品の景品に関する商標登録取消事件において、VALENTINOの各種商品を一定額購入した消費者にVALENTINOの「香水」を景品として提供する行為について、「VALENTINOの香水類商品を景品として提供する行為は、香水類における商標使用を構成する」と判示した。また、知的財産裁判所の103年(2014年)度行商訴字第128号行政判決も、VALENTINOの別のシリーズの商標に係る景品紛争について、同一の見解を採用している。
知的財産裁判所は、次のように指摘している。係争のVALENTINO商標を「香水」商品およびそのパッケージに用いて商品と結合することは、消費者に係争商標を認識させるに足るものであり、かつ、販売を促進するという商業取引プロセスを利用して、係争のVALENTINO商標を標示する香水商品を景品として提供し、マーケットにおける販売というメッセージを伝達し、商品出所表示という機能を果たしており、香水の景品を通じて係争商標を消費者に認識させ、商標法第5条にいう「商標の使用」に合致する。
智慧財産局または知的財産裁判所は商標使用に関する見解を変更し、一部の条件付きの景品について商標の使用と認定しており、今後の類似案件の審理について、かなりの影響を及ぼすと予想される。
フィリピンにおける「商標の使用」と使用証拠
【詳細】
商標の使用の構成要件を直接かつ明瞭な形で定めた具体的な規定は、フィリピン知的財産法には存在しない。だが、知的財産庁長官が2013年に公布した商標規則では、宣言書による使用証拠提出と登録の更新に関連して、フィリピンにおける商標の使用を構成しうる要素を間接的な形で示している。通達13-056号の関連規定は以下のように定めている。
「規則205(c) 以下のものは、商標の実際の使用を示す証拠として認められるものとする。
(1)商標が付されたラベル。
(2)出願人もしくは登録人のウェブサイトからダウンロードされたページであって、フィリピン国内において商品の販売もしくはサービスの提供が行われていることを明らかに証明するもの。
(3)実際に使用されている商標が表示された商品、または商標が付された商品の梱包箱、あるいはサービスが提供されている施設の写真(普通紙に印刷されたデジタル写真を含む)。
(4)実際にフィリピンで販売されている商品もしくは提供されているサービスに商標が使用されていることを示すパンフレットもしくは宣伝資料。
(5)オンライン販売の場合、提供される商品もしくはサービスの売上受領票、またはそれに類似する証拠で、フィリピン国内における商品の出荷の用意もしくはサービスの提供の用意、またはフィリピン国内における取引の実行を証明するもの。
(6)商標の図面もしくは複製のプリントアウトのコピーは、商標使用の証拠としては認容されない。」
上記で引用した規則205(c)の(2)項によれば、フィリピン国内で商品の販売もしくはサービスの提供が行われている場合、商標が使用されているとみなされる。さらに(5)項の規定から、フィリピン国内において商品の出荷の用意もしくはサービスの提供の用意が行われるか、フィリピン国内において取引が実行された場合、当該商品はフィリピン国内で販売されたと考えることができる。
使用の問題が争点となった訴訟として、Pagasa Industrial Corporation vs. Court of Appeals, et .al (G.R. No. L 54158, November 19, 1982)が挙げられる。この訴訟では、販売のためではなく単に販促用のサンプルとして使用するためにフィリピンに輸入された商品に商標が表示されていた。裁判所は以下のような判断を示している。
「フィリピン知的財産法は極めて明瞭である。商標の登録に先立ち、知的財産法は当該商標が実際に商業的に使用されることを要求している。被告の法人が先に商標登録を行ったことに異論の余地はないが、登録された商標をフィリピン国内で取引もしくは事業に使用したという自らの主張を、被告人は十分立証していない。当該商標を排他的かつ継続的に採用するとともに当該商標に投資したことを示す証拠を、被告人は提出していない。その証拠は、同人が初めて当該商標を使用してから今日までの多大な売上実績から成るはずである。被告人が提出したインボイスの日付は1957年に遡るが、フィリピンに送られたジッパーが「サンプル」として使用するためのものであって「商品価値はない」ことを明らかに示している。被告人が提出する証拠は、矛盾のないものでなければならない。「サンプル」は非売品で、それらがフィリピンに輸出されたという事実が法により想定された「使用」に相当するとみなすことはできない。被告人はそれら「サンプル」から収益を得ることを期待していなかった。販売を立証する領収書は存在せず、後日に当該製品がフィリピン国内で販売されたことを示す証拠も提出されていない。」
この訴訟の事例で言えば、使用が認められる要件となる基準は、サンプル製品が輸入された際にフィリピン国内で発生した取引によって商業的価値が得られているかどうかであった。裁判所は、輸入されたサンプル製品の販売収益を輸入者が取得したことを示す証拠の提供を求めたのである。
商標の使用に関連して、第155条では以下の行為は商標侵害に相当すると規定している。
「第155条 救済;侵害
何人も,登録標章の権利者の承諾を得ないで次の行為をした場合は,次条以下に規定する救済のため,侵害についての権利者による民事訴訟において責任を負わなければならない。
155.1使用することによって混同を生じさせ、錯誤を生じさせもしくは欺瞞する虞がある商品またはサ-ビスの販売、販売の申出、頒布、宣伝その他販売を行うために必要な準備段階に関連して、登録標章の複製、模造、模倣もしくは紛らわしい模倣もしくは同一の容器またはそれらの主要な特徴を商業上使用すること
155.2登録標章またはその主要な特徴を複製し、模造し、模倣しまたは紛らわしく模倣し、かつ、使用することによって混同を生じさせ、錯誤を生じさせまたは欺瞞する虞がある商品またはサ-ビスの販売、販売の申出、頒布または宣伝に関連して、商業上使用するための貼紙、標識、印刷物、包装用容器、包装紙、貯蔵用容器または宣伝に、そのような複製、模造、模倣または紛らわしい模倣を適用すること。ただし、当該侵害する物を使用した商品またはサ-ビスの実際の販売があったか否かにかかわらず、本項または前項にいう行為がなされた時に侵害が生じたものとする。」
知的財産法のこの規定は、商品やサービスの販売を実行するために必要な「準備段階」も不正な使用に含まれると定義している。したがって、定義上、販売という語が意味するものはフィリピン領内で実際になされた販売に限定されない。知的財産法155.2条を厳格に解釈すれば、フィリピン国内で販売されていない商品に商標を表示する行為も、同条に基づき侵害として処罰される「準備行為」に相当する可能性があるという結論を導くことができる。商品がフィリピン国内で実際に販売される前段階の使用も商標の使用に該当する場合があるからである。
以上に述べたすべての事柄から、フィリピン法の下での商標の使用とは、商品もしくはサービスに関して実際に使用することだという結論が導かれる。販促サービス用のサンプルに商標を使用しただけで商業用価値が得られないと判断される場合は、商標の使用に相当しない。侵害責任に関して言えば、実際の販売だけでなく、商品の販売もしくはサービスの提供を実行するために必要な準備段階も不正な使用に含まれる。
中国における「商標の使用」の定義とその証拠
【詳細】
1.「商標の使用」の定義
商標の使用とは、商品、商品の包装もしくは容器および商品取引書類上に商標を用いること、または、広告宣伝、展示およびその他の商業活動中に商標を用いることにより、商品の出所を識別するための行為を指す(中国商標法第48条)。
2.「商標の使用」立証のための証拠
裁判所および商標評審委員会(日本における審判部に相当。)の実務において、以下の証拠は商標を使用した証拠とみなすことができる。
(1)商標が付された商品そのもの、商品のパッケージ、容器、ラベル、説明書および価格表など
(2)商標が付された商品の取引文書。例えば、販売契約書、領収書、商品輸出入検疫証明書、通関書など
(3)ラジオ、テレビ、出版物、展覧会、広告パネル、ダイレクトメールまたはその他の広告手段により、商標を継続して宣伝したことを示すコマーシャルや写真など
(4)役務商標については当該商標を使用したサービスの紹介ハンドブック、提供場所の看板、店舗の内装、スタッフの服装、宣伝文句、メニュー、価格表、クーポン、事務用品、レターセットおよびその他指定のサービスに関する用品
また、裁判所の実務では、商標使用許諾契約、協議書、または商品の販売契約以外に商標の使用を証明できる証拠がない場合、証拠不十分とみなされる場合が多いことに注意する必要がある。
以上、商標の使用を示す証拠の具体的な例を挙げたが、裁判所の実務において商標の使用を認定する際には、以下の要件を総合的に踏まえた判断がなされるため、注意が必要である。
(1)事業活動において公に使用されていること。商標は日常生活の様々な場面で使用されているが、取引を目的とした使用のみが商標法でいう「使用」に該当する。商標権者が非公開の統計表や諸表などの文書に商標を使用する行為、または商標権者がその商標専用権についてなんらかの声明を行う行為、すなわち商標登録情報を公開するなどは、取引を目的とした使用ではないため、商標法でいう「使用」にはあたらない。
(2)商品の出所を識別する目的での使用。例えば、委託生産(OEM)の場合、外国の委託者が中国で受託者に委託して、製造した全商品を輸出して、中国以外の地域で販売するケースでは、中国の関連する公衆が、委託者の商標に触れることは不可能である。このように商標の本質的な機能である商品の出所識別機能を体現できないケースは、商標法第48条に規定する商標の使用行為には該当しない。関連する商標を表示した商品が市場で販売された証拠または当該商標が公開宣伝された証拠がなければ、委託生産の過程で発生した証拠は、商標法でいう「使用」を証明する証拠としては不十分である。
3.「商標の使用」を示す証拠を保存する意義と目的
(1)3年間の不使用を理由として不使用取消を申立てられることを防止する
商標法第49条2項は「登録商標が使用許可された商品の通用名となり、または正当な理由なく継続して3年間使用しなかったときは、いかなる法人または個人も、商標局に当該登録商標の取消を請求することができる。商標局は、請求を受領した日から9か月以内に決定を行わなければならない。特別な事情があり、延長することが必要な場合、国務院工商行政管理部門の許可を得て、3か月間延長することができる」と規定している。
したがって、他人が上記の規定に基づき、商標局に対して商標の取消を求めた場合、権利者は必ず当該期間において当該商標を使用したことを証明しなければならない。使用の証拠と記録を保存していない場合、登録商標の取消というリスクに直面する可能性が高い。
(2)馳名商標認定のための重要証拠
商標法第14条は「馳名商標は、当事者の請求により、商標に係る案件の処理において認定が必要な事実として認定を行わなければならない。馳名商標の認定には、以下の要素を考慮しなければならない。
(一)関連する公衆の当該商標に対する認知度
(二)当該商標の継続的な使用期間
(三)当該商標のあらゆる宣伝業務の使用期間、程度および地理的範囲
(四)当該商標の馳名商標としての保護記録
(五)当該商標が馳名であることのその他の要因」
と規定している。
馳名商標は商標異議申立、取消請求、権利侵害訴訟において、一般の登録商標より手厚く保護されている。例えば、指定商品・役務区分をまたいで保護されるうえ、商標の無効宣告を請求する申立をする場合に、冒認登録した者の悪意を証明することができれば、5年間の期間制限を受けることがない等の措置を受けられる。また、馳名商標の認定を受けている事実は商標の使用を示す証拠としてみなされるケースが多い。
(3)商標権侵害訴訟における損害賠償請求の重要な証拠
商標法第63条は「商標権侵害の損害賠償額は、権利者が侵害により受けた実際の損失により確定する。実際の損失を確定することが困難なときは、侵害者が侵害により得た利益により確定することができる。権利者の損失または侵害者が得た利益を確定することが困難なときは、当該商標の使用許諾料の倍数を参照して合理的に確定する。悪意により商標権を侵害し、情状が重大なときは、上述の方法により確定した金額の1倍以上3倍以下で賠償額を確定することができる。賠償額は、権利者が侵害行為を抑止するために支払った合理的な支出を含まなければならない」と規定している。
また、商標法第64条は「登録商標権者が損害賠償を請求し、権利侵害と訴えられた者により登録商標権者が登録商標を使用していないとの抗弁がなされたときは、人民法院(日本における裁判所に相当)は、登録商標権者に、これまで3年以内にその登録商標を実際に使用している証拠を提供するよう求めることができる。登録商標権者は、これまで3年以内に、当該登録商標を実際に使用していることを証明できない場合、または侵害行為によりその他の損失を受けたことを証明できない場合は、権利侵害として訴えられた者は、損害賠償の責を負わない」と規定している。
以上からわかるように、商標権侵害の証拠の中で、商標の使用を示す証拠は損害賠償請求の際に重要であり、損害賠償額が裁判所から支持されるか否かを握る鍵であるといえる。
中国改正商標法関連規定の主な改正点
【詳細】
中国・改正商標法マニュアル(2015年3月、日本貿易振興機構 進出企業支援・知的財産部 知的財産課)一の3、4、5、6、7
(目次)
一 改正法及び関連規定の主な改正点
3 馳名商標認定保護規定 P.44
(1) 第2条:馳名商標の概念の明確化 P.44
(2) 第3条、第5条、第6条、第7条:馳名商標の認定機関及び認定申請のルートの明確化 P.45
(3) 第4条:馳名商標の認定規則の明確化 P.46
(4) 第8条:当事者の責任の明確化 P.46
(5) 第9条:馳名商標の証拠に対する要求の細分化 P.46
(6) 第10条、第11条、第12条:馳名商標保護請求の処理期限についての改正 P.47
(7) 第13条、第14条、第15条:地方工商部門の馳名商標に関わる業務職責の明確化・細分化 P.49
(8) 第17条:商標局による認定取消しの新設 P.49
(9) 第18条、第19条、第20条:馳名商標に関わる各級の工商部門の職責及びその職員の責任及び監督の明確化 P.50
(10) 条項の削除:原規定の第9条、第13条 P.50
4 商標評審規則 P.51
(1) 第一章 総則 P.51
① 第2条:審判案件の審理の規範化、商標審判案件の種類及び係争商標の呼称の明確化 P.51
② 第3条、第5条:データ電文方式による審判書類を提出・送達する規定の追加 P.53
③ 第8条第2項:和解に合意した案件の商標評審委員会による継続的な審理 P.53
(2) 第二章 請求及び受理 P.54
① 第20条:当事者の提出した副本が要求に合致しない場合の法的結果の明確化 P.54
② 第23条:挙証期間満了後に提出する証拠の規範化 P.54
③ 第26条:商標の譲渡又は移転後の案件審理の規範化 P.55
(3) 第三章 審理 P.55
① 第30条:当事者の合法的な権利の保障及びプロセスに関する規定のさらなる整備 P.55
② 第31条:先行権利案件の結果を待つという規定の追加 P.56
③ 第35条:審判決定・裁定の商標局への引き渡し、執行時間の延長 P.57
④ 第36条:審判決定・裁定を下した後の撤回及び更正に関する規定の追加 P.58
⑤ 第37条:人民法院の判決を執行するための再審プロセスの規範化 P.59
(4) 第四章 証拠規則 P.60
① 第38条第2項:証拠形式の明確化 P.60
② 第44条第2項:証拠調べの必要性の規定 P.60
(5) 第五章 期間、送達 P.61
① 第53条:提出形式及び提出期間の計算方法及び提出文書に対する要件 P.61
② 第54条:文書送達の効率の向上 P.62
③ 第55条:外国当事者の法律文書の送達方式 P.63
(6) 第六章 附則 P.64
① 第57条:新旧法適用の基本原則の確定 P.64
5 工商総局による改正実施後の「中華人民共和国商標法」に関する問題の通知 P.66
(1) 商標登録事項について P.66
① 各種の商標登録出願案件、異議申立案件が適用する法律の問題について P.66
② 商標案件審査期限の計算問題 P.66
(2) 商標審判について P.67
① 各種の商標審判案件の適用する法律について(2014年5月1日以降に審理する案件) P.67
② 商標審判案件の審査期限を計算する問題について P.67
(3) 商標監督管理について P.67
① 商標違法行為の時間と適用法律に関する問題について P.67
② 「馳名商標」を使用する行為に対して適用する法律の問題について P.67
6 商標評審委員会による商標法改正決定実施後の商標審判案件に関する問題の通知 P.68
(1) 商標法改正決定施行前に提出した争議案件 P.68
(2) 異議申立不服審判の請求について P.68
(3) 審判案件の文書様式について P.68
(4) 審判案件の費用を納付する規定について P.69
7 最高人民法院「改正商標法の施行決定後の商標事件の管轄と法律適用の問題に関する解釈」 P.70
(1) 第1条:人民法院が受理する商標事件のタイプ P.70
(2) 第2条、第3条:案件を管轄する規定について P.71
(3) 第5条~第9条:各類の商標案件の適用する法律の規定について P.71
参考資料
1 改正法の条文・対照表
(4) 馳名商標認定保護規定 P.150
(5) 商標評審規則 P.157
(6) 工商総局による改正実施後の「中華人民共和国商標法」に関する問題の通知 P.169
(7) 最高人民法院「改正商標法の施行決定後の商標事件の管轄と法律適用の問題
に関する解釈」 P.171
(8) 商標評審委員会による商標法改正決定実施後の商標審判案件に関する問題の通知 P.174
中国改正商標法及び実施条例の主な改正点
【詳細】
中国・改正商標法マニュアル(2015年3月、日本貿易振興機構 進出企業支援・知的財産部 知的財産課)一の1、2
(目次)
一 改正法及び関連規定の主な改正点
1 商標法 P.1
(1) 第一章 総則 P.2
① 第4条:商標登録出願条件の確立 P.2
② 第7条:誠実信用の原則の追加 P.2
③ 第8条:音声商標の導入 P.3
④ 第14条:馳名商標の認定と保護 P.3
⑤ 第15条:冒認出願対策の強化 P.5
⑥ 第19条:代理機構への管理強化 P.6
(2) 第二章 商標登録の出願 P.7
① 第22条第2項:「一出願多区分」制度を導入 P.7
② 第22条第3項:電子出願の導入 P.7
(3) 第三章 商標登録の審査及び認可 P.8
① 第28条:審査期限の規定 P.8
② 第29条:審査手続きの改善 P.9
③ 第33条:異議申立の主体資格の制限 P.10
④ 第35条:異議後の救済手続きの変化 P.11
(4) 第四章 登録商標の更新、変更、譲渡及び使用許諾 P.13
① 第40条:更新期間の延長 P.13
(5) 第五章 登録商標の無効宣告 P.13
① 第44条~第47条 P.13
(6) 第六章 商標使用の管理 P.15
① 第57条:新たな商標権侵害行為を定義 P.15
(7) 第七章 登録商標専用権の保護 P.16
① 第58条:新たな不正競争行為を追加 P.16
② 第59条:先使用主義への適当な配慮 P.16
③ 第60条第2項:商標権侵害行為の再犯への処罰の追加 P.17
④ 第63条:懲罰規定の新設及び権利者の挙証責任の軽減 P.17
⑤ 第64条:商標権者の賠償要求時における使用義務の規定の追加 P.19
(8) その他 削除された元の商標法の3つの条文 P.19
① 旧商標法第42条 P.19
② 旧商標法第45条 P.20
③ 旧商標法第50条 P.20
2 商標法実施条例 P.21
(1) 第一章 総則 P.21
① 第3条:馳名商標認定の立法趣旨の明確化 P.21
② 第5条:外国出願人が受取人を明記する規定の追加 P.22
③ 第8条:「電子データ」の形式で商標登録出願に関する規定の追加 P.22
④ 第9条、第10条:出願人が書類を提出する日付、要求及び送達に関する規定 P.23
⑤ 第11条:審査・審理期間に含まれない状況 P.24
⑥ 第12条:期間の計算方法について P.25
(2) 第二章 商標登録の出願 P.25
① 第13条:商標登録願書に関する要件 P.25
② 第14条:商標登録出願人の身分証明に関する規定 P.27
③ 第18条:商標出願の受理条件に関する規定 P.27
(3) 第三章 商標登録出願の審査 P.28
① 第22条:商標分割出願に関する規定 P.28
② 第23条:商標登録出願の内容に対する説明及び修正に関する規定 P.28
③ 第24~第28条:商標異議申立に関する規定 P.28
④ 第29条:出願又は登録書類の訂正に関する規定 P.30
(4) 第四章 登録商標の変更、譲渡、更新 P.30
① 第30条:商標権者の名義変更に関する規定 P.30
② 第31条:商標譲渡について P.31
③ 第32条:商標権の移転について P.32
(5) 第五章 商標国際登録 P.32
(6) 第六章 商標審判 P.33
① 第51条:商標審判の定義について P.34
② 第52条~第56条:商標審判案件の審理範囲の規定について P.34
③ 第59条:商標審判案件の請求又は答弁の補足証拠に関する規定について P.36
④ 第61条、第62条:請求人が審判請求を取り下げること及び取り下げた結果に関する規定について P.36
(7) 第七章 商標使用の管理 P.37
① 第65条:通用名称になった商標を取消す規定について P.37
② 第66条:正当理由なしで連続して三年不使用の登録商標を取消す規定について P.37
③ 第67条:3年連続不使用の登録商標の正当な理由について P.38
④ 第69 条:登録商標使用許諾届出の規定について P.38
⑤ 第70条:商標専用権の質権設定の規定について P.38
⑥ 第71条:被許諾者の名称と原産地を明記しない法律責任の規定について P.38
⑦ 第73条、第74条:商標抹消請求の規定について P.39
(8) 第八章 登録商標専用権の保護 P.40
① 第75条:他人の商標専用権を侵害する行為に、便宜を提供する行為の定義 P.40
② 第78条:違法経営額を計算する考慮要素の規定について P.40
③ 第79条:権利侵害製品が合法的に取得されたことを証明する情況の規定 P.41
④ 第80条:商標権侵害の製品であることを知らずに販売し、当該商品を合法的に取得したことを証明できる法的責任の規定 P.41
⑤ 第81条:商標権帰属に争議がある情況の定義について P.41
⑥ 第82条:商標権侵害案件における商標権侵害製品に対する鑑定手続きの規定 P.42
(9) 第九章 商標代理 P.42
(10) 第十章 附則 P.43
参考資料
1 改正法の条文・対照表
(1) 商標法全文 P.87
(2) 商標法対比表 P.104
(3) 商標法実施条例 P.130
インドにおける「商標の使用」と使用証拠
【詳細】
インドでは、商標法第2条(2)(c)において、「商標の使用」が定義されている。
インド商標法第2条(2)(c)
(c)標章の使用というときは、
(i)商品に関しては、物理的関係であるかまたはその他いかなる関係であるかを問わず、当該商品についての標章の使用をいうものと解釈する。
(ii)役務に関しては、当該役務の利用可能性、提供、または実施についての記述もしくはその一部としての当該標章の使用をいうものと解釈する。
商標は、商品または役務上で物理的に使用される必要があるが、商品に関してはそれ以外のあらゆる関係で使用することができる。したがって、請求書上での商標の使用もその商品に関連した使用として見なされる。カタログと商品資料の中での商標の使用も、実際に市場に商品が存在するということを前提とした商品に関連した使用と見なされる。さらに広告中で商標を使用することも、商品が市場において販売申し出されていることを条件とした商標の使用と見なされる。
すなわち、商標法下では、商品が市場において販売申し出されずに広告中に商標が使用されているだけの場合、商標法による定義にいう商標の使用を構成しない。また、商標中に複数の特徴が含まれる場合、商標の使用にあたりすべての特徴を含む必要はなく、それらの特徴が同時に見える必要もない。
使用証拠は、権限を有する者からの当該使用を確認する宣誓供述書によって提出されるのが一般的である。この宣誓供述書によって確認される主な事項は、実施事業、その商標の使用開始日、当該商標が使用される商品のリスト、当該商標に関する広告活動の性質とそれに関連して発生した経費、インド国内における当該商標が使用される商品の販売業者と配給業者数社の名称であり、当該商標が使用されてきた代表的な分野が記載されることもある。
売上高と広告に関する数値は年単位で示す必要がある。顧客に発行した請求書、伝票、領収書および、またはそれらの写しは裏付書類となる。新聞、雑誌、定期刊行物その他の広告媒体に表示された広告の見本はすべて、その商標の知名度を示す証拠となる。これら文書はすべて、宣誓供述書の添付書類となり、証拠として提出される。この宣誓供述書に加えて、商品と役務の販売業者、配給業者および消費者からの宣誓供述書を提出することも所与の確認をさらに強化することになるため望ましい。
個別案件において要求される使用の証拠の水準は、商標法における「商標」の要件に照らして、一般則としての商標の識別性等が不適切である程、高くなる。例えば、記述的な語句は不適切であるため、その識別性を立証するには強力な使用証拠が要求される。これは、地理的表示を有する名称または語句やその原産地である商品の製造場所を記述する名称または語句にも当てはまる。姓の場合は、稀な姓であれば、それが識別性を有するに至ったことを示す強力な使用証拠を要求されることはない。
〇まとめ
商標法が定義する商標の使用は、商品上での商標の実際の使用、または役務に関連した商標の実際の使用である。販売申し出されている商品が市場に存在することが広告の前提であるため、単に広告中に商標が用いられているだけでは商標の使用を構成しない。