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タイにおける商標出願に際しての指定商品および役務の書き方

 タイは2013年3月1日付でニース協定に基づく国際分類第10版を採用した。第10版には、34の商品分類(第1類から第34類)と11の役務(サービス)分類(第35類から第45類)がある。商標登録を求める出願人は、一般的にこの分類に従い指定商品・指定役務を記載するが、タイにおいては、さらに明確かつ具体的な記述を求められる場合がある。タイでの商標出願において、商標登録官に認められるための指定商品・指定役務(サービス)の書き方について解説する。

 

指定商品・指定役務(サービス)の記載

 タイ商標法第9条に基づき、商標登録出願は特定の商品を指定して行うことができる。なお、2016年7月28日施行の改正法により「An application may not cover goods of different classes.」の条項が削除され、複数区分の指定商品または役務をまとめて1件の出願にする(一出願多区分)または、区分ごとに複数出願するかを選択できるようになった。

ただし、2018年現在の実務においては、出願後に区分毎への出願の分割が認められておらず、複数区分を含む出願が一部の区分に対し拒絶を受けた場合、拒絶を受けなかった区分の登録手続を先に進めることができない。このため、出願を選択する際には注意が必要である。

 

 タイ商標法第9条においては、「商標登録出願は、1分類または異なる分類の何れかにおいて特定の商品に関してできるが、保護を求める各々の商品を明確に特定しなければならない。商品分類は大臣の告示により、これを定める。」としている。

 

 多くの出願人は、商標出願に際して、広範な表現を用いてその指定商品・指定役務(サービス)を特定することにより、可能な限り広範な保護を受けることを望んでおり、事業および商品の将来的な拡大や展開に備えようとする。しかしながら、タイの商標登録官は、商標分類見出し(クラス・ヘッド)やサブクラス見出し(サブクラス・ヘッド)などの広範な記述を認めないため、指定商品・指定役務(サービス)は細かく指定しなければならない。

 

 一方、過度に詳細な記述は、指定した商品が他の分類に属することがあり、指定商品を削除しなければならなくなる要因ともなる。さらに出願人は、下記の様な記載を避ける必要がある。

  例:「を含む(including)」、「特に(especially)」、「それの(thereof)」、「例えば(for

 example)」、「などの(such as)」

 

 1指定商品・役務(1区分)1,000バーツ、6指定商品・役務以上(1区分)、一律9,000バーツの手数料を納付する必要があり、実務上、願書に通し番号を付して指定商品・指定役務を記載することが一般的である。

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指定商品・役務の数に関する補正

 近年、タイの商標登録官は、補正する指定商品が出願時に記載した広範な記述の範囲内であっても、出願時の指定商品・指定役務の数が増える補正を拒絶している。このことを念頭に置き、出願人は商標出願を行う際に、指定商品・指定役務を詳細に記載しなければならない。

 

不適切な記載と適切な記載例

 以下に、指定商品・指定役務の記載に関する不適切な例と適切な例を紹介する。

 

  ・第1類:「化学品」および「工業用化学品」という記述は不適切であるため、出願人は、例えば、「化粧品産業用化学物質」、「化学産業用化学物質」のように、より詳細に商品を記載しなければならない。この分類には、医療用化学品が含まれないため、「医療用または獣医科用以外の」という記述は使用することができる(例えば、「医療用または獣医科用以外の実験室における分析用の化学薬剤」)。

 

  ・第3類:「化粧品」、「メークアップ」、「香水類」という記述は不適切であり、より具体的に記載する必要がある。従来は、「目、唇、頬および頭髪に使用する化粧品」という記述は適切であると見なされていたが、現在では認められない。ただし、「フェイシャルメークアップキット」、「フェイシャルスキンケア用化粧品キット」および「ボディスキンケア用化粧品キット」という記述は認められる。「香水類」に代えて、出願人は、「香水」、「オーデコロン」、「オードトワレ」を使用することができる。

 

  ・第5類:出願人は、指定商品の記述が不明確であり、他の分類に属する可能性がある商品を本類にて特定するために「医療用」という記述を使用することができる。例えば、「医療用栄養添加物」、「医療用栄養補助食品」、「医療用食餌療法飲料」等の記載が認められる。

 

  ・第7類:出願人は、不明確な指定商品を特定するために「機械」または「機械の部品」という記述を使用することができる。例えば、「ボール盤(機械)」、「電動カッター(機械)」、「コーキングガン(機械の部品)」、「エアスプレーガン(機械の部品)」、「バルブ(機械の部品)」、「クランクケース(機械の部品)」等の記載が認められる。

 

  ・第10類:他の分類に属する可能性がある商品を本類にて特定するために、出願人は、「医療用」という記述を加えることができる。例えば、「医療用X線装置」、「医療用X線写真」、「医療用X線チューブ」、「医療用X線保護装置」等の記載が認められる。

 

  ・第25類:「ズボン(pants)」および「靴」という語は不適切な記載となる。「ズボン」という語は、「ズボン(スポーツ用ズボンおよびズボン下は除く)」、「スポーツ用ズボン」、「ズボン下」等と明記しなければならない。同様に、「靴」は、「靴(スポーツ靴を除く)」または「スポーツ靴」等に分けなければならない。

 

  ・第28類:「玩具」という語は不適切な記載となるが、「プラスチック製玩具」、「ゴム製玩具」、「金属製玩具」および「紙製玩具」という語は認められる。

 

  ・第35類:「小売業」という記述は不適切となる。このサービスについて広範な保護を求める出願人に対しては、「小売業向け事業管理支援」等の記述が推奨される。

 

商標登録官へのアプローチ

 国際分類表に記載されている指定商品・指定役務は、商標出願時の指定商品・指定役務の記載を考える上でも、有用かつ一般的な指針となるものであるが、例示が限られており、タイにおいては十分な指針とはならない。さらに、記載されている指定商品・指定役務がタイの商標登録官に認められないものもある。

 

 商標登録官とのやり取りの経験は、登録官が認める記載要件を理解する上で重要である。しかしながら、明確な運用指針で定められている訳では無いことから、過去に出願人が登録した商品が後に認められなくなる場合もある。したがって、商標登録官とのやり取りについては予想できない展開もあるが、現行のプラクティスを十分に理解して、方策を講じることが重要である。

マレーシアにおける修正実体審査請求

1.修正実体審査請求

 マレーシア出願においてクレームされている発明と同一または実質的に同一の発明について、所定の国で、出願人に対して(ただし、権利の移転により当該所定国での出願人とマレーシア出願の出願人が異なる場合、その当該国の出願人に対して)特許またはその他の工業所有権保護の権利が付与されている場合、特許法第29条A(1)に基づき、修正実体審査を請求することができる。修正実体審査の請求は所定のFormの提出により行う。(Form 5A)

 

 修正実体審査の請求は、パリルートによる出願の場合にはマレーシア出願日から18か月以内(規則27(1))、PCTルートによる出願の場合には国際出願日から4年以内(規則27A(1A))に行わなければならない。

修正実体審査では以下の書類を添付しなければならない。(規則27A(3))

所定の国において、または所定の条約を基に出願人または前権利者に対して付与された特許またはその他の工業所有権保護の権利についての認証謄本。かかる特許またはその他の工業所有権保護の権利が英語でない場合には、英語による認証翻訳文。

所定の国による、または所定の条約に基づく特許またはその他の工業所有権保護の権利が付与された発明の明細書、クレームまたは図面が、形式的事項は別として、マレーシア出願でクレームされている発明の明細書、クレームまたは図面と実質的に同一でない場合には、それらを一致させるための補正。

ここで、「所定の国」とは、オーストラリア、日本、韓国、英国または米国を意味し、「所定の条約」とは欧州特許条約を意味する(規則27A(5))。

 

 つまり、修正実体審査においては、外国で(所定の国でまたは所定の条約に基づいて)付与された特許が英語による場合には、その特許を発行した特許庁が証明した特許を証明する書類と、もし必要なら補正を提出すればよい。外国で付与された特許が英語によらない場合には、その特許を発行した特許庁が証明した外国語の特許を証明する書類とは別に、特許を証明する書類の英訳を翻訳者の証明書(宣誓書)とともに提出することが必要である。

 

 日本国特許庁の審査結果に基づきマレーシアにおいて修正実体審査を請求する場合には、日本国特許庁が認証した特許公報とその英訳、翻訳者による宣言書、および出願人による宣言書を提出することが必要である(ただし、出願人による宣言書は提出を求められない場合もある。)。

 

 修正実体審査の請求はその猶予の申立をすることができる。申立は修正実体審査を請求すべき期間内に行わなければならない。(特許法第29条A(6))

 認められる猶予期間は出願日(PCTルートの場合には国際出願日)から最大5年である。(規則27B(2))

 修正実体審査請求の猶予の申立は、請求の基礎とする所定の国での出願が特許になっていない場合や、認証書類が入手できない場合に行うことができる。(Form 5B)

 猶予期間内に修正実体審査の請求ができない場合には、猶予期間満了後から3か月以内に通常の実体審査請求を行うことができる。(規則27B(3))

 

2.通常の実体審査請求と修正実体審査請求との比較

 

通常の実体審査請求

修正実体審査請求

(1)特許庁費用

RM1100(約USD275)

RM640(約USD160)

(2)請求時に提出すべき書類

a)マレーシア出願でクレームされた発明と同一または実質的に同一の発明について、オーストラリア、日本、韓国、英国および米国において出願された出願、並びにEPCおよびPCTの下に出願された出願の出願日と出願番号の情報

(規則27(3)(a))

マレーシア出願でクレームされた発明と同一または実質的に同一の発明について、オーストラリア、日本、韓国、英国、若しくは米国において、または欧州特許条約の下に付与された特許を証明する書類の認証謄本と、その特許を証明する書類が英語でない場合にはその証明付英語訳(規則27A(3)(a))

b) マレーシア出願でクレームされた発明と同一または実質的に同一の発明について、オーストラリア、日本、韓国、英国若しくは米国において、または欧州特許条約の下に付与された特許の番号

(規則27(3)(b))

c) マレーシア出願でクレームされた発明と同一または実質的に同一の発明について、オーストラリア、日本、韓国、英国、米国、または欧州の特許庁(特許協力条約に基づく国際調査機関または国際予備審査機関の場合も含む)による、調査または審査結果と、その調査または審査結果が英語でない場合にはその証明付英語訳

(規則27(3)(c))

(3) 補正要否

補正は必須ではないが、審査促進のためには上記(2)で述べた特許のクレームに、マレーシア出願のクレームを一致させる補正を自発的に行うのが望ましい。

マレーシア出願のクレームを上記(2)で述べた特許のクレームに一致させる補正が必要である。(規則27A(3)(b))

 

 外国(所定の国)の出願が特許されていることがその発明の主題に特許性があることの一応の証拠となるので、修正実体審査を請求することにより審査が促進される。修正実体審査においては、審査官は、原則、マレーシア出願と外国で特許された出願とが一致しているかどうかについての審査を行い、(特別な状況の例外を除いて)先行技術調査を行わず、また、進歩性、単一性、明細書の記載要件、クレームの明確性等について審査は行わない。

 

 ただし、注意すべき点として、発明の主題が対応国で特許性があったとしても、マレーシアで特許を受けることができない主題であってはならない。特許法第13条によれば、人間または動物の進退についての治療または診断方法、ビジネス方法、発見、科学理論、数学的方法、植物若しくは動物の品種、植物若しくは動物を生産するための本質的に生物学的な生産方法などは、特許を受けることができない。

 

3.特許審査ハイウェイ(PPH)

 マレーシアと日本との間のPPH試行プログラムは2014年10月1日より始まり、2017年9月30日まで実施された。その後3年間延長され2017年10月1日から2020年9月30日まで実施される。また、マレーシア知的財産公社(MyIPO)と日本特許庁(JPO)は同プログラムを必要に応じて延長していく予定である。

 

 PPHは、通常の実体審査請求と同時またはその後に申請する。MyIPOがその出願の実体審査に着手していないときに限ってPPHの対象候補となる。

マレーシア出願においてPPHを申請するための要件は以下のa~eである。

 a. PPHを申請するマレーシア出願およびPPHの基礎とする日本出願において、優先日あるいは出願日のうち、最先の日付が同一であること。

 b. 対応する日本出願があり、JPOにより特許可能とされたまたは特許されたクレームが一つ以上あること。

 c. PPHの下で審査される全てのクレーム(出願時のクレームあるいは補正されたクレーム)がJPOにより特許可能とされたクレームの一つ以上と十分に対応していること。

 d. PPHの申請時に、MyIPOがその出願の審査を始めていないこと。

 e. PPHの申請時またはそれ以前に、通常の実体審査請求が行われていること。

 

 PPHの申請時には、以下の(a)~(d)の書類を添付して提出する必要がある。

(a)対応する日本出願に対してJPOから発行された(JPOにおける特許性の実体審査に関連する)全てのオフィスアクションの写し、およびその翻訳

 マレー語または英語が翻訳言語として利用可能である。JPOのオフィスアクションとその翻訳がAIPN(JPOの「ドシエ・アクセス・システム」:各国特許庁が有する審査関連情報を照会するシステム)により提供されている場合には、MyIPOの審査官はAIPNによりオフィスアクションの写しとその機械翻訳を入手できるので、出願人はそれらを提出する必要はない。MyIPOの審査官がAIPNによりオフィスアクションおよびその翻訳を得ることができない場合には、出願人には必要書類を提出するよう要請される。

 

(b)対応する日本出願で特許可能と判断されたすべてのクレームの写し、およびその翻訳

 マレー語または英語が翻訳言語として利用可能である。JPOにおいて特許可能と判断されたクレームがAIPNにより提供されている場合に、MyIPOの審査官はAIPNによりクレームの写しとその機械翻訳を入手できるので、出願人はそれらを提出する必要はない。MyIPOの審査官がAIPNによりクレームを得ることができない場合には、出願人には必要書類を提出するよう要請される。

 

(c)JPOの審査官が引用した引用文献の写し

 引用文献が特許文献の場合、MyIPOが通常所有しているため、出願人はそれらを提出する必要はない。MyIPOが特許文献を所有していない場合には、出願人は審査官から要求に応じてその特許文献を提出する必要がある。非特許文献は必ず提出しなければならない。引用文献の翻訳は不要である。

 

(d)クレーム対応表

 PPHを申請する出願人は、マレーシア出願の全てのクレームが、対応する日本出願で特許可能とされたまたは特許となったクレームと十分に対応していることを示すクレーム対応表を提出しなければならない。クレームが直訳である場合、出願人は対応表において「それらは同一である」と記載することができる。クレームが直訳でない場合には、互いに十分に対応していることを説明する必要がある。

 

 上記(a)および(b)における翻訳は機械翻訳でも認められる。ただし、翻訳が不十分のため翻訳されたオフィスアクションやクレームを審査官が理解できない場合には、審査官は出願人に翻訳の再提出を求めることができる。

 最近の傾向では、PPH申請より3~4か月で審査報告書が発行される。

 

4.修正実体審査請求とPPH申請との比較

 

修正実体審査請求

PPH申請

請求または申請の基礎とする対応国(その条件)

オーストラリア、日本、韓国、英国、米国、または欧州特許条約の下(いずれかにおいて特許が付与された場合)

日本(対応する日本出願においてクレームが特許可能または特許となった場合)

提出書類の条件

外国で付与された特許を証明する書類は、その特許を発行した特許庁による認証謄本でなければならない。

対応する日本出願の特許可能または特許となったクレームは単なる写しでよい。

審査促進の効果

請求から9か月~1年で審査報告書

請求から3~4か月で審査報告書

マレーシアにおける修正実体審査

1. 修正実体審査(Modified Substantive Examination:MSE)

マレーシア出願においてクレームされている発明と同一または実質的に同一の発明について、所定の国で、出願人に対して(ただし、権利の移転により当該所定国での出願人とマレーシア出願の出願人が異なる場合、その当該国の出願人に対して)特許またはその他の工業所有権保護の権利が付与されている場合、特許法第29条A(1)に基づき、修正実体審査を請求することができる。修正実体審査の請求は所定のForm(Form5A)の提出により行う。

修正実体審査の請求は、パリルートによる出願の場合にはマレーシア出願日から18か月以内(規則27(1))、PCTルートによる出願の場合には国際出願日から4年以内(規則27A(1A))に行わなければならない。

修正実体審査では以下の書類を添付しなければならない(規則27A(3))。

a.所定の国において、または所定の条約を基に出願人または前権利者に対して付与され

た特許またはその他の工業所有権保護の権利についての認証謄本。かかる特許または

その他の工業所有権保護の権利が英語でない場合には、英語による認証翻訳文。

b.所定の国による、または所定の条約に基づく特許またはその他の工業所有権保護の

権利が付与された発明の明細書、クレームまたは図面が、形式的事項は別として、

マレーシア出願でクレームされている発明の明細書、クレームまたは図面と実質的に

同一でない場合には、それらを一致させるための補正。

ここで、「所定の国」とは、オーストラリア、日本、韓国、英国または米国を意味し、「所定の条約」とは欧州特許条約を意味する(規則27A(5))。

つまり、修正実体審査においては、外国で(所定の国でまたは所定の条約に基づいて)付与された特許が英語による場合には、その特許を発行した特許庁が証明した特許を証明する書類と、もし必要なら補正を提出すればよい。外国で付与された特許が英語によらない場合には、その特許を発行した特許庁が証明した外国語の特許を証明する書類とは別に、特許を証明する書類の英訳を翻訳者の証明書(宣誓書)とともに提出することが必要である。

日本国特許庁(JPO)の審査結果に基づきマレーシアにおいてMSEを請求する場合には、JPOが認証した特許公報とその英訳、翻訳者による宣言書、および出願人による宣言書を提出することが必要である(ただし、出願人による宣言書は提出を求められない場合もある。)。

 

修正実体審査の請求はその猶予の申立をすることができる。申立は修正実体審査を請求すべき期間内に行わなければならない(特許法第29条A(6))。認められる猶予期間は出願日(PCTルートの場合には国際出願日)から最大5年である(規則27B(2))。修正実体審査請求の猶予の申立は、請求の基礎とする所定の国での出願が特許になっていない場合や認証書類が入手できない場合に、所定のForm(Form5B)を提出することで行うことができる。

猶予期間内に修正実体審査の請求ができない場合には、猶予期間満了後から3か月以内に通常の実体審査請求を行うことができる(規則27B(3))。

 

2. 通常の実体審査請求と修正実体審査との比較

  通常の実体審査請求 修正実体審査
(1)特許庁費用

単位:RM(リンギット)

RM1100(約USD275) RM640(約USD160)
(2)請求時に提出すべき書類 マレーシア出願でクレームされた発明と同一または実質的に同一の発明について、

 

a)オーストラリア、日本、韓国、英国および米国において出願された出願、並びにEPCおよびPCTの下に出願された出願の出願日と出願番号の情報(規則27(3)(a))

 

b)オーストラリア、日本、韓国、英国若しくは米国において、または欧州特許条約の下に付与された特許の番号(規則27(3)(b))

 

c)オーストラリア、日本、韓国、英国、米国、または欧州の特許庁(特許協力条約に基づく国際調査機関または国際予備審査機関の場合も含む)による、調査または審査結果と、その調査または審査結果が英語でない場合にはその証明付英語訳(規則27(3)(c))

マレーシア出願でクレームされた発明と同一または実質的に同一の発明について、オーストラリア、日本、韓国、英国、若しくは米国において、または欧州特許条約の下に付与された特許を証明する書類の認証謄本と、その特許を証明する書類が英語でない場合にはその証明付英語訳(規則27A(3)(a))
(3)補正要否 補正は必須ではないが、審査促進のためには上記(2)で述べた特許のクレームに、マレーシア出願のクレームを一致させる補正を自発的に行うのが望ましい。 マレーシア出願のクレームを上記(2)で述べた特許のクレームに一致させる補正が必要である。(規則27A(3)(b))

 

外国(所定の国)の出願が特許されていることがその発明の主題に特許性があることの一応の証拠となるので、修正実体審査を請求することにより審査が促進される。修正実体審査においては、審査官は、原則、マレーシア出願と外国で特許された出願とが一致しているかどうかについての審査を行い、(特別な状況の例外を除いて)先行技術調査を行わず、また、進歩性、単一性、明細書の記載要件、クレームの明確性等について審査は行わない。

ただし、注意すべき点として、発明の主題が対応国で特許性があったとしても、マレーシアで特許を受けることができない主題であってはならない。特許法第13条によれば、人間または動物の身体についての治療または診断方法、ビジネス方法、発見、科学理論、数学的方法、植物若しくは動物の品種、植物若しくは動物を生産するための本質的に生物学的な生産方法などは、特許を受けることができない。

 

3. 特許審査ハイウェイ(PPH)

マレーシアと日本との間のPPH試行プログラムは2014年10月1日より始まり、2017年10月1日に試行期間が3年間延長されている。新しい試行期間は2020年9月30日で終了予定となるが、必要に応じて延長される予定である。

PPHは、通常の実体審査請求と同時またはその後に申請する。MyIPOがその出願の実体審査に着手していないときに限ってPPHの対象候補となる。

マレーシア出願においてPPHを申請するための要件は以下のa~eである。

a.PPHを申請するマレーシア出願およびPPHの基礎とする日本出願において、

優先日あるいは出願日のうち、最先の日付が同一であること。

  b.対応する日本出願があり、JPOにより特許可能とされたまたは特許されたクレームが

一つ以上あること。

c.PPHの下で審査される全てのクレーム(出願時のクレームあるいは補正された

クレーム)がJPOにより特許可能とされたクレームの一つ以上と十分に対応

していること。

d.PPHの申請時に、MyIPOがその出願の審査を始めていないこと。

e.PPHの申請時またはそれ以前に、通常の実体審査請求が行われていること。

 

PPHの申請時には、以下の(a)~(d)の書類を添付して提出する必要がある。

 

(a)対応する日本出願に対してJPOから発行された(JPOにおける特許性の実体審査に関連する)全てのオフィスアクションの写し、およびその翻訳

マレー語または英語が翻訳言語として使用できる。JPOのオフィスアクションとその翻訳がAIPN(JPOの「ドシエ・アクセス・システム」:各国特許庁が有する審査関連情報を照会するシステム)により提供されている場合には、MyIPOの審査官はAIPNによりオフィスアクションの写しとその機械翻訳を入手できるので、出願人はそれらを提出する必要はない。MyIPOの審査官がAIPNによりオフィスアクションおよびその翻訳を得ることができない場合には、出願人には必要書類を提出するよう要請される。

 

(b)対応する日本出願で特許可能と判断されたすべてのクレームの写し、およびその翻訳

マレー語または英語が翻訳言語として使用できる。JPOにおいて特許可能と判断されたクレームがAIPNにより提供されている場合に、MyIPOの審査官はAIPNによりクレームの写しとその機械翻訳を入手できるので、出願人はそれらを提出する必要はない。MyIPOの審査官がAIPNによりクレームを得ることができない場合には、出願人には必要書類を提出するよう要請される。

 

(c)JPOの審査官が引用した引用文献の写し

引用文献が特許文献の場合、MyIPOが通常所有しているため、出願人はそれらを提出する必要はない。MyIPOが特許文献を所有していない場合には、出願人は審査官から要求に応じてその特許文献を提出する必要がある。非特許文献は必ず提出しなければならない。引用文献の翻訳は不要である。

 

(d)クレーム対応表

PPHを申請する出願人は、マレーシア出願の全てのクレームが、対応する日本出願で特許可能とされたまたは特許となったクレームと十分に対応していることを示すクレーム対応表を提出しなければならない。クレームが直訳である場合、出願人は対応表において「それらは同一である」と記載することができる。クレームが直訳でない場合には、互いに十分に対応していることを説明する必要がある。

 

上記(a)および(b)における翻訳は機械翻訳でも認められる。ただし、翻訳が不十分のため翻訳されたオフィスアクションやクレームを審査官が理解できない場合には、審査官は出願人に翻訳の再提出を求めることができる。

最近の傾向では、PPH申請により、請求から3~4か月で審査報告書が発行される。

 

4. 修正実体審査とPPHとの比較

  修正実体審査 PPH
請求または申請の

基礎とする対応国

(その条件)

オーストラリア、日本、韓国、英国、米国、または欧州特許条約の下(いずれかにおいて特許が付与された場合) 日本(対応する日本出願においてクレームが特許可能または特許となった場合)
提出書類の条件 外国で付与された特許を証明する書類は、その特許を発行した特許庁による認証謄本でなければならない。 対応する日本出願の特許可能または特許となったクレームは単なる写しでよい。
審査の体制 出願日の順に審査される(審査請求順ではない)ため審査までの待ち時間がPPHよりも長い。 PPH申請を専門に扱う審査官のグループがあるため修正実体審査よりも早期に権利化が可能。
審査促進の効果 請求から9か月~1年で審査報告書 請求から3~4か月で審査報告書

シンガポールにおける特許出願制度

シンガポールの特許制度は先願主義を採用している。また他の多くの国と同様、特許出願における優先権主張を認めている。パリ条約締約国または世界貿易機関(WTO)加盟国において先に出願されると、当該出願を後のシンガポール出願において優先権主張することができる。ただし当該シンガポール出願は、先行出願の出願日から12か月以内に出願されなければならない。

1.出願要件

出願に際しては、以下の情報を提出することが必要である。

1-1.特許明細書

・明細書、請求の範囲、要約および図面を含む、特許出願に関する英語で記載された明細

・明細書には、実施例と図面への参照を伴う、請求された発明を実施する少なくとも一つ

の方法が記載されなければならない

・発明の保護範囲を定める請求項は明細書によりサポートされなければならない

・図面は、明細書中または請求項中で言及されなければならない

・要約は、特許出願公開において記載される発明の要約である

出願日を確保するためには、特許出願の時点において請求項を提出することは要求されない。これは、一部の国において利用可能な仮出願の概念と同様のものである。しかしながら、特許出願を完了するためには、下記に示す所定期間内に請求項を提出しなければならず、これを怠ると、出願放棄となる。

(a)優先権主張されていない場合、当該出願の出願日から12か月;または

(b)優先権主張されている場合、以下のいずれか遅い方:

・主張された優先日から12か月

・出願日から2か月

1-2.優先権情報の詳細

優先権主張の基礎となる先行特許出願に関する以下の情報

(a)出願国

(b)出願日

(c)出願番号

1-3.出願人の詳細

(a)個人(自然人)である各出願人については以下の情報

・氏名

・住所

・居住する国

・国籍

(b)企業体(法人)である各出願人については以下の情報

・名称

・登記住所

・設立州(米国企業にのみ適用)

・設立国

1-4.発明者の詳細

各発明者についての以下の情報

・氏名

・住所

・永住権を有する国

・国籍

・発明者が発明の創造時のいずれかの時点でシンガポールに居住していたか否か

1-5.権利の由来

出願人が、各発明者から当該発明に対する権利をどのように得たかについての詳細

・雇用により

・譲渡により

・その他

1-6.その他

ブダペスト条約に基づく生物材料の寄託および国際展示会における先行開示が行われたか否かに関する情報の詳細

特許出願時に支払う超過請求項費用はなく、超過請求項費用は登録費用の支払い時点において25以上の請求項についてのみ納付することとなる。

2.出願日通知書および方式審査報告書の発行

2-1.出願日通知書

シンガポール知的財産局(Intellectual Property Office of Singapore : IPOS)が、下記に挙げる出願日付与に関する要件が満たされたと判断した場合、IPOSは、出願人に対して、出願日通知書を発行する。

(i)特許を求めていることが出願書類で示されていること

(ii)出願書類で特許出願人が特定されていること

(iii)明細書、優先権を主張する場合には優先権情報および優先権証明書が含まれていること

要件が満たされていないとIPOSが判断した場合、不備通知書が発行され、出願人は当該不備を回復するために2か月の期間が与えられ、これを怠ると当該出願は放棄されたものと見なされる。

2-2.方式審査報告書

方式審査において、IPOSは以下を判断する:

(i)優先権主張が、当該シンガポール出願の出願日前12か月以内である、先行する関連出願の出願日を特定しているか否か

(ii)図面または明細書の一部が出願から欠落しているか否か および

(iii)出願がすべての方式要件を満たしているか否か

すべての方式要件を満たしている場合、IPOSは方式審査通過報告書を発行する。

いずれかの方式要件が満たされないと、IPOSは、方式審査不備報告書を発行し、出願人は3か月間の応答期間を有し、これを怠ると当該出願は拒絶される。

3.出願公開

出願日が付与されると、優先権主張日または優先権主張がない場合は当該出願の出願日から18か月後に、特許公報において出願公開される。

4.調査および審査手続き

シンガポールにおいて、特許を取得するには4つの異なるルート(オプション)があり、それぞれ以下の通りである。

・オプション1:調査請求後の実体審査請求

・オプション2:調査および実体審査の同時請求

・オプション3:対応出願*1、対応国際出願または関連国内段階移行出願*2の最終調査

結果に基づく実体審査

・オプション4:対応出願、対応国際出願または関連国内段階移行出願の最終調査およ

び審査結果に基づく補充審査

なお、オプション4の補充審査は、2017年10月30日付けで改正された特許法により、2020年1月1日以降の出願では、利用できなくなる(シンガポール特許法第29条(11A)、およびシンガポール特許規則43(4))。

*1 「対応出願」とは、米国、カナダ(英語での出願)、欧州特許庁(英語での出願)、英国、オーストラリア、ニュージーランド、日本または韓国における所定の特許庁に出願されたものを指す。進歩性について未審査のニュージーランド出願に依拠することは推奨されない。さらにシンガポール出願は当該外国出願と優先権関係を有し、当該外国出願について優先権を主張するか、当該外国出願が当該シンガポール出願について優先権を主張するか、両出願が別の出願について共通の優先権を主張しなければならない。

*2 シンガポール国内段階移行出願に関する「関連国内段階移行出願」とは、所定の特許庁のいずれかにおいて出願された国内段階移行出願を指し、シンガポール国内段階移行出願のPCT出願から派生するものである。

オプション1について、調査請求は、当該出願の優先日または出願日(優先日がない場合)から13か月以内に提出されなければならない。その後、実体審査請求は、同じ優先日または出願日(優先日がない場合)から36か月以内に提出されなければならない。

オプション2について、調査および実体審査請求を、優先日または出願日(優先日がない場合)から36か月以内に同時に提出されなければならない。

オプション3について、対応出願、対応国際出願または関連の国内段階移行出願のいずれかの最終調査結果に基づく実体審査請求は、優先日または出願日(優先日がない場合)から36か月以内に提出されなければならない。本請求に必要な書類には以下が含まれる。

・国際調査報告書(International Search Report:ISR)または所定特許庁の1つに

おいて出願された特許出願に関する最終調査報告書の写しおよび、

その証明付の英語訳(必要な場合)、およびISRまたは最終調査報告書で引用された

先行技術文献それぞれの写し

・これらにおいて引用された非英語文献のそれぞれに対応する特許ファミリーに対する

参照リスト

オプション4について、対応出願、対応国際出願または関連国内段階移行出願のいずれかの最終調査および審査結果に基づく補充審査の請求は、優先日または出願日(優先日がない場合)から54か月以内に提出されなければならない。本請求に必要な書類には以下が含まれる。

(i)対応する外国の特許付与証の謄本または、その結果において登録可能と言及された請求項を含む最終調査および審査結果、ならびにその証明付き英語訳(必要な場合)および

(ii)シンガポール出願の各請求項が、対応出願の登録可能請求項とどのように関連*3しているかを示す表

*3 以下の場合、請求項は、他の請求項に関連するものと見なされる

(i)2つの請求項が同一である または

(ii)後の出願の請求項における各限定が、先の出願における限定と同一である、または表現のみが異なり、内容が同一である

実体審査に際して、新規性、進歩性、産業上の利用可能性、および、または単一性に関して拒絶理由を有する場合、審査官は見解書(Written Opinion)を発行し、出願人に対して5か月の応答期間(延長不可)を与える。見解書に対する応答は、審査官の見解に対する書面応答、明細書の補正またはその両方の形態を取ることができる。

補充審査の場合において、請求項のサポート、追加事項、および、または二重特許等に関する拒絶理由を有する場合、各拒絶理由を詳述する見解書が発行される。見解書に対する応答は、見解書の発行から3か月以内に提出されなければならない。見解書に対する応答は、審査官の見解に対する書面応答、明細書の補正またはその両方の形態を取ることができる。なお補充審査において審査官は、新規性、進歩性および産業上の利用可能性について検討を行わない。

5.審査の終結:特許付与適格または拒絶意思

5-1.特許付与適格通知(Notice of Eligibility to Proceed to Grant)

実体審査また補充審査が完了すると、審査官は、審査報告書または補充審査報告書を、適格通知または拒絶意思通知とともに発行する。

審査報告書が肯定的な結果である場合、IPOSは、特許付与適格通知書を発行する。その後、出願人は、該通知の発行から2か月以内に登録費用を支払うことが要求される。

5-2.拒絶意思通知(Notice of Intention to Refuse)

審査報告書が否定的な結果である場合、IPOSは、当該出願の拒絶意思通知書を発行する。その後出願人は、当該通知の発行日から2か月以内に審査レビューを請求する、もしくは、さらなる措置を講じないことにより出願の拒絶を受け入れるオプションを有する。

6.審査レビュー(再審査)

出願人は、拒絶意思通知の日から2か月以内に審査レビューを請求することができる。出願人はこの請求を行う際に、意見書と(必要に応じて)補正書を提出しなければならない。

上記と同様に、審査レビュー報告書が肯定的な結果である場合、IPOSは、特許付与適格通知書を発行し、出願人は、当該通知の発行から2か月以内に登録費用を支払うことが要求される。

拒絶意思通知において提起された拒絶事項が解消されないため、審査レビュー報告書が否定的な結果である場合、IPOSは拒絶通知を発行し、これは通知の日から2か月後に効力を生じる。この2か月間、当該出願は依然として係属中であり、出願人は分割出願を行う機会を有する。拒絶通知の発行は、当該シンガポール出願の審査手続きの終了を意味する。

7.付与証明書

特許が付与されると、特許の権利期間は年金費用の納付を条件として、出願日から20年間である。

特許を維持するためには、出願日から4年度目の終了から始まり特許が失効するまでの間、出願人は毎年維持年金を納付する必要がある。維持年金は、出願日相当日の前3か月以内に納付することができる。

出願日から45か月以降に特許が付与された場合、すべての年金は、特許付与の日から3か月以内に支払うことができる。

以下のフローチャートに、シンガポールの特許審査手続きの概要を示す。

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特許審査手続きフローチャート

シンガポールに国内移行した国際出願

国際出願におけるシンガポール国内段階への移行期限は、最先の優先権主張日から30か月、または優先権主張されていない場合は国際出願日から30か月である。

国際出願が英語以外の言語で出願・公開された場合、当該国際出願の英語訳を優先日から30か月以内に提出しなければならない。また、優先日から32か月までに翻訳文の確認証明書を提出する必要がある。

シンガポール国内段階に移行した国際出願に関する調査および審査手続は、優先権を主張したパリルートでの出願および優先権を主張しない出願と同一である。

タイにおける「商標の使用」と使用証拠

 タイ商標法に基づき登録が可能な商標は、「識別性」のある商標であり、商標法に基づき禁止されていない商標、他人が登録した商標と同一または類似でない商標である。タイでは、近年、2つ以上の定義語を含む多くの独創的な商標が、商標登録を認められず、困難に直面している。これは、登録官が商標を個々の要素ごとに分解して、当該商標出願の指定商品もしくは指定役務の特徴や品質と関連づけて、識別性の欠如を理由に、商標登録を認めないためである。しかし、当該商標が使用を通じて識別性を獲得したことを出願人が証明できれば、商標登録が認められる可能性がある。

 本稿では、「使用」の判断基準および使用を通じて識別性を獲得したことを証明するために必要な証拠について論述する。また、商標の使用の認定に関する知的財産局とCIPITCの異なるアプローチについても述べる。

 現行のタイ商標法の正式名称は、「B.E.2559(2016年)法律(No.3)により改正されたB.E.2534(1991年)10月28日法律」であり、旧商標法「B.E.2534」が改正され、2016年7月28日に施行されたものである。タイ商標法の第7条によれば、識別性が欠如している商標を、通商大臣が定めた規定に従い、当該商標の指定商品および指定役務について、広く販売または宣伝されている商品に使用されており、かつその規定が正しく遵守されている場合、その商標は識別性を有するとみなされることがある。

 タイ商標法の第7条に加えて、2003年3月12日付商務大臣告示では、出願された商標を付した商品もしくは役務は、公衆が十分に商品および役務を認識できるようになるまで、継続して適切に販売もしくは宣伝をされなければならないと規定されていた。この2003年3月12日付商務大臣告示はその後2012年10月11日付商務大臣告示によって改正され、タイ商標法第7条における「公衆に広く知られるまでに商標,サービスマーク等が付された商品またはサービスが,販売,頒布または広告によって識別性を獲得したこと」の証明については下記のような内容となっている。

 

・商品または役務が,一般公衆または関連分野の公衆が当該商品または役務が他のものと異なることを認識し理解できる程度にまで,一定期間,継続的に販売されまたは頒布されなければならない。

・商品または役務の販売,頒布または広告によって標章がタイで広く知られるようになった場合,当該標章はその標章が付された商品または役務についてのみ識別性を有するものとみなす。

・この告示に基づいて識別性が証明された標章は,登録された商標と同一でなければならない。

 

 この識別性の証明について,出願人は,登録しようとする標章が使われた商品または役務の販売,頒布または広告に関する証拠を提出しなければならず、この証拠とは,商品や役務を購入した領収書の写し,商品やサービスの広告費用の領収書の写し,請求書の写し,商品または役務の注文書の写し,工場の認可証の写し,メディアを使った広告の証拠の写し,商品のサンプルまたは必要に応じて証人(もしあれば)を含むその他の証拠などをいう。

 

 使用証拠提出の時期は、前記2003年3月12日付商務大臣告示においては出願と同時にされなければならないとされており、その後の追加は認められていなかったが、2012年10月11日付商務大臣告示においては、商標出願に添付して期間延長請求を提出すれば出願後60日以内に使用証拠の追加提出が認められるようになり、柔軟な対応が認められるようになった。

 使用証拠を審査する機関は2つある。商標委員会とCIPITCである。商標の使用の判断基準に関しては、これら2つの機関は似たような見解を示している。だが、CIPITCは、通常、商標委員会に比べて寛大でビジネス寄りのアプローチを採用する。商標委員会の決定に不服がある場合には、CIPITCへ抗告することができる。また、この抗告によって、出願人が使用を通じて識別性を獲得したことの立証に成功する可能性は高くなると考えられる。

 商標委員会の近年の審決を踏まえていえば、タイにおいて商標を付した商品もしくは役務の使用、宣伝もしくは販売がなされてきた期間を出願人がはっきりと証明できない場合、商標委員会はそれを十分な使用とはみなさないと推測することができる。基本的に、継続した(3年以上)使用の証拠の量に着目する商標委員会とは異なり、CIPITCは、タイにおける商標の使用の量や期間だけに頼ることはしない。逆に、他の国での使用証拠も認容するだけでなく、掘り下げた理由付けを適用し、様々な要因(当該商標の外国での登録等)を考慮するのである。商標委員会の審決を不服としてCIPITCへ抗告を行い、そこでも主張が認められない場合には、最高裁判所へ上告するという選択肢がある。ただし、すべての申請が受理されるわけではなく、多額の費用と時間がかかることにも留意すべきである。

 2017年にタイはマドリッド協定議定書への加盟を行い、これに伴う国内法の改正を行った。しかし、識別力獲得に関する商標委員会やCIPITCの判断傾向は、現在のところ、これらの改正に伴う影響は受けていないようである。

 タイ商標法第7条に関する直近の判例として、商標権侵害が争われた最高裁判決2766/2559号(原告:TOA Paint (Thailand) Co., Ltd. 被告:Cera C-Cure Co., Ltd.)がある。本事件では、原告が建物用ペンキ等に「Supershield」という商標を保有していたところ、被告がこれに類似する「Super-shield」という商標を使用していたため原告が商標権侵害を主張した事案である。

 本事案において被告は、「Supershield」という名称は「高い保護機能を有する」程度の内容を需要者に想起させるに過ぎないと主張し、その語について原告は専用権を独占する権利を有しないと主張した。

 しかしながら最高裁判所は、2006年に出願された原告商標が出願時に1984年(B.E.2527)からの使用証拠を提出していること等を考慮し、このような長期間にわたる使用の結果、原告商標は識別力を獲得していると判断し、被告の主張を退けた上で原告の請求を認めた。

 本事件は法改正前から争われていた事案ではあるが、このように使用の期間が最も重視される識別性獲得判断の傾向は、法改正後もしばらく変わらないことが予想される。

 

フィリピンにおける指定商品または役務に関わる留意事項

 フィリピン知的財産庁は、指定商品または指定役務に関する一般的なガイドラインとして、「標章の登録のための商品およびサービスの国際分類」(ニース国際分類)の最新版を採用している。

 フィリピン知的財産法第124.1条(k)は、商標出願には「ニ-ス国際分類の類に従って群に纏められた登録を求める商品または役務の名称、および、その商品または役務の各群が属するニ-ス国際分類の類の番号」が含まれていなければならないと規定している。

 「商標、サービスマーク、商号およびマーキングされた容器に関する規則」(以下、商標規則、2017年改正)に基づき、フィリピン知的財産庁は、商品または役務の記述に関するガイドラインを定めている。

 商標規則405は、適用される国際分類は、WIPOが公告するニース分類の最新版に基づくとしている。また、旧版の国際分類に基づいて登録された商標については、更新の際に審査官による書換登録(reclassification)が行われ、書換に伴う区分追加については費用の納付を前提とする旨が規定されている。

 商標規則406は、商品、事業または役務を特定する際に広義の用語を使用することを禁じている。一方で、外国登録に基づいて出願する出願人は、当該外国登録が商品、事業または役務を特定する際に広義の用語を使用している全ての場合について、当該外国登録が指定する商品を指定しなければならないと規定している。類見出し(Class headings)の記載は使用できるが、記載が示すとおりの商品役務を指定するものとされ、当該区分に属する全ての商品を指定するものとはされず、また、商品役務の性質について紛らわしくないことを前提とする。

 商標規則407は、複数の商品または役務について、これらがニース国際分類の一つの分類に属するか複数の分類に属するかにかかわらず、1件の出願で扱うことができると規定している。ニース国際分類の複数の分類に属する商品または役務を1件の出願が含む場合は、当該出願は、1件の登録を取得することになる。

 商標規則408は、複数の分類に属する商品または役務が1件の出願に含まれている場合、2件以上の出願に分割(分割出願)することができると規定している。ただし、同一区分に属する商品を分割出願することはできない。また、同一出願人による複数の商標出願の結合(merge)も請求により可能である。

 

1. 審査実務

 商品または役務の審査は、最新版のニース国際分類に基づいて行われている。フィリピンは、マドリッド・プロトコルに加盟しているため、審査官は加盟以前に比べて商品または役務に関する比較的広義の記述を認めるようになってきている。例えば、「被服、履物および帽子類(clothing, footwear and headgear)」という記述は、現在では認められるようになっている。

 ただし、出願がパリ条約による優先権を主張しており、優先権の基礎となる本国出願の指定商品または指定役務が、フィリピン出願の指定商品または指定役務より狭義の記述となっている場合はこの限りではない。その場合、審査官は、フィリピン出願に指定されている広義の商品または役務の記述を補正し、本国出願に指定されている商品または役務の範囲内に限定するよう出願人に要求する。より広義の記述で登録を得るためには、出願人はパリ条約による優先権を主張しないで、フィリピン出願を行なう必要がある。

 商品および役務に関する広義の記述は認められておらず、明瞭かつ具体的な商品および役務の記述が要求される。

 例えば、「本類に属するその他すべての商品(all other goods in this class)」という記述は、あまりにも広義であるという理由で認められない。

 

2. 出願料

 商品または役務は、ニース国際分類に従って適正に分類されなければならない。出願料は分類の数に基づいて計算され、商標出願に指定された商品または役務の数に基づいて計算されるわけではない。

 現在、商標出願時に支払う出願料(1区分あたり)は、保有資産が一億ペソ以下の個人または法人、フィリピン政府関連機関が対象となる「小規模団体」(Small entity)は1,200ペソ、それ以外の出願人は2,592ペソである(IPOPHL MEMORANDUM CIRCULAR NO.17-002 Section16)。

台湾における商標法の保護客体-非伝統的商標

【詳細】

 台湾の商標法第18条第1項では、識別性を有するすべての標識を保護客体とし、文字、図形、記号、色彩、立体形状、動き、ホログラム、音等からなる商標を保護対象として例示している。本稿では、非伝統的商標の出願書類の構成や非伝統的商標のタイプ別の出願記載事項の例を中心に説明する。

 

(1) 出願書類の構成

 

(i) 願書(中国語「申請書」)

 願書に、出願人、商標の図、指定使用商品又は役務を明記する点は伝統的商標と同じである(商標法第19条第1項)。出願商標の特定について、伝統的商標は商標の図のみで足りることが多いが、非伝統的商標は商標の図に加え、商標の説明及び商標の見本を用意する場合が増えるだろう(商標法施行細則第13条第2項-第4項、非伝統商標審査基準2.1、2.1.2、8、9、10)。

 

(ii) 商標の図(中国語「商標圖樣」)

 商標の特定は商標の図で行うのが基本であり、平面的な静止画像によって表現する。音の商標であれば、五線譜により商標を構成する音を商標の図に示す。商標の図の例を以下に示す。商標を構成しない商品の部分は点線で示されている。図1は位置商標、図2は色彩商標の例である。なお、商標の図の補正は、実質的な変更に当たらない場合を除き、することができない(商標法第23条)。

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位置商標、色彩商標の例

 

(iii) 商標の説明(中国語「商標描述」)

 出願商標を特定するために、図で表した商標を文章で説明する。上記図1は、「本件は位置商標であり、靴のかかとの中央部分から靴底まで伸びる赤色のテープ状の構成によって標示されている。点線部分は靴の形状を示しているもので、商標の一部ではない。」と説明できる。上記図2であれば、「本件は色彩商標であり、赤、黄色、赤がそれぞれ面積の三分の一を占める色の組み合わせを以って、商品容器の表面の上部から下部に分布しているものである。点線部分の容器形状は商標の一部ではない。」と説明できる。

 

(iv) 商標の見本(中国語「商標樣本」)

 商標の見本としては、商標の実物又は商標を記録した電子メディアがある。商標の説明と同様に、審査官による出願商標の理解を容易にするためのものである。どのタイプの非伝統的商標を出願する際に、商標の見本が必要になるかは、現地代理人に確認する必要がある。

 

(2) 非伝統的商標のタイプ別記載例

 

(i) 色彩商標(中国語「顏色商標」)

 色彩商標を商標の図で表す場合、下記図3が示すように、商標の色彩を施す部分を着色し、それ以外の部分を点線で表現する。加えて、商標の説明も用意する。図3の商標であれば、「本件は色彩商標であり、商標の図に紫で示されている部分は、ナットの非金属のOリングに使用される部分である。点線部分は商標の形状を示しているもので、商標の一部ではない。」と説明できる(商標法施行細則第14条、非伝統商標審査基準4.2.2)。

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色彩商標、立体商標の例

 

(ii) 立体商標(中国語「立體商標」)

 立体商標を図で表す場合、上記図4が示すように、商標の正面、背面、左側面右側面、左側面、底面、平面の六面が特定できるように表示する。当該図面は6図以内に限られる。商標出願後、審査官が必要と考える場合、他の角度の図面を提出するよう通知することができ、出願人も自ら図面の補充提出をすることができる(商標法施行規則第15条、非伝統商標審査基準3.2.1)。

 上記図4の商標は、「本件の立体商標は、願書に添付した立体図によって示すとおり、立っている形態で、暖色の台湾レッド(PANTONE-RUBINE RED)を基調とし、頭部に白字で英語「mit」と書かれたスウエットを被り、胸部に“台湾”の図が入った銀灰色の服装をした笑顔のキャラクターによって構成されるものである。」と説明できる(商標法施行細則第15条、登録第1443198号商標資料検索データベース)。上記図4の立体商標は色彩や文字も商標の構成要素であるため、商標の説明では、立体形状に加え、その他の構成要素についても説明しなければならない。

 

(iii) 動きの商標(中国語「動態商標」)

 動きの商標を商標の図で表す場合、下記図5のように、動きが変化する過程を静止画像で表示する。静止画像は6つ以内に限られる。商標の説明を用意して動く映像の連続する変化の過程を順番に説明すると共に、録画した電子メディアを添付する。下記図5の商標は、「本件は動きの商標であり、商標の図のとおり、2つの画像を含む、人差し指と中指でつくったチョキの形状が連続して開合する動きのものである」と説明できる(商標法施行細則第16条、非伝統商標審査基準6.2)。

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動きの商標、ホログラム商標の例

 

(iv) ホログラム商標(中国語「全像圖商標」)

 ホログラム商標の場合、商標の図はホログラムを表現する画像となり、画像数は4つ以内に限られる。視角の変化により画像が異なる場合は、商標の説明を用意し、その変化の状況を説明する。上記図6の商標の場合、「本件はホログラム商標であり、背景は黒地に青字で英語VIDEO FUTUREと記載されている。その上に白字でアルファベットのVFと標示された3つの球体が浮かんでおり、球体間には青色の波状の線によって相互に繋がっている」と説明できる(商標法施行細則第17条、非伝統商標審査基準7.2)。

 

(v) 音の商標(中国語「聲音商標」)

 音の商標の場合、商標の図では当該音を表現する五線譜・数字譜で表示する。五線譜・数字譜で音を表現することができない場合、商標の図は当該音声の文字説明とする。所定の電子メディアを添付すると共に、商標の説明を用意する。下記図7については、「これは願書に添付されたディスク中の音による音の商標である。本件商標は、音符のミ、ラ、ソ、ファ、ミ、ド、レ、シ、ド等のリズムの組み合わせによって構成されており、歌詞は「新一点霊B12」である」と説明できる(商標法施行細則第18条、非伝統商標審査基準5.2、登録第1150436号商標資料検索データベース)。下記7図では、ド・レ・ミの音階を数字で表している。

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音の商標、位置を示す商標の例

 

(vi)位 置を示す商標(中国語「位置商標」)

 位置商標は、位置が識別するための重要な特徴となっている。その図、色又は立体形状が特定位置に使用されなければ、出所標示機能が喪失する可能性がある場合、位置商標の性質を有するといえる。上記図8は、靴のかかとの中央部分から靴底まで伸びる赤色のテープ状の標示であり、当該赤色のテープ状の標示が同特定位置から離れると、その識別性を喪失する。

 位置商標を出願する場合、商標の図は、商標の商品又は役務に使用する位置を点線で示す。商標の説明では、商標本体及び使用方法、位置等について詳細に説明する。上記図8の場合、「本件商標は位置を示す商標であり、靴のかかとの中央部分から靴底まで伸びる赤色のテープ状の構成によって標示されている。なお、点線部分は靴の形状を示しているもので、商標の一部ではない。」という説明が考えられる(非伝統商標審査基準10)。

 

(vii) 地模様商標(中国語「連續圖案商標」)

 地模様商標は、商品又はその包装用容器、役務の提供に係る物品、若しくは役務の提供が行われる場所に使用される、連続して反復する模様のことを指す。その模様は、単一の図形、又は図形、数字、アルファベット、文字など要素の組み合わせにより構成することができる。

 下記図9について、「本件は地模様商標(連續圖案商標)であり、願書における図案のように、一連のひしがたにより構成され、その真ん中の部分は緑、赤、緑の細い縞に隔てられる。この商標は商品の全部又は一部に延伸して使用され、一定の方位や位置に限られない」と説明できる(非伝統商標審査基準8.2.1)。

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地模様商標の例

 

 出願時に地模様商標を表現する場合、その模様を構成する図案、又は当該図案の連続して反復した状態で表現することができるほか、地模様商標が使用される商品等の箇所を実線で表現することができる。例えば、靴に使用される地模様商標の場合、点線で靴の形を表現した上で、地模様が使用される箇所を表現することが可能である。しかし、その点線は商標の一部ではない(非伝統商標審査基準8)。

 

(viii) 匂いの商標(中国語「氣味商標」)

 匂いの商標は、消費者に商品又は役務の出所を認識させる機能を持つ特定の匂いを商標とするものである。匂い商標には視覚で感知できる図がないので、当該の匂いの説明を匂い商標の図としなければならない。上記説明は、明瞭、明確、且つ客観的な方式で表現されていなければならず、普通の知識、経験を持つ消費者が容易に理解できるようにしなければならない。なお、商標を描写する際に、「この商標は匂いの商標である」と明示するほか、その描写の内容が、関連消費者に直接その記憶にある匂いを連想させ、その匂いが人に与える感じがどのようなものか、明確に認識・理解させるようにしなければならない(非伝統商標審査基準9.2.1)。

 また、下記の二つの方法で匂いの商標を説明することができる(非伝統商標審査基準9.2.1)。

 

1.自然界に存在する匂いで描写する(例えば、みかんの香り、ラベンダーの香り、ミントの香り等)。

2.市場で使用される特定の名称又は呼び方で描写する。

 

 上記の1.で匂いの商標を描写できない場合、もし既に市場に存在しており、且つ消費者がよく知っている特定の名称又は呼び方がその匂いと結びつくことができ、多数の消費者が共通した印象、経験を持っていれば、出願人は、当該特定の名称又は呼び方で匂いの商標を描写することができる。しかし、出願人は、その特定の名称又は呼び方が既にその匂いに密接に結びついていることを証拠で証明しなければならない。

 

(ix)連合式非伝統的商標(中国語「聯合式非傳統商標」)

 連合式非伝統的商標は、文字、図、色、立体形状、動き、ホログラム又は音等の各構成要素の組合せからなるものである。例えば、下記の図10の商標に対する描写は、「当商標は音と動きの連合式商標である。その音は、約2秒続く鋭い爆発声であり、音に伴う動画は星一つである。商標の図案は4つのイメージを含み、第1から第4のイメージが表示されるにつれて、その星はしだいに大きくなったあと、しだいに小さくなる」というものである(非伝統商標審査基準11)。

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動きと音からなる商標の例

 

(3) 機能性(中国語「功能性」)

 非伝統的商標の拒絶理由の特徴として、機能性がある。商品の形状、包装、音、色又は匂い等からなる特徴が、同業の競合者の使用上又は技術上不可欠なもの、商品又は役務のコスト又は品質に影響を及ぼすものである場合、独占権の設定は社会的に好ましくないため、機能性を有しているとして登録されない。建築物の断熱板商品に銀色の色指定をする場合、一般的に危険又は警告を表す赤色又はオレンジからなる色彩商標を、交通警示器具商品等を指定商品とする場合が考えられる(非伝統商標審査基準4.2.4)。

(4) 識別性

 非伝統的商標にも識別性が要求されるが、その構成要素となる色彩、音、動き及びホログラムなどは、商品の装飾、包装、機能、偽造防止のラベル又は販売促進手段として利用されることが多く、識別標識と認識されないため、識別性が否定されやすい。識別性が弱いと思う場合は、使用による識別性獲得を主張することを想定し、使用期間の長短、商品又は役務への使用量、販売状況、広告による支出額、消費者調査報告書等の資料を用意する(商標法第18条第2項、第29条第2項、商標法施行細則第29条)。

 

【留意事項】

 ⾮伝統的商標を出願する場合は、審査官の理解を助ける目的から、商標の図に加え、商標の説明や商標を記録した記録メディア等を出願時に提出するかどうかを現地代理⼈と事前に検討を⾏うべきである。

 

韓国における商標ライセンス契約に関する留意点【その2】

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韓国における商標ライセンス契約に関する留意点【その1】

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タイにおける商標ライセンス契約の留意点

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