ホーム 電話面接

韓国における審査官との面接(または電話面接)

1.面接(韓国語「면접(面談)」)申請が可能な者
 出願人またはその代理人(特許・実用新案審査事務取扱規定(以下「規定」)第17条、韓国特許・実用新案審査基準(以下「審査基準」)第5部第3章10)。

2.面接申請を行うべき場合
 面接申請を行うべき場合として、以下のような場合が想定される。

(1) 拒絶理由の把握
 代理人(または出願人)が拒絶理由通知書(韓国語「의견제출통지서(意見提出通知書)」)を受けたけれども、拒絶理由を明確に把握することができない場合。

(2) 技術内容の説明
 代理人(または出願人)が拒絶理由通知書を受け、意見書提出後に審査官に技術内容を説明する必要があると考えた場合。

 なお、審査官が審査中に内容把握が難しいと感じた場合、または内容が理解不能な場合には、代理人(または出願人)に面接要請をすることができるが、通常は電話により説明を求める(規定第17条、審査基準第5部第3章10)。

3.面接申請の手続
 面接申請書を作成し、郵便またはFAX等により面接を申し込む。電話で面接申請をすることも可能であり、その場合は審査官と日時等について事前協議をした後、面接までに面接申請書を提出する(審査基準第5部第3章10.1)。
 なお、面接が必要である場合、通常はまず審査官と電話で話すことが多い。

4.面接の実施
4-1.面接

 面接は、対面、テレビ電話またはオンライン面接で行われる。

(1) 対面面接
 対面での面接の場合は、特許顧客相談センター内の審査官面談室を利用することが原則である(審査基準第5部第3章10.2)。

(2) テレビ電話面接
テレビ電話面接は、ソウル事務所のマルチメディアセンター(13階)の遠隔テレビ会議施設と本庁のテレビ会議施設を利用する、またはその他テレビ電話ができる施設を活用する(審査基準第5部第3章10.2)。テレビ電話面接の時間は、2000年度に画像電話面接を施行した際には1時間以内で終了すると制限されていたが、現在では制限がなくなっている。

(3) オンライン面接
 特許庁ソウル事務所の他に全国8箇所の知識財産センター(江原、慶南、慶北、光州、蔚山、仁川、全南、釜山)の面接指定場所で出願人(代理人)が審査官とオンライン面接が可能である(韓国特許庁報道資料2017.6.7)。
 テレビ電話面接とは異なり、高解像度ウェブカメラや音響システムが採用され、また、資料の提示等も可能となり、審査官に実際に面接して対話しているような環境で面接を行うことが可能である。

4-2.面接可能回数
 同一案件については、面接は原則として1回限りとされている(審査基準第5部第3章10.3(5))。

4-3.面接時提示書類
 出席者は身分証明書と印鑑(署名に代えることができる)と必要な場合には委任状を持参する(審査基準第5部第3章10.2(3))。

4-4.面接記録
 面接後に、審査官は面接記録書を作成し、出願人は内容を確認して捺印する(規定第17条(5)、審査基準第5部第3章10.2(4))。

5.特許行政サービス(“特許審査3.0”)
 2015年から、特許行政サービス“特許審査3.0”が実施され、審査着手前の予備審査制度、補正案レビュー制度、一括審査制度が導入された(特許審査3.0の概要)。

5-1.予備審査制度
 予備審査は、出願人の申請により、審査着手前に出願人と審査官が面接し、審査官に技術を理解してもらい、正確な審査および早期の権利化をめざすための制度である。出願人が、審査着手前に拒絶理由の可能性と補正による回避の方向について審査官と協議する機会となり、これによって早期の権利化が可能となる制度である(予備審査)。

5-2.補正案レビュー制度
 補正案レビュー制度は、出願人が拒絶理由通知書を受領した後、出願人の申請により、拒絶理由通知書に対する応答を提出する前に、補正案を提出し審査官との面接を行う制度である。面接で補正案についての意見交換と補正の方向の議論を行った後、出願人が補正書を提出することで、特許決定の可能性を高め、正確な審査を可能とするための制度である(補正案レビュー)。

5-3.一括審査制度
 一括審査制度とは、2015年に導入された制度であって、一つの製品に関連した特許・実用新案登録・商標・デザイン出願について、出願人が望む時期に一括的に審査する制度で、新製品の発売時期前に製品に係る知的財産権ポートフォリオを形成するために、企業の事業戦略に従って望む時期に関連出願を一括的に権利化することを可能とするための制度である(一括審査)。
 一括審査制度において、申請が所定の要件を満たす場合、審査着手前に一括審査説明会を開催し、申請人が、担当審査官に一括審査申請出願について説明し、その出願が一つの製品に関連した出願であるということを説明する。

 これらの制度が導入されたことにより、従前からの拒絶理由通知書の受領後の面接の他にも、面接を行う機会や方法の選択肢が増えた。

【留意事項】
(1) 面接は必ず代理人または出願人が行わなければならないが、必要に応じて発明者や技術担当者が同行することも可能である(審査基準第5部第3章10.2(3))。
(2) 外国人が面接に同行する場合、パスポートを持参する必要がある。パスポートがないと、特許庁に出入りすることができない(保安業務実務規定(第1編第4章3.訪問者の出入統制))。
(3) 外国人が面接に同席する場合、外国人の発言については通常出願人側において韓国語への通訳をする。
(4) 面接前には、あらかじめ面接内容をまとめておき、面接時に審査官に正確に伝達し、また審査官の意見を十分に聞いて、これに対応することが望ましい(審査基準第5部第3章10.3)。