韓国における商標の不使用取消審判制度
韓国では2013年10月6日と2016年9月1日に施行された改正商標法において、不使用取消審判制度の見直しが行われている。以下では、同改正内容も含めて不使用取消審判制度について詳しく紹介する。
(1)商標不使用取消審判における「不使用」の定義
(i)商標権者および商標使用権者の双方とも使用していない場合をいう。
(ii)商標登録後、取消審判請求日前に継続して3年以上、韓国国内で使用されていないことをいう。過去に使用していたが、審判請求日前3年以上継続して使用されていなかった場合も含まれる。
(iii)法律による規制または輸入制限措置等のように、商標不使用に対する正当な理由がある時には取消を免れることができる。
(2)請求の要件および効果
(i)審判請求人
商標不使用取消審判は、利害関係人だけでなく誰でも請求することができる(商標法第119条第5項)。
(ii)取消を請求できる範囲
登録商標の指定商品が2以上ある場合には、その指定商品の全部または一部について請求することができる(商標法第119条第2項)。
(iii)立証責任
商標使用についての立証責任は被請求人(商標権者)にあり、商標権者は登録商標の正当な使用を立証すれば、不使用取消を免れることができる(商標法第119条第3項)。
(iv)商標の使用
不使用取消審判において、商標の使用は登録商標と同一でなければならない。ただし、同一性が認定される範囲内での変形使用は、正当な使用として認定される。
(v)出願商標と先登録商標の同一・類似可否判断時点
2013年改正法以前は、出願商標と先登録商標の同一・類似可否判断時点が「出願時」であったため、商標出願後に先登録商標があることを理由に拒絶理由通知を受け、引用された先登録商標に対して不使用取消審判を請求した場合、不使用取消審判請求人は、出願中の商標を一旦放棄し、先登録商標に対する商標登録取消審決後に再度出願して審査を受けなければ、商標権を取得することができなかった。そのため、出願人にとって出願手続が2度必要になり、商標権取得に要する期間が長期にわたるという不便さがあった。
2013年改正法以降は、出願商標と先登録商標の同一・類似可否判断時点が「登録可否決定時」に変更された。この改正により、出願した商標について拒絶理由通知を受けた場合に、当該商標を一旦放棄、再度出願せずに商標登録が受けられるようになり、拒絶理由を解消するために不使用取消審判請求制度を活用することができるようになった(商標法第34条第2項)。
(vi)優先出願期間
上述のとおり2013年改正法以前は、不使用取消審判請求人は自身が出願していた商標を一旦放棄し、取消審決確定を受けた後に、不使用取消審判請求人は取消された商標と類似・同一の商標を再度出願する必要があった。そして、審判請求人は、取消審決確定後、審決確定日から6か月の間は、取消された商標と同一または類似する商標を、その指定商品と同一または類似する商品に対して優先的に登録を受ける権利を有するとされていた(旧商標法第8条第5項)。しかし、同一の商標について不使用取消審判を請求した者が複数いる場合、誰が優先出願権を有するかが明確ではなく、先に出願した者が商標登録を受けるとされていた。
そのため、2013年改正法以降は、商標不使用取消審判請求人の優先出願期間が廃止され、これに伴い不使用取消審判を請求する前に商標登録出願をするか、既に出願した商標を維持(商標出願の審査を維持)することが必要となった。
(vii)商標登録を取消された商標権者に対する制限
取消審決が確定した場合、商標権者は、3年間取消された商標と同一または類似する商標を、同一または類似する指定商品に対して受けることができない(商標法第34条3項)。
(viii)取消審判の審決が確定された場合、商標権の消滅時期
不使用取消審判により取消審決が確定された場合、その商標権は審判請求日に遡及され、消滅するものとみなす。(商標法第119条第6項)
(3)留意事項
・2013年10月6日改正法施行以前に請求した不使用取消審判、および商標登録出願については、旧商標法の規定が適用される。
・商標を出願して審査中に拒絶予告通知で引用された登録商標に対して不使用取消審判を請求した場合、出願中の商標を維持(商標出願の審査を維持)しなければ先出願の地位を有することができない。
・商標出願前の事前調査過程で同一または類似商標が検索された場合は、不使用取消審判を請求する前にまず商標出願することが望ましい。他人が先に出願すると、商標登録を受けることができないためである。
・「不使用」の基準は審判請求日を基準とするため、商標権者から商標権を譲り受ける交渉をする場合には、まず、商標不使用取消審判を請求することが望ましい。これは、交渉中に商標権者が商標を使用してしまうと、商標権者は不使用を免れることになるためである。
韓国における優先審判および迅速審判制度
【詳細】
1. 優先審判制度
優先審判制度については、審判事務取扱規程の第31条に定められている。
(1) 優先審判対象
優先審判の対象は、審判請求の当事者等が優先審判の申請をすることができる場合と特許審判院の職権で優先審判対象として決定することができる場合がある。
(i) 審判請求の当事者等が優先審判の申請をすることができる場合
(a) 侵害紛争の事前または予防段階に活用するために警告状等で疎明した権利範囲確認審判、無効審判または取消審判の場合
(b) 知的財産権紛争により社会的な物議を起こしている事件であって、当事者または関連機関から優先審判申請がある場合
(c) 国際間に知的財産権紛争が引き起こされた事件で当事者が属する国家機関から優先審判の申請がある場合
(d) 国民経済上緊急な処理が必要な事件、及び軍需品等戦争遂行に必要な審判事件であって、当事者又は関連機関から優先審判申請がある場合
(e) 薬事法第50条の2または第50条の3により特許目録に登載された特許権(一部の請求項のみ登載された場合は、登載された請求項に限定する)に対する審判事件として当事者から優先審判申請がある事件の場合(ただし、薬事法第32条または第42条による再審査期間の満了日が優先審判申請日より1年以後である医薬品と関連する特許権に対する審判事件は除外)
(ⅱ) 特許審判院の職権で優先審判対象として決定できる事件/場合
(a) 補正却下決定に対する審判事件
(b) 審決取消訴訟で取り消された事件
(c) 審査官が職権により無効審判を請求した場合
(d) 従前に拒絶査定不服審判があった出願に対して、取消審決後再び請求された拒絶査定不服審判事件
(e) 優先審査した出願に対する拒絶査定(韓国語「거절결정(拒絶決定)」)不服審判請求の事件
(2) 優先審判の申請
優先審判を申請しようとする者は、優先審判申請書へその事実を証明する書類を添付し、提出しなければならない。
(3) 申請受理後の手続
優先審判の請求がある場合、審判長は主審審判官と協議し、審判政策課から優先審判申請書の移管を受けた日から15日以内に優先審判の要否を決定し、これを当事者に通知する(審判事務取扱規程第31条第3項)。
優先審判対象として決定された審判事件については、口述審理、証拠調査、検証または面談等を活用して、優先審判決定日から4か月以内に処理することを原則としている。当該事件が複雑で、遅延する場合は、最終意見書受付日から2.5か月以内に処理することとなっている(審判便覧(第7 編第4 章))。
2. 迅速審判制度
迅速審判制度については、審判事務取扱規定の第31条の2に定められている。
上記の優先審判制度とは別に、迅速な審判が必要と認定される件は迅速審判をすることができる制度である。
(1) 迅速審判対象
迅速審判の対象は下記の通りとなる。
(a) 知識財産権侵害紛争で法院に係留中や警察または検察に入件する事件と関連する審判
(b) 当事者一方が相手方の同意を得て迅速審判申請書を答弁書提出期間内に提出した事件
(c) 無権利者の特許という理由によってのみ請求された無効審判件
(d) 法院が通報した侵害訴訟事件または貿易委員会が通報した不公正貿易行為調査事件と関連した事件として審理終結されていない審判事件
(2)迅速審判の申請
迅速審判を申請しようとする者は迅速審判申請書にその事実を証明する書類を添付し、提出しなければならない。両当事者が迅速審判に合意する場合には、当事者の一方が相対方当事者の同意書を添付し、答弁書提出期間内に迅速審判申請書を提出しなければならない。
(3)申請受理後の手続き
(a) 迅速審判対象事件に対して審判長は主審審判官と合意し、審判政策課から迅速審判申請書の移管を受ける日または関連機関からの通報事実が受付された日から10日以内に迅速審判該当可否を決定し、これを速やかに当事者に通報されなければならない。
(b) 当事者系事件のうち侵害訴訟関連事件、迅速審判申請書が提出された事件に対しては答弁書提出期間満了日から1か月以内に口述審理を開催し、口述審理開催日から14日以内に審決しなければならない。
(c) 口述審理を開催する必要がないと認められる事件は迅速審判決定日または新しい証拠が提出された場合、両当事者の意見書提出期間満了日のうち遅い日から2.5か月または最初の答弁書提出日から1.5か月以内に審決しなければならない。
【留意事項】
(1) 知財侵害紛争等が起こり、優先ないし迅速審判申請をすることができる事件に該当するようであれば、これらの制度を活用することが望ましい。
(2) 他人の特許権等を侵害したとして警告状を受けた場合、無効審判と権利範囲確認審判を同時に請求する場合がある。すなわち、警告してきた相手の特許権について公知技術による無効を主張しながら、自己の実施中の発明が警告してきた相手の特許権の権利範囲に属さないことの審決を求める消極的権利範囲確認審判を請求する場合がある。その際、権利範囲確認審判のみを優先審判として進行させる場合、不利な決定を受けるおそれがある。例えば、無効審判で一部無効と審決された後に権利範囲確認審判を進行させれば、一部無効である部分については当然ながら権利がないので、残りの一部分についてのみ自己の権利範囲に属さない旨を主張すればよい。しかしながら、権利範囲確認審判の方を先行させた場合、本来ならば無効審判で一部無効とされるべきである部分が同一であるという理由で、特許権者の権利範囲に属するという審決になる可能性がある。したがって、両事件について優先審査申請するかまたは併合審理を求めるか、あるいは、まず無効審判を請求し、無効審判の進行を見ながら権利範囲確認審判を請求することが望ましい。
台湾における特許無効審判制度の概要
【詳細】
台湾における特許無効審判の流れ
(1) 請求人
原則、誰でも請求可能(専利法第71条第1項、第2項)。ただし、共同出願違反と冒認出願の場合は、利害関係人のみ請求できる(同上第3項)。
(2) 請求期間
特許権存続期間中のみならず、消滅後も無効審判の請求が可能である。ただし、特許権消滅後は、特許権を無効にすることにより回復する法律上の利益を有する者のみ請求できる(専利法第72条)。つまり、特許権存続中であれば原則として誰でも審判請求ができる。無効理由についても、特許権消滅後は、特許を無効にすることで回復する法律上の利益を有する者でなければ、審判請求できない。
(3) 無効理由
以下の法定列挙された理由に限り、無効審判の根拠にできる(専利法第71条第1項)。無効審判を請求する理由があるかどうかは、その特許査定時の規定に基づくが、第34条第4項、第43条第2項、第67条第2項、第4項又は第108条第3項の規定に違反する事由を以て無効審判を請求する場合は、無効審判請求時の規定による(専利法第71条第3項)。
条文番号 | 概要 |
第21条 | 発明の定義違反 |
第22条第1項柱書 | 産業上の利用性違反 |
第22条第1項 | 新規性違反 |
第22条第2項 | 進歩性違反 |
第23条 | 拡大先願違反 |
第24条 | 特許を受けられない発明違反 |
第26条 | 明細書・請求項の記載要件違反 |
第31条 | 先願主義違反 |
第32条第1項、第3項 | 特許実用新案同日出願違反 |
第34条第4項 | 分割における新規事項追加違反 |
第43条第2項 | 補正における新規事項追加違反 |
第44条第2項、第3項 | 外国語出願の中国語翻訳文の原文超過違反 |
第67条第2項~第4項 | 訂正における出願時新規事項追加違反等 |
第108条第3項 | 出願変更における新規事項追加違反 |
第71条第1項第2号 | 特許権者が属する国が台湾の特許出願を受理しない場合 |
第71条第1項第3号 | 共同出願違反または冒認出願該当 |
第71条第1項第3号のみ、審判請求の際に利害関係が要求される。また、冒認出願については、特許公告日から2年以内に無効審判を請求しなければ、冒認出願された特許を取り戻すための出願手続きができなくなる(専利法第35条第1項)。
(4) 審判手続
(i) 書類
無効審判の声明および理由を明記した申請書並びに証拠を提出する(専利法第73条第1項)。利害関係人のみが請求できる無効理由に基づく審判請求の場合、請求人は無効審判請求書によって利害関係人に該当することを声明し、証拠を提出しなければならない。証明書類が提出されず、または証明が不足である場合、台湾特許庁は補正するよう請求人に通知しなければならない。そして、請求人が所定の期間内に補正しない場合、台湾特許庁は無効審判の請求を受理しない決定をしなければならない(専利審査基準第5編第1章2.1.2「利害関係人」)。
(ⅱ) 手続
無効審判請求受理後、台湾特許庁は副本を特許権者に送達する(専利法第74条第1項)。特許権者は送達の翌日から1か月以内に答弁書を提出する。先に理由を述べて期日の延長が認められた場合を除き、期日までに答弁しないときは、そのまま審理を進めるものとする。(専利法第74条第2項)。
(ⅲ) 補正
請求理由および証拠の補足は請求日から1か月以内にしなければならないが、審決前に提出した理由および証拠であれば、参酌される(専利法第73条第4項)。
(ⅳ) 訂正
特許権者は特許の内容を訂正することが可能であり(専利法第67条第1項)、無効審判係属中に訂正を行うと、その訂正手続と無効審判手続は併合審査される。その訂正が認められる場合、訂正後の明細者等が審判請求人に送達される(専利法第77条第1項)。訂正の効果は出願日まで遡及し、訂正後の内容で出願されたことになる(専利法第68条第3項)。
(v) 審査
指定された審査官により審査が行われ、審決書が作成され、審判請求人および特許権者に送達される(専利法第79条第1項)。審査においては、台湾特許庁は請求または職権により、相当の期間を指定して、特許権者に対し面接、必要な実験、模型または見本の提出をするよう命じることができる(専利法第76条第1項)。無効審判の対象となる特許が権利侵害訴訟に関係する場合、無効審判が優先的に審査される場合がある(専利法第101条)。
(ⅵ) 取下げ
審判請求人は審決が出される前まで、無効審判を取り下げることができるが、特許権者が既に答弁書を提出した場合、特許権者の同意を得なければ無効審判を取り下げることができない(専利法第80条第1項)。特許権者は取下げ通知送達後10日以内に反対の意思表示をしないと、取り下げに同意したものとみなされる(専利法第80条第2項)。
(5) 審決
無効理由の有無は、各請求項単位で判断される(専利法第82条第1項)。無効にする審決が出た後、審決を不服として訴願手続を行わない場合、或いは訴願手続によっても審決が覆らない場合に審決は確定し、特許権は最初から存在していなかったことになる(専利法第82条第2項)。特許維持審決が出た場合、一事不再理の原理により、何人も同一事実または証拠に基づいて、再度無効審判を請求することができない(専利法第81条)。
(6) 不服申立
審決書送達日の翌日から30日以内に、経済部に訴願書を提出して、審決への不服を申し立てることができる(訴願法第4条、同第14条)。
【留意事項】
2013年1月1日より現行法が施行されたが、無効審判における主な改正点として、複数の無効審判請求の併合審査(専利法第78条)、無効審判請求人が提出しなかった無効審判請求範囲における理由若しくは証拠についての職権審査(専利法第75条、第120条および第142条)、および、訂正請求と無効審判請求が同時継続の場合の併合審査(専利法第77条第1項、第120条および第142条)などを挙げることができる。加えて、分割請求、変更出願、訂正請求において出願時の範囲を超え、または実質的に公告時の専利権範囲の拡大・変更された場合の無効理由の適用について、現行法施行前に登録査定がなされた専利権に対しても無効審判を請求できるとした点は、注意を要する(専利法第71条第3項、第119条第3項および第141条第3項)。
(台湾)専利審査・無効審判、訴願中の第三者による閲覧について
(1) 第三者による専利審査あるいは無効審判のファイルの閲覧について
(i) 請求人と閲覧できる資料
(a) 一般的な第三者(専利閲覧規則(中国語「専利閲覧作業要點」)第2点)
誰でも閲覧できる情報は下記のとおりである。
・開示された特許出願案件。
・公告された特許、実用新案又は意匠の案件。
・取下げられた案件、受理されなかった案件、審決済みの異議申立案件、無効審判案件、訂正請求案件、特許権期間延長案件又は強制実施案件。
・取下げられた実用新案技術評価書の案件、受理されなかった実用新案技術評価書の案件、又はすでに作成された実用新案技術評価書。
(b) 利害関係のある第三者(専利閲覧規則第4点)
係争専利権に対し、その権利あるいは法律上の利益を有する関係者(例えば専利の出願人が実際の発明者でなく、真正の発明者が閲覧請求をする場合)が閲覧できる資料は、上述のような一般的な第三者が閲覧できる資料の他、以下の資料がある。
・審査中の訂正請求案件、無効審判案、特許権期間延長案件、強制実施案件、又は実用新案技術評価書請求案件。
・無効審判請求人は当該無効審判案件のすべてのファイルを閲覧請求することができる。
・利害関係人は鑑定人又は代理人(専利師及び専利代理人に限らない)に依頼して閲覧請求することができる。
(ii) 請求手続き(専利閲覧規則第8点)
(a) 一般的な第三者
一般的な手続き:台湾特許庁への閲覧請求は文書で行う必要があり、その際、閲覧請求書に閲覧内容及び趣旨を記載しなければならない。
・特許庁E網通ウェブサイト(http://tiponet.tipo.gov.tw/TipoMenu/)でのオンライン検索の場合は、閲覧請求書の提出は不要である。このサービスは、2011年3月1日から実施されている。
(特許庁のお知らせ:
https://www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=319270&CtNode=7526&mp=1)
・オンラインで閲覧できる具体的な項目
請求書の電子ファイル、明細書の補正、図面、補正請求理由書、応答意見書、訂正請求理由書、再審査請求理由書、分割請求理由書、変更理由書、最初の外国語明細書、特許庁公文書の控え又は添付された映像ファイル(検索報告書なども含まれる)。
・開示された専利情報を日本語で検索できる(閲覧できるデータは中国語であるが、データの種類によりウェブページに実装されているMicrosoft Translatorで日本語を含む諸外国語に翻訳することが可能である)。
特許庁E網通、開示された専利情報の検索(https://tiponet.tipo.gov.tw/S090/UC090-C06/InquiryPatentCaseCensorInfo.do)
(b) 利害関係を有する第三者(専利閲覧規則第8点)
・利害関係人は、閲覧請求書に閲覧請求の根拠となる自己の法律上の利益について釈明し、関連証明資料のコピーを添付しなければならない。
・現在、特許庁のE網通ウェブサイトで提供されている情報は、一般の第三者が閲覧できるものであり、これには応答意見書等がある。利害関係を有する第三者が、非公開の書類、即ち一般の第三者に開放されていない書類を取り寄せたいときは、書面をもって台湾特許庁に請求しなければならない。
(c) 閲覧請求時に注意すべき事項及び閲覧規則(専利閲覧規則第8、9、10点)
・閲覧請求に形式的なフォームに該当しない場合、または不備がある場合、特許庁は7日内に補正するよう請求人に通知しなければならない。補正できない場合や、期限を過ぎても補正しない場合は直ちに却下することができる。
・特許庁は閲覧請求を受理後10日以内に決定を下し、請求人に通知しなければならない。なお、必要である場合はこれを延長することができるが、延長期間は10日を過ぎてはならない。特許庁が閲覧を許可したときは、合わせて閲覧の期日及び場所を指定する。
・閲覧は指定された場所でしなければならず、閲覧場所からファイルを持ち出すことはできない。
・専利案件が電子ファイルによって保存されている場合、原則として映像ファイルまたは複製品を閲覧させる。
(iii) 閲覧できないもの(専利閲覧規則第7点、行政手続法(中国語「行政程序法」)第46条)
他人の営業秘密又はプライバシーに関係するもの。
特許庁内部文書、内部の稟議書、書簡の原稿、意見あるいはその他の下準備における文書。但し特許庁の同意を得て提供する場合は、この限りでない。
国防上、軍事上、外交及び一般的な公務上の機密に係わり、法律により機密保持しなくてはならない事項。
行政手続法第46条第2項(処分が下される前のドラフト又はその他の下準備における文書、プライバシー、職務上の秘密、営業秘密、法律により機密保持の必要のある事項、第三者の権利を侵害する恐れがあるもの等)、政府情報公開法(中国語「政府資訊公開法」)第18条第1項、あるいはファイル法(中国語「檔案法」)第18条各号規定の状況。
(iv) 請求に要する期間(専利閲覧規則第9点)
特許庁は、閲覧請求の受理後10日以内に決定を下す。必要である場合これを延長できるが、遅くとも請求後20日以内には決定がなされる。
(2) 専利案の訴願手続きにおける第三者の閲覧について
(i) 請求人の資格と閲覧できる資料(経済部訴願案件閲覧規則(中国語「經濟部訴願案件閲覧作業要點」)第3点)
(a) 一般的な第三者
訴願請求人の同意を得て、かつ訴願受理機関の許可を得た者は、訴願受理機関に対しファイルの文書の閲覧、謄写、コピー又は撮影を請求することができ、政府料金を先に納付した場合は副本、控え又は謄本を請求することができる。
(b) 利益利害関係を有する第三者
・第三者は閲覧請求の根拠となる自己の法律上の利益について釈明し、訴願受理機関の許可を得た場合、訴願受理機関に対しファイルの文書の閲覧、謄写、コピー又は撮影を請求することができ、政府料金を先に納付した場合は副本、控えまたは謄本を請求することができる。
・第三者である無効審判請求人が訴願委員会により訴願参加人とされ、その通知を受けたものは、訴願参加人として訴願受理機関に対しファイルの文書の閲覧、謄写、コピーまたは撮影を請求することができ、政府料金を先に納付した場合は副本、控えまたは謄本を請求することができる。
(ii) 請求のプロセス及び留意事項(經済部訴願案件閲覧規則第4、5点)
閲覧請求する際は請求書をもって、案件毎に經済部に請求しなければならない。請求書には、請求事項、請求人の氏名、住所、電話番号、本件との関係、訴願人の氏名、要旨、案件番号等の事項を記載しなければならない。
第三者が請求する際は、訴願人の同意を得た証明、あるいは法律上利害関係があることを釈明する文書を添付しなければならない。
經済部は、閲覧請求の受理後10日内に閲覧期日及び場所を指定し、請求人及びと案件の担当者に通知する。ファイルと証拠の準備が整っていないとき、又はその他正当な理由があるときは、ファイルと証拠の準備が整った後に改めて期日を指定し、当該事由を請求人に通知するものとする。
(iii) 閲覧できないもの(經済部訴願案件閲覧規則第8点
・訴願裁決のドラフト。
・訴願裁決の準備あるいは審議の資料。
・第三者の正当な権益を守るために機密保持される必要があるもの。
・法律または公益により,機密保持される必要があるもの。
(iv) 請求に要する期間(經済部訴願案件閲覧規則第5点)
經済部は、閲覧請求の受理後10日以内に許可するか否かの決定を下す。但しファイルと証拠の準備が整っていないとき、又はその他正当な理由があるときは、改めて新たな場所と期日を指定するものとする。
【留意事項】
台湾の特許出願、実用新案登録出願、または意匠出願の審査手続きにおける往復書類を閲覧したい場合は(実用新案の場合は、2012年5月以降に公告されたものに限られ、意匠の場合は、2012年6月以降に公告されたものに限られる)、台湾特許庁E網通で検索することが可能である。
現在、日本語バージョンも提供されている。
台湾特許庁E網通https://tiponet.tipo.gov.tw/S090/UC090-C06/InquiryPatentCaseCensorInfo.doにアクセスすると下記検索画面が表示される。
検索画面
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インドにおける意匠制度の運用実態
【詳細】
ブラジル・メキシコ・コロンビア・インド・ロシアの産業財産権制度及びその運用実態に関する調査研究報告書(平成27年3月、日本国際知的財産保護協会)第2部-IV-D
(目次)
第2部 各国の産業財産権制度・運用調査結果
IV インド共和国
D 意匠 P.291
1 産業財産権制度の枠組 P.291
2 出願・登録の手続 P.297
3 審査業務 P.298
4 統計情報 P.300
5 ハーグ協定ジュネーブアクト P.303
参考資料 総括表
D 意匠 P.415
ロシアにおける意匠制度の運用実態
【詳細】
ブラジル・メキシコ・コロンビア・インド・ロシアの産業財産権制度及びその運用実態に関する調査研究報告書(平成27年3月、日本国際知的財産保護協会)第2部-V-D
(目次)
第2部 各国の産業財産権制度・運用調査結果
V ロシア連邦
D 意匠 P.369
1 産業財産権制度の枠組 P.369
2 出願・登録の手続 P.380
3 審査業務 P.382
4 統計情報 P.383
5 ハーグ協定ジュネーブアクト P.385
参考資料 総括表
D 意匠 P.415
ブラジルにおける意匠制度の運用実態
【詳細】
ブラジル・メキシコ・コロンビア・インド・ロシアの産業財産権制度及びその運用実態に関する調査研究報告書(平成27年3月、日本国際知的財産保護協会)第2部-Ⅰ-D
(目次)
第2部 各国の産業財産権制度・運用調査結果
Ⅰ ブラジル連邦共和国
D 意匠 P.50
1 産業財産権制度の枠組 P.50
2 出願・登録の手続 P.58
3 審査業務 P.60
4 統計情報 P.65
5 ハーグ協定ジュネーブアクト P.69
参考資料 総括表
D 意匠 P.415
ブラジルにおける商標制度の運用実態
【詳細】
ブラジル・メキシコ・コロンビア・インド・ロシアの産業財産権制度及びその運用実態に関する調査研究報告書(平成27年3月、日本国際知的財産保護協会)第2部-Ⅰ-E
(目次)
第2部 各国の産業財産権制度・運用調査結果
Ⅰ ブラジル連邦共和国
E 商標 P.71
1 産業財産権制度の枠組 P.71
2 出願・登録の手続 P.81
3 審査業務 P.84
4 統計情報 P.88
参考資料 総括表
E 商標 P.418
ロシアにおける商標制度の運用実態
【詳細】
ブラジル・メキシコ・コロンビア・インド・ロシアの産業財産権制度及びその運用実態に関する調査研究報告書(平成27年3月、日本国際知的財産保護協会)第2部-V-E
(目次)
第2部 各国の産業財産権制度・運用調査結果
V ロシア連邦
E 商標 P.387
1 産業財産権制度の枠組 P.387
2 出願・登録の手続 P.396
3 審査業務 P.398
4 統計情報 P.399
参考資料 総括表
E 商標 P.418
中国改正商標法関連規定の主な改正点
【詳細】
中国・改正商標法マニュアル(2015年3月、日本貿易振興機構 進出企業支援・知的財産部 知的財産課)一の3、4、5、6、7
(目次)
一 改正法及び関連規定の主な改正点
3 馳名商標認定保護規定 P.44
(1) 第2条:馳名商標の概念の明確化 P.44
(2) 第3条、第5条、第6条、第7条:馳名商標の認定機関及び認定申請のルートの明確化 P.45
(3) 第4条:馳名商標の認定規則の明確化 P.46
(4) 第8条:当事者の責任の明確化 P.46
(5) 第9条:馳名商標の証拠に対する要求の細分化 P.46
(6) 第10条、第11条、第12条:馳名商標保護請求の処理期限についての改正 P.47
(7) 第13条、第14条、第15条:地方工商部門の馳名商標に関わる業務職責の明確化・細分化 P.49
(8) 第17条:商標局による認定取消しの新設 P.49
(9) 第18条、第19条、第20条:馳名商標に関わる各級の工商部門の職責及びその職員の責任及び監督の明確化 P.50
(10) 条項の削除:原規定の第9条、第13条 P.50
4 商標評審規則 P.51
(1) 第一章 総則 P.51
① 第2条:審判案件の審理の規範化、商標審判案件の種類及び係争商標の呼称の明確化 P.51
② 第3条、第5条:データ電文方式による審判書類を提出・送達する規定の追加 P.53
③ 第8条第2項:和解に合意した案件の商標評審委員会による継続的な審理 P.53
(2) 第二章 請求及び受理 P.54
① 第20条:当事者の提出した副本が要求に合致しない場合の法的結果の明確化 P.54
② 第23条:挙証期間満了後に提出する証拠の規範化 P.54
③ 第26条:商標の譲渡又は移転後の案件審理の規範化 P.55
(3) 第三章 審理 P.55
① 第30条:当事者の合法的な権利の保障及びプロセスに関する規定のさらなる整備 P.55
② 第31条:先行権利案件の結果を待つという規定の追加 P.56
③ 第35条:審判決定・裁定の商標局への引き渡し、執行時間の延長 P.57
④ 第36条:審判決定・裁定を下した後の撤回及び更正に関する規定の追加 P.58
⑤ 第37条:人民法院の判決を執行するための再審プロセスの規範化 P.59
(4) 第四章 証拠規則 P.60
① 第38条第2項:証拠形式の明確化 P.60
② 第44条第2項:証拠調べの必要性の規定 P.60
(5) 第五章 期間、送達 P.61
① 第53条:提出形式及び提出期間の計算方法及び提出文書に対する要件 P.61
② 第54条:文書送達の効率の向上 P.62
③ 第55条:外国当事者の法律文書の送達方式 P.63
(6) 第六章 附則 P.64
① 第57条:新旧法適用の基本原則の確定 P.64
5 工商総局による改正実施後の「中華人民共和国商標法」に関する問題の通知 P.66
(1) 商標登録事項について P.66
① 各種の商標登録出願案件、異議申立案件が適用する法律の問題について P.66
② 商標案件審査期限の計算問題 P.66
(2) 商標審判について P.67
① 各種の商標審判案件の適用する法律について(2014年5月1日以降に審理する案件) P.67
② 商標審判案件の審査期限を計算する問題について P.67
(3) 商標監督管理について P.67
① 商標違法行為の時間と適用法律に関する問題について P.67
② 「馳名商標」を使用する行為に対して適用する法律の問題について P.67
6 商標評審委員会による商標法改正決定実施後の商標審判案件に関する問題の通知 P.68
(1) 商標法改正決定施行前に提出した争議案件 P.68
(2) 異議申立不服審判の請求について P.68
(3) 審判案件の文書様式について P.68
(4) 審判案件の費用を納付する規定について P.69
7 最高人民法院「改正商標法の施行決定後の商標事件の管轄と法律適用の問題に関する解釈」 P.70
(1) 第1条:人民法院が受理する商標事件のタイプ P.70
(2) 第2条、第3条:案件を管轄する規定について P.71
(3) 第5条~第9条:各類の商標案件の適用する法律の規定について P.71
参考資料
1 改正法の条文・対照表
(4) 馳名商標認定保護規定 P.150
(5) 商標評審規則 P.157
(6) 工商総局による改正実施後の「中華人民共和国商標法」に関する問題の通知 P.169
(7) 最高人民法院「改正商標法の施行決定後の商標事件の管轄と法律適用の問題
に関する解釈」 P.171
(8) 商標評審委員会による商標法改正決定実施後の商標審判案件に関する問題の通知 P.174