オーストラリアにおける商標ライセンス契約に関する留意点
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オーストラリアにおける「商標の使用」と使用証拠
【詳細】
商標法第9条第1項により、次の場合は、商品または役務に関して商標が使用されているものとみなされる。
(1)業として取引もしくは提供される、または取引もしくは提供が予定されている商品の包装物、書類、ラベル、巻き枠(糸や電線やフィルム状のものを巻きつけて梱包するための芯:Reel)または物体に使用されている場合
(2)商品または役務について言及し、説明しまたは指定していると人に信じさせるような方法で使用される場合
(3)広告、送り状、ワインリスト、カタログ、営業書簡、営業書類、価格表またはその他の商業書類で使用される場合であって、上記のように使用された商標に言及することによってなされる請求または注文に従って、ある者に対して商品の引渡し(または役務の提供)がなされる場合
使用証拠は、商標出願人、商標出願人の前権利者または許諾使用者による使用が含まれる。権利の移転があって間もない場合等で、新しい権利者での使用実績が無い、もしくは少ない場合に、前権利者の使用実績を利用できる。商標法第8条により、ある者が商標の所有者の監督の下で、その商標を商品または役務に関して使用する場合、その者は当該商標の許諾使用者であると定義されている。商標の所有者の監督の下とは、財政的管理下(親会社と子会社の関係等)または品質管理下にある場合を示す。
オーストラリアでの商標の使用を認定するために、オーストラリア知的所有権保護局(IP Australia; IPA)は下記の状況を検討する。
(1)商標としての使用か否か
(2)業としての使用か否か
(3)オーストラリア国内の使用か否か(外国から国内消費者への輸入販売を含む)
(4)商品または役務に関する使用か否か
(5)商標の所有者、前権利者または許諾使用者による使用であるか否か
インターネット上で使用されている商標については、オーストラリアの消費者に提供される商品や役務をインターネット上で販売可能である場合、当該商標はオーストラリアにて使用されているとみなされる。オーストラリアの消費者に向けられていないウェブサイトの場合、あるいはオーストラリアへの商品の配送が不可能なウェブサイトの場合は、オーストラリアでの商標の使用とはみなさない。
専用実施権や通常実施権の許諾契約が存在し、商標の権利者が、その商標使用者の商品または役務に関する品質管理を実施する場合、または現地法人等の関連子会社の様に、親会社である商標権者が、その商標使用者の商業活動全般の管理を実施する場合、その商標使用者は許諾使用者とみなされる。
IPAに提出される使用証拠は、出願人の宣誓書の形式を取っていなければならない。その使用証拠には、出願人の詳細およびその業務内容、オーストラリアにおける使用開始日および商標が使用されている商品または役務の情報が含まれている必要がある。さらに、その商品または役務の販売経路、年間売上額、広告費、商標を付した商品の実例、オーストラリアで配布された広告の実例、価格表、送り状のコピーを含め、オーストラリアにおける出願人の使用実績の詳細が宣誓書に添付されている必要がある。
出願が、引例を理由とする拒絶理由通知を受けた場合、あるいは商標が記述的であること、姓名であること、または地理的名称であることを理由に拒絶理由通知を受けた場合、これらの拒絶理由を克服するために、実際の使用によって市場での自他識別力を獲得していることを示す使用証拠を提出することができる。拒絶理由克服に必要となる使用証拠の種類や量は、どのような拒絶理由を受けたかに拠る。